■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第8話「5回戦」
 

「さあ一回!しまっていこう!!」

「「「おお!!」」」

(さあてと…データ集めて分析して、その情報を使いこなす捕手と…
 捕手のリードを具現化する投手か…
 そんな奴らがいたら、なんの準備もねえ桐青が負けたのも偶然ばっかじゃねえよ。
 そこいくとウチは準備万端だかんな…!あいつらのビギナーズラックもここまでだぜ!)

ここまで夏の県大会を順調に勝ち進み、ついに5回戦まで駒を進めてきた西浦高校。
しかしここでぶつかる対戦相手というのが、強豪・美丞大狭山高校です
これまで西浦が戦ってきた相手といえば
2回戦の桐青高校(優勝候補、しかし西浦はこれが公式戦デビューなので相手には一切西浦のデータがなかった)
3回戦の崎玉高校(実力的には平凡)
4回戦の港南高校(トーナメントの一番弱い部分から出てきた、試合描写すらない)
という風に、何かしらつけ入るスキのあるチームとの対戦でしたが…
この美丞は、初めて西浦が戦う”西浦のことを事前に知り尽くしている強豪チーム”であります
トーナメントを勝ち抜いていけば、こういう風に他のチームから研究されて対策を練られるのが当たり前…
むしろこういう相手を実力でねじ伏せてこそ、甲子園への道は開けるわけですが…

カキイイイン!!

カキイイイン!!

カキイイイン!!

グワッキイイイイイン!!

「う…わっ…!」

「ツ…ツーランホームラン!?」

ぎゃああああ!!いざ試合が始まってみるとねじ伏せるどころかボロクソに打ち込まれる西浦!
しょっぱなから美丞ナインはツーランホームランやらなんやらと打線爆発!さんざん打たれて2回の時点ですでに4−0…
これまでの試合では、試合終盤に三橋が打ち込まれることはあっても序盤では絶対に打たれることがなかっただけに、
2回で4失点なんて話は前代未聞…西浦は今までにない厳しい戦いを強いられてしまいます

(くっそぉ…!なんで苦手なはずの外角シュートに、バットがすんなり伸びた…!?
 まるで外に逃げるのが分かってたみたいに…
 それに二人続けてカーブを打った…スライダーもツーランを打たれた…なんでだ…!?
 球種がバレてるのか、だとしたら俺か三橋か…?ダメだ、なんも思いつかねえ…!)

(あれ…?や、やっぱり…覚え違いじゃない…みんなこの表と逆の球を打ってる…!
 い、言った方がいいのかな…?このままずっと打たれ続けたら…で、でも、きっと俺の予想なんて外れてる…)

カーブにシュートにスライダー、どの球を投げてもそれを見透かしたかのように打ってくる美丞ナインを相手に、
球種がバレてるのではと激しく苦悩してしまう阿部。そんな一方で、三橋は敵バッターのデータ表を見ながら
みんながみんな得意コースは見逃して、苦手コースを打ちに来ていることに気づきます。

そう、美丞ナインが見透かしているのは球種ではなくコースだったのです。
「相手の苦手コースでストライクを稼ぎ、得意コースにはボール球しか投げない」というのが阿部の配球の基本…
だから美丞ナインは「ボール球しか来ないから」と得意コースをゆうゆうと見逃し、
「ストライクを取りにくるから」と苦手コースを思いっきり振りに来ているというわけです
それさえ分かっていれば、いくら苦手コースだろうと三橋の変化球を捉えるくらい美丞ナインには造作もないこと…

ともかく今三橋が一番やらなければならないことは、その事実を阿部に一刻も早く伝えることです。
しかし「阿部のリードがなかったら自分はゴミ以下の投手」という思いにとらわれている三橋は、
阿部に意見することが恐ろしくてちっともできないようで…

「ぐすっ…ぐすっ…あ、あ、あの…コ…コー…スが…ち、ちがっ…」

「あん!?何いきなり泣いてんだよてめーは!?何言ってんだか分かんねえし!」

「ひいっ!?」

「”コースが違う”って言ったんだよ。なあ?」

「う、うん…」

「…コースが…?あっ…!阿部君見て、みんな好きなコースと逆を打ってる!」

「…えっ…!?た、確かに…」

ピリピリしている阿部にギャースカ言われて余計何も言えない三橋でしたが、そこに頼れる通訳マン田島が登場!
そのおかげでようやく三橋の話がまともに伝わりますが…しかし話の途中で田島は
1塁コーチをやりにベンチをトコトコ出て行ってしまいます。
そ、そんな!三橋を見捨てないでください田島様ァーー!!

(本当に逆だ…でもなんで…?一応三橋にも聞いてみるか…)

「なあ三橋、コースが違うっつったけど、あいつら好きなコースはバット振ってすらこねえんだよ、なんでだと思う?」

「ひゃいっ!?あ、え、あ、お…」

「三橋君?何かあるなら言ってよ」

「あ、えあ、そ、その…」

「何かあんの?」

「い、いい、ううあ…」

「あんなら言えっ!!俺はすぐネクスト入んなきゃなんないん…」

「さっさと言うっ!!」

「ひゃあっ!?はっは…はぁぁぁっ…!?」

そして田島がいなくなった途端にこのザマです  三橋…やはり通訳がいないことにはまったく会話すら成り立たんな…
この間阿部は父親に「お前って三橋と仲良くやれてないよね(笑)」とキツイこと言われてましたが
やっぱこれは三橋に責任がありまくりだと思う(えー

「す…好きなコース振らないのは…ボ…ボール…だから?」

「ボール…?」

「ボール球だから見たってこと…?」

「そんなハッキリしたボールは投げさせてないッスよ!だって相手の好きなコースへは…!
 …あ…?確かに…ボール球を多く投げさせてますね」

「”得意なコースへはボール球”が、あなたのクセになってるのね?
 どうやら美丞はウチの情報を集めて、ようく研究してきたようね」

そしてこれだけ阿部とモモカンに迫られまくって、ようやくまともに口をきいた三橋でしたが…
なんと意外なことに、美丞ナインが得意コースに手を出してこない理由までズバリと当ててしまいました
何も考えてないように見えて、意外と鋭い意見も言えるのね三橋…

やはり阿部一人でものを考えるより、二人で考えた方が断然視野が広がりそうですね
今後はバッテリー間のコミュ力をもっと上げていくことが課題になりそうですな…

「三橋、次から首振れ」

「首…え、あ、え!?でで、でも…」

「慌てんなよ、俺のサインの通りに首を振るんだ。
 俺がこう中指でサインを出したら一回首振って、その後出すダミーサインにうなずいて投げろ。いいな!」

そして美丞の打者たちを撹乱するために、三橋に首振り戦法をやらせることを思いついた阿部。
こうすることで三橋が「もう阿部の要求なんて聞いてらんねぇ!投げる球は俺が決めるぜ!」という姿をアピールして、
美丞ナインの読みを崩す作戦のようです。それにしても、首振りまで全部阿部の言う通りにやるっていうのは
さすがに操り人形みたいでいい気がしないというか…そんな指示待ち人間でいいのか三橋よ(えー

しかし今回はかなり作画のいい回でしたねえ。
特にレフト水谷からの返球を受けて、スタターンとステップする巣山の動きには惚れ惚れしてしまいました。スゲー野球っぽい動きだ
その後の超むさくるしい美丞の人たち歓喜のシーンは勘弁してほしいと思いましたが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ウオッシャアアアア!!共学の、しかもチアのいる学校にゃぜってー負けねえ!!」

そして美丞のピッチャーさんも、母校のそんなむさ苦しい姿は相当気にしておられるようです(えー
美丞って男子校だったのね…どうりで応援席に男しか並んでないわけです
そしてこの西浦チアガールのチラリと見える魅惑のヘソに比べたら
確かにこのドキッ!男だらけの応援席を見ると死にたくなるな…:;y=_ト ̄|○・∵. ターン  次回に続く!


■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第9話「研究されてる」
 

(中はボールだから振らない…外ならシュート…!)

ビシュッ!

(中!)

「スットライーク!」

(…!?入った…?まあ、そういう事もあるわな…)

ビシュッ!

(また中!)

「スットライーク!」

(…!?…えーと…次は…普通に考えて中、中の次は外だろ…
 持ち球で外に逃げてく球はシュートしかない…けどそれは一打席目に打ってるから…?)

ビシュッ!

(ぐっ…外だけど…カーブ!?)

ぶううううん

「スットライークバッターアウッ!」

(こんな徹底してコースで振ってきてたのか…!分かっちまえば簡単な話だ…
 1・2回の4失点が悔やまれんぜ…!)

前回は美丞に配球パターンを読まれた結果、好き放題にバカスカ打たれまくってしまった西浦。
しかしその事実に気づいてからは、上手く相手の読みを利用して美丞の攻撃を封じていました
↑の打席なんかはまさにその代表例ですね、「どうせボールしか来ないから」と打者が思い込んでいるコースでストライクを取りに行き、
「あ、あれ、話が違うんだけど…」と相手がゴチャゴチャ考えているうちに勝負球で打ち取る…
阿部の言うように、一度気づいてしまえばこれまでの苦戦が嘘のように抑えられてしまうだけに、情報ってのは恐ろしいもんですね

(うっしゃっしゃ、今日の俺はナイバッチ水谷なんだぜ〜!)

-------------------------

(うん?モモカンの指示、スクイズじゃないのか…一球目のストライク狙い…
 よし、今日はまだ投げてないシュート!)

そして西浦の守備が機能し始めた今、今まで沈黙していた攻撃面でもいよいよ反撃を開始!
その立役者となったのが、意外にもこの二人・水谷栄口であります
水谷はクソレフトの名で知られるように西浦で最もアテにならない選手、
栄口は二番バッターで毎回必ず犠牲バントを担当してるので、今までヒッティングの描写が全然なかった選手なわけですが…

カキイイイン!!

「いよっしゃあ!2点目ぇ!!」

なんとこの試合では、他の選手達が凡退する中で、この二人だけが一打席目・ニ打席目ともにヒットを放つという大活躍を!
そのおかげで2−4と美丞相手に2点差へ詰め寄る西浦!序盤の失敗を取り戻せるのもそろそろです、
ちなみにこの2点も、水谷と栄口がタイムリーヒットで1点ずつ入れた結果なんですよね


(C)ひぐちアサ/講談社

 

そんな栄口の活躍シーンでは、原作だと栄口姉が「お兄ちゃんすごいね!すっごいねえええ!」と観客席で大騒ぎする場面が見られるんですよね
私もアニメの海風に揺れる一輪のプリキュアボイスで大はしゃぎする姿を楽しみにしていたんですが、
アニメだと観客席は一切映らなかったという悲劇が…おいいいいい!!
カット!?カットだと!?何故だよ!えりかボイスはキャーキャー大騒ぎする時にこそ真価を発揮するというのに!
前回の「お久しぶりです〜!」の一言だけで終わりだっていうんですか!?そ、そんなんで満足できるかー!


(C)ABC・東映アニメーション

うっひゃあああああ!!
お兄ちゃんすごいねえ!!
すっごいねええええええ!!

という風に脳内補完するしかないのか…ちくしょう…:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

しかしカットと言えば、原作の栄口姉がはしゃぐ横で「ねえねえヒットの音楽って…」と話している花井シスターズのシーンもなかったですね
それとせっかく水谷が活躍した回だというのにうら若き水谷ママも映らない…ちくしょう…ちくしょおおお!!
ええいホワイトベースはいい!ガンダムを映せぇっ!!(えー  というわけで次回に続く


■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第10話「5回裏2対5」
 

「で…4番は1球目で、三橋に首を振らせて」

(…振らせて…?)

「外のボールになるシュートを2球続けて、3球目は同じコースにまっすぐです」

「…うん。ねえ、首を振らせるサインがあるの?」

「(うっ…やべ)さ、さっき作りました。俺の配球読まれてるくさいから、目眩ましになるかと思って…
 三橋は全部うなずくだけなんで」

「うなずくだけ!?全部!?」

「ひいっ!?」

冒頭の場面、タイトル通りに2−5の3点差で5回の裏を迎えていた西浦。
阿部達も1・2回で4失点をかました後は、3・4・5回と互角の駆け引きでなんとか1失点に抑えていました
このペースで行けば、なんとか逆転の望みは繋げられそうですが…しかしここにきて、三橋が阿部のリードに絶対服従なことが
モモカンにバレてしまい、「お前単なる阿部の操り人形じゃねーか!」と激しい怒りを買ってしまいます

『首振る投手は大嫌いなんだ。俺の言う通りに投げろ』

(…三橋が首振んねえのは、一番最初に俺がそう言ったからだ…投手にそんなこと言うのはおかしいんだ…)

そんなモモカンの怒りを買ってしまったことで、改めて自分と三橋が不自然な関係であることを自覚してしまった阿部。
そもそもこんな関係の始まりは、自分が三橋に「首振ったら許さんから」という勝手なエゴを押し付けてしまったからでした
今となってはそのことを反省している阿部は、そんな自分の失言を取り消そうとしますが…

「…なあ三橋、最後の打者ナイピッチな」

「あ、あ、阿部君のおかげだよ!お、俺言うとおりに投げられるから!」

「お、おお」

(…こいつは今、なんの不満もねえんだな…わざわざ訂正してやるまでもねえよ…)

しかし、元々まったく首を振る気のない三橋を前にしてしまうと、なかなか言葉が出て来ない阿部…
そう、二人の関係は阿部一人が悪いわけじゃなく、三橋も阿部のリードを崇拝しすぎているのです。
三橋は中学時代に自分の武器をさっぱり生かせず、年がら年中ボロクソに打たれまくっていたヘボピッチャー…
それが高校では阿部のおかげで強豪校とも渡り合えるようになり、まさしく神のごとく阿部のリードを崇拝しているわけで…

カキイイイイイン!!

「いよっし!4点目ぇ!」

って、三橋と阿部の間にそんな問題が浮上する中、美丞のピッチャーを捉えて着々と点を入れていた西浦打線!
田島のタイムリーヒットで3点目、花井の犠牲フライで4点目が入り、これで美丞との差も一気になくなる4−5…
いよいよ試合もどちらに転ぶか分からなくなってきました。三橋と阿部の関係にしても、別に今すぐ解決が必要な問題でもないでしょう
残るは4回、守りの方も今の調子でいけばきっと逆転のチャンスが…

ズザアアアアアッ!!

「…っ!!う…ぐっ…!!」

「あ、阿部!?タ、タイム!」

「い、いや…大丈…くっ…ぐ…!」

「すいません、治療の時間もらってもいいですか!?三橋、一緒にベンチまで連れてくぞ!」

「あ…阿部…君…」

ところがそんな西浦に最悪の事態発生!6回の表、守りについている阿部に突如降りかかった不幸な事故…
本塁クロスプレー、滑り込んでくるランナー、逸れてしまった阿部への送球…そんな要素が積み重なった結果、
ランナーに乗り上げそうになった阿部は、無理にそれを避けようとして足を痛めてしまったという…

《お客様にお知らせいたします。阿部君の治療のため、しばらくお待ちください》

「ヒザの捻挫ですね…痛いでしょう」

「……っ……痛くないっすよ。捻挫ですよね、テーピングしてもらえますか?」

「阿部君、立てる?」

(くっ…気合入れろ…!)

すくっ

「左足…体重かかってないよね。足がつけないなら、まず間違いなく”U度”以上だね…
 今動いたら確実に悪化するし、だいいち痛くてしゃがめないでしょう」

「やれますっ…!!」

「…やれないよ。やっと立ってるような人が何言ってるの。田島君、防具つけて!」

「…」

強がりを言ってプレーを続行しようとする阿部でしたが、モモカンは阿部のケガがどれほど重いかを見抜いていました。
ちなみにU度というのは捻挫の度合いのことで、捻挫と言っても靭帯に裂け目が出来てしまった状態のことです
まあこれは原作でモモカンが言ったことの受け売りなんですけど(えー

とにかく今の阿部は、捻挫と言うより靭帯損傷という大ケガを負ってしまった状態…
とても試合なんて続行できる状態ではなく、モモカンは責任者らしく淡々と田島に代役をするよう命じます

「三橋君も、すぐマウンドに戻ってキャッチボールしなさい」

「え、あっ…う…」

がしっ

「…」

「え…?」

いまだに阿部が交代するという事実が受け入れられず、頭がパニックでモモカンの指示も頭に入ってこない三橋。
しかしその時、「俺を置いていくな」と言わんばかりに、阿部が無言で三橋の腕を掴んでしまいます
頭の中がグチャグチャだった三橋でしたが、そんな阿部の姿を見ているうちに少しずつ冷静になってきたようで…

「あ、阿部君、座って…ア、アイシング…だよ」

「…」

「ア、アウト…あと2つ、取ってくる…よ」

「…」

こんな状態の阿部に無理なんてさせられない、今は阿部のためにも自分が踏ん張らなきゃいけない、そう思ってベンチを後にする三橋。
阿部も「やれます」と強がってはいても、それが無理なことは心のどこかで分かっているのか、
とうとう三橋の手を放してベンチで治療を受けることに…



しかしこんな時になんですがぴっとり田島にすり寄るモモカンハァハァ(えー
この図は正直「あててんのよ」としか言いようがない状況だと思うんですが、田島は冷静でいられるのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「いよーっし…!」

「田島君っ!(ぐわしっ)」

「のわっ!?」

「ストライク、ボールの指示は私が出すから、
 他は打者に近いあなたが考えてリードしてちょうだい!頼んだよ!」

「ウ…ウス!」

そんな田島があててんのよ状態で何を言われているかというと、要するにリードの半分はモモカンが担当するということでした
田島は一応キャッチャーの守備練習くらいは積んでいるものの、試合となるとまだ練習試合ですらキャッチャー未経験なズブの素人…
つまり、打者を相手に配球を組み立てるのはこれが初めてということです
それをこの厳しい試合でやるとなると、正直リードの半分だけでも荷が重いところですが…
この先西浦は、果たしてどこまで美丞を相手に食い下がっていけるんでしょうか。次回に続く!


■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第11話「エースだから」
 

「百枝さん今晩一杯どうっスか?ここ近所にいい店あんですよ」

「いいね〜、それじゃお言葉に甘えちゃおっかな〜」

と、お互いサイン交換してるように見えるから困る(えー
前回阿部が負傷退場してしまい、田島をキャッチャーに据えての戦いを強いられることになった西浦。
モモカンもストライク・ボールの指示を一球ごとに田島に伝えなければならないので、いつもよりサイン出しが忙しくなっております

スパアアアアン!!

「スットライーク!」

(ん〜、三橋ってコントロールホントすげぇな〜!
 こりゃあ配球おたくの阿部がこだわんのも分かるや…!)

(次は速い球を低めに、ストライク…)

バッシイイイイン!!

「ボール!!」

(あっ!?外れた…)

(ん…全力投球だと並みのコントロールなんだな…
 もうワンスリーだから、次は当然ストライクだ…!
 ひ〜、スリーボールからだと入れに行くのも恐いもんだな…低めに速い球、もういっちょ来い!)

(また全力投球…次は入れなきゃ…!)

バッシイイイイン!!

「ボールフォア!」

「んな!?フォ…フォ…フォアボールだとぉぉぉ〜!?」

(う…わ…!ワ、ワンナウト満塁で四番の人だ…!)

ところが2人がバッテリーを組んで早々、フォアボールで満塁、しかも次のバッターは四番という最悪のピンチを作ってしまう結果に!
三橋の球種はまっすぐ、速いまっすぐ、カーブ、シュート、スライダーと5種類ありますが、
その中で速いまっすぐだけはコントロールがかなり悪いという弱点を抱えていたのです。

そのことを知らなかった田島は、速いまっすぐで計算外のボール球を出してしまい
最後の勝負球も「他の球で勝負するのは恐いから、せめて一番力のある球で」と速いまっすぐを投げさせたのですが…
結果はフォアボールという最悪のシナリオになってしまいました



(うう、落ち着け…落ち着け…!全力投球は、入らないことよくある…
 阿部君はそれも計算してリードしてくれたけど…今は田島君なんだ…!
 田島君が全力って言ったら、全力のストライク入れろ…!)

そんな心臓バクバクのピンチを迎えながら、「全力投球でもちゃんとコントロールしなきゃダメなんだ」と自分を責める三橋。
しかし全力投球をしっかりコントロールできる人間なんて、この世にいないと言っても過言ではありません。
今のはコントロールを乱した三橋が悪いのではなく、あの場面で速いまっすぐを要求した田島が悪かったのです

そう、三橋が今一番やらなければいけなかったのは、「田島のサイン通り完璧に投げる」ことではなくて
「ここで速いまっすぐはダメだよ」と首を振ることだったのです
しかし、今までの阿部とのやり方にずっぷり浸かっていた三橋にはまだ全然そんな発想がないようで…
こんなところでも、今までの「首振り禁止」の弊害が出てしまっていますね

「スリーアウトチェンジ!」

「よく頑張ったね!あと3回で3点なら全然返せるよ!田島君もお疲れ様!」

「は〜、頭が疲れたっす…」

「練習試合でも頭使ってればそんなに疲れないはずだけど〜?(ギリギリギリ)
 どんなに疲れようがあと2回、脳みそぎゅうぎゅうに使ってちょうだいね!」

「ははは、はひぃっ!?」

結局この回三橋が失ったのは2点、それでも急造バッテリーにしてはなんとか踏ん張った方でしょうか
そして点差の方は4−7の3点差…これから7回裏が始まりますが、守備のまずさをカバーするためにも
ここはなんとか打っていきたいところです

ズッバアアアアアン!!

「スットライークバッターアウッ!!」

「よっしワンナウトー!」

(ぐっ…!はええ…!鹿島は3人の投手の中じゃ一番攻略しやすいはずなのに…!)

ところが調子を上げてきた美丞のピッチャー・鹿島を相手に、キリキリ舞いの三振を食らってしまうトップバッター泉!
前回パカパカ簡単に打って2点取れたのは、どうやら交代したてでエンジンがかかっていなかったからのようで…
すでにパワーを存分に出している今となっては、おいそれとは打てない剛球投手に変貌してしまったようです

《2番、セカンド、栄口君》

(攻略しやすいって言っても、キレのない変化球だって球速があれば活かせるし、
 荒れ球だって長所になる…泉は打とうとしてたけど、力ないもんは自滅待つ方が賢いと思う)

そんな中で打席が回ってきたのは、本日2打数2安打と絶好調の栄口。こういう日は頭の回転もよくなっているのか、
「パワーのない俺らが、ムキになってこんな剛球投手を打とうとしてもダメだよ」
鹿島をゆさぶって自滅させる作戦を考えているようで…

ズバアアアン!!

「ボール!」

ズバアアアン!!

「ボール!」

(よっしノーツー!次は入れに来るからフルスイング!当たればもうけもん!)

ぶううううん

「スットライーク!!」

(うぐっ…当たんなくてもプレッシャーにはなる!(ギロッ))

「ぬっ…?(ギロッ)」

(おっ、乗ってきた…リキめリキめ!)

ズバアアアン!!

「ボール!」

(おーしワンスリー!)

とりあえず鹿島がストライクを取りにくる抜いた球だけを振りに行き、あとは徹底してボールを見逃す作戦の栄口。
空振りした時にはすかさず鹿島にガンを飛ばして、「オラオラもっとコントロール乱せよ」と挑発しております
短気な鹿島は「やんのかコノヤロー」と睨み返し、栄口の術中にまんまとハマっているようで…
そしてワンスリーと絶好のカウントまで持ってきた栄口は、ここでフォアボールを狙うためにとっておきの秘策を…

(おーし行くぞ…せーのっ!!)

「(ニマアッ)」

「んな…!?」

ズバアアアン!!

「ボール、フォアボール!」

「んっふっふっふっふ」

(ぐっ…不意打ちでついカッときちまったぜ…2度目はねーぞクソ!)

(ニマアッ)奥技 鋼霊身!(えー  なんとワンスリーから思いっきり腹立つニヤつき顔をブチかました栄口!
これでリズムを崩されてしまった鹿島は、コントロールをミスって栄口を歩かせてしまいます
しかしこの鹿島って、コワモテな顔・カッカしやすい性格・そしてこの口調といい染岡さんにそっくりですね(えー
なんかそう思ったらむしろ鹿島の方を応援したくなってきた:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(さあ巣山君、送ってちょうだい!)

(はい!)

(送りバントか…サインは高めのストレート、ようし挽回してやる…!)

ビビれぇぇぇぇぇッ!!

「う…っ!」

ゴキンッ!

「アウトォー!」

(ふっふっふ…俺の速球とノーコンと、人相の悪さがあってこその技だぜ)

そして続くバッターの巣山でしたが、バントの瞬間鹿島から物凄い眼光を浴びせられ、送りバント失敗!
まあこのモミ岡さんの顔が目の前に迫ってきたら誰でもビビると思うので、仕方ないと言えば仕方ないか…(えー
しかし頼れる4番・田島の打席でランナーが一塁というのは、少々もったいないですな…

(くっ…ツーアウトか…田島君までにランナー2塁にしておきたかった…!)

(えーと…8番は倉田、こいつはカーブとシュートと…)

「バッターラップ!」

「えっあっ、はい!」

(くぅ〜自分で組み立てたもんならまだしも、人の配球覚えんのはキチーなぁ…!)

ところが田島は、攻撃中の今でさえ守備の覚えなければならない事がてんこ盛り…
泉や栄口が打席に入っていた短い間も、捕手として必要な知識を阿部から叩き込まれていたのです
どう見ても田島に負担がかかりすぎているのは明らかですが、こんな状態で4番の役目まで果たせるのか…

ぶううううううん

「スットライーク!」

(う…ボール球だったな…スイングも遅れてるし集中しないと…!ツーアウトだぞツーアウト…!
 …てことは三振したらすぐ守備だ…防具つけながら配球覚えて…
 ってぇ!それは置いとけ!打席立ってんだぞ、集中だ集中!
 あぁ…でも塁に出たら、覚えた分忘れそう…じゃねぇってぇ!集中だ!!)

「う、うおおおおお!!」

(なんだ…?気合入ってんな)

(俺は逆に余裕感じんだよね、こいつ焦ってんなぁって感じがすんじゃん!)

やはり攻撃の最中も守備のことが頭から離れず、いつもの集中力がまるで発揮できていない田島!
まるでタイミングの合ってないスイングでボール球を空振るなんて、まったく田島らしくないプレーを見せてしまいます
なんとか立て直そうと気合のおたけびを上げてみるものの、「おやおや焦っちゃってまぁ」と相手の鹿島は余裕綽々です
田島の焦りを見破るこの冷静さ、さすがメンタル最強の染岡さんは格が違った(えー

そしてツーストライクと追い込まれた田島は、鹿島の放った渾身のストレートを打ちに行きますが…

ドラゴンッ!!
クラアアアアアッシュ!!
(えー

ズッバアアアアアアアン!!

「ストライクバッターアウッ!!」

「うっしゃあああああ!!」

(く…くっそぉぉぉぉっ…!キャッチャーも4番もは結構キツイぞぉ…!)

ドラゴンクラッシュという名の豪速球がキャッチャーミットに炸裂!打ちに行った田島のバットはむなしく空を切る!
やはり染岡さんの超次元パワーはサッカーも野球も関係なかったか…(えー
4番であるはずの自分が三振を食らってしまい肩を落とす田島。やはり慣れない捕手を任せるには、あまりに田島への負担がでかすぎるようで…

「…三橋!この回も田島信じて投げればいいからな!」

「う、うん!」

(くそっ…田島の捕手は不安だってのに、田島を頼れとしか言えねえよ…!
 三橋が言いなりになるように仕向けて…
 簡単に言いなりになった三橋の盲信が、俺は心地よくて…
 あいつが自分で考えるチャンスを全部潰してきちまった…!
 頑張ってくれ…試合終わったら色々謝っから、頑張ってくれ…!)

(俺は今まで…面倒は全部阿部君に任せて、自分で考えなかった…
 ケガしない約束をした時だって、約束しなきゃダメみたく俺がしたんだ。
 あんなムリヤリな約束、さっきまで信じてた…俺は今まで、阿部君をなんだと思ってたんだ…?
 阿部君は約束のこと覚えてる、始めからムリな約束を、破ったこと気にしてる…
 もう気にしないでって…勝って…言うぞ!!)

そして再び不安な守備の時間が始まりますが、三橋に声をかけようにも「田島を信じろ」と言う以外に言葉が見つからない阿部…
三橋も阿部も、これまでのバッテリーの関係について今心から反省しているようです

そういえば3回戦でぶつかった埼玉も、西浦にコールド負けを食らった時に
「この結果はつまり、俺たちが今までどれだけ物を考えずに野球してきたかってことなんだよな…」
という言葉を残して消えて行きました
今の三橋もあの崎玉ナインとまったく同じ立場にいるんだと思います。
ものを考えずにプレーすることの限界、それをこの試合で三橋は嫌というほど痛感したようですね

あぁ…それにしてもチア子かわいいなぁ(えー 
めっさかわいいなぁ、たまにしか映らないのがもったいないなぁ、このエロイ脇とかたまんないですなぁ
とかなんとか思っているうちに頑張った三橋君が8回をちゃんと抑えました:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
よく頑張った!感動した!いや別に感想手抜きしてるわけじゃないですよええ、マジで8回表の攻防はこんな感じで終わっちゃったんだよ!

カキイイイイン!

カキイイイイン!

(よーしよし!よく打ったよ沖君!さあ、西広君だって
 みんなと同じ練習こなしてきたんだから出来るよ!)

(バ…バント…!)

そして西浦の反撃ターンがやってきた8回裏の攻撃、速球に強い花井と沖が連続ヒットで出塁し、無死一・二塁という大チャンスを迎えますが…
しかし、ここで打席に入ったバッターは西広です。西広は3ヶ月前に入部して初めて野球をやり始めた超ド素人…
今回は阿部と交代してやむなく出場しているわけですが、巣山ですら失敗した鹿島の豪速球をバントなんて出来るのか…



ズッバアアアアン!!

ズッバアアアアン!!

ズッバアアアアン!!

「ストライークバッターアウッ!」

(うああ…!ぜ、全然無理だ…っ!)

「西広!ドンマイ!」

「西広君!おっ、惜しいよ!」

「…ごめんな…!」

(俺、役に立たないなぁ…!補欠ってことにどっかで安心してた…俺の、アホっ…!)

結果は無情にもボールに触れる事すらできず三球三振!さっきの田島といい、せっかくのチャンスにブレーキがかかってしまうツキのなさ…
それでもなんとか1点だけは返した西浦は、5−7という点差でついに9回の攻防を迎えます
追いつけるかは少々難しい2点差、しかし絶望するにはまだ早い2点差…
ギリギリ崖っぷちでなんとか持ちこたえている西浦ですが、まず一番の問題は9回表・美丞の攻撃をどう乗り切るか…次回に続く!


■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第12話「9回」
 


カキイイイン!!

カキイイイン!!

カキイイイン!!

(さあて…この回、何点入っちまうかな)

(な…なんで!?なんかおかしーよ…なんでいきなり打たれてんの!?)

西浦vs美丞の試合もいよいよ大詰め。5−7と2点を追う形で9回表の守りを迎えていた西浦…
ここはなんとしても抑えて9回裏の攻撃に望みを…って、そんなことを考える暇もなくいきなり三橋メッタ打ち!ゲェー!?
これまでの7回・8回は田島が捕手になってからも、なんとかギリギリで打者をかわしてきたというのに…それが9回になった途端
突然バカスカ打たれ始めて、田島も何がどうなってるのか困惑するばかりです

「田島君っ!」

「あ…!タ、タイムお願いします!監督…なんかおかしいっす…!」

「何がおかしいのか説明できる!?」

「えっと…球種っていうかコースっていうか…やけにピッタリ振られるっていうか…
 ちょっと心の中読まれてるみたいで…」

「…読まれてるとしたら…あなたの心じゃなくて、私の心だろうね」

「えっ?」

「ベンチは向こうから丸見えだし、もしかしたらサインを盗まれたかもしれない」

あまりの打たれように、たまらず田島をベンチに呼んで原因を探るモモカン。
そこでふと気がついたのは、「もしかしたら自分のサインが解析された」せいなのではと…

そう、実はまったくその通りで、美丞ナインはモモカンのサインを見破ることでやりたい放題打ちまくっていたのです
捕手が田島に交代して以降、ストライクとボールの指示はモモカンが出しているわけで…
それが見破られてしまった今、三橋の投球は美丞ナインにとって苦もなく打ち返せるものになっていたのです

「じゃ、じゃあサインを変えれば…!」

「それより…そろそろ田島君が組み立ててみない?」

「えっ…?」

「もちろん三橋君と協力してね。もう3巡以上投げてるんだから、各打者の空気は
 あなたより分かるはずだよ。嫌な球にはちゃんと首振るように言いなさい」

「は、はい!」

と、そこでモモカンが立てた対策は、田島と三橋が2人協力して配球を組み立てる作戦!
こう書くと当たり前の話のようですが、捕手素人の田島首を振らない三橋とでは、ある意味これも一か八かの賭け…
しかし三橋は今日かなり美丞の打者相手に投げているので、それを上手く活かせればなんとかなるかも…

(やっぱ1球目はストレートじゃ恐い…)

((こくり)カーブ…!)

スパアアアン!

「ボール!」

(次は入れるぞ…!)

((こくり)低目にシュート…!)

(1球目ボールだし、次はストライクだろ…この回はみんなカーブを打ってるから、
 速い変化球にマト絞る!)

ビシュウッ!

(きた!)

グワッキイイイイイン!!

「えっ!?」

「ス…スリーラン…ホーム…ラン…」

うわああああああああ!!な、なんという…なんという皮肉な結果に!
三橋と田島が力を合わせようとしたその時、なんとわずか2球目にして飛び出した絶望的なスリーランホームラン!
たったの2球…「もう1点もやれない」と気持ちを新たに放った球が、たったの2球で打ち砕かれてしまうなんて…
正直、今のは三橋も田島もミスはしていない場面だと思います。きちんと低目に投げた球を、スタンドまで運んだ相手の打者が凄すぎました

しかしどれだけミスがなかろうと、この結果はあまりに西浦にとって絶望的…0点に抑えなければならない回だったのに、
この回取られた点はすでに4点…この状況はあまりに辛い…辛すぎる…
そう、あのお気楽な水谷でさえレイプ目になってしまうほどショックすぎる状況です(えー

ドワアアアアアアア!!

「じゅ…11…対…5…?」

「…やられたな…」

「う…うん…」

「…がんばろーな…!」

「…うん…!」

守り切らなければならなかった9回で、取り返しのつかないほどの大失点…
最後のわずかな希望を粉々に打ち砕かれた三橋達は、あまりに大きい喪失感で放心状態のようになっていました
しかし、それでもここで立ち止まるわけには行きません、まだ残りツーアウトを取らなければならない以上、
もう一度自分を奮い立たせて向かっていかなければ…

(ちきしょう…!謝ることも出来ねぇ…!こういう時は三橋の一番投げたい球だ!)

((こくり)ス…スライダーを…外低目に…)

スパアアアアン!

「ボール!」

(あれ!?は、外れた…!?)

「ナイスボール!惜しいよ!」

((こくり)つ、次は…まっすぐ、真ん中高め…!)

スパアアアアン!

「ボール!」

(なんでノーツーにするの!?次、狙われるよ…!)

(まっすぐもダメか…!?何ならいい…?嫌な球は首振ってくれよ…!?)

((こくり)シュ…シュートを…)

スパアアアアン!

「ボール!」

(…!?田島じゃないぞ…?)

(三橋が…乱れてるのか…!?)

(三橋、真ん中でいいぞ!ここだ!)

「(こくり)う…んっ!」

スパアアアアン!

「ボールフォア!」

(は…入…らない…!?)

うああああ、ところがそんなスリーランを浴びて以降、三橋の投球に異変が!いつもの絶妙なコントロールが見る影もなくなり、
ひたすらにボール球を連発してしまうという…いくら頑張ろう頑張ろうと立て直そうとしても、
さっきのスリーランで一度折られた三橋の心は、どうしようもなく打ちのめされていたのです

考えてみれば、この試合三橋はここまで踏ん張ってきただけでも相当なものでした
1・2回にメッタ打ちを受け、ツーランホームランで出ばなをくじかれ、立て直そうとしたところに阿部が負傷退場し、
慣れない田島相手に投球を続け、9回でさらにメッタ打ちを受け、最後のトドメにスリーランホームランを打たれ、高校初の2ケタ失点

ここまで酷い目に遭わされて、平常心のまま投げられるピッチャーなんてこの世にいるんでしょうか

精神的にあまりに大きな負担を負わされてしまい、とうとう崩れ始めた三橋…
そんな三橋の姿を見て、仲間達はなんとかフォローしてやろうと意気込みますが…

(捕ってやんなきゃ…!ここは絶対っ…!捕ってやんなきゃあ…!!)

ガキイイイン!

「セカン!」

「はいっ!…あ、あっ…!?」

ポロッ

「あ…!?」

う、うわあああああああ!!ここでセカンド栄口がまさかのエラー!
幸運にもヒョロヒョロと栄口の正面に上がったセカンドフライだったのが…簡単にアウトひとつ稼げるはずが、それを弾いてフイにしてしまいました
「絶対に捕らなきゃ絶対に捕らなきゃ」と意識しすぎてしまったのか…精神的に追い詰められていたのは三橋だけではありません
他の西浦ナインも同じだったのです



「ド…ドンマイ!」

「(ガクガク)…ご…ごめん…!」

(さ、栄口君も俺も、き、緊張だ…阿部君いないから、緊張…
 栄口君も、阿部君いないから…阿部君の…せいなのか…?
 違う…!俺のせいだ…!)

すべては阿部の負傷退場から歯車が狂い出した西浦ナイン…しかし、阿部が抜けてチームがガタガタになったのは、
果たして阿部本人のせいなんでしょうか?そうではなく、ピッチングのすべてを阿部に頼り切っていた自分のせい、
今栄口がエラーをしたのも、投手である自分が崩れ出したせいだとハッキリ自覚した三橋。
自分さえしっかりしていれば…自分さえ今からでもしっかりすれば…そう思った三橋は、このチームを立て直すために
もう一度自分を奮い立たせます

(声…!出せ!!)

「ワンナウトオオオオオーーッ!!」

「え…!?あ…」

「み、三橋…?」

「…ヘヘッ…!ワンナウトオオオオオーーッ!!」

「「「おおおおお!!うぉっしゃあああ!!」」」

「…あ…!」

(俺が…みんなを…落ち着かせられる…?
 俺が大丈夫なら…みんなが大丈夫…?俺が…エースなんだ…!!)

いつも弱気な三橋が腹の底からしぼり出した大声、それを聞いて初めはキョトンとする仲間達でしたが
すぐにその大声の意味を理解して、西浦ナインは再び息を吹き返します
まさにエースはチームの柱、自分が崩れればみんなが不安になる、自分がしっかりしていればみんなが安心する、
三橋は自分がそんな西浦のエースを任されていることを、改めて再認識したようですね

スッパアアアンン!!

「スットライーク!!」

(よし…!ワンナッシング!まっすぐの後だし、次は緩急つけてカーブいっとくか)

((ふりふり)ストレートの次は、カーブ打たれるよ)

(お、ダメか?そんじゃもう1球まっすぐで…)

「(こくり)………ん?は、はぁうあ!?お、俺、今、首振っ…!?」

そしてそんなエースの責任を自覚したせいか、初めて自分の意思でサインに首を振る三橋!
おお、それもしっかり打者を打ち取るビジョンを持って…なんだか凄く三橋が立派に見えますね
普段のキョドりっぷりが嘘のようにサマになってる感じです。そんな自分の変化には、三橋自身が一番驚いているようで…

(く、首振ったのにすぐサインくれた…?田島君、いっぱい案あるんだなあ…
 俺、いつも1球目でうなずいてたけど、首振れば阿部君も、次のサインくれたのかも…?)

スパアアアアン!

「ボール!」

(3球目はカーブ…今のは見せ球だ、次は速い球を入れてくる!)

(勝負球は速いまっすぐにしたいんだけど、どうだ?)

((ふりふり)速い球だと外れる…でも速い球じゃなかったら、何がいいだろ…?)

(速いのは嫌か、今日フォアボール出してるしな…
 なら裏をかいて、もう一球カーブ行ってみるとか?)

((こくり)カーブ…!首振ると次のサインくれるんだ…
 もし田島君がまっすぐとカーブで迷ってたとしたら、今俺と相談できたのと同じことだ…!
 首振るのは俺の役目なんだ…当たり前のことなのに、
 俺は今まで阿部君だけに責任を負わせてたってことか…俺は色々間違ってた…
 全部これから…!頑張るんだ!!)

(ぐっ…!カーブ!?)

スッパアアアアン!!

「スットライークバッターアウッ!」

「「「うおおっしゃあああああ!!」」」

そんな二人の意見交換が見事にはまり、9回最後の打者を三振に切って取る三橋!
速球を待っていた打者に対して、2人でカーブを投げると相談した上での三振…まさしく2人の力で取ったアウトです
そして一度あそこまで崩れながらも持ち直した三橋に、仲間達はそれはもう凄い騒ぎようです。まさにお祭り騒ぎですなあ
いつもは三橋と上手くコミュニケーションできてない花井も、今日は三橋を思いっきりもみくちゃにしてるところが印象深いですねぇ

「おっしゃあ!1点ずつ返してくぞぉ!!」

「「「おお!!」」」

「ぜってぇ諦めんな!!」

「「「おお!!」」」

「勝つぞおおおおおお!!」

「「「うおおおおおおお!!」」」

そんな守備で完全に勢いを掴んだ西浦は、9回裏最後の攻撃に全てを懸けて円陣で気合爆発!
そして選手達だけでなく応援席も、ここが勝負どころとあって最高潮の凄まじい熱気に包まれます
それにしてもブラバンの人達が口を真っ赤にして楽器吹いてるのがなんか微笑ましいですね
これは暑さでやられちゃって口がヒリヒリしてるんでしょうか、それとも温度に関係なく長いこと吹き続けるとこうなるもんなのかな?

カキイイイイン!!

カキイイイイン!!

「おっしゃあ!花井!打ってけ打ってけぇぇぇ!!」

「おおおおお!!」

そんな気合の乗った攻撃が功を奏したのか、先頭打者・巣山がシングルヒット、続く田島がタイムリーツーベースと
いきなり連打で攻勢を仕掛ける西浦!田島も捕手から解放されて、やっといつもの集中力が戻ってきたみたいですね
さあそして点差が6−11となってバッターは5番の花井、このまま一気に打ちまくってペースを掴みたいところですが…

(俺にはこれまで全球ストレートだ…!この打席もストレート狙ってくぞ!)

ぶうううううん

「ストライーク!」

(え…お、遅い!?ストレートの球威が落ちてる…あっ…!抜いて投げてんのか!?
 5点差の最終回だから…!?クッソ…!まだ終わってねえぞ!!)

ズッバアアアアン!

「ストライクツー!」

(なっ…!は、はまった…!)

ところが敵も一筋縄では行きません、打ち気にはやる花井に対して、ゆるいストレートで手抜きしていると思わせてから
すかさず豪速球を投げ込むというしたたかな配球!これで完全に自分のリズムを狂わされてしまった花井は、
残念ながら3球目も手玉に取られて、三振を喫してしまいます

《6番、ファースト、沖君》

(お、俺が打たなきゃ…!俺が打たなきゃ、次は…)

ところがそんな花井のアウトで、押せ押せのムードから一転絶望的な何かが見え始めてしまった西浦…
6番の沖も、「俺が打たなきゃ絶対打たなきゃ」と激しい焦燥感を抱えながら打席に向かいます
そう、なぜなら沖に続く7番バッターは、途中交代で入った西広だから…

前回の打席でもそうでしたが、ド素人の西広にヒットを打てというのはあまりに無理な注文…
さらに、沖がアウトになって9回ツーアウトという最も責任の重い打席を、西広に託すというのはあまりに可哀想すぎるというもの…
勝利のためにも西広のためにも、ここはなんとしても沖が出塁しなければいけない場面ですが…

ガキイイイン!

「アウトォォォ!!」

「う…ぐぅぅっ…!」

《7番、レフト、西広君》

「……あ…う……」

うあああああああああ!!しかし運命の神様はなんと皮肉なのか、沖の打球の行方は平凡な内野ゴロ!
こうして9回ツーアウト、この試合の全てが懸かった打席に西広が立たされてしまうことに…あああああ!
なぜこんなとてつもない場面に自分が…と、顔面蒼白になって打席に向かう西広があまりにも哀れすぎます
俺には「7番レフト西広君」のアナウンスが死刑宣告、そしてバッターボックスが死刑台に見えて仕方がないよ…(えー

「西広くううううん!!がんばれえええええ!!」

「西広オオオオオ!!打てっぞおおおおおお!!」

(…思いっきり…振ってきなさい…!)

にっしっひろ!にっしっひろ!にっしっひろ!

(はっ…はっ…う、打てる…!…打てる…打てる…っ!)

もはや三橋たちに出来ることは思い切り声援を飛ばすことだけ…ほんの少しでも西広の力になれればと
三橋たちは顔をクシャクシャにしながら大声援を送ります
モモカンもこの場面では何も策の立てようがなく、ただひたすら西広の打撃に運命を託すしか…

ぶううううん

「スットライーク!」

「ナイススイングゥゥゥッ!!」

「当たるよ!当たるよおおおおおっ!!」

にっしっひろ!にっしっひろ!にっしっひろ!にっしっひろ!

(…あ…当たる…!次は…!当たる…!)

ぶううううん

「ストライクツー!」

「よく見てけええええええ!!」

「西広君!!打てるよおおおおおっ!!」

にっしっひろ!にっしっひろ!
にっしっひろ!にっしっひろ!

もはや西浦サイドの応援は完全に西広一色!三橋たちも、ブラバンの人も、チアガールも、応援団も、そして数え切れない観客たちも、
全員があらん限りの声を出して西広へ声援を送り続けます。西広も一生懸命自分を奮い立たせてバットを振りますが、
無情にもそのスイングはかすりもしないまま追い込まれてしまうことに…

にっしっひろ!にっしっひろ!
にっしっひろ!にっしっひろ!


(はっ…はっ…あ…当たれ…!当たってくれ…!!)


(C)高橋陽一/集英社

「体のどこかに当たってくれ!!」(えー

ぶうううううん

「ストライークバッターアウッ!!」

うあああああああああ!! 運命を決める最後の一球…ひたすらに当たることを信じて振り続けた西広のスイングは、
とうとう一度も報われることなく三振となってしまうのでした。6−11…このスコアでとうとうゲームセットとなったこの試合、
西浦は美丞相手に敗北を喫し、県大会のトーナメントからも姿を消すことに…

「応援、ありがとうございましたぁーっ!!」

「「「ありがとうございましたぁーっ!!」」」

「…あ…ありが…!う…うう…うぐぅううっ…」

そして試合終了のコールが終わったその時、応援してくれた観客たちに頭を下げに並んだ西浦ナイン。
しかしその中で西広だけは、頭を下げると同時に涙が溢れて号泣してしまいます
あれだけの大声援にとうとう応えられなかった自分…西広は今日ほど自分をふがいないと思った事はないでしょう
というかこれ絶対一生もののトラウマだよね…(えー
なぜ神は西広にこれほどの試練を…前回の打席だけでも「俺って本当ダメだなあ…」って反省してたんだから、
あれだけで終わらせてあげてもよかったものを…俺が西広だったら速攻次の日から野球部やめてる自信あるわ…:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「う…うう…う、う、くっ…」

「はい!そこまで!今日はこのチームの総力戦だったね!
 そして負けた!もっと打てれば!もっと走れれば!
 自分にもっと力が、技があれば!全員がそう思ったよね!」

「「「はい!」」」

「なら泣いて悔しさ晴らすなんて、勿体無いことしない!
 その悔しさは、自分鍛えるエネルギーだよ!
 大事に腹ン中ためときなさい!」

「「「はい!!」」」

「さあ荷物まとめて!あと2週間で新人戦!
 その後はすぐ秋大だからね!さっさと帰って練習するよ!!」

「「「はいッ!!」」」

しかし西広の他にも、三橋や栄口たちが次々に泣きそうになったところで、突然飛んできたモモカンの檄!
涙というものはストレスを発散させる働きがあるそうですから、ここで泣くことはせっかくの悔しさを晴らしてしまうこと…
むしろグッと我慢して、その悔しさを練習に活かせと…そんなわけで敗北の余韻に浸る暇もなく、西浦はまたすぐに練習の日々を始めます
なんてキツいスケジュールなんだろう…やっぱり俺が野球部だったら絶対逃げ出してるな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン 次回に続く!

・トランペットなどは唇をふるわせて音を出すので、しばらく鳴らし続けると痛くなっちゃうんですよね〜w



おお、吹奏楽に詳しい人のコメントありがとうございます。
なるほどやっぱり暑さとか関係なしに、長時間吹き続けてると口がヒリヒリするってことなんですねえ
唇を震わせて吹くのかぁ…私はタテブエくらいしか吹いたことないから、そういうのって初めて知りました
しかしこういう自分の知識の足りないところを補足してもらえる時って、WEB拍手置いといてよかったなーって思いますねえ



・おお振りのレビューをすべて読ませていただきました!するどい視点に感動&笑いっぱなしでした^^
 『応援団がいきなり謎のダンスを踊り出して吹いた』にリアルに吹きましたw 
 私もアレは突っ込まずにはいられませんでした。。しかもアレやたら出てきませんでした?ww
 そしてこちらのレビューのおかげで、水谷の魅力に気付くことができました…!!
 アニメしか知らない私にとって彼は「イマイチキャラがわからない」存在だったのですが、あんなにイイキャラだったんですね!
 私がしっかり見ていなかっただけでした;; また読みに来ます! by ゆうこ



やぁありがとうございます、応援団の謎のダンスって言うと桐青戦のアルプスのアレのことですよね
いや本当にあの謎ダンスは今見ても何なのかさっぱり…
異様さで言えば美丞戦のやたら男臭いウェーブもいい勝負でしたけど…(えー

しかし水谷はいいキャラしてますよね
三星戦では、三橋のノーヒットノーランを台無しにするクソレフトエラーをやらかしたり
桐青戦では、8回に2−3で負けてるところで、田島が三振してもうダメだ…という時に起死回生の同点タイムリーヒットを打ったり
美丞戦では、なかなか他の仲間達からヒットが出ない中、ナイバッチ水谷に開眼して得点に絡むヒットを続けて打ったり…
悪い意味でもいい意味でも、気がつけば試合の中心にいる奴なんですよねえ
色々な意味で目が離せないというか、憎めないというか…あとやっぱり一番の特徴は母ちゃんが美人:;y=_ト ̄|○・∵. ターン


■おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 第13話「また始まる」
 

さて前回、ついに美丞との試合に負けて県大会から敗退してしまった西浦。
あれは西浦の今年の夏が終わってしまった試合でしたが、同時にこれから新たな一歩を踏み出す足場となる試合でもありました
特に収穫の大きかったのはこの2人…そんなわけで、三橋は阿部とのバッテリーの関係を見直すべく阿部の自宅を訪れていました

「三橋、何食う?」

「えっ!う…あ…え、えと…」

「…」

「あ…う…カ、カ、天…」

「…」

「え…お…う、うな…」

「…」

「ん…んん…」

「何食うんだよ!」

「あひいいいっ!?カ、カツ…うな…え、えーと…」

「…」

「んんうう、て、天…うな…」

「…」

「あ…え…お…カ、カツ…」

「カツ丼とうな重だな!!」

「ひゃいいっ!?カ、カ、カツ丼でぇっ!」



まだまだ割と相変わらずだったようです(えー
まあ、でも阿部はかなり辛抱強く三橋の話に耳を傾けてあげてますよね
でかい声で叫んではいますけど、そうイライラしてるわけではないみたいですし。まあ少しは三橋の扱いに慣れてきたって感じでしょうか

「その新聞、今日の結果載ってんぞ」

「へ、へえ…おおっ…」

「…負けちゃったな」

「う…うん…」

「俺…約束破ったから、ごめん」

「…あ、あの…え?」

「ケガも病気もしねえで、お前の投げる試合は全部捕るって言っただろ」

「あ、あれ、は…お、俺が情けないから、安心させ…」

「そうだけど…!俺が捕りゃお前が自信持つってのが、俺は嬉しかったのに…!…ケガして途中退場…
 悔しいから謝らせろよ…!ごめんな…」

「あ…お…」

「それから、初めて会った時に首振んなっつって…ごめん。あれは俺の間違いだったんだ…ごめんな」

「あ…」

そんな中、三橋に深々と頭を下げて今までのやり方を謝る阿部!こ、これは…
ここまできっちり自分が悪いことを認めて謝れるっていうのは、なにげに凄いことなんじゃないでしょうか
普通の人間は大体この3タイプ↓に分かれると思いますよ

・おあいこに持ち込もうとするタイプ
「いや確かに俺も悪かったと思うけど、お前だって色々やったでしょ?」とか言い出す

・言い訳優先で謝罪はうやむやにするタイプ
「いや首振んなっていうのは中学時代の投手がやな奴でさー、そいつのせいで首振られるの嫌になっちゃってさー」とか言い出す

・開き直って逆切れするタイプ
「これって俺のせいか!?なあ!?正直俺に責任はないと思うんだけど!?」とか言い出す

こいつらに比べて阿部がどれだけ立派なことか…(えー
ちなみにおあいこタイプ、言い訳タイプ、逆切れタイプを全て足すと民主党の議員になります:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
「民主党さん、○○の問題についてはどうなさるおつもりですか」
「それよりも自民の方が問題でしょ!元はと言えば自民党が!」なぜ民主の人はみんな口を揃えてこう言うのか…(えー

「お、俺も、あの…今まで、阿部君に頼るばっかだった…!あ…お、俺、今日、首振ったんだよ!
 そしたら、田島君と相談したみたくて…すごいよね!」

「ああ、すげえ…!」

「俺…俺、頑張るから!阿部君…!俺を…頼ってくれ!!」

そんな阿部の謙虚な謝罪を聞かされて、三橋もこれまでの自分をふがいなく思っていたことを阿部に打ち明けます
阿部に引っ張られる形で口を開いた三橋ではありますが、こうやってお互いの意見を交換できたのはいいことですね
そして三橋は、これからは互いを頼りにする対等なバッテリーになりたいと強く主張することに…

「…分かった!力合わせて、強くなろう!!」

「う…うんっ!!」

(ん…!?わ、笑った…とこ、初めて見たぞ…)

そのことは阿部自身も同じことを思っていたのか、力強く三橋に頷いてこれから一緒に強くなることを誓うのでした
そして、阿部と心が通じ合った三橋はニカーッと今までにない笑顔を…
阿部の前ではいつもビクビクオドオド緊張してばかりで、こんな緩んだ顔は見せたことがなかった三橋。
しかしどうやら、この時からようやく心を許せる友人となれたようで…

「今日は、ありがとな」

「う、うん…お、お大事に」

「合宿は行くから、そん時またな」

「う、うん!へへへ」

「(ぼそぼそ)ねえねえ、あの人なんていう人?」

「ん?三橋」

「へー!なんかいい笑顔の人じゃん!俺、好きな感じだよ」

「はあ…?おめー、苦労ねぇなあ…」

「え〜?どうして?」

それからというもの、阿部に対する心の壁がすっかり取れたのか、屈託のない笑顔をひんぱんに見せるようになった三橋。
それは第三者から見るとハッキリ分かるようで、阿部の弟は三橋(初対面)のことを「ニコニコよく笑う明るい人」だと思っているようです
今までの三橋からすると考えられない話ですなあ。でも三橋は家族に対してはいつもこんな感じだし、
これが心を許した相手に見せられる本当の三橋なんでしょうね

しかし阿部の弟の声はどこかで聞いたことがあるなーと思ったらこいつかよ!!
この無邪気な弟くんとはキャラの方向性が違いすぎるからなかなか気づかなかったわ…
ともかく今回の敗戦を糧に、バッテリーとしての関係が大きく前進した2人。これからのさらなる成長が楽しみですが…



一方その頃西広は、幼女と風呂に入ってキャッキャウフフしていました(えー
お…お前は何をやっとるかあああああ!!西広きさまー!まさか人畜無害そうな顔してこんな大胆な真似をしでかすとは!
ま、まあ西広は前回生き地獄と言っていいほどの酷い目に遭わされましたから、
これはその分のご褒美と考えればいいのだろうか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

えー、ラストの文章がこんなんでよかったのかという気はしますが
おおきく振りかぶって夏の大会編・完
原作の夏の大会は、この後榛名の試合が何試合か残ってるんですが、あれは果たしてアニメ化されるんでしょうか
やるとしたらやっぱりOVAで外伝的な扱いになるのかな…何はともあれスタッフの皆さんお疲れ様でした






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