■機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 第1話「ユニコーンの日」
 

”宇宙世紀のガンダム”再び!ガンダムと言えばつい最近まで放送していたガンダムOOが記憶に新しいですが、
あちらは初代ガンダムとは関係ない世界の作品なのに対して、こちらは初代ガンダムと同じ世界を共有している宇宙世紀のガンダム。
私もずっと楽しみにしていましたので、今日はその感想を書いていきたいと思います

まずこのアニメを見る方法はいくつかあって、
PS3で配信されているものをダウンロードするか、(レンタル扱いで何日か経つと見られなくなる)
一部の劇場で放映されているものを見に行くか、(劇場に行けば先行発売のブルーレイも買える)
3月にブルーレイが発売されるのを待つか、の3つになります。
ちなみに私はPS3でダウンロードするのを選びました。料金は通常版が700円、高画質版が1000円です。
ブルーレイに比べたらずいぶん安いんだなーと思いましたが、
そうかレンタル扱いだから安いのか…でも店で借りるレンタルに比べるとちょっと高いですね
まあブルーレイの発売より先行して配信されてる分、値段が上乗せされてるってことなんでしょうね

さて肝心のストーリーをまずさらっと解説しておくと、
・時代は逆襲のシャアから3年後の宇宙世紀0096年
・ネオジオンの残党達が、打倒連邦の切り札になると言われる”ラプラスの箱”を受け取りにバナージのコロニーを訪れる
・ラプラスの箱によって引き起こされる戦争を止めたいミネバ、さらにネオジオンを追ってきた連邦のロンド・ベル隊が現れ、
 バナージのコロニーは戦闘に巻き込まれてしまう
というお話です。外伝的作品なのかと思いきや、想像していたよりずっと過去作との結びつきが強いんですね
ヒロインがミネバなこと、ロンド・ベルやネオジオンの勢力が戦うこと、登場するMSも過去の作品をベースに作られていること、
それに劇中でひょっこりブライトさんの名前も出てきたりしてました。ロンデニオンで司令をやっているとかなんとか…
今後ブライトの顔出しとかも期待したいんですが、ブライトの声優さんが亡くなってしまった今ではそれは無理っぽいのかな…
要するに何が言いたいかというと、外伝というより正統派な続編っぽく楽しめる作品なんだなということです

では次はメインキャラクターとMSについて紹介していきます

「なんとかする…!
 歯ぁ食いしばって!!」
主人公 バナージ・リンクス

平和なコロニーでアナハイムの工業高専に通っている学生。
密航してきたミネバと出会ったことがきっかけで、
2人でネオジオンの追っ手から逃避行をすることになる。

その後ネオジオンと連邦の戦いにコロニーが巻き込まれる中、
ミネバを守りたい一心でユニコーンガンダムに搭乗する。
ミネバが危機に陥った時には直感的にそれを感じ取ったり、
すでにある程度のニュータイプ能力を持っている。
バナージは歴代主人公の中では
カミーユに一番近いかな、と思いました。
物語開始の時点ですでにNTに覚醒してるっていうところとか、
それにミネバを守るために、
生身で軍人相手に殴りかかったり
とかね。

第一印象はアムロみたいに内向的なのかなって思ってましたけど、
実際はかなり行動力のある奴で驚かされました
「食べなよ、お腹空いてるんだろ?
 これなら時間が節約できる」

「歩きながら食べるなんて…んむっ…?」
「君が誰だろうと構わない、
 俺の事を必要だと言ってくれ!」

「必要ない」

「なっ…!?」

「あなたは、もう私に
 関わらない方がいい」
ヒロイン オードリー・バーン

ネオジオンがラプラスの箱を手にして戦争を起こすことを恐れ、
それを止めるためにバナージのコロニーに密航してきた少女。
その正体は、ドズル・ザビの娘で
あのZガンダムにも登場したミネバ・ザビ。

ちなみにこの作品では16歳。
Zガンダムの時に声優を担当していたのはこの人でしたが、
今作ではこの人が声をあててましたね。
しかしあの幼女が綺麗に成長したもんだなあ
ドズルの娘って言ったら普通枢斬暗屯子みたいなのを
想像するだろうになあ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
「了解、マスター」

「マスターはよせ」

「マリーダ・クルス
 クシャトリヤ…出る!」
マリーダ・クルス

ネオジオン残党軍に所属するクシャトリヤのパイロット。
ガンダムZZに登場したプルのクローンで、強化人間の少女。
プルのクローンではあっても声優はプルとは別。

強化人間というと、他作品では情緒不安定なキャラが多いが、
マリーダは命令に忠実で落ち着いた性格をしている。
「ぷるぷるぷるぷる〜!!」なんてセリフは間違っても言わない。(えー
ちなみに艦長のヒゲのオッサンのことを「マスター」と呼んでいる。
「自信とか覚悟なんてない…!
 俺は彼女に
 必要とされたいだけなんです!」
ユニコーンガンダム

バナージのコロニーで、アナハイムが密かに開発していた最新鋭MS。
アムロのνガンダムにも使われていたサイコフレームが
全身に張り巡らされており、並のMSとはまるで違う性能を誇る。
起動する時にシステムをバナージ専用に設定してしまったため、
バナージ以外の人間が操縦することは出来ない。
普段は角が閉じているユニコーンモードで戦うが、
ニュータイプや強化人間の敵を相手にする時には
NT-D(ニュータイプデストロイヤー)が発動し、
角が開いてガンダムの顔が現れ、デストロイモードとなる。
この状態では画像のように全身が赤く発光し、
NT殺しの驚異的な能力を使えるようになる。


関係ないですが、初代ガンダムと同じで
肩にビームサーベルを差してるところが個人的に好きです
「艦は追わせない…ファンネル!」
クシャトリヤ

ガンダムZZに登場したクィン・マンサの後継機となる機体。
しかしサイコガンダム級に巨大だったクィン・マンサとは違って、
かなり小型化が進んでおり、並のMSと大きさはさほど変わらない。

主力武器はやはりクィン・マンサと同じでファンネル。
ちなみにクシャトリヤがファンネルを放つ時の音には、
「ボォオン」と初代ガンダムでエルメスがビットを放つ時の音
同じものが使われている。芸が細かい…
「た、助かった…連邦の機体だ!
 RGZ-95リゼルだぜ!」

リゼル
逆襲のシャアに登場したリガズィの後継機となる機体。
リゼルというのは「リファイン・ゼータ・ガンダム・エスコート・リーダー」の略。
要はコストの高すぎたZガンダムを効率よく量産するための機体で、
リゼルの飛行形態は、変形を簡易にしたメタスを参考に作られている。
そのためリガズィのような不完全だった変形能力は改善されている。
今作ではコロニー内でマリーダとドンパチを行う。
「足の速いジェガンがいる…
 特務仕様かも知れない」
ジェガン

逆襲のシャアでおなじみの連邦やられメカ。
今作ではマリーダ達の艦が、
バナージのコロニーへ向かう途中に交戦する。

ノーマル仕様のジェガン2機は、
いともあっさりマリーダに片付けられてしまうが、

カスタムタイプのスターク・ジェガンは段違いの戦闘力を発揮し、
「こいつ超つええ…アムロでも乗ってんじゃないか」と思うくらいに、
マリーダと壮絶な死闘を繰り広げる。

と、まあこんなところでしょうか。この作品の見どころはやっぱりふつくしいモビルスーツの戦闘シーンですね
もうクシャトリヤのファンネルの光ひとつ取ってみても、「うひゃー綺麗だなー」って見とれてしまうくらいです。
今回戦闘シーンのメインはマリーダのクシャトリヤと、ロンド・ベルのジェガン隊&リゼル隊なんですが
ジェガンやリゼルは名無しの兵が乗ってるやられメカなのに、実に格好良い動きをするので非常に見ごたえがあります

あとはやっぱりミネバが可愛いですね、今回バナージとの絡みがあまり多くなかったのがちょっと残念だったんですけど
(バナージは「君の力になりたいんだ!」って押しまくるけど、ミネバは「いらないから帰って」って感じで割とドライ)
次からはもう少しバナージとの仲が接近したりするのかなぁ、F91のシーブック&セシリーくらいの仲にはなって欲しいところです
まあ「俺はミネバと添い遂げる!!」ぐらい暴走されると困るんですけど:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

それと私はやっぱりニュータイプの出てくるガンダムが一番好きだな…
他のガンダムでもイノベイターとかコーディネイターとか、超人めいた能力を持つ人達は色々出てきますけど、
そういうのとニュータイプはやっぱり何かが違うなーというかね、なんかこうニュータイプには心ときめくものがあるというかね(えー

ともかく久々の宇宙世紀のガンダム、十分お金を払って見るだけの価値はあると思います。
映画館でもPS3でもブルーレイでも、好きなのを選んで一度見てみてはどうでしょうか


・スタークジェガンかっこよすぎて妊娠しそうです…(*´Д`)
 

スタークジェガンの勇姿はマジ半端ないですよねー、一言で言うならこんな格好いいジェガン見たことねえ!
ガンダムUCはもはやジェガン販促アニメと言っても過言ではありません。きっと見た後はみんなジェガンが好きになるはず
クシャトリヤとの戦いぶりも、そこかしこに工夫が見られてパイロットも凄い人だったんだなーとよく分かりますね
そんなスタークジェガンの活躍を詳しく振り返ってみると

遠距離から散弾ミサイルランチャーを連射してクシャトリヤに攻撃を仕掛ける
  ↓
ミサイル攻撃はクシャトリヤにかわされ、すかさずこちらへ反撃のファンネルが飛んでくる
  ↓
接近してくるファンネルをサーチした瞬間、即座に外部装甲をパージして身軽になる
  ↓
一気にブーストを噴かして最速でファンネルの弾幕を突っ切る
  ↓
猛スピードで接近しつつビームサーベルを起動し、クシャトリヤとの激しい斬り合いが展開される
  ↓
鍔迫り合いの最中に、自分の真後ろにに太陽が来るようなポジションを取り、クシャトリヤへ渾身のサーベル突きを仕掛ける
  ↓
クシャトリヤがバインダーをこちらに向け、バーニア逆噴射を食らわされて動きを止められる。
そこにビームサーベルの一撃を食らってついに倒される

と、まあこんな感じでしょうか。なんと言ってもファンネルを確認するや否や、コンソールをピピピッと叩いて装甲をパージ、
その後操縦桿を一気に押し込んで突撃
の流れはメチャ格好いいですよね、
この腕を盾にしつつ弾幕を突っ切る姿とかもう惚れ惚れするとしか…



・ブライトさんは完全にメインキャラなので、出ないと物語が成立しません。いよいよ代役が決まる日が来たのでしょうか

え、ブライトって今後ユニコーンでもメインを張ることになるんですか!?そいつは驚きですな…
1話では単にサービスで名前が出てきただけかと思ってました。しかしそうなると、本当に鈴置さんに代わる声優を決めることになるのか…
天津飯なんかは緑川光がやってますよね、ブライトはどうなるんだろう…


■機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 第2話「赤い彗星」
 

「見せてもらおうか…新しいガンダムの性能とやらを!」

赤い色のモビルスーツ…奴だ!奴が来たんだ!
というわけで約9ヶ月ぶりに公開となった、ガンダムUCのエピソード2「赤い彗星」。
前回ユニコーンガンダムに搭乗して、なんとかマリーダのクシャトリヤを撃退したバナージでしたが
今回すぐに新たな敵の襲撃を受けることとなってしまいます。それが赤い彗星の再来と言われる男フル・フロンタル
ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の最高司令官であり、性格から何からシャアと瓜二つの男であります(声もシャアと同じ池田秀一)

ドッギュオオオオオオ!!

「高熱源体、急速接近!数は4!デブリの中を…なっ!?あ、有り得ない…!
 先頭の一機は、後続機の3倍のスピードで接近中!」

「あ…あれは…!シナンジュだ!赤い彗星だ!か…勝てるワケがない!逃げるんだ!」

「…聞いたことがあります、赤い彗星の再来と言われている男、フル・フロンタル…!
 たった一機で二隻のクラップ級を沈めたシャアの亡霊…!」

そんなわけでバナージ達を保護したロンドベル隊の艦・ネェルアーガマを猛追するフロンタル…
さすがにシャアの再来だけあって、接近スピードはもちろん通常の3倍です(えー

そんなフロンタルの駆るMSがこのシナンジュ。見た目通りにシャアの愛機・サザビーの流れを汲む機体ですが
サザビーのようにファンネルは搭載されておらず、武装そのものはビームライフル・ビームサーベルぐらいと至ってシンプル。
しかし、それは同時に余分な物を廃して基本性能を徹底的に高めることを目指した機体ということを意味しています。

実際、他のMSの追随を許さない驚異的な基本性能の高さこそシナンジュ最大の武器であり、
特にそのスピードは同世代のMSの中でも完全に突出しています。さらに機体にはサイコフレームも内蔵されているため、
ただ速いだけでなく、フロンタルの技量をダイレクトに表現した柔軟な動きが可能という…
無数のスペースデブリを全て避けながら超高速で飛んできたという事実こそ、
シナンジュの機動性・柔軟性の高さをはっきり示しているわけですね

チュドオオンチュドオオオオオン!!

「ぐっ…!本物のシャアだとでも…!?」

「こ、このままじゃ、みんな…!」

そしてロンド・ベル隊が迎撃に差し向けたリゼルも、赤子の手をひねるように次々と撃墜してしまうフロンタル!
このロングビームサーベルを構えて突っ込むリゼルとかかっこよかったんですが…いかんせん相手が悪すぎました
それとシナンジュのビームライフルはジオングのメガ粒子砲と同じ音が出るみたいですね。聞いてて懐かしいです

「攻撃中の敵機!聞こえるか!本艦はミネバ・ザビを捕虜にしている!
 攻撃が中止されなければ、身の安全は保証できない!」

《ほう…映像は確認した、だがそこにいるミネバ様が本物であるという確証はない》

そしてとうとうフロンタル1人にMS部隊を全滅させられてしまったロンドベル。いよいよネェルアーガマも撃沈か…というその時
「やめろー!こいつの命が惜しくないのかー!」と、なんとミネバに銃口を向け
人質として使い始めたダグザ中佐!なんということを!まあこれ以外、フロンタルを止める方法なんてないとは思いますが…

《ふむ…ならこちらも要求を言おう。
 ラプラスの箱に関するデータを全て引き渡してもらいたい》

「それには応じようがない、我々はラプラスの箱なるものを持っていない」

《ガンダムタイプのモビルスーツを回収しているはずだが?》

「あれは連邦軍の資産だ、箱とは関係がない」

《要求が受け入れられないなら貴艦は撃沈する》

「な…!?捕虜の命は無視すると言うのか!」

《不確定要素に基づいた交渉には応じかねる》

ところがそんな人質作戦に応じる代わりに、「じゃあラプラスの箱の情報よこしなさいよ」と交換条件を出してきたフロンタル!
しかしロンドベルにそんな情報は存在しないわけで…「あのう、そんな情報ないんですけど」と正直に話してみた結果、
「そうなの?じゃあ死ねよ」とあっさりネェルアーガマの撃沈を決めてしまうフロンタル!ミネバがいるのもお構いなしかー!

「ふん…ブラフだ…ジオン残党の星を見捨てるわけがない」

「それはどうかしら?フル・フロンタルは
 あのシャア・アズナブルかも知れないと言われている男…
 ジオン・ダイクンの遺児が、親の仇であるザビ家の末裔を大事にするはずがない」

「…袖付きの中にもザビ家を信奉する者は多いはずだ」

「そう信じるなら益のない交渉を続けるがよい。
 だがジオンの武人は貴公らほど甘くはないぞ」

「ちっ…」

そんなフロンタルの言葉に対し、「撃沈とか言ってるけどどうせホラだよ」と信じようとしないダグザ中佐…
しかしミネバは、「フロンタルがシャア本人ならザビ家の人間ぐらいすぐぶっ殺すよ」と中佐の認識が甘いことを指摘します
まあ確かにミネバの叔父ガルマも、伯母キシリアもシャアの手によって殺されているわけで…

「オードリー!そんな話し方をしちゃダメだよ!人も自分も追い詰めるだけだ!」

「なっ…バナージ…」

「オードリー、ここを出よう。君はこんな事に関わるべきじゃない」

「…(ぷいっ)私はミネバ・ザビである!」

「オードリーだよ!嘘でも本当でも、俺にはオードリーだ!」

「やめないか!子供の理屈が通る時ではない!」

「子供って…!オードリーはどうなんです!?俺が子供ならオードリーだって子供だ!
 子供を人質にするなんて大人のやることですか!」

「ち…」

「…あの赤いモビルスーツをやっつければ…
 オードリーを人質にしなくて済むんでしょう!?やりますよ!」

ところがその時、そんな会話に割って入ったのはバナージ!ミネバが人質になって命の駆け引きをしているのが
我慢ならずに飛び込んできたようで…そんなミネバの人質作戦をやめさせるには、あのフロンタルを撃退するのが一番手っ取り早い方法…
こうして戦う決意を固めたバナージは、再びユニコーンガンダムに乗り込みフロンタルに戦いを挑むことに!

「うおおおおおーーっ!!」

ドギュウウウンドギュウウウウン!!

「フ…当たらなければどうという事はない!」

そして出撃すると同時に、フロンタルへ向けてビームマグナムを次々に乱射するバナージ!
普通のビームライフルの4倍のバワーがあるというこのビームマグナム…カスっただけでも敵機が粉々に吹き飛ぶという超兵器ですが、
フロンタルはそれすらも余裕を持って全弾回避してしまいます。そして一気にバナージのふところに潜り込み、
どかーんと初代ガンダムでおなじみ強烈なシャアキックをお見舞いすることに…

バッキイイイイイッ!!

「う…ぐっ…!オ、オード…リィィィーーッ!!」

ギュオオアアアアア!!

「なに!?」

ところがその時、蹴りの衝撃で鼻血を吹き出しながらも、ミネバを守りたい一心でNT-Dを起動させたバナージ!
その瞬間ユニコーンガンダムの全身が赤く発光し、再びあのデストロイモードの姿に…
全身のサイコフレームがフル稼働状態となった今のユニコーンは、バナージのNT能力を大きく増幅し
思念だけでもユニコーンを操れるほど見違えた動きを発揮します

ピッキイイイイン!!

「み…見える…!これが…ガンダム…!?」

「また敵となるか…!ガンダム!!」

サイコフレームによって一気に鋭くなったバナージのNT能力…かつてのアムロのように「(ピキーン)見える!」
確実にフロンタルの動きを捉え、激しいビームサーベルでの斬り合いを開始!
かつて最強のライバルとして何度となく刃を交えたガンダム…今のユニコーン&バナージにそれと同じものを感じたフロンタルは、
とうとう声を荒げ始めてバナージとの激突を繰り返すことに!それにしても本当にシャア本人のような物言いですが…?

ガッシイイイイッ!!

「なっ…!?くっ、4枚羽ぇっ!」

ドッゴオオオオオッ!!

「ぐぶっ!?…う……っ…」

「感謝する、マリーダ・クルス中尉」

「…あの子供が、ガンダムに…」

ところがその時、2人の戦いに割って入ったのはマリーダの駆るクシャトリヤ!
フロンタルに気を取られていたバナージはその接近に気づけず、コクピットへ猛烈なパンチをねじ込まれて
その場で気絶してしまったという…あえなく無力化されてしまったユニコーンとバナージは、
「こいつらラプラスの箱に関係あるっぽいから持ち帰っとこ」と、なんとフロンタル達に連れ去られてしまいます

「殺し合いをした相手とは茶は飲めないかな?バナージ・リンクス君」

「…」



そんなわけで袖付きの拠点へと連れて来られてしまったバナージ…しかし意外にもフロンタルは、
バナージに手荒な扱いはせず紅茶を出しておもてなしをしていました
妙に友好的なフロンタルの態度に、バナージは少々面食らっているようですが…とはいえまだまだ心を許してはいないようです

「失礼ですが、その仮面は傷か何かをお隠しになっているものなのでしょうか?
 もしそうでないのなら、顔を見せていただきたいのです」

「貴様…!」

「いい、アンジェロ大尉。バナージ君は礼儀の話をしている(カパッ)
 これはファッションのようなものでな…プロパガンダと言ってもいい。
 君のように素直に言ってくれる人がいないので、つい忘れてしまうのだ。すまなかった」

そんなフロンタルに対して、真っ先に「その仮面とかなんなの?外しなさいよ」と言い放ったバナージ。
これにはフロンタルも気分を害するか…と思いきや、「あっすいません、変なファッションしちゃって…」とあっさり仮面を取ってしまいます
むう…少しは躊躇するかと思ったら、こうもすんなり取るとは意外ですね。それにしても素顔までシャアそっくりな奴だなあ
ごていねいにオデコには初代ガンダムでアムロにつけられた傷まで残ってるし…なんだか本当にシャアそのものな感じですが…

 

「君にはまだ学ぶべきことが沢山ある。まずは我々のことを知って欲しい。
 その上でよき協力者になってくれれば嬉しく思う」

「…あなたは、シャア・アズナブルなんですか?」

「…今の私は、自らを”器”と規定している。宇宙に捨てられた者たちの思い、
 ジオンの理想を継ぐ者たちの宿願を、受け止める器だ。彼らがそう望むなら、
 私はシャア・アズナブルになる。このマスクはそのためのものだ」

「…」

むう、フロンタルがシャア本人なのかどうか、やはりバナージも気になるようで直接質問を…
しかしフロンタルから返ってきたのは、「ジオンの人達のために私はシャアになる決意をしたんです」という言葉でした
うーん…この言いようはやはり、単にシャアを演じているだけの別人という風にしか聞こえませんが…

ひょっとしたら今回フロンタルが色々とシャアの名台詞を連発してたのも、
「もっと僕シャアになりきりたいんです!」とシャアごっこのつもりで喋ってた
ということなんですかね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ミネバ様のために行動を起こしてくれたこと、礼を言う」

「えっ?あ、あなたは…」

「マリーダだ」

「マリーダさんも…モビルスーツに乗ったりするんですか?」

「…人手が足りない時にな」

ともかく今後は袖付きの捕虜として生活することになったバナージですが…
そんなバナージの世話係を任されているのはなんとマリーダでした。マリーダは相当ミネバに対する忠誠心が強いようで、
バナージがミネバのためにユニコーンに乗ったことを感謝してるみたいですね。敵対する間柄にありながら
ミネバを通して少しだけ通じ合う2人…今後はこの微妙な関係がもっと掘り下げられたりするんでしょうか。次回に続く!


■機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 第3話「ラプラスの亡霊」
 

「くっそぉ!4枚羽根か!マリーダさん、どうしてあなたが!」

「投降しろバナージ・リンクス!でなければコックピットを焼く!」

早いもので、第2話が公開されてから数ヶ月が経ちまたユニコーンの季節がやってきましたね
前回ラストでフロンタルに捕われ、ネオジオンの拠点・パラオに連行されてきていたバナージ…
しかし今回は、始まって間もなくそのパラオから脱出し、追ってきたマリーダとの戦いを強いられることになってしまいます

「大佐…!なぜマリーダを孤立させるんです!」

「これはマリーダ中尉にしか出来ない仕事だ。
 ユニコーンガンダムのNT-Dを発動させるには、ニュータイプをぶつけるしかない。
 あのガンダムにはすでにサイコモニターを取り付けてある…
 そしてNT-Dの発動によって開示される”箱”のデータを傍受する。
 そのために連邦の内通者を利用して、あのバナージという少年をガンダムに導きもした」

「…つまりマリーダは、噛ませ犬ってわけですか…!」

ところがそんなバナージの脱出劇は、すべてフロンタルの思惑によって引き起こされたもの…
ラプラスの箱を手に入れるには、ユニコーンのNT-Dシステムを解析する必要があると睨んだフロンタルは
そのデータを取るためにマリーダを戦わせ、バナージがNT-Dを使うのを今か今かと待っていたのです

しかし、マリーダを完全に捨て駒としか見ていないそのやり方に、マリーダの上司・ジンネマンは相当腹を立てているようで…
むう…確かにこういう脇から見ているだけで人をもてあそぶ作戦というのは明らかにシロッコの領分ですよね
シャア本人なら他人を利用するよりもわれ先にと自分でさっさと突っ込んでいったことでしょう。

フロンタルを見ていると、他にも「シャアらしくないな」と思う部分はちょこちょこ見られますね
例えば、2話でバナージに言っていた「周囲の人が望むから私はシャアをやっている」という話。
本来のシャアはカミーユにブン殴られて「シャアらしくしろ!」と言われても「うわーんシャアになんて戻りたくないよう、
俺は気楽なクワトロ大尉でいたいもん」
とか言って周囲の人が望んでもシャアをやろうとしなかった男だし、
それでも周囲に祭り上げられてしまった時には、「これでは道化だ」「人身御供だ」とかグチってたくらいですからね

要するに、本来のシャアは「他人が求める”理想のシャア”になんかなりたくなかった男」
フロンタルは「他人が求める”理想のシャア”になろうとしている男」という違いがあるんじゃないかな、と思うんですよ
そういう点では、やはりフロンタルはシャアではない別人だと思うんですけどね…別人だからこそ本物を目指しているんじゃないかな?

「マリーダさん!このユニコーンを取り戻しさえすれば、連邦軍はここを離れるんだ!
 今は戦闘を終わらせる事だけ考えてくれ!」

「それは敵の理屈だ!」

「ここにはオードリーだって来てるんだ、戦いをやめさせるために!」

「姫様が…?どこにいる!投降して姫様の居場所を教えれば、我々も軍を引く」

「なっ…」

「見ろ…!戦闘を終わらせたいだけだと言いながら、
 お前は連邦の立場になって考えている!」

「違う…違うよマリーダさん!あなた達は直線的すぎるんだ!
 だからオードリーは箱を渡せないって…!」

「敵の理屈だと言っているッ!!」

「…この…!分からず屋ァァァーーッ!!」

そしてマリーダとビームサーベルをぶつけ合いながら、何度も説得を繰り返すバナージでしたが…
「俺が逃げ延びれば戦わずに済むんだから見逃してくれよ」と言うバナージに対し、
「お前が捕まれば戦わずに済むんだから早く投降しろよ」と返すマリーダ…
互いの主張が噛み合わないまま平行線を辿ってしまい、とうとう話しても無駄と悟ったバナージは
NT-Dを起動してマリーダに襲いかかってしまいます

ドドドドドドド!!

「ぐうっ!?どうしたファンネル!私が分からないのか!」

「あれは…!?あの小僧がやっている事なのか!?」

「正確には違う。あのパイロットはもはや、受信した感応波を敵意に変換する処理装置だ」

「では、あのガンダムを動かしているのは…?」

「NT-Dだよ、ニュータイプ・デストロイヤーシステム…敵をニュータイプと識別すると
 機体のリミッターが解除され、サイコフレームによる超常的なインターフェースと
 敵のサイコミュ兵器を支配する力を兼ね備えた、ハンティングマシンとなる…」

そしてユニコーンがNT-Dを起動したその時、突如としてコントロールを失いマリーダに向かって攻撃を始めたファンネル達!
そう、これこそユニコーンが持つニュータイプ殺しの能力サイコミュ・ジャック…
敵の使うサイコミュ兵器のコントロールを奪い、自分の意のままに操ってしまう恐るべき能力です

さらにNT-D起動中のユニコーンは、ニュータイプをも凌駕する超反応・超高速の世界で戦闘を繰り広げる驚異のマシン…
操縦もほとんどがバナージでなくユニコーン独自の判断で動くようになり、
実際にバナージの様子を見てみると↓こんなような放心状態に…フロンタルの言う通り、パイロットさえもひとつの部品と化してしまうようです



「…」

ブァチィィッ!!ドギャギギイイッ!!

「ぐうっ!うああああーっ!!」

ガギィッ!バチバチイイッ!!

「く…ぁ…っ…!」

そしてクシャトリヤに猛然と襲いかかったユニコーンは、まるで暴走したエヴァ初号機のように凄惨で容赦のない攻撃を開始!
外部装甲をズタズタに引き裂き、顔面をビームサーベルで叩き潰し、さらに動力パイプを力任せに引きちぎり…も、もうやめてやれー!!
しかし「デストロイモード」の名の通り、徹底的に相手を破壊し尽くすまで攻撃の手を緩めようとしないユニコーン…
もはや戦闘不能となったクシャトリヤへ向けて、さらにコクピットを潰そうとトドメの一撃を繰り出してしまいます。うわー!!

ピッキイイイイイイン!!

「う…っ!?」

《マスター!マスター、死んじゃったの…?なんで…!?》

《今日からお前のマスターは私だよ。臭い子だねぇ…!さあ来るんだよ!!》

「こ…これは…!?」

プルたんキター!!ところがコクピットへ攻撃を仕掛けようとしたその時、アムロとララァのように
マリーダとの精神感応を起こし始めたバナージ!咄嗟にマリーダへの攻撃を止めたバナージは、
マリーダの精神にするすると吸い込まれていき、その過去を垣間見ることになります

突然出てきたこのプルの映像は過去のマリーダの姿…もともとはプルのクローンとして生み出されたマリーダは、
小さい頃プルと本当に瓜二つだったようですね。ちなみに「なんで死んじゃったの」とマリーダが言っている”マスター”とは
ガンダムZZに登場したグレミー・トトのことです。もともとグレミーの部隊の戦力として造られたプルシリーズは、
グレミーをマスターとして慕うよう刷り込みがされていたわけですが…

しかしZZの最終決戦でグレミーが死に、拠り所を失ったマリーダは放心状態のまま娼館へと売り飛ばされてしまいます。
まだ10代前半にも関わらず、それから数年間は毎日ずっと乱暴な客に犯され続ける日々…
そして妊娠と堕胎を繰り返し、マリーダの子宮はすでに使い物にならなくなってしまったようです。

ちなみにマリーダの全身には、痛々しい火傷の痕があちこちに残されているわけですが…
まあ、要するに娼館のイカれた客から毎日ひどいロウソク責めを受けていたということなんでしょうな…むごい話だ…
というかいきなりこんな映像見せられたバナージも相当キツイですねこれ
まだ16歳で、命のやり取りしてる最中にこんなもん見せられるとか…頭がおかしくなるわ…

最後にひとつ、そんなひどい生活を送っていたマリーダを救い出してくれたのが、さっきフロンタルと一緒にいたジンネマン大尉であります
それ以来マリーダはジンネマンを「マスター」と呼んで慕っていますが、当のジンネマンは「マスターはよせ」と快く思っていないようですね。
きっとマスターなんていなくてもマリーダが生きていけるよう、早く普通の人間として独り立ちして欲しいと思っているんでしょう。ええ人や

「戦闘記録は見ていませんが…一方的な戦いだったんじゃないですか?」

「…よく覚えてないんです、どうしてあんな事になったのか…」

「マシンに飲まれたんだろう…サイコミュの逆流だ、操縦しているつもりがいつの間にか操られている…」

「…」

「強烈な否定の意志を感じた…”ニュータイプを見つけ出して破壊する”…
 あれは、ガンダムに埋め込まれているシステムの本能だろう」

そして精神邂逅を果たした結果、やはりマリーダは敵ではないと判断したバナージは
大破したクシャトリヤを連れてネェル・アーガマへ帰還していました。そして2人は医務室のベッドで体を癒していましたが…
やはりバナージにはクシャトリヤをズタズタにした時の記憶がなく、次にNT-Dが発動したらまた暴走するんでは…と不安を抱えているようです

「だが、ガンダムは止まった…お前の意志が…お前の中にある根っこが、ガンダムを屈服させたんだ」

「根っこ…?」

「バナージ…たとえどんな現実を突きつけられようと、自分を見失うな。それがお前の根っこ…
 あのガンダムに眠るもうひとつのシステムを、呼び覚ます…力…に…う、うぐ…!ぐうううっ…!」

「マ、マリーダさん!大丈夫ですか、マリーダさん!」

そんなNT-Dを恐れるバナージに、優しくさとすように「お前の意思は強い、自分を見失わなければ大丈夫」と語るマリーダ…
マリーダさんいい人すぐる。今さっき自分を殺そうとした相手にこんなことを言うなんて、なかなか出来るもんじゃありません
普通だったら「お前戦いを止めたいとか言いながら私を殺そうとしたよな?あ?
NT-Dの暴走だぁ?言い訳すんな!!」
とか言って相当ブチ切れてると思う:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「さて…ラプラスプログラムの指定する座標宙域でユニコーンを稼動させれば、新たにプログラムの封印が
 解ける可能性が高い。私も同乗する。君には当該座標まで機体を運んでもらいたい…これは命令だ」

「嫌ですよ…!あなたも見たでしょ!?パラオでユニコーンがどうなったか…!
 俺は軍人じゃないんだから、命令を聞く必要はないはずです」

「確かに義務はない。が、責任はある…君はすでに敵味方に関わりなく、大勢の運命に介在しているんだ。
 その責任は取る必要がある」

「人殺しをしなきゃいけない責任ってなんです!?
 俺にはそんな簡単に…割り切れませんッ!!」

そんな中、医務室を出たバナージに下された新たな任務…それは、ラプラスの箱の手がかりを掴むために
「ちょっと怪しい場所があるからそこでNT-D使ってみてよ」という命令でした。
連邦としても、NT-Dがラプラスの箱を探す鍵だという考えは変わらないようですな…
しかし、バナージはついさっきNT-Dで殺戮マシンと化す恐怖を覚えたばかり…「はい分かりました」とは到底言えず、
ダグザ中佐に向かってすごい勢いで苛立ちをぶつけてしまいます

「…」

「そう嫌うな…ああ言うしかないのが、彼らの立場だ」

----------------------------

「…」

「どうしたんです?隊長」

「いや…自分に息子でもいれば、とうに味わっていた気分なのかと思ってな…」

結局バナージをユニコーンに乗せることにはなったものの、激しい言い争いの末に気まずい思いを抱えてしまった2人。
そう、まるで親子ゲンカをした後のような空気の重たい感じ…今まで子供を持ったことがないダグザ中佐は、
「世の中のお父さんはみんなこういう経験してるのかなぁ…」と少しアンニュイな気分になってしまうのでした。がんばれお父ちゃん

「敵部隊、ラプラスの残骸付近で足止めを食っています」

「仕掛けてみますか!ようやくガランシェール隊らしい仕事ができるってもんだ!」

「大気圏スレスレだぞ…やれるのか?」

「マリーダを木馬もどきに預けておくわけにはいかんでしょう、必ず連れて帰ります」

ところがバナージ達がNT-Dの実験を行おうとしていたその矢先、ネェル・アーガマにみるみる迫ってきていた袖付きの部隊…
そこにはジンネマン率いるガランシェール隊や、自らシナンジュで出撃したフロンタルの姿もありました
どうやらマリーダを取り戻すことと、再びNT-Dのデータをいただくことが目的のようです
すぐにバナージとダグザ中佐の乗るユニコーンは補足され、フロンタル達との激しい戦闘が始まることに…

ズッドドゴオオオオン!!

「ちいっ…!本気で戦えバナージ!このままではなぶり殺しにされるぞ!
 奴(フロンタル)と向き合えばNT-Dが発動するはずだ!」

「で、でも本気で動いたらダグザさんが…!」

「ハッチを開けろ!(バシュッ)これで戦えるだろう!」

しかしユニコーンモードのままでフロンタルに応戦し、みるみるうちに追い詰められていくバナージ!
なぜならNT-Dでの超高速戦闘を行えば、一緒にいるダグザ中佐が危険だから…ちなみにデストロイモード時に発生する加速Gは、
ちゃんと対策をしていないとパイロットがいとも簡単に死んでしまうほど凄まじいので、
その対策を取っていないダグザ中佐は本当に危険なのです。そのため、スキを見てダグザ中佐はコクピットから飛び出そうとしますが…

「違う…違うんですよ…俺は何ひとつ確信を持てない…!
 敵と味方の区別だって…そんな人間に武器を手にする資格なんてないでしょ…?
 二度とコイツには乗りたくなかった…!」

ですが、ダグザ中佐が出て行くだけではまるで戦意の湧いてこないバナージ…
さっきもそうでしたが、バナージはNT-Dを使って自分が殺戮マシンと化すのが恐ろしくて仕方ないのです
それに今バナージが痛感しているのは、自分にはその恐怖を跳ねのける覚悟が引き出せないということ、その覚悟を生むのに必要な
「確固たる決意」がないということでした。「誰が味方で誰が敵なのか、なんのために戦うのか」…
それすらもあいまいで心が定まっていない自分には、そもそも武器を手にして戦う資格がないと思っているようで…

「…バナージ、俺はさっきNT-Dが発動しかけるのを見た。
 あれはお前自身の心に反応しているように見えた…」

「俺の…心…」

「ユニコーンは…ジオン根絶のための殺戮マシンなどではない。
 それとは違う何かが組み込まれている…
 それを制御するのは多分、生身の心だ。乗り手の心を試しながら箱へと導く道標…
 ふふ、コイツを作った奴はとんだ食わせ物らしいな」

「…」

「(がさごそ)今は時間がない、俺が外に出たらお前は奥まで移動して合図を待て!」

「な、何をする気なんです?」

「俺は連邦という巨大な組織の部品…歯車だ。歯車には歯車の意地がある…
 お前も、お前の役割を果たせ」

「…俺の…果たすべき、責任…?」

とんとん

「ここ(胸)が知っている。自分で自分を決められる、たった一つの部品だ…なくすなよ」

ところがそんなバナージに対し、ユニコーンが殺戮マシンとなるかどうかは人の心に左右されることを伝えるダグザ中佐…
そしてバナージの胸をトントンと叩き、「歯車の俺とは違って、お前は自分の役割を自分で決められるんだぞ。頑張れ」
エールを送ってくれました。ダグザ中佐…今まで軍人という立場上、厳しい態度をまったく崩そうとしませんでしたが
実のところは凄く人情的な人じゃないですか。この微笑みも、まるで子供の成長を見守る本当の父親のよう…いいキャラだなあこの人

シュゴオオオオッ!!

「き、来た!」

「バルカンだ!威嚇でいい!撃て!!」

ドドドドドド!

「今だ!!」

ドバッゴオオオオン!!

そしてダグザ中佐がコクピットを降りたその時、ちょうどユニコーンを追って姿を現したシナンジュ!
それを見たダグザ中佐はバナージに牽制射撃をさせると、なんと生身でバズーカをブチ込みシナンジュの顔面に直撃を食らわしてしまう!
うおおつえーぞダグザ中佐!!前回はバナージがNT-Dを使っても攻撃がカスリもしなかったシナンジュに、
まさか生身でこうも完璧に直撃させるとは…シナンジュも今ので顔面にかなりのダメージを負ったようで、先制攻撃は大成功ですね

「バナージィィッ!!」

「え…?」

スッ…
ズドッバアアアアアアッ!!

う…うわあああああああああ中佐ああああああーーっ!!
そ…そんな…そんなあああああああああ!!その時フロンタルの繰り出した反撃に遭い、無惨に吹き飛ばされて命を散らしてしまった中佐…
う…うう…しかしフロンタルのビームサーベルが目前に迫る中、中佐は最期まで怯えるような様子ひとつなく死んでいきました
きっと手持ちのバズーカではシナンジュを落とせないと分かっていたんでしょう、自分はここで死ぬと最初から知っていたんでしょう
しかしそれでもバナージの勝算が少しでも高くなるならと、自分の役割を全うしてバナージにすべてを託したという…
うおおおおおおお中佐!中佐あああああああああ!!
あんたって人は…最期まで軍人らしく敬礼の仕草で散っていくなんて…たとえ歯車でもここまでの信念の持ち主だったんだなぁ…中佐…

《お前は…私の希望…託したぞ…バナージ…》

「あ…あ……っ……やったなぁぁぁっ!!」

ドッギュウウウウウン!!

そして中佐がこの世から消えた瞬間、NT能力により中佐の残り香のような思念をかすかに感じたバナージ…
すると次の瞬間、中佐を失った悲しみ、フロンタルへの怒りが一気に膨れ上がり
バナージはNT-Dを発動させ猛烈な勢いでフロンタルへと飛びかかっていく!

「バナージ君!聞こえているのならやめろ!
 このままではお互いに大気圏で燃え尽きることになるぞ!」

「あんただけは…!!落とすッ!!」

そして大気圏への突入が始まり機体が赤熱していく中、それでもフロンタルに猛攻を仕掛け続けるバナージ!
質量を持った残像のようなものまで出現させる凄まじい機動で、シナンジュの片足をヘシ折ったりと
鬼神のような戦いぶりを見せますが…

しかし、大気圏からの脱出を第一に考えているフロンタルと、フロンタルを倒すことしか考えていないバナージ
最後はその両者の差が出る形となってしまい、あと一歩というところまでフロンタルを追い詰めながらも
バナージは完全に重力に捕まって地上へと落下してしまいます

そしてラストシーン。地球へと落ちていく中でバナージの目に留まったのは、
ダグザ中佐が隣に座っていた時のサブシートでした。まるでダグザ中佐がそこにいるかのような気持ちになり、
思わず手を伸ばすバナージ…しかしサブシートはみるみるうちに燃え尽きて、やがて儚く消えてしまい
中佐が死んだ喪失感を改めて実感したバナージは、静かに一人涙に濡れるのでした。次回に続く

えー、そんなわけでユニコーンの第3話なんですがヤバイですこれ。マジ名作
今回はなんと言ってもダグザ中佐が神だった…こういう”父親のような雰囲気を持ち、最期まで軍人の魂を貫いて散る”という
キャラがいると、これぞガンダムという雰囲気が一気に倍増しますよね。

旧作のそういうキャラと言えばランバ・ラルやノリス・パッカードあたりが代表的だと思うんですが、
そんな魅力あるオヤジはみんなジオンの軍人だったのが、今回は連邦の軍人というのが感慨深いです
私はどっちかと言うと連邦派なので、連邦にもこういう骨のある大人がいたことは素直に嬉しいですなあ

いやしかしこのアニメ、見ていて本当にガンダムファン冥利に尽きるって感じです
・ニュータイプ論を交えながら展開していくストーリー
・主人公は民間人でズブの素人、それを補って余りある超高性能機ガンダム
・圧倒的な技量で主人公を追い詰める赤い彗星
・物語に大人の深みを与えるおっさん軍人達
・戦争の中で大事な人と死別してしまう主人公の悲しい宿命
・過去のシリーズに出てきたさまざまなMS、さまざまな効果音
「そうだよこれがガンダムなんだよ!」というガンダム要素がこれでもかと凝縮されている、いわば超正統派のガンダム
そしてあらゆる点の完成度が素晴らしく高いというね…
ここまでやられたら、もう本当に名作としか呼びようがないって感じですよ

しかしダグザ中佐の生き様はしびれたなあ…「自分は組織の歯車」ということを自覚しつつ、その役割を全うするところがいいんですよね
そう、大人はみんな社会の歯車。色々なしがらみを背負って、自由に動くことの出来ない歯車です。
私もそんな歯車のひとつ、社会人になってから何度もそれを実感しました。しかしそんな小さい歯車でも
ひとつ止まれば仕事の流れが止まる。仕事が止まれば社会が止まる

例えば実際にあった話で言うと、数年前、車のピストンリングを作っている工場が地震災害で止まってしまった時に
それが復旧するまでトヨタを始めとする名だたる大企業がまったく身動き取れなくなってしまったという事件がありました
無数にある自動車部品の中でたかが一つ、それが作れなくなってしまうだけで
世界最高レベルの企業が何もできなくなるというこの恐ろしさ

大なり小なりそういう問題を社会人は常に抱えてるわけです。そんなプレッシャーと闘いながら
自分の歯車を止めないこと、社会を動かし続けることが社会人の責任です
そいつを最高にカッコ良く見せてくれたダグザ中佐は社会人の希望の星
ありがとうダグザ中佐、おかげで今日も仕事をがんばる気力が湧いてきそうです


■機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 第4話「重力の井戸の底で」

 
カプールが壊す!
ジュアッグが殴る!
ザクマリナーが潜る!
ズゴックが立つ!
グフ重装型が睨む!
ゾゴックが耐える!
ザクTスナイパーが撃つ!
ドワッジが
デザートザクが
ドムトローペンが駆ける!

そんなわけでガンダムUC第4話ですが、今回はもう旧ジオン系MSの活躍っぷりが物凄いですな
ストーリーとしては連邦軍トリントン基地へジオンの残党たちが一斉攻撃をかけるという内容であり、
そのために地球のあちこちからジオンの旧式MSがどんどん集まってくるという流れになっております

私としては一番目を引いたのは、ドワッジ・デザートザク・ドムトローペンの3人組かなぁ
こいつらが3体並んで突撃するシーンは、まるで黒い三連星のジェットストリームアタックのようだったというか
あそこが一番胸がときめいたなぁ。他には超ウルトラ旧式のザクTが、スナイパーライフルで並み居る新型機を
バンバン落として行くシーンもよかったですねぇ、なにせザクTといえば初代ガンダムの時代でさえ旧式扱いされてた機体ですし…
それと↓のシーンのゾゴックの流し目がイケメンすぎて惚れました。ああっゾゴック様ァ!!

そんなわけでトリントン基地をガンガン攻め立てるジオンMSですが、どっこい「調子に乗るなきさまらー!!」と
形勢を立て直すべく奮闘する連邦のMSが1機…それがバイアランです
そう、Zガンダムでジェリドが乗っていたあの機体ですね。今回登場したのはバイアラン・カスタムという改造機ではありますが、
もうこのバイアランが強い強い。ズゴック、ゾゴック、ゼー・ズール、マラサイと、次から次に落としまくり鬼神のごとき活躍を見せつけていました

乗っていたのは誰なのか分かりませんが確実にエースパイロットですよね。
実際普通のパイロットならやられてしまいそうなシーンがいくつもあったんですが、このバイアランのパイロットがムチャクチャ強いので
そういうピンチをすべて紙一重で乗り切りながら撃墜を重ねて行くというね…第1話のスターク・ジェガンもそうでしたが、
ユニコーンはこういう「名もなきエースパイロット」の活躍シーンが燃えるよなぁ

「本作戦ではラプラスの箱確保が最優先とのことだが、そんな余裕はないかもしれん。
 気を引き締めてかかれ!」

さあそして今回の目玉キャラと言えばやはりこの人、ついに出てきました我らが艦長ブライト・ノア。
なんと言っても気になるのはその声優ですよね。すでにこの世を去ってしまった鈴置洋孝に代わり新たに起用されたのは成田剣。
コードギアスのオレンジや犬夜叉の殺生丸を演じた人ですが、ブライトの声をやってどうだったかというと
これがどうしてどうしてピッタリすぎてビビる。「えっこれ本当に声優が変わったの?」というくらい
本当にブライトそのもので驚きです。

個人的には「甘ったれるな!!」とリディを叱りつけるシーンが一番ブライトのオーラを感じたなぁ
普通、こういう代役の人って穏やかに喋るシーンは前の役の人とそっくりでも
激しく叫ぶシーンでは「あぁ…やっぱり別人の声だな」って違和感を感じてしまうものなんですが
ブライトはまったく逆。むしろそのシーンが一番ブライトらしさを感じたという
ものすごく稀有な例ですねえ。この成田剣さんに関しては今後も安心してブライトを任せられそうだ

「全艦、第二種警戒配備!モビルスーツ隊をスタンバらせろ!」

それにブライトらしさと言えばセリフ回しもそうでした。この「スタンバらせろ!」というセリフ…
これってブライトがホワイトベースの時代から多用してた言い回しなんですよねえ
普通の艦長なら「モビルスーツ隊発進準備!」としか言わないところを、ブライトは「モビルスーツ隊はスタンバっておけ!」とか
そういう言い方をよくしてたんですよ。こういう細かいところに過去作へのリスペクトを感じるなあ

それとやっぱり過去作との繋がりと言えば効果音でしょうか。
今までにも何度か書いたことですが、ユニコーンでは昔のガンダムの効果音がいくつも使われているので
聞いてて思わずニヤニヤしてしまうシーンが多いんですよ

今回で言えばラー・カイラムの艦内に鳴り響く警報音。
「ちゅばばっちゅばばっピーッピーップーップーップーッ」
って一風変わった音が鳴るんですけど
これってあの懐かしいホワイトベースの警報音なんですよね。初代を知ってる人には聞き覚えがあると思います

あとはジムの歩行音なんかもこだわってましたねー、普通のモビルスーツってのは歩く時に「ガッギン、ガッギン、ガッギン」って感じの
重くて固い音が鳴るんですけど、ジムは「スホッ、スホッ、スホッ」ってなんとも軽くて頼りない感じの音が鳴るんですよね
そういうところもちゃんと再現してたりして、芸が細かいなあと感心してしまいました

「これじゃただの虐殺じゃないか!やめるんだ!
 こんな事を繰り返していては、心が壊れて人間ではなくなってしまう!」

「邪魔をするなぁぁぁーーっ!!思い知れ…!思い知れ…!
 ジークジオン…ジークジオン…ジークジオンッ…!」

「これは…サイコミュの逆流!?血を求めているとでも言うのか…?」

「く…!俺は…俺は彼女を止めたい…!止めなきゃならないんだ!
 ガンダム!俺に力を貸せッ!!」

さて、今まで脇役の話ばっかりしてましたが、我らが主役のバナージはというと…実は今回、全然戦うシーンがないんですよ。
どうしてかってバナージはジオンの巨大モビルアーマーが暴走して一般人の町まで攻撃し始めたのを止めるために
「俺は…戦いに来たわけでは!!」と、ひたすら敵パイロットと対話を続けるという
映画00の刹那と似たような役割だったので…



うーん…「俺に力を貸せ!!」のセリフが非常にカッコ良かっただけに、戦闘での見せ場がなかったというのは少々物足りなかったですね
まあ…ガンダム作品ってことを考えたらしょうがないのかなという気もしますが。ガンダムの大きなテーマといえばやはり
敵との戦いを通してお互いの心が通じ合い、「僕らが戦うことなんてないんだ」と分かり合うことですからね
そうなるとやっぱり刹那やバナージみたいに、戦いをやめて対話する方向にいくしかないのかなーと…

ただ、そういう意味じゃGガンダムは上手くやったなと思いますね。
あれは不器用な生き方しかできないガンダムファイター達が、拳を通してお互いの心を理解していくというストーリーですからね
つまり、ガンダムファイターはまず全力で殴り合わなければ対話もクソもないわけで。
ニュータイプだとかイノベイターなんて器用な分かり合い方のできない連中ですから、何よりもまず戦いがありきなんですよね。だからこそ
「貴様が正しいと言うならワシを倒して証明してみせい!!」
「おう!キング・オブ・ハートの名にかけて!!」という風に、盛り上がるバトルが存分に見られるわけですよ
つまり、ガンダムの基本を押さえつつ全力バトルも見せることができる…2つの要素を両立したうまい設定でしたねえ

Gガンダムは他にも、主人公とその肉親の悲しい別れだとか、(初代ガンダム:アムロの両親、Gガンダム:キョウジ兄さん)
まるで父のように主人公の前に立ちはだかる大きな壁だとか、(初代ガンダム:ランバ・ラル、Gガンダム:東方不敗マスターアジア)
実はちゃんとガンダムの重要なポイントを掴んでる作品なんですよね、ガンダムらしくないハチャメチャっぷりの方に目が行きがちですが
あれはあれでやはりガンダム作品の一員なのかなという気がしますね

「バナージ!撃て!このまま撃てェッ!!」

「…ぐっ…!」

「可能性に殺されるぞ!そんなもの捨てちまえ!」

「くっ…う…撃てませんッ!!」

ですが最終的に、バナージと敵パイロットとの対話は上手くいかないまま
やむを得ず仕留めなければならない状況となってしまいます。
しかし、それでも最後までビームマグナムの引き金を引けないバナージ…
とうとうこれにはリディの方が痺れを切らし、デルタプラスでビームマグナムを奪って相手を倒してしまったという…

うーむ…なんというかこのシーンには色々連想させられる部分がありますね
まず今回バナージと戦った敵のMAはシャンブロ。超大型メガ粒子砲とレフレクタービットを装備した怪物級MAであります。
そう、レフレクタービット…もうこれだけで思い浮かぶのが、Zガンダムに登場したサイコガンダムMk−Uですよね。

状況的にもサイコガンダムMk−U戦と非常に似ています。あの時カミーユは、サイコUに乗っていたロザミアに対して
「ロザミィ!僕だ、カミーユだ!戦っちゃいけない!」と必死に戦いをやめるよう呼びかけていたわけですが…
結局それは効果がなく、やむなくロザミアを仕留めなければならなくなってしまったという…

どっちも非常に似ている状況なんですが、最後だけは違う結果になってるんですよね。
「ロザミィ…可哀相だが…直撃させる!」と引き金を引いてしまったカミーユ
「…撃てませんッ!!」と最後まで引き金を引けなかったバナージ
それぞれ逆の結末を迎えたわけですが、これは作品のテーマ性の違いによるものなのかなという気がしますね

まずユニコーンなんですが、これは作品中で言われている通りバナージがユニコーンガンダムに心を試されているという話ですよね
つまり、最終的にバナージが一貫性を持った自己を確立し、ユニコーンに認められることが物語の終着点なわけで。
そういうわけで今回はバナージに撃たせず終わったんだと思います、
何しろ「俺は戦いに来たんじゃない!」って今回ずっと言ってましたからね、その意志を最後まで貫く必要があったんじゃないでしょうか。

対してZガンダムは、カミーユが戦争の悲しみの中で自己をすり減らしていくという話ですよね
ロザミアを撃ち殺し、あまりに多くの死を目の当たりにしてどんどんと余裕がなくなっていったカミーユは、
最後には完全に自己を喪失して精神が崩壊してしまうという…
そう、つまりユニコーンは主人公が自己を確立する話でZガンダムは主人公が自己を喪失する話だと思うわけですよ
こういったテーマ性の違いでそれぞれ話が分岐したのかなと思いました

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「…!?あれは…!?」

「く…黒い…ユニコーン…!?」

そしてラストシーン、戦いが終わって泣き崩れるバナージの前に、謎の黒いユニコーンガンダムが現れたところで次回に続く
ここにきてまさかの新ライバル登場ですか…話数的にはもう何話も残ってないと思いますが、
クシャトリヤやシナンジュとはきっちり決着をつけるんでしょうか?

・ガンダム無知な女子大生なのですが、バナージ役の声優さんが好きでUCの舞台挨拶に行くため
 UCをep1から予習しようと思って、アニメと並行して大志さんのレビュー拝見してました。
 ガンダムまったくわからないところからのスタートだったので、まるでストーリー訳わからなかったんですけど
 大志さんのレビュー(私にとっては解説)のおかげですごく分かりやすく予習できてます。
 ep5と6のレビューもお願いします!! by ちろ

おお、どうもどうも。ガンダムユニコーンは話の内容が難しいから理解するのが大変ですよね
政治的かけひきが話の主軸に絡んできてるから、俺もどういう話なのかよく分からんまま
キャラクターとかMSに注目した感想しか書けないんですけど、それでも理解の助けになってるならよかったです

で、長いこと止まってたユニコーンのレビューなんですが、ようやく時間が取れたので今日から再開することにしました
すでに最近7話で完結したみたいなので、早いとこ追いつきたいですね



アニメ感想:機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 第5話「黒いユニコーン」
 

さて前回、大型モビルアーマー・シャンブロとの戦いを終えたばかりのバナージの前に、
突如として空から現れた黒いユニコーンガンダム。「バンシィ」とも呼ばれるその機体に乗っていたのは、
強化人間としての再調整を受け、パープーな感じになってしまったマリーダでした

以前は強化人間の割に落ち着いた性格で、バナージとも心を通わせたマリーダですが
今や精神をいじくり回されてしまったせいでただの危ない人になってしまったようです

一方、バナージは前回ラストでロニの死を見せつけられてしまったせいで、
精神的に打ちのめされてすっかり放心状態です。こんな状態でマリーダに襲われてしまったら、
バナージはひとたまりもなく一方的にボコボコに…

と、思いきや丁重にバナージをお連れしてどっかの戦艦にやってきたマリーダ。
理性のない戦闘マシーンかと思ったら、バナージを無傷で捕獲するとか意外だな
そして「どっかの戦艦」というのが何かというと、聞いてびっくりラー・カイラムです
そう、逆襲のシャアに登場したアムロ達の戦艦で、ブライトが今も艦長を務めているという…
そして今回、落ち込みモードのバナージとブライトが、いよいよ邂逅を遂げることになります

「ちょっと話がしたい、いいかな?」

「…」

「ブライト・ノアだ。このラー・カイラムの艦長を務めている」

「…」

「機体ともどもだんまりというわけか…技術スタッフも頭を抱えているよ」

気さくに声をかけるブライトですが、バナージの方は気持ちがすさんでいるせいで
「誰かと話す気分じゃないんだよクソが」と完全にブライトをシカトしております
あと「機体もだんまり」と言っているのは、ユニコーンガンダムに搭載されているラプラスプログラムのことですね
あれはパイロットのバナージにしか情報を示してくれないので、他の技術者やらが解析してもデータが得られないということです

「…あれは誰にも見せちゃダメなんです。あれを誰かに知られたら
 またその場所が戦場になって多くの人が死ぬ…」

「そうか…そのことは、そのまま黙っていればいい」

「え…?」

そしてブライトに対し、「ラプラスプログラムの情報は誰にも話す気ねーから」と語るバナージ。
「お前もその情報を聞きたくて寄ってきたんだろ」という思いで口にしたんでしょうが、
ブライトから出てきた言葉は「その情報はずっと黙っていなさい」という意外なものでした
それを聞いて、バナージもブライトと少しは話してみる気になったようで…

「諦めるなよ、君の目には力がある。困難を糧にできる強い目だ
 諦めずにいれば、必ずチャンスをものにできる」

「…そんな力、俺にはありませんよ。全部偶然なんです…
 ユニコーンに乗ったのも、ここでこうしているのも…」

「本当にそうかな?君の目の前にガンダムがあったことは偶然かもしれない、
 これまでガンダムに乗ってきた者達も、みんなそうだった…だが、ガンダムに乗るかどうかは
 自分で決めたことのはずだ。君にガンダムに乗る決意をさせたものはなんだ?」

「…あ…助けたい人が…いるんです。オードリー・バーン…
 みんながミネバ・ザビって呼んでいる女の子です」

そう、ブライトが話したいのはラプラスの箱に関する話題などではなく、
少年の身でガンダムに乗ることの苦悩についての話だったのです
これまでにアムロ、カミーユ、ジュドーという、ガンダムに乗り込み苦悩しながら戦った少年たちを見てきただけに、
バナージにも声をかけずにはいられなかったんでしょう

「宇宙に上がって、救援に来るネェル・アーガマと合流するんだ。
 それ以外に彼女を救う方法はない。やれるか?」

「…やります!」

「かつてガンダムに乗った者達と同じく、君もガンダムに選ばれたのだと思いたい。
 絶望を退ける勇気を持て!君がガンダムのパイロット、ニュータイプであるなら」

「ブライト艦長…」

「あとは君次第だ、状況に潰されるな!」

そしてバナージに「オードリーを救いたい」という初心を取り戻させ、
そのために必要な手段と、進むべき道を示すブライト。対話だけでこうまでバナージにやる気を取り戻させるとは、
ブライトも変わったなぁと感慨深い気持ちになりますね

これまでのガンダムパイロット達が思い悩んでいた時、ブライトの対応がどうだったかを実際に思い出してみると
まず初代ガンダム、アムロが落ち込んでいた時。ブライトはアムロの部屋にズカズカと乗り込んできて
「きさま何故自分の役目を果たそうとしないんだ、立てよおいッ!!」って
ブン殴って無理やり戦わせようとしてましたよね

反発したアムロが「ブライトさんはなんで戦ってるんですか」と聞きますが、
ブライトは「今は哲学など語っている暇はない」と、アムロの話に付き合う気がまったくありませんでした
そう、この時は相手の言い分を聞かずに、自分の言い分をひたすら通そうとしていたのが
ブライトの対応でしたね。まあブライトも19歳で余裕のない新人でしたから、そういう時期なのも当たり前ですけども

そして8年後、Zガンダムの時代。27歳となりカミーユと関わることになったブライトですが、
実はカミーユとブライトが対話するシーンというのは驚くほど少ないですよね
カミーユの面倒を見ていたのはもっぱらシャアで、エマ中尉やレコアがそれに次ぐといった感じでした

しばらくシャアが留守にする場面もありましたが、その時にブライトが言っていたのが
「私にはとてもカミーユの父親役はできそうもない」
「カミーユの父親役は私ではつとまらない」

2度も「あいつの面倒見るの無理」と言っていました

お手上げというか匙を投げていたというか、自分から積極的に関わっていなかった感じですね
ズカズカと部屋に乗り込んでブン殴っていたアムロの時とは違って、
自分の都合を通そうとする部分はなくなっているんですが、
その一方で相手の都合を聞いてあげたり、気配りするだけの余裕はないというのが、この頃のブライトだと思います

それから1年後、ZZガンダムの時代。ブライトは28歳となり、ジュドーと関わるようになりますが
苦悩するジュドーに対するブライトの言葉といえば、一番印象的なのがZZの最終話
激しい戦争がすべて終わってからノコノコと現れ、甘い汁だけを吸おうとする汚い大人たち
に激怒するジュドー。
仲間たちに止められ、やり場のない怒りに苦悩するジュドーですが、その時ブライトが言ったのが

「ジュドー!俺を殴れ!気が済まないのなら俺を殴れ!」というものでした
そう、ここではジュドーの苦悩をなんとかしてあげたいという気持ちが、ハッキリと出ていますよね
でも気の利いたセリフが出てこないので、思いっきり体を張って怒りだけでも受け止めるというのが
この頃のブライトだったように思います

そして今回のユニコーン時代。ZZからは8年後であり、ブライトは36歳です
こうなるとブライトも立派に父親役をつとめられるようになっており、
バナージの苦悩を理解し、やる気を取り戻せる言葉をかけて立ち直らせるということができるようになっていますよね

まとめると、苦悩している相手に対して
ブライト(19):ガタガタ言ってんじゃねぇとブン殴る。「殴ってなぜ悪いか?」
ブライト(27):あまり積極的に関わらない。「私に彼の父親はつとまりません」
ブライト(28):あえて殴られてストレスを受け止めてやる。「気が済まないなら俺を殴れ!」
ブライト(36):励ましの言葉をかけて立ち直らせる。「あとは君次第だ、状況に潰されるな!」

と、こうなっているんですよ。なんだかブライトの人間性も、紆余曲折を経てすごく成長してきてるような気がしますね
19の時は、自分の都合を通して、相手の苦悩を聞こうとしなかった
27の時は、自分の都合を通すのをやめた。でも相手の苦悩は相変わらず聞かなかった
28の時は、相手の苦悩をどうにかしてあげたいと思うようになった。しかしそのための言葉が出てこなかった
36の時は、相手の苦悩を親身に聞くようになり、それを解決できる言葉をかけられるようになった

要はこういうわけですからね、たまたま話の都合でこういう描写が続いたのかもしれませんけども

「笑うなよ、あの子の直感に賭けてみるさ」

ともかく、そんな風にバナージを送り出したブライトですが、自室で一人になった時にこんなセリフを。
今は亡きアムロの写真に向かって「笑うなよぉ」って、お、おい
なんかちょっと危ないホモっぽいぞブライト!(えー

アムロの写真に向かってその独り言はちょっと…どんだけアムロ好きやねんっていうのと
写真に向かって話しかけちゃうアブナイ人って感じで、ちょっと見てて感心できないな…

それと今回、ブライトがバナージに協力して色々と手回しをするシーンで、
過去の作品の懐かしいキャラ達が登場してましたね。この画像のカイ・シデンとベルトーチカがそうでした
それにしてもベルトーチカは老けないなー、Zガンダムの時代から10年くらい経ってるのにこの美貌ですよ
ガンダム00では5年経ったら美貌が劣化しちゃった人とかもいるんで、あの人のことを考えると…(えー

「そういうことかよ…させるかぁぁぁぁ!!」

がしかし、バナージのミネバ奪還作戦が進んでいく中で
「おめーにミネバは渡さねーよバーカ!!」と一足早く先行してしまったリディ!
この男、以前からミネバに惚れているのでバナージをライバル視しているんですが
ミネバからはまったく相手にされておらず、ただのうざいストーカーと言っても過言ではありません

(バナージ…)

「ミネバァァァ!君を迎えに来た!」

「…」

「何してんの!早くデルタプラスに乗って!」

「(スッ)」



ああ、バナージより先にミネバのもとへやって来たリディですが、
「お前じゃないから」とまったく相手にされず!
「ちょっ、待てよ!」と手を伸ばすリディですが、それも華麗にかわされるというピエロっぷりです

「私を連れ出して…それからどうするつもりなのです?」

「ここを出てから考えりゃいい!」

「…あなたは、一体なにを守りたいのですか?私という人間ですか?
 ラプラスの箱の秘密ですか?それとも家の名誉…」

「家のことなんてどうだっていいッ!!ミネバ!俺と一緒に来てくれ!」



「…リディ、私とあなたの行く道は違う。私はザビ家の女です」

「一人で世界と戦うつもりか!?そうまでして何の意味が!?」

「一人ではありません。さようなら、あなたのことは忘れない(バッ)」

ヒュウウウウウウ

「ミ…ミネバァァァーーッ!!」

ああ、なんだか終始「お前なんなの?」とあきれたようにリディと話すミネバ。
リディにまったく心を許す様子がありませんが、決定的になったのは
「私はザビ家の女です」と言うミネバと「家なんてどうだっていい」と言うリディの価値観の違いでしょうか

「もうこいつに何言っても無駄だわ」と悟ったのか、ついにリディを拒絶し身を投げてしまったミネバ!
2人がいたのは上空を飛ぶ輸送機の中なので、リディからしたら
「お前について行くぐらいなら死んだ方がマシ」と身投げされたに等しい行為です
そんなわけでショックのあまりこんな顔↓になってしまうリディ。ストーカー行為なんかするからこんな悲劇が…

ヒュウウウウウウ

(受け止めなさい…バナージ…!)

「(ピキィィィン)…はっ!?オードリー!!」

ギュオオオオオオ!!

「やれるな…!?ユニコーン!!」

「あぁ…!」

しかしミネバは死ぬつもりで身を投げたのではなく、「きっとバナージが助けてくれる」と信じたがゆえの行動でした
まっさかさまに落下しながらバナージの名を呼ぶミネバ、そしてバナージもその思いに応え、
目にも止まらぬ速さでミネバのもとへと駆けつけるのでした

そしてユニコーンの手に包まれた時のミネバの穏やかな笑みときたら
さっきのリディに対する険しい顔とはえらい違いやで!なんというかバナージって、ミネバからしたら
お姫様を必ず助けに来てくれる白馬の王子様なんじゃないかなぁ、ユニコーンなだけにさ

「バナージ…!」

「君の声、ハッキリ聞こえたよ…!嬉しかった、自分がなんでここにいるのか
 分かった気がした。君が呼んでくれたから…」

「私だって…」

ああまったく
ケツがかゆくなる!!
(えー

ついにミネバとの再会を果たしたバナージ、コクピットの中で2人きりになりますが
完全に2人の世界というかラルさんがケツをかきたくなる展開というか
こうなるとさっきのリディは本当に「消えな、およびじゃないぜ」ってまったくおよびじゃなかったんだな…

「この感覚が本物なら…マリーダさんにも俺の声が届いているはずなんだ、
 必ず連れ戻すよ…!待っていてくれ!」

「はい…!頼みます、バナージ・リンクス!」

ともかくミネバ救出作戦を無事に成功させたバナージですが、洗脳されているマリーダのことも救い出すために
ミネバを置いてバンシィのところへと向かっていきます、ミネバにとってもマリーダはお姉さん的存在というか、特別な人ですからね

「ガンダムは敵…!倒すべき敵!!」

「マリーダさん!正気に戻ってくれ!」

「チッ…!忌まわしいガンダムどもが!!」

って、マリーダに襲われながらなんとか説得しようとするバナージですが
それを横から見ていたのはフラれたばかりのストーカー男・リディ!
ミネバがバナージのところへ行ったのを見ていたのか、なんと事もあろうに
バナージの方にビームライフルの照準をピタリと合わせております 最低だこいつ!
マリーダもろとも殺すのかと思ったら、バナージだけをやる気かお前!フラれた腹いせにそこまでするのか!

ドドドドドドド!!

「へっ!?」

「お前もガンダムかああああああ!!」

ゴワッシャアアアアアン!!

「ぎゃああああああああ!!」

ってなんじゃこりゃーー!!ギャグかこれーー!!
なんとバナージ相手に揉み合っていたかと思ったら、突然ドタバタリディの方へ走ってきたマリーダ!
「ちょっ、俺はバナージを狙って…ぎゃあああああ!」とワケもわからず機体をメチャクチャに破壊されまくるリディ
哀れにもリディのデルタプラスは、完全にブッ壊されてスクラップになってしまうのでした。突然すぎて笑ったわー



「もうやめてくれマリーダさん!」

「ぐぅぅぅ…いちいち頭に響く声を出す…!」

「頭が痛いのは、本当のあなたが抵抗している証拠だよ!」

「うぐぐぐ…!」

「マリーダなら聞けえーっ!!俺だ、ジンネマンだ!」

「な…なんだ…!?ジンネ…マン…?マ…マス…ター…?」

「財団の奴らが再調整しやがったんだな…!?
 マリーダ!戻って来い!お前が戻ればみんな元通りだ!」

「あ…ああ…」

とその時、説得を続けるバナージに加勢するかのように、もう1人マリーダに声をかけ始めた男が!
誰かと思えばジンネマンです。ネオジオンの軍人ですが、バナージやミネバからも信頼されており
何よりもマリーダからは「マスター」と呼ばれ、まるで実の父親のように慕われていた男…
マリーダを説得するなら、これ以上の人選はないというぐらいの男ですね

《俺の娘だ…名前はマリー、生きていればお前と同じ年頃だな…》

「う…ああ…あ…!」

「降りて来いマリーダ!一緒に宇宙へ帰るんだ!
 俺を1人にするなァァァーーッ!!」

そんな説得のさなか、かつてジンネマンに見せられた娘のマリーの写真を思い出すマリーダ。
マリーダって名前はこの娘から取ったものだったんですね、そんなマリーとジンネマンの奥さんは
戦争の犠牲になりこの世を去った存在…そう、その2人を亡くしてしまったジンネマンにとって、
マリーダとは唯一、新たな家族と呼べるかけがえのない存在だったのです
「俺を1人にするな」という切実な叫びは、もうこれ以上家族を失いたくないという思いから来ているんでしょうね

「はあっ…!はあっ…!はあっ…!」

「く、くそっ…こ、このガンダムめがぁぁ…!」

「…私が…ガンダム…!?」

「ガンダム…ガンダム…ガンダムゥゥ…!」

「私が…敵…!?私が…ガンダム…!?」

俺が…
ガンダムだ!!
(えー

こ、ここにきてまたお前が出てくんのかよリディ!
さっきマリーダにボコボコにされたのをすっかり逆恨みして、ガンダムガンダムと呪いの言葉を吐き続けるリディ!
その結果、「俺がガンダムだ」と錯覚してしまったマリーダは、意識を保てなくなりその場に倒れてしまうのでした

まあ、暴走してたマリーダを大人しくさせたという意味では、これってある意味リディのお手柄と言えるかもしれませんね
ちなみにそんなリディはどうなったかというと、さっきボコられた時にどっかに頭ぶつけたせいか
意識が朦朧としてこんな顔↓になりながらブッ倒れるのでした。本当にギャグ担当だなこいつは!

「くっ…!エンジンにトラブル発生!出力が上がりません!」

「踏ん張れんのか!?」

「これでめいっぱいです…!」

「手はずどおり迎えが来ているが…さすがに虫がよすぎたのか…!?」

その後、リディは放置してマリーダを無事に連れ帰り、バナージ達と一緒に宇宙へ脱出を試みたジンネマンですが…
しかし地球の重力を振り切る前に、艦がパワーダウンして大気圏を突破できなくなってしまいます
どうにかして状況を打破しようと奮闘する一同、そして迎えの艦からケーブルが射出され、
バナージがそのケーブルを掴み、お互いの艦を接続しようとしますが…

「接続できたか!?」

「そ、それが…!」

「ぐぐっ…!ぐぐぐぐぐ…!」

「なっ…!ダメだ、機体が裂けちまう!」

「バナージィィィッ!!」

しかし十分な高度が稼げなかったことで、ケーブルの長さがわずかに足りず
ユニコーンガンダムがケーブルの足りない分を補うというとんでもない状況に!
何しろジンネマン達の艦はこれ以上の上昇はできない状況、ユニコーンの腕一本で
艦1隻をまるごと引き上げようとしているようなものです。そんな芸当ができるはずもなく、
ギシギシと嫌な音を立ててユニコーンの負担は限界に…

「う…うう…う…!」

スッ…

「え…?」

どうにか持ちこたえようと必死に操縦桿を握るバナージ、するとその時
バナージに力を貸すようにして現れた2つの手!バナージのバイザーに映りこんだ顔で確認できますが、
1人は第3話で散った連邦軍のダグザ中佐、そしてもう1人も第3話で散ったネオジオンのギルボアさんでした
両者ともにバナージと共に時間を過ごし、心を交わした男たち。そんな2人が今、軍の対立を乗り超えて
バナージに協力してくれているのです

 

パアアアアアアア

「なっ…なんだ!?この光は!」

その瞬間、ユニコーンガンダムのサイコフレームが反応し、緑に輝く人の心の光に包まれていくバナージ達。
アムロのνガンダムが、アクシズを押し返した時に見せたあの奇跡的な現象です。
そんな人の心が起こした奇跡によって、ジンネマン達の艦は無事に大気圏を突破したという…

ふむ…この描写は明らかに、連邦とジオンの橋渡しになる存在=バナージとして描かれてますよね
ダグザ中佐とギルボアさんが現れたこともそうですが、バナージが引っ張り上げているのはジンネマン達のネオジオンの艦
そしてケーブルを射出してくれた艦は、ブライトが手配してくれた連邦のネェル・アーガマです

そんな両者の間に立って人の心の光を放ったのがバナージであり
連邦とジオンが分かり合える可能性を示したように感じますね



今回の話はそんな感じで終わりです、全7話中5話まで見終わったわけですが
ここまで見てみて思うのは、バナージとは徹底して戦いを止めようとするキャラで、
バンバン戦ってガンガン敵を落とすようなことは全然ないんだなということでしょうか

「戦場で人が死ぬ」ということがたまらなく嫌で、いくら戦闘経験を重ねてもそこだけは受け入れられずに変わらないという。
いつだったかマリーダの言っていたバナージの根っこというやつがこれなんでしょうか

この手の根っこを持つキャラと言えば、やはりカミーユを思い出してしまいますね
カミーユもとにかく戦場で人が死ぬことに抵抗を示すキャラで、ずっとそれを受け入れられずに悩み苦しんでいました
他のガンダムパイロット達は割とそこまで悩まないんですけどね

たとえばアムロは、終盤になるにつれて敵のコクピットを狙ってパイロットだけを撃ち抜くという技術を身につけて
人間だけを殺す機械かよ!!ってくらい、躊躇なくパイロットを撃ちまくって
兵士としてどんどん戦場に順応していっている感じでした



それとジュドーは、もともとバイタリティに溢れた性格で、「カミーユ達が思い悩んでしまうようなことも乗り越えられる」という
コンセプトで生まれたキャラなので、戦場で多くの死を目の当たりにしてもガチで悩んでしまうことはなかったですね
「死を目にしてもそこまで悩まない」というのはウッソも同じかな。凄惨な死を見てきた数はウッソが最多な気もしますが
それを後に引きずったり悩んだりっていうのは、あまりなかった気がします

SEEDのキラは、最初の方だと「殺したくないのに!」ってかなり悩んでたんですけどね。ただキラは話が進むにつれて
自分も機体もちょー強くなったので殺さずに余裕勝ちできるようになりますたという
「戦場で人が死ぬ」という前提がなくなったので万事オッケーな感じになり、それからは妙に悟ったキャラになってしまいましたが…

他のガンダムパイロットも、人の死について深刻に考えるタイプはまずいなかったかと。
やはりこのタイプはバナージとカミーユぐらいなのかなという気がします

そんな似ている2人ではありますが、決定的に違う部分がありますよね
「人の死を受け入れられない」という特徴がありながら兵士として戦い続けたのがカミーユ
兵士になろうとせず、ひたすら戦いを止めているのがバナージという
これによって両者の精神状態はまったく違う方に進んでいるように思います

カミーユは話が進むにつれて、自分がその手にかけてきた人間のことを考えて苦悩を深めていくんですよね
たとえば第23話では、自分の枕元に簡易的な仏壇みたいなものを作って

カミーユ「自分が殺してしまったパイロットのことを考えるようになっています」

エマ「お祈りしてるの?」

カミーユ「無宗教ですけどね…いつ終わるんですか、この戦争は…」

と、殺してしまったパイロットのことを考えて、供養したり祈ってみたりだとか
そして第48話、今回のバナージ&マリーダのように、カミーユは強化人間のロザミアを説得するんですが
結局ロザミアに説得は届かず殺すしかなかったという、あまりにも重たい十字架を背負ってしまい

「ニュータイプも強化人間も、結局なにも出来ないんだ。出来ることと言ったら、人殺しだけみたいだな」

と、どうせ俺は人殺しだよ、それしか出来ないんだよなんて開き直ろうとしたりもしていました
でもそんな風に考えようとしてもどうしても割り切れない、人が死ぬのが耐えられないのが
変えようのないカミーユの根っこの部分なわけです


「人が死んだんだぞ…!人がいっぱい死んだんだぞ…!
 遊びでやってんじゃないんだよォォッ!!
 命は力なんだ…!命はこの宇宙を支えているものなんだ…!
 それが…それがこうも失われていくのは…
 それは…それは酷いことなんだよ!!」

第49話でのカミーユのセリフ、戦場で人が死んでいくことに対して「こんな酷いことは絶対あっちゃいけないんだ」という
気持ちが大爆発した瞬間です。バナージもこれと同じ気持ちを持っていますよね
「人が死ぬのは冗談じゃないって思うから、やれることをやってるんでしょう!」とか
カミーユもバナージも根っこは同じ、戦争に対する気持ちとしては同じなわけですが



「何が楽しくて戦いをやるんだよ!貴様のような奴はクズだ!
 生きていちゃいけない奴なんだ!!」

と、根っこは同じなのにその次に出てくる言葉がこれというのが、カミーユとバナージの最大の違いですよね
人の命を奪う奴は許せない、そんな奴は生かしておけないと、自らの手で相手を殺めてしまうカミーユ。
その結果、自分もまた多くの命を奪っているという、ジレンマを抱えてますます苦悩するわけです
バナージはそれとはまったく逆で、とことんまで人の命を奪わない、とにかく戦いを止めようとするというスタンスを貫いてますよね
この違いが、2人の方向性を大きく分けていくんだろうなぁという気がします



2人の状況の違いについてもう1つ。カミーユがどんどんと苦悩を深めていって、最終的に精神が崩壊してしまったのは
苦悩を分かってくれたり解消してくれる良き大人が周囲に誰もいなかったということもありますね
バナージはそういう大人にすごく恵まれてると思います。ジンネマン、ダグザ中佐、ギルボアさん、ブライトといった人たちが
バナージが腐ってしまいそうな時に声をかけて見守ってくれるという。
今回も、思い悩むバナージを立ち直らせてくれたのはブライトでしたね

カミーユはとにかくそういうのがなかったですね…たとえばさっき書いたカミーユが思いつめているシーン、
「いつ終わるんですか、この戦争は…」という言葉に対して、エマの反応は

「クワトロ大尉に聞いて」

の一言だけだったり、「出来ることと言ったら、人殺しだけみたいだな…」の言葉に対して、シャアの反応は

「あまり気にするな」

の一言だけだったり、とにかくこんなんばっかなんですよね
素っ気ない一言が返ってくるだけで、親身になって話をじっくり聞いてくれる人が誰もいない。
ブライトもこの時は「カミーユの父親役はできない」と距離を取っていたし
とにかくカミーユは1人で思いつめるしかなかったという状況だったように思います

まあ、シャアもエマもブライトも、自分のことで精一杯というか、他人の面倒を見る余裕がなかったというか…
誰が悪いわけでもなく、ひたすら不運だったというか。ただ、カミーユの周囲にも成熟したよき大人たちがいれば、
最後に精神崩壊することもなかったのかなぁ…なんて思ってしまいますね



あ、そういえばすっかり忘れてましたが、今回登場したMSのアンクシャについて語らないといけませんね
このアンクシャという機体は、Zガンダムの時代に登場したアッシマーの後継機であります
アッシマーといえば、Zの序盤におけるボス敵と言っていいほど戦闘力の高い機体でした



まずはこの可変機能で空をビュンビュン飛び回るので、とにかくビームライフルが当たらない。
直撃させるのがまず大変だったわけですが、仮に当たったとしても
恐ろしく頑丈なんですよねこのアッシマーは

具体的に言うと、カミーユのビームライフルを直撃されても落ちない、シャアのビームライフルを直撃されても落ちない、
さらに散弾バズーカを直撃されても落ちない、アムロの輸送機特攻を直撃されても落ちない
という
まぁとにかく何を食らっても落ちないという、驚異的な耐久力を持った機体でした



たとえば一番有名なのが、シャアの散弾バズーカを食らった場面。顔面のモノアイを破壊されながらも
「散弾ではなぁ!!」とまったく怯まずに攻撃を仕掛け、シャアの散弾バズーカを破壊して
さらに肉弾戦で圧倒するという…この時シャアとカミーユ2人と同時に戦ってますが、それでも互角以上にやりあえるという
相当な強さを持った機体でした

そんなわけでZにおける強敵として登場したアッシマー、
その後継機となるアンクシャもさぞ強かろうと期待に胸が膨らみますが、さっそくその出撃シーンを見てみると



「よっしゃ出撃だー!」と出て行った次の瞬間、ドーンと敵の対空砲火を食らって即死。
お…おいいいいい!!アンクシャあああああああ!!なんでいきなりやられとんねんお前!
まだロクに戦ってもいないうちから即死とか!
「椅子を尻で磨くだけの男で終わるものかよ!」と言いつつ死んだ伝説の人
同じくらいの瞬殺ぶりじゃねーか!(えー

ま、まあしかし、どうやら今回のアンクシャは4機か5機くらい登場するみたいですからね
まだまだ残りのアンクシャが活躍する可能性が…

・2機目のアンクシャ

「ちょっと通りますよー^^」
と敵艦の周りをウロウロしていたら
ケツから対空砲火に貫かれて撃墜
・3機目のアンクシャ

何を思ったか、無抵抗かつ丸腰のバナージに向かって攻撃。
あっさりと返り討ちにされ、「こんな危ないもの持ってちゃダメでしょ!めっ!」
ビームサーベルを取り上げられ、足蹴にされて落ちていき撃墜
・4機目のアンクシャ

ユニコーンとバンシィが揉み合ってるところへ
「イエーイ!」と調子こいて乱入。その結果
2機のバリアに吹き飛ばされて色んなところにぶつかり撃墜

ア…アンクシャあああああああああ!!
弱すぎるだろうがああああああああ!!出てきては死に出てきては死に、お前ほんとにアッシマーの後継機か!?
並の攻撃ではビクともしなかったアッシマーの重装甲が見る影もなく…
こんなちょっと触ったら死んでしまうスペランカー機体になってしまうなんて…(えー

アンクシャ「やりました!やったんですよ必死に!その結果がこれなんですよ!
       MSで殺し合いをして!今はこうしてスペランカー扱いされている!
       これ以上何をどうしろって言うんです!?
       何と戦えって言うんですか!?」


アンクシャ…頑張れとでも言って欲しいのか?死ぬまで痩せ我慢してみせろ。男の一生は、死ぬまで戦いだ…(えー

(C)創通・サンライズ






トップに戻る