■ハイスコアガール 第31話
「先生バイビー☆」
「バイビーじゃないでしょさよならでしょ」
「おい!横山がBB戦士の三代目頑駄無大将軍を買ったらしいぜ!」
「マジキマジキー!?840円もするアレだろー!?」
「一刻も早くランドセルを置いてカードダスをGETしに行くんだ!
円卓の騎士たちが待ってるぞ!」
だいぶ遅れましたが先月のハイスコアガール。いきなり冒頭からやたら懐かしい言葉が飛び交っております
頑駄無大将軍に円卓の騎士だと!?SDガンダム直撃世代の俺にはたまらんものがあるぜ
正確に言うと俺は、BB戦士より元祖SDガンダム派、円卓の騎士よりラクロアの勇者派でしたけどね
ナイトガンダムはビルドファイターズにも出演することが決定してるんで楽しみです、ジムヘンソン一家とかも懐かしいぜ
他にもスライムアッザムとか、ゴブリンザクとか、タートルゴッグとか、スケルトンドーガとか、バウンドミミックとか、
ジャイアントジオングとか、コックローチバイアランとか、サイコゴーレムとか、マクベ・カッツェとか
ああ何もかもが懐かしい
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なんつーか名前の語呂がいいよね、バウンドミミックとかジャイアントジオングとかうまいなーって思います
ガンダムとRPGのモンスターなんて、全然違う題材をよくこう融合させたなあ
「やーね男子ってば幼稚でさー、大野さんは今日も車でしょ?んじゃまた明日ねー」
「…」
一九九一年
「お嬢様…たまにはクラスメイトの方々と歩いて帰りたいとお思いじゃないですか?
もしそうであればなんなりとお申し付けください」
ってアレー!?1991年!?4年巻き戻っとる!?
前回までは1995年の夏だったはずですが…どうりで冒頭から懐かしい話題ばかりだと思ったよ
それに時間が巻き戻ったおかげで、前回運転手をやめさせられたじいやも、この頃は現役で大野さんの送り迎えしてますね
ブロロロロロ
「…(じー)」
「あの建物が気になりますかお嬢様?あそこはゲームセンターという場所でございます。
ですが近づいてはなりません、きらびやかな外観とは裏腹に、あそこは不良の巣窟でございます。
低俗な人間同士が些細な事で小競り合い、卑猥で暴力的なゲームの数々が立ち並んでいるのです…」
そしてこの頃の大野さんはまだゲーセンに行ったことがなかったようで、送り迎えの最中にチラッと見かける程度のものでした
それにしても…今では大野さんのゲーセン通いに理解のあるじいやも、この頃は
「低俗な不良の巣窟、卑猥で暴力的なゲームの数々」ってなんともひどい言いよう
う、うーん…実際この頃のゲーセンってのは不良の溜まり場だったんですかね
1991年っていうと俺は8歳かぁ、まだあんまりゲーセンには足を運んでない頃かもなぁ
「真さん!お待ちなさい!」
「あぺぺぺぺ♪」
「ムキキーッ!アーッ憎たらしいこと!」
「大野財閥の令嬢である自覚を放棄するおつもり!?」
「勉強はまじめにやるっちゅうの!ただあたしゃ、大野財閥の方針なんかに
振り回されたくないって言ってんの!なんでやりたくもない生け花や琴を
マスターせないかんっちゅうの」
「…」
「よお我が妹よ!私は大野家長女としての使命を投げ出すことにした!
ってことで後は頼んだぞ!大野家希望の星よ!」
「まったく…真さんに期待するのは間違いなのかもしれません…ああ嘆かわしや。
さあ晶さん、お姉さんがいなくなった分、みっちり稽古に打ち込んでもらいましょうか」
「…」
そんな中で大野さんが自宅に帰ってくると、ちょうど姉の真が業田先生の教育を投げ出しているところでした
ああ…これで大野さんに矛先が向けられてしまったわけか、真が言うことを聞かない分、
業田先生は大野さんに容赦ないスパルタ教育を開始することに…
「今回のテストでは大野だけが100点満点だ!優秀な生徒には金をやろう」
「…」
(百点満点!?スゴイわ晶さん!ご褒美に次の日曜は稽古をお休みにしますか!)
ってそんなある日、学校のテストでクラスただ一人の100点を取った大野さん。
ただ1人ってことはかなり難しいテストだったんじゃないでしょうか、
この結果には業田先生も喜んでくれるんじゃないかと、期待して家へと帰る大野さんですが…
「当然の結果すぎて逆に腹立たしいくらいですわ。
この点数はこの先も死守してもらう覚悟でいてください」
「さ、間髪入れずに授業の時間ですわ。
勉学を怠らずまっすぐ向き合った者こそが、立派な大人になるのですよ」
「…」
ああ、このクソババアが!クラスで唯一の百点も「当然すぎて腹立たしい」となぜか機嫌を悪くする鬼ババ
一体どうすりゃいいってんだよ…自分が頑張ったのに誉めてもらえず「当然なんだよバカが」って言われることが
どれほど辛いか分かっているのでしょうか
俺も以前語ったことがありますが、職場の嫌な先輩で「当然知ってると思うけど」が口グセの教育係に
ひたすら嫌な思いをさせられたことがありました。そいつと一緒にいると、俺が一生懸命勉強したことでも
「当然知ってると思うけど」と誉めてもらえず、逆に知らないことがあったら「はぁ?そんなことも知らないの?」とコケにされ、
多分俺はそいつに一回も誉められたことがないと思います
そんな生活を続けるとどうなるかというと、必死に一生懸命やってようやく「できて当たり前」なレベル、
知らないこと、できないことがあれば「当然のことすらできない奴」ということで
自分にどんどん自信がなくなっていくんですよね
「俺ってなんてダメなんだろう」「当たり前のことも出来ないってなんて役立たずなんだろう」と、
自分を責めてストレスが積もり積もって、最後には体がぶっ壊れるという。
ちなみに、その数年後に「仕事の教え方」という、後輩への指導の仕方について教える社外講座があったんですが、
そこで習ったことは「後輩が何かをちゃんとやった時には必ず誉めてあげること」
「後輩が知らないこと、できないことがあったら
後輩を責めるんじゃなく、自分が教えてないせいだと思うこと」という話を聞きまして
俺はまったくその通りだと思います。本当にその通り
これと逆のことをやられ続けた結果、ストレスで体をぶっ壊した男が言うんだから間違いありません
というかあの先輩もひどかったけど、「いや厳しく言った方が後輩の物覚えがいいから」とか言ってた上司に関しても
相当なボンクラだったよな…あいつらこの講座を百万回受けてこいよ(えー
「右手で茶碗を持ち上げる際、一度左手を茶碗に添えてから丁寧に
自分の正面に置きます。お茶をいただく時、二口半で飲み切ることを心がけなさい。
飲み切ったら茶碗を反時計回りに45度を2回まわすのです」
「…」
「集中力が途切れてる!!」
「…」
「腰に力が入ってない!!」
「…」
ああそして、鬼ババの徹底したスパルタ教育を受けるうちに
みるみる疲れ切っていった大野さん。目に涙が浮かんでるように見えるのは気のせいでしょうか
やっぱこうなっちまうんだよ…こんな教え方されるとよ
ひたすらムチで打たれる毎日じゃ、人間には限界ってもんがあるんだよ…
「知ってっかァ!?カードダスのアレ、回す時ゆっっっくりやると2枚出てくんだよ!」
「ウソこけやー!!」
「キラカードの時ほど成功率が上がるんだぜ!」
「それ犯罪だろー!?」
「そーだよそーだよソースだよ!」
「…」
「お嬢様、お疲れのところ申し訳ありませんが、お屋敷でのスケジュールが待っております。
まずはバイオリンのレッスン、ピアノのレッスンに続き、茶道・生け花の授業が控えております。
翌日の土曜は午後から乗馬の訓練、モダンバレエ、薙刀、総合格闘技などなど…」
同い年の男子は毎日お気楽に遊んで盛り上がっているというのに、
大野さんを待っているのは息の詰まるようなスケジュールの数々…哀れとしか言いようがありません
それにしてもキラカードの出し方について男子たちが語ってますが、キラカードといえば
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武者系のMSと普通のMSのHPの格差について説明してくれよ!(えー
いやマジで、武者系のカードは普通のMSに比べて、基本的にHPが2倍くらい高かったよね…
この頃はやっぱり武者ガンダムを推していた時代だったのか?そのせいでこんな露骨なステータス設定を!?
「…」
ドサッ!
ああ…そんな毎日を送るうちに、とうとう見るからに心が荒み始めてしまった大野さん
もはや唯一の理解者であるじいやとも会話はなくなり、ひたすら不機嫌な顔を浮かべるのみです
でもこの空手の練習する大野さんは可愛いな(えー
練習中に疲れた顔をしてるのは、それだけ余裕がないってことですかね?普段は大抵のことがあっても無表情なのに…
「…」
バァンッ!!
「た…大変よ!?お嬢様が家から飛び出してしまわれたわ!」
ってそんなある日、とうとう日頃のストレスに耐えかね家を飛び出してしまった大野さん!そして向かった先はゲーセンであります
生まれて初めてゲーセンに飛び込んだ大野さんの目に入ってきたものは
熱血硬派くにおくん、魂斗羅、ダブルドラゴン、獣王記といったアクションゲームの数々…
しかしその中でも、ひときわ目を引いたのはこれでした
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ストリートファイターU!それも技表つきの!
うおおいかにも当時の技表っぽいなこれは…俺はこの頃8歳なんで、実物をちゃんと見たかどうかよく分かりませんが
こういうのがあったようななかったような、そんな気もしないでもないような…(えー
ざわざわ
「俺はやっぱリュウだなー!」
「俺は昇竜拳のコマンドが無理だからタメ系のブランカかな!」
「俺は本能に任せて春麗を使うぜ!」
「ザンギエフはありえんな…見た目とか…」
「ああ…レバー1回転Pとかありえんだろ…」
「…」
そんなスト2の映像を食い入るように見ていた大野さんですが、その時持ちキャラについて語るギャラリーの話が聞こえてきました
リュウにブランカにチュンリーに…色んなキャラが注目される中、唯一愛されてなかったいらない子が一人。そのキャラの名は…
ギンザエフ大尉。じゃなかったザンギエフであります(えー
まあこの頃は、ブランカ使いの奴も言ってるように「オレ昇龍拳出せねーんだよな」って奴も大量にいた時代ですからね…
レバー4分の1回転の波動拳はまぁ出せる、レバー2分の1回転のヨガフレイムになってくるときつい、
そしてレバー1回転のスクリューパイルドライバーはもう出せるわけがないっていうそんな頃なんで…
しかし、そんなあまりにも不遇なザンギエフの姿に、胸が締め付けられるような思いを抱く大野さん。
誰からも注目されない哀れな存在、それならせめて自分だけでも使ってあげたいと、大野さんはこうしてザンギ使いとなることに…
《ファー!!》
ズッダァァン!!
「う、うおお!?なんだこの子は!いともカンタンにレバー1回転の技を…」
「この子…四天王まで行くんじゃねえか!?」
ドガアッ!!
「…」
うーわ うーわ うーわ うーわ
「や、やりやがった!とうとうベガを倒したぞ!」
「ザンギエフのエンディングを拝めるとは…!あの子ただ者じゃないぞ!?」
そして生まれて初めてのプレイにも関わらず、エンディングまで直行してしまった大野さん!
マジかよ、フライングバルセロナアタックのめんどくせぇバルログや、タイガー厨のサガットを
初見で撃破していくとは…でもさすがに初プレイなだけあって、大野さんの表情的に結構必死だったみたいですね。かわいい
ドドフッ!ドドフッ!
「コーディーやガイのハメは最高だなァ!」
「それに比べてハガーは融通がきかねーんだよ!」
「…」
しかしスト2をクリアした大野さんですが、ふと通りすがったゲームでここにも哀れな男が一人
言うまでもなくファイナルファイトなわけですが、「融通がきかねーんだよ!」となじられていたそのキャラの名は
そうギンザエフ大尉。いやしつこくてすいません、でも今度は見た目は一緒だから!な!(えー
ほんと岩村先生は無茶なお人やで…名前はザンギエフで外見はハガー、これをガンダムの連載に出すっていうんだから
とんでもない冒険をやらかしたもんだよなー
ちなみにハガーが融通きかないと言われている理由は、パンチハメが非常にやりにくいというせいですな
ファイナルファイトでは攻撃のヒット数が多いキャラほどパンチハメがやりやすいんですが、
ハガーは選べるキャラの中で一番攻撃のヒット数が少なく、パンチハメがやりにくすぎるために
こんなことを言われてしまっていると…ちなみにパンチハメについてはこの動画を見てもらえればわかるんじゃないかな
攻撃の途中でクルッと後ろを向くことで、攻撃が変化するのをキャンセルしてずっとパンチを当て続けるテクニックですね
ドフッ!ドフッ!
「おおッ!?一発ずつ当てて…!」
「ハガーでのハメなんて初めて見たぜ!」
がしかし、そんなハガーを使って意地でもパンチハメを行う大野さん!な、なんと…できないことはないけども!
1発当てるごとに後ろを向かなきゃいけないから、こんなプレイしてたら指がもたねーぜ!
でもこれは、これはそんな疲れるプレイでもハガーを使ってあげたいという、大野さんの気持ちの表れか
「お嬢様ーっ!!まさかと思って来ましたが…やはりここでしたか!」
「…」
「家から飛び出したと聞いてビックリしましたよ!ささ一刻も早く帰りましょう!
業田先生がカンカンでございます!」
ブロロロロロ
「…」
「…おや…?なんだかご満悦の様子でございますな、
あの盛り場がお気に召されましたか…?」
って、その時大慌てで大野さんを連れ戻しにやってきたじいや。大野さんの初ゲーセンはこれで終わってしまいますが、帰りの車の中で
大野さんの目には飛び回るビッグバイパー、コサックダンスするザンギエフ、ダブルラリアットするハガーなどなど
様々なキャラが見えており、すっかりゲーム脳となっていました(えー
でもさっきまでの荒んだ表情はきれいに消えてますからね、こういった気分転換としてのゲームなら必要なものですよね
数週間後 ゲームセンター・マルミヤ
「と、とてつもねぇ子だ…!もう29連勝だぜ!?」
「地元でこんなに連勝してる子見たことないぞ!
相手の奴も連敗を重ねてもう必死だ!」
それからというもの、大野さんはちょくちょくとゲーセンに入り浸るようになり、
この日はマルミヤというゲーセンで連勝の山を築いていました
ざわざわとギャラリーの注目が集まる中、30戦目で乱入してきた相手の取った戦法は…
「お、おおっと!?待ってる待ってる!堂々と↓をタメて待っている!」
「待ちガイル!この小僧、恥ずかしげもなく美しくないやり方を選びくさった!」
「巨体かつ飛び技を持たないザンギにとって、苦戦を強いる戦法だぜ!」
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「(ぐぐぐ…)」
そんな大野さんにド汚い戦いを挑む少年が1人!最弱キャラのザンギ相手に禁じ手とも言える待ちガイルを使用、
もはや周囲に何を言われようと、ひたすら勝利のみにこだわるその少年の名は…
「フン!くだらんなあ〜〜〜正々堂々なんてなあ〜〜〜〜っ!
この矢口ハルオの目的はあくまでも勝利!あくまでもこの女に勝つこと!
どんな手を使おうが…最終的に…
勝てばよかろうなのだァァァァァッ!!」
ハルオッ!てめーの根性はッ!
畑にすてられカビがはえてハエもたからねーカボチャみてえに
くさりきってやがるぜーーーーッ!!(えー
そう、この場面はハイスコアガール第1話にて、大野さんに待ちガイルで挑んだ時のハルオのシーン!
今回の話は、この第1話に至るまでの大野さんの心情を描いたというわけですね
スト2的に言うならハイスコアガールZEROって感じですか
果たして次回はこの91年の続きなのか?はたまた95年に戻るのか?次回に続く!
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