■大正野球娘。 第8話「麻布の星」
 

「あ〜…暑い〜…ねえ、今日も試合するの〜…?」

「当たり前だろ…」

「こんな日は泳ぎたくなるよね〜…」

「あら、小梅さん泳げるの?」

「うん、少しならね」

「あら、凄いわねぇ」

まさに炎天下という感じの夏のくそ暑い日、桜花会の面々は木陰で座り込みながらヒーヒーうだっていました
そんな中、「泳ぎたい」という小梅の言葉に意外そうな顔をする晶子。この時代はあんまり水遊びみたいな事はしてなかったんだろうか
こういう夏の日に海へ泳ぎに行くっていうのも、今じゃ普通ですが意外と最近始まったことなんでしょうかね?

「えーっと、5番北見は3球目を打ってセンター前ヒット、一塁走者が三塁へ、6番勝山は初球スクイズ…
 うーん確かに試合の流れは分かるけど、もうひとつ何かが足りないのよねぇ」

「ええ〜…!?」



そして記子はこの間教えてもらったスコアブックを乃枝に見せていましたが「正直使えねーわ」まさかのダメ出し。
乃枝贅沢すぎるだろ!部外者の記子がここまでやってくれてるのに、お礼も言わずに文句タラタラとか酷いやっちゃ
どれだけ頑張っても誉めてくれずに文句しか言わないって、典型的な会社の嫌な先輩タイプだよ!(えー

「さあ皆さーん!練習試合を始めますよー!」

そこへ練習試合の相手を引き連れたアンナ先生が登場…ってまた相手はバシンチームですか!
そろそろもうちょいレベルの高い相手と戦ってもいい頃なんでは…
富士見中とかピッタリだと思うんだが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン



「ほらほらピッチャー疲れてるよー!満塁だぞ健作、この試合勝てるぞ!!」

「小笠原、ツーアウトだぞツーアウト!」

「あと1球よ!がんばって!」

そんなバシンチームとの試合は、4対2と桜花会リードながらも
9回裏2死満塁でバシンチームの攻撃と白熱した展開に!
ここで一発長打を許してしまえば桜花会のサヨナラ負け、見事に抑えられれば念願の初勝利…まさに緊張の一瞬、勝負の分かれ目です

「タイム!小梅さん、ここは魔球を使ってみましょうよ」

「ええ!?昨日やっと習得したばかりなのに…それに、私あの球捕れないよ!」

「小梅さん、昨日まではそうだったかもしれないけれど、
 今日の小梅さんは違うかもしれないわ!」

「きゅ、急に変わるわけないよぉ!」

「私はあの球が実戦で通用することを証明したいの!分かるでしょう!?」

しかしそんな最後の決め球に、タイガーナックルを投げると言って聞かない晶子!
どうやら前回からしばらく経った間に完全にモノにしたようですが、肝心の小梅がまだあの急激な変化にまったく慣れていないようです
ここで後逸をしてしまったら元も子もありませんが…しかし、普段の練習では捕れなくてもこういう試合の緊張感があった方が
捕球のコツを掴める可能性もあるかもしれません

「ではプレイ再開!」

「ええいっ!!」

がくうううううん

「うあっ!?」

ザシイッ!

「あぁ!?」

「しめた!走れっ!振り逃げだぁ!」

「鈴川さん!!」

「あ、あれ!?あれ!?」

さ…最悪だー!!せっかくバッターを空振りに仕留めたものの、小梅がボールを捕れずに後ろへ逸らしてしまう結果に!
この場合三振は成立せずにバッターは振り逃げで1塁へ!さらに小梅は茂みに突っ込んだボールを見失ってしまい、
オロオロと探しているうちに次々とランナーがホームへ…

「ゲームセット!4対5で坂下小学校の勝ち!」

そのままサヨナラ負けしやがったー!!サヨナラ振り逃げで3点入って試合終了!?
なんて締まらない負け方!スコアボードも9回の得点を
間違えて4点って書いてるし色々とダメすぎる:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「どうしてあの球を投げたんだ!?」

「だ、だから、試してみたかったのよ…」

「せっかく勝ってたのに…」

「ごめん…悪いのは捕れなかった私よ…」

「これは別の魔球を覚えないとダメね」

「べ、別の魔球!?」

えーっ!?サンダーバキュームボールをですかァ!?
あれは時速300キロを超す超豪速球だから、受ける小梅の体が確実に砕け散ると思う:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それとも44ソニック?あれを習得するには体をまずアイアンリーガーに改造しないと(以下略)

「おお!?お、お、おおおおお!!うん、君たちならピッタリだ!!」

ところがそんな魔球談義の最中、唐突に
「うほー!うほー!」と小梅達の顔を見ながら鼻息を荒げる変な男が現れました
どう考えても不審者すぎる!!いきなり女学校に侵入してきてこの態度!?
これじゃ「どうぞ僕を刑務所にブチ込んでください」と言ってるようなもんだと思いますが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「”国際キネマ株式会社演出部・吉村騒三郎”…?」

「国キネって、活劇スターの高山真吾さんのいる!?」

「ああ、そうさ!」

「「わぁぁ!?すっごぉぉぉい!!」」

「で、ご用件は?」

「いやぁ、実はその高山先生の新作をここ麻布十番で撮ることになったんですけど、
 共演の女優がゴネてしまって…出演を辞退したいと言ってきまして、
 それで急遽代役を探すことになったんですよ。協力していただけると助かるのですが」

「「「「ええええええええ!?」」」」

なんとその変態男の正体は、この近辺で映画の撮影を行っていた助監督。
しかし主演の女優がドタキャンして撮影を辞退してしまい、その代役を探して小梅達の学校にやってきたと…
そんな大スターと一緒に映画に出られるという話を聞いた小梅達は、誰もが目を輝かせてやる気満々になってしまいます

「ただし条件があってね…まずは美人であること!」

「(にこっ)」「(にこっ)」

「そしてしとやかで、立ち振る舞いに気品があって…」

「あわわ…」

「知性溢れる女学生!」

「えうっ…!!」

「そして活劇映画なので、運動神経も発達していなければならない!」

「あっはは!やだなぁ〜!女優なんて出来るかなあ〜!」

「姉さん…ちゃんと話を聞いていたの?」

「条件の中に知性ってあったでしょ」

「むぐ…!」

「美人」と言われて表情を作り始める雪と記子、「しとやか」と言われて慌てて女の子らしい姿勢をする環、
「女学生」と言われて自分が出られないことにショックなアンナ先生、「運動神経」と聞いて「私に決まりじゃねーか」と浮かれる巴…
各キャラの反応が見ていて面白いですなあ、特に全然興味なさそうな顔して
「な、なんで先生じゃダメなの!?」
内心めちゃめちゃ出たがってたアンナ先生可愛すぎる。
その後も一人だけ後ろ向いて落ち込んでます
やっぱり桜花会で一番可愛いのはアンナ先生だな…しかしこの条件でいくと雪あたりが一番順当でしょうか?

「そういうことならしょうがありませんわねぇ、私が引き受けて…」

一番運動神経ない奴が何言ってんだー!!なんでそうなるんだよ晶子!身の程を知ってくださいよ!
晶子の運動神経のなさから言って、巴の知性のなさよりも遥かに問題は深刻:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「そして最後の条件として、劇中で河に飛び込むシーンがあるから、
 泳ぎが達者じゃなければいけない!」

「「「「えええええええっ!?」」」」

ところが最後の条件、「この中で泳げる人ー!」という騒三郎の問いで全員が固まってしまう桜花会!
このメンバー全員カナヅチ!?そこまで泳ぎに縁がなかったのかよ大正時代!
そうなると、唯一泳ぎができると言っていた小梅しか適任者はいなくなってしまいますが…



「ちょ、ちょっと君!泳げるって本当なの!?」

「え、ええまあ…で、でも無理なんです!学校だって家だって、許可しないと思うから…」

「ええ…!?」

「あなたの気持ちは分かりますが無理だと思いますよ、うちの学校は厳しいのです。
 まず学院長が許可しないと思います」

え…?いまさら…?(゜д゜;)ちょっ、ア、アンナ先生、これだけ誰が出よう誰が出ようって散々話しておきながら
自分らが選択肢から消えた途端にそれですか!?そりゃないですよアンナ先生!
結局「うちの学校じゃ無理」という意見を覆せなかった騒三郎は、失意の表情でとぼとぼ帰っていきますが…

「はあ〜あ…」

「ちょっと待ってくださいます!小梅さんのことなら私がお力になれると思います」

「そ、それは本当ですか!?」

「ええ、私なら波風の立たないように説得する事が可能です。
 ただ…条件が一つあるんですけど」

なんと、そんな騒三郎を呼び止めたのは乃枝!小梅を説得する代わりに、何やら騒三郎にしてもらいたい条件があるようですが、
わざわざこんな面倒な真似を買ってでるほどの条件とは一体…?

「我が校の建学精神には、豊かな情操と感受性、溢れる知性に満ちた崇高な理念を
 神に知らせるとあります!これは第七芸術たる映画の在り方そのものに
 通じるではありませんか!それに困った人も助けられないで崇高な理念も何も
 あったものではないと思います!」

「(゜д゜ )ポカーン」

ともかく騒三郎に条件を呑ませた乃枝は、すぐさま学院長室に乗り込むとめったやたらに大声でまくし立てて
一気に学院長を丸め込むことに成功!学院長からしたらえらい災難ですなあ、別に何も言ってないのに
「我が校の建学精神には豊かな情操と溢れる知性が第七芸術で崇高な理念なんてあったもんじゃないと思います!」
とかいう意味不明なうるさい女が部屋に怒鳴り込んでくるなんて:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「小梅さん、本当に映画に出たくなかったの?」

「私、お芝居なんて出来そうにないし…それに野球に支障が出たら大変だもの」

「そ、そうよねえ〜!」

「鈴川さーん!あなたには映画に出てもらうから!」

「は、はぁ!?」

「これはあなたが出る映画の脚本よ!ちゃんと目を通しておいてね!
 これは朝香中に勝つために絶対やり遂げなければならないの!」

「か、川島さん…!?」

「撮影は明後日だからよろくね!」

「あ、明後日!?川島さーん!!」

どこが波風の立たない説得だー!!サイテーの押し付けじゃないですか!撮影なんてやる気のない小梅に
一言も反論させる隙を与えないまま、一方的に何もかも押しつけて行くなんて…しかも2日しか猶予がないなんてあまりにもメチャクチャです
しかしこうまで念を押されては嫌だとも言えず、小梅は深い溜め息をつきながら自宅へと帰りますが…

「は〜あ…ただいま〜」

「よう小梅ちゃん!”活動”で主役を張るんだって!?」

「君はちっともモダンじゃないねえ、今はもう映画って言うんだぜ」

「えっ!?ど、どうして映画に出ること知っているの…!?」

ところが家に帰りついてみると、ついさっき決まったばかりの出演話をなぜか知っていた客達!
小梅本人でさえ今さっき知ったばかりなのに一体どうして…?それにしても今日もまた例の
キレンジャーおっさんが来てますが、
「最近の流行じゃこう言うんだぜー」って見た目とは裏腹に、ずいぶんナウでヤングな性格してるんですね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「それがよォ…ついさっき、やたらと威勢のいい眼鏡の姉ちゃんがやって来てな」

「小梅が学院の代表として映画に出ることになったからって…」

「で、これは大変名誉なことだから、ありがたくお受けするようにって物凄え勢いでまくし立ててな…」

「おかげで、いつの間にか店の前は黒山の人だかりよ」

「もう麻布十番でこの事を知らない奴はいないと思うよ」

「ええ〜…!?」

思いっきり言いふらしまくってるんじゃねーか乃枝!なんて事しやがるー!!
小梅が
「映画なんてやだ」と言い出せないようにするために、町中に噂を流しまくって引っ込みのつかない状況を作り出すなんて!
乃枝の奴なんてクソッタレだ!小梅は無理矢理任されたこの映画も
「しょうがないがんばろう」とやる気になってるのに、
乃枝はそんな小梅をまるで信用せずに
小梅が逃げ出した時のことばかり考えていたとは…どうしようもねーぜ乃枝…
なんというか乃枝ってマシュマロ通信で言うところの
バジルなポジションですよね
仲間達の中で
一人だけ空気読めてなくていつもトラブルの種になるという:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あっ、ただいま」

「お、お帰り…なさい…」

そして前回からやっぱり慣れてなかった三郎さん
小梅の方は割と普通になった感じですが、三郎さんはまだ小梅と顔を合わせると真っ赤になってしまうようです
晶子と岩崎を見ていても思いますが、やっぱり男という生き物は女よりずっと純情なもんなんだよ…(えー

「鈴川先輩!これどうぞ!」

「えっ、え…?」

「明日のスターに、世界で最も早いファンからの贈り物です!」

「有名になっても私達のこと、忘れないでくださいね!」

「それでは我が東邦星華の誇る明日のスター、鈴川小梅さんにお聞きしまーす!」

「えぇ〜…!?」

そして翌日小梅が学校へやってくると、いきなりキャキャーハイテンションな胡蝶達に花束を渡されて、
記子の新聞部インタビューにも付き合わされてしまいます。お前ら昨日は
「ふーんまあ頑張って」程度のリアクションだったじゃないか!(えー
きっと町中の噂になっているのを見て考えを改めたんでしょうな。こんなところでも乃枝のバカタレの弊害が…

「本ッ当にじれったいわね…!嘘でもそれらしいこと言えばいいじゃない!」

「…っ!(どたどたどた)」

「ね、姉さん…!?」

そんな小梅の姿を遠巻きに見つめていた晶子・巴・静の3人。しかし巴は、小梅を見ているうちにいたたまれないような表情になってしまい、
突然その場から駆け出してしまいます。
それにしても晶子さんイラつきすぎ
「よくも私を差し置いてよくも私を差し置いて」と小梅が映画に出ることに相当イラついてます
登下校中も
常に小梅の背後から怒りの視線を送ってるし、
なんかもうこの人の
肝っ玉が小さすぎるのが全ての原因な気がするんだが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「姉さん、一体どうしたのよ」

「映画なんか大っ嫌いだぁ…鈴川さんがどんどん遠くへ行ってしまう」

「はぁ…?」

「このままスターになったら、私のこと忘れてしまうかも。せっかく友達になれたのに…」

なんと小梅が手の届かない存在になってしまうと考えて、しくしくと本気で泣き出してしまう巴。早とちりしすぎですよ!
まあしかし巴のこういうところは可愛いですよね、そして静にとっては
しめしめとこの機会に
「そうだよ鈴川さんと姉さんじゃ身分が違うんだよ」と小梅のことを諦めさせるチャンスです(えー

「…鈴川さんは、泳げない姉さんの代わりに映画に出るようなものじゃない?
 だったら笑顔で送り出してあげましょうよ。それに鈴川さんなら、姉さんのこと絶対に忘れないと思うわ」

「本当に…?」

「ええ。だから…ね?」

「…そうよね…笑顔で送り出してあげないとね…!私、鈴川さんのところへ行ってくる!」

「ふふ…………はっ!?な、なんで私が2人の間を取り持たなきゃいけないのよ…!」

こ、これは!?なんと小梅との仲を決裂させるどころか、逆に優しく巴を慰めて小梅との仲を取り持ってしまう静!
あの静がこんなまともな発言を!?何か変なもんでも食ったのか!?(えー
今までの静だったら、
何か見苦しい発言をして必死に巴を独り占めしようとすると思ったけど…
こんなまともな一面もあったんですね、ちょっと見直してしまいました

「鈴川さん、さっきはごめんなさいね…!」

「へっ?」

「これ、鹿島神社のお守り…う…映画の撮影…頑張ってね…!うぅっ…!」

「は…?」

そして再び小梅のところへやってきて、一生懸命涙をこらえながら映画のことを応援する巴。
しかし
「さっきは急に駆け出してごめんなさい」と言われても、さっきの巴は遥か遠くから小梅をこっそり見てただけだったので
何を謝ってるのか小梅には意味が分かりません。巴お前…アンポンタンすぎる…!
まあ巴はこのズレてるとこがいいんですけどね

「えーっと…”明日になったら私は、2度とあなたに会えないところへ旅立つのです”…
 うーん…?何か感じが出ないなぁ。おかあさ〜ん」

「なんです、甘ったれた声を出して」

「どうも一人だと上手く行かないの、だから手伝って」

「えぇ?ダメよダメ、今忙しいんだから」

その日の晩、自分の部屋でセリフの練習をしていた小梅でしたが、相手がいないとどうも雰囲気が掴めないようです
というかかな恵の
「おかあさ〜ん」ボイスは可愛いな…超可愛いな!かな恵最高だな!(えー

「おい三郎、お前ちょっと付き合ってやれ」

「えっ、僕がですか!?」

「この時間じゃ客が来てもたかが知れてる。行って来い」

「で、でも旦那さん…」

「四の五の言うな!これは命令だぞ!!」

そんな小梅の相手に親父は無理矢理三郎さんを指名!ナイスです親父、いつまでもギクシャクしてる三郎さんと小梅に
2人きりの時間を作ってやろうとのはからいですね。こうして小梅と三郎さんは店をほっぽり出されて、2人で夜の散歩としゃれ込むのでした

「ったく世話かけさせやがって…いい加減慣れろってんだ」

「ほんとにねえ」

「えーっと、ここの所からお願いします」

「は、はい、分かりました」

「”明日になったら私は、あなたに2度と会えないところへ旅立つのです”」

「”嘉子さん…”」

「”私、これからどうすればいいのかしら…”」

「”あなたはあなたの進むべき道を行けばいいのです”」

「”冷たい方…”」

「えっ!僕が!?」

そして人気のない神社へやってきて、本読みの練習を始めた2人。しかし三郎さんはかなり役に入り込んでしまうタイプのようで、
思いっきり素の反応を小梅に返してしまいます。三郎さん純粋すぎる…
しかし台本も偶然
「えっ、僕が!?」と同じセリフが書いてあったので、まったく三郎さんの反応に気づかず読み進めていく小梅。
そして三郎さんもなんとか持ち直してそれについていきますが…

「”そうです、あなたはちっとも本心を仰らないんですもの”」

「”言わないんじゃないんです、言えない訳があるんです”」

「”またあなたは嘘を…嘉子はそんなあなたが嫌いです”」
「”嘉子さん、あなたに涙は似合わない…” 僕はあなたが大好きだ!!」

「え?三郎さん、ここは”あなたの笑顔が好きだ”だよ?」

「えっ、あ、そ、そうですね…」

またやっちゃったよ三郎さん!!あなたが大好き!?三郎さんはそこまで小梅にメロメロだったのか!
というか小梅、三郎さんがここまで強烈な告白をかましたというのに
「何寝ぼけたこと言ってんの」って
それだけかよ…それだけかよォォォォォ  少しは三郎さんのことを意識するとかないのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
晶子と岩崎を見ていても思いますが、やっぱり男の方が女よりずっと純情(以下略)

「それじゃ、行ってきまーす!(ガラガラッ)」

「「「いよぉっ!!待ってましたァーッ!!」」」

「わ、わぁ!?」

そんなこんなで一夜明け、ついに映画の撮影に向かう小梅…って、家を一歩出るとそこには
商店街をまるまる埋め尽くすほどの信じられない人だかりが!これ全部小梅の応援ですか!?
町中の噂とは聞いてましたが、まさかこれほどとは…

「あ…はは、ははは…」

「何をしているのよ、早く来て!」

あまりの大騒ぎに小梅があぜんとしていると、そこに姿を現したのは乃枝!き、きさまー!
今日もまた
小梅が逃げ出さないようにわざわざ迎えに来たってか!(えー
ここまで小梅に撮影を強要するとはマジ最低です乃枝、せめて小梅がやる気を出すように説得したら印象も違うのに
全部力づくで無理やりな感じだしなあ…やってる事がみくるに撮影を強要するハルヒと一緒じゃねえか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「はい、これが君の衣装だよ。出番が来たら呼びに来るから、ここで着替えて準備していてくれたまえ」

「わぁ〜!はい、よろしくお願いします!」

そして大量の人だかりを掻き分けながら、なんとか撮影現場に辿り着いた小梅。
そこで渡された撮影の衣装はかなり小梅的に気に入ったらしく、ここに来てずいぶんと撮影に乗り気の表情になってきました
よかったよかった、このまま無理矢理やらされるんじゃちょいと可哀想ですもんね、
これだけ本人が喜んでるなら、この経験もそう悪いことばかりじゃなさそうです

「あっ!出てきた!鈴川さーん!がんばっ…!!…あ、あれ?」

「…?あれは花房秀子よ?」

「鈴川先輩は…?」

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「わぁ〜!ねえ、撮って撮って!」

そして大観衆の前にヒロインが姿を現し、ついに撮影開始!…って、ヒロイン役で出てきたのは
小梅とまったく関係ない女優!?
どよどよと観衆に動揺が走る中、小梅は撮影が始まったことをまったく知らずに控え室ではしゃいだままです。一体何がどうなって…


「だから、花房秀子さんは泳げないから、
橋から飛び降りるカットだけ小梅さんが代わるのさ


「あ…?あ…?」

ゲェー!?大はしゃぎの小梅に告げられた悪夢の宣告!は、話が違う!
あんたの役は飛び降りるだけのスタントマンだよってなんだそりゃー!!
ふざけんなこの野郎!あれだけ知性だ美貌だといくつも条件を並べておきながら、
ただ飛び降りただけで出番終了ってこんなバカな話が…

「花房はいいから小梅ちゃんを出して!!」

「「「そうだそうだ!小梅ちゃんを出せぇぇぇ!!」」」

「ご、ごめんなさいっ!私、あなたが主役をやるものだと勘違いしていたの!」

「…どうしよう…私、もう商店街を歩けないかも…」

「鈴川さん、悪いけど黙って飛び降りて!私、あなたの映画出演をネタに
 吉村さんと取引したの!詳しい事は後で話すから、お願い鈴川さん!」

いつまでも小梅の出番がないことにとうとう痺れを切らし、嵐のような大ブーイングに包まれてしまう撮影現場!
これでスタントマンだなんてバレた日には
人生破滅級のトラウマですが、それでもやれと言い出す乃枝。
こ、このクソッタレがー!!
「私の取引のためにあんた犠牲になって」ってムチャクチャだ!謝ればいいってもんじゃないだろ!

なんか汚え…!ずるいぞこいつ…!
謝ろうが、すまなそうにしようが…
とどのつまり
落とすんじゃねえか…!!

なんだよそれ…!?なら落とすなよ…!
「やる事やるけどごめんなさい」って…
二度あくどいって言うか…
調子良すぎる…!!
(えー

「あっ!今度こそ本物よ!」

「待ってましたァ十番小町ー!!」

「いよっ大統領ー!!」

「…」

そして割れんばかりの大歓声がとどろく中、ついに現場へ姿を現したスタントマン・小梅!
見てくださいこの
あらゆる感情を滅却した表情を。今の小梅は心を封印した飛び降りるだけのマシーンです。小梅ー!!
そして
「スタート!」 → どっぱーん → 「はいカットー!!」という一瞬で麻布が生んだスターの出番終了。
さっきまでの大歓声は一瞬にしてピタリと止み、辺りには
「あ…?あ…?」という困惑の溜め息だけが残るのでした

「お嬢さん、開けてもいいですか?お嬢さん」

「…」

こんな最悪の映画撮影のおかげで、大スターから一転して町の笑い者になってしまった小梅。
本当に家の外を出歩くことすらできなくなってしまい、今にも消え入りそうな雰囲気でずっと布団で寝たきりになってしまいます。
マジでシャレになってねえ…乃枝は一体この責任をどう取るつもりなんだよ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「じゃあ…このまま聞いてください。僕、これで良かったと思ってるんです。
 だって…お嬢さんが映画スターになってしまったら、僕のお嬢さんが居なくなってしまう」

「…」

「あっ、よかったらこれ…食べてください」

しかしこの町の誰もが
「いやあ残念でしたね十番小町さん(笑)」と小梅を嘲笑する中、
唯一
「これでよかったんだ」と優しい言葉をかけてくれる三郎さん。なんという三郎さんの深い愛情…
そして小梅の部屋の前にそっとチャーハンを置き、廊下の向こうへと消えていく三郎さん。
そんな三郎さんの足音が遠のいていく中、小梅はそっとふすまを開けてチャーハンを食べ始めるのでした

「…あ…おいしい!…まあ…いっか…!」

チャーハンに口をつける前までは、相変わらず暗いままだった小梅の表情。
それが三郎さんのおかげでいつもの明るい表情に…まったく三郎さんはいい男すぎるぜ
これで次回からは
小梅→三郎さんのラブ描写も増えそうですかね、今回は三郎さんが小梅を好きっていうのはよく分かったけど
小梅の方は三郎さんを特になんとも思ってない感じだったので、
なんか三郎さんが
片思いロリコン野郎に見えたというかなんというか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

ちなみに乃枝の言っていた取引の内容とは、例の助監督に朝香中の試合の様子を撮影してもらうことでした。
記子のスコアブックじゃ物足りないからこうして実物を見たかった、と…
というかそれだったら記子に行かせないで
自分で試合見に行きゃいいのに!(えー  まったくひどい奴です乃枝
そしてそんな2人だけの上映会の最中、
「君のために撮って来たんだよ、今度牛鍋でも食べに行かない?」と助監督にナンパされて
真っ赤っ赤になってしまう乃枝。お、お前、
小梅を破滅させといて自分は新しい恋発見かよ!!(えー
心底どうしようもないな…さっきマシュマロ通信のバジルと言いましたが、それが可愛く見えるくらいのサイテー裏切りっぷりですよ!

というわけで編集長、
ひどい目に遭わせて
やってください
(えー
次回に続く
 

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・このサイトの感想を呼んで大正野球娘見始めました。私は胡蝶が一番好きですが大志さんは誰が好きですか?

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漫画版の岩崎が一番好きですいい奴すぎるだろ岩崎…!アニメの岩崎もここまでアホではないにしろ、これと同じように晶子と仲良くしたいと思ってるんだろうなあ
こんなに人間味溢れるいい奴をゴミのように扱うなんてまったく晶子は酷い奴だよ…(えー


大正野球娘。 第9話「誤解の多い料理店」

「むにゃむにゃ…”3番岩崎荘介、打席では慎重…初球からは手を出さない”…すかー…」

「小梅ー!もう8時を回ったわよ!」

「はっ!?わわっ、い、行ってきまーす!!」

ある日の朝、今までの偵察で集めた朝香中の打者データをうつらうつらと読んでいた小梅。
しかしうっかりぐーすか寝こけてしまったところを小梅母に叩き起こされ、遅刻ギリギリで慌てて自宅を飛び出していきます
関係ないけどこの打者データ、口では
「3番岩崎」って言ってるのに紙では「4番岩崎」って書いてありますよ!
スタッフまで一緒に寝ぼけてどうする!(えー

「まったくもう、あの子ったら布団も上げずに…あら?」

ところがドタバタと慌ただしく家を出て行った小梅は、資料から写真が1枚抜け落ちてしまったことに気づきませんでした
小梅の部屋に残されていたその写真…なんとそれに写っているのは
よりによって高原!
それを見つけた小梅母は、
「あのスットコドッコイと小梅が交際してるなんて!?」と眉をひそめてしまいます

「こいつ…前にウチに来た野郎じゃねえか!」

「ええ…」

「小梅の奴…!許婚が出来た早々何考えてんだ!!」

そんな高原の写真を見せられた小梅父は、やはりというか大激怒。
小梅が三郎さんを差し置いて、高原とよろしくやってるものと思い込んでしまいます
こりゃ小梅が帰ってきたら物凄いカミナリが落ちそうですな…

「1対5で桜花会の勝ち!」

「ありがとうございましたー!」

「くっそー…!姉ちゃん達やるようになったなあ。でも俺達に勝ったぐらいで
 喜んでちゃいけねーぜ!朝香とやるんだからもっと使える魔球を覚えねーとな」

そしてその日の午後に行われた練習試合では、とうとう桜花会がバシンチームを危なげなく撃破していました
桜花会も大分安定した実力がついてきたようです、やはりバシンチームとの試合はそろそろ卒業して
これからは富士見中あたりと戦うべきだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「皆さん!本日ただ今、私はあなた達の監督として
 朝香中に正式な試合を申し込むことに決めました!」

「「「わぁー!!」」」

な、なんですって!?バシンチームの次はもうラスボス朝香中との決戦!?
そんなに急がずとも富士見中とゆっくり試合をして(以下略)
ともかくアンナ先生から見て、桜花会の実力は朝香中と試合らしい試合ができるまでに成長しているようです
小梅達も今度こそやってやるぜーと燃えに燃えてそれぞれの自宅へと帰りますが…



「小梅…お前、俺達に何か隠してることがあるんじゃねえのか」

「えっ!?な、何のこと?」

「これは一体どういう事だッ!!」

「ああっ!?」

しかし小梅が家に帰りついた途端、高原の写真を差し出しながら怒鳴りつける小梅父!
「よくもこんな奴と隠れてこそこそ付き合いやがって」と怒りの収まらない小梅父でしたが、
小梅の方は
「くっそー私が野球やってることがバレちまったか」全然違う勘違いをしてしまいます

「そ…その…今まで黙っていてごめんなさい!お願いだから、何も言わずに許して下さい!

「冗談じゃねえ!親をなんだと思ってやがる!!」

「隠していたのは謝ります、でももう決めたんです!だからお願い!!」

「こんな大事な事を勝手に決められてたまるかッ!!」

「お父さんの分からず屋ァァッ!!」

「なんだとォォォッ!!」

「私は絶対野球やめねーから!!」「あんな奴と絶対結婚させねーから!!」
2人はお互い勘違いしたまま物凄い大ゲンカに!うわああああああなんてこった
これで険悪になってしまった小梅と父親は、翌日になっても目を合わせようともしなくなってしまいます
そこで今度はガミガミ言うのではなく、なんとか小梅をなだめようと母親が話しかけますが…

「小梅…もう一度胸に手を当ててよく考えてごらんなさい」

「…」

「お父さんがどんな気持ちでいるか考えてごらんなさい、それにそんな事をしたら世間様が…」

「私の気持ちは変わらないわ!説得しようとしても無駄よ!!」

「小梅!」

ぐわー小梅暴走!!ついに母親にすら「私の野球魂を止めることはできないぜ」と吐き捨ててしまう!
この親不孝ものめー!まあお互いに勘違いしてるからもしょうがないんですけどね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
しかし母親達にしてみればこいつは大変です、小梅が他の男に走ったとなれば三郎さんに合わせる顔が…

「ったく…親の決めた許婚の何が気に入らねえってんだ!
 おい八重、小梅が帰って来たらもう一度話してみるから、当分の間三郎には…

「…」

「ど、どああああっ!?」

志村うしろー!!なんとか秘密裏に小梅と話をつけようとする父親でしたが、その一部始終は三郎さんに丸聞こえ!
ついに三郎さんまでも小梅に別の男がいることを知ってしまうことに…これは思わぬところで三角関係勃発ですな…

「今日から皆さんには心がけてもらいたい事があります、それはプレー時間の短縮です!」

「じ、時間短縮?」

「そうよ、あらゆるプレーの時間短縮」

そんな一方で桜花会の練習は、今日から完全に対朝香中を想定したレベルのメニューが組まれていました。
前回入手した朝香中の映像資料を穴が空くほど見返した乃枝は、誰が何秒でベースを回るかという時間までも調べ上げて、
それをきっちりアウトに出来るスピーディな守備を要求しているのです。まあ小梅があんな酷い目に遭って入手した映像なんだから
これくらいは役に立ってもらわないとな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

ダダダダダダダ!

「セーフ!」

「ダメよもっと速く!朝香中は全員が胡蝶ちゃん並みに速いと思ってちょうだい!
 中でも一番の俊足は、自称あなたの恋人さんね」

「もう…やめてよぉ〜」

朝香中の全員が胡蝶並の速さ…マジですか!胡蝶の脚力っていうと泥棒騒ぎの時のアレで完全に超人レベルというイメージなんで
朝香中がとてつもないバケモノ集団に思えてならないな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  しかもその中で最速なのは意外なことに高原!
あいつそんなに凄い奴だったのか…そういえば記子が偵察した時の原稿用紙にも
「高原が韋駄天のような快足を飛ばして〜」とか
書かれてたっけなあ。ダテに1番バッターを任されてるわけじゃなかったのか…

「ごめんなさい、遅くなって!」

「いえ…こちらこそ、こんな時間にすみません」

そしてとっぷりと日が暮れたその日の晩、三郎さんと小梅は映画の練習をした神社で待ち合わせをしていました
どうやら三郎さんが高原の事できっちり話をつけようと、小梅をここに呼び出したようですが…

「今日は、どうしてもお嬢さんの口からお聞きしたいことがあって…」

「なあに?」

「今朝、偶然女将さんとのやり取りを耳にしてしまったんです」

「…あ…。あの、黙っていてごめんなさい…あんな事する女の子って、やっぱりおかしいかしら…」

「あ…いえ、お嬢さんが浅い考えで物事をお決めになる方でないのはよく知っています。
 そんなお嬢さんがお決めになった事なら、僕は…!僕はただ…
 お嬢さんが本気かどうか、それだけが知りたいんです!」

自分ではなく他の男に恋してしまった小梅、三郎さんはそんな小梅の意志を尊重すべきと思っているようですが
頭でそう思っても心が納得出来るわけありません。ただ、小梅の口から本気の恋だという言葉を聞いたその時は、
自分の心を押し殺してでも身を引く覚悟を固めようと…

「本気です」

「!!」

ぎゃあああああああ!!言っちまったよ小梅!それもまったく迷いのない表情です、やめろー!
言うまでもなく小梅は
野球の話と勘違いしてるだけなんですが、三郎さんにとってこれほど受け入れがたい現実はありません

「もう後へは引けません、この先どんな苦難の道が待ち受けているか
 分からないけど、必ずやり遂げるつもりです」

必ず添い遂げるつもり!?(えー  そこまで言うか小梅!好きな相手の口からこんな言葉を聞いてしまったら、
三郎さん受けたショックは一体どれほどか…



「…そうですか…分かりました、そこまでおっしゃるのでしたら…影ながら応援します。だから…!
 頑張ってください…!」

「三郎さん…!私がんばる!絶対に負けない!
 ありがとう三郎さん、私必ずやり遂げてみせるから!」

アイナと添い遂げるー!!2回言っちゃったよこの子は…
もはや悲しいなんて言葉ではまるで足りないほどにショックを受けてしまった三郎さん、
心情的にはもう
「自分は死に場所を見つけてしまいました」という感じでしょう(えー
それでも自分の落ち込んだ姿を見せまいと、必死に涙をこらえる姿がなんとも胸を打ちます。
そんな一方で、
「わーい三郎さんが野球認めてくれたよー^^」とゴキゲンな小梅は…

「ええいっ!」

スパアアアン!

「小梅さん、今のボール曲がったかしら!」

「う〜ん!とってもいい感じよぉ〜♪」

「…?」

「とってもいい感じだよ〜♪ほ〜んと!すご〜くいい感じ!さあ、もう一球いってみようか!」

「…???え、ええ…」

翌日もルンルン気分な
スーパーハイテンションになっていました。
そんなに三郎さんに認めてもらって嬉しかったのか小梅!まあ岩崎も高原も最初は
「女が野球することないじゃん…」って感じだったし
小梅父に至っては
「許さん許さん絶許さん!」って全面否定でしたからな…唯一「頑張ってください」と応援してくれた男が
三郎さんだったというわけか。まあ勘違いですけど:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  一方その頃、そんな三郎さんはというと…

「おーい三郎、そろそろ盛り付けの用意を…うおっ!?さ、三郎オオオーッ!!」

「…」


(C)渡辺保裕/新潮社

壊レテシマイマシタ…(えー

なんと小梅に振られてしまったショックで三郎さん完全に精神崩壊!
フライパンを火にかけたまま、ぼけらーと虚空を見据えて料理を丸焦げにしてしまいます。うわあああ
小梅は天国、三郎さんは地獄!早いとこ誤解を解いてもらいたいところですが…

 

「満を持しての再挑戦かぁ!向こうも相当な自信があるんだろう」

「俺達の試合を毎回偵察している子もいるしな」

「受ければ晶子さんも納得してくれるんじゃないか?仲直りするいい口実になるぞぉ!」

「ぐぐ…し、しかしだな!」

一方その頃、朝香中の面々に届いていた桜花会からの挑戦状。それを見た部員たちは
「よっしゃー岩崎の仲直り作戦のためにも一肌脱いだるか」と、かなり前向きなようです。相変わらず気持ちのいい奴らだなあ
そして柳曰く
「記子は毎試合偵察に来てる」そうですが、あれからも2人は仲良くお喋りしたりしてるんでしょうか

「東邦星華学園から挑戦状が届いたそうじゃないか」

「はあ、今度は正式な申し込みでして」

「ふむ…公式試合ともなると、事は学校間の問題だ。軽はずみな返答は我が校の沽券に関わるからね」

「はい…確かに」

「どうだろう、この件は私に預からせてもらってもいいかね?」

「それはもう、校長のよろしいように」

ところがその頃校長室では、「あんまりホイホイ試合するのはよくないね」と校長と顧問の先生が話していました
ぬう…確かに全国クラスの一流男子野球部が、年下の女子に負けたとあってはメンツ丸潰れでしょうからな
そこで校長に考えがあるようですが、メンツを潰さずに双方丸く収まるような条件でもつける気なんでしょうか?
見た感じおっとりした性格の校長のようだし、悪いようにはしないと思いますが…

「学院長ー!朝香中からお手紙がー!」

「…………!?」

「どうしました学院長?お顔の色が優れませんが…」

そんな朝香中の校長から、小梅達の学院長に向けて送られて来た手紙。さっそく試合についての返事を書いたようです
ところがそれを見た学院長は、明らかに不快な表情を浮かべてアンナ先生にも手紙を見せることに…

「なっ…!”神聖なグラウンドに婦女子を入れること、これすなわち
 ベースボールへの冒涜である。本件に関しては、賢明なる貴公の御明断を
 強く希望する”…!?」

「えっ…!?」

「な…何よそれ…!」

ゲェーッ!?
なんなんだこの最悪な手紙は!!
なんとあの校長が送ってきたのは「女が野球なんてやってんじゃねーよクソして寝ろ」という完全に女を見下した試合拒否の手紙!
あ、あのクソ校長、てっきり良識のあるおっさんなのかと思っていたらとんだ食わせ物じゃないか!
断るにしても言い方ってもんがあるだろうに…
「軽はずみな返答は我が校の沽券に関わるからね」って
どの口で言ってんだあのスカタンは!(えー

「う、嘘でしょ?ねえ嘘でしょお!?」

「あ、晶子さん…」

「…」

ジリリリリリン!ジリリリリン!

「はい、岩崎でございます。はっ…少々お待ち下さい」

「はい代わりました、荘介です。まさか晶子さんの方から電話をもらえるなんて…」

《卑怯者ッ!!》

「!?」

う、うわああああああ!!この手紙に激怒して即座に岩崎への電話攻撃を開始した晶子!そ、そんな!
何も知らない岩崎に向かってなんてことを…(´・ω・`)この間も
「最近晶子さんは電話にも出てくれない」って寂しがってたし、
やっと久々に晶子と電話でお喋りできると思って、相当嬉しかったろうになぁ…見てくださいよこの岩崎のにこやかな顔を
それがいきなり第一声がこれだなんて…ううっ

「な、何のことですか…?」

《公式試合の申し込みを断った事、お忘れになりまして!!》

「え…!?ちょ…ちょっと待ってください!あの件は受けると返事を…!」

《舌の根も乾かぬうちによくも抜け抜けと!!》

「本当です…!受けると返事をした事は、本当なんです!」

《私には、今のあなたの言葉は信じられませんッ!!(ブツッ!!)》

「あ…」

うあああああああ岩崎いいいいいいい!!(号泣)
あああああ!!なんという可哀想な真似をするんだよ晶子は…話をロクに聞いてもらえず、一方的に電話を切られる岩崎が
あまりにも哀れすぎます。なんでいつも岩崎ばかりがこんな目に!
ある日突然許婚が口を聞いてくれなくなり、話をしようとしても電話に出てくれず、
わけの分からない野球勝負を挑まれて、受けてみたら
「相手にされてなかった!見下された!」と逆ギレされ、
どうしていいか分からず小梅に相談したら、冷たくあしらわれて
「二度と来んな」と母親に釘を刺され、
また試合を挑まれて
「よし受けよう」と答えたら、「なんで試合受けねえんだよチキン野郎!」と罵倒され…
何も悪いことしてないのになぜこんな…私ならその場に崩れ落ちて号泣するレベルです(えー
これだけ酷い目にあって自暴自棄にならない岩崎は強い子。頑張れ岩崎、頑張れ!超頑張れ!

ズカズカズカズカズカ!

「い、岩崎待て!ちょっと待たんか!岩崎!」

バタアアアアン!!

「校長ッ!!野球部に相談もなく試合を取り消すなんて…!
 横暴じゃありませんか!!」

そして次の日、学校へやって来るなり校長室へ乗り込み猛抗議を開始する岩崎!
おおお…桜花会のためにここまでやるなんて…本当岩崎は、見てるともう応援したくてしたくてたまらなくなってくるぜ


(C)LEVEL-5/FCイナズマイレブン・テレビ東京

「100パーセント!!
 絶対に勝てると
 言い切れるのか!!」(えー

今の岩崎の立場って、総帥に抗議した時の鬼道さんに似てるよな…:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「練習試合ならともかく、公式試合なら立派な学校行事だ。
 クラブに相談する必要などない」

「しかし!意見くらい聞いてくれてもいいんじゃないですか!!」

「職員会議で決定したことだ。諦めてもう帰りたまえ」

「…く…!」

しかし岩崎がどれほど熱意を伝えても、校長はまるで話を聞こうともしてくれません
話にならない校長の態度に、わなわなと体を震わせる岩崎。ところがその時、新たに校長室へ入ってきた人物が…

「入らせてもらうぞ」

「お、小倉様!?きょ、今日は一体…!」

な、なにぃぃぃ!?ちょっ…この人は
辻打ちの時の人質ジイさん!?
なんであんたがここに!話を聞けばなんとこのジイさん、実は朝香中の後援会長で、辻打ちの時に小梅達に助けられて以来
桜花会のことを温かく見守っているようです。このジイさんも岩崎と同じで、校長に抗議をするためにやってきたようですな…

「ふうむ…つまり”女子の野球などままごと同然、相手にする事はない”と…
 そう言いたいのじゃな?」

「は、はい、そもそも女は家庭に入り家事に精を出せばよいのです。
 それを男の真似をして野球など…!まったく分をわきまえぬ
 滑稽な行為としか思えません。それにこちらも、
 お嬢様の相手をするほど暇ではありませんから」

こ、これは!?桜花会をコケにしながら
かつての岩崎とまったく同じ言葉を吐く校長!
この展開はまさか…このクソジジイの愚かな振舞いを見て、岩崎も自分の言ってしまった失言に気づくという伏線でしょうか。
とりあえず今はまだ、岩崎もそのことに気づいていないようですが…

「そこの小僧、貴様はどう思う」

「僕は校長のお考えには反対です」

「岩崎…!」

「彼女達が真剣に挑んで来ている以上、それにしっかりと応えるべきだと思います」

「ほほぉ…」

岩崎マジかっけぇすぎるだろ…小梅達の気持ちを本物だと認めた今、すでに女だからどうとかいう差別意識は
かなりのところまで薄まってきているようです。もうほとんど晶子の不満は解消されたようなもんですね
あとはそれを
誤解なく晶子に伝えることが一番の問題なんだが…:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
あの暴走機関車みたいな人に、一体どうやったら分からせることができるんだろう…(えー

「しかし岩崎君…!」

「校長!おぬしまさか…女子から逃げているのではなかろうな」

「は…?ま、まさか」

「では何故試合を受けぬ!」

「そ、それは先ほども申しました通り…」

「紋切り型の女子像など聞き飽きたわい!
 この小倉矢八郎、敵の挑戦を受けて逃げ回るような中学の
 後援会長をしていたとは…!情けなくて涙が出るわ!!
 おぬしとの付き合い、これまでにさせてもらうぞ!」

「ひ、ひええええ!?」

「それだけはお許しをー!」というわけで、岩崎と桜花会のためにボケナス校長を説き伏せた小倉じいさん!
こうして朝香中との試合は認められることになり、その知らせは瞬く間に桜花会へも飛んで行くことになります

「みんなぁー!グッドニュースでぇーす!!
 朝香中が試合を受けてくれました!夏休みが終わったら試合でーす!!」

「「「「ええ!?やったあああああ!!」」」」

「一度は拒否したのにどうしたのかしらぁ!」

理由なんてどうでもいいわ!こうなったらじゃんじゃんホームランを打っちゃうからぁ!」

「バンザイやったー試合だー!誰が説得してくれたのか
別にどうでもいいけどっておいイイイイイ!!
ちょっと待てお前らー!!そこはもっと
気にしなきゃいけないところだろ!!
一生懸命校長に抗議してくれたナイスガイが一人いるというのに、誰にも知られずに終わるなんて…うっうっうっ
せめて晶子にだけは知っておいて欲しかった…そうでないとしても、卑怯者発言についての謝罪の電話くらいは…
するわけないかあのお嬢様が:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  岩崎マジ報われねえ…もうほんと試合の勝ち負けはなんでもいいから
最後には岩崎にハッピーエンドが用意されてることを祈るよ…

「ふふふ、ら〜めちゃんたらぎっちょんちょんで〜♪ぱいのぱいのぱ〜い♪パリコとバナナで〜♪」

「ふらいふらいふら〜い♪やあ!マイスニートハニー!」

「えうっ!?」

そしてすっかりゴキゲンで東京節を歌いながら帰る小梅でしたが、いきなりそこにトラブルメーカー高原が出現!
今日は一体どうしたのかと思いきや、いきなり
「今度の試合でウチが勝ったら僕とランデブーね!」などと
小梅に一方的な賭けを持ちかけてしまいます。ちょっ、それであんた
小梅が勝ったら何してくれるんですか!?賭けの成立になってねー!

「あ、あの…!」

「じゃあ夏休みが明けたら、ランデブー楽しみにしてるからねー!!」

「…!」

って、ああああああ!?さ、三郎さんがなぜここにー!!
なんと偶然会話中の小梅達の近くを通りがかり、「僕とランデブーねー!」という高原のバカでかい声を耳にしてしまった三郎さん!
三郎さんからしたら
どう見ても愛し合う2人がデートの約束をしてるようにしか見えません。ぐああー!!
激しくいたたまれない気持ちになってしまった三郎さんは、逃げるようにその場から駆け出してしまうのでした。あああ…
それにしても三郎さん、その仕草といい表情といいこのシチュエーションといい、
どっからどう見ても乙女なヒロインなんですがどうしてこんなことに:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「それじゃ、お先に失礼します…」

「お疲れ様ー!」

「あっ三郎さん!お疲れ様でした!」

「あ…はい…お嬢さんも…」

「…?」

そして今日の夜遅く、仕事を終えた三郎さんは玄関で小梅と出くわしてしまいますが、
もう
この世の終わりみたいな顔をして、目を合わせる気力もなくそそくさと帰ってしまいます。三郎さん…生きろ…
そんな様子を見て、さすがに今日の三郎さんがおかしい事に気づいた小梅。そのことで母親に話を聞いてみますが…

「ねえお母さん、三郎さんどうしたのかな?元気ないみたいだけど」

「あきれた…この子ったら自分のしでかした事が分かってないのね」

「何が?」

「あなた彼に会ったでしょ。高原さんよ、おまけにランデブーの約束までしたっていうじゃない」

「え…!?」

「全部あんたが浮気したせいじゃない」と母親から聞かされて、ついにお互いの誤解に気づいた小梅!
そしてすぐにでも本当の事を話そうと、凄い勢いで店を飛び出し三郎さんを必死に追いかけ始めます

「はあ、はあ、はあ…!」

「…」

汗だくになりながらついに三郎さんの背中を見つけた小梅、乱れた息をはあはあと整えながら、すうーっと大きく深呼吸をすると…

「三郎さんのばかああああああああああ!!」

「…!?お、お嬢さん!?」

「大っ嫌い!!」

「えっ!?」

「高原さんのこと!好きでも何でもないの!あんな鈍感な、
 人の迷惑も考えない唐変木!好きになるわけないじゃない!」

バ、バカなうえに大嫌いだとー!?(゜д゜;)って、大嫌いなのは高原のことで三郎さんのことじゃないのか…
こんな時まで紛らわしい言い方しないでくださいよもう:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「で、でもランデブーの約束は…」

「あれは試合に負けたらという賭けなの!」

「試合…?」

いきなりバカやら大嫌いやら唐変木やら試合やら聞かされて、きょとーんと話について行けない三郎さん。
そんな三郎さんに小梅は一から全てを説明し、ついに誤解を解かれた三郎さんはこれまでのいきさつを理解するのでした

「なるほど野球ですか、じゃあ旦那さんも奥さんも…」

「そうなの、みんな誤解しすぎよ!私には…そ、その、三郎さんっていう…」

そして
「許婚の三郎さんがいるのに浮気なんてしない」と真っ赤になってうつむいてしまう小梅!うおー!!
本日のニヤニヤタイムですよ!!前回から期待していた小梅→三郎さんの描写がついに!
やっぱり小梅もちゃんと三郎さんのことが好きだったんだなあ。いやあよかった
相思相愛ってのはいいもんですね、三郎さんが
かわいそうな片思いロリコン男にならなくて本当よかった:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ふふ、いいと思いますよ。野球」

「え?」

「元気のいいお嬢さんらしい」

「あは…お父さんとお母さんにはまだ内緒ね!」

「はい…そうだ、今度の試合なんですけど、僕と賭けをしてもらませんか?」

そして誤解が解けてもやっぱり小梅の野球を認めてくれた三郎さん。理解ある旦那でよかったのう
しかしその時、今度は三郎さんも朝香中との試合で賭けがしたいと言い出しました。なんだか分かりませんが、
今までニコニコ喋っていたのがちょっと神妙な表情に…それだけマジメな話なんでしょうかね

「もしお嬢さんが勝ったら…」

「勝ったら?」

「こ…小梅さんと呼んでもいいですか!?」

「えっ…!」

こ、これは!要は形式だけの許婚じゃなくて
本物の恋人同士になりたいということか!言うなあ三郎さん
そんな三郎さんのプロポーズ的な言葉を受けた小梅は、真っ赤になりながら恥ずかしそうにぼそぼそ答えます

「さ、三郎さんの意地悪…私に負ける気がないこと知ってるくせに」

「賭けになりませんか…?」

「ううん…その勝負、受けた!!」

勝って三郎さんと添い遂げる!!三郎さんと真のカップルになるために、今度の試合での勝利を誓う小梅!
いやはやこいつは試合が終わった後のラブラブ展開に期待が高まるってもんですね
ところで以前岩崎と高原が小梅家に押しかけてきた時に、
「三郎さんは『小梅さん』って呼んでるのに親父は怒ってないよねー」とか
見当外れな感想を書いてましたが
スマンありゃウソだった:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  次回に続く!






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