■逆境無頼カイジ
破戒録篇 第11話「歓喜と嘆声」
第12話「破天・破漢」
「ワシの最後の大博打!応援してくれやぁみんな!
万が一出た時は祝儀をはずもう!1人あたり50万、後押し頼むぜぇ!」
「「「う、うおおおおーっ!!」」」
【ついに始まる坂崎の挑戦!究極のモンスターマシン・沼…!狙うは6億!】
さて前回、超高レートパチンコ”沼”攻略のために坂崎のおっちゃんと手を組んだカイジ…
今回は、いよいよその沼を落としに2人がカジノへ乗り込んだ場面で始まります
とはいえ、2人仲良く入店したのではなく他人を装った別行動。そして坂崎のおっちゃんが、他の客相手に「うおー俺はやるぞー!」と
場を異様に盛り上げながら沼へと挑みますが…
『えっ…入らない?』
『ああ、入らん…あの3段クルーンの最後、一番下の当たりには絶対に入らない。
沼は玉のコントロールがきっちり仕上げられていて、クルーンへの落下速度・導入角度が寸分違わず毎回一緒…!
ごくたまに当たり穴の手前まで行くことはあるが…ブレはその範囲、決して当たりには届かない』
って、おっちゃんが沼への挑戦を始めると同時にカイジの回想シーン突入。これは店へ行く直前の作戦会議の場面ですね
そう、今日は釘が甘くなっている設定Aの日ではありますが、それでも当たりをことごとく弾いてしまうのが
最後の難関・3段クルーン…当たり穴の周囲にハズレ穴がボコボコ空いているこのクルーンは、
どれだけ玉を打ち込んでも絶対に当たりが出ないよう調整されているそうで…
『だが…逆に言うなら、玉の遠心力を歪ませることができれば入りうる…!となれば…こいつが有効…!』
『じ…磁石!』
『そう、強力な磁石をガラス越しにかざせば…玉の軌道、遠心力は必ず歪む…!
敵はそれが恐いから、打ち手への磁気チェックを義務付けているんだ』
そこでおっちゃんが立てた作戦が、磁力によって玉の軌道を歪ませるというもの!こうすることで当たりに入る可能性を作り出すという…
ただ、普通に打ったら「絶対に当たらない」というものが、磁力をかけたら「それなりに当たる可能性がある」と変わる程度の作戦…
100%勝てる保証はありませんが、だからこそおっちゃんは金庫から大金をパクッてきたのでしょう
おっちゃんの2000万だけで勝負した場合、アンラッキーが続いて当たらないまま終わる場合も考えられる…
だから金庫から金を持ち出して、5000万での勝負を挑もうと考えたんですね
あとは店で必ずやらされる磁気チェックをどう突破するかですが…そこでカイジの出番がくるというわけです
「おおっ!きたぞ!きたぞきたぞーっ!!」
カランカラン…
「ぐっ…!あーくそぉ!!ビールくれビール!」
「は、はい!」
「(ガブガブ)プハァーッ!さーてやるか…もう一度!」
「いいぞオヤジ!また来たぞクルーンに!」
「おっ…!おっおっおっ!そこのお前!ちょっと持っとれ!」
「えっ、は、はい!(よしっ…渡しは成功…!)」
そんなわけでカイジとおっちゃんの立てた作戦がこれ、ヤジ馬のフリをしたカイジが密かに磁石をおっちゃんに渡すというもの…
とはいえ、すぐ横では店員が目を光らせているので簡単にはいきません。具体的にはどうやったかというと
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先に入店したカイジが缶ビールを買い、
その中にこっそりと磁石を入れておく |
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おっちゃんも沼を打ちながら缶ビールを買う |
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ヤジ馬のフリをしたカイジが寄ってきたところで、
「そこのお前!ちょっと持っとれ!」と
おっちゃんがカイジにビールを渡す |
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カイジからビールを受け取る際、
自分が渡した方でなく磁石の入っている方を受け取る |
と、こんな感じでおっちゃんへの磁石入りビール受け渡し作戦が成功したという…
おっちゃんが「勝ったら50万やるぞー!」とギャラリーをかき集めて盛り上げているのも、
この一連の流れが不自然にならないようにするためだったんですね
ただ、この作戦にもたったひとつ重大な欠点がありますね…そう、たったひとつ…
それはビールを交換した後、両者ともそれに口を何度も付けているので
カイジとおっちゃんが間接キッスしまくりという欠点が…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
バチン…!バチン…!バチン…!バチン…!
「あ、あれ…?なんか、入らなくなったぞ…」
「クルーンに行ってねえ…!全部あの役物に弾かれてる!」
【今まで3分の1は通していたクルーンへの番人…急変!弾く…!弾く…!弾く…!弾く!!】
バチン…!バチン…!バチン…!
「がっ…!ぐ…!く、くっそぉぉぉっ…!」
「クックックックッ…」
(く…!あ、あいつら…!何かやりやがったのか!?)
ところが、そんな磁力ビールをせっかく渡したものの、突如としてクルーンへの当たりルートにまるで玉が入らなくなるという現象が!
何が起こったのかと思えば、クルーン手前にある開閉バーが猛烈に玉をブロックし始めたという…
あからさまに急変した沼の様子に戸惑うカイジ達。そう、こうなったのは店側がたった今ブロック機能をONに変えてしまったから…
今日は設定Aで当たりルートに入りやすい日、さらに坂崎のおっちゃんの5000万という豊富な資金…
これで沼を攻略されたらたまらないと思った店員たちは、とうとうあからさまな妨害工作を開始してしまったのです
バチン…!バチン…!バチン…!
「ぐ…ぐがっ…ぐががっ…!」
「お…おっちゃん…くっ…!」
バチン…!バチン…!バチン…!
「ぐ…ぐっ…!ひでぇ…こんなんありかよ…!ひどすぎる…!」
(も…もういい…おっちゃん…やめろ…!
クルーンに行かなきゃいくら打っても…全部死に玉…!くっ…!)
バチン…!バチン…!バチン…!
(か…神にも…慈悲ってもんがあるだろ…!?これっきり…これっきりなんてことがあるかよ…!
あと1回…!あと1回はあるはずだ…!クルーンに行けば…クルーンに行きさえすれば…!
ねじ込むっ…!この…磁ビールで…!)
ああそして、鉄壁のブロックを突破できないままひたすらに玉を消費し続けていくおっちゃん!
5000万あった資金もみるみるうちに消えてなくなり、残るはもう1000万を切ってしまった状態…
今さらやめるにしても全財産の2000万を失い、盗み出してきた3000万を返すこともできない…
もはやおっちゃんは一縷の望みにかけて進むしかありません。ここで当たりを出さなければ自分には破滅が待っているだけ…
バチン…!バチン…!コロコロッ
「おっ…?おっ!?うおおーっ!!来た!来たぞオッサン!!」
「お…お、お…!おおおおっ…!!」
コロコロコロッ
「うおお来たぁぁぁぁーーっ!!3段目ぇーーっ!!」
(あああっ…!おっちゃん…!おそらくこれが…最後のチャンス…!)
「あ…ああ…あああ…あああああ…!た、頼む…!入ってくれ…!与えてくれ…!
もう一度ワシに、あの暮らし…!日々をっ…!神様…神様…神様…神様あああっ…!」
ってその時、1個だけ奇跡的にブロックを突破しクルーンへと辿り着いた玉が!
その玉は吸い寄せられるように1段目・2段目の当たり穴へと入っていき、ついに念願の3段目に到着!
まさに神が与えた最後のチャンス、磁ビールを使うならもうここしかありません
そして玉が当たり穴のすぐ横にやってきたその時、おっちゃんは穴へ吸い寄せられるような角度で磁ビールをかざしますが…
コロコロ…コロ…ポトッ…
ってハズレに落ちやがったああああああああああうわあああああああ!!
なんということ!この最後の最後ラストチャンスでまさかの磁ビール効果なし!
なぜか玉がビールに吸い寄せられるような様子はなく、そのまま回転力を失ってハズレ穴に落ちて行ったという…
ああ、まさかカイジがさっき磁ビールを手渡す時に「あっごめーんこっち普通のビールだったわ」と
間違えて普通のビールを渡しちゃったとでも言うのか…?:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「…あ…あが…かっ…あ…」
ドッシャアアアアアン!!
「お…おっちゃん!大丈夫か!?おっちゃん!」
「ククク…ご友人は大丈夫ですか?カイジ様」
「え…!?」
「当店では、よからぬことを企む連中への防衛策として…
磁石に反応する鋼鉄製の玉と、反応しない真鍮製の玉を使い分けています」
「なっ…し…真…鍮…!?」
とその時、絶望に打ちひしがれるカイジとおっちゃんのそばにするすると寄ってきた1人の男!
その男によれば、今回の沼で使っていたのは磁石にまったく反応しない真鍮製の玉だったという…
それに、他人のフリをしていたカイジとおっちゃんがグルなことまでバレているとは…
どうやらカイジ達の作戦は、何もかも店側には筒抜けだったようです。そんなカイジ達の大敗北をせせら笑っているこの男の名は…
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「ご挨拶が遅れました、
店長の一条という者です」 |
バッ…バローネ様ァーー!!(えー
なんてこと!この店のボスであるカイジ達最大の敵はバローネ様!
いやなんでバローネ様かって、どっちも同じ声優で演技の仕方も一緒ってだけなんですけどね:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「あ…かっ…か…」
「さあさあお客様、お気を確かに…まだパッキーは残り600もある…!
大当たりの可能性は残されています、存分に夢を追いかけてください…
我々はそのお姿を、心から応援する者です…!」
「あ…ああ…あああっ…!」
「…ぐっ…!」
ああそして、ショックで立ち上がれないおっちゃんに対し「オイいつまで寝てんの?早くパチンコ再開しろよ」と言ってのける一条!
にこやかな表情、穏やかな口調で励ますように言ってはいますが、結局その本質は
「あれあれ〜まだ600万も残ってるよ?ちゃんと全部使い果たしていけよ(笑)」と
勝てる見込みのないおっちゃんをコケにしているだけ…
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どうなさいました…?お客様…!
さあ さあ お気を確かに…!
がっかりするには及ばない…!
パッキーの残りはまだ600もある…!
まだまだ…大当たりの可能性は
残されている…!どうぞ…
存分に夢を追い続けてください…!
我々は…その姿を心から…
応援する者です…! |
この表情で書けば分かりやすいだろうな…(えー
まったくバローネ様は鬼畜すぎるぜ…
【惨敗…!わずか2時間あまりで4262万を失った!この日、坂崎の手元に残ったのはわずか638万!】
「うあ…ああ…ちくしょう…全部…おとりだったんだ…釘設定の予定表も…なにもかも…
くやしい…くやしい…!あ…ああ…うああ…あああっ…!」
「…」
その後は完全に戦意を失い、ドロップアウトして残った600万を手に店を去ることになったおっちゃん達…
「釘の甘い設定A、磁石によるクルーン攻略」という作戦は、「鉄壁のブロックバー、磁石の効かない真鍮の玉」という
店側の対策で完璧に封じられてしまったわけで…勝ち目など最初からなかったことに気づかずまんまと踊らされ、
ひたすらに敗北感だけを味わいながら2人は家路につくのでした
バッタアアアアン!!
「…」
「なっ…!なんだお前!ここは立入禁止だぞ、用のない奴が勝手に!」
「用ならあるさ、昨日のパチンコ玉が1つおっちゃんの服に紛れ込んでてな。
換金してくれや」
「き、貴様…!」
「よせ…換金してやれ」
「ぐっ…!は、はい…ほら、4000円だ!もういいだろう、さあ出て行け!」
「ククク…そうカリカリしなさんなって。一服ぐらいさせろ(ぷはぁ〜)」
「なっ…!」
ところがその翌日、いきなり一条達のスタッフルームに乗り込むと店員達へしつこく挑発を繰り返すカイジ!
こ、これは一体?昨日あれだけ負けたばっかりで一体どうしようというのか…?
まさか単なるウサ晴らしでこんなことやってるわけじゃないんでしょうが…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「カイジくん。何を企んでるか知らないが…
悪いことは言わない、あの沼以外のギャンブルにすることだ。
本来パチンコは、台を支配している店側が100%勝つギャンブル…
店が本気で出さないと決めた台では、決して客は勝てない」
「ハッ…かもしれねえな」
「かもじゃない、揺るぎない現実ですよ。どうです?くだらぬ夢を見るより、
あなたにとって貴重な今を楽しんでは…(スッ)」
「…?」
「これを持ってこちらの店に行けば…タダで飲み放題食べ放題…
カイジくんがこれから送る長い地下暮らしの慰めに、ぜひ」
って、そんな厄介者カイジをさっさと追い払うために、自分の紹介で飲み食いしたい放題の店を教える一条!
それにしても「どうせ長ーい地下暮らしに戻るんだから楽しんでいけよ」って、ここでもまた鼻につく嫌味を言うやつですなあ
なんにしろ、一条が「これを持って行けばいい」とカイジに差し出したカードとは…
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蒼白なる月よ!
闇を照らす牙となれ!
我が友!
月光龍ストライク・ジークヴルムの
声を聞け!! |
まあ我が友で間違いないだろうな…(えー
なんてったって我が友だからな…その店とやらで見せた時に「はっ!?い、一条様のご友人ですかァー!!」と相手に分からせるのに
これほど適切なカードもないだろうな…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ビリビリビリイイイッ!!
「な…!」
「ククク…!初めてやったが、思ったより気持ちがいいな…!
それが鼻持ちならない奴の名刺ってんなら、さらに格別…!最高だっ…!」
わ、我が友死んだーー!!カ、カイジきさま何をするかー!!
なんと一条から我が友を渡された瞬間、ビリビリにそれを破いてその場に投げ捨てるカイジ!お、おんどりゃー!!
よりにもよって我が友に向かってなんてことを!まったくカードバトラーの風上にも置けない行動を…
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(C)高橋和希/集英社
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ま…カードバトラーでなくデュエリスト的な意見を言わせてもらえれば、
「こんなカードオレは36枚持っているよ」と言いつつ
相手の最強カードをビリビリに破くのも、たしかに憧れる行動ではありますがね…(えー
「き、貴様ぁぁぁーーっ!!ここから無事に出られると思うな!!」
「よせ…!」
「て、店長…!いいんですか!?」
「いいも悪いも…一度渡したものをどうしようと、貰った者の自由だ…!
多分これが最後の意地ってやつなんだろう、
これからセミのように地の底へ戻る、負け人間のな…!」
「…」
そしてカイジに対する苛立ちを明らかに感じつつも、「ここは許してやろうじゃないか…寛容な精神で…!」とあえて見逃す一条…
ふうむ…なんだかチンチロ編で班長相手に挑発しまくっていた時と似ている状況ですが、
やはりカイジは今回も考えがあってこんなことをしているのか…?次回に続く!
(C)サンライズ・メ〜テレ
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