■薄桜鬼 第12話「剣戟の彼方」
《慶応四年一月、旧幕府軍と薩長軍の間で戦いの火蓋が切られた…
世に言う鳥羽伏見の戦いである。旧幕府軍15000に対し、薩長軍5000…
数の上では旧幕府軍側が優勢だった…しかし最新兵器を装備した薩長軍の前に、
旧幕府軍は完全に圧倒されていた》
ゴッバオオオオン!!
「ぐ…!まったくよく撃ちやがる…!」
「あっ、斎藤さん!?原田さん!」
「(ふらふら)副長…申し訳ありません…砲撃が激しく、凌雲寺内に斬り込むことは…」
「…そうか…」
さて前回、戦争の秒読み状態となり緊張感の漂っていた京都の町ですが…
今回ついに鳥羽伏見の戦いという大戦争が勃発し、新選組メンバー達は誰もがズタボロになりながら薩長軍と戦っていました
ところが、大量の銃火器をこの戦いに投入した薩長軍は、刀で戦おうとする旧幕府軍を完全に圧倒しているようで…
しかしこんな時になんですが、鉄砲にケチョンケチョンにやられて「あんな武器使うなんて反則だお(´;ω;`)」と
すごいしょんぼりしながら帰ってきた斎藤さんが萌える:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「薩長の持っている銃は射程が恐ろしく長い…かなり離れた場所からでも、
2発に1発は命中している」
「あんなのに高い場所から一斉に狙われちゃあな…」
「こっちも敵さん、雨あられと鉄砲を撃ってきやがってな…
本陣に斬り込むどころじゃなかったぜ…おかげで、部下をほとんど死なせちまった…」
「…もう、刀や槍の時代じゃねぇってことだな…」
「…」
刀を交える前に長距離から狙い撃ちにされ、すでに大量の犠牲者を出していた新選組の部隊。
もはや刀では一方的に殺されるだけという状況に、誰もが苦々しい表情を浮かべていました
そんな中で、特に悔しそうに険しい目をしていたのは斎藤さん…
まあ、この人は私の強さランキングでもダントツ最強なくらい剣術を極めた人ですからなあ、
それが鉄砲をバンバン撃ってるだけの相手に負けてしまうなんて、こんなに悔しいことはないでしょう
「ここは撤退だ…!日が落ちたら羅刹隊を先発させた陣を組む!
それと、誰か淀城へ行って援軍を頼んで来てくれ」
「で、伝令なら私が行きます!みなさんは疲れています、移動まで体を休めてください!」
「お前が…?」
「私も一緒に行こう」
「えっ?井上さん…」
「分かった…頼んだぞ」
結局この京都での戦いは旧幕府軍の惨敗に終わり、総大将の徳川慶喜が陣取る大阪城への撤退を余儀なくされた新選組。
その途中、幕府側の勢力に属する淀藩にも援軍を頼むことにしますが…その伝令に名乗り出たのは千鶴と、六番隊組長の井上源三郎でした
この井上というのは初めて見る気がしますが…他のイケメン達と違って、この人は普通にチョンマゲしてるおじさんなんですね
斎藤さんたちと並んでる図を見ると違和感が凄いな…なんかこの人だけ場違いに見えてちょっとかわいそう:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ザザザザザザザ
「援軍、出してもらえるでしょうか…!」
「なんとしても出してもらわねば…!歳さんのためにも…むっ!?」
「…?ど、どうして門が閉まっているんでしょう…」
そんなわけで新選組が大阪へと向かう中、応援を呼びに淀城へと駆けていた千鶴たち。
ところがようやく淀城に辿り着いたその時、まるでその城は千鶴たちが招かざる客であるかのように門を閉じていました
幕府側の城であるはずなのに、どうしてこんな真似を…?と千鶴はいぶかしげな顔を浮かべますが…
「我々は幕命を受けて参った!お上に弓引く逆賊を討つため、力をお貸し願いたい!」
チャキ…
「…!?雪村君、危ないッ!!」
バアアアアアアアン!!
「ひっ!?い、井上さん、これは!?」
「戻ろう…!ここは危険だ!」
「で、でも、援軍を…!」
「彼らはすでに…味方ではない!」
ところがその時、千鶴たちに協力しないどころか、あろうことか千鶴たちへの銃撃を開始した淀城の兵士たち!何をするだァーーッ!!
なんとこの淀藩、いつの間にか旧幕府軍の味方ではなくなっていたという…
なぜならこの戊辰戦争では、朝廷が薩長軍の方を官軍と認めてしまったから…さっき井上は「お上に弓引く逆賊」と言いましたが、
今では旧幕府軍の方がその逆賊扱いを受けてしまっているんですな…
しかしそんな形式上のことで、仲間を見捨てて射殺しようとするとはなんとも酷い話です
ともかくこれで援軍の望みが絶たれてしまった千鶴たちは、失意の中土方たちとの合流場所を目指して再び走り出すことに…
ザザザザザザザ
「この森を抜ければ、合流場所だが…」
「あっ、誰かいます!土方さん達じゃ…」
バアアン!バアアアアアン!!
「ぐっ…!?がはっ…!」
「…!?い、井上さん!?井上さん!!」
って、な、なにぃ!?なんと合流場所までやってきたその時、突如として千鶴たちに発砲してきた謎の男たち!
仲間かと思って近づいた矢先に突然の発砲…そんな銃弾をモロに食らってしまった井上は、相当な重傷を負ってしまうことに…
しかし撃ってきたのはどう見ても幕府軍の服装をした奴らですが、これは一体…?薩長軍の人間が偽装でもしているのか…?
「ぐ…ふ…!き、貴様ら…幕府軍では…」
「おい、あの隊服は新選組じゃねえか!」
「ククク、こいつらの首を手土産にすりゃあ、薩長も喜んで迎えてくれるぜ!」
く…くそがあああああああ!!こいつらは…こいつらは単なる裏切り者だったのか!
なんと正真正銘の幕府軍だったこの男たち、しかしこいつらは戦況が不利なことを知った途端、
我が身かわいさに友軍をあっさりと裏切り、薩長軍へ取り入るために誰でもいいから幕府軍の首を持っていくつもりだったのです
なんという人として最低のゴミども…こんな奴らにいいようにやられてしまったら、無念なんてもんじゃありません
チャキ…
「に…逃げなさい…雪村君…」
「そんな…井上さん!」
「と、歳さんに…伝えてくれ…力不足で申し訳ない…
共に在れなかったことを…許して欲しい…最後の夢を見させてくれて…
感謝しても…し切れない…とね…」
「い…井上さ…!」
「おおおおあああああああ!!!」
うわああああ井上さんんんんん!!すでに相当な深手を負わされているにも関わらず、
せめて千鶴が逃げる時間だけは稼ごうと、刀を引き抜いて特攻を仕掛けた井上さん!
あああ…なんて哀しく熱い男でしょうか井上さん。この刀を構えた後ろ姿が、頼もしいと同時にあまりにも悲しすぎます
バキイイイン!ガキイイイインン!!
「なっ!?ぐぐっ…!」
「ぬううあああーーっ!!」
「ちぃ…!くたばり損ないがぁーっ!!」
ズバッドバシャアアアアッ!!
「がっ…は…!」
「い…!井上さああああああん!!」
ぐああああああちくしょおおおおおお!!
圧倒的な気迫で一気に1人を追い詰めたにも関わらず、卑怯にも背後から深々と刺されてしまった井上さん!
そこからは凄惨なメッタ刺し…井上さんの力が緩んだのをいいことに3人がかりで…
本当にこいつらは、弱っている相手としか戦えない最低のクソ野郎どもです。ちくしょう…ちくしょォォォォォ
「…早く…逃げ…ゆき…む…ら………く…………」
「……っ!!」
「ヒッヒッヒッヒッ…!」
「…旗色が悪いからと言って寝返るなんて…!あなた達は…!
それでも本当に武士なんですか…!!」
「本当に武士だぁ?当たり前だろ!」
「違うッ…!!私は今まで真(まこと)の武士を見てきました!
あなた達は…!武士の風上にも置けないッ!!」
そして最期の瞬間まで千鶴の身を案じて散って行った井上さん…しかし千鶴は、井上さんにいくら逃げろと言われても
目の前の男たちをどうしても許すことができませんでした
・劣勢に陥った友軍を救うために、決死隊として敵軍に突撃した永倉
・永倉の血路を開くために、体を張って壁役として戦った原田
・友軍を狙う大砲を止めるために、砲撃部隊との死闘を繰り広げた斎藤さん
・そして千鶴を逃がすために、瀕死の体で裏切り者に向かって行った井上さん…
今回の激しい戦いの中で、新選組の男たちは誰もが仲間を救うために体を張って戦い抜きました
それも全員がボロボロに惨敗するほど、勝算のない戦いに挑んでいったという…
それに比べてこの男たちはどうでしょうか、我が身かわいさに仲間を惨殺し、勝算が薄いと思ったらすぐ敵へ寝返る。
新選組とはあまりに正反対のゲス野郎どもです、こんな連中に井上さんが殺されたかと思うと、悔しくて無念でなりません
だから千鶴は逃げ出すことができず、刀を抜いて戦おうとしているんでしょう。要するにこういうことです
(C)ABC・東映アニメーション
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わたし…!
堪忍袋の緒が!
切れましたぁぁぁぁっ!!(えー |
「風上にも置けないだと…?言ってくれんじゃ…」
ズッシャドバシャアアアッ!!
「「「ぐぶああああっ!?」」」
「フン…下衆が」
「か…風間…さん!?」
ってええええええ!?な、なんとそんな千鶴の前に思ってもみない援軍が登場!誰かと思えばレイパー風間!
一体どういう風の吹き回し!?今まで千鶴を襲ってばかりいた、このレイプ魔が助けてくれるなんて…
うーん、でも風間の目的は千鶴を孕ますことだから、こんな奴らに殺されちゃうと逆にすんごい困るのか…(えー
「…(じりじり)」
「よせ。俺は淀藩の動向を見に来ただけだ」
「…淀藩…」
「その様子じゃ、奴らが寝返ったのは承知しているようだな」
そんな変質者から身を守ろうと刀を構える千鶴でしたが、風間はというと珍しいくらいの自重っぷりです
「大丈夫、今日はレイプなんてしないよ^^」と言われてひとまず刀を収める千鶴。一体どうしたんだ風間さんは…
あれだけ千鶴と子作りすることしか考えていなかった男が…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ともかく前々から薩長に味方している風間は、さっきの淀藩が幕府から寝返った件を確かめに来ただけみたいですね
「…源さん…お前か、斬ったのは」
とか思ってたらそこに土方が!こ、これは非常にまずい状況!なにしろ今は、さっき殺された井上さんの遺体が風間の後ろに転がっている状態…
この光景が目に飛び込んできたら、どう見ても風間が井上さんを殺してまた千鶴をレイプしに来たとしか思えません
まさか今日の風間さんはすごい自重してる子などと、一体誰に気付くことができようか…(えー
「ひ、土方さん!ちが…」
「(ニヤニヤ)だったらどうする?」
「か、風間さん!?」
何このむかつく顔(えー
とっさに弁解しようとする千鶴でしたが、「いや〜、ついやっちゃったわ」と言わんばかりに土方を挑発する風間!な、なんでわざわざ!?
うーん、千鶴には同じ鬼で「俺の嫁」だから優しくしてやったけど、人間で千鶴にまとわりついている土方には
まともに接する気がないんでしょうか、この人は
「(ギロ…!)」
「クク…やれやれ、また無駄死にが増えるか。なぜそう死に急ぐ?」
「…無駄死にって言いやがったか…?今…
無駄死にと!!ほざきやがったかァッ!!」
ってついに土方ブチ切れたー!!風間の挑発的な態度にイライラが募る中、「井上って無駄死にだよね」という言葉が決定打となり
猛然と風間へ攻撃を開始!もともとほぼ互角の技量を持っている2人ですが、今は土方が凄まじい気迫で一気に風間を押しまくる!
ガキイン!ガキガキイイイン!!
「でえええやあああああッ!!」
ガギイイイイッ!!
「なに!?」
「ククク…この姿を人目にさらす事になるとは思わなかった…
本物の鬼の姿をなァ!!」
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にょきーん
ってなにィーッ!?なんだこりゃ!土方の猛攻でとうとう鬼の正体を現した風間でしたが、
角がにょきにょきと生えてきてコスプレみたいな姿に!「どうだかっこいいだろう」とすごい得意気になってますが…風間さん…
その格好は正直ちょっと恥ずかしいと思うわ…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ガキイイン!バキガキイイイン!
「つ…うっ…!」
「どうした?お前の感じていた悔しさは…その程度のものだったのかァ!!」
ガッキイイイン!
「ち…!くそったれがぁッ…!」
しかし見た目はコスプレでも、強さの方は遥かにパワーアップしている風間!
さっきまでとは立場が完全に入れ替わり、土方は風間の怒涛の攻めに防戦一方です
しかも、土方は鳥羽伏見の戦いで腕を負傷していたようで…手負いの腕では風間のパワーを受け止め切れず、
とうとう刀を弾き飛ばされてしまいます
「(ごそごそ)」
「そ、それは…!?」
って、その時追い詰められた土方が取り出したのは変若水!ぬう…確かにこいつを飲めば腕の傷も瞬時に治るでしょうが…
しかしその代償に取り返しのつかない変態になってしまうことは今までの話の通りです:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
本当に土方もコイツを飲んで羅刹になってしまうのか…?
「変若水か。どこまでも愚かな真似を…」
「愚か…?それがどうしたってんだ…!俺達は元から愚か者たちの集団だ、
馬鹿げた夢を見て…それだけをひたすら追いかけてここまで来た…!
今はまだ坂道の途中なんだ…こんな所でブッ倒れて…
転げ落ちちまうワケには行かねえんだよッ!!」
ドプドプドプドプ!!
あーついに飲んじまったー!口の中へ一気に変若水を流し込み、白髪の羅刹へみるみる変貌してしまった土方!
OPでいずれこうなる事が分かっていたとはいえ、メインキャラがどんどん羅刹化していくのはちょっと寂しいもんがあるな…
「クク…羅刹になったところで所詮はまがい物、真の鬼の敵ではない!」
「…いい加減我慢ならねえ…腰抜けの幕府も…邪魔くせぇテメェら鬼も…!
まがい物だと…?それが一体どうした…!
俺達は今までも、散々武士のまがい物として扱われて来たんじゃねえか!
だけどな…何があっても信念だけは曲げねえ…!
まがい物だろうがなんだろうが、貫きゃ真(まこと)になるはずだ!!
羅刹の俺がお前らを倒せば…俺は…俺達は…!
ホンモノになれるってこったろォォォォッ!!」
羅刹となった土方を「人でも鬼でもない半端者」とコケにする風間…しかしそんな風間に、土方の怒りが激しく爆発する!
そう、なぜなら新選組は「刀を持った百姓」「武士もどき」と、さんざん世間に武士のまがい物と呼ばれてきた存在だから…
そんな世間への怒りが風間への怒りと重なり、土方の中で化学反応を起こしスパークしてしまったのでしょう
ドグアッシャアアアアアアン!!
「ぐ…!ぬう…っ!?」
「どうしたァ?押し負けてるぜぇ?鬼の大将さんよォーッ!!」
ザッシャアアアアアッ!!
「ぐうっ!?貴様ァ…ッ!貴様ごときが…!俺の顔に傷をォォォォッ!!」
そんな凄まじい怒りの力も加わってか、風間さえも凌駕する驚異的なパワーを発揮する羅刹土方!
攻撃を受け止めた瞬間にボガーンととんでもない衝撃波が巻き起こるくらいです。つえー
さらに風間の防御した刀すら弾き飛ばし、その顔面に深々と傷を負わせますが…
それにしても羅刹土方の悪人ヅラときたら…(えー
まあ、「僕たち正義の羅刹隊!」な人達がどっから見てもただのキチガイなのは前からそうでしたが…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「ぬうううああああああーーっ!!」
「ぐおおおああああああーーっ!!」
そして両者ともに猛烈な咆哮をあげつつ、互いに全身全霊を込めた一撃が激突する!
明らかに決着を意識した2人のこの気迫、これではどちらかが確実に絶命すると思われますが…!?
ズドッバアアアアアッ!!
「…!?や…山崎…!?」
「…な…何しているんですか、副長…?あなたは…頭(かしら)で…
俺達は…手足のはずでしょう…手足なら、なくなっても替えがききます…
ですが…頭がなくなってしまっては…何もかも、お終い…です…」
ドサ…
「山崎ィィッ!!」
「もういいでしょう…間もなくここにも薩長が踏み込んできます。
そうなる前に我々は姿を消した方がいい」
「…フン…命拾いしたようだな、お互いに…だがこの決着は必ずつけるぞ、土方歳三…!」
ところが激突の瞬間、両者の間に割り込むように飛び込んで来た2つの影!
ひとつは土方をかばいに入った山崎、そしてもうひとつは風間をかばいに入った天霧…
ところが天霧は鉄甲で土方の刀を防いだものの、山崎は背中に風間の刀を深々と受けてしまったようで…
この場はどうにか風間たちの撤退という形に収まりますが、その代償に山崎までがひどい重傷を負ってしまう結果に…
ザッザッザッ…ザッザッザッ…
「…井上さん…」
そして重傷の山崎が救護班へと送られた後、さっきの戦いで犠牲になった井上さんの墓を掘り始めた土方たち。
ほどなくして斎藤さんもその場に駆けつけたようで、千鶴・土方・斎藤さんの3人で墓掘りを続けますが…
「…?副長、あそこの3人も幕府軍の侍のようですが…」
「源さんの仇だ…放っておけ…!」
「えっ…?ど、どうしてそれを…」
「風間を前にしたお前が、小太刀を抜いていなかった…お前なら、必ず源さんの仇を取ろうとするだろうからな…」
「あ…」
「風間が源さんを斬ったんじゃねえと分かっていたが…あの瞬間、俺の腹の中に湧いてきた
どうにもならねえもんを、あの野郎は全部見透かしたみたいに挑発してきやがった…」
なんと井上さんを殺したのが風間ではなく、近くに倒れていた裏切り者だと最初から気づいていた土方。
しかし、自分の中にフタをしていた感情が風間の挑発で爆発してしまい、あんな死闘を演じることになってしまったと…
要するにむしゃくしゃしてやった。今は反省しているということだったのか…(えー
しかしむしゃくしゃとは言っても、
・千鶴たちが淀藩の兵を連れていなかった
→ 新選組は淀藩に見捨てられた
・井上さんの近くに幕府の兵が倒れていた
→ 井上さんは幕府の兵に裏切られて殺された
という事実を知って腹の底から湧いてきた、とてつもなく激しい怒りでしょうからな…
それを風間におふざけ半分で煽られてしまっては、あそこまで怒りをぶち撒けてしまったのも当然か…
ザッザッ…ザッザッ…
「井上さんが…土方さんに伝えて欲しいと…最後まで一緒に在れなかったことを許して欲しい、
最後の夢を見させてくれて…うっ…うっ…感謝しても…し切れない…って…」
「…源さん…」
「…」
「俺達は大阪城に入る…あそこなら…俺達の負けはねえ…!」
そして井上さんの埋葬が終わったその時、千鶴から井上さんの遺言を聞かされる土方。
「感謝してもし切れない」と言ってはいても、友軍に殺されるなんてどれほど無念な最期だったでしょうか
そんな井上さんの死を無駄にしないためにも、土方は改めてこの戦争に勝利することを誓います
総大将・徳川慶喜のいる大阪城へ行けば、必ずこの劣勢を覆せると信じて…
「…なに…!?将軍がいないたぁどういうわけだ!!」
「…歳たちが到着する少し前だ…上様は、会津公を伴われて江戸に向かわれた」
「江戸へ…!?」
「総大将が…戦の真っ最中に、尻尾巻いて逃げ出しちまったってのか!?」
「上様を責めるな…!きっと…お考えがあってのことに相違ない…!」
ところが大阪城へ到着した土方たちを待っていたのは、あまりにも受け入れがたく無情すぎる現実でした
なんと総大将の徳川慶喜は、命懸けで戦っている兵達を置き去りにして江戸へ逃げてしまったという…
さっき山崎の例え話で「頭がなくなっては何もかもお終い」という言葉がありましたが…
幕府軍にとって最も重要な頭が、全て投げ出して消えるという最悪の暴挙。
これこそ本当に何もかもがお終いです、ここで形勢を盛り返すつもりがなぜこんなことに…
「…構いやしねえ…!俺達だけでも残って戦う!」
「しかし…武器弾薬・兵糧が共に、城内にはほとんど残っていないようです…」
「なっ…」
「夜襲をかけた羅刹隊も、大半がやられました…」
「ぐっ…!将軍はお逃げあそばす、武器も食い物もねえ、切り札の羅刹も壊滅状態か…!」
「八方塞がりだな…」
「…土方君、ここは我々も、ひとまず江戸へ引きましょう…」
「…くそったれがぁぁぁぁ…ッ!!」
せめて自分達だけでもここに残って戦おうとするものの、全ての要素がボロボロでそれすら叶わないという事実…
結局土方たちはこの大阪城で何ひとつ出来ないまま、あまりにやり切れない気持ちを抱えて江戸への船に乗ることになります
ああ…しかしこんな時になんですが、前回あれだけ頭パープーだった山南さんが今回はずいぶんまともですね(えー
「ヒャッホー今日も民間人ぶっ殺すぜイエーイ」とか言ってたのが嘘のようだ…羅刹の精神状態ってのはよく分からんな:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
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「う…ぐ…!ハァ…ハァ…!」
「や、山崎さん、しっかり…!」
ところが江戸へと向かう船の中で、重傷の山崎はなんとも苦しそうなうめき声をあげていました
どうやら思った以上に深刻な事態に陥っていたようで…重傷と言うよりもはや瀕死と言った方が正しいでしょうか、
これではいつまで持つかも分からないような状況です
「ゆ…雪村君…君にしか…出来ないことを…成せ…」
「え…?」
「み…みんな…を…ぐっ…!はぁ…!た…頼む…」
「…(にこっ)な、なに言ってるんですか、山崎さん。医療担当の山崎さんには、早く元気になってもらわないと!」
「…はは…いつまでも横になって、楽をしているわけには…いかない…か…」
そんな朦朧とする意識の中で、千鶴にまるで遺言のような言葉を伝える山崎…
しかし千鶴は山崎が少しでも生きる気力を持てるようにと、無理にでも笑って「そんなこと言ってる暇あったら早く元気になれや」と
遺言なんて聞く気がないように振舞います。そんな千鶴の笑顔に少しは癒されたのか、山崎もにこっと笑いながら冗談を返し始めました
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「そうですよ、江戸に着いたら忙しくなりますから!」
「…」
「今のうちにゆっくり休んで、傷を癒してくださいね」
「…」
「さあ、ちゃんとお薬を飲んで…」
「…」
「…?」
「…」
う…うあ…うあああああああああああああ
山崎いいいいいいいい!!そんな…さっきの微笑みが最後の命の灯火だったのか…
千鶴への方へ微笑みを向けたまま、気づいた時には命尽きて永遠の眠りについていた山崎…
ぶるぶると震えながら山崎の亡骸にすがりついた千鶴は、顔が涙でグシャグシャになるほどの慟哭をあげるのでした
ザバアアアアン…
「…」
「…大勢の仲間が…幕府のために戦って死んだってのに…これじゃあ…犬死にじゃねえかッ…!!」
そして山崎の亡骸を水葬で弔いながら、あまりのやり切れなさにほとんど言葉を発することすらできなかった一同。
薩長が官軍と認められた途端に「いっちぬーけたー」と幕府軍を見限った淀藩、
幕府軍が劣勢になった途端に「幕府軍やーめたー」と味方殺しを始めた裏切り者ども、
部下たちが必死に戦っているのに「俺もやーめたー」と江戸へ逃げ出した将軍…
こんなバカげた事がまかり通る戦場で、命を懸けて戦っていた自分達はなんだったのか…
それ以上に、無念にも殺されていった仲間達の犠牲はなんだったのか…
それを考えると、悔しくて悔しくてやり場のない怒りだけがどこまでも湧いてきてしまいます
それにしても、土方のこの悲しそうな顔といえばどうでしょうか。鬼の副長と言われた男がこれほど辛そうに…
特に山崎は土方をかばって死んでしまったわけですから、死者への責任も人一倍感じていることでしょう。
「…」
「…犬死になんかじゃ…ないですよね…?」
「…」
「…無駄に死んだ人なんか…一人もいませんよね…?」
「…当たり前だ、俺達はもともと徳川の殿様のために戦ってきたんじゃねえ…
いくら上にやる気がなかろうが、俺達には関係ねえ事だ…
江戸には伝習隊がいる…幕府の軍艦だって無傷のまま残ってる…
江戸に戻ったら…喧嘩のやり直しだ…!!」
そんな中で千鶴や土方の思うことと言えば、ただただこの散って行った仲間達を無駄死にで終わらせたくはないということでした
どれだけやる気のないバカどもがいようとも、犠牲になった仲間は誰もが必死に戦い抜いて死んで行った…
その必死さを引き継ぐことこそが、土方たちがあの世の仲間に出来る唯一の弔いです。
江戸に行けばまだ戦力は残っている…土方は自分にそう言い聞かせるように、この戦争を戦い抜く覚悟を決めるのでした
・た、大志殿!薄桜鬼が2期決定でござる!公式覗いたら2期の文字ががが・・・
by 突撃出撃
そんなわけで…第2期に続く!
そう、実は薄桜鬼は分割2クールのアニメで、今回の第12話は1クール目の最終回ということだったんですよね
2期が始まるのは今年の秋ということで、3ヶ月もすればまた千鶴たちの姿を拝めることになりそうです
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