■ハイスコアガール 第29話
「ただいまー(闘神伝でもやるか…)」
「おかえりハルオ、ちょうど今、大野さんのところの業田先生が見えてるのよ」
「あ…」
「こんにちは…」
「前のあの事件…晶ちゃんのことでお礼にいらしたんですって。
業田先生が持ってきてくれたお菓子がメッチャおいしいのよ〜」
さて前回、何を思ってかハルオの家に直接乗り込んできた教育係の鬼ババ・業田先生。
いよいよハルオとの直接対決が始まるのか…という流れですが、そんな業田先生と顔を合わせるなり
「あっ…こんにちは」と澄んだ瞳で挨拶するハルオに吹いた(えー
なんやこのきれいなハルオは!ハルオがこれまでこんなきれいな顔になった瞬間って、これが初めてなんじゃないか!?
「春雄さん…先日の件、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
「あ、いえ…」
「もっと早くご挨拶に伺うべきでしたが…このたびは本当にありがとうございました」
「いやいや…そんな…」
そして意外にも、鬼ババの口から最初に出てきたのはハルオへのお礼の言葉でした
一体どんな罵詈雑言が飛び出してくるかと思ってましたが
まずお礼から入るとは、さすが躾に厳しいだけあって自分もわきまえてるんですね
ザアアアアアアアア
「あっ、洗濯物干してあるのに降ってきちゃったわ。ちょいとごめんあそばせ〜(どたどた)」
「若くて素敵なお母様ですね」
「そ、そうですかね…」
「春雄さん…今日私がここに来たのは、ただお礼に来たわけではありません…アナタに会いに来たのです」
「あ…ハイ!?」
「単刀直入に申し上げます。晶さんとの交友関係を、
今日限りで断ち切っていただきたいのです」
ってやっぱりキター!!ああ、やはり本題はこれなのか…
ハルオと大野さんの関係を、今日で完全に終わらせるためにやってきた業田先生。
並大抵の説得でどうにかなる相手ではないだけに、ここはハルオも正念場です
「晶さんと仲良くしてくれた春雄さんには私も感謝しており…
こんな事を言うのは本当に忍びないです。しかしながら…
晶さんは健気にも、大野家の方針に従って努力しております。
高校生という精神的にもまだまだ危うい時期…
余計な刺激を、今の晶さんには与えたくないのです。
晶さんとあなたは男性と女性の関係です…
若気の至りで間違いがあってはならないのですよ」
「…」
って…ここから一気にガツガツ来るかと思いきや、「春雄さんには感謝しています」「こんな事を言うのは本当に忍びないです」と
言葉を選んで喋り続ける業田先生。もっと高圧的で理不尽なセリフを連発するかと思いきや、
なんだかすごく正論言ってる気がしますね…(えー
この人はこの人なりに、大野さんの身を案じてやってることなんでしょうか、そうなると反発するのもなかなか難しいですが…
《ハルオ!お前とあの子がそんな安っぽい関係じゃないってことを
ぶちかましてやれ!》
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「…(もぐもぐ)」
《ハルオォ!サッポロポテトバーベキュー味を食してる場合かァ!!》
ああ…正論すぎてハルオがなんも言えやしねぇ!(えー
イメージ映像のガイルに「ぶちかましてやれ!」と言われるハルオでしたが、
どうにも言い返せることがなく、黙ってサッポロポテト食う以外になんもできない状況になってしまいます
「晶さんも春雄さんも学生であり…学業という本分をまっとうし、
立派な大人になるべき存在です。
今うつつを抜かしてる場合ですか?」
「二人が好むゲームとやらは、
今やらなくてはいけないものですか?」
「…」
ぐおおおお!こ、これはきつい…正論っ…!圧倒的正論っ…!(えー
「将来のために勉強を頑張らなきゃいけない時期に、毎日へらへらゲームして遊んでていいの?」と言う業田先生。
まいったな…ぐうの音も出ないぜ…(えー
こう言われてしまったら、ゲーム好きの人間がどんな言い訳をしようとも
屁理屈でしか返せないだろうな…もはや詰んだかハルオ…
「アナタは晶さんにとって厄介者です。
晶さんは今必死に前へ進む最中、アナタが足を引っ張っているのですよ…
だから…もう干渉しないで欲しいのです。分かっていただけましたか…?」
「…」
そして放たれた業田先生トドメの一撃!ぐああああ!
言葉を選びながら喋っている業田先生ではありますが、ここだけはストレートに「あんたは厄介者だからもう関わらないで」と
ブチかましてきました。勝負どころを知っているというか、言うべきところではガツンと言うというか…
敵ながらあっぱれと褒めたいくらいだぜ…(えー
結局、業田先生が本題に入ってからは、何ひとつ言葉を発することもできないまま論破されてしまったハルオ。
ハルオ完全敗北、パーフェクト負けであります。ハルオはこのまま涙目で敗走するしかないのか…
「うひー失礼しました、突然のドシャ降りでびっくらこきましたわ…
いやぁ業田先生も大変ですよね、生徒の将来を思って教育しているのに
反発されたりして…指導員としていろいろ気苦労もおありでしょう
ただ…私の息子に厄介者はあんまりですわ…」
「…ッ(なんという地獄耳…)」
ってここで母ちゃんキター!!うおおおお!
何も言えずにKOされたハルオに代わり、タッチ交代で業田先生との対決を引き受ける母ちゃん!
この人、今までは単なるお気楽なボンクラ母ちゃんって感じでしたが、こんな風にやる時はやるタイプの人だったのか…
「ハルオはなんの手がかりもない状況で、晶さんを長時間かけて探し出したんです。
心の底から心配したからこそ出来る行為ですよ、
決して下心などで動く人間ではありません。
家庭によって子供の育て方が異なるのは当然でしょう…
でも、あんまりがんじがらめにしては子供が気の毒です。
教育者である業田先生に物申すわけではありませんが…」
「私は自分の息子をのびのび育てたことに
まったくもって後悔しておりません、
気立てのいい…本当に良い息子に育ってくれたと思ってます」
そして天使のような微笑みを浮かべながら、「のびのびと育ったウチの子は本当に良い息子です」と語る母ちゃん。
母ちゃん強すぎる…ゲームを正当化するというのは、どうしても苦しい言い訳とか屁理屈になりがちですが、
それをこうして上手くまとめるとは…それに業田先生に反発するんでなく、物事には別の見方があると穏やかにさとすというのも
凄いですよね、なかなかできることじゃありません
「子供を心の底から理解したうえで、どうか業田先生も…
後悔しない子供の育て方をしてください」
「…ご指摘ありがとうございます。ですが…思想の違いでしょうか…
私は私の信念でやらせていただきます、では…」
《うおおおハルオママ!シビれたぞーっ!なみえさんアンタ最高だーっ!》
「…おふくろ…俺、ボロッカスに言われて何も言えんかったぜ…」
「いいのよ、高校1年のクソガキが意見なんて言うもんじゃないわ。
ハルオはハルオの思ったように動けばいいの」
「俺…おふくろの息子でよかったよ…」
そして結局、ハルオママが一矢報いる形になって帰っていった業田先生。
「今日で完全に断絶しろ」というあの要求だけは、母ちゃんの助けでどうにか飲まずに済みましたが…
しかし、業田先生も「自分には自分の信念がある」と、まだまだスパルタ教育を捨てたわけではありません、
大野さんのことについては、これからも問題山積みとなりそうな気が…
(楽しい夏休みが始まるのに…こんなにも重苦しい気分になるとは…)
(モヤモヤする時は、やっぱこのカラテカに限るな…情報量も極めて少ないし…
ぐっ…日高のこともあったんだった…アイツとの勝負も考えないと…
っていうか負けたら付き合うってどーゆー事だよ…)
そんな大野さんとの今後を考えると気が重いハルオ、このうえ日高さんとの勝負のこともあり、頭痛のタネは増えるばかりです
というか日高さんの件は正直それどころじゃないって感じになってきたね…(えー
つくづく間が悪いね…ハルオが大野さんのことで悩んでる最中に、余計な悩みを増やす形になっちゃったというか…
(俺の心の支え…幕張で行われるAOUに行くことを考えて、心を落ち着かせよう…
アーケード業界を支えるゲームメーカーが、新作を披露する素晴らしいショーだ!
入場料さえ払えば、新作のゲームがやりたい放題みたいじゃないか、
まさしく時代の最先端…ここに大野と行けたら楽しいだろうに…)
《干渉しないで欲しいのです》
(ああ…どうすりゃいい…)
そして悩みに悩んだあげく、「あー幕張でやってる新作ゲームショー行きてー!!」と
現実逃避するしかなくなったハルオ。そんなこと言っとる場合か!
というかそのゲームショーとやらも、大野さんと一緒に行くことしか考えてないって
日高さんは本当に勝ち目なさすぎて…ほんとどうすりゃいいんだろうな…
「お嬢様…前方シートの引き出しをお開けください…」
「…」
「もっと早くに気づくべきでした…車中は完全なお嬢様のプライベート…
お屋敷の中で駄目であれば、せめて車中ならと思い揃えました。
ゲームギア版餓狼伝説スペシャル、サムライスピリッツ、ぷよぷよにスペースハリアー…
カーアダプタもあるので好きなだけ車中でご遊戯できます」
そんな一方で、大野さんにどうにかゲームをやらせてあげたいと思っていたじいやは、
車の中でこっそり遊べるようにとゲームギアと関連ソフトを買い揃えていました。
ソフトも結構な数を集めてくれたみたいで…なんの見返りもないのに、自腹でここまでやってくれるとは凄いですね
大野さんも息苦しいスパルタの中でいい気分転換になったようで、じいやの心配りに感謝しているようです
「…」
「喜んでいただけたようで…お嬢様にも息抜きというものが必要ですからね」
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「じいや。これが車中で見つかりました。
晶さんに車中であてがったものですね?」
「…あ、いや、それはわたくし自身が使っている…」
「ウソおっしゃいな。大野家にゲーム機等はご法度です、
情に流されあなたは禁を犯しました。よって、今日限りで晶さんの
専属運転手の任を解きます」
「…」
「あなたにはしばらく屋敷内の業務に回ってもらいます。
今回のような事は二度とないように…お嬢様に悪影響とみなせば、
あなたをクビに出来る権限が私にあることを忘れないでください」
ってぐわあああ!!そんなゲームギアを買い与えて間もなく、あっという間にそのことに気づいてしまった業田先生!
なんて目ざとい…まるで隠していたエロ本が見つかってしまった時のように
ひたすらに絞られてしまったじいや、なんと大野さんの運転手の座から引きずり降ろされてしまいます
ああ、大野さんの貴重な理解者が…
「…ってことが昼間あったの。アンタ知らなかったでしょ?」
「…」
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「ワケわからん権限を振りかざすとはね…ホント嫌なばばあだわ、
じいやも気の毒よ…!たかがゲーム機くらいで…
私もWindows95が欲しいって言ったら一蹴されたしね、
エロ目的だと勘ぐられてね…!バカじゃない、私がエロ目的なわけないでしょうに!」
そんなじいやの処遇について、姉の真から聞かされることになった大野さんでしたが…
むう、真のやつもっとチャランポランで自分中心な性格かと思いきや、
「じいやが可哀想」と同情したり、意外とまともなところがあるんですね
「まぁエロ目的なんだけどね、同級生とか闘神都市とか野々村病院の人々とか、
やりたくて仕方ないわよ」
ってゲェー!?まともそうかと思いきや「エロゲーがやりたくて仕方ねー」とアホなことを言い出した真!
95年のエロゲーって…有名ブランドのLeafとかもまだ全然ヒット作を出してなくて
DR2ナイト雀鬼とかしか作ってない頃じゃねーか!(えー
96年に雫、痕、そして97年にTo Heartが出るんですね、この辺は俺も知ってる有名作ですが…
他のメーカーも、96年にPiaキャロットへようこそ、98年にONE輝く季節へ、99年にKanonって感じで
やっぱ95年当時はちょいと時期尚早って感じですね…もう数年は待たないとキツそうだ
業田先生も多分「せめてTo
Heartが出てからにしなさい」という意味を込めて
真の申し出を却下したのでは…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「…」
「お嬢様…」
「…ッッ」
「あ、あの…お嬢様、あまり深く考えないように…任を解かれたのは少しの間だけでございます、
辞めるわけではありませんゆえ…悲観的になることなんてないのです、
まあ…私の代わりになる黒服は、面白くもなんともない融通のきかない人間でしょうが…」
「…」
「あの…お嬢様、私の専属運転手の任は今日限り…どうでしょう、しばらくご一緒できないのであれば…
これからドライブにでも行きませんか?業田先生には内密で…」
そしてじいやのことが心配で、思わずバタバタと駆けつけてしまった大野さん。
しかしこんな状況でも、じいやの口から出てきたのは大野さんを安心させようとする言葉でした
いい人すぎるぜじいや…そして今日が運転手として最後だからと、大野さんとドライブに出かけることに…
「ハルオ〜、じいやが見えたわよ」
「え?じいや?」
「…」
(…あれれ?大野?どうしたんだ、イキナリ…)
「…」
「…え…?」
って…そんなじいやが大野さんと車でやってきたのはハルオの家でした
そしてハルオの部屋を見上げる大野さんの悲しそうな顔ときたら
「おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの」とかそんな感じでしょうか:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
というかこれ完全に「みんなに迷惑がかかるからもうゲームやめます、ハルオと会うのも今日が最後ですさようなら」って
パターンなんじゃないか!?結局そうなるしかないのか!?そうなってしまうんだとしたら、
・ハルオ大ショックでゲームどころじゃなくなる
→ 精神的にボロボロの状態で日高さんと勝負
→ ハルオ敗北。望まぬ形で日高さんと付き合うハメになる
という泥沼展開になりそうな気が…このドロドロした方向に向かうしかないのか…次回に続く!
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