■マリア様がみてる 4th season 第4話「未来の妹」
 

「本日はお越しいただきましてありがとうございます。この会はスールを欲しいと思いつつも
 なかなかご縁がない方に、出会いの場を提供しようという趣旨で開かれたものです。
 普段はなかなか交流することのない方々と、ぜひとも親睦を深めていただきたいと願っています」

薔薇の館にていよいよ開かれることになった茶話会。応募開始当初は集まりの悪かった参加者も、
最終的には30人近い結構な数が集まったようです。
合コンの割にはずいぶんと堅っ苦しい由乃の挨拶ですが、
それが終わると集まったメンバーの自己紹介を始めることに…

「私は2年松組・島津由乃。去年の今ごろ心臓の手術をして、虚弱なイメージをすっかり脱ぎ捨てました。
 趣味はスポーツ観戦、好きな作家は池波正太郎、一日も早く妹を持ちたいと希望しています」

トップバッターはやはり茶話会言い出しっぺの由乃から。というか池波正太郎ってどんな作家なんだろうと思ったら
必殺仕掛人の原作書いた人とかなんとか…なんだそりゃー!!
リリアンで「必殺仕掛人大好きです!」とか言ってる人なんて
どう考えてもお前しかいないよ!(えー
もっと1年生の気を引くフレーズはなかったんでしょうか、これに食いつく1年生がいるとはとても思えんぞ…

「「「わぁ…!」」」

(むっ…)

由乃の次に順番が回ってきたのは祐巳。しかし、
ただ祐巳の番が来たというだけで1年生からちょっとした歓声があがります
祐巳が1年生に人気あるとは聞いてましたが相当ですねこりゃ…
少なくとも
まったく歓声があがらなかった由乃より遥かに人気者のようです:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「2年松組・福沢祐巳です、苦手科目・得意科目はありません。平均点が売りです、
 あと…姉は小笠原祥子、えっとぉ…おしまい!」

(お姉さまの名前なんてここにいる全員知ってるって…でも、こりゃ相当祐巳さん目当てが多いわね。
 こらそこの一年生、あからさまに祐巳さんばかり見てるんじゃないわよ!)

ハキハキ喋っていた由乃と違って、どうにもこういう挨拶がへたくそな祐巳。由乃も心の中で
「もっとマシなこと言えよ」とダメ出ししてしまいます
でも必殺仕掛人の由乃にはそれ言われたくないよなぁ(えー

「1年菊組・内藤笙子です」

(あっ…)

(へー、この子が…)

「中等部の頃から山百合会の皆さんに憧れていました、こうしてお近づきになれただけで嬉しいです。
 よろしくお願いします!」

自己紹介が進んでいくとついに来ました内藤笙子、
あの横柄な応募コメントで由乃を切れさせた女
一体どんな高飛車な奴かと思ったら…
なんだこのめっちゃ感じのいい美少女は!(えー
実際に見てみると、とてもあのコメントを書いた人とは思えない人柄の良さを感じます
顔も可愛いし十分薔薇さまとしてやっていけそうだなぁ、俺にはこの時点で笙子以外を選ぶことが考えられない:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「祐巳さまはどのような妹をお望みなのですか!?」

「ご自分のように親しみやすく可愛らしいタイプですか!?」

「それともロサ・キネンシスみたいに、気位高くてお美しいタイプ!?」

「え、えーっと、そういう風には考えてないと言うか…」

「「「ではどんな風に!?」」」

「そ、そのー…ちょっと失礼しますね!」

(祐巳さんも大変ね)

ひととおり自己紹介が終わってフリータイムとなりますが、祐巳の周りに集まってきたのは単なる熱狂的ファンばかり。
キャーキャー言いながら一方的に質問するだけで、ちっとも自分のことを語ろうという気はないようです。だめだこりゃ
息もつけない質問攻めに疲れてしまった祐巳は、そんなファン達から逃げ出して一旦部屋から出てしまいます

「ふー…あっ」

そんな祐巳がドアの外で出会ったのは、なんとあの内藤笙子。この人も一息つきたくて部屋を出てたんでしょうか?
なんにしろお近づきになるいい機会ですね

「写真部のパネル…?」

「はい。この前の学園祭で、写真部のパネルの中の薔薇さまやブゥトンの皆様がキラキラ輝いてて…
 その姿が凄く羨ましくて」

「羨ましい?」

「はい、私もあの写真の中に入りたいと心から思ったんです。
 どうしたら入れるかずっと考えていました、そんな時にこの茶話会の企画を知って…」

さっきのファン達と違って自然体で祐巳に接する笙子。これは妹としてはポイント高いですな
そして祐巳たちの妹になりたい理由も、
「日ごろキラキラ輝くくらいがんばってる山百合会の仲間になりたい」
至極まっとうなものでした。というか
これアピールコメントに書きゃよかったんじゃん!(えー
「どっちでもいいから妹にしろよ」なんて書くよりよっぽどこっちの方が好印象だよ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
由乃なんて
「どっちでもいいとか言う奴とは話なんかしねーぜ」とか言ってるしなあ…

「だから私でも由乃さんでも、どっちの妹でもよかった?」

「す、すみません!バカ正直に書きすぎました…」

「笙子ちゃんは勘違いしてると思う」

「えっ?」

「生徒会の中の仕事にだけ楽しいことがあるなんて、そんなことはない。
 どこにいたって何をしたって、輝いてる人はたくさんいるんだよ。
 だから笙子ちゃんがただ写真の中で輝きたいと願うなら、ブゥトンの妹にならなくてもいいんじゃないかな」

ところが
「なに勘違いしているんだ」と祐巳的には今の答えは全然ダメだったようです。(゜д゜;)ええええええ!?
ちょっと待ってくださいよ!笙子は数ある写真部のパネルの中でも
山百合会が一番輝いてたからここへ来たんだろ!
他の部活なんかもそんな風に輝いてたら、とっくに笙子はそっちに入部してただろうし…
それを「別に山百合会じゃなくても輝いてる」とかダメ出しするのは筋違いだと思うんだけどなぁ

「つまり…私はふられてしまったのですね」

「うん…私は心から私の妹になりたいと思ってるくれる人を妹にしたいな」

笙子は妹にはしないと完全に言い切ってしまった祐巳。あああ
祐巳的には
笙子は山百合会に入りたいだけで、祐巳の妹になりたいと特別思ってるわけじゃないというのが決め手だったようです
まあ確かにそうかもしれませんが…
そんな贅沢言ってたら妹なんていつになってもできないよ!(えー
例えばの話、今まで1度も彼女できたことない男が
「俺は絶対藤原紀香ぐらい美人で巨乳で背が高い女じゃないと結婚しない」とか
選り好みしてるようなもんじゃないのかな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「で、結果はどうだったの?」

「その場でスールとなったのが2組、もう少しお互いのことを知ってからという方達もいます」

「その2組にあなた達は入っているの?」

「は、入ってません…」

「それじゃあ前と何も変わらないじゃない」

「ふぅ〜♪」

結局祐巳も由乃も「これだ!」という1年生には出会えないまま、茶話会は終わってしまいました
「あんたら何のために茶話会やったのよ」と呆れてしまう祥子。それと反対に令は「ああ由乃に変な虫がつかなくてよかった」
実に嬉しそうに安心の溜め息をつきます。由乃を取られるのがそんなに嫌とは、相変わらず威厳ないロサ・フェティダだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン



「それなら私たちの妹になりたいと言ってくれた1年生が、お手伝いに来てくれることになっています」

「祐巳さんに3人、私に2人いましたから、曜日を決めて一人ずつ」

でも
とりあえずキープしてみた1年生が祐巳と由乃合わせて5人いるようで、月から金まで一人ずつ手伝いに来させて
もう少しお互いのことを知ろうと考えているようです。で、今日がその初日のようですが…

「なるほど…で、その子はどこに?」

「は、はい…」

でも
とっくに集合時間を過ぎてるのに全く現れない1年生。初日から大遅刻かよ!いきなり期待が持てそうにありませんな
こんなことなら笙子をキープ君に入れて、時間をかけて好きになっていけるか試してみればよかったのに…

「ごきげんようー!お手伝いに来ましたー!あっ皆さんお揃いですね!
 私1年李(すもも)組の…」

「何かあったの?」

「はっ?」

「来るのが遅くなった理由はなんなの?」

「あ、はい!実は今日、体育の授業で髪の毛にクセがついてしまって。
 それがなかなか直らなくって〜」

「な…」

「変じゃないですかぁ?」

(ひ、ひいい…これはまずい…!)

話にならぬクズ…!!なんと山百合会の約束より自分の髪の毛を優先した大バカ1年生。
あまりにも常識の欠けたその態度に祥子の怒りが大爆発、即レッドカードを食らってその1年生は退場させられてしまうのでした

そして火曜日、やってきたのは薔薇さま3人にサインをねだりまくるミーハー女。言うまでもなく妹失格です
そして水曜日、やってきたのは友達4人を引きつれて自分1人じゃ行動できない主体性のない女。言うまでもなく(ry
そして木曜日、やってきたのは由乃に軽く注意されただけでわんわん泣き出す弱虫女。言う(ry
そして金曜日、とうとう来る前から諦めたのか、約束した1年生は姿を現すことすらありませんでした
祐巳達が見る目なさすぎて泣けてくる
笙子を振ったあげくに選んだのがこんなボンクラ1年生かよ!どう考えてもこんな奴らを連れてくるより
これから笙子と仲良くなる可能性に賭けた方が100倍マシだったじゃないか!
今は特別な仲じゃなくても、少し一緒にいたらいくらでもそうなる可能性あると思うんだけどなぁ。なんであんな真っ先に振るのかと:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「どうしよう…明日は交流試合…江利子さまに妹を紹介する日…」

「なんでそんな約束しちゃったの…」

「私は売られたケンカは買う主義だもん!」

「江利子さまとそんなに張り合わなくても」

「令ちゃんを挟んで向こうとこっち、私とあの人は永遠のライバルなんだもん!」

「こ、この際素直に謝るしかないんじゃない?」

「それで”ほらごらんなさい”って勝ち誇ったように笑われるのはごめんよ!それだけは絶対イヤ!」

「じゃあどうするの…?」

「……………江利子さま、忘れてるかもしれない」

「えぇ…?」

「あの方色々お忙しいし、恋人もいらっしゃるし、大学もリリアンではないから
 交流試合を見に来る時間なんてないかもしれない。きっと来ないわ!!」

妹探しが大失敗に終わり万事休すとなった由乃。もはや
「デコのことだからどうせ約束を忘れてるぜ」
現実逃避するくらいしか対策がありませんでした(えー
結局そのまま迎えてしまった交流試合の日、祐巳は試合会場の観客席に、由乃は選手の入場口に並んでいましたが…

「ハーイごきげんよう祐巳ちゃん」

「え、江利子さま…」

「ごきげんよう江利子さま、それに聖さまと蓉子お姉さままで」

「だって今から面白いことが起きるんでしょ?」

「聞いたわよ〜?」

由乃終了のお知らせ。人をからかうのが生きがいの凸様が、こんなオイシイ約束を忘れてるわけがありませんでした
なんと
「面白いものが見られるぜ」と蓉子と聖まで引き連れての布陣で登場です。2人とも面白いものには弱いからなぁ

「祐巳ちゃーん、由乃ちゃんの妹はどんな子?」

「さ、さあ…」

「とぼけたってダメ」

「そ、それがまだ紹介してもらってないんです。由乃さん、江利子さまに一番に報告するって言ってましたから」

「ふ〜ん、誤魔化すのが上手くなったわねえ祐巳ちゃん」

(ひいい…)

「まあいいわ、お楽しみは長い方がお得だものね。ふふふ」

(よ、由乃さんどうするのよぉ)

(…どうしよう…)

由乃に妹がいないと分かっていながら、手始めに祐巳を言葉責めして遊ぶ凸様。
祐巳でこれでは、由乃本人を前にした時どれだけコケにしまくるか分かったもんじゃありません
そんな凸様を試合場から眺める由乃は、刻々と迫る
公開処刑の時間に頭を抱えるのでした(えー

「あの子かな〜、この子かな〜」

リリアンの試合までは時間があるので、暇潰しに由乃の妹を探して遊ぶことにした聖たち。
まあウォーリーをさがせみたいなもんですな、そして観客席をぐるぐる見回して聖が指差したのは…

「ん〜…あっ、向こう側の席の前から3列目の子!」

「あの子は新聞部の2年生でしょ」

「あ〜そっか、築山美奈子の妹だ」

「次は私の番ね…あっ、志摩子の隣にいる子!」

「ざ〜んねんでした、あれは志摩子の妹」

「まるで西洋人形と日本人形ねえ」

「私はあそこにいる2人のどっちか」

「あぁ〜、1人は夕子ちゃんの娘だわ」

「可南子ちゃんって言うの」

「え?え?」

聖が選んだのは祐巳のクラスメイトの山口真美、蓉子が選んだのは乃梨子、そして凸様が選んだのは可南子…
というか単なる剣道部の交流試合なのにめちゃめちゃ人集まってますね。県大会や全国大会でもないのに
なんで真美も志摩子も乃梨子もドリルも可南子も、他の大量のリリアン生徒も集まってきてるんだろう…(えー
そして
一人だけ可南子の事情を知らずに混乱する哀れな凸様。確か凸様は現役時代もこんな風に
ストーリーからハブられまくってたっけなあ。これこそ黄薔薇はいらない子、
凸様さすがです!(えー

(や、やっぱりここは思い切って正直に…”ごめんなさい江利子さま、残念ながら妹は作れませんでした…”
 あぁいやだ謝るのは嫌!”じ、実は妹は風邪をこじらせて…”そうだ、仮病を使って!)

「じゃあ気合を入れて行こう!」

「「「はい!!」」」

(うっ…よ、よし決めた!試合が終わったらまずこの会場から逃げる!
 江利子さまが諦めて帰るまで、どこかに隠れる!!)

よ、由乃あんたって人は…もう完全に剣道のことなんて頭からぶっ飛んでますよ!
試合直前まで凸様とどう話すか頭をフル回転させた結果、由乃が達した結論は
敵前逃亡をはかるということでした(えー

そして始まったリリアンvs太仲女子の試合。なかなかの奮闘を見せた令たちでしたが、残念ながら太仲女子に敗北を喫してしまいます
あまりの悔しさに涙が止まらないリリアン剣道部、そんな仲間たちにさすがの由乃もうるうる涙を溜めてしまい…

(はっ…!?し、しまった!)

しかし、不覚にもそれは凸様に観客席から動き出す時間を与えることに!
慌てて観客席を見てみると、すでにそこには凸様の姿はありません。出口で待ち伏せされる前になんとしても逃げ出さなければ…

「お先ーっ!!」

「よ、由乃!?」

「ごめん見逃してぇーっ!」

しくしく泣いている仲間たちの横をドタバタ駆け出していく由乃。令たちがぼーぜんと見送る中、出口のドアへと走りますが…


(C)三条陸・稲田浩司/集英社

知らなかったのか?
大魔王からは逃げられない…!
(えー

「何を急いでいるのかしら」

しかしまわりこまれてしまった!!
時すでに遅く、すでに待ち構えていた凸様に見つかってしまった由乃!
こうなってしまってはもう観念するしか…しかし、凸様に屈するのだけは絶対我慢できない由乃は
ここまできても嘘をつきまくってなんとか誤魔化そうとします

「まさか妹ができなくて私から逃げるなんて、そんなわけないわよねえ」

「ぐっ…ま、まあ江利子さまは私を見くびっておいでですか?」

「じゃあ妹は出来たのね?」

「もちろん」

「ロザリオは令から貰ったのをあげたの?」

「ええ」

「おかしいわね〜、それロザリオじゃないの?」

「え、ええロザリオです、実は江利子さまの前でと思ってまだ渡してないんです」

スールの契りを結ぶ時には、姉から妹へロザリオを渡すのがリリアンの慣習です。それを突っ込まれた由乃は
「私のロザリオ?ああ渡しました渡しました」
「じゃあお前首から下げてるのは何よ?」
「…あっそうでした、江利子さまの前で渡すつもりでした」と苦しい言い訳を…やっぱり嘘で誤魔化すには無理がありすぎますな



「まあ…で、肝心の妹さんは?」

「い、妹は…うぅ…あっ、い、今お手洗いに!ちょっと見てきまーす!」

「あっ!待ちなさい由乃ちゃん!」

(トイレの個室に逃げ込もう!!)

そこまでして逃げるか由乃ー!!なんとトイレの個室にこもって意地でも凸様に負けを認めないつもりのようです
み、見苦しい、見苦しすぎる…というかこういう会場での女子トイレは
必ず長蛇の列ができてるから
由乃のもくろみも失敗に終わるんじゃないのかな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「わーっととと!?」

「だ…大丈夫ですか?」

しかしトイレへの曲がり角にさしかかった時、危うく人にぶつかりそうになる由乃!慌てて避けたせいでハデに転んでしまいます
手に持っていたロザリオもポーンと放り出してしまい、そのぶつかりかけた人に拾ってもらいますが…

「きれいなロザリオ…あっ、ごめんなさい、お返ししますね」

「由乃ちゃ…んっ?まさかその子…」

由乃がロザリオを受け取ったまさにその時、追いかけてきた凸様がそこに姿を現します
しかしこの瞬間だけ2人を見てみると、
よ…由乃がロザリオあげてるー!?と実際とはまるで逆のような光景!
まさか本当に妹が…とあっけにとられている凸様を見て、由乃はすかさずそこにつけ込むことにします

(ラ、ラッキー!リリアンだ!)

「(ぼそぼそ)話合わせてっ!」

「えっ…?」

「紹介しますわ、彼女が私の妹にしたいと思っている子です」

「えっ、あ…有馬菜々と申します、初めまして」

菜々のスカートがリリアンの制服なのを見て、これなら姉妹の話にもついて来れると踏んだ由乃。
話を合わせてくれることを祈って妹だと紹介すると、菜々は上手くそれを察して話を進めてくれました
こんな無茶振りにしっかりついて来るなんて大したもんだなぁ

「ふぅ〜ん菜々ちゃんね…覚えておきましょう。ついでですもの、儀式も済ませてしまいましょうよ」

「あ、あぁそれはいずれ…色々と事情がありまして…」

「どんな事情?」

「あ…うぅ…えっと…」

「申し訳ありません、私の方の事情で今すぐロザリオをお受けすることが出来ないんです」

「ふむ…ま、いいでしょう。由乃ちゃん、妹を紹介してくれたご褒美にしばらくそっとしといてあげるわ。ごきげんよう」

あっさり凸様追い返しちゃったよ菜々!なんて空気の読める人なんだろう、由乃が儀式まではしたくないことを察して
自分で言い訳を考えるとは…天敵の凸様を追い返してくれるなんて、由乃にとっちゃ救世主みたいなもんです(えー



「そんなこと言わずにいつでも遊びに来てくださいよー!」

「そうだ、菜々ちゃん」

「ひっ!?」

「身だしなみはきちんとね。トレーナーの中を直しなさい」

「あ、はい…」

み、身だしなみ?最後に意味不明な言葉を残して去って行った凸様。トレーナーの中って言われても…
下に何を着てるかなんて外からじゃ全然見えないんだから、
直そうが直すまいが見た目は何も変わらんと思うんですが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
「ごきげんよう」とまで言った後に、凸様はなんでこんな言葉を残して行ったのか…

「は〜…ありがとう、助かったわ…」

「でもあの方、見破ってましたよ」

「え!?あ、あなた中等部の生徒だったの!?」

なんと、菜々のトレーナーの下に隠れていたのはリリアン中等部を示す黒いリボン!
さらにそのリボンが少々ほどけて
タイが曲がっていてよのような状態に!な、なんと…凸様は菜々が中学生なことも、
リボンがほどけそうになっていることにも気づいていたのか!
というか
トレーナーで見えないリボンに気づいた凸様は超人ですか!?(えー

「江利子さまは…気づいてた…?」

「はい」

「あ…あはは…はは…は…はぁぁ〜〜…」

「支倉令さまの妹さま」

「ん…?」

「あなたの妹は、そのロザリオをもらえるんですか?」

「え?」

結局凸様はお情けで見逃してくれたことが分かり、その場にへなへなと座り込んでしまった由乃。
元々赤の他人な菜々もその場を去っていきますが、最後に由乃へ意味深な質問を…
「ロザリオをもらえるんですか?」って一体なんなんでしょう、わざわざこんなことを聞くってことは
少しは菜々もロザリオを欲しいって気があるんでしょうか…?

「祐巳さん!私…3年生になっても妹ができていなかったら、
 その時は…有馬菜々を妹にする!」

「へっ…?」

いきなりそこまで飛躍するのかお前はー!!あの少ないやり取りでよほど菜々が気に入ったのか、
次の日祐巳に菜々をいずれ妹にすると打ち明ける由乃。「妹にしたい」じゃなくて「妹にする」なんて
菜々の意見なんぞ聞かずに言い切るとは、由乃らしいというかなんというか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「…と由乃さんは言ってます」

「それで?」

「私はますます追い込まれました…」

「ふふ、そのようね」

「私ね…お姉さま。今では茶話会をやってよかったと思うんですよ、茶話会をやる前よりずっと妹のことを
 真剣に考えるようになりました。お互いに心から好きでいられる相手に出会えたらいいなって」

「そうね。それは本当に単純だけど、意外に難しくて一番大切なことだわ」

「あっ…」

「祐巳、私たちのようにお互い大好き。そういう妹を見つけなさいね」

「は…はい!!」

うーむ…最後は祥子と祐巳のちょっといい話って感じでまとめられましたが、
「そのうちお互い大好きな妹が見つかればいいなー」って、すでに2年の秋も終わりにさしかかってることをお分かりですか!(えー
そんな悠長なこと言ってたら、あっという間に祥子卒業して祐巳ひとりぼっちですよ!
そもそも「祐巳の妹になりたい!」って1年生は、
今回の茶話会で全滅したわけだしなー:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
とてもそんなのん気なこと言ってられる状況じゃないと思うんですが、どうなることやら…次回に続く!


■マリア様がみてる 4th season 第5話「紅薔薇のため息」




「期末試験が憂鬱だ〜〜…」

しょっぱなから
薔薇の館のカリスマを粉々に吹っ飛ばした由乃の図で始まった今回の話。
今日は山百合会みんなで集まって試験勉強をしているようで、英語が苦手な由乃は全然勉強がはかどってないみたいです

「由乃は苦手な教科ほどサボりたがるんだよねえ」

「むっ…」

「私は『試験が終わったらこれをしよう』ってものを用意しておきますよ、不思議とがんばれるので」

「乃梨子は仏像を見に小旅行をするのよね」

「はい!」

そんな由乃に勉強のモチベーションを保つコツを教えてあげる乃梨子。
それにしても
ご褒美が仏像って会話が女子高生の口から出てくるとカオスすぎて吹く:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
普通だったらそんなのご褒美どころか
罰ゲームのレベルですよ!(えー

「そうよ!ご褒美を作ればいいんだわ!試験休みにどこかへ遊びに行きたいなあ、いっそみんなで出かけちゃう?」

「それじゃあ試験休みに遊園地へ行きましょうか、ただしジェットコースターには乗らなくてよ」

「わぁ!う、嬉しいどうしよう!ええっと、皆さんのご都合はいかがですか?遊園地の嫌いな人は…」

「何を言ってるの祐巳、遊園地には2人で行くのよ。当たり前でしょう」

そ、それは由乃への嫌がらせですか祥子さま!!(えー
「みんなで一緒に出かけましょうか」 「それじゃあ私と祐巳だけで遊園地行ってくる」とか由乃マジ涙目すぎる
一体何が「それじゃあ」なのか全然意味が分からないよ祥子さま!とにかく祥子と祐巳が2人で遊園地へ行くことはもう決定だそうです
その日からあっと言う間に試験は終わり、約束の日を迎えた2人は駅で待ち合わせしますが…

三鷹駅キター!!おおなんと懐かしいこの風景
祐巳達のよく使う駅は
中央線三鷹駅と吉祥寺駅っていうのは有名な話ですが、今回2人は三鷹駅の方に集まったみたいですね
三鷹には私も大学の4年間住んでたんで、この図はすごい見覚えあるなぁ。こういう身近な風景をアニメで見るとニヤニヤが止まらないぜ

「15分前…ちょっと早かったかなぁ〜」

「おはよう祐巳」

「お、お姉さま!?おはようございます…」

「興奮して早く目が覚めてしまって、前倒しで早く着いてしまったのよ」

「お、お姉さまが興奮…」

ゴルフの朝は目覚ましが鳴る前に目が覚める、なんて言うじゃない?そんな感じかしら」

ゴ、ゴルフの朝は早く目が覚める!?祥子さまそれちょっと
喩えがオヤジくさくないですか!?(えー
ゴルフの朝って言われてもどんな感じなのか全然分かんないなー
私的に言うなら
バトスピの朝(日曜朝7時)は目覚ましが鳴る前に目が覚めるってとこか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「家の者とかがね、車を出すから乗っていけって言うのよ。断るのが大変だったわ」

「車…」

「みんな分かってないわね、祐巳と2人で満員電車に揺られたり、乗り換えの駅で迷ったりするのが楽しいのに」

「た、楽しい…ですか?」

どうやら祥子としては、順風満帆な車の旅より波乱万丈な電車の旅の方がお気に入りのようです。
でも祐巳はそんなハプニング満載の旅より、ゆったりのんびり順調な旅の方がお好みのようですね

「楽しいわよ、2人ならきっと」

きらきらきらきら

「お、お姉さまっ!」

きらきらきらきら

こ…この2人アホやーー!!ただ電車に乗るだけでなにをそんなキラキラ空間出してるんですか!この2人最高すぎる
というわけで総武線の電車に飛び乗った2人は、長い間ガタンゴトンと揺られてお城のようにでっかい遊園地に到着します
うーむここはどこの駅なんだろう…この規模だとやっぱりディズニーランドとかになるのかな?
とにかく2人が期待に胸を躍らせて受付へと向かっていくと…

「あっ、あぁ!?どうして!?」

「やあ」

俺の柏木さんキタキターー!!(゚∀゚≡゚∀゚)
なんと遊園地の前で待っていたのは我らのギンナン王子こと柏木優!なぜか祐麒まで一緒です。知らない人のために説明しておくと
柏木さんは
顔がよくて頭がよくて背が高くて金持ちでスポーツできて声がかっこよくて(声優:檜山修之)祥子の婚約者という
スーパーマンみたいな奴ですが、
でもホモという点ですべて台無しにしてる愛すべき男です:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

今までの柏木さんの出番は、アニメだと壮絶にカットされまくってるのでちゃんと出てきてくれて嬉しいですね
第2話でも原作では可南子パパと色々喋るシーンがあったのに、アニメだと
一瞬姿が映っただけで終わりっていう
通行人以下の扱いだったしなあ;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「祐麒!なんでここにいるのよぉっ!」

「そ、それは俺も知りたい…」

「そんなの答えになってないじゃない!」



「お前ら私たちの邪魔しにきやがってー!」とぐわんぐわん祐麒を揺さぶりながら事情を吐かせようとする祐巳。
しかし祐麒は本当に何も知らないようで、ここへは柏木さんに強引に連れてこられてしまったみたいです
でも祐麒と話してる時の祐巳って、こんな風に素の感情をあけっぴろげにするから好きだなあ
祐巳がこんな風に100%何の遠慮もなく喋る相手って祐麒だけだし。だから私は祐麒が出てくるのが好きです

「優さんどういうこと?あなたのエスコートは昨日、丁重にお断りしたはずですけど」

「もちろん聞いたよ」

「ならどうしてここにいるの?」

「いちゃいけないかな?僕らはこの遊園地への入場ができないってことはないよね」

「…分かったわ。じゃああなたは私たちと関係なくここへ遊びに来たってことね」

「そんな風に思ってくれると嬉しいな」

「祐巳、チケットを買いましょう。こんな人に関わっているだけ時間の無駄よ」

一体どうしたんだ柏木さん、祥子の質問に対して
「なんで答えなきゃいけないんですか(笑)」と言いたげに
なんだか腹の立つ答えばかりを返してしまいます。とうとう頭に来た祥子は
「はいはいじゃあ勝手にやってろカス」
柏木さんを無視してチケット売り場へ向かうことに…

「そうそう自由にやってくれたまえ、こちらも好きにやらせてもらおう。おいユキチ、行くぞ」

「は、はい…」

「すいませんうちの祐麒まで…」

「いいの、優さんが強引に連れてきたんでしょう。でもどういうことかしら…
 ただ邪魔をするためだけに、こんな事をする人じゃないのだけれど…」

「…」

「シカトしてくれるなら望むところだぜ」と祥子達と別れて、柏木さん達は先に遊園地へ入っていってしまいました
柏木さん達はすでにチケットを買ってあったのか…ということは、いつでも遊園地に入れたにも関わらず
わざわざ祥子を怒らすためだけにずっと待ってたようなもんですが…なんだってそんなことをする必要があったんでしょうか?
考えられるのは祐巳たちへの嫌がらせくらいのもんですが、柏木さんがそんなアホなことをする奴じゃないのは祥子がよく知っています
果たして柏木さんは一体なにを考えているのやら…

ともかくチケットを購入した祐巳たちも遊園地の中へ。このくらいでかい遊園地となると
遊ぶ時間より
並ぶ時間の方がよっぽど長いのが普通ですが、試験休みってことは今日は平日なんでしょうか
ともかく客の数はいい感じにばらけており、祐巳たちは次々に楽しいアトラクションを体験していきます

「あぁ〜楽しかったわ!祐巳も見た?あの大きなカエル」

「はい!あそこで私思わず…」

「へーえ、群馬から来たの」

「そうなんです〜」

存分に遊園地を満喫する2人でしたが、その時
楽しい時間に冷や水をぶっかけるような柏木さんの声が!
何事かと祐巳が振り向いてみると、柏木さんは
祐巳たちのすぐ後ろで聞こえよがしにナンパしてるところでした。
柏木さん実は本当に2人の邪魔したいだけじゃないんですか!(えー

「お2人なんですかぁ?」

「そう、僕たち2人っきりなんだ」

「えぇ〜、ほんとに?」

「えー?男2人ってそんなに怪しい?傷つくなあ〜」

「…」

「バカね、気にしたら優さんの思うツボよ」

やたら邪魔くさい柏木さんの声のせいで、後ろが気になってしょうがない祐巳。祥子は
「無視しろ無視」と言いますが
そう言われてもなかなか簡単にはいきません。まあでも、どこかのアトラクションに入ってしまえばそれ以上追いかけては…

ってどこまでついて来る気だー!!
なんとそこらのアトラクションへ入った後も露骨に後をついてくる柏木さん!
ちらちらと後ろが気になる祐巳に向かって、ニコニコ笑って手まで振る始末です。なんてやつだ

「レストランは多分今が一番混んでいるわね、もう1つ何か乗ってご飯にしましょう」

「あっ、はい!」

「(すたすたすたすた)」

「お、お姉さま?」

その時、お昼の前に何か乗ろうと言い出した祥子は、何に乗るかも言わずにいきなり歩き出してしまいます
一体どうしたんでしょう、祐巳に相談するまでもなく乗りたい何かがあるのか…って



「ジェットコースターは得意?」

「えっ、あ、あまり得意ではありませんが…」

「じゃあ優さんでいいわ。祐巳と一緒に乗ってくださらない?」

「オッケー」

な、なんじゃああああああ!?突然どうしたっていうんですか祥子は!
あれだけシカトすると決めていた柏木さんに、いきなり歩み寄って
「お前ちょっと祐巳とジェットコースター乗ってきてよ」って!?
唐突すぎて意味が分からないよ!祐巳も祥子の言い出したことが理解できずにパニック状態です

「お、お、お姉さま!?私ジェットコースターなんて!」

「私が見たいのよ、祐巳が乗る姿。いいでしょう?」

猛抗議する祐巳でしたが、祥子の
「だって見たいんだもん」という一言で一蹴されてしまいます。そ、そんな…
そんだけの思いつきでこんなこと言い出すとは相当無茶です祥子さま

「で、でも、だったら柏木さんじゃなくても…!」

「どうして?ただの付き添いだったら、柏木さんでもいいじゃないか」

「…」

「それとも、僕とさっちゃんが仲良く待っていようか?」

「い、嫌ぁぁぁぁぁ!!それは絶対に嫌!!」

ウホッ!いい男… どう見ても阿部さんのようなポーズでベンチに座る柏木さんを想像してしまった祐巳。
さすがガチホモ柏木さんは
いい男のポーズが似合いすぎるから困る:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
そんな柏木さんと祥子のツーショットに耐えられない祐巳は、やむなく柏木さんとジェットコースターに乗ることを承諾。
しぶしぶ祥子と祐麒をベンチに置いて、ジェットコースターの列に並ぶのでした

「…柏木さんって分からない」

「なにが?」

「どういう人なのか、なに考えてるのか分からない」

「いいね〜」

「…」

列に並んでる間、
「あんた一体なに考えてんの?」と明らかに柏木さんを煙たがる祐巳。
しかし柏木さんは
「いいねえ〜」なぜか大喜びしてしまいました。なんなんだあんたはー!



「僕は保険さ」

「…?」

「”何かがあった時に必要になるかもしれない”くらいに思ってよ」

「何かって何?その何かは起こるの?」

「僕は、僕が必要にならないほうがいいと思っているよ」

その時、ようやく自分がここへやってきた理由を語り出した柏木さん。ですが具体的なことはさっぱり分かりません
ただ、その口ぶりはまるで祥子たちのボディガードにでもやってきたかのような…

「…分かった」

「この話はさっちゃんには内緒だよ」

(そうなんだ…柏木さんが遊園地に来たのは、お姉さまのことを考えてのことなんだ…
 柏木さんは一応お姉さまの婚約者でいとこ…私と知り合う前からお姉さまのことを知っていて、
 私の気づかないことを私より早く気づく…だから祐麒を連れてここへ来たわけで…だから…だから…!)

”ムカつき”が止まんねーよ!?と柏木さんへの嫉妬がぐるぐる頭の中を駆け巡る祐巳。
柏木さんの方が祥子を理解している事実を見せつけられる度に、どうにもイライラが溜まってしまうようです
こうも嫉妬してしまうとは、祥子のことを好きになりすぎるのも考えものですな。つまり百合がなければ全て丸く収まる:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ひいいいやああああああああああ!!」

そんなことをうだうだ考えている間にもジェットコースター出発進行!
絶叫マシーンは苦手なのかバカでかい叫び声をあげてしまう祐巳、離れて見てる祥子が思わず耳をふさぐくらいです

「うふふ、祐巳はずいぶんと楽しそうだったわねえ」

「えぇ?し、下からじゃ分からなかったでしょう?」

「そんなことないわよ、キャーキャー叫んでいたの分かったもの」

そしてさっき言っていた通り、ジェットコースターに乗った後はランチタイムにすることにした祥子たち。
祥子はさっきの祐巳の姿が相当面白かったようで、
物凄くニヤニヤしながら祐巳の姿を回想します

「お、お姉さま…」

そう祥子に言われて恥ずかしさと嬉しさが混ざったような顔をする祐巳。
「あんなキャーキャーうるさい中で私の声に気づくなんて、さすがお姉さまだわ!」と思ってるのかもしれませんが…

「お前の声かなり響いてたんだよ…俺にだって分かったぞ」

「う…うぅ…」

しかし実際は
人一倍はしたない大声あげてたので丸分かりだったというだけ。
そんな情けないところを見られた祐巳はがっくりと肩を落とすのでした

「優さんはずいぶん大人しかったわねぇ、もしかして恐かったの?」

そして今度はからかい相手を柏木さんに移した祥子。恐がってたんじゃないの〜?と冗談めかして聞いてみますが、
さすがにそれはないでしょう。柏木さんのことだからいつもの爽やかスマイルで…

「…うぅ…」

って、ど、どうしたんですか柏木さん!?
なんでそんなしょんぼりうつむいてるんですか!?(えー
図星なのかよ柏木さん!なんという意外…あの何をやらせてもスーパーマンな柏木さんがジェットコースターを恐がるなんて!
でもいつも余裕たっぷりの柏木さんが
「今のジェットコースター恐かったお(´;ω;`)」ってなってるのはなんだか萌えるな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

そして食事の後はまた遊園地をあちこち周る祐巳たち。祥子も祐巳も「うふふ、あはは」と2人の時間を心から楽しんでるようです

「わっわっ、わぁ〜!」

「ふふふ」

そんな祐巳たちが次に発見したのは、道ばたで大道芸をやっている着ぐるみ達でした。
可愛らしい姿で華麗なトリックを次々に決める着ぐるみ、そんな姿に感心しきりの2人でしたが…

「すごいすごい!ねえお姉さま見ましたか!?今…あ、あれ?」

しかしその時、祐巳が祥子の方を振り向くと隣の祥子の姿がありません
たった今まで横でニコニコ笑っていたはずなのに、一体どこに…って

「はあはあ…はあはあ…はあ…!」

「お…!お姉さまっ!!」

こ、これは一体!?今の今まで普通にしていた祥子が、急に
フルマラソン走り終わった後みたいに
息を乱してかがみ込んでいるなんて!突然起こってしまった祥子の不調に頭がついて行かない祐巳、
分かるのは祥子の苦しそうな表情だけです、それが余計に祐巳の気を動転させてしまい…

「お、お姉さま…!お姉さま…!」

「…立てるかい?みんなの迷惑になるから、騒がないでそっと出よう。その方がいいね?」

「はあ…はあ…ええ…」

そんな祥子の前に颯爽と現れたのは柏木さん!すぐに祥子を優しく抱きかかえると、近くのベンチへ連れて行って休ませます
頼りになるな柏木さん…さっき言っていた「何かあった時のため」っていうのはこういうことだったんですね

でもベンチに来るとやっぱりいい男座りですか柏木さん!
その座り方やめてください!突然ホックを外し始める場面しか想像できないから!(えー

「お、お姉さま…」

「祐巳ちゃん、泣かなくていいから…さっちゃんは貧血っていうか人いきれっていうか、
 つまり一瞬クラッとしちゃっただけさ」

「ごめんなさい祐巳…優さんの言う通りなの…」

「昔からさっちゃんは、よく出先で気分を悪くしてたよね」

「そうね、治っていなかったのね…がっかりだわ」

うーむ…どうやら祥子は人ごみに酔ってしまう体質のようで、今のは人ごみにずっと紛れているうちに気分を悪くしてしまったようです
祥子は筋金入りの箱入り娘だからなぁ…ずっと俗世間から離れた生活してたせいで、こんな体質になっちゃったんでしょう

「今日のところは引き揚げて、続きはまた後日ということにしたら?」

「あ…もう良くなったわ」

「君のためじゃないよ、僕達のためだ。このまま遊んだって君の事が心配で楽しめない」

今日のお楽しみはここで切り上げることを提案した柏木さん。この言い方からして、さすが柏木さんは祥子の扱いを心得ていますね
「君の体を大事にしなきゃダメだ」とか正直に言ってみたところで、多分祥子は


(C)鳥山明/集英社

バカバカしい!
オレはいま遊ぶぞ!!

と意地を張って言うことを聞いたりしないでしょう(えー  でも「僕や祐巳ちゃんが楽しめない」と言うことで
「祐巳のためだったら仕方ないわね…(´・ω・`)」と引かせることに成功したと…
実際、祐巳はもう涙ぐんでしまって遊園地で遊ぶどころじゃないですしね

そして遊園地を後にした一同は、柏木カーで小笠原邸へ向かいます。さっきは「もう良くなったわ」と言っていた祥子でしたが
実の所かなりのムリをしていたようで、車の中ではずっとぐったりしているままでした

「柏木さんは…こうなるって予測してたんでしょ?どうして止めなかったの」

「それは、さっちゃんが凄く楽しそうだったからだよ」

「え…?」

「楽しそうだったんだよ、本当に…僕はあんなに笑顔のさっちゃんは見たことがない」

「でも…」

「予測を気にしすぎて、一切を排除したら何も残らない。さっちゃんは祐巳ちゃんと一緒に
 色んなことをしたいんだよ、それを阻むことの方が僕には酷だと思えた」

おお、なるほど…柏木さんは祥子が楽しみにしていたこのお出かけをぶち壊しにしたくなくて、
祥子が出かけるのをあえて止めなかったんですね。それでいて、もしもの時はフォローしてあげようと…
誰に頼まれたわけでもなく、柏木さんにはメリットもないのに待機しててくれるなんていい人すぎるぜ…
でも柏木さん、祥子を心行くまで楽しませてやりたかったっていうなら
あのお邪魔虫な行動の数々はなんだったんですか!(えー
影からこっそり見守ってあげてれば言うことなしのいい人だったのに!一体何を考えてあんなことを!
ううむ…もしかしたら柏木さんは、「今まで見たこともないほどの祥子の笑顔」を見て、
祐巳にちょっとした嫉妬をしてしまったとか…?だから全面的に協力するのをシャクに思って、
あんなようなお邪魔虫な行動をしてしまったとか…

「あっ、お電話お借りします。家に電話しておきたいので…」

「電話ならこの部屋を出て廊下の左側よ」

キンコーン

「あら、岩松先生よ」

「先生をお呼びしたの?」

「よっぽど悪いと思ったのよ、せっかくだから一応診ていただいたら?」

「もう、大丈夫なのに…」

小笠原邸に到着し、ひとまず全員応接間に通された祐巳たち。しかし祐麒は電話、祥子は診察のためにすぐ部屋を出て行ってしまいます
というか今回はさすがに
おでんとお電話を聞き間違えなかったか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「やっと2人きりになれた」

「…!?」

な、なんですとー!?と、突然何を言い出すんですか柏木さん!
まさか
「俺はノンケだって構わず食っちまうような人間なんだぜ」と祐巳に迫ろうと!?あおおーっ!

「と思ってるのは祐巳ちゃんじゃないかな?」

「…うぬぼれてますね!」

「それほどでもない、ただ僕と話をしたいんじゃないかなと思っただけだよ」

な、なんだ…単にからかい半分で言ってみただけか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  まったく人騒がせな人だ…
そして
「僕に話したいことがあるんじゃないの?」というのはズバリその通りのようですが、
図星を突かれた祐巳はかえってヘソを曲げてしまいます

「私、柏木さんのこと嫌い!!」

「それはよかった、あっははははは」

「どうしてそういう答えが…」

「祐巳ちゃんてさ、誰か気に入らない人がいても、堂々と本人には言わないタイプに見える。
 だからそれをあえて口にするってことは、僕にかなり強い感情を抱いているということだ。
 それは僕にとって嬉しいよ、なんとも思われてないことの方が辛い」

なんつー人だ柏木さん、無関心に思われるより大嫌いと思われる方が嬉しいってことですか
要するに
いいさ嫌われたって、マゾってのはそういうスリルも快感なのさというやつか…(えー
私は無関心の方が気を使わなくて済むから楽だけどなぁ

「私は…柏木さんに嫉妬してるんだと思う」

「それは分かっているよ」

「柏木さんは祥子さまのことが好きでしょ?祥子さまのことを愛しているんでしょ?
 見ていて分かる、でも柏木さんは…!」

むう…柏木さんへの嫉妬心と同時に、
「祥子さまのこと好きなくせになんでいつもロクな真似しないの」という感情が入り混じって
とにかく柏木さんを問い詰めようとする祐巳。それに対して柏木さんは…

「そうか…君には見えてない部分もあるんだよ。僕は確かにさっちゃんが好きだ、でも好きにも色々ある。
 さっちゃんが好きだが祐麒も好きだ、そして祐巳ちゃんも好きだよ」

「祥子さまが一番じゃないんですか?」

「一番ってなんだい?犬が好きだ、メープルパーラーのゼリーが好きだ、どれも同じ天秤では量れないだろう?」

「で、でも、人だもの…!」

「祐巳ちゃんは、お父さんとお母さんのどっちが好き?それに祐麒を加えたら…?さっちゃんは?
 一番なんて決められないだろう」

な、なんと、ここにきて柏木さんの意外な性癖が明らかに…どうやら柏木さんは、人を好きになるのに
LIKEの感情しか持ったことがなくてLOVEの感情を実感できない人のようですな…
今までのホモな発言も「男が好き」と言うよりは、「男も女も柏木さんにとっては変わらない」と言ったほうが正確なのか…
でも
「さっちゃんが好きだ」の後に真っ先に「祐麒が好き」って言うのは勘弁してください!(えー



「さっちゃんは好きだよ、でも結婚する気はない。それが今の正直な気持ちだ」

「柏木さんは…相手が祥子さまだから結婚しないの?それとも誰とも結婚しないの?」

「祐巳ちゃんとならしてもいいよ」

「悪いけど、そういう冗談笑えないからっ!」

「はは、了解。やめよう」

またしても
「祐巳ちゃんと結婚したいよ〜」などと祐巳を口説くような冗談を言う柏木さん。
しかしこれだけ何度も言ってると、まさか本当に祐巳のことが好きなんじゃ…という気になってきますね
でも一番好きな人なんていないってたった今自分の口で言ったばかりだしなぁ、やっぱりよく分からない人です柏木さん

「最後に一つだけ…僕を倒したって君は勝てないよ」

「え?」

「僕に嫉妬しているようじゃまだまだってこと。こんなところに留まってないで、もっと上のステージを目指せよ」

「…?」

「そんな目をしたってダメだよ、これ以上ヒントはあげない」

そんなこと言わないでもっとヒントくださいよ柏木さん!(えー  上のステージって言われてもなんの事だか…
うーん…要は
「自分と祥子の絆なんてたかが知れてるから、そんなのをライバル視してちゃまだまだだよ」
とかいうことが言いたいんでしょうか?例えばの話、
天下一武道会で優勝したいなら
チャパ王をライバル視しててもしょうがないみたいな(えー

「…敵じゃないとしたら、柏木さんはなんなの?」

「同志」

「…?」

「祐巳、祥子さんが部屋に来て欲しいって」

最後にまた柏木さんが変なことを言ったその時、祐巳は祥子の部屋に呼び出されてしまいました
同志ってのは何のことなんだろう…うーん、考えられることとしては、今祐巳に注意したケチな嫉妬心を
柏木さん自身も持ってしまっているってことだとか?今日のお邪魔行動がそのケチな嫉妬心によるものだとしたら、言うことも分かるんですが…

「応接間に戻るつもりだったのだけれど…」

「いいんです、寝てらしてください」

「…どうかして?」

平静を装って祥子に話しかける祐巳でしたが、祥子は祐巳がずいぶん落ち込んでいることに気づいていました
祥子がそっと祐巳の顔に優しく手を添えると、今まで溜めていたものが噴き出したように祐巳は泣き出してしまいます

「私…今日柏木さんに嫉妬しました」

「あら」

「だって、私がしたくても出来ないことをなんでもやってしまうし、
 私が知らないお姉さまのことだってよく知ってるし…」

「バカね、祐巳に出来て優さんに出来ないことだってあるのに…例えば、
 今私が会いたいと思ったのは祐巳の笑顔よ、車の中で私が手を握っていて欲しかったのは祐巳の手だわ。
 知っていることの多さなんて、付き合いの長さが違うのだから当たり前でしょう?
 それを言うなら、私だって祐麒さんに嫉妬しないといけなくなるわ」

「祐麒に嫉妬…?あはは、お見舞いに来たのに逆に励まされちゃった」

柏木さんに嫉妬する必要がないことを、優しく諭すように祐巳に話す祥子。
祥子のおかげで祐巳も少しは気が楽になったようです、やっぱり柏木さんの言っていた「上のステージ」っていうのは
こういう嫉妬をする必要がないくらい、自分と祥子の仲を信じられる状態のことを言ってるんだろうなあ

「今日はごめんなさいね、必ずリベンジするから」

「お姉さま、リベンジなんて気を張らないで、今度行くときは肩の力を抜きましょうよ。
 また具合が悪くなったっていいって気持ちで」

「ふふ、そうね…今日はちょっと頑張りすぎちゃったのね」

「はい」

「もっと楽に考えればいいのにね、祐巳とはこれっきりというわけじゃないんだもの」

「はい!」

次こそは一日中楽しんでやると気を入れる祥子でしたが、それよりもっと自然体で楽しもうと語る祐巳。
これから先も一緒に出かける機会は何度だってある、何度失敗しても大丈夫ということなんでしょう。次回に続く





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