■マリア様がみてる 4th season 第8話「くもりガラスの向こう側」
 

「心配かけでごめんなさい、どうってことない話よ。祐巳が瞳子ちゃんにロザリオを渡して断られたの、それだけよ」

「…」

「う…嘘…」

「乃梨子、言葉に気をつけなさい」

「でもこれは事実なのよ、別に報告することもないかもしれない。でもこうして心配かけてしまったし、
 それにみんなにお願いしたいことがあって」

冒頭からいきなり
お通夜みたいな雰囲気に包まれていた薔薇の館。理由はもちろん、ドリルに振られた祐巳が
激しく落ち込んで戻ってきたからです。誰もが神妙な顔で祐巳を見つめる中、一人だけ
妙にニコニコしながら話を進める祥子。
なんか祥子はいつもこういう時ニヤニヤしてる気がするな…(えー
まあ腫れ物に触るような態度してたら、祐巳が可哀想だと思ってのことなんでしょうけどね

「お願い…?」

「祐巳と瞳子ちゃんのことは、しばらく放っておいてほしいの。祐巳に同情することもなく、
 瞳子ちゃんを責めることもなく…ただ遠くから見守ってちょうだい、これは2人の問題だから。
 もちろん私もそうするわ」

「お姉さま…」

そして祥子からみんなに出された提案、それは祐巳とドリルのことはしばらくそっとしておくということでした
確かに祐巳はしばらくショックから立ち直れそうにないし、ドリルも下手に世話焼くのは逆効果みたいな性格してますしね
そんな祥子の提案に静かにうなずく一同…って
、あ、あれ?いつの間にか菜々がいないよ菜々が!
原作では確かにこの時まだいたのに!もしかして
アニメスタッフに忘れ去られたんだろうか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

そんなクリスマスが終わり、間もなくやってきたお正月。その日祐巳が自宅で過ごしていると、「今年もうちで新年会やるから来てくんろ」という
祥子のお誘いの手紙が送られてきました。
それを見た祐巳の喜びようときたら…
クリスマスの落ち込みようはどこへやら、もちろん行きますともー!!と速攻で祥子に返事の電話をかけてしまいます
これだけお姉さま命なら、祥子さえいれば別にドリルいらないんじゃ
:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  祥子は大学もリリアンだからいつでも会えるしなぁ

「お姉さま、お招きありがとうございます!」

《来てくれるの?》

「もちろんです!」

《そう…祐巳、瞳子ちゃんにも招待状を出したわよ》

「あっ…そう…ですか」

《祐巳に断りなしでごめんなさい、私の一存で…。来ないかもしれないわ…それでもいいと思って出したの
 このまま何もしないでいると、どんどん瞳子ちゃんが遠くなっていく気がして…》

祥子は山百合会のみんなに招待状を送ったようで、その中にはなんとドリルも含まれていました。
「だって早く祐巳と仲直りさせたいんだもん」って、ちょ、ちょっと!
「祐巳と瞳子ちゃんはしばらく放っておく」って言った次のシーンでもうこれですか!(えー
なんか言ってることがメチャクチャですが大丈夫ですかね祥子さま

《あなた呆れているのではなくて?みんなには見守るように言った私が、真っ先におせっかいしているのだから》

「あはっ…超能力者ですか?私の心が読めるなんて」

《超能力者などではないわよ、でも私はあなたのお姉さまだから…だからいいのよ、私は》

な、なんてこった、私の突っ込みは全て祥子にお見通しだったとは
:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  お見それしました祥子さま
自分の行動の矛盾は重々承知してて、それでもここは世話を焼いておくべきだと思ったと…
祐巳も祥子がそれほど自分達を気にかけてくれて、素直に嬉しく思っているようです。これがいい結果に繋がるといいですね

「ごきげんよう祐巳さま」

「あっ、乃梨子ちゃん!」

「明けましておめでとうございます」

「うん、おめでとう!」

そして1月2日。新年会に行くために祐巳がガタゴト電車に揺られていると、電車の中で偶然乃梨子と鉢合わせしてしまいます。
どうやら乃梨子も目的は一緒みたいですね、それにしてもこのファッションは
救命胴衣みたいで可愛くない:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
祐巳もジーパン姿だしなぁ、せっかくのお正月くらい振り袖とか着ようぜ君達…
(´・ω・`)

というか乃梨子の実家は千葉、祐巳が乗ったのは三鷹駅だから、この電車は八王子方面に向かってるんですね
祥子の家は八王子の方か…そこからリリアンに電車通学するには、東京方面の中央線に乗るわけだから
毎朝通勤ラッシュがひどくて人ごみに弱い祥子は毎朝死にかけてるでしょうね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それとも祥子は祐巳と同じでバス通学でしたっけ、まさか毎朝リムジンで送り迎えじゃないよな…(えー

「ごっ、ごめんなさい、待った?」

「ううん、私たちが早く着きすぎちゃった」

「「「明けましておめでとうございます」」」

そして祥子の家の最寄り駅にて、ちゃんと視聴者の空気読んだ志摩子が着物姿で登場!元々ここでみんな待ち合わせしてたのか
というか志摩子さん色気ない救命胴衣でやってきた妹に何か言ってやってくださいよ!(えー

「着いた!」

「う、うわっ…公園じゃないですか!?」

「まぁ〜…!」

その後祐巳の案内で小笠原家にやってきた3人。初めて見るすさまじい豪邸に仰天する乃梨子と志摩子…って
アニメの志摩子は前にもここ来てるだろオイ!なんでそんな「いかにも初めて来た」って反応を!?
忘れもしない2期の第1話、去年の新年会で祐麒と柏木さんの出番をブチ壊しに、山百合会全員でここへ乗り込んできたというのに…
アニメスタッフの野郎すっかりそのこと忘れてやがる!(えー
改変するのは仕方ないけど、ちゃんとその後の整合性には責任持ってくれよ…聖のギンナン王子発言とかさ…
ちなみに祐麒達といえば、今回も原作では祐巳と祐麒2人で夜の散歩とか、小笠原家にやってくる柏木さんの場面があったんですが
そういう男どもの場面はもちろんカットされました。チクショォォォォォォォォォォ

「いらっしゃい」

「「「明けましておめでとうございます!」」」

「おめでとう、さあ上がって。令たちもう来ているわよ」

そして玄関をくぐると女将みたいな格好したおばさ…うん?あ、ああ、祥子ですね祥子、うん、おばさんだなんて思ってないですよ(えー
というかスポーツ観戦好きの由乃は駅伝の猛烈なファンで、正月には箱根へ生の駅伝を見に行くぐらいの人なんですが
今年は駅伝よりこっちの新年会を優先したようですね。でも由乃さん、今年の駅伝東洋大学が数十年に一度の大快挙を達成して
ありえないくらいめちゃめちゃ面白かったですよ!それ見逃してどんな気持ち?ねえどんな気持ち?(えー

「いただきまーす!」

「いきなりお雑煮ですか、でも確かに美味しそうですね〜」

「でしょ?これ令ちゃんがダシを取ったの!」

(瞳子ちゃん、今頃どうしてるのかなぁ…)

そして席につくと早速料理に箸を伸ばす一同。しかし祐巳だけはひたすらドリルのことばかり考えていました
でもそんなことよりシャンパンを味わう志摩子が美しすぎて困る
志摩子に飲んでもらえるなんて幸せ者のシャンパンめ、どうして俺はシャンパンに生まれてこなかったんだ!(えー

ピンポーン

「はっ!?」

「きっとお寿司屋さんね、時間通りだもの」

「あ…(来るわけないか…)」

それからというもの、誰かが小笠原邸を訪れるたびに「さてはドリル!?」とビクンビクン反応してしまう祐巳。
よっぽどドリルのことを意識してるようですが、やはりというかなんというかドリルがやってくる気配はありません
まああれだけこっぴどく拒絶した相手のところへ、あのドリルがわざわざ自分から会いにくるとは思えないですもんね…

「さあ、次は人間すごろくよ」

食事のあとは百人一首やらなんやらで遊んでいた一同、するとそこで祥子ママが変な遊びをやろうと言い出しました
人間すごろくって…一体なんなのかと思いきや、この小笠原邸にある部屋をすごろくのマスに見立てて、
サイコロの目に応じた部屋を周らせるゲームのようですね。というかこんなゲームができるくらい
この家はメチャクチャ広くて部屋が大量にあるってことか…俺たち庶民には考えもつかないゲームだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「2人1組の人選にしましょう。各部屋に名前をつけたから、そこで指示に従ってちょうだいね」

2人1組ということで、ちょうど紅薔薇・黄薔薇・白薔薇の姉妹に分かれて始まった人間すごろく。
サイコロで3マス進んだ由乃たちはミジンコの間、5マス進んだ志摩子たちはカバの間、6マス進んだ祐巳たちはフリソデウオの間へ行くことに…
というかフリソデウオってなんだこりゃ…海の生物ってなんかヘンテコな名前ついてるのが多いですよね。スベスベマンジュウガニとか(えー

「…?これで何をしろと?」

ところが、祐巳たちの来たフリソデウオの間にはぽつんと着物が畳んであるだけ。
祥子ママは部屋の指示に従えと言っていましたが、ここで何をしたらいいのか…

「祐巳、服をお脱ぎなさい」

「え、ええ!?」

「どう考えても、これはここにある着物を着なさいという指令だわ」

「で、でも、だったらなにも私でなくても!?」

「バカね、こういう嫌な役目こそ妹が引き受けるものでしょう。
 それに私がやったって、着物の色が変わるだけで見てて面白くないわ」

「ええ〜…?」



言うが早いか物凄いパワーで祐巳を脱がそうとする祥子さま
「ちょっとタンマー!」と祐巳が押さえつけても、ギリギリ押してくるってどんだけ力込めてんですか!

「さあ素直に脱いで!!」

「ちょちょっ、ちょっと待ってくださいお姉さま!せめてふすまを閉めてください!」

なんという祐巳脱がしに全力な祥子、まるで目が血走るくらいの勢いです
こうなると指令どうこうは建て前で、単純に祐巳を脱がしたいだけに見えて仕方ないな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

そんなこんなで変な指令を色々やらされて人間すごろくは終わり…って脱ぎ脱ぎタイムキター!!
な、なんと!マリみてでまさかこんな風呂描写を見られるとは!とりあえず風呂上がりの志摩子マジフェロモン爆発
さっき祐巳を脱がすのにあれほど必死だった祥子は、この場に居合わせられなくて血涙を流していることでしょう:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「楽しい…なんて幸せなんだろう。でも、どういうわけか心の中にすーっと冷たい風が忍び込むの」

「…?それはきっと気持ちをしまっておく部屋が違うのよ」

「え!?わ、私何か言ってた!?」

「はい、幸せだけど心に冷たい風が入ってくるようなことを…」

だ、大丈夫なのか祐巳…脱衣所で服を脱ぎ脱ぎしながらポエムみたいな独り言を口走っております
傍から見るとマジでちょっと危ない子ですよ!由乃と乃梨子はよくこんな冷静に対処できるな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「じゅ、重症だわ…2人がそばにいるのに独り言を口走るなんて」

「しょうがないよ、こうして姉の部屋や仲間の部屋が満ち足りていても、
 別の部屋が空っぽだと何か足りない気になるかもしれないよね」

ふーむ心の部屋が別ですか…つまり「祥子と会いたい」「由乃たちと会いたい」「ドリルと会いたい」って気持ちはそれぞれ別物で、
いくら祥子や由乃たちと一緒に楽しんでも、ドリルに会いたい気持ちは埋まらないままってことですね
一言で言うなら瞳子分が足りないと祐巳は思ってるわけですか、なるほどなー

「じゃあ電気消すわね」

「「「おやすみなさ〜い」」」

そして風呂から上がったあとは、みんなで布団を並べてご就寝。

(なんて可愛らしい寝顔なんだろう…親友の妹でさえこんなに感じるのに、これが自分の妹だったら…)

みんながすうすう寝息を立てる中、なんとなく眠れずに乃梨子の寝顔に見とれる祐巳。
なんだかさっきからちょっと常人の道を踏み外しかけてるような描写が続きますが、祐巳は大丈夫なんでしょうか(えー



(瞳子ちゃんの顔が見たい…お願い瞳子ちゃん、そっちからも拭いて!)

ようやく眠りの中に落ちていった祐巳でしたが、なんだか妙な夢を見てしまいます
ドリルとの間をくもったガラスに遮られ、ガラスのくもりを取ろうとしても、ドリルに呼びかけようとしても無意味に終わってしまうという…
新年早々こんな悪夢を見るハメになるとは、祐巳とドリルの中はしばらく先行き暗そうですな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あ…瞳子ちゃん…」

そんな新年会から数日後、3学期が始まって志摩子と一緒に登校してきた祐巳。
するとその時、朝っぱらからいきなりドリルと校庭で鉢合わせになってしまいます。ぎゃーいきなり修羅場だ
こっぴどく拒絶されたあの時以来初めて顔を合わせた2人。やっぱりドリルは冷たく無視でもするんだろうか…

「ごきげんようっ♪祐巳さま♪」

「えっ…ご、ごきげんよう」

な、なんじゃこりゃあああああああ!?ドリルに一体何が起きたというんですか!?
なんと今まで聞いたこともないようなキャピキャピした声で話しかけてきたドリル。似合わなすぎて気持ち悪いよ!(えー
祐巳もドリルのこの態度には困惑するばかりです、ドリルは一体何を考えてるんだろう…
まったくドリルは知れば知るほど余計にわけが分からなくなる女ですね、次回に続く


■マリア様がみてる 4th season 第9話「仮面のアクトレス」
 

「それでは1月の予定を発表します。明日の放課後、来期の生徒会役員を決める
 選挙の説明会が開かれるので、2年生は全員参加すること」

3学期が始まったと同時に学校行事の準備を始めることになった祐巳達。
その行事とは、来年の生徒会役員(つまり薔薇さま)を決めるための生徒会選挙でした

「あ、乃梨子ちゃんも参加してもいいのよ」

「い、いえ、遠慮しておきます」

「1年生も立候補していいんだよ〜?」

「そうそう、去年の志摩子みたいに」

「もう…」

「そうなったら白薔薇姉妹でバトル!?なんだか凄いことになるわね〜」

「…こ、こほん。では由乃さんと祐巳さんと私は、明日の放課後、選挙管理委員会事務所に
 集合ということでよろしいですね」

選挙のシステム自体は基本的に普通の学校と一緒、薔薇さまに立候補することはどの生徒でも可能ですが
生徒の心情的に「卒業していく薔薇さまの妹が、次の薔薇さまになる」というのが常識のようなもの…
そういうわけで、祐巳たちが立候補すれば圧倒的な人気でほとんど当選確実。
そんな超有利な祐巳達に、勝ち目のない選挙を挑む物好きな一般生徒はそうそう現れないというわけです

「それでは時間になりましたので、立候補者はそちらの3名で締め切らせていただきます」

「結局私たちだけってことは、薔薇の館に変化なしだね」

「ええ」

「うん!」

そして選挙説明会の当日、選挙管理委員会の事務所にやってきたのはやっぱり祐巳たちだけでした
これなら3人ぴったりなので、あとは信任投票をやるだけで終了でしょうね
そんなもんは3人とも信任になるに決まってるので、来年の薔薇さまはもう祐巳たちに決定したも同然です

「ではプリントをご覧ください。まず書かれている内容の説明と、若干の補足をこちらから…」

ざわざわ ざわざわ

「…?何ごと?」

「すいません、もう一人立候補を希望されている方がいるそうで…」

な、なんですって!?いたよ物好きな一般生徒が!
なんと祐巳たちの他にもう一人、立候補しにやってきた生徒がいるようで…しかしすでに立候補の受付時間は過ぎた後。
全校生徒の代表になろうという人間が、しょっぱなからこんな遅刻をかましてくるようじゃ話になりません
こんな奴は「おととい来やがれ」と追い返されても仕方ないでしょうが…

「英恵さん、その方入れて差し上げるわけにはいかないでしょうか?」

「ええ!?」

しかし、せっかく来てくれたんだからと遅刻女の立候補を認めるよう直訴する祐巳。人のいい志摩子も祐巳と同意見です
その中で思いっきり動揺してる由乃。そりゃあこんな遅刻女のために、わざわざ落選の危険を冒して
選挙するなんてのは冗談じゃないでしょう。しかも由乃は祐巳や志摩子より人気がないので余計やばい:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ごきげんよう、お邪魔します」

「と…瞳子ちゃん!?」

な、なんだってーー!?結局立候補が認められて入ってきた遅刻女、その正体はなんとドリル!
まだ1年生の身でありながら、2年生の祐巳達を相手に選挙を挑むつもりですか!?
まるで祐巳達を蹴落とすようなドリルの挑戦。目の前のことが信じられない祐巳は、その後の説明会の間もただただ呆然としているのでした

「と…瞳子が立候補!?そんなこと一言も言ってなかったのに…!」

「私もびっくりしたわ…」

「ああもう瞳子ったら…何考えてるんだか…!」

「ここは落ち着いて、瞳子ちゃんが何を考えてるのかを考えてみるべきじゃないかしら…
 乃梨子ちゃんはどう思う?友達の目から見てどうか、それを聞きたいの」

選挙の説明が終わり、薔薇の館へドリルのことを報告しに戻った祐巳たち。
ドリルと一番仲がいい乃梨子ですら、まったくの初耳だったようです
ドリルの考えは毎度のことながらワケが分かりません。祥子はここで一度、ドリルの考えを整理しておこうとしますが…

「…嫌がらせ…いえ、当てつけと言うか…どちらも言葉は悪いのですが、
 祐巳さまを意識しているということはあると思うんです」

「…私がロザリオを差し出したから…」

「祐巳さん、それが間違いだったなんて思わないで。それに選挙は公平なものです、
 瞳子ちゃんが立候補することは、好ましくないことではないはずですから」

「…そんなこと分からないわよ。もし瞳子ちゃんが当選したら、私たちの誰かが
 落選するってことよ!?志摩子さんはそんなこと許していいと思ってるの!?」

「でも…私たちが正義ではないわ」

「正義とか正義じゃないとか、そんなこと言ってるんじゃないわよ!!
 私はただ、大好きな仲間たちと離れたくないだけなの!!
 言いたいことは分かるわよ、確かに私は自己中心的でしょうよ…
 それで結構、でもね、感情的に口走ってる言葉の中にだって
 正しいことは入ってるんじゃないの!?みんな志摩子さんみたいに、
 他人のこと思いやって発言してばかりいられないっていうの!!」

「…あ…」

うわあああああああまさかの由乃志摩子にブチ切れ!
「世の中みんなあんたみたいないい子ちゃんじゃねーんだよ!!」と思いっ切り志摩子を怒鳴りつけてしまいました
そのままドスンと椅子に腰を降ろすと、バツの悪さを誤魔化すように紅茶を口に突っ込む由乃。
志摩子はというと黙って悲しそうな顔をしています、なんという気まずい空気…
品行方正な志摩子がケンカに巻き込まれるなんて、初めてのことじゃないでしょうか。こんな目に遭って傷つかなければいいんですが…

「由乃さんのそういうところ…好き!」

「ぶっひゅ!?し、志摩子さん、一体何を…」

「これからも自分の意見は、ハッキリ言い合いましょうね」



な、なんだそりゃああああああああ!!!
傷つくどころか「本音トークできて嬉しい!」と大喜びしてしまう志摩子!ワケ分かんねー!
怒られて喜ぶなんて志摩子はドM!?ドMなのか!?(えー
山百合会随一の良識人だと思ってたら、こんな不思議ちゃんな一面があったのか志摩子…

「な…あ…はい…」

「ふふ、確かにこの3人がバラバラになるのは寂しいわね」

「ほんと、いい薔薇さま3人組になるだろうけれど…乃梨子ちゃん、他に瞳子ちゃんのことで思い当たることは…?」

これには由乃も絶句してしまい思わず仲直り。部屋の空気が和やかになったところで、令が再びドリルのことに話を戻します

「…あっ、クラスメイトが言うには、薔薇さまにはなりたがっていたようです」

「薔薇さまに…」

「だったら祐巳さんを断らなければよかったのに」

「由乃」

「だって、そうしていたらロサ・キネンシスに近い存在になれたのよ。どうして断ったのかしら」

「それほど私の妹になるのが苦痛とか…」

「瞳子は祐巳さまのこと、嫌ってなんかいません!」

「そうね…瞳子ちゃんには瞳子ちゃんの事情があるのかもしれないわ」

「これは、しばらく様子見かしらね…」

結局のところ、考えれば考えるほどさっぱり分からないという結論に至ってしまった話。
何も手を打つことができずに、これからもドリルのことは様子見をするだけ…
いつまでも縮まらないドリルとの距離に、祐巳はもどかしい気持ちを抱えるのでした

「どうして」

「どうしてって?」

「クリスマスから今まで色々あったけれど、本当はひとつなんじゃないの」

「…乃梨子さんて時々難しいこと言うから、瞳子わっからなぁ〜い」

そんなある日、とうとうドリルの真意をハッキリ確かめようと、裏庭にドリルを呼び出した乃梨子。
「本当のこと教えろよ」と詰め寄りますが、ドリルはわざとおどけて話を逸らすばかりです

「ごまかさないで」

「………そうね。でも、もし乃梨子さんが言ってる通りだとして
 その答えはあなたに言わなければならないことなのかしら?」

「えっ…」

「友達だったら何でも言わなきゃならないのかしら?」

あぁ…しかし乃梨子がどれだけ話を聞こうとしても、「うるせーな喋りたくねーんだよ」とまったく口を割ろうとしないドリル。
親友の自分にも話してくれず、何もかも1人で抱え込んでしまうドリルに、乃梨子は涙目になってしまいます
前にも1度乃梨子泣かして、この間は祐巳と祥子泣かして、今回また乃梨子を泣かすとか…あんまり女の子泣かすなよなドリル(えー

「(きょろきょろ)」

「…?あの、よろしければご案内しますが」

「あら…!助かるわ、実は娘の忘れ物を届けに来たのだけれど、勝手が分からなくって…」

そしてある日、廊下を歩いていた祐巳は娘の忘れ物を届けに来たおばさんと出会ってしまいます
それにしても娘ですか…このタイミングで現れたってことは、まさかと思いますが…

「娘さんはどちらのクラスでしょう?」

「1年…あ、いえ、職員室へ連れて行ってくれないかしら」

「はい…?」

「もしあなたのお母様が忘れ物を届けにいらしたら、嫌じゃないかしら。お友達の手前…」

「あ…よく分かりました!」

クラスに直接会いに行ったら子供が嫌がるだろうと、職員室に行くことにしたおばさん。
なかなか空気の読めてる人ですね、確かに自分のクラスにいきなり親がやってきたら
「なにしに来たんだよくそばばー!!」って絶対子供に言われるだろうしなあ(えー

「あら…生徒会役員選挙」

「ご存知でしたか?」

「ええ、娘から聞いていますよ。今年は現役のロサ・ギガンティアと、ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン、
 それにロサ・キネンシス・アン・ブゥトンが立候補しているんですってね。娘も応援しているみたいなの、
 どなたも素敵なお姉さまだから必ず当選するだろうって。素晴らしいわね」

そして職員室に向かう途中、おばさんの目に入った生徒会選挙のお知らせ。
するとおばさんは、まるで自分のことのように「選挙に出るお姉さま」達のことをにっこり話し始めます
祐巳達のいいところをよほど娘さんから聞かされているんでしょうね、どうやらおばさんの家族仲はかなり円満なようです



ちなみにおばさんが見たのは単なるお知らせのプリントですが、別の掲示板にはちゃんとこんなポスターも作られてます
それにしても志摩子のセンスには吹かざるを得ない
福沢祐巳:笑顔の耐えないリリアンを
島津由乃:楽しい学園生活!
松平瞳子:生徒会に新しい風を!ときて
藤堂志摩子:切磋琢磨って1人だけ浮きすぎ
字も文章も渋すぎだろ志摩子!これが17歳女子高生の趣味ってどういうことなの…さすが寺の娘だな…
まるで欠点がないと思ってた志摩子にも、今回色々とヘンテコな一面が発見されてますね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「瞳子、少しいい?先生が呼んでるのよ」

その頃ドリル達の教室では、先生に伝言を頼まれた乃梨子がドリルを連れ出していました
先生に呼ばれちゃしょうがない、と素直に席を立つドリル。しかし、なぜかドリルは上履きを履いておらず
来客用のスリッパをペタペタと履いていました。もしかして、何か上履きを履けなくなった理由が…?

「どうしたのそれ…誰かに隠されたとか…!?」

「違うわよ、上履きは家に忘れてきたの」

「…じゃあ、どうして家に持って帰ったの」

「さすがは乃梨子さんね。家に持って帰ったのは、洗わなければならないほど汚れていたからよ」

洗わなければならないほど「汚れていた」…この言い方から察するに
ドリルが自分で履いてるうちに汚したのではなくて、下駄箱を開けたら何者かによってメチャクチャに汚されていたというのが
本当のところでしょうな…茶話会の応募の時もそうでしたが、祐巳達を崇拝してドリルを毛嫌いしている連中の仕業に違いありません
それにしても、清く正しく美しいリリアンの乙女がこんな薄汚い真似をやらかすとは、マリア様涙目すぎるな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「…ひどいことするわね…誰がそんなことを…!」

「大したことじゃないわ」

「どうして笑ってるの…?」

「笑ってないわよ」

「笑ってる、まるでこの状況を楽しんでるみたい」

「…乃梨子さん、深読みしすぎよ」

しかし、こんな酷い目に遭わされたというのに、ドリルは落ち込むどころか逆に妙な笑みを浮かべていました
まさかとは思いますが…さっきの志摩子と同じでドリルもドMの一面があったなんて…(えー
冗談は置いといて、ドリルは自ら望んでこの状況を作り出したということでしょうか?
自分が立候補すれば「あのクソドリルまた祐巳さま達の邪魔しやがって」と、生徒達の反感を買うことは目に見えていたはず…
わざわざそんな展開を自分から望むだなんて…やっぱりドリルがドMだと一番つじつまが合う:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「お母さまが届けてくださいましたよ」

「母が…?あっ…」

「玄関に忘れていったのをお気づきになったんですって、いいお母さまね」

「…はい、とっても…!」

そして先生のドリルへの用事とは、「ドリルが洗濯して玄関に忘れた上履き」をわざわざ母親が届けてくれたということでした
やっぱりさっきのおばさんはドリル母だったのか…それにドリルのこの表情、母親のことは本当に大事に思っているようです
この間家族ゲンカして家出したっていうから、もっと険悪な関係なのかと思ってましたが…
うーん、いまだにドリルの家庭環境とかその悩みっていうのは見えてきませんね。いい加減もどかしいぜ…

《ただ今より来年度のリリアン女学園、生徒会立候補者立会演説会を始めさせていただきます》

そしていよいよやって来ました、祐巳たちの選挙本番となる立会演説会の日。
これから全校生徒の前で4人ひとりずつ演説を行い、それが終わったら生徒たちの投票が行われることになります
舞台の袖でスタンバイしながら緊張に包まれる祐巳たち。そこでは祥子や乃梨子達が最後の応援に訪れていました

「れ、令ちゃんどうしたんだろ…」

「お・ま・た・せ」

「も、もう遅いよ!!」

わざと由乃の出番ギリギリまで姿を現さずに、由乃をビビらせて遊ぶ令。ちなみに原作では
「この大事な時にどこほっつき歩いてるんだあのアマ」という
由乃の物凄いセリフがありましたが、さすがにアニメではカットになったようですな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン



「お姉さま、がんばってください!応援してます!ぜっっったい大丈夫です!
 それからファイト!ファイト!!ファイト!!!」

「ふふ、乃梨子ったら」

こちらは令の意地悪とは正反対に、ひたすら志摩子に熱いエールを送っていた乃梨子。
おっとりしている志摩子には、これくらい猛烈に熱血している声援があった方がちょうどいいのかもしれませんね

「あ、お姉さま…」

「震えてるのね、私もそうだった…いい?自分を自分以上に見せる必要なんてまったくないわ、
 会場にいるみんなに、ありのままのあなたを見てもらう。そんな気持ちでいらっしゃい」

そして最後は祐巳と祥子の紅薔薇姉妹。緊張で小刻みに震えている祐巳でしたが、祥子は去年の自分もそうだったと
優しく諭すように励まします。実際に薔薇さまに当選した祥子にそう言われると、祐巳にはかなりありがたい言葉でしょう

「お姉さま、お願いが…」

「なに?」

「抱きしめてください」

「こう?」

い、いきなり何そのお願い!?
「抱いてよ」ってなんじゃそりゃ!?祐巳最近ちょっと頭のネジ吹っ飛びすぎじゃないですか!?(えー
それを一瞬の躊躇もなく「こう?」って抱きしめる祥子も祥子だと思います:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

そして始まった立会演説会。それぞれ姉や妹の励ましを受けたおかげか、祐巳たちは自分たちのベストを尽くした演説をやり遂げます
ドリルもまた、励ましてくれる人がいなくともたった、一人で見事な演説を行いました。
全員やれるだけのことをやり、あとは泣いても笑っても選挙の結果を待つだけに…

「来たよ、祐巳さん…!」

「う、うん…!」

「ではただいまより、来年度生徒会役員選挙の結果を発表します。
 来年度の生徒会役員は…こちらの3名の方に決定しました!!」

そして校庭で生徒たちが固唾を飲んで見守る中、大々的に発表された来期の薔薇さま!
というかこんな派手にパンパカパーンって感じで発表するのか…落ちた時のショックでかそうだなぁ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

ドリル終わったーー!!ついに発表された薔薇さまの名前、それは祐巳・由乃・志摩子の3人!
順当と言えば順当な結果ですが、やはり100%でなかった以上由乃たちの喜びもひとしおです

(…!?瞳子ちゃん…!?)

そんな中、ふと視界の端にドリルの姿を捉えた祐巳。その時ちょうど祐巳の方を向いていたドリルは、
なぜかとても清々しい顔で祐巳にペコリと一礼を…それを見た途端、祐巳の頭の中にドリルの真意が一気になだれ込んできました

(あ…!瞳子ちゃんが選挙に出たのは、嫌がらせなんかじゃなかったんだ…!
 薔薇さまになりたかった、そんな理由からでもない…!)

「祐巳さま、私結果の発表の瞬間瞳子の顔を見ていたんです、そしたら…そしたら分かってしまったんです」

その時、祐巳とまったく同じものをドリルから感じ取っていた乃梨子。祐巳も「やっぱり」と信じて疑わないドリルの真意とは…

「瞳子の目的は…負けることだったんです!」

な、なんだってー!!祐巳達の信者に嫌われたあげく、陰湿なイジメを受けて完膚なきまでに敗北することがドリルの目的…
やはりドリルは真性のドM!?(えー  真面目な話をするなら、ドリルは祐巳達の敵になりたかったということなのか…?
こうすることで山百合会と決別し、祐巳から離れる決心をつけたかったと…
心の内では祐巳に惹かれているでしょうに、こんな真似をしでかしてしまうほどの何かがあったってことでしょうか?
いずれも推測の域を出ませんな…そろそろ次あたりでドリルの心情をハッキリさせてもらいたいところです。次回に続く


■マリア様がみてる 4th season 第10話「キーホルダー」
 

「本人を問い詰めてきます!なんなら祐巳さまもご一緒に!」

「…」

ドリルが祐巳に頭を下げて去って行った直後のこと、乃梨子は今すぐドリルに事情を洗いざらい吐かせてやろうと息巻いていました
しかし、そんな乃梨子と反対に妙に落ち着いた様子の祐巳…なんと自分はそんなの知らなくていいと断ってしまいます

「私は行かない」

「え…どうしてですか…!?」

「どうしてだろうなぁ…分からないけど今はいい」

「いいって…祐巳さまは瞳子の真意を知りたくないんですか!?」

「なんて言うのかな…そういうことも、もうどうでもいいって言うか」

ど、どうでもいい!?ちょっとその言葉を選んだのは失敗ですよ祐巳!(えー
乃梨子にしてみれば「もう瞳子なんてどうでもいい」という風にも聞こえてしまうこのセリフ…
もちろん祐巳はそんなこと思ってないでしょうが、これを聞いた乃梨子にはかなり嫌なニュアンスに取られてしまったようです



「…瞳子を見捨てるおつもりですか!?」

「そう見える?」

「はい」

は、はいって!そんなにハッキリ言い切らなくても!乃梨子はほんと言いたいことはズバズバ言う性格だなー
別にそんなつもりで言ったわけじゃない祐巳は、乃梨子のこの剣幕に苦笑いを浮かべてしまいます

「あはは…逆なんだけどなぁ、むしろ…」

「逆…?」

「お話し中ごめんなさい。祐巳さん、リリアンかわら版がコメントを欲しいそうよ」

祐巳が自分の心境を話そうとしたその時、新薔薇さま誕生インタビューを求める新聞部に話をさえぎられてしまいます
結局乃梨子との話はそこでブツ切れになってしまい、乃梨子はなんともスッキリしない気分を抱えてしまうことに…

「まぁ〜本当?ふふふふ」

ガチャッ

「あらっ、おかえりなさい」

「おかえりさっちゃん」

その日の晩、祥子が自分の家に帰宅すると、ちょうど遊びに来た柏木さんが祥子ママと話しているところでした

「ただいま。そちらこそおかえりなさい、聞いたわよ?スキーで捻挫したんですって?」

「まあね」

「祥子さん、優さんがスキーのお土産におまんじゅうを持ってきてくれたのよ。早速いただきましょう」

「待って、洗面所に行ってくるわ」

「あ、じゃあ僕も」

「あん、もう…2人ともいい子ねえ」

ママは柏木さんの持ってきたまんじゅうを早速食べようとしますが、「ちょっと待てよそのまま食ったらばっちいだろ」
祥子と柏木さんは手を洗いに洗面所へ行ってしまいます。唯一祥子ママだけは「何を細かいこと気にしてんだろう…」
そんなこと全然気にしてないようで…もっと礼儀にうるさいお母様なのかと思ったら、意外と豪快な人なんだなぁ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「僕が東京にいない間、何かあった?祐巳ちゃんと瞳子」

「祐巳と瞳子ちゃん…?どうして?気になるの?」

「12月、瞳子は両親とケンカして家出をした…半日ほどね。それで祐巳ちゃんの家で見つかったんだ」

「え…!?初耳だわ…」

そして手を洗いながら、祐巳とドリルの進展具合を祥子に尋ねる柏木さん。ふーむ、自分から祐巳達のことについて質問するとは
祐巳達が上手くいくようにちゃんと気にかけてあげてるんだなぁ。さすがいい人ですね柏木さん
それにしてもこの無駄に床が細長い洗面所すげえ
こんな廊下の奥みたいなとこにぽつーんと洗面所あるのかよ!家のスペース余りまくってるからこんな作りになるのか…
家があまりに広すぎるっていうのも考えもんですなぁ(´д`;)

「優さんは瞳子ちゃんのいとこですものね、身内としては気になるのね」

「ん…まあ、そういうことだ」

そして「いとこだから気にかけてあげてるのね」と柏木さんに話す祥子でしたが…
一瞬答えに詰まってしまった柏木さんのこの反応は…?本心では「いとこだから気になる」ってのとは違う理由で
話を聞きたがってるんでしょうか?もしや…例の「柏木さんの本命の相手」というのはドリル!?ドリルなのか!?



それにしてもこのめっちゃうざい髪の掻き上げ方に爆笑した
すげぇうざいよこれ!でも最高だよ柏木さん!さすがこのうざかっこいいところが柏木さんの真骨頂だぜ

「あなたがいない間に何があったかという質問に、まだ答えていなかったわね…
 瞳子ちゃんが生徒会役員に立候補して、落選したわ」

「え…!?」

「なぜそんなことをしたのか、私にも分からないけれど…」

「信じられないな…祐巳ちゃんがあんなに…」

「…?優さん、祐巳のことが好きなの?」

「な、何をおかしなことを言うんだ、僕は…」

「あ…そうだったわね、ごめんなさい」

こ、これは!?祥子のふとした「祐巳が好きなの?」という質問に思わずうろたえる柏木さん…
本命の相手はドリルじゃなくて祐巳ですか!?だったら祐巳にあれだけ親切にしてくれるのも頷けますが…
それにしても、祥子の「そうだったわね、ごめんなさい」に続く言葉ってあれですよね
「そうだったわねごめんなさい、あなたホモだから女に興味ないわよね」ってことですよね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
実際祥子は柏木さんに「僕は男しか愛せないから子供は別の男と作ってくれ」って直接言われてるから、そう思うのも仕方ないんですが…

「そうか…僕はただ笑って、祐巳ちゃんはいい子だから大好きだって言えばよかったんだな」

祥子の質問に慌てて本心を垣間見せてしまい、「しまったサラリと流しとけばよかった」と悔いる柏木さん。これはもう確定ですな…

「質量で言えば、祐巳ちゃんよりさっちゃんの方が遥かに好きだよ」

「違う『好き』なのね」

「そう…流石にさっちゃんは賢いな」

好きな気持ちが違う…うーむなんてこった、つまり柏木さんにとってlikeの意味で大好きなのが祥子、
loveの意味で普通に好きなのが祐巳いうことでしょうか、えらい事実を聞いてしまいましたなー
というか柏木さんの中で「好きの重さ」がそれぞれ違ってるってことは、この間祐巳に言ってた
「さっちゃんが好きだ、ユキチが好きだ、祐巳ちゃんもゼリーも犬もみんな同じくらい好きだ」って言ってたのは
まるっきり嘘っぱちだったんじゃないですか!まったく食えない人だな柏木さんは…

「それでは今年のバレンタイン企画案を発表させていただきます。
 今年もバレンタインデーに合わせてイベントを行い、山百合会の皆様にご協力をいただくことは、
 すでにロサ・キネンシス、ロサ・フェティダのお2人に承認していただいております」

そしてあれよあれよという間に時間は過ぎていき、気がついたらすでに月日は2月の中旬。
目前に迫ったバレンタインデーのために、祐巳達は新聞部の真美からイベントの企画内容を聞かされていました
バレンタインのイベント…確か去年やったのは、当時ブゥトンだった3人(祥子・令・志摩子)が学校内に隠したカードを
一般生徒が探し出すゲームでしたね。見事にカードを発見した生徒には、ブゥトンとの半日デート権が与えられるっていう…

「えーお手元の資料をご覧ください」

「ん?ちょ、ちょっと真美さん、これ去年の企画そのまんまじゃないの!?」

「人気企画ですから!もちろん同じ企画でも、今年はパワーアップしています。
 前回はロサ・キネンシスのカードだけ時間内に発見されませんでしたが、
 今年はそれを回避するために敗者復活戦を設けたいと思います。
 細かいことは皆さんの意見もお聞きして、おいおい詰めていくということで…」

「ふぅ〜ん…」

「では、何かご質問があれば…」

「はい!ここの企画意図ですが、”来期薔薇さまとなるブゥトン達と、一般生徒達の交流”とあるけれど」

「え?ま、まずっ…!修正するの忘れた…!」

しかし去年の企画の丸パクリとか細かいことは決まってないとか主役が薔薇さまなのかブゥトンなのか分からないとか…
めちゃめちゃテキトーじゃないですかこの企画!(えー  見切り発車にもほどがあるわ!
ひとまず”来期薔薇さまとなるブゥトン”って説明だと”今期も来期も薔薇さま”の志摩子と”今期も来期もブゥトン”の乃梨子の
どっちが参加したらいいのか分からないので、そこだけはハッキリさせておかないと…
でも肝心の真美は「や、やべー考えてなかったどうしよう」とオロオロうろたえるばかり。
誰を参加させるかも考えてなかったんかい!すでに始める前から終わってますよこの企画!(えー

「来期の薔薇さまは志摩子さんだけど、ブゥトンは乃梨子ちゃんでしょ。どっちがやるの?」

「それは…」


「お姉さまが」


「乃梨子が」

「「え……ええ!?」」

「だ、だってブゥトンと言えば乃梨子のことだわ」

「で、でも来期のロサ・ギガンティアはお姉さまではありませんか」

「でもここにブゥトンとはっきり書いて…」

「薔薇さまとも書いてあります」

お互いに「お前がやれ」「お前がやれ」となすり合いを続ける白薔薇姉妹、なんてgdgdな企画!
まあ自分がカードを隠す立場になると、どこの誰かも分からないような生徒と半日デートをやらされるハメになるので
できればそんなのやりたくないと思うのが当たり前でしょうけど…

「あ、あのう、申し訳ありません…混乱させた張本人としては無責任に聞こえるでしょうが、
 皆さんのご意見をうかがっては…」

「意見ねぇ…」

「でも私は去年やっているので…」

「その理屈は通らないわよ、志摩子が言った理由でいいなら乃梨子ちゃんも来年拒否できるわ」

「で、でも来年の選挙しだいでは、乃梨子がロサ・ギガンティアになるとは限らないわけですし」

乃梨子はきっと来年選挙落ちるから今やらせようよ!とメチャクチャなことを言い出した志摩子
それはお姉さまとしてはあんまりですよ志摩子!「うちの妹マジ人望ないんで選挙受かりません」ってこれはひどい
どうにも平行線を辿り続ける白薔薇姉妹の議論。それを眺めていた祥子たちは、ここは年長者の志摩子が折れることを勧めますが…

「志摩子…どう、引き受けたら?」

「2年連続だっていいじゃない。志摩子のファン、多いよ」

「…」

しかし、優しく背中を押すような祥子達の言葉を聞いても、納得がいかずに黙ったままの志摩子。
一体どうしたんでしょう、いくらなんでもここまで「絶対やだ」という姿勢を見せるなんて…それも物分かりのいい志摩子が…
何かよっぽどこのイベントをやりたくない理由があるんでしょうか

「ど、どうしたの、やろうよ」

「…」

「もしかして、出来ない理由でもあるの…?」

「私…カードを隠すのが嫌なのではないの、ただ…」

「ただ…?」

「乃梨子の隠したカードを…探したかっただけで」

「「「は…?」」」

おま…自分が乃梨子とデートしたかっただけかー!!
なんじゃそりゃああああああ!!!あんたらいつも2人一緒にいるじゃないですか!デートなんざいつでも好きに行けるじゃないですか!
それでも「ヤダヤダ私も乃梨子のカード探したいよー」と…まるで予想もしなかった志摩子のしょうもない答えを聞いて、
祐巳と由乃はすっとんきょうな大声をあげてしまいます

「「ええええええええ!?」」

「うぅ…」

「わ、私も…クラスメイトから去年の様子を聞いて…私もお姉さまのカードを探したかったなって思っていて…
 そしたら、ブゥトンか来年の薔薇さまかって話になったので、これはチャンスかと…」

「の、乃梨子…!」

「ごめんなさい…」

「私こそ…」

乃梨子も同じ理由だったんかよ!まったくこいつら姉妹は…このまま2人で手を取り合ってデートでもなんでも行ってしまえ(えー
さっきまでギャーギャー言い合いしていた姿はどこへやら、すっかりいつも以上の仲良し姉妹に戻ってしまいました

「ふふ、志摩子は自分の後のロサ・ギガンティアに不安があって?」

「いいえ、乃梨子が立派に引き継いでくれると信じています」

「だったら、あなたが働く姿を妹に見せてあげなさい。
 それが来年の乃梨子ちゃんの仕事に繋がることなんだから」

「分かりました…!」

「お姉さま…!」

「いいのよ…」

「…お茶、入れ替えまーす!!」

もうこのキラキラ空間に耐えられませんと、ついに2人の百合百合時空に音をあげて
でかい声で紅茶の入れ替えを宣言する由乃。よくやってくれた由乃、私もこの百合すぎる雰囲気に耐えかねてたところです(えー
そして志摩子は、来年のロサ・ギガンティアは乃梨子が立派に引き継いでくれると言い切ります
いやーでも来年の選挙しだいでは、乃梨子がロサ・ギガンティアになるとは限らないという可能性が:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「祐巳さんさ、落ち着いてるよね。どうして?」

「何が?」

「瞳子ちゃん、どうするつもり?」

「どうするって言われてもねえ…どうしようもないよね」

そして台所でお茶を淹れ直しながら、こっそり祐巳にドリルのことを尋ねてみる由乃。
しかし祐巳の態度は冒頭の時と相変わらず、慌てず騒がず何もしないつもりのようです

「スールにしないの?」

「だって相手が『うん』って言わなくちゃダメでしょ」

「そうだけど…」

「私が落ち着いて見えるんなら、それは焦らなくなったからじゃないかな」

「焦らない…?」

「うん、お姉さまの卒業までに妹を作らなきゃとか、なんとしてでも瞳子ちゃんを妹にしたいとか…
 不思議とそういう焦りがなくなったっていうか」

「何かきっかけでも?」

「きっかけって言っていいか分からないけど…しいて言うなら選挙かな?」

あの選挙で何を感じたのかいまいち分かりませんが、なんだかすっかり達観してますなあ祐巳…
あれほどドリルのことで毎日悶々としていたのが嘘のようです
なんだかアスランに自爆された途端いきなり悟り開いて帰ってきたキラ准将みたいだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ご苦労さま」

「あっ、ご、ごきげんよう」

「ごきげんよう、偉いねいつも」

それからまた日が変わったある日のこと、乃梨子が早出して薔薇の館をきれいにしていると祐巳が姿を現します
はからずも薔薇の館で2人きり…冒頭の祐巳の言葉がずっと引っかかっていた乃梨子にとって、
もう一度あの意味を聞き直すまたとないチャンスです。そして話を切り出す前に乃梨子が心の準備をしていると…

「あのさ、乃梨子ちゃんにちょっと話があるんだよね」

「え!?」

「志摩子さんや由乃さんが来てからでもいい話なんだけど」

「あ…そ、そういうことですか…」

「そっちから話を振ってくれるとはラッキーだぜー!」と思わず祐巳の話に飛びついてしまう乃梨子でしたが、
残念ながら祐巳の話はドリルと何の関係もありませんでした。がっくりと肩を落としてしまう乃梨子…
それを見て、祐巳も乃梨子の心情に気がついたようで…

「どうしたの…?瞳子ちゃんの話だと思ったの?」

「はい…」

「別に何も進展してないから、特に話す事はないんだけど…乃梨子ちゃんが聞きたいことがあるならいいよ」

(聞きたいこと…私が今祐巳さまに聞きたいことって…なぜ瞳子を放っておくのか?
 見捨てないと言った言葉を信じていいのか?瞳子が選挙に負けたことをどう思ってるのか?
 瞳子に再びロザリオを渡す気持ちがあるのかどうか…?)

乃梨子をすっきりさせてあげようと質問タイムを始めた祐巳、ところが乃梨子はいざ質問するとなると
聞きたいことが多すぎて頭の中がグチャグチャになってしまいます。そして、整理のつかないうちにポロッと一言こぼれてしまい…

「瞳子のこと、好き…ですか?」

「好きだよ。大好き」

ぎゃああああああなんという百合展開…乃梨子の問いに対して祐巳は思いっきり曇りのない目で答えます
あまりにも澄んだ祐巳のその表情を見て、もはや細かい疑問はすべて吹き飛んだ乃梨子。
ドリルのことは祐巳に委ねようと腹を決めるのでした、次回に続く

それにしても今回サブタイの「キーホルダー」ってなんだったんだろう…何かそれを連想させるような部分ってありましたっけ?(・ω・;)
それと蓉子さまの制服姿は相変わらずハァハァですね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
やっぱりこの人は私服だと一気に10歳くらい老けちゃうから、セーラー服着てるぐらいがちょうどいいと思うんだ…






トップに戻る