第17話・怒り

「バイオラプターが倒されているということは…
 無敵団とやらは、メタルZiの武器を持っているということか…」

「ラ・カン一味の可能性もあります」

「…第二から第七小隊の出撃準備を整えておけ!無敵団をおびき出し、殲滅する!」

前回の戦いでバイオラプターを倒され、いよいよディガルドにとって無視できない存在となってしまった無敵団。
そんな無敵団を叩き潰すべく、ディガルドも本腰を入れて無敵団殲滅に動き出すようです



そんなこととは露知らず、夕飯の支度にと
イモの皮むきにいそしむルージとムゥ。
なんとはなしに、ルージはムゥの生い立ちについて聞かされます

「…村が全滅?ムゥ一人しか生き残らなかったなんて…」

「ええ、ディガルドは容赦ありませんでした…でも悪いことばかりじゃありませんよ、お兄様。
 一人で放浪しているとき食べるものがなくて、それこそ木の根まで食べました!
 いろいろ工夫するうちに料理の腕が上がったんです!」
 

き…木の根が主食!?
うーむ、ムゥは結構「いいとこのボンボン」みたいな印象があったんですが、実は相当波乱に満ちた人生だったのね
「泥を食って生きてきた」という龍騎の浅倉様を思い出しますよ!(えー

「そしてお姉様に出会いました。その時はお姉様だけで、無敵団ではなく無敵ひとりでしたけど…
 それからゴッちゃんさん、テンさん、サイコさんも一緒になって…
 みんなディガルドに酷い目に合わされたようですよ、だから戦っているんです!」

「そうだったんだ…」

「僕も今は見張りだけですが、早く一人前になってちゃんと作戦に参加したいんです!」

放浪時代を経て、当時無敵ひとりを名乗っていたア・カンとの出会い。そして現在に至るわけですが
しかし無敵ひとりってなんてネーミングですか!
まるで劇団ひとりですよ!



一方、今晩のキャンプに使うための薪を拾い集めていたガラガ達。
ドジっこのテンは今日もまたすっ転んでメガネを落としてしまいます

「ううっ…メガネ、メガネ…」

「大丈夫か?」

「あっ…優しいです、ガラガ…!」

「ゴトシの薪も持ってやる、貸しな」

「あっ…」

気は優しくて力持ちのガラガ、なんだか二人にモッテモテ。お前絶対ずっと無敵団で暮らしたほうがいいよ!(えー
コト姉にはさんざん嫌われているガラガですが、実は結構カッコいい場面は多いんですよね。うーんもったいない奴め



そして夜になり、夕飯の支度が済むと情報収集に出ていたサイコが帰還してきます

「何か目ぼしい情報はあったかい?」

「ふ、思わずサイコ最高と言ってしまう情報を得てきた。
 メルモ山のふもとに、ディガルドのゼ・ルフトへの大補給部隊が通るそうだ」

「さっそく襲撃しましょうです!」

「よーし!夜明けと共に出発するよ!」

再びディガルドの補給部隊をキャッチ!カモがネギしょってやって来やがったぜーと大張り切りの無敵団。
しかし前回バイオラプターが潜んでいた以上、ルージとガラガはまた敵の企みがあるんじゃないかと渋い顔。
とはいえノリノリの無敵団を止めることもできず、翌朝また補給部隊を急襲することに…


一夜明けて。とうとう無敵団の待ち受ける山岳地帯へやってきた補給部隊。
無敵団は前回のあっち向いてホイのように、
行き倒れ作戦というハチャメチャな作戦を決行します
レッゲルと食料切れを装ったテンが同情を誘う作戦ですが、うーむどうなることやら…

「ああぁ〜…」

「…何者だ!」

「ここ数ヶ月何も食べてなくて…どうか、食料があったら分けてもらえませんですかぁ〜…?」

「…いいだろう。食わせてやる」

あ、あれー!?ディガルドは今回もまんまと騙されてしまうのか!?
それとも第14話の鬼教官のように、目の前で食べ物を「どうだざまーみろ」と言わんばかりにブチまけてしまうのか!?

「ワクワクですぅ、何を食べさせてくれるんですかぁ〜?」



「たっぷりと食らうがいい!炎を!」

シュゴオオオオオオ!!

目を輝かせるテンの前になんとバイオラプターが出現!生身のテンに向けて容赦なくヘルファイヤーが放たれる!うわー!

「テンさんっ!?」

「テン…!返事をしろ!テンッ!」

ヘルファイヤーの爆発を見て必死に呼びかける無敵団。
しかしまったくテンの反応はありません。え…え?まさか今の攻撃で…



うわあああああああああ!!!

ヘルファイヤーの直撃を受け焼死するテン!そこに遺されたのはトレードマークの眼鏡だけが…
そ、そんな…こんないきなり死んじまうなんて!・゜・(ノД`)・゜・こんな展開嘘だろおおお!!

「テン…ッ!おのれぇぇぇッ!テンの仇ィィィッ!!」

ああ…やっぱり死んでしまったのか…
テンの死を目にして逆上したガラガは、バイオラプターへ向けて一人突進する!しかし…

「やはりラ・カンの一味ッ!」

積荷に偽装していたバイオラプターが、次々と現れデッドリーコングを迎え撃つ!
補給部隊というニセ情報は、無敵団を潰すため故意にリークされたものだったのです



「く…!罠か!?何が補給部隊だっ…!!」

苦虫を噛み潰したような顔で後退を強いられるガラガ。
あまりの数の多さに、到底ルージとガラガだけで勝てる戦いではありません

乱戦状態となったその時、ア・カンの頭上から襲い来るバイオラプターが!うわー潰されるー!

ドガアアアアアン!!

「…ムゥ!?ムゥーーーッ!!」

そんなア・カンを救ったのはムゥ決死の体当たり!
なんとかバイオラプターを弾き飛ばしたものの、そのままの勢いで谷底へ落下し機体がバラバラに!ああー!

「ムゥ!しっかりっ!」

「お、姉様…ボク…ちゃんとやりましたよ…?ディガルド、倒しましたよ…
 今度からは…見張りじゃなくて、作戦に参加させて…くださいね…」

「…当たり前じゃないか!こんなに出来るムゥ、頼りにしないわけないだろ…?」

「あは…僕たち、は……天下無敵………の…………」

「ムゥ!ムゥーーーーーッ!!」

あああああああああ!!!・゚・(つД`)・゚・

今度はムゥまでが!また一人無敵団の命が犠牲に!まさか彼らにこんな過酷な運命が待ち受けていたなんて…



そしてサイコのフィラソードもまた、すでにバイオラプターの攻撃を受けズタズタに破壊されていました

「…まだ死なんよ!一体でも数を減らしてやる!
 たとえこの身が朽ち果てようと、魂は永遠!!」

たとえゾイドが砕けようともこの精神までは砕けんぞ!サイコは背中の愛刀を引き抜くと、生身でバイオラプターへ攻撃を仕掛ける!
しかし、そんな最後の誇りまでも打ち砕くようにヒートハッキングクローが振り下ろされ…

「…サイコさんまで…!」

「テン…ムゥ…サイコ…お前達の命、無駄にはしないよっ…!」

ち、直接叩き潰されてミンチに!悲惨すぎるよこんな最期!うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ
次々に命を散らす仲間達に涙が止まらないルージ達。しかし、ディガルドはそんな二人に悲しむ暇すら与えてくれません

「キリがねえぞっ…!ディガルドの野郎ども!」

なんとか持ちこたえていたガラガも、数の多すぎるバイオラプター相手にもはや限界です
とうとうガラガの防御の合間をぬって火球が撃ち込まれる!その瞬間、ゴトシがデッドリーコングを守るため我が身を盾に!

ボガアアアアアアン!!

「ゴ、ゴトシィィィィィィッ!!」

「無事で良かった…ガラガ…」

ああ…やはり全滅は避けられないのか・゚・(つД`)・゚・
すでに爆発寸前となったフィラソードの傍らで、ゴトシは静かに最期の時を迎えます



「あたしは…もうダメ…」

「諦めるんじゃねえッ!!天下無敵の無敵団だろうがっ!!」

「ガラガは諦めないで……いつかディガルドを倒して………
 みんなが…安心して暮らせる世界……を………」

バチバチバチィッ!ドガアアアアアン!!

「ゴ…ゴトシ…!ゴトシィィィィィィィィッ!!」

大破していたフィラソードがついに限界を超え、爆発の中へと消え行くゴトシ!うあああああ!



「ちくしょぉぉぉっ!よくも…!
 よくもアタイの大事な仲間達をっ…!絶対に許さないよぉぉっ!!」

仲間達を無残に殺されて怒りに震えるア・カン。
ヘルファイヤーの直撃を受けながらも、特攻覚悟でバイオラプターに最後の攻撃をかける!

「ア・カン!爆発する!早く脱出…うわああああっ!!」

「ルージィィィィィッ!!」

その時、ア・カンに気を取られたルージまでが燃えさかる火口の中へと叩き込まれる!しゅ、主人公ー!
そして、ア・カンのフィラソードもまたバイオラプターに突撃をかけ、粉々に爆散し…

「みんな…みんないなくなっちまった…オレの…仲間がっ…!



テン…



ムゥ…


サイコ…


ゴトシ…


ア・カン…


ルージ…



てめえら…!よくもっ…!よくも!オレの大切な…!
ぬぅぅぅあああああああッ!!」

魔・戒・天・浄ーーー!!!

きさまら全員生かして帰さん!怒りに燃えるガラガがついに、禁断の武装・左腕のシザーアームを解放する!

「な…なんだあの力は!?」

「くゥあああアアアアーーッ!!」

鬼神の強さとはこのことか、あれほど苦戦していたバイオラプターの群れを、恐るべき勢いでガラガは次々に粉砕していく!

「撤退だ!引け、引けぇーーっ!」

「一体残らず叩き潰してやる…!ルージの仇!無敵団の仇だッ!!」



シザーアームの圧倒的なパワーの前にバイオラプターは全滅!
無力なバラッツゾイドだけとなり逃げ惑うディガルドですが、ガラガはそれさえもグシャグシャに破壊していく!うわーやりすぎだー!

「う…う?なにが…?」

その時火口から抜け出してきたルージ。主人公はこんなことでは死ねんのだ!
火口の奥深くへと落ちる前に、その途中の足場に引っかかって助かっていたのです。

「あ…?ガラガ!ディガルドは逃げてるじゃないか!もういい!」

「…ルージ!?生きてたのか!良かった…!」

生きていたルージに安堵の表情を浮かべるガラガ。
しかしそんなガラガの態度と裏腹に、デッドリーコングは突然ムラサメライガーに殴りかかる!な、なにをするきさまらー!

「ガ、ガラガ!?」

「ルージ、デッドリーコングから離れろ!こいつはこうなったら
 周りの全てを破壊するか、レッゲルが切れるまで止まらねえんだ!」

オレはとことん止まらない!封印のシザーアームは、強力な代わりに敵味方の区別なく攻撃し続けるという欠点が。
すかさずデッドリーコングから間合いを取るルージですが、逃げ遅れたバラッツがデッドリーコングの標的に!

「ダメだ、デッドリーコング!
 それをやったらオレ達もディガルドと同じになってしまうんだ!
 だから止まってくれ!デッドリーコング!
 止まれェェェーーッ!!」

どうしてもと言うならこのオレを倒してから行け!と我が身を差し出すルージ。
ルージの命を賭けた制止に、デッドリーコングがついにその動きを止める!うおー超ギリギリ!

「止まった…!?レッゲルが切れたのか…?」

コンソールに視線を落としレッゲルを確認するガラガ。しかしレッゲルはまだ十分に残っている様子です

「どういうことだ…デッドリーコングがルージに反応したのか…?」

ガラガが何をやっても言うことを聞かなかったデッドリーコング。
それがルージの制止に応えるとは、何かルージにはゾイドに関わる秘密が…?


ディガルドの撃退に成功したものの、無敵団を失った喪失感に打ちひしがれる2人。
仲間達の散っていった戦場に別れを告げ、これからのことについて話し合います

「オレ達には道を示してくれる人が必要だ…みんなと合流しよう。ラ・カンならきっと…!」

「そうだな…道を示してくれる者が必要だな…ルージ…」

無敵団のモットーだった「小さなことからコツコツと」、それだけではディガルドに対抗できないことを痛感し、
ラ・カンからその術を見い出そうとするルージ。
そしてガラガは、今回の件でルージ自身の中にも「道を示してくれる者」の片鱗を感じ取っていたのでした

「美しいなドモン…」
「はい…とても美しゅうございます…」
「ならば!」

新一派!
東方不敗!
王者之風!
全新招式!
石破天驚!
看招!
血染東方一片紅!

Gガンダムの某シーンのように夕陽を眺め、その場を後にするルージ達。
さらば無敵団。さらば仲間達。せめて安らかに眠ってくれ…





「ぷう〜、死ぬかと思った」


(;゚д゚)……


(つд⊂)ゴシゴシ



「つい居眠りしちゃいました…起こしてくださいよぅお姉様」


(;゚д゚)…………


(つд⊂)ゴシゴシ



「もう〜、ヒザすりむいちゃいましたよぉ。乙女の柔肌を…プンプンです」


(;゚д゚)………………


(つд⊂)ゴシゴシ



「いっぱい動いたから体重が半分になっちゃったわよ〜」


(;゚д゚)……………………


(つд⊂)ゴシゴシ



「ああ、生きてるって素晴らしい。父よ、母よ、産んでくれてありがとう。
 拙者は今日も元気です」


(;゚д゚)…………………………


(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ


おまえら全然平気なんじゃねえか!!

なんて人騒がせな奴らだ!やはりギャグ要員は不死身なのか!これこそが無敵団の無敵たるゆえんなのか…

「あれ、ルージお兄様は?」

「あたしのガラガは?」

「大丈夫。ディガルドと戦い続けていれば、いつかまた会えるさ!」

「じゃあまた、小さな事からコツコツやりますです!」

「そう、いつかは我々が…」

「アタイ達はぁ!天下無敵の!」

無・敵・団!!


惑星Ziを襲う未曾有の危機

敵はディガルド部国

その数およそ150万

無敵団は砕けない

真の正義は砕けない

なぜなら彼らは――

彼らは―――


アメリカ合衆国大統領だからだ!

次回へ続く!








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