サンデー感想:MAJOR
2nd 第46話「バッテリーの呼吸」
「なに!?ピッチャーじゃなくてキャッチャー代えるのか!?」
「嘘、マジ!?」
「え、なんで!?」
「な…なんで俺が交代なんですか…?」
さて前回、大吾に対していきなり無慈悲な交代命令を出してしまった田代でしたが、今回の冒頭では
そんな田代の暴挙に対して、敵からも味方からも総ツッコミが入っていました
そりゃそうですよね、普通ならここで代えるならピッチャーだろうし、大吾も顔面蒼白になって相当なショックを受けてるようだし
この田代の決定にどんなメリットがあるのかと。交代を取り消すなら今のうちやぞ田代(えー
「こっちは前の回から気になってたんだが、自分では気がついてないようだな」
「え?」
「さっきの2つのフォアボール、お前がちゃんと捕っていれば
フォアボールになってない可能性が高い。
きわどいコースの球を、ちゃんとしたフレーミングで捕れてないんだ。
捕球後もミットが流されたりブレたりして、
球審の目にはボールに映っても仕方がない。初マスクの緊張や集中で
疲れが出てきたんだろう」
「…」
「ただお前は、岸本の代わりにレフトへ入れ。
アンディの足の状態によっては、何があるか分からんからな」
と、ここで大吾を引っ込める理由を詳しく語った田代。これを読んで俺がどう思ったかというと
もっとクズなことを言い出すかと思ったら意外とまだ人情味があったというか…(えー
まず第一に、大吾のことはいきなりベンチ送りにするのかと思ったら、
そうじゃなくていったん外野に回して様子を見るってことみたいですね
前回の話では「大吾を引っ込める」ってイメージが先行しちゃって、即座にベンチ送りにすると思い込んでましたが
今回アンディの怪我のことも考えつつ外野行きと聞いて、思ってたより温情のある措置かなという気はしました
あとは大吾を引っ込める理由について、てっきりまた「大吾のやつあれも知らねーのかよ、これも知らねーのかよ」とか
ぶつくさ言い出すのかと思ってましたが、そうじゃなくて
疲労によって大吾のパフォーマンスが落ちてるってことを田代は言ってるんですね
なんでも大吾がキャッチした時のミットの動きが、疲労によって大きくブレるようになってきてしまったと。
それ聞いてちょっとなるほどなと思いました。これについては寿也も以前大吾に教えたことがあって、
「捕球したら絶対にミットは動かさないこと。そうじゃないと際どい球は
審判がストライクを取ってくれないぞ」と言っていたんですよね
まさにこのセリフと同じことを田代は指摘しているというわけですか。
今の疲労した大吾ではミットが動きすぎて、審判がストライクを取ってくれないと。それで交代ってことを言い出したわけですね
というわけで、前回思っていたよりはマシな交代理由だったわけですが…
ただやっぱり、「疲労で交代」って話をするなら大吾よりも
ゼエゼエ息を荒げてる卜部の方が明らかに疲れてるだろとか
大吾のパフォーマンスが落ちてきたとはいえ、それってケガしてるアンディを無理に出すほどの理由なのか?とか
色々と気になる点はやっぱりありますね。それに何より、今回の田代のセリフで俺が一番気になったのは
「こっちは前の回から気になってたんだが、自分では気がついてないようだな」って
大吾の異変について早くに気づいていながら、全然それを本人に教える気がないってことなんですよ
あのさ、そんな大事なことに気づいてるんだったらお前さっさとそれを本人に教えてやれと。
なんでそれを大吾に助言せずにほったらかして、「はいお前キャッチャー失格」って交代させるのか意味が分かりません
ちなみにそういう「なんで大吾に助言をしないのか」って件について、田代が前から言っているのは
「ベンチから助言されるような奴は、本物のキャッチャーと言えないから」ってことなんですよ
つまり、大吾が自分で気づかなきゃ意味がないと。田代はそう思って助言をあえてしていないわけですが、
これさ…大吾はまだまだキャッチャーとして初心者なわけですよね、知らないことも足りないこともいっぱいあるわけで
それでなんでいきなり「本物のキャッチャー」なんてレベルの高いものを
要求されなきゃならんのかと。今の大吾は全然まだそんな段階じゃないと思うんですよ
なんの助言もなく1人で全部やるなんて到底できない初心者だし、周りからのフォローをまだまだ必要としている半人前なわけで。
それにも関わらず、そういうフォローを一切やらずに「全部1人でやれなきゃ意味ない」なんていうのはね、
それはもう初心者を見捨てているのと同じことですよ。もはや育てるってことを放棄していると。
実は世の中でも、田代と同じこと言う人ってけっこう多いんですよね
初心者相手に「自分で気づかなきゃ意味がない」って何も教えようとしない人。
俺も会社の中で、新人を相手にそう言ってる人を何人も見てきました。でもね、そうやった結果一番ありがちなパターンとしては
新人が自分で気づくことができず、ただただ悩んでどうにもできないってことなんですよ
以前、青山学院大学の原監督について紹介した時に、これと似たような言葉があったと思います
「やり方を知らない人に自主性を与えても、どうしていいのかわからなくなってしまう」
っていうね。これほんとにその通りなんですよ。まだ必要な知識を持っていない初心者が、
自分で考えろとか言われて放置されたらどうなるかっていうと、
ひたすらどうしていいのか分からずに悩み続けるだけで、
その結果なにも伸びないし成長できないんですよ。ひたすら時間を無駄にして悩むだけになるわけです
たとえば、つい先日のうちのサイト内検索の話なんかがそれに該当すると思うんですよ
あの一件では、ある日突然うちのサイト内検索が文字化けを起こすようになってしまって、
俺はそれをなんとか直したいと思ってうんうん悩んでいたわけです。
ハッキリ言って俺は、サイト内検索のシステムを全然理解してない初心者でしたけど
他人からもよく「早く直してほしい」と言われていたし、結構これについては本気で考えていたんです。
なんで文字化けを起こしてしまったのか、どうやったら直るのか、ひたすら自分で考える時期が続いたわけですが
でもね、その結果1年以上悩んでもサイト内検索はまったく直らなかったんですよ
1年も悩んだわけだから、少しは何か前進したことがあったかというと、何も前進しなかったんですよ。
それだけうんうん考え込めば、俺の考える力はアップしたかというと、まったくアップしなかったんですよ。
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なんの成果も!!
得られません
でした!!(えー |
(C)諫山創/講談社
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ただひたすら「どうしていいか分からない」って時間が続いただけで、
何の成果も得られなかったんですよ
そんな風に俺1人ではお手上げな状態が続いていたサイト内検索ですが、
ついこの間「こうしたら直りますよ」って拍手コメントで教えてくれた人がいましたよね
その結果どうなったかというと、いともあっさりと直ったんですよ。それも2分ぐらいで。
俺が1年以上悩み続けても解決しなかったものが、たったの2分で解決したっていう…
1人で悩み続けるってことはそれだけ効果がなかったし、教えられるってことはそれほど劇的な効果があるってことなんですよ
例えばこの教えてくれた人が、「大志Mk−2が自分で気づかなきゃ意味がない!」とか言って
俺に直し方を教えなかったらどうなってたと思います?そうなったらこの先、俺が5年や10年考えこんでも
サイト内検索はずっと直らないままだったと思いますよ
俺だけの話をするのもなんなので、他の人の話もしましょうか、例えばぷよぷよの初心者の人なんかが分かりやすいと思います。
ぷよぷよの初心者にありがちなのって、「がんばって連鎖を組んでも5連鎖ぐらいが限界です」って人が
よくいるじゃないですか。いわゆる5連鎖の壁ってやつで、ぷよぷよ初心者みんなが通る道ですよ。
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←典型的な5連鎖の図 |
そんな壁をクリアするのに必要なのって、「折り返し」とか「連鎖尾」とかってテクニックを知ることなんですよね
誰かからそれを教わって初めて、もっと長い大連鎖を組めるようになっていくわけですよ
でもそこで、そういうテクニックのことを「自分で気づかなきゃ本物のぷよらーじゃない」って
誰も教えてくれなかったら、初心者の人はどうなると思います?
そうなったら10年経っても20年経っても、5連鎖しかできないまんまなんですよ
どうしたらいいのか分からないまま、何も成長できずに時間だけが過ぎていく。
実際、ぷよぷよが発売してもう20年以上経ってますけど、
かつて「5連鎖しかできない」って悩んでた人たちは、自分だけで連鎖伸ばしのテクニックに気づいて、
今では大連鎖を余裕で作れるようになってるんですかね?
そんな人ほとんどいないと思うんですよ。
大抵の人は今も昔も変わらずに、「5連鎖しかできない」って言ってるまんまですよね
だから初心者に何も教えずに「自分だけで気づけ」なんて言ったって、全然気づけないしただの無茶ぶりでしかないんです
そんな指示をするのは初心者の成長を止めているに等しい。
だから初心者にそんな指示をしないでやって欲しい。初心者を育てるなら、まずは必要な知識を与えることが第一だろうと。
ぷよぷよ以外のゲームでも「初心者の館」って言葉がよくありますよね。
初心者のために色々な知識をわかりやすく教えてくれる場所ですよ。俺はそれ自体いいことだと思うし、
自分が初心者の時もよくお世話になったりするんですけど、でもそんな初心者の館に書いてあることが、
「○○の方法:自分で気づかなきゃ意味がありません」
「△△のやり方:自分で気づかなきゃ意味がありません」
とかだったらどうでしょうか、こんなもんで初心者が成長するかよって思いませんか?
だからこういう風に初心者に指示するのって、俺は絶対にやっちゃいけないことだと思うんですよね
さて、クソ長い育成論はこの編にして、本編の方に話を戻しますと…
大吾が外野にまわったことで、大吾・光さん・睦子が外野に並んだわけですが、
それによってベンチに下げられてしまったチームメイト達が
「なんで俺たちがこんな目に…」と不穏な空気をかもし出す結果に!
やー、チームメイト達の不満がだいぶ溜まってるようですね…睦子はこうなることを恐れて「私は試合に出れなくてもいい」と
言っていたわけですが、まさに危惧していた通りになってしまったか…
特に睦子の代わりに下げられてしまった永井は、「お前の出番は必ず作る」って田代との約束がありましたけど
今回の試合展開をからするととても永井を出してる余裕はないですよね
0対2で負けている状態のまま、全然反撃の糸口が掴めずにもう試合終盤まで来てしまったから、
「バッティングの下手な永井」と卜部に言われていたこいつを、試合に出す余裕はまったくないというか…
うーん、そうなると永井の親とかが色々文句言ってきそうで怖いですね
まさかこいつの親がモンスターペアレントでひと波乱あったりするんだろうか
ともかく状況は相手の攻撃でノーアウト1・2塁。この場面で相手が選んだ行動は、バントの構えで卜部を惑わすことでした
確かにここで送りバントを決めれば絶好の得点チャンスですからね
これ以上点をやりたくない卜部からしたら、バントされてしまうことは非常に怖いわけですが…
(卜部は連続でフォアボールを出した後だ…
相手は簡単には送らずじっくり攻めたいはず…
卜部、ここは真ん中でいい。さっさと追い込むぞ!)
スパアアアン!
「ストライーク!」
スパアアアン!
「ストライクツー!」
おおしかし、「相手は簡単にバントしてこない」というアンディの読みがズバリ的中し、
テンポよくストライクを取って追い込んだ卜部!なるほど、これまで卜部はコントロールをさんざん乱してボールを連発していたから
相手としてもあわよくば様子を見てフォアボールで出塁したいって気持ちがあったんですね
それを読み切ってド真ん中を連発させたアンディは、さすがの判断としか言いようがないなー
「オッケーオッケー!」
「なるほど彼が正捕手か…やはり呼吸が違うな」
「え?」
「バッテリーには一朝一夕には築けない呼吸ってのがある。
返球やサインの間合い、ちょっとした気づかいや声かけ…
長い時間で分かり合っているキャッチャーとのその呼吸が、
ピッチャーに安心感と勇気を与えてくれるんだ」
そんなアンディの立ち振るまいを見て、大吾の時よりも卜部の安心感が明らかに増したと語る茂野じーちゃん。
アンディの発する一言一言や細かい気づかいで、調子を乱していた卜部も復活してきたってことですよね
アンディは能力としても大吾を大きく上回っているし、卜部としてはやっぱり格段の安心感があるんだろうなあ
「走った!エンドランだ!」
おっとその時、ツーストライクとなった相手が取った作戦はヒットエンドラン!
スリーバントになっちゃうからバントはもう出来ないということで、作戦を変えてきたようですね
おそらくゴロを打ってランナーを先に進めるつもりなんでしょう
しかしそんなランナーの動きを鋭く見抜くアンディの眼光!
相手の動きは完全にアンディに見えているようです、そしてアンディが取った行動はというと…
ビシイッ!
「ストラックアウッ!!」
「な、何!?」
おお、ここであえてボールを大きく外して空振り三振に仕留める結果に!
これってあれですよね、ランナーが走ったのは卜部が投げた瞬間ですけど、
アンディはその前から卜部に「この球を投げろ」と指示したわけだから
相手が動く前からヒットエンドランを完全に読んでたってことですよね
さっきランナーの動きを目で追っていたのは、「やっぱり来たな」とすでに走ることを確信していたということか
ともかくアンディの読みが的中したことによりバッターアウト、あとは走り出したランナーが2人いるわけですが…
パン!!
「アウト!!」
「よ…よっしゃあああゲッツー!!ナイスアンディ!!」
うおおおなんと、矢のような送球を放って二塁ランナーを仕留めてしまったアンディ!
アンディのファインプレーによって、あっという間にアウトを2つ稼ぐ結果に!
しかもみなさん、この時刺された二塁ランナーが誰だか分かりますか、これって俊足の桶川ですよ
これまで大吾たちがまったく手も足も出ずに、好き放題走られまくっていた相手なわけですが…
それを事もなげにアウトにしてしまいました。マジかよアンディ!?
アンディって足をケガしてるはずなんですが、それでこの驚異的なプレーができるってどういうことなの…
そしてこの顔である。おいおいおい!ちょっと満田先生どんだけアンディをかっこ良くする気ですか!?
もはや王者の風格が漂ってるじゃないですか!こんなんいま人気投票やったら
アンディがダントツで1位取るレベルですよ!(えー
(や…やられた…!)
(すごい…!あれが本物のキャッチャーか…!)
そんなアンディの別格すぎるプレーを見て、「や、やられた…!」と青ざめる敵ベンチの小森。
そして大吾も、アンディこそが本物のキャッチャーだと目を輝かせながら
アンディの活躍にすっかり感心しているようです。なんというかアンディの株が上がりすぎてとんでもないところまで行ってますね
大吾がまだまだ発展途上で半人前なキャッチャーなのに対して、
アンディはすでに完成されていて、大吾の目標である「本物のキャッチャー」にも到達しているという
とんでもない優遇ポジションにつくことになりましたね。初登場の頃からは想像もつかないほどに出世したなあ
そんなわけでとてつもなく頼れる男となったアンディですが、やはり気がかりなのは足のケガがどうなるかってことですね
なにしろアンディがここまでキャッチャーとして完成されている以上、ケガが治って問題なく試合に出られるようなら
大吾がキャッチャーとしてやることがまったくなくなっちゃうので、
やっぱりケガが悪化して思うように試合に出られないっていう状況が続きそうな気がするなー
主役の大吾とポジションが被っちゃってるっていうのは悲しいですね…どうにかして共存してほしいところだけど、
上手くいく方法はあるんだろうか。次回に続く!
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