結婚できない男セリフ集

第1話「一人が好きで悪いか!」

女性「桑野さんはどうして建築家になられたんですか?」
信介「高校の時にブレードランナーを見ましてね!映画のどアタマに、
   
 ピラミッドみたいな壮大な建物が出てくるでしょ。タイレル社のビル!」
女性「あ、見てないですその映画」
信介「…ああ、そう」
女性「そのうち見ます」
信介「はっ、そのうちなんて見た奴はほとんど居ませんよ」
女性「何か召し上がります?このスパゲッティ美味しいですよ」
信介「スパゲッティってのは直径約1.9ミリのものを言うんですよ。
   
 これはちょっと細いから厳密にはスパゲッティーニ。
   
 つまりあなたは、本当はスパゲッティーニ美味しいよと僕に言うべきなんです」
女性「(ドン引き)そうですか」
摩耶「すいません、気を使わせてしまいまして!クリエイターっていうのはもう…」
客「いやぁ、偏屈なぐらいでないといいものは出来ないでしょう、ねえ!」
信介「偏屈じゃいいものなんか出来ませんよ。発想の柔軟さ無しにこんなのが出来ると思いますか」
客「あ…そ…そうですよね、すいません」
摩耶「ま、まぁちょっととっつきにくい人ですけど腕は確かですから!」
客「は、はい。いやあ建築家さんに頼むとね、なんかすごい奇抜な家になっちゃうんじゃないかなって
  心配だったんですけども…でもこの家を見て安心しました!なんて言うかこう、適度にユニークっていう感じで」
信介「ユニークと奇抜の定義の違いを教えていただけますか」
夏美「(電話中)結婚ねぇ…まあしたいよ?え、そういう姿勢じゃダメ?」
信介「あの、結婚でお悩みのところ失礼」
夏美「別に悩んでません。なんですか?」
信介「帰ります。お世話になりました」
夏美「なっ、なに言ってんですか!ごめんまた電話する…ダメですよ!採血の結果を見てからって約束でしょ?
   
 それに大腸カメラも…」
信介「もう全然平気です」
夏美「それは点滴が効いてるからでしょ。もう若くないんですよ」
信介「最近歳を感じることでも何かあったんですか?」
夏美「私の話じゃないでしょ?」
信介「あのカンバン、趣味悪いって中川に言っといてください」
夏美
「私はあなたのポリープにまだ用があるんです」
信介
「僕のポリープは用がないって言ってます」

毎回必ず体調を崩す信介。今回は痔です(ノ∀`)
信介「うおっ!?ちくしょう、金田が更新してる!」
英治「どれどれ!インチキ建築家はなんて言ってますか?」
信介「田園調布のK様の別荘の設計を承りました…(リンク先工事中)承ってばかりで全然完成しやしない、
   
 全部デタラメだ!」

毎回恒例、金田のテキトーなホームページ更新。このホームページは実際に見られます
店員「スプーンいりますか?」
信介「いりません」
店員「ポイントカードはお持ちですか?」
信介「ありません」


毎回恒例となる、コンビニでのやり取り。
信介「私はね、結婚できないんじゃなくてしないんですよ!」





第2話「好きなものを食って悪いか!」

・今回のコンビニ

店員「924円です」
信介「(千円を出しつつ、小銭をあれこれ探す)」
店員「千円からでよろしかったでしょうか」
信介「よろしかったです」
・今回のビデオ屋

店員「巻数これでよろしかったでしょうか」
信介「よろしかったです。あっいや…3巻じゃない」
信介「どうだった?昨日のデートは」
英治「…まあ…バッチリでしたよ」
信介「まさかいきなりチェーンのレストランなんて行ってないだろうな」
英治「え…(行った)」
信介「しかもクーポンなんて使った日には、これはもうオシマイだな」
英治「…(使った)」
・今回の金田

信介「おぉ…金田更新してる!」
英治「”ちょっとパリに行ってきました”…?」
信介「ちょっと行くなよ…こいつ絶対親が金持ちなんだ」
摩耶「でも不思議よねぇ、ラーメン屋は一人で行けるのになんで焼き肉屋って一人で行きにくいのかな」
英治「あー…まあ2人以上でワイワイ食うって感覚があるからじゃないっすか」
信介「いや行けるだろ…」
摩耶「それに高級レストランも一人じゃ行きにくいよねぇ」
英治「あ〜分かります!」
信介「変な奴ら…」
金田「だから僕の経験じゃ、年上の女性には「さすがです」と「勉強になります」だけ言っときゃ
   
 大体うまくいくんだよ」
・今回の一人な信介(一人焼肉)

みちる「あれ…もしかして一人!?」
夏美「あ、網変えてもらってる…」
・今回の体調を崩す信介(腕を怪我)

夏美「どうしたんですか?」
信介「まあ…労災ってやつですか」
みちる「私にしてみれば、男の人に出会ってすぐチェーンのレストランに連れて行かれたら、
    
 自分が安く見られてるような気がするの」
英治「…さすがです!」
みちる「ていうか、そういうこと言ってみたいお年頃?」
英治「勉強になります!」
みちる
「マジメに聞いてんの!?」

盗み聞きした金田の人生訓(上記参照)を実践してみる英治。結果的にはまったく役に立たず(ノ∀`)
信介母「ちょっとちょっと!8チャンネル見なさいよ!」
信介「なんで」
信介母「アシカの夫婦がね、そろって芸やってんのよ!」
信介「はっ…なるほどね」
信介母「いいからいいから見なさい!」
信介「はいはいはいはい、今つけた(何にもつけてない)」
信介母「あ〜可愛いわ〜!」
信介「アッハッハッハ、ホントだね(何にも見てない)」
信介「(ビデオを手渡す)…これ!面白いです」
夏美「面白いんですか……借りよっかな」


夏美
「………つまんない」
信介
「感動してるぞ今ごろ〜!ざまあみろだ、ハハッ!」





第3話「好きにお金を使って悪いか!」

・今回のコンビニ

店員「スプ…」
信介「スプーンも箸もいりませんし、ポイントカードもありません」
店員「は、はい」
・今回のビデオ屋

店員「ご返却ありがとうございました、よかったらこの映画のパート2が入荷してますんで」
夏美「いいです、人に言われて見ただけなんで」
信介「これ(パート2をレジに出す)」
店員「あ、こちらレンタルじゃなくてセルになりますが」
信介「買うんです」
夏美「…あてつけで買わなくても」
信介
「5回は見るな…」
信介「俺は人に金を貸したことも借りたこともないんだ」
信介「人が金持ちかどうかはな、収入の額じゃない。自分で自由に使える額…
   
 つまり可処分所得がいくらあるかで決まるんだ。独身なら稼いだ金は全部自分のモンだ。
   
 しかしな、結婚すれば稼いだ金は妻と子供に食い潰されるだけだ」
・今回の一人な信介(一人人生ゲーム)

信介「必ず結婚しないといけないのが、このゲームの欠点だ…」
夏美「問題なのは下着ね、30過ぎると地球の重力との戦いが始まるから」
・今回の金田(趣味の悪い帽子)

信介「あ…金田更新してる」
金田「金で愛を買うなんて、よくないことだって普通言うじゃない。
   
 でもさ、愛を買う…一番素敵な金の使い方だと思うんだよな」
・今回の体調を崩す信介(二日酔い)

夏美「どうしました?」
信介「なんか…胃がムカムカして。いつもとちょっと違う感じ…」
夏美「大丈夫です、ただの二日酔いでしょう」
信介「その可能性もあります」
夏美「お薬出しておきますから」
信介「違ったらどうすんだよ」
みちる「あなたにお金借りる理由なんてありませんから!」
信介「こっちも貸す理由ないから!」
みちる「な…なに言ってんですか!?」
信介「困ってんの…見たくないから!スナックで…バイトしてんだろ?お客にベタベタ触られて…
   
 やめた方がいいな、ああいうのは」
みちる「…しょうがなしに我慢してやってるんじゃないですか」
信介「客も我慢してんだろ。もっと若くてさ、女子大生みたいなのがいいのにさ」
みちる「…え?」
信介「その金受け取ればさ、お客も君も我慢しなくて済むんだろ。それがさ、世のため人のためって言うか…
   
 こっちも良いことして気持ちいいしね。実に有効な金の使い道だ。
   
 遠慮は無用だから、どうせ何に使ったっていい金だし」
みちる「…よくそんな酷いことを…
人をバカにして楽しいんですか!?」

純粋に人助けがしたいのに、口ベタすぎて逆に怒らせてしまう信介。せつないワンシーンです





第4話「休日を一人で過ごして悪いか!」

信介「休みの日なんか出かけたってさ、人ゴミ見に行くようなもんだろ。人の密度で暑いのがますます暑くなるし、
   
 クーラーの効いた事務所で仕事してた方がよっぽどマシだぞ」
英治「仕事ならしょうがないっすよ、出勤します」
信介「いいよ、一人の方が足手まといがいなくていいしな。のんびり一人で仕事するかな〜。
   
 好きにCD持ってきちゃって大音響でかけながらよぉ、文句言う奴いないしな」
英治「…」
摩耶「あのー今のを翻訳すると、休みを取らせてあげようというこの人なりの思いやりよ」
信介
「だったら普通に言ってくださいよ!」
信介「今度の土日は快晴らしいぞ、気温はうなぎ登りだ。しかも夏休み最初の土日だから、
   
 遊園地は家族連れで大混雑だな。くっくっくっく!」
・今回のコンビニ

店員「おめでとうございます、4等です。お好きなものどうぞ」
・今回の体調を崩す信介(胃もたれ)

信介「なんか、この辺がまたモヤモヤと…」
夏美「モヤモヤですか…なんでしょうねえ」
信介「仕事しなきゃいけないんで、すぐ治してください」
夏美「仕事できないほどひどいんですか?」
信介「無理ですねこれは…あ、(花火大会)行くんですか?」
夏美「まあ、仕事が早く終わればと思ってますけど」
信介「知ってますか、花火の赤い色はストロンチウム。黄色はナトリウムの炎色反応なんですよ、それで」
夏美「お腹がモヤモヤして仕事できないのに、花火の話はできるんですか?」
信介「…」
夏美「まあ、普通の胃もたれでしょう。お薬出しておきますから」
信介「重病だったらどうしますか」
摩耶「まだこんな時間なんだから、あなたもどっか行ってきなさいよ」
信介「嫌だよめんどくさい」
摩耶「いい仕事をするためには、外に出て行くことも必要よ?ロクに休みも取らないでずっと仕事ばっかりして。
   
 たまの休みにゴロゴロしてるだけじゃダメ。普段しないことをやってみて潜在意識を活性化させないと!」

聞いてるこっちも耳が痛い…
・今回の一人な信介(一人観光バス)

ガイド「あの雷門、正しくは風雷神門と申しまして左にいるのが雷神様、右にいるのが風神様です。
    また中央のちょうちんの底には龍の彫刻が施されています。
    龍と言えば雷や風と共に現れる、といった連想でしょうか」
信介「ちょっと違うな。昔の日本は木造建築しかなくて、火事が一番恐かったんです。
   
 だから雨を降らす龍神を崇めたんです」
客「よくご存知ですねえ〜!」
ガイド「ふ、不勉強で申し訳ありません」
信介「プロだな…」

浅草にて、職人の包丁さばきに見とれながら
ガイド「ここが帝釈天でございます。寛永6年、日忠上人によって創建されたと伝わっています。
   
 ご本尊は日蓮上人が自ら刻んだと言われる帝釈天の板仏です。
   
 この本尊、長年行方不明とされていましたが…」
信介「帝釈天っていうのは、古代インドの神話では最強の神なんですね。
   
 二頭立ての馬車とか象に乗って戦う戦争好きな神だったんですねぇ、実は。」
ガイド「その日が庚申だったため…」
信介「特に阿修羅との戦いは有名で、負け続けた阿修羅はついに天上界から追放されてしまうんです」
ガイド「そ、そしてあちらに見えます鐘楼は…」
信介「その一方で、雨を降らせ大地を潤すという豊穣の神としての顔も持っていたんですが」
夏美
「(信介を黙らそうとして)あ〜〜、あの鐘楼!?」
信介「のちに、他の神様にその最高神の地位を譲ってしまったんです。
   
 まあ、酒と戦いが好きな人間味のある神様だったんですね」
ガイド「うっ…うっ、うっ、うう…」
信介「あれ?」
夏美「ちょっと…泣かしてどうすんですか…!」
信介
「いや…俺!?」
客「まあまあ、夫婦喧嘩なんかしないで」
夏美「夫婦じゃありません!」
信介「この人ね、一人でバス乗ったんですよ。楽しそうに食べ物とか飲み物とかがっさり買って」
夏美「自分だって一人だったでしょ!」
信介「一人の意味が違う」
夏美「どう違うんですか!」
信介「僕はね、自己啓発の一環で乗ったんですよ。あなたは単に一人寂しく乗ったんでしょう」
夏美「…」
信介「…う?」
夏美「…」
ガイド「大丈夫ですか…?」
夏美
「…もうあなたといるとロクなことないんだからっ!!最低の休日!!
   仕事してりゃよかった!!」
・今回の金田

信介「お…金田更新してる!”この日はラーメンを食べにちょっと札幌まで行ってきました”
   
 ちょっと行くのが好きな奴だね」
・今回の一人な信介その2(一人花火)

信介「うおっほー!はっはははは!たまや!いや〜今年はレベル高いなコレ」





第5話「家に人を入れないで悪いか!」

・今回の体調を崩す信介(過労)

信介「ちょっと頭痛がしましてね…ここんとこ仕事がたてこんで、疲れてるせいか」
夏美「…いつもの軽い頭痛なら、しばらく様子を見るとか少し休むとかして、それでも治らない場合に
   
 病院に来ていただけません?あなたみたいな人がいるせいで、医者が忙しすぎるんです」
信介「洗濯物そんなに溜まってんですか」
夏美「そういう話じゃなくて」
信介「家事ができないことを患者のせいにしていいのかなー」
夏美「できないって言ってるんじゃないんです。忙しくてついおろそかになるって言ってるんです」
信介「僕はね、仕事がどんなに忙しくても家の中が散らかってると、もうどうしても我慢できないタチなんですよ。
   
 決められた物は決められた場所にあって、清潔かつ機能的。そういう状態をいつも保つようにしています」
夏美「さぞかし奇麗なお部屋なんでしょうねー」
信介「ええ、残念ながらお見せできません。他人を家に入れない主義なものですから」
夏美「見たいなんて誰も言ってません」
信介「ま、とにかく。家事ができないなんて言ってる人は、結局は嫌いなんですねー家事が」
夏美
「そうですよ!?嫌いですよ家事なんて!それであなたに迷惑かけましたか」
信介「家事が嫌いか…くっ…結婚する上でハンデだろうな」
夏美「よ・け・い・な・お世話です…ああ…なんか頭痛くなってきた」
信介「しょうが…しょうが無しじゃそうめんは食えんだろ…!」

「時間がないからそうめん」のはずが、生のしょうがを買ってきてすりおろすところから始める信介。じ、時間が…
信介「家でやろ。お前も家でやっていいぞ」
英治「俺は家に仕事持ち込まない主義なんで。家はやっぱり彼女と過ごす場所でしょ」
信介「俺はな、他人を家に持ち込まない主義なんだ」
・今回のコンビニ

信介「タウリン3600…!効くかな」

ちなみに商品名はアントニオZ
信介「…(黙って夏美について行く)」
夏美「…!?なんだ、桑野さん!なんで声かけないんですか、恐いじゃないですか!」
信介「話しかけて話題がなかったら…はっ、イヤでしょ?」
夏美「…」
信介「…」
夏美「…」
信介「ほら」
夏美「あきれて物が言えないだけです」
信介「BGMが欲しいな…」

仕事の修羅場中にBGMをかける信介。
その後も「違うな」「ショルティよりバレンボイムなんだよな」とCDをあさって時間だけが過ぎていく(ノ∀`)
夏美「みちるちゃんと食事してたんですけど、結構余っちゃったんですよね。よかったら要りません?」
信介「はっ…残飯処理ですか」
夏美「解釈はお任せします」
信介「まぁ…(ぐぅぅぅ〜)どうしてもとおっしゃるなら貰いに行きます」
夏美「一人じゃ持てないんで、私たち持って行きますよ」
信介「いや、こちらから行きます」
夏美「…どうしてそんなに人を家に入れたくないんですか?」
信介「よく聞きましたね。家の中くらい人間関係から解放されたいからですよ」
夏美「そんなに人間関係あるんですか…」
信介「人にはね、それぞれ
聖域というものが必要なんです」
夏美「…じゃいいですよ。聖域から出てこっちまで来てください」
信介「あぁ思い出した、帰りに寿司買ったんだ。食べなきゃ」(当然そんなものはない)
夏美「じゃあいいんですね!お休みなさい!」
・今回の金田

信介「おい、金田更新してるぞ」
英治「ああ…そうですか」
信介「
(リンク先が全部工事中)ほらこいつ、やっぱり全然仕事してないな。親の金食い潰して遊んでるだけだ」
信介「そんなに俺が気に食わないんだったらな…居ることないだろ、出てけ!」
英治「分かりましたよ、出て行きますよ!」
中川「あれ…今のってクビってことじゃないよな…?」
信介「フン、こんなことでクビにするか!」
信介妹「大丈夫?彼、クビにされたと思ってない?」
信介
「えっ」
英治「あの男は大体自分勝手なんだよ!だからなんでも自分の都合が通ると思っててさ、
   
 それに人を自分より下に見るだろ!?だから世の中みんなバカばっかりだと思ってんだよ。
   
 あと言うべきこと全然言わないくせに、なんか余計なことばっか言うんだよなあいつは…っとに。
   
 そのくせ仕事だけはちゃんとしてんだよ。作る家はどこに出しても恥ずかしくないし、
   
 お客さんに喜ばれてるし、うん。たまーには思いやりあったりもするし、時々可愛かったりすんだよな」

物凄いスピードでツンからデレに変わる男、英治
看護士「こんな時間に何やってるんですか!?」
信介「眠れなくて」
看護士「だからってウロウロしないでください…」
信介
「娯楽室とかないの?」
摩耶「まさかやるつもりなの!?入院して遅れが出てるし、体調だって良くないんでしょ…?」
信介「俺はな、そうめん茹で始めてからしょうがが無いことに気付いたら、どうしても買いに行かなきゃいけない
   
 どうしようもないタチなんだ。しかもな、チューブ入りのしょうがじゃダメなんだ」
摩耶「…何の話?」
信介「まあそういうことだ」
摩耶「わからん…」
信介「”仕事が終わったら食べてください。きんぴらはみちるちゃんが、ロールキャベツは私が作りました”
   
 はっ、なに自己主張してんだ。(もぐもぐ)…塩味がきつすぎる、しかも煮込みすぎだろ。
   
 これじゃあの女、結婚できないな」





第6話「融通きかなくて悪いか!」

みちる「(電話中)でも年収一千万くらいは欲しいと思うじゃない?」
千鶴「一千万って相当多くない?普通どれくらいよ」
みちる「会社によって違うと思うけど…平均年収ってどれくらいなんだろ」
信介「440万だ」
みちる「わっ!びっくりした…」
信介「平均年収が600万を超えるのは40を過ぎてからだ。一千万の男と結婚したいなら、
   
 奥さんに先立たれた50男でも探すんだな」
・今回の金田

みちる「あ、この間の人!”昨日横浜で食べたシューマイです”…う〜ん微妙…」
信介「金田君はなかなかいい男だぞ、金はあるしルックスもいい。しかも女性に優しい。フェロモンむんむん。
   
 実にいいよ、うん」
・今回の体調を崩す信介(ストレスから来る胃の痛み)

信介「なんか…胃がキリキリと痛んで」
夏美「胃が。どうしたんでしょうねえ」
信介「多分…ストレスじゃないかと」
夏美「だったら治療と言うよりも、ストレスの元を取り除いた方が早いですよ」
信介「人生には逃げようのないストレスもあるでしょ」
夏美「お好み焼きは好きだから…やっぱり自分で焼くのが楽しいんですよね」
信介「お好きなのは関西風、関東風、広島風、どれですか」
夏美「えっ?………さあ、どれでも」
信介「あぁ」
夏美「私が焼きましょうか?」
信介「あ、どうぞ。……お聞きしますが、それはどういう趣旨でかき混ぜてますか?」
夏美「…趣旨?かき混ぜるのに趣旨があるんですか」
信介「お好み焼きの具をかき混ぜるのは、適度に空気を含ませるのが目的なんです。
   
 それを意識して混ぜてください」
夏美「…はい」
信介「混ぜすぎるとキャベツから水分が出てしまいますから、その辺十分注意して」
夏美「…はい。詳しいんですね、お好み焼きのこと」
信介「常識です。関西風は鉄板の上に厚さ3センチぐらいに伸ばすのが標準なんです。
   
 まず山盛りにして、そこから伸ばしていく方がいいでしょう」
夏美「…自信がなくなってきました」
信介「そろそろだな…」
夏美「マヨネーズは…?」
信介
「邪道です」
夏美「すいません」
・今回のコンビニ

店員「スプーンはいり…」
信介「いりません」
店員「ポイントカードはあり…」
信介「ありません」
店員「は…はい」
夏美「結城さんって人の仕事の件で…予定通りやるわけにはいかないんですか?」
信介「あなたには関係ないでしょう」
夏美「ありませんよ、でも…あなたがこの仕事を断ると、困る人がたくさん居るんでしょう。
   
 ここは私に免じてっていうか…」
信介「意味不明だな」
夏美「この間はここで助けてあげたじゃないですか」
信介「まあ確かに…あなたには借りがあるかもしれません。でもそれとこれとは違う。
   
 これはね、僕の仕事なんです」
夏美「どうしてそうかたくななんですか…」
信介「ポリシーの合わない人の家を造っても、いい仕事ができると思えないからです」
夏美「医者は、相手のポリシーとは関係なく治療しますけど」
信介「仕事の種類が違う」
夏美「そうでしょうか…私はいつも患者さんと正面から向き合ってます。あなただってそう…」
信介
「あいにくね、僕が向き合ってるのは家なんです!
   僕はね…ただ良い家が造りたいんです!この点だけは…!妥協できませんッ!」



第7話「親戚づきあいが嫌いで悪いか!」

信介「…どうやるんだっけな?」

ネクタイの結び方を忘れてしまった信介。すかさずYAHOOで「ネクタイの結び方」で検索。私も何度これをやったことか…(ノ∀`)
信介「結婚なんかしてみろ、親や親戚との付き合いが単純計算で倍に増えるんだ。
   
 自分の親だけでも面倒なのに」
・今回の体調を崩す信介(夏バテ)

信介「なんか…今日は…乗らない。夏バテかね」
・今回の金田

英治「あ、金田更新してる。”いきつけのバーで新しいカクテルにちょっとトライ”…」
信介「相変わらずのん気な奴だ。悩みがないのか」
・今回のコンビニ

夏美父「あっ。確か病院で!」
信介「え?…いや」
夏美父「いや、あなただ!酒なんか飲んじゃ駄目でしょ!」
信介「なんでそんな…」
夏美父「病気でしょあなた」
信介「…あぁ」
夏美父「失礼ですがご病気はなんですか?」
信介「あなたには関係ないでしょう」
夏美父
「ありません!しかし病人が酒を飲むのを見過ごすわけにはいかん!」
信介「あの…今日、会えますか?」
夏美「えっ…私とですか!?」
信介「ええ、まあ…」
夏美「なんのために…?」
信介
「会うのに理由が必要ですか?」
夏美父「なんで父親の話が聞けないんだ!」
夏美「じゃあ聞くから。さっさと話してよ」
夏美父
「それが父親の話を聞く態度か!」
夏美「今度のお見合いの人どういう人?どうせお父さんの好きな公務員でしょ、ワンパターンなんだから」
夏美父
「もういい帰れ!」
夏美父「夏美のやつまったく聞く耳持ちません!」
信介「そうですか」
夏美父「せめてあなたが聞いてくれませんか!私が夏美に何を話そうとしたのか!」
信介「どうして僕に…」
夏美父「いいじゃないですか聞くくらい!」
信介「しょうがない…」
夏美父「ただし夏美には私から直接言いたいんです。あなたから情報が漏れないようにしてください」
信介「ご心配なく。僕とあの人の間に
コミュニケーションはありませんから」
・今回の一人な信介(一人ビアガーデン)

みちる「あ…!一人ビアガーデン!?」
・今回の一人な信介その2(一人金魚すくい)

子供「おじちゃんもう一回!」
信介「それじゃダメなんだな。まず上下を確認する…紙が貼ってある方を上にするんだ、
   
 逆だと水が溜まって破れやすいからな。そして…まず慣れさせて…ターゲットを決め網を斜めに入れる!
   
 そして金魚の下に網を潜り込ませる!ここで大切なのはヘタに動かさないことだ…問題はここからだ!
   
 金魚と一緒にすくう水の調節、金魚の重みで網が破れないよう金魚を端に乗せる…(バリッ)あっ」

信介
「モ…モナカない?」
夏美父「これを夏美に持って来たんですがね、ご当地のうなぎサブレ。よかったらあなたも」
信介「いえ、いただく理由がありませんから」
夏美父「わざわざ持って来たんです」
信介「…」
夏美父
「わざわざ持って来たんです」
信介「………じゃ」
夏美父「あの事、夏美に話しましたか」
信介「話してませんよ」
夏美父
「えっ!なんで!?」
信介「話すなって言ったでしょ」
夏美父
「話すなって言ったって話すでしょ普通!」
信介「なに言ってんだろうなこの人は…分かりました、じゃあ話しますよ」
夏美父「話さなくていい!」
信介「わけ分かんないな…」
・今回の体調を崩す信介その2(食あたり)

夏美「軽い食あたりですね。何食べたんですか?」
信介「あ…お隣から貰った肉まん食べました。あれ冷蔵庫入れてなかったな」
夏美「ダメですよ、この季節は冷蔵庫入れないと。まあお薬出しておきますから」
信介「どうも…あ。あなたのお父さんも食べましたよ、多分向こうも今ごろ…」
夏美「…え!?ちょっと待ってください………携帯出ない」
信介「あと3つ残ってたな…全部一人で食べちゃったんじゃないかな」
夏美「ええ!?あの人どこですか!?」
信介「えーとホテルの名前…確か聞いた気がしますね…エドワードホテルだ!」
夏美「エドワードホテルですね!?」
信介「エ…エイドリアンホテルだったかな…エイ…いや違うこりゃロッキーだ、ロッキーの恋人だ」
夏美「…」
信介「ビクトリア…?確か王朝系の名前だったな、えー…ルノアール…?こりゃ喫茶店か」
(本当はホテルノルマン)
夏美父「変なもん食わせやがって!」
信介「全部食えとは言ってませんよ」
信介「結婚なんかしてみろ、気は使うし水は汚されるし酸素も半分だ。やっぱり一人のがいいよな、な?」

信介、金魚相手に同意を求めるの図





第8話「犬がキライで悪いか!」

信介「あれ?しょうがねえな…もう1セット買うか」

タイタニックの模型を作った信介。パーツを一個だけなくしてしまった時に一言
摩耶「これなんかどう?すっごくオープンな感じでしょ、
   
 外から帰ってきて家族がいるのが少し遠くから見える。ホッとする」
信介「これだとさ、留守の時人がいませんって泥棒に教えてやってるようなもんだろ」
英治「こういうテイストが今度のお客さんの希望なんですよ」
信介「分からんな。俺はさ、自分が留守の時他人が家にいることが想像できないから。
   
 だってさ、部屋の中勝手にいじられたら嫌だろ?」
摩耶「はあ…夜帰って、暗い部屋に電気をつける時寂しくない?」
信介「別に。だってさ、家で待ってるのは人だけとは限らないんだぞ」
英治「…なんですか?」
信介「これ作ったんだよ。タイタニックの400分の1のスケールだ。普通はさ、その船体の部分が黒なんだよ。
   
 これはさ、黒95%、茶色3%、青2%を混ぜて作ったオリジナルブレンドカラーにしてやったんだよ。
   
 海外から取り寄せたんだぞ」
信介「ども」
夏美「あっ。実はね、みちるちゃんが入院したんですよ」
信介「知ってます。英治が犬を預かって」
夏美「ああ、大家さんさえOKなら私が預かりたかったんですけど」
信介「そんなに一人が寂しいんですか?」
夏美「そうじゃなくて。犬も人間も受け入れない人とは議論してもしょうがないです」(手近なDVDをひっつかむ)
信介「それ借りるんですか?」
夏美「…借りません。可愛い犬の映画でも探そーっと」(死霊VSゾンビを棚に戻す)
信介「犬に襲われる映画だったらここにありますよ」(狂犬アッシーを手に取る)
ガシャーン!(風にゆれたカーテンにタイタニックが落とされる)
信介「あぁぁ!お前な…!これ触るなって言っただろ!」
ケン「ワン!」
信介「開き直るつもりか?あーあ…まったく!預かってやった恩を忘れやがって!」
ケン「ワン!ワン!」
信介「ふてぶてしい奴だな本当に!」
・今回の金田

英治「あっ、金田更新してますよ。ちょっとパーティに行ってきました…」
信介「ふん、こいつも家に誰もいなくても平気そうなタイプだな」
英治「いや、家にいなくてもお持ち帰りするからいいんでしょ」





第9話「彼女ができて悪いか!」

・今回の体調を崩す信介(脱水症状)

夏美「脱水症状です」
信介「えっ」
夏美「水分も取らず、休憩もしないで運動を続けたらそうなるのは当前でしょ…
   
 健康のために運動してるのに、元も子もないじゃないですか」
信介「別に健康のためにやってませんよ」
夏美「え?じゃあ何のために」
信介「肉体美を追求してるんです」
夏美「追求してどうするんですか」
信介「あなたには関係ないでしょう」
夏美「ありません、ただ誰に見せるのかなーと思って」
信介「自己実現っていうのはね、自分の中だけで完結することもあるんですよ」
夏美「完結しそこなって病院にかつぎ込まれないようにしてくださいね」
信介「違う…ちょっと違う…コレいつ買ったんだ?」

デートに着ていく服が決まらず数十着テーブルに並べながら一言。この後ムースを大量に頭に塗りたくる
夏美「今度は笑ってる…!?」
みちる「痴話ゲンカってやつですか…?」


手を叩きながら女の子と楽しそうに会話する信介。しかし実際は「蚊か…」と蚊を狙ってただけ
夏美「(DVDを選びながら)運命の出会い。一目で恋に落ちる2人、か…」
信介「生か死か。飛び交う銃弾3000発、か…」
夏美「あ、そうだ。昨日見ましたよ可愛い彼女。桑野さんがああいう人とね〜…意外です」
信介「…どういう意味で意外ですか」
夏美「いいです」
信介「言い出してやめないでくださいよ」
夏美「ん〜、ちょっと年が離れすぎてません?」
信介「男はね、女性がどんなに年下でもオッケーなんですよ」
夏美「そういえば娘みたいな年の人と再婚する男の人ってよくいますよね。
   
 その逆はあんまりないのに、なんかずるい」
信介「若い子はね、素直で可愛くていいんですよ!人の言うことにいちいちチャチャ入れたりしないしね」
夏美「すみません素直じゃなくて〜!」
信介「あなたも70くらいのジイさんからすると、素直で可愛いのかもしれませんけどね」
夏美「参考にします。じゃあ年下の彼女とお幸せに(ドカッ)あっと失礼」
・合コンにて

オタク(細)「足軽ってそんな姿で戦に狩り出されるんだからさ〜!」
オタク(太)「厳しいよね〜!」
オタク(細)「あのさイモの茎を煮詰めて煮詰めて!味噌と一緒に煮詰めて!これをカンカンに干すの!
       それをちぎってお湯を入れると、味噌汁になるっていうんだから!」
オタク(太)「すごいよね〜!」
オタク(細)「すごいよね〜よく考えてるよね〜!やっぱりさ、味噌ってのは塩分が含まれてるからさ、
       塩が取れないと戦力が低下するんだよ!」
オタク(太)「大事だよ塩分〜!」
オタク(細)「ね、塩分大事!あっメモっとかないと」
女性陣「…(完全硬直)」
みちる「…あっ、私お代わり頼もうかな」
オタク(細)「あっ、僕もう飲まないから!いります?(飲みかけを渡す)」
みちる「ええ!?いいですいいです!」
オタク(細)「いやいや遠慮なく!ほらこんなに残ってる」
千鶴「…何か?」
オタク(太)「濃い顔ですね」
千鶴「…はい…!」
・今回の金田

信介「うほっ、おい金田更新してるぞ」
摩耶「金田はいいから打ち合わせしようよ、私これから別の打ち合わせも入ってるんだから」
信介「まあちょっと待てよ………
青いな

ちょうど「デートの時これだけはやってはいけない」というサイトを見ていた信介。
「カラオケでマイクのお尻を上に向けるのはダメな歌い方」という点がモロに当てはまる金田を見てニヤニヤ。
キャバ嬢「(水族館にて)わ〜、アロワナだぁ!すごい!」
信介「うちもね、淡水魚飼ってるんですよ」
キャバ嬢「本当ですか!?わぁ見たい〜!私お魚大好きなんです!」
信介「僕は魚よりやっぱり肉だな」


淡水魚=この間金魚すくいで取った金魚
・今回の体調を崩す信介その2(風邪)

夏美「あ〜〜」
信介「あ〜〜」
夏美「風邪ですね、クーラーかけたまま寝たりしたんでしょ?」
信介「ええ、酒飲んだらそのままソファーで寝ちゃって」
夏美「彼女の夢でも見てたんですか?」
信介「彼女?なんですかそれ」
夏美「年下の彼女」
信介「ああ、ただの知り合いですよあの子は」
夏美
「えっ!?だって彼女だって言ってたじゃないですか!」
信介「言ってません」
夏美「言ってましたよ」
信介「あなたが勝手にそう言ったんでしょ。僕は、一言も言ってません」
夏美
「…も〜〜この人は〜!!」
信介「…な、なに怒ってるんですか」
夏美「だって私、日曜日にお見合いすることにしちゃったじゃないですか!」
信介「…?それとこれとなんの関係があるんですか」
夏美「ありません」
信介「でしょ」
信介「嘘?」
夏美「…すみません」
信介「なんでそんな…」
夏美「お見合い、ダメだったんです」
信介「わっかんないなぁ、どうしてそんな嘘つく必要があるんですか」
夏美「あなただってあの子のこと彼女だって!」
信介「言ってません」
夏美「…」
信介「45歳初婚の男に断られたのが、そんな恥ずかしかったんですか」
夏美「そんなんじゃありません」
信介「恥ずかしがることないですよ。自分だってもういい年なんだし、断られたってしょうがないでしょう。
   
 まあ初めてのお見合いの相手に断られたのは、そりゃダメージかもしれませんが
   
 これからも何とかなる事かもしれないじゃないですか」
夏美「あなたって人は…っ!
バカバカしいっ!!来るんじゃなかった!!
    結婚とか恋愛とかもうどうでもいいっ!!」
信介「…ヒステリーか…?」





第10話「女心が分からなくて悪いか!」

みちる「桑野さんってお見合いしたことないのかなー」
夏美「ないでしょ〜」
みちる「でもあの人の写真とプロフィールだけ見たら、騙されてお見合いしたいって人いそうですよね。
    会ってからどっひゃーって感じで………はっ!?」
信介「ここ空いてるよね」
みちる「あぁ…今日は女だけで飲む回なんですけど」
摩耶「なんでここが分かったの?」
信介「お前の部下に聞いた」
摩耶「…沙織ちゃん。いい加減名前覚えてあげて」
信介「引き抜きの話も」
摩耶「え…!?はあ、言うなって言ったのに…!」
夏美「引き抜きって…よその会社に?」
みちる「どこの会社ですか?」
摩耶「ワールドハウジング」
信介「ま、まさか本当に…」
みちる
「ワールドハウジング!?凄いじゃないですか!すいません中ジョッキ三つ!」
摩耶「ま、まだ考え中なの!決めたわけじゃないから…」
夏美「で、桑野さんは何しに?」
信介「だから俺はだな…」
サンバ
「イッツアショーターイム!」
信介「またか…」
ジャンジャカジャカジャカ
信介「あのな…」
ジャンジャカジャカジャカ
信介「俺はだな…」
ジャンジャカジャカジャカ
信介
「…あ〜〜!」
・今回の体調を崩す信介(立ちくらみ)

夏美「どうされました?」
信介「ちょっと…立ちくらみがしまして…」
夏美「成人病で立ちくらみが出ることもありますし、血圧測りますね。真理ちゃん血圧」
真理「あ、ハイ」
信介「…」
夏美「沢崎さんに転職して欲しくないんですか?」
信介「えっ」
夏美「結局この間何も言わずに帰っちゃって…」
信介「…」
夏美
「あ〜コレかぁ〜!」
信介「…はい?」
夏美「あなたが何か言いたいのを我慢してる時は、唇の端が歪むから分かるそうです」
信介「…」
夏美「さっさと沢崎さんに言えばいいじゃないですか。ずっと一緒に仕事がしたいとか」
信介「くくくくっ、そんなんじゃありませんよ。あいつが居ないとトラブルの処理に困るからです、
   
 俺が設計の仕事に専念出来なくなるからですよ」
夏美「…なんですかそれ!?そんなことであの人の進路に口出しするなんて!」
信介「口なんか出してませんけど」
夏美「サンバが来なきゃ出したでしょ」
信介「…」
夏美「自分の都合じゃなくて、転職することが沢崎さんにとって本当にいいかどうか考えてあげるべきでしょ」
信介「また説教か…」
夏美「トラブルの処理ぐらい自分で出来ないんですか?」
信介「別に一人でも出来ますよ、ただ…」
夏美「ただやらないだけですか」
信介「そうです。設計の仕事に専念するために分業体制を敷いているだけです、
   
 トラブルの処理くらいやろうと思えば…」
夏美「あぁ〜そうですか〜」
信介「…」
真理「ええと血圧…上が142、下が90です」
夏美「高いですね」
信介「あなたが上げてるんだ!」
・今回の金田

信介「金田更新してるじゃないか…!えぇ?ボウリング?アベレージいくつだよ…!」
信介「どうしたお前、遅刻だぞ!」
摩耶「ごめん…実はね、私の祖母が亡くなったのよ」
信介「えっ」
摩耶「これから行かなきゃいけないの。悪いけど打ち合わせ、私抜きでお願いできる?」
信介「あ、ああ…わ、分かった。あぁ〜…お、お大事にな」
摩耶「もう死んだ」
信介「え…あ、あの…こ、この度はなんて言うか…お気の毒な感じで…」
摩耶「無理して何か言おうとしなくていい、98で大往生だからみんなサバサバしたもんよ。また連絡するから」
信介「奥さん…そうカッカしないで」
「別にカッカしてません」
信介「あ、ああ…そうですか」
夫「…分かった。お前がどうしてもって言うなら仕事続けたっていいよ」
信介「はは、ほら解決した」
「全然解決してません!仕事続けること認めて、私に貸しでも作るつもり!?」
夫「そんなワケないだろ…」
嫁「すぐ人を馬鹿にして!」
夫「そんな風に見えます?」
信介「いや、普通ですよ」
嫁「…!」
信介「まあ話を聞いたところでは、奥さんの思い過ごしと言うか…ご主人はあなたを必要としているわけだし、
   
 あなたに家にいて欲しいんですよ。今の職場でこんなに求めてくれる人がいますか?
   
 必要とされる所にいた方が良いでしょう、居ても居なくても同じような所にいるよりは…」
「私が能無しだって言うんですか…?
  家事でもしてろって言うんですか!」
信介「い、いやそんな事は言ってない…」
嫁「うっ、ううっ…!」
信介「あ、あれ…?」
カーナビ「この先200mを右折してください」
信介「右折?違うだろ、まっすぐだろ」
摩耶「えっ…本当?」
信介「この先に新しい道が出来たんだ。はっ、こいつはまだ知らないらしいな」
カーナビ「この先100mを右折してください」
信介「嘘つきめ!」
摩耶「新しい道なんか出来たんだ…」
信介「この間の現場、この近くだったろ」
摩耶「私電車で来てたから知らない」
カーナビ「この先50mを右折してください」
信介「機械と俺のどっちを信用するんだ?」
摩耶「…分かった」
カーナビ「間もなく右折です。(無視して直進)ルートが変わりました。次の信号を右折してください」
信介「ふっふ、遅いんだよ」

信介「…道、まだ出来てないな」
摩耶「はあ…」
・今回のコンビニ

店員「スプーンはいりませんよね」
信介「いりません」
店員「ポイントカードはお持ちじゃないですよね」
信介「ありません」
店員「1120円になります」
信介「あ、やっぱりスプーンください」
店員「…」
・今回の体調を崩す信介その2(引き抜きの悩み)

夏美「また立ちくらみですか?」
信介「いえ、食事してたら…なんか気持ち悪くなって」
夏美「どうしたんでしょうね、風邪で嘔吐を伴うことはありますけど…口開けて」
信介「(開けない)」
夏美「くち」
信介「(開けない)」
夏美「はあ…どうしたんですか?」
信介「あなたが…自分の都合じゃなくてあいつの立場で考えろとか、
   
 トラブルの処理ぐらい自分でしろとか言うからだ!」
夏美「…沢崎さんに、引き抜きの話OKしろって言ったそうですね」
信介「言いました、でも俺が人から喜ばれる家を造り続けるためには…
   
 俺の仕事には、あいつが必要なんです」
夏美「なら、行かないでくれって言えばいいじゃないですか」
信介「今さら言えるかよ…!」
夏美「ならしょうがないでしょ…行って欲しくなければ、ちゃんと自分の口で行かないでくれって言う!
   
 どっちかでしょ」
信介「はあ…冷たいなぁ」
夏美「はぁ!?もしかして私から沢崎さんになんとか言ってくれとか、そういう事期待してます!?」
信介「結構です」
摩耶「何?」
信介「行くな…!行かないでくれ!」
摩耶「…どういう事?」
信介「どういう事って…」
摩耶「凄くいい条件なの。給料も待遇もいいし、大きい仕事も出来る。それでも行くなって言うの?」
信介「だって…あれだよ…せっかくいいパートナーになったんじゃねえか」
摩耶「…パートナー?」
信介「いやその…お前はその…優秀だし」
摩耶「はぁ…優秀な人ならいくらでもいるでしょ」
信介「俺の設計とお前の調整能力っていうか…そのコラボレーションがその、
   
 相乗効果的にクリエイティブな力になってさ!」
摩耶「意味わかんない」
信介「分かりやすく言うとだな…俺が起こしたトラブルを、文句もなしに処理してくれるのは
   
 お前しかいないんだよ!ベタベタしたりメソメソしたりしないしさ、男とか女とか意識しないで
   
 仕事だけで付き合える、そういうさ…便利で…都合のいい奴は…お前しかいないんだよ!」
摩耶「…そういうこと…」
信介「いや…だからその…」
摩耶「もう分かった。バカバカしい…要するに今まで通り、ずっと仕事のパートナーでいればいいんでしょ」
信介「あの…お前がどうしてもそうしたいって言うなら…」





第11話「花柄がキライで悪いか!」

摩耶「問題発生〜。お客様から要望があって…キッチンとリビングのの壁紙をね、
   
 花柄にして欲しいって言うのよぉ」
信介「出たよ…却下!」
摩耶「お客様からの要望を簡単に却下できないでしょ?お金を出してるのはお客様なんだから」
信介「このデザインのな、どこに花柄入れんだよ?」
摩耶「そのキッチンとリビング全面的に」
信介「断ってくれ!花柄はな、俺のこの世で嫌いなトップ5に入るんだよ」
摩耶「他の人に仕事行っちゃうよ」
信介「構わんね。そういうメルヘンな家を造るのは勝手だが、俺の関係ないところでやってくれ」
信介(ピキィィィーーン)<飲食店にて、コースターが花柄なのに気づく

信介(ピキィィィーーン)<皿が花柄なのに気づく

信介(ピキィィィーーン)<ナプキンが花柄なのに気づく

信介(ピキィィィーーン)<客の服装が花柄なのに気づく
夏美「こんばんわ〜、あ!あの実は…みちるちゃんがストーカーに遭ってるみたいなんです」
信介「ストーカー?ハッ、色んな奴がいるな…」
みちる「どういう意味ですか!」
夏美「少しは心配してあげてください、お隣なんですから」
信介「それは困りましたね」(さっさと行こうとする)
夏美「そうじゃなくて!そうだ…!桑野さんに夜道一緒に帰ってもらえばいいじゃない」
みちる「えぇ!?いいですいいですそんなの!」
信介「あのねぇ」
夏美「でも私が毎日送るわけにもいかないし、みちるちゃんも一人でビクビク歩くより
   
 桑野さんでもいた方がマシでしょ?」
信介「『でも』ってちょっと待てよ…」
みちる「そう言われれば少しはマシかも?」
信介「評価されて光栄だな…!」
夏美「じゃあお願いしますね!」
信介「でも今仕事が大変なんで」
夏美「送るくらいできるでしょう?どうせお隣なんだから」
信介「それをやって僕に何かメリットでもあるんですか?」
夏美「少しは人間らしくなるチャンスですよ」
信介「お休みなさい」(部屋に入る)
みちる「…私、タクシーで帰るから大丈夫です」
夏美「今のオッケーだと思うけど、たぶん」
みちる
「えぇ!?あれで!?」
信介「(ガチャッ)で…何時にどこで待ち合わせする?決めとこう!」
みちる「あの、送ってくれたのは感謝しますけど、気まずいから何か話してもらえません?」
信介「送ったうえにトークのサービスまでさせられるのか…」
みちる「…嫌ならいいですっ」
信介「そのストーカーってのは何者なんだ?」
みちる「わからないんです、メールが来るだけで…」
信介「大げさだなぁ」
みちる「桑野さんは、女性にとってそういうのがどんなに恐いのか知らないんですよ!
    
 夜歩く時、こうやって110番にかける用意しながら歩いたりしてるんですよ、みんな!」
信介「取り越し苦労ってやつじゃないのか?」
みちる「なんですかそれぇ!」
信介「人と人との関わり合いっていうのはな、一概には言えないんだよ!人生っていうのは…」
信介「この人ストーカーの被害に遭ってるんですよ、なんとかしてあげてください」
警官「え、被害って?」
みちる「誰だか分からない人から、変なメールがしょっちゅう来るんです!」
警官「メールねぇ…それだけですか?」
信介「それだけって…
それだけのことで女性がどんなに恐い思いしてんのか
    あんた知ってんですか!夜道歩くのに携帯に110番打って、
    いつでも押せるように歩いたりしてるんですよ!」
警官「ま、まぁ…何かあったら連絡ください」
信介
「何かあってからじゃ遅いでしょう!まったく権力ばっか振りかざして…!
    税金払ってんのに何とかしてくださいよ!」
・今回のコンビニ

店員「スプーンはいりませんし、ポイントカードもありませんよね」
信介「はい」
・今回のコンビニその2

店員(男)「スプーンおつけしますか?」
信介「…」
店員(男)「…スプーンおつけしますか?」
信介「…つけません」
店員(男)「ポイントカードはお持ちですか?」
信介「…ふぅぅぅぅ」
信介「まったくいつも変なことに巻き込まれる!だから人間関係ってやつは…」
雪女「ウゥゥゥゥゥ…ウゥゥゥゥゥゥ…シャアアアアア!!」
夏美
「…!!!!!!」
信介「行きましたよ」
夏美「…ふぇ!?」
信介「今のは雪女ですねぇ、北国には雪女の伝説が色々とあります。地方によっては雪の精とか
   
 吹雪で死んだ女の霊とか、まぁ珍しいところでは月世界から降りてきたなんて話もあるくらいですよ」
夏美「そうですか…」
信介「俺のカンではね…あの警官が怪しいな!」
みちる「え?でも、あのお巡りさんがどうして私のメールアドレス分かるんですか」
信介「これはね、何か意外なカラクリがあるに違いない!」
夏美「テキトーなこと言ってないで真面目に考えてあげてください、
   
 ちゃんとボディガードやってるかと思うと茶化すようなこと言うし、一貫性がないってゆーか…」
信介「僕は一貫して、しょうがなくあなたに付き合ってるんですよ!今日だって!」
夏美「うーん。そうですかぁ」
信介「あなたは人の世話焼いてれば、そりゃ自分の寂しさが紛らわせるからいいかもしれませんけどね、
   
 付き合わされるこっちの身にもなって欲しい!」
夏美「…え゛?」
みちる「…ひっどぉい…」
夏美「どうしても私を寂しい女にしたいらしいですね」
信介「図星だから怒るんでしょ」
夏美「そうです。寂しいのかもしれません。あなたみたいに一人ぼっちで平気な人には
   
 分からないかもしれないけど!」
信介「ええ、分かりませんよ」
夏美「今夜からみちるちゃんは私が送ります、桑野さんにはもう頼みません!」
みちる「ハァ…がっかり。私の中で桑野さんのポイント少し上がってたのに」
信介「…上がってた?いつ…?」
英治「すいません…俺、ケンカ弱いの忘れてました」
信介
「何やってんだバカッ!!」
英治「すいませんでした、やっぱり俺のミスでした…不用意にコピー取らせたせいで…」
信介「………まぁいいや…だからってお前、殴りに行く奴があるかよ」
英治「だって…分かるから俺…自分のポリシー曲げて花柄入れることが、桑野さんにとって
   
 どれだけ辛かったか分かるから…なのに俺のミスであんなことに…俺、桑野さんの部下です。
   
 桑野さんの味方です。だから…俺のこと居なくていいなんて思わないでください」
信介「………バ、バカ。ちょっとトイレ行ってくる」
信介「あの子に…近づかないでもらえますか?」
ストーカー「…」
信介「あの子は…俺のお隣さんでね。これまでにも世話になってるもんですから…
   
 恐い思いさせたくないんですよ」
ストーカー「…」
信介「2度と…あの子に近づくな。メールも…出すな!」
ストーカー「(ガバッ!)」<ふところに手を突っ込む
信介「…!」
ストーカー「(ふきふき)」<ハンカチで汗を拭く
ストーカー「ぼ、僕はただ…彼女に」
信介
「もう一切!あの子に近づくなッ!!」
みちる「あ、あの…私、困ったことになったかも…」
夏美「え?」
みちる「なんか、すごく困ったことになった…」
夏美「(ニヤニヤ)今度はなんなのぉ?」
みちる「私、桑野さんのこと…好きになっちゃった…かも」
夏美「え!?」
みちる「ど、どうしましょう」
夏美「どうしましょうって…」
みちる「まさか…よりによって桑野さん…!?」





最終話「幸せになって悪いか!?」

みちる「昨日は…ありがとうございました」
信介「ああ、いや…で?」
みちる「あ、あの…私…」
信介(ケンときゅうりしか見てない)
信介「そんなに好きか?」
みちる「え!?ど、どうしてそんな!?」
信介「ははっ、そうか」
みちる「しょ、正直に言います。最初はあんまり好きじゃないって言うか…どっちかって言うと嫌いでした」
信介「あぁ、俺もそうだった」
みちる「でも今はあの…逆って言うか…どうしてかよく分かんないんですけど、
   
  好き…かもしれません、それじゃ!」
英治「えぇ、テレビ出演ですか!?」
摩耶「そう、夜9時からのニュースビッグ9。欠陥住宅の問題についてレポートする中で、
   
 ちゃんとした家を造る建築家としてあなたのコメントが欲しいんだって」
英治「凄いじゃないですか!テレビですよテレビ!」
信介「分かってるよお前、テレビくらい。俺は見ないけど」
英治「桑野さんが見なくてもみんな見てるんですよ」
摩耶「で、出演OKでしょ?」
信介「まぁお前らが…どうしてもって言うならな」
信介(とか言いつつすぐに『ニュースビッグ9 視聴率』でYAHOO検索)
信介「15%って…何人だ?四千九百万世帯の15%…一世帯1.5人として…
   
 一千百とんで二万五千人!?んん!?」
英治「どうしました?」
信介「い…いや…別に」
・今回の体調を崩す信介(テレビ出演の緊張)

夏美「どうされました?」
信介「なんか…胃が」
夏美「また心配事ですか」
信介「普段あまりない体験ってのは…結構ストレスになるもんですね」
夏美「…それって、みちるちゃんのことですか?」
信介「え?」
夏美「来たでしょ、こないだ」
信介「あぁなんか…礼とか言って」
夏美「それだけじゃないでしょ〜」
信介「え…?ああ!ははっ、あんなこと今さら分かりきってるのに」
夏美「え?」
信介「犬の顔色を見れば分かる!」
夏美「え〜…っと?みちるちゃん、なんて言ったんですか?」
信介「犬がきゅうりが好きだって」
夏美「…」
信介「それが何か?」
夏美「…いえ」
信介「そんなことより…あぁ、この胃の痛みなんとかしてくださいよ。これからテレビに出るんです」
夏美「テレビに出るんですか!?」
信介「ニュースビッグ9。これから収録なんですよ!」
夏美「そうなんですか!?凄いですね!」
信介「(凄く嬉しそう)別に」
夏美「でも…そのシャツで出るんですか?」
信介「…何か問題ありますか」
夏美「いえ、私がどうこう言う問題じゃないし」
信介「ダメなんですかこれ、ねえ!どうしよう!」
(メールで着替え画像を送る)
夏美「(プルルルル)もしもし…あぁ桑野さん、なんですか?メール…?」
信介「どうですかこのシャツ!」
夏美「え?ああ…もっと明るい方がいいんじゃないですか?」
信介「あぁ、そうですか。じゃまた(ガチャッ)」

夏美「(プルルルル)はいはい、来てますよ」
信介「どうですか!」
夏美「ん〜…ちょっと若すぎません?」
信介「後ほど(ガチャッ)」

夏美「…ちょっと可愛らしくないですか?」
信介「ああ、そう(ガチャッ)」

夏美「はいはい、来てますよ今開けますから…
   
 これいいじゃないですか!明るいし、適度にフォーマルな感じで」
信介「なるほどね…!しかしなんであなたに指図されなきゃならないんだ」
夏美「いつ私の指図聞けって言いました?」
信介「これがもし全国の人に不評だったら、あなたのせいですからね」
夏美「知りません!(ガチャッ)」
信介「ふーう…(鏡を見る)悪くない!」
信介「ふ〜…みんな遅いな」
みちる「な、なんか、家に2人だけって…変な感じですね…」
信介「ああ」
みちる「でも、前は桑野さんと2人で部屋にいるなんて想像もできなかった」
信介「まぁなぁ…」
みちる「…」
信介「なあ」
みちる「はい!?」
信介「こういう時、頭の中で
般若心経が流れたりしないか?
みちる「…しません。ていうか知らないし…」
信介「…そう?」
みちる「桑野さんがテレビに出たなんて知らなかった〜!」
夏美「あ!ビデオ見せてあげようか、録画したから」
信介「見なくていい、発言勝手にカットされたんでね」
夏美「あ、あれカットされてたんですか!?」
信介「分からないかなあ、それくらい」
夏美「分かりませんよぉ。まあいいじゃないですか、カットされたくらい」
信介「あの後にね、どんなに重要な発言があったかあなた知らないでしょう」
夏美「知りませんよー。ん〜終わったことぶちぶち言わなくてもいいでしょ?」
信介「ぶちぶち言ってるのはそっちでしょう!人のシャツ勝手にダメ出しするし!」
夏美「あなたがテレビに出るのに、どのシャツがいいかって聞くから見立ててあげたんでしょう」
みちる「あ、そうなんですか…?」
信介「いや事実と違う!あなたが文句をつけるから、変えざるを得なかったんですよ!」
夏美「でもあれ似合ってたじゃないですか!ねぇ」
みちる「だから見てないって…」
夏美「あっ、ごめん今度見せるね?」
信介「あっ分かった!あのシャツのせいだ!
   
 あのシャツがさ、ディレクターの好みに合わなかったから思いっきりカットされたんだ」
夏美「あなただって、人の言うことにいちいち憎まれ口叩くじゃないですか!」
信介「別に憎まれ口なんて叩いてませんよ」
夏美「あっまた!自分は冷静に批評してるけど、お前は寂しさのあまり
   
 人にこう、ムダ口叩くんだって言いたいんでしょう!」
信介「誰もそんなこと言ってませぇん」
夏美「大体あなたの言いそうなことは予想がつくようになってきました!」
信介「…」
夏美「ほ〜らまたなんか考えてる!」
信介「ハッハッハッハッハ!それで勝ったつもりですか!」
夏美「別に勝負なんかしてませ〜ん!」
信介「ハハーン!」
みちる「(バンッ!)…あの!人の家で痴話ゲンカしないでもらえます!」
信介「痴話ゲンカって…?」
夏美「あの、別にそんな…」
みちる「どう見たって恋人か夫婦の痴話ゲンカです!犬も食わないってやつです!
    
 私の家で私がいないみたいに…!そんなケンカしないで!帰ってください、もう帰って!」
金田「あっ!テレビ見ましたよ〜!まさか同業者だとは!」
信介「はあ…」
金田「ネットで見たんですけどね、いい家造りますねぇ〜俺もいつかあんな仕事してみたいなあ!
   
 これも何かの縁ですから、お互いこれからいい情報交換しませんか?」
信介「はあ…」
彼女「ね〜ちょっと〜」
金田「ごめんね、ちょっと待って…あなただったら素晴らしい奥さんがいらっしゃるんだろうなぁ」
信介「いえ…」
金田「僕も結婚したいんですけどもね、なかなか…あ、それじゃまた」


信介「金田…いい奴じゃないか!」
夏美「あの、この間テレビでカットされた所って…どんなこと言ってたんですか?」
信介「ああ…まぁ家は建築家の個性が発揮されて初めていい家になると思う、
   
 僕はキッチンを重視した家造りをして、それが住む人の幸せに繋がると信じてる…
   
 とかまぁ、そんな感じですよ」
夏美「そうですか…そういうとこカットされたら腹が立ちますよね、すいません」
信介「え…?あ、いや…」
夏美「私も…家造ってもらおうかな!桑野さんに」
信介「どんな家ですか?」
夏美「うーん…明るくて開放的で、人がいつも集まるような…そんな感じかな!」
信介「寂しいのが長いと、そういうの夢見るんですね!」
夏美「…やっぱり、そういうこと言わないといられません?」
信介「え?いや、そんなことは…」
夏美「じゃあ何か、他のこと言ってください」
信介「まあ…予算に合った家を造りますよ」
夏美「そうじゃなくて…!」
信介「…?」
夏美「考えてみたら、私たちの会話ってキャッチボールじゃなくてドッジボールばっかりだった気がします」
信介「はい?」
夏美「相手に当てて終わり」
信介「はは!上手いこと言いますね〜!」
夏美「感心してる場合じゃなくて!私はキャッチボールがしてみたいです、あなたと」
信介「…」
夏美「ボールは投げました…それじゃ」
夏美「あれ、顔色悪いですね」
信介「いや、病気じゃありませんよ。まぁちょっと徹夜したもんで」
夏美「じゃあなんで来るんですかぁ、家で休んでた方が…」
信介「キャ、キャッチボールしに来たんです」
夏美「え…」
信介「ゆうべ、ずっとあなたの住みたいって言う家を設計しようとしたんですよ。でも出来なかった」
夏美「…なんでですか?」
信介「自分でも歯が…歯がゆかったですけどね。やっと出来ない理由が分かったんです」
夏美「…」
信介「僕はこれまで、他人の住む家ばかりを設計してきました。
   
 でも自分や…自分の大事に思ってる人の家を設計するのは、どうしても出来なかった。
   
 明るくて開放的で、みんなが遊びに来るような家で自分が暮らしてるのが、なかなかイメージできなくて」
夏美「ちょっと待ってください…今、自分が暮らすって言いました…?」
信介「ええ、言いました。僕はずっと…結婚なんかしないと思って来ましたけどね。
   
 めんどくさそうだし、メリットなんかないじゃないですか。一人の方がいいって。
   
 でも…あなたと出会って、話し相手がいつもそばにいるのもいいのかなって…
夏美「…」
信介「要するに、僕は…あなたが…好きなんじゃないかな」
夏美「…」
信介「ダメですか…?僕じゃ」
夏美「………いい…かもしれません」
信介「…いい!?いいでしょ!?ははっ!いや!あぁ…!嬉しいな…!アッハハ!」
夏美「あは…」
信介
「いやぁ!結果的には結婚できないんですけどね!」
夏美
「…え!?」
信介「え?」
夏美「い、今なんて言いました!?」
信介「いや嬉しいって」
夏美「その次です」
信介「結婚できないと」
夏美「…」
信介「…何か?」
夏美「ちょぉぉぉっと話が見えなくなって来ましたけど…結果的に結婚できないってどういう意味ですか」
信介「自分が、自分の大事な人と暮らす家のイメージが湧かない、作れそうにない…
   
 はは、さっきそう説明したでしょう」
夏美「は〜…家なんてどうでもいい」
信介「はい?」
夏美
「家なんかいらない」
信介「ちょっ、何言って」
夏美
「そんなの賃貸でもなんでもいーじゃないですか!!」
信介「そ、そうはいきませんよ!僕はね、理想の形にこだわるタチなんです!
   
 理想の家のイメージが湧かない限り結婚はできない、そう言ったんです」
夏美
「まっったくこの人は!結局あなたは自分のことばっかりじゃないですか!」
信介「じ、自分のことばかりって…」
夏美
「もう知りませんッ!!」
信介「…えぇ!?」


信介「…ワケ分かんないな…ややっこしい女だ!」
信介&夏美「「あ」」
夏美「…こんばんわ」
信介「どうも…買い物ですか?」
夏美「ま〜たお肉ばっかり食べてるんでしょ」
信介「別に…そちらのメニューはなんですか?」
夏美「ロールキャベツでも作ろうかなと思って」
信介「ふふ、またか」
夏美「いいでしょ?好きなんだから…じゃあ私こっちなんで」
信介「あの…圧力鍋あります?」
夏美「あ〜…今ないんですよ、古いの捨てちゃって」
信介「僕の家にありますよ、ロールキャベツなら10分でできる」
夏美「そうですか…」
信介「…」
夏美「もしかして…家に来いって言ってますか?」
信介「いやまぁ…でも…あなたがどうしてもとおっしゃるなら」
夏美「どうしてもなんて言いません」
信介「ふーん」
夏美「でも…あなたがどうしてもって言うなら行ってもいいですよ」
信介「…じゃあ、来てください…あー…どうしても!」
夏美「…はい!」







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