宇宙をかける少女 レオパルド全セリフ集

■第1話「孤高の魂」

「くだらん!実にくだらんね!アームストロング型半開放コロニーだと?
 やれやれ、実用一点張りでなんとも面白くない!
 ミルフィーユ式エアータイトパワーフィールド?評論家受けすればいいという
 さもしい根性が見え見えだ!まっ、どっちもとっくの昔にこの僕には組み込まれているが!
 えーと、この多重補償分数処理システムはver7.5?いらんとこばかり凝ってるんだから!
 やれやれ、僕の優位性はまったく揺らぐことはない…あぁ…いかん…
 またぞろ人前で謙遜することが増えてしまった…なんてなぁ!ふはははは!
 ふん、まあいい、お茶でもスキャンしよう。おお…この芳醇なアールグレイの香り、
 今の僕は本物のイギリス人に勝るとも劣らない!はっ!?違うか、すでに紅茶マイスター!」



「お、お嬢様…!」
「でも紅茶マイスターって…ひぎいいいいい!?うっぶうううう!!」

「なっ!?お…おおお…お…お!?な、なな…なぁぁぁぁぁぁ!!
 誰だお前は!?飲んだのか、僕の紅茶を飲んだのか!?
 こ、こここっこ、これは…間接キスじゃないからなぁぁぁぁぁ!!」
「へ…?」

「あーびっくりした…なぜここにいる、木っ端人間!」

「木っ端って!?あんたは何なのよ!」

「それが人にものを聞く態度か?まあ敢えて教えてやろう」

「やな感じ…帰ろ、イモちゃん」

「聞けよ!!間の悪い奴だな!!」

「何よもう!」

「ふん、僕の名はレオパルド!このコロニーを統べる偉大な人工知能!そして…彷徨える孤高の魂…」

「…コケコッコー?」



「ICPです、両手を挙げなさい!動けば発砲します!」
「ふふん、馬鹿め」

「えぇ…?大丈夫なの!?ICPの人だよ!」

「僕は国家権力には屈しないのだ!」


「繰り返す!この構造物は宇宙建築基準法に…」
「大分うるさいのが集まってきたか…ちょうどいい、人類どもにこのレオパルドの力を見せてやろう!
 アイハブコントロール!」
「何よこれ…?」

「僕の黄金銃さ、ちょっと握ってみろ。ちょっと持つだけでいいから」

「なによもう…」

「握れぇぇぇぇぇ!!」

「ひぃ!?」

「レオパルドキャノン!発射ぁぁぁぁ!!………………あれ、手ごたえがない」

「な、何をしたの!?」
「なんにせよ、不発だったみたいですね」

「…僕は終わりだ…こんな大勢の見てる前で赤っ恥だ…男として役立たずなんだぁ…」

「なに凹んでんでしょう…?そんな気にしなくても」
「今日は疲れてたのよ、きっと」

「死のう」

「え?」

「死んでやるううううあああああ!!!!ふふはははは!死ぬんだ!僕は死ぬんだぁぁぁぁ!」

「ちょ、ちょっと!?どういうことよこれ!?」

「うるさい!僕は死ぬんだ!」

「ち、地球だよ!地球だよイモちゃん!」
「な、なぜこのような!?」

「アイ!キャン!フラァァァァァァァァァイ!!!」

「このまま落ちたら地球は大変です!?」
「やめなよこんなこと!」

「うるさい!地球人どもも巻き添えだぁ!」

「他人を巻き込むなこのバカ!私はね、将来の夢もないし何をやればもいいかも分からない!
 けどね死にたくはないの!探したい、自分がやりたいことを!自分にしか出来ないことを!」
「…あ…えっと、誰が…なに?」

「ぬぐっ!このバカ!」

「いだい!?あぁ…貴っ様ぁぁ!僕が壊れたらどうする!!僕はデリケートなんだぞぉ!」

「自分で壊れようとしてるくせに!!」

「なっ、な…自分で…はっ…!れ、冷静に考えてみると、この死に方はどうだろう…
 し、死にたくないな…死にたくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!あれ!?エネルギーが!?」
「今度はなに!?」

「お前が早く止めないからだっ!」

「なによぉ!」

「よし、責任を取れ!」

「え?きゃあああああーーっ!!」


「こ、これはもしや大戦中のQTアームズでは!?」
「QTアームズ!?」

「余計なことはいい!この先にハイテンションレバーがある、それを引けば脱出できる!」


「で、でかっ…!」
「これが僕のハイテンションレバーだ!」


「あぁぁぁぁ…よしきたあああああああ!!僕は!竹トンボと化したのだっ!
 …うん?まったく…世間の奴らは間の悪い!世の中なんかクソ食らえだあああああ!!
 おととい来るがいい!」


「ふぅ〜…レオパルド、あんたコロニーなんだったらジュースの自販機くらい入れなさいよ…」
「まだいたのか貴様、QTアームズはどうした」

「町に置いてきた」

「なにぃ!?あれは前大戦中の骨董品なんだぞ!」


「お疲れイモちゃん。あんたもこんな暗いとこにいないで、少しは日に当たったら?」
「ふん!これは僕のライフスタイルなのだ!だいたい…んなぁ!?
 き、貴様…!言ってるそばから窓を開けるなぁ!」
「…?私、別に何もしてないよ」

「や、やめろっ!まぶしい!体が溶けるぅぅぅぅぅ!!」

「何をやってるんだか…」


「ねえ、ブレインコロニーってなに?」
「人工知能を搭載した、自ら思考する至高のコロニーのことだ」

「ほかほかご飯がふっくら上手に炊けそうでーす♪」

「そうね〜♪って僕は炊飯ジャーじゃなぁぁい!!」



■第2話「異界からの使者」



「なんでお前は僕のお茶の時間になると現れるのだ!」
「知らないわよ!そっちこそ何の用!?」
「騒々しい奴だな、切り替えの下手な奴は社会に出ても成功しないぞ」
「つーか、あんた爆破されたんじゃないの?」

「僕を爆破?この世の中の誰にそんなことが可能だと言うんだ、どうせ反動的なマスコミが流したデマさ」

「そんな話はどーでもいいの、それより一体あんたは何なのよ!?」
「お前達人間こそ、自分が何者なのか分かっているのか?」
「は…?え、えーっと…」
「3・2・1ブー!!ぬははははは!言ってやったざまーみろ!
 人間に対してこのセリフは百発百中だな〜!愚かな人類どもめ〜!いいセリフだな〜」
「ぐぐ…!あ、あんたねえ!」
「レオパルドはキング…不完全なキング。敵に取られれば終わり…そしてあなたはクイーン」
「は…?どういう意味?えっ、きゃあああああーーっ!!」

「ふん!なにがクイーンだ!」



■第3話「黄金のソウルシャウツ」

「うお…!?奴か…!アイハブコントロール!ステルス解除だ、ふふははははは!
 早く持って来い、僕の力の源をな!」

「そのまま町に出て、中央のタワーのたもとへ行け!」
「あそこね…!」
「そこのプラットボールにゴールデンオーブをセットしろ!」
「これは難しい…」
「イメージイメージ…よっ…」



「いっだぁぁぁいぐおお!?コラァァァ!もっと優しく扱え!」
「はぁ?」
「絶望的に…痛いっ…!」
「ワケ分かんない…」


「きたきたきたきたきたああああああ!!みなぎってきたぞおおおおおお!!」
「な、なに!?わっ、光ってる…?」
「黄金銃を手に取れ!時計塔の照準に向かって撃つのだ!」
「あ、あれは!?」
「ふふはははは!ぬははははは!ふはははははははは!さあ…ゆくぞ!」
「イモちゃんはそこで待ってて!」
「さあ撃て!僕でなければ奴は倒せん!」
「しょうがないなぁ…これで最後だからね!」
「僕は史上最高!最強にして弧高のコロニー!レオパルド様だァッ!轟け僕のソウルシャウツッッ!!」


「う…ううぅ〜…」
「秋葉お嬢様ぁぁ!大丈夫ですか!?」
「ダメ…あちこち痛い…」
「井の中や…蛙飛び込む夏の虫…小川のせせらぎ、小鳥のささやき…澄み渡る青空…」
「はあ…?」
「はて、何やら枯れ葉の焦げる臭いがするが、僕はまったく気にしない。
 僕は今とても清らかな気分なのだ。なんと言うかこう、
 男として真っ白に燃え尽きたような充・足・感…」



「あんた…ああなるのを知ってて…」
「ああ、なんと爽やかな…よし、お茶でもスキャンするか。
 これ、そこに吊ってあるティーバッグを取るがよい」
「ぬぐぐぐぐ…!」
「聞いておるのか?お前じゃイモ!そこな煮っころがし!」
「に…煮っころがしですってエエエエエエエ!!」
「なな、なんだ!?」
「煮っころがしたあなんですかアアアア!!人のことをジャガイモみたいに言って、
 じゃああんたは何なんですかアアア!!あんたなんかただのフンころがしでしょ!
 いーえ!フンころがしにフンころがされてるフンみたいなもんでしょ!
 フーン!フーン!フーーン!てなもんでしょおおお!!大体紅茶マイスターってなんですかァ!?
 こんなカビくさい部屋の臭い消しに吊るしてあるようなティーバッグで
 なーにがマイスターですかアアアアア!紅茶なめんなー!!」
「う、うう、う、う、う、わああああああああ!!」
「中身カラッポのくせに見栄ばっかり張って、くっだらない独り言を一生言ってりゃいいんですよ!
 こーのくされチン…!」
「うう…ううう…うっうう…」
「はっ、私今なんてことを!?いやーんお嬢様ー!」
「だ、大丈夫、落ち着いて」
「こらぁぁぁ!僕が壊れたらどうする!僕の心はとってもデリケートなんだぞ!?」
「はーあ…」
「ぬ?どこへ行く!」
「帰ってICPに連絡する。もう私の手には負えないもん」
「な、なんだって?」
「もうあんたと関わりたくないの!」
「おい待て!枯れ葉!煮っころがし!」
「んぐ!?煮っころがしって言いましたねエエエエエエエ!!」
「ひいいっ、い、いや…」





■第4話 「まつろはぬ者達」

「真面目にやれいっ!まったく…常に見ていないと仕事しないのか!」
「そっちこそなによ、私のパソコンで遊んでんじゃないわよ!」

「うるさい枯れ葉!」

「あんたねえ、今度こそICPに言いつけるわよ!」

「ふん、お前達に構っている暇などあるものか。僕は優雅にインターネットを嗜んでおるのだ、

 
どれ…僕の名声を 確かめてやる。”レオパルド”で検索っと…な、なんだ!?
 …けしからんな…これは…」


《明日、このカーウクッドスクールコロニーから僕の大事な物を取り返させてもらう!
 楽しみにしていたまえ!ぬはは!ぬははははは!
 はっ…え、えーっと…あっ、愚かな人類どもめぇ!ははははは!》
「あ…?あ…?」


「こんのぉぉバカタレがぁぁぁぁぁ!!」
「なぁにかねぇ?」

「だあっ!?なにやってんの!?」

「変装は完全犯罪の第一歩であ〜る」




「こぉぉのバカ!」
「な、なにをする!」
「それはこっちのセリフよ!勝手に犯行予告なんかして!」

「ふん!この僕の偉大さに世間が気づいてないようなのでな」

「正体がバレたらどーすんの!?」

「僕はインターネットを嗜んで分かったのだ…こんな所でくすぶっていたらメジャーにはなれないと!
 見ろっ!それを!」
「見ろって…私のパソコンじゃない、それ」

「レオパルドで検索した結果がそれだ!」

「おぉ〜、うちのカフェもうネットにあがってるんですね!」

「地球時代のアナログ戦闘ユニットごときがもてはやされて…
 スーパーテクノロジーの塊である僕は無視かぁ!?」
「世間に対して名乗ったこともないでしょ、あんた」

「ぐほお…っ、お、お前はそういう身も蓋もないことを!?」

「このパソコンはもう没収だからね!」
「だいたい、レオパルドさんが直にネットすればいいんじゃないですか」

「僕とパソコンごときを一緒にするな!僕は自分の高貴な魂を保護するため、
 普段は閉回路となっているのだ」
「ひきこもりってわけですか」

「るせー煮っころがし!」

「煮っころがしって言いましたねエエエエ!」

「そっ…それより分かってるんだろうな、予告を出した以上お前達は作戦をこなさなくてはならない。
 スクールコロニー内より、この陽電子マトリクスを回収してこい!僕のために必要なのだ」
「いい加減ハッキリさせて!私はあんたのしもべなんかじゃない、これから何かする時は
 必ず私たちの許可を取ること!いい?」
「枯れ葉と煮っころがしの言うことなど聞かん!」

「つまりまた言葉のマシンガンを浴びたいと…」

「い、いや…」


「んむむむ〜んんん…!インターネットを取り上げられて、やることがなくなってしまったではないか!
 大体おかしいぞ!なにゆえ僕があいつらの言うことを聞かなくちゃいけない!?
 枯れ葉と煮っころがしは僕のしもべだったはずじゃないか!これは思い知らせないといけないな…」


「ふふふふふ…ふふははははは!ぬはははははは!」
「誰です!?」
「レ、レオパルド!?」

「枯れ葉!ここだここ、どこを見ているバカめ」

「あ、あんた何やってんのよ!」

「お前と僕とどちらが上か、ハッキリさせようと思ってな」

「はぁ!?バカじゃないの、今はそんなことしてるばあ…い!?」(秋葉の服が消え始める)

「ふはははは!スーツの制御に僕が介入しているのさ」

「ふ、ふざけるんじゃないわよこのバカパルド!」

「バッ!?なんだとこの枯れ葉ぁぁぁ!!」

「きゃあああああ!!」
「ぬ、脱げないようになってます!」
「ひいいー!」

「ふん、その程度のことは予測済みだ。やめてもらいたくば早く認めるのだな、
 この僕が一番だということを!お前達はしもべだということを!」
「ぐぐぐぅぅ〜…」

「さあ!返事は!」

「あなたのような女性の敵を許すわけにはいきません! 脱出しましょう!」

「どこまでも僕に逆らおうというのだな?」


「上から服を着たか…だがその程度のことは予測済み!分解ッ!!」
「いぎゃあああああああーー!!」




■第5話「鋼鉄の乙女」

「超倫理並列レギュレーター欠落…逆位相鏡面ディストーター欠落…
 非安定バイラテラル量子ブリッジ回路欠落…レオパルドの自己実現達成率、21%…」
「まだまだだな…それもこれも枯れ葉がさっさとパーツを集めて来ないからだ!
 僕の自分探しと学校、どちらが大事だと思っておるのだ!」
「次はゴールデンオーブウォーマー…」

「おおっ、あれか!?待ち遠しいな…全てのかけらを集め終えた時、僕は今までの僕ではない
 もっと物凄い本当の僕になるのだ!ぬははははは!はははっはははは!で、どこにあるんだ」
「月」

「じゃあさっさと枯れ葉へ…」

「このバカパルドォォーーッ!!」

「ぐああああああーっ!?ぐふぅ…貴様ぁぁぁ!僕はデリケートだと何度言ったら!」

「あんたなんて事してくれたのよ!?」

「なに?」

「ひ、人を裸にしておいて…何とぼけてんのよ、あ、あんたのおかげで
 めちゃめちゃ恥ずかしい思いしたんだからね」
「ハッ!その件か!お前の裸に…ど、どれだけの価値があるというんだ、自信過剰もはなはだしい!」

「なにいいい!?」

「真に価値があるのは、僕のこの磨き上げられた球のようなボデ…いったぁぁぁぁああああいたいたい!?
 貴様ぁあああああーーっ!!」
「あんたに私の裸の価値が分かってたまるか!本物の裸も見たことないくせに!」

「ぬ、ぬおっ…!偉大な人工知能であるこの僕が、なにゆえ人間の裸などっ…!」

「なーにが偉大な人工知能よ、常識もない!デリカシーもない!世間知らずなでくのぼうじゃない!」

「んんんんん…!で…で…出て行けぇぇぇぇぇ!!お前らの顔など見たくない!
 二度とこのコロニーの敷居をまたぐなぁあああああ!!」
「言われなくたってそうするわよ!」


「ど…ど…”どこから見てもハンサムなレオパルド”!”どんな時にも動じないレオパルド”!
 あぁ…また”ど”だ…!ど…ど…はっ!”ドキドキしちゃうわ、あなたを見ていると…レオパルド”!」


「ど…どぉ〜〜…”どんぶり勘定レオパルド”!あ、ああ…いかん、ネタ切れだ…」
「…」

「お?いい所に来た!僕を誉めるネタを提供するがよい!」

「秋葉を選んだのはなぜ?」

「なに?」

「秋葉は知りたがっている」

「ぼ、僕だってあんな奴選びたくなかったさ!あいつさえいれば枯れ葉なんて…」

「…あの人はもういない」

「…」


「どうして僕の周りは高圧的な奴しかいないんだ?僕は誉められて伸びるタイプなんだ!
 だからお前たちは出来るだけ僕のことを誉めちぎれ!ちぎりまくれ!」
「…?圏内に黄金銃…近くに秋葉がいる。あっ…秋葉が危ない」

「なに!?」

「…」

「うっ…ぬぬ…ぬ………ふ、ふんだ!!」


「な、なんなのこのバカでっかいシャンデリアは!?」
「あっ…!私のQTアームズがどうして…」

《あぁーーっと手が滑ったぁ!!QTアームズを射出してしまったぁ!》
「…ふふ、足が滑って乗り込んじゃったぁー!」


「やっつけるんだよね、あの人たち!」
《あ〜あぁ、退屈だからミラーでも動かすかな〜。当たったら痛いぞぉぉ!》

「ほーんと、痛そうよね!」


《このバカ枯れ葉!ったくもう!強くぶつけすぎだ!手加減ってものを知らないんだからな…
 んがっとっ!?バ、バカ!放せえええ!!》


「レオパルドとしりとりをする…」
「くだらん、実にくだらん!」
「”ん”…で終わった。負け」
「な…!くっ……………………………時間が余ってしまったではないか!?」




■第6話 「白き黒帯」

ポッ、ポッ、ポッ、ポーーン(時報)
「Channel!ゼロゼロへ!Radio Leopard!みなさんこんばんは、ラジオレオパルドの時間です。
 これはレオパルドの、レオパルドによる、レオパルドのための番組です。
 本日はなんと、コロニー評論家のレオパルドさんに来ていただいています。こんばんは」
「ああ、こんばんは」

「ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷーーん。マッドスクリ〜〜ム………飽きた。
 だああああああ!!退屈だ退屈だ退屈だ!なんでこんなに退屈なんだ!?
 それもこれも、あいつらが僕を退屈の中に置き去りにしたからだ!
 この僕を差し置いてどこをほっつき歩いているっ!許せん…
 だからこの際僕がじきじきに迎えに行ってやろうじゃないか!なんと寛大なのだ僕!」




「うおっく!?ぬおおおおおっ!くっ、眩しい!なんということだ…!これでは体が溶けてしまう!?
 影、影はどこだぁぁ!うおおお、僕の玉の肌が焦げてしまうぅぅっ!!ぜえぜえ…あ、危ないところだった…
 いいだろう太陽、貴様の望みどおり僕は日陰の道を行こうじゃないか!だが覚えておけ、
 太古の昔から明るいだけのバカより、陰のある思慮深い僕のような男の方が優れているのだ!
 ふふははははは、ははははははは!」


《おお、そこにいたのか枯れ葉!はっはっはっはっはっは!寂しがっている頃だろうと思ったからな、
 わざわざ来てやったぞ!》


「次のおたよりはラジオネーム・さかまつげさんから。
 ”レオさんパルドさんこんばんは、いつも楽しく聞いています!”あの…コンビじゃなくてピンです。
 次のおたより!”福山さん潤さんこんばんは、2人の掛け合い最高です!”…ピンですってば」




■第7話 「神々の闘い」



「お前の方から現れるとは手間が省けたようだ!」
「僕はお前のような、醜い奴のことなんか知らん!」

「無理もない、貴様の裏切りでボディを失ったからな」

「な…!?お前、ネルヴァルなのか…!」

「直視せよレオパルド!この醜いボディこそ貴様の犯した罪の証!」

「僕には噛み付かれて喜ぶ趣味などない!行けぇい!攻撃開始!」
「ふふははは、小技に頼るクセは変わらんなレオパルド!食らえい!コロニー…!落としぃぃぃっ!」

「うおっおっおっ!?うわああああああーーっ!!…お…お…お、お、お!?また凍らされてしまう!?」


「レオパルド、そいつを引き離して!」
「む、無理だ…日陰にいすぎてエネルギーが…」

「はあ?」


「とっとと撃って終わらせるわよ!」
「こ、こら、このまま僕のキャノンが撃てると思うんじゃないぞ!」

「えぇ?」

「ゴールデンオーブが、その…ちぢこまって…なんか、とても…眠く…なって…」


「おおおおお日の光!?溶ける!溶けるぅぅぅぅ!!」
「わわっわぁぁぁ!?と、溶けた!?」
「ひえええ!人生の走馬灯が見えたです…」
「ぬふふふははははは!撃てる、レオパルドキャノンが撃てるぞ!!ふっふっふっはっはっはっはっは…!
 復活だ!日の光を制した僕は…今や無敵だぁぁぁぁぁぁぁ!!今度は僕の一撃をお見舞いしてやるぞ…
 ネルヴァル!」
「ふん、小癪な!」
「何よあれぇ!?」
「あんなのがぶつかったら!?」
「レオパルド、もっと速く動いてよ!」

「僕のように偉大で巨大な男は…ははははは!細かい事は気にしないのだ!」


「今よ秋葉!」
「レオパルド!」

「轟け!僕のソウウウルシャウツッ!」


「た、助かった…」
「ふふ…ふふははははは!やった、やったぞ!僕は過去の因縁を乗り越え、
 ついに名実共に最強になったのだ!あははぬふふははははうふふ」
「相変わらず短絡的なのね、レオパルド」

「む…?ぬ、ぬお!?」

「なんです、あれは!?」
「ま、また喋るコロニー!?」



「お久し振りね、レオパルド」

「そ、その声は…貴様!?クサンチッペか!」

「ふふふ、私綺麗になったでしょう?でもお生憎様、今日はネルヴァル様をお迎えに来ただけなの」

「ネルヴァルだと?ふん!奴ならたった今…」

「ふふふふふ、まだソウルシャウツの威力は完全ではないようだな」

「なっ…!なにぃぃぃぃ!?」

「焦らずともよい、いずれまた会えよう」
「ここから先は大人の世界、お子ちゃまが出る幕じゃなぁいのよ〜。ごきげんよう、オーッホッホッホッホ!」

「な、なんだとぉぉぉ!?こらぁぁ!バッキャロー!戻って勝負しろ!僕と勝負だぁぁぁ!」


「高嶺お姉ちゃん、着物って…下着はつけないって本当なの?」
「ふふ、真実は花吹雪の彼方」
「よぉぉし早速調査だ!」

「果たして鑑定やいかに!?」




■第8話 「暗闇へのいざない」

「くんんんんぬ!まさかクサンチッペまで現れるとはな…陰険なあの女のことだ、
 今ごろネルヴァルと共に僕への仕返しを相談しているに違いない!んぬあああああっく!
 しかし僕だって今までの僕ではない、必ず自己実現を達成してあいつらを返り討ちにしてやろう!
 ぬふふふはは、ぬはははははははは!」
「ぬははははははは!」
「だぁーっ!?なんなんだお前は!?どこから入ってきた!」
「ぼんぼんだ!」
「なに?」
「お前はわくわくぼんぼんだ!」
「な、何を言っているんだ…!ん?」
「トモダチニナリマショウ」
「嫌だ!!」


「コラァ!!人の部屋に土足で入り込んで来るとは、なんて非常識な!」
「あーら、あまりにもすさんでるから何とかしてあげようと思って」
「余計なお世話だ、この部屋は僕の洗練された美学に基づいて…」
「これが洗練なら座敷牢だって高級ホテルよ」
「なにィーッ!?」
「まあくだらない話はさておいて」
「なにをぉ!?」
「初めましてレオパルド、私は獅子堂風音。いつも妹がお世話になってるわね」
「獅子堂…?枯れ葉の姉か!」
「こっちが高嶺、秋葉の二番目の姉」
「初めまして」
「それとそこにいるのが末の妹の桜」
「わっちぼんぼーん!」
「ぎゃああああーーっ!!わわっ、わちゃちゃっ、ぼ、僕に何の用だと言うんだ!?」
「単刀直入に言うわね、私達はネルヴァルと戦う戦略拠点を設けるために来たの。
 このコロニー…つまりあなたは、獅子堂評議会の管理下に入ることになります」
「何を勝手な…僕は何者にも管理されたりはしない!だいたいネルヴァルとの戦いは、僕自身の戦いだ!
 評議会だかなんだか知らないが…ん、獅子堂評議会!?」
「かつての反乱軍…と言えばいいかしら」
「そ、そそっ、そ…そいつは!?かっ…!?」
「分かってもらえた?」
「ど…どっ…」


「レオパルド!私…!ん?」
「うっきゃっきゃっきゃっきゃっ」
「あぁ!?そ、そそっ、それは!?コラァ貴様ぁぁー!!」
「通販サイトのポイントカード…?」
「有効期限50年前よ」
「トイレットペーパーの芯と…ペットボトルのキャップ?」
「やだ、なんなのこのゴミ」
「捨てましょ」
「あああああああ!!な、何をするやめろォォォォ!!」
「ぼんぼん!ぼんぼん!」
「こ、こら!叩くな!降りろぉ!だああああ!これ以上僕の崇高なコレクションに…ん?」
「トモダチニナリマショウ」
「いい加減にしろおおおおお!!出てけぇぇっ!!」
「「「きゃああああ!?」」」
「この非常識な奴らめ!」
「あ、あの!ブレインコロニーについてお聞きしたいことが!」
「そんなものネルヴァルに聞け!」


「レオパルドォォォ!」
「なんだ?」
「なんなのよあの変な怪獣!」
「変?いい加減な例え方をするな、あの生物にはちゃんと名前がつけてあるのだ。
 ズバリ!学名クロコディリアスレオパルダス!!」
「ク、クロパンダ…?」
「四捨五入するなっ!だからお前は脳ミソまでカサカサなんだ枯れ葉!」
「誰がカサカサなのよぉ!?」



「で、そのクロコディリアスレオパルダスがどうした?」
「ゴールデンオーブの冷却装置を持って行った」
「ほぉ、あのパーツを…ってなにィィィッ!?」
「な、なに慌てて…」
「反物質炉が爆発的に臨界爆発する」
「爆発的に臨界爆発…はぁぁぁ!?」
「さっさと取り戻して来い!」
「ど、どうやってよ、あのクロパンダどこにいるのよ!」
「奴は寒い場所を好む…おそらく熱循環システムの冷却パイプだ」
「それどこ、地図とかないの!?」
「昔はあったが捨てた」
「なんでぇ!?」
「人生とは、地図のない旅なのだから…」
「失くしたんならそう言いなさいッ!」
「そういえば路面電車の駅に”図書館前”というのがありましたよ、
 図書館なら何か分かるんじゃないですか?」
「ほほう、いいところに気づいたな、煮っころがしにしては」
「煮っころがしって言いましたね…?」
「さ、ささ…さっさと行け!」


「う、うう…」
「ミッションコンプリート」
「ああそう」
「ワニの他にタコがいたのよ、タコ…」
「なに!?新種発見だな…ふむ、タコか…では命名しよう!ズバリ!学名レオパルダオクトパーダ!」
「…レオパンダ?」
「だから!適当な四捨五入をするなと言っているだろう!」
「あ、あの!元ICT特殊怪奇事例専従捜査課・神凪いつきと申します!
 あなたにお聞きしたいことがあるのですが…!」
「あぁ!?お前ら!せっかく部屋を元通りにしたのに非常識な!!」
「え…?」
「出て行けぇ!!」
「きゃああああ!」
「…なして?」




■第9話「Q速∞」



「ふふふふはははははは!鬼の住まいに土足で入るとは…いい度胸ではないか!」
「ではあなたが野球の鬼!?私は神凪いつき、魔QTの球を打つ方法を探しに来ました!」

「貴様のような小娘が魔の力をだと?笑わせるな!」

「私は本気です!」

「ほう…貴様も力の使い手か。面白い、ならば僕の金棒を握ってみよ!」

「こ、これが…う!?」

《ちからぁぁぁぁぁぁぁ!》

「うああっ!?い、今のは…?」

「貴様の中に住む鬼だ、力という名のな。その鬼を食らい自らが鬼にならねば魔QTは打てん!
 貴様に人を捨てる覚悟があるか?」
「望むところです!」

「いいだろう…修行をさせてやる。ただし条件がある、お前が力を得た時僕の望みを叶えてもらう。いいな?」

「…いいでしょう」

「ふ…契約成立だ」

「甘さも情けも感情も!全て捨てろ!己の中の鬼を飼いならすのだ!」
「ぐあうっ!」

「ふん…この程度か」

「まだです…私はまだ終われない!!」


「すべての修行をやり遂げるとはな…さあ、僕の金棒を握ってみろ!」


「印を得たようだな、では約束通り望みを一つ叶えてもらおう!僕の望み…それは、
 お前のように強くなった人間を食らうことだ!!」
「それはできません」

「なに?」

「私はもはや人間ではなく野球の鬼ですから」

「上手いことを言ったつもりか!」

「そう吠えるものではない」

「う…!?くっ、貴様!」

「ほう、ワシのことを覚えているか」

「どうして忘れられる…僕をこんな所に封じた憎き人間のツラを!」

「貴様はワシの野球を壊す悪しき者だ、永遠にそこに閉じ篭もっているがいい」

「貴様ぁ…!許さん!!」

「ふん、ワシも食らいたいか?」

「うおお!?イモ!?イモはやめろぉぉぉぉぉぉ!!」

「食らえるものなら食らってみるがいい、ワシは鬼など恐れん!」

「イ、イモぉぉぉぉんんんんん、き、貴様ぁぁ…!」

「フン、帰るぞ」

「…まあいい、ここからでも世界はよく見える。覚えておけ、鬼を利用する者はいつか鬼に滅ぼされるとな!」





■第10話 「箱入りの娘」

「ぼんぼんぶっすんこー!」
「んごぉぉぉああああぐぐ!!いきなり突っ込む奴があるか!?桜まんじゅうめ!」
「妹を変な名前で呼ばないで…ゴールデンジェントルメンプラグ挿入完了、
 これで自己実現達成率89%というところか…」
「勝手に作ったパーツを僕に装着するな!自己実現とは、僕自身の手で達成してこそ意味があるんだぞ!」

「今までだって何もしてないじゃない、秋葉たちをこき使うだけで」

「僕に説教するなー!」

「…」

「無視か!?ほのかはどこだ!この無神経な奴らをとっとと追い出せぇぇ!!」

「ほのかちゃんはちょっと用事」







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