■逆境無頼カイジ
破戒録篇 第7話「魔法の賽」
第8話「因果応報」
「す、すっげえええ!50万!カイジの張りに他の5人も乗っかって…
45組が全財産でぶつかってきたあーっ!!」
ざわ…!ざわ…!
「あんたに親が回るのを待ってたんだ…!俺が倒したいのは腰巾着じゃなく、
暴利をむさぼるタヌキ!あんたなんだからよ!!」
ウオオオオオオオ!!
(ちいいいっ…!ふざけおってこいつっ…!こんな張りが有り得るか…!?
全財産50万…何の勝算もなく張れる金ではない…!
あるのか…?何か勝つ算段が…!まさか…気が付いたってことか…!?
ワシの常勝チンチロの秘密、この456賽に…!)
さて前回、班長とのチンチロ対決において、まるで予想だにしない50万の大勝負を仕掛けてきたカイジ…
班長も激しく動揺しながらカイジの思惑を探り始めますが、ひとつ思い当たったものは
班長が使っているインチキサイコロ・456賽(しごろさい)を悟られたのでは…ということでした
そう、班長が勝負どころでいつもいい目を出してくるのは、この456賽を密かに使っていたからだったのです
1・2・3の目がなく、4・5・6の目だけで作られているこの賽…これを使えば、ゾロ目や456の役が格段に出しやすくなり
圧倒的に勝ちやすくなるわけですな。そういえば、カイジが最初に大負けした時も555と456を出されて負けたんでしたっけ…
実際に手にとって見られてしまえばモロバレのイカサマですが、それをさせないために班長は自分の隣に部下を座らせて
まじまじサイコロを見られる前に順番を回したり、時には普通のサイコロで勝負したりとカモフラージュを行っていたのです
(くそっ…!クズの分際で…!しょうがない…バレちまった以上はしょうがない…!
ここは456賽を使わずにしのぐしかない…
奴らの狙いは、ワシが456賽を使った現場を押さえること…ワシに恥をかかせ勝つ…!
その落とし前として、張った額の何倍も金をふんだくろうって魂胆…!
その手には乗らんッ!!)
「…」
(くそ…いつもなら難なく勝てるのに…!
こんなクズ相手に普通の賽で、運否天賦の勝負とは…!くそっ…!)
そしてカイジ達の狙いとは、イカサマ現場を押さえて自分から大量の罰金をせしめることだと推理した班長…
だとすればここで456賽を使ったが最後、班長は大金を失って今後もイカサマ野郎と罵られ続けることになるでしょう
そのためここは仕方なく、普通のサイコロを使ってカイジとガチの勝負を行うことに…
コロコロコロコロ
「…」
(ここだ…!奴が気づいているならここで出る!
賽を押さえにいく初期動作、予兆…!気配が…!)
コロコロコロコロ
「…」
(…!?う、動かない!?こいつ…動かない!?ど…どういうことだ…!?)
コロン…
【班長大槻、一投目は出目なし!】
ところが班長の一投目に対して、ジッとしたまま動こうとせずに見送ったカイジ!
イカサマサイコロに気づいているのなら、必ずここでサイコロを確認しようとするはずですが…
それを全くしなかったということは、「あれ?こいつもしかして気づいてなくね?」という気持ちが班長にも芽生えてきたようで…
(むう…待てよ…?そういえば今の一投は、
ワシがポケットに456賽を取りに行くような…そんな動作をしなかった…!
そこか…!その素振りがなかったもんで、一投目はナシと踏んだのか…!)
「…」
(フン…なら見せてやろうじゃないか…今度はそれらしい動きを、きっちりと…!)
ごそ…がさごそ…
「…!」
「ようし…二投目だ!ここで出すぞ、きっちり456を!」
「おおおおーっ!いいぞ班長ーっ!」
ところがふと「あ、サイコロ交換する動作がなかったせいか」と思い直して、ガサゴソとポケットに手を突っ込み始めた班長!
もちろん今は交換などしていませんが、これもカイジ達が本当に456賽に気づいているのか確認するため…
さらに「よーしパパ456出しちゃうぞー」とまで宣言し、いかにも456賽を使いそうな空気をバリバリに演出しております
コロコロコロコロ
「…」
(どうだ…!これならにじり寄ってくるはず…!
手か?足か?体全体か?どこだ、どこが動く…)
コロコロコロコロ
「…」
(え…!?う、動かない…こいつ…まるで動かない!?
動かない!動かない!動かない!うごかなーい!!て、てことは…!)
コロン…
【大槻、二投目も目なし!】
「ふはあ〜!た、助かったぁ〜…!」
(き…気づいてない!!カイジも他の連中も、ただ目が出なかったことを
安堵しているようにしか…456賽を知っているのなら、ショックが、失望があるはずだ!
しかしそんなもの、このガン首並べたバカどもからは微塵も感じられない…!
ただノーテンキにドンブリを覗いて、一喜一憂しているだけ…!)
ところが、そこまで456賽の存在を匂わせた第二投ですら何も動きを見せずに見送ったカイジ!
班長の反則負けを狙っているのなら、ここで動かないというのは絶対に有り得ない展開…
ここまで来ると、もう456賽のことなんてハナっから気づいてないと考えるしかありません
三好たちのすっとぼけた態度からしても、班長のイカサマ反則負けをギラギラと狙っているようにはまったく見えないわけで…
(まさかそろいもそろって名優ぞろいってわけでもあるまい…
奴らは気づいてない…!そう考えるしかない!!
とするとこの大金は…ワシの動きを止めるための抑止力!?イカサマ防止の重し!?
要するにワシの勝負強さに対して、”何かあるのかもしれない”と考えてはいても…
ネタには届いていない…!おぼろ…!おぼろな気付き!
奴らのこの大金は、その”何か”を封じ込めにきただけなんだ!)
「…」
(ククク…クックックックックッ…!本当は空白!気付いていない!
そうか…それなら問題ない…!いくか…!)
(いきましょうっ…!)
(いけるいける!大丈夫ですって!)
(疑い深い沼川でもそう思うか…ククク…!
よし…!出動だっ…!魔力…!456賽!合流!!)
ガッシイイイッ!!
(バカが…!やっぱりお前はバカだ…!今それを証明してやる…!カイジ!!)
「喝!!」
チンチロリーン
そして運命の第3投、ノリノリで決めゼリフまで吐きながら最終兵器456賽を投入する班長!
今までのやり取りから、「班長あいつイカサマしてんじゃね?何かは知らんけど…」というレベルでしかバレていないと確信を得たようで…
その程度の気付きであるならば、ここで456賽を使ってもいつも通りすぐ回収すれば済むだけの話…
サイコロが止まった後にカイジ達が難癖をつけたところで、沼川が速攻で普通のサイコロと入れ替えれば終わる話なのです
コロコロコロコロ
(クックックックックッ…)
【班長大槻、456賽を選択しての3投目!運命の3投目!
班長の目…それが決定する、あと数秒で!】
コロコロコロコロ
【誰もが息を飲んで見守るしかない、神に祈るしかない!その時!】
ガバアッ!
「え!?」
【突っ込んだ!カイジは神の時間に手を突っ込んだ!】
ってついにきたあああああああああ!!
なんと班長が456賽を放り込んだその時、すかさずドンブリに手を突っ込んで賽を奪い取るカイジ!
なんてこった、やはり気づいていたのか!?それにしても456賽だけを正確に見分けてくるとはどういう…Σ(゜д゜)はっ
そうか決めゼリフか!かっこつけて「喝!」とか言うからバレちまったのか!(えー
「な、何をする貴様ァ!!返せコラァーッ!!」
ドカバキバキイイッ!!
「ぐっ…がはっ…!」
「はぁはぁ…!いくらいい目が出そうだったからって、なんて無法だァ!!」
ドゴドゴドゴ!!
「ぐうっ…!だ、黙れぇぇーっ!!」
バギャアアアアッ!!
「ぐがあああーっ!!」
ああしかし、班長一味は必死に456賽を取り返そうとパンチの連打でカイジを攻撃!
とはいえカイジの方も必死であります、ここで奪われてたまるかと肘鉄をブチかまして応戦し、
流血沙汰のリアルファイトで部屋は大混乱の状況に…
「みんな聞けぇぇーっ!!こいつらは、こいつらはイカサマを!」
「や、やめろぉぉーーっ!!喋らせるなァーーッ!!」
ドガッシャアアアアン!!
「うごっ…!ぐっ…!」
「こ、このガキ次から次へと…!ゆ、許さん、許さんぞ!!」
「がはっ…!こ…ここに証拠を握り込んだ!イカサマサイコロだぁぁっ!!」
ざわ…ざわ…
「ふ、ふざけるな!根も葉もないことをォォォーーッ!!」
「よせよ大槻。俺達が改めよう」
「え…!?」
【申し出たのはC班の班長、小田切!】
「い、いや、ここはワシらが…」
「それじゃ意味がないだろう」
って、班長たちに3人がかりでボコボコにされながらも、ついに周囲へ向けてイカサマのことをバラしたカイジ!
それは本当かと周囲がざわつき始める中、別の班の班長である小田切が確認を申し出てきました
自分と対等な小田切が相手では、「うるせー引っ込んでろカス」と強い態度に出られない班長…
そしてとうとう、カイジの手から小田切へイカサマサイコロが渡されることに…
「あ、ああ…ま、待て…待ってくれ…」
「…ん?こ、こりゃあ…!」
「ダメぇぇぇぇぇーーっ!!」
「このサイコロ…!目が4と5と6だけじゃねえか!!」
「え!?ひ、ひでえ…!」
ざわ…!ざわざわ…!
「いつから使ってたんだ、これ…!」
「えっ…あ、いや…も、もちろんさっきが初めてだ…
こ、これは余興でやろうと思ったもので、今日だって使うつもりは…」
「なに言ってやがる!?とぼけんな!!」
「実際使ってるじゃねーか!!」
「そ、その証拠に、さっきの1・2投目は普通のサイコロだったろう!?
そんなことをして先に弱い目が出てしまったら、
イカサマサイコロを持ってる意味なんかないじゃないか!な?使うなら一投目だ!
これこそワシがイカサマサイコロを使ってないという証拠だろう!」
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罠だ!これは罠だ!
456賽なのに一投目で使わないというのは
おかしいじゃないか!
それが罠だという証拠!(えー |
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 |
そしてついに、今までやってきたイカサマを白日の下に晒された班長!
しかしそれでも、「今日だけたまたま別のサイコロが混ざっちゃった」と言い訳をする見苦しい真似を…
それにこのチンチロでは、サイコロを振れるのは3回まで、しかし第一投・第二投で目が出たらその時点で終了となるため
456賽を使うなら絶対一投目じゃなきゃおかしいと、ふざけた理屈で逃げようとします
「違うな。今まであんたはその基本通り、いつも456賽を一投目に使ってきた…
この三好メモを見れば分かることだが…あんた多すぎだ…!
一投目に強い目が出る割合が!偶然の域を遥かに超えてる!」
「う…ぐ…!」
(三好か…!あんなメモ許さなければよかった…!くそっ…!)
「このメモであんたのイカサマに気づいた俺は、こいつらと大勝負を仕掛けた…!
だが、今日の勝負は特別だったのさ。俺は最初に2万という金を張って、
そっちの出方を見たが…一番手の石和は、脳天気にイカサマサイコロを使ってきた」
「う、あ…」
「俺は内心ほくそ笑んで、あんたの親番を待ち…みんなを呼んで勝負に出た…!」
そしてここで、今まで不可解だったカイジの行動のすべてが明らかに!まずは三好のメモを初めて見た時の驚愕した反応…
あの時点でカイジは、班長がいつも一投目で強い目を出すこと、イカサマの内容が456賽なことに気がついていたんですね。
さらに勝負を挑んだこの日、石和を相手に最初は2万張り、次は1千張りというしょぼい張り方をしてましたが…
あれは単に、班長達が今日も456賽を使ってくるか確認したかったようです。実際、石和が1戦目に出してきた目は456…
これで班長も456賽を使ってくると確信して、石和との2戦目は1千だけ張って捨てたわけなんですなあ
「だが金額のでかさが、あんたの猜疑心を揺り起こしちまった…
イカサマがバレてるんじゃないかってな。
だからあんたは、この土壇場で456賽を使うことを思いとどまった」
「ぐっ…」
「ど、どうしてそんなことが分かったんだ?」
「普通チンチロってのは、サイコロを投げ入れたら
誰だってドンブリの中に集中するはずだ。だが一投目…あんた、俺の目を見ていた」
「え、あ…!」
「助かったぜ、あの目がなきゃ俺は普通のサイコロをイカサマと思い込んで、
とんだお手つきをしてたところだ…!そしてあんたは、俺や三好達の反応を見て
”イカサマに気づかれてない”と判断した…
456賽を使わないことを、誰も不思議がっていなかったからな!」
「うう…」
「当然だ…!こいつらにはイカサマの仕組みに関しては、何も話してなかったんだからな!
そして3投目…あんたはもう俺に目もくれなかった!!」
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そしてここからが本番、最初カイジは班長も一投目に456賽を
必ず使ってくると読んでいましたが…その読みを覆したのは
サイコロを振った瞬間の班長の視線!
あの時班長は、カイジがイカサマ対策にどんな動きをするのか
ジッと観察していましたが…そんな班長の不自然な行動により、
カイジは動かない方がいいと判断して
ひとまず待つ作戦へとっさに切り替えたのです |
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そんな2人の駆け引きの横で、
あっけらかんと勝負を見守っていた45組…
456賽のことなんて何も気づいてない様子だったのは、
本当に456賽のことは
まったく知らなかったから…
カイジは班長の判断を狂わせるために、
あえてみんなに何も教えなかったようですが…
まんまとその作戦は成功し、
班長は大喜びで456賽を使ってきたわけですねえ |
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そして運命の3投目、サイコロを投げた班長のこの視線…
今度はカイジのことなどまるで眼中になく、
456賽がどんな凄い目を出すかにしか興味がなかった…
だからカイジは今度こそ456賽だと確信して、
迷いなくドンブリに突っ込んだわけですねえ |
それにしてもここまでやってきた駆け引き…カイジマジ凄すぎる
班長の心理を的確に突く洞察力もそうですが、何よりすごいのは勝負の最中に動きを変える柔軟な判断力ですな
この50万かかった緊張感の中で、班長の心変わりを鋭く察知して自分も作戦変更するという離れ業…
並大抵の人間にできることじゃありません。やはり追いつめられてからのカイジは、判断力も度胸も信じられないほど跳ね上がるな
「あんたは故意にこのサイコロを使ったんだよ!勝つためにな!!」
「ぐ…ぐぐっ…!」
(こ…こいつ…気づいてやがったっ…!何もかも…!)
「ち、違う…違うんだよカイジくん…!本当に故意じゃなかったんだよ、事故なんだ…!」
「ふざけんなァ!お前はイカサマをしたんだよ!!」
「まだスッとぼけんのかよ!クズが!!」
(うう…!ま、まずい、このままイカサマを認めればどんな目に遭うか…!
くっ…!全部あのガキのせい…!今にして思えば、あの露骨なまでの反抗も
ワシの敵愾心を煽るための行動…!単に金だけの勝負なら、
ワシも456賽を使わなかったかもしれん…だがあのガキに対する憎悪が、
最後の最後にワシの背中を押した…!なんたる不覚…!不覚っ…!不覚っ…!不覚っ…!)
しかしここまで追い詰められながら、まだ見苦しく言い訳を続ける班長!
どうやらイカサマを認めれば、今よりさらに酷い目に遭わされると思っているようですが…
とはいえ、今の段階でもうすでに脱出不可能なのは明らか…班長はただただカイジの作戦の周到さを思い知らされ、
ギリギリと歯ぎしりするしかできません
「いやしかしカイジくん、あんた大したもんだ…!」
「本当だよなあ、サイコロが回ってる最中に手を入れるから何事かと思ったが…」
(…はっ…!?)
「…ってない…」
「え?」
「振ってない…!よく考えたらワシは、456賽を振ってない…!
あの時まだサイコロは回っていた!目はまだ出ていなかった!
つまりこの勝負は未確定ーーーっ!!」
「!?」
「成立していない!だからイカサマもクソもない!不成立!
ノーカウント!ノーカウント!ノーカウントなんだーっ!!」
しぃぃぃーん
「ノーカン!ノーカン!ノーカン!
ノーカン!ノーカン!はいノーカン!」
「んだとゴラァァァーーッ!!」
「ふざけんなァァァー−ッ!!」
「屁理屈言うなイカサマ野郎ォォォーーッ!!」
ドガラガッシャアアアーン!!
大爆発キター!!ア…アホだー!!この期に及んで勝負をなかった事にしようと、
たった一人バカな理屈をぶちあげてノーカウントの舞いを始めた班長!その結果、その場にいた一同の怒りはレッドゾーンを振り切って
班長に向かって怒涛の一斉攻撃を開始!あまりにアホな班長の言い分に、手下の沼川ですら呆れてものも言えないというツラをしております
「ひ、ひいいっ…!ノ、ノーカ…ノーカウントっ…!目が出てなきゃ…ノーカウントだっ…!」
「まだ言うか!?この野郎ぶっ殺して…!!」
「待て!苦し紛れの言い訳にしちゃ、いいとこ突いてるぜ…まんざら理がないわけでもない」
「な…なに言ってんだよカイジさん!?」
「は、ははは…いやぁ〜さすがにカイジくんは聡明だ!勝負はやり直し!
普通のサイコロで改めてやり直して…」
「やり直し…?やり直しなんてのはごめんこうむる…!
だが、続行って言うんなら…考えてもいいぜ」
「えっ…?ぞ、続行…?」
「お前らはこれまで、仲間内だけでこんな特殊な賽をまわして勝ち続けてきた…
あえてそのルールで続行と行こうじゃないか…!
俺達6人も、同じく特殊な賽を使って勝負する。ただしあんたの目は、
この456賽における最低の目・4だ…これぐらいのペナルティは当然だろ。どうだ?」
ところがその時、周囲のすべてを敵に回した班長に、どういうわけか助け舟を出すような真似をするカイジ!
黙って見ていれば勝手に破滅していくというのに、なぜわざわざ余計な口出しを…?
そんなカイジの持ち出した条件とは、「俺達も全員456賽を使って勝負を続行。ただし班長は一番弱い4の目で固定」というもの…
確かにこの条件で勝負すれば、少なくともカイジ達の負けはないわけですが…
(く…くか…くかかかかっ…!バァァァカめ…!!やった…!やったやったやった!
ノーカウントが生きた!こんなイカサマがバレたら、普通は張った額の2倍か3倍、
いや、過去にさかのぼっての弁済も考えられる!それを続行!?
仮に奴ら6人全員が456を出しても、50万7千の倍…100万ちょいの額で決着が着く!
ここを切り抜けたら、あとはうやむやにしちまえばいい!
くふっ、くふふ、くふふふふ!生き残った生き残った、生き残ったぁぁぁぁぁぁ!!)
「おいどうなんだ、受けるのか受けないのか!」
「ぐ、ぐむ〜ん…苦しい条件だが、仕方あるまい」
「よし…もう一度確認する、俺達6人が使う賽は通常の賽じゃない。
前もって用意した特殊な賽…それを仲間内でまわして使う。構わないんだな、それで」
(あ〜…うざいなもう…いいからさっさと振れっちゅうんじゃい…!いい加減疲れるわ!)
「ああ…分かった…!」
そしてこの反省のなさである
こ、この横柄野郎がああああ!!なんてやつだ!
カイジの一言で周囲の騒ぎが収まったというのに、まるで悪びれる様子もなくカイジを心中でコケにするばかり!
それに勝負続行と言っても、班長は50万や100万負けたところで普段から毎月70万以上の金を稼いでいるので
大した痛手にならないわけで…そんなわけで、「プギャーとっととワシを負かしてくれて構いませんよ」と調子に乗りまくっております
「三好」
「えっ?」
「ちょっと割に合わないって思ったろ」
「あ…」
「ここで6人全員が勝ったとして、入ってくるのはプラス50万から80万…
あれだけのイカサマを暴いた割には、その程度かって」
「ま、まあ…確かに…」
「クク…安心しろ…済ますわけねぇーだろ…!!そんなもんで!!」
バアアアアアアン!!
「え…?」
(食らえ…!因果応報!天誅!これが…!お前のイカサマの報いだ!!)
「な…な…な…!!」
【カイジの目はピンゾロ!5倍づけ!】
「なんじゃこのサイコロぉぉぉっぉぉぉ!!」
がしかし、心の中でニヤついていた班長が真っ青になる5倍勝ちのピンゾロを出してきたカイジ!
そう、続行の誘いをかけたのは班長をこの上なく徹底的に叩きのめすためのブラフ。情けをかける気なんぞハナからなかったのです
そんなわけで、このチンチロにおける最強の役・111のピンゾロで特大の大負けを喫する班長!
しかし班長が何より驚愕しているのは、役そのものよりもカイジが使ったサイコロのせいでした
「い、1!?1!?1ぃぃぃぃ!?六面全部ピンじゃねぇーか!!
ピンピンピンっっ!馬っ鹿もぉぉぉぉんッ!!通るかこんなもんッ!!」
「念押ししたはずだ…!お前たちと同じように、前もって用意した特殊賽を使うと!!」
「だっ…だから、それは…!」
「456賽を使うとは一言も言ってない!こっちはこっちで用意させてもらった…!
そして…特殊賽を仲間内でまわす!!」
「なっ…な…!ま、ま…わ…す…!?」
手作り感あふれる超スーパーイカサマサイコロ!!
と…とんでもねえー!!もはやカモフラージュもクソもない1の目しかないお手製サイコロ!
なんとカイジは、てっきり456賽を使うと思っていた班長の予測を越え、この時のためのイカサマサイコロを用意していたのです
うーむ、カイジのセリフを確認してみれば、確かに今まで全部「俺達も特殊賽を使わせてもらう」と言っていて
456賽を使うとは一言も言っていないんですねえ。まさに思考の隙をついた巧妙な罠…
しかもこれを6人全員でまわすという超地獄コンボがこれから発動する予定です。らめぇぇぇぇぇ!!
「駄目ぇぇぇぇぇっ!通るかそんなメチャクチャ!無法がぁぁぁッ!!」
「いいや、カイジくんの言う通りだ…お前は確かに認めとったぞ。
特殊賽を使うことも、仲間内でまわすことも」
「う…ぐ…がっ…」
「そうだそうだァ!大体てめえはさんざん汚いことやっておいて、
今更なにが無法だ!!」
「恥を知れ!座れよ!!」
「う…くっ…!」
【カイジが欲しかったのはこの空気!周りが一丸となって大槻を責め立て、理を通す!
心情的に周りを味方につける!そうでなければ大槻を追い詰めることはできない!】
そんなカイジのイカサマサイコロに当然のごとく猛抗議する班長!しかしもはや周囲の誰もが班長をかばうつもりなし!
そう、カイジの理屈はヘタをすると「屁理屈言ってんじゃねぇ!」と一蹴されかねないものですが、
この場の全員を味方につけた今なら、圧倒的な賛同を得て貫き通せるという道理!
まさか場の空気がどうなるかまで読んでの作戦だったとは…つくづくカイジの思考力には驚かされますな
「いけ…遠慮なく!!」
「は、はいっ!!」
チンチロリーン 【ピンゾロ!】 チンチロリーン 【ピンゾロ!】
チンチロリーン 【ピンゾロ!】 チンチロリーン 【ピンゾロ!】
チンチロリーン 【ピンゾロ!6連続ピンゾロ!】
「あ…あが…が…」
【カイジ達の50万7千が膨れ上がる!その5倍、253万5千に!】
「さあ…持ってきてもらおうか…!お前がごっそり貯め込んだ、ペリカが詰まった千両箱!」
「く…くっ…」
ざわ…ざわ…
「おいおい、ありゃいくら入ってるんだ…!1千万、いや2千万か!?」
「あの野郎、きたねえ奴だ…!」
(ぐぐ…目標の2千万…あとちょっとだったのにっ…!)
そんなわけで45組全員がピンゾロを出し終え、この勝負で253万もの大金を放出するハメになった班長!
フラフラになりながら貯金箱を持ってきますが、なんとそれはヘソクリなんてレベルではなく2000万というすさまじい金が!
おいおいどんだけ貯め込んでやがったんだこの男!カイジ達6人の給料を合わせて5倍にしたのに、それでもまだ8分の1程度だとォ!?
さっきから班長はすごいショック受けてますが、まだ8分の1ならそう大したもんでもないんじゃ…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「253万5千だ…ほれ…(ばさばさ)」
「う、うおーっ!!やったああーっ!!」
「あはははは、すっげええーっ!!」
「…」
「…はぁ…(すたすた)」
「待てよ」
「は…?」
「どこに行く?」
「どこって…今夜はもう休ませてもらう…あとの仕切りは石和と沼川がやる、皆の衆で勝手にやってくれ…」
「ふ〜ん、やめるんだ…?一度負けたくらいで…」
「…カイジくん…もうこれ以上いじめんでくれよ…」
「まあ、気持ちは分からないでもない…でも…親はやり切ってもらわないとな」
「…え…?」
「忘れたのか…?親は2回…!座れよ…もう1度あんたの親で続行だ!!」
なに勘違いしているんだ?
まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ!!
ってキター!!うわあああああ!!253万を払ってフラフラと帰ろうとした班長に対し、なんとさらなる勝負を強要するカイジ!
ここまでくると班長が可哀相ではありますが…ああしかし、親は2回…親は2回というこのルールは…
「カイジくん、親は2回。みんなそうしてきたろう。とぼけて回すなよドンブリを」
と、班長自身がカイジに強要したあのルール!
まさに因果応報…今思えば、カイジはあの時親を2回やらされたせいで破滅を味わったんでしたな…
それが今度はまったく逆の立場になろうとは、なんという運命の皮肉でしょうか
「張らせてもらうぜ…もう一度…全額だ!!」
【積み上げられたのは、総額304万2千!】
「あ…ああ…あ…」
「無論、ルールはさっきと同じ特殊賽を使う…!
遠慮なく使ってくれ。俺達も使わせてもらうから…似たようなものを…!」
【304万2千…!この金が5倍付けとなれば、1500万以上!】
ざわ…ざわ…!
「お、おいおいさっきの再現か!?」
「これで班長の支出は、合計でざっと…1800万だ!!」
「吹っ飛ぶぞ!奴の金庫の金…!全部!」
「あう…あ…あああああっ…!」
そして最初の賭け金50万に加え、たった今むしり取ったばかりの250万もそのまま次の賭け金に加えるカイジ!
合計で300万の賭け金、この勝負でまたピンゾロ勝ちすれば1500万の払い…すでに250万を失っている班長は、
このうえ1500万も払ったら貯めていた金を完全に持っていかれることになります。
ああ、さっきは「まだ貯金箱にだいぶ余裕あるじゃん」とか思っていたらこんなことになるなんて!もうこのくらいで勘弁してやっても!
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ククク…まだだよ…
まだ終わらない…
まだまだ終わらせない…!
地獄の淵が見えるまで…
限度いっぱいまで行く…!
どちらかが完全に倒れるまで…
勝負の後は骨も残さない…! |
面白い…狂気の沙汰ほど面白い…!福本漫画の主人公はこんなのばっかりや!次回に続く!
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