ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第1話



せ…芹沢サン!?
今日は俺にしては珍しくビッグコミックスペリオールの感想を書きたいと思います
というのも、見ての通り今週号から芹沢サンが主人公であるらーめん再遊記という連載が始まったんですよね

芹沢サンといえば、数々の名言を残した漫画キャラとして有名で、ネットでもちょくちょく話題にされることがあったり
かくいう俺もレビューの中で何回か芹沢サンのセリフを紹介したことがありましたよね
なので俺的にはもともと興味のあるキャラであり、それが新シリーズの作品をひっさげて帰ってきたってことだから
思わず飛びついて感想を書き始めたってわけです

それと単に漫画の新連載が始まるってだけじゃなくて、以前の作品のドラマ化も決定しており
なんと4月からテレ東の月曜夜10時枠で放送されるみたいですね



ただし、ご覧の通りドラマ化にあたって芹沢サンは女体化しており
「せ…芹沢サン!?」と多くの読者たちに動揺が走ったという…
ドラマ化でよくあるやつきたなこれ!男キャラがなぜか女キャラに変わっちゃうってやつ!
まさか芹沢サンもそうなるとは思わなかったな、このキャスティングに関しては早くも色々言われてるみたいですが
俺としてはあの芹沢サンが女体化したっていうだけでなんか笑っちゃうのと
「せ…芹沢サン!?」って驚きを味わえるという意味ではアリなのかなと思ってます!(えー

さて、そんなドラマの話も気になるわけですが、まずはなんと言っても今週始まった漫画の新連載ですよ
冒頭の場面はどんなシーンから始まってるかというと…



こんな感じになってます。どっかのラーメン屋でラーメンを食す芹沢サンのシーンで始まっており
店の中には芹沢サンと店主の2人だけ。どう見ても繁盛してない店のようで
いかにも昔ながらのラーメン屋って感じですよね

ふむ、こういう昔ながらの経営によって客が来ずに悩んでいる店を、
現代でもやっていけるよう改善するのが芹沢サンの仕事なわけですが、
やっぱり今回もそういう展開になるってことなのか?

《続いては、なんと行列待ち3時間!驚異の人気を誇るラーメン屋を紹介します!
 それがこの"東京ガストロノメン"!世界最高のグルメガイド・ムシュロンでも、
 ラーメン界初の二つ星を獲得したお店なんですよ!》

ってそんな中、ラーメン屋に置いてあるテレビから、なにやら最近人気の繁盛店のニュースが流れてきました
東京ガストロノメンっていう店がそれのようで、そこでは数え切れないほどの客が押しかけて大行列となっており
ミシュラン的なグルメガイドからも認められたりと、いま勢いに乗りまくっている店みたいですね
いま芹沢サンがいるガラガラなこの店とは、まるっきり対照的な店ってことでしょうか

《看板メニューはその名も”普通のラーメン”!
 店主の米倉龍大さん、これだけハイレベルなラーメンのどこが普通なんですか!?》

《僕が目指しているのは、高級フレンチにも匹敵する新時代の料理ですからね。
 うちのラーメンはB級グルメの中ではハイレベルでしょうけど、
 第一線のフレンチや和食と比べたら普通レベルの料理。
 ここから更に上を目指す気持ちを込めて、あえて普通のラーメンと名付けました》



そんな繁盛店を経営しているのがこの人だそうですよ
なんというかいかにもカッコイイおじさんって感じの人ですね
ぶっちゃけこの店が繁盛してるのって、料理がうまいっていう以外にも
このおっちゃん目当ての女性客が押しかけてるって可能性はないんだろうか(えー

《今現在、ラーメンというジャンルは史上最高のクオリティに達しています。
 もうラーメンはB級グルメ、ジャンクフードから脱する時です!
 日本全国ラーメン店のみなさんも、世界を目指して立ち上がりましょう!》

「はぁ〜、威勢のいいニイちゃんだなあ」

「…昔、誰かさんが言ってたような話だな…」

ともかくテレビの向こうのこのおっちゃんは、ラーメンの進化に相当な自信を持っているようで、
もはやB級グルメなんかではなく高級フレンチとも競っていけるくらいのハイレベルなグルメであると思っているようですね
それに対して芹沢サンが反応してますが、「昔の誰かさんが言ってたような話」って
これはおそらく以前の芹沢サン自身のことを言ってるんだろうと思います



というのも、芹沢サンって前シリーズのらーめん才遊記において
「高級蕎麦や和食にも負けない本格的なラーメンを目指した」って言ってるんですよね
これってさっきのテレビのおっちゃんが言ってた
「高級フレンチにも匹敵する新時代の麺料理を目指した」って言葉とそっくりなんですよ



そういう意味では、さっきのおっちゃんは芹沢サンと非常によく似た志を持つラーメン職人なわけですが…
ただ気になるのは、芹沢サンが言ってるのって「そう思っていた時期が俺にもありました」みたいな感じで
今の芹沢サンは昔とは違っていると言っているように聞こえるんですが、
今の芹沢サンはそのへんどう思ってるんでしょうか?

「勘定してくれ」

「まいど!お客さん最近よく来てくれるね〜!うちのラーメンだってなかなかイケるだろ!」

「いや、あまり美味くはないな…」

「なぬ!?」

「そこが気に入ってるんだよ」

って、この店のラーメンの味について聞かれて、「あんまり美味くない」と言いつつ
「そこが気に入ってる」とよくわからない感想を語る芹沢サン。美味くないのが気に入ってるとはどういう…?
芹沢サンって、美味くないラーメンを客に出し続けて何も改善しようとしないような店主は
「能無しの怠け者」って断言するくらい見下しのハンパない人だったんですが
今は考え方が変わったってことなのか?
 
 

そして次の場面では、ラーメン屋から場面変わって芹沢サンが会社にやってきたシーンとなってますね
どうやらここでは、芹沢サンが関わっている事業について成果の報告を受けているみたいです
具体的には「らあめん清流房」、「清流企画」、「麺屋なでしこ」っていう3つの名前が出てきてますが

まず「らあめん清流房」っていうのは、芹沢サンが最初に立ち上げたラーメン屋ですね
この店で作ったラーメンが評判となって芹沢サンは一躍有名となり、経営が軌道に乗った後は弟子たちに店を任せて
芹沢サンのラーメンの中でも定番となった王道メニューを出しているってわけです
そんな店の調子は「全店堅調」ってことで、弟子たちは問題なく経営してくれているみたいですね

次に「清流企画」っていうのは、今ここにいるメンバー達の会社のことで
仕事の内容はラーメン屋のコンサルティング、つまり簡単に言うと
経営のことで困ってるラーメン屋の相談に乗ってあげて、改善のための手助けをするってことです
そうやって収入を稼いでいくのがこの会社ってことですね
そんな会社の調子は「好調に売上を伸ばしている」ってことで、ここもどうやらいい感じに経営できてるようです

そして最後に「麺屋なでしこ」なんですが、これは会社のメンバーの中でも
ゆとりちゃんという女の子が中心になって立ち上げたラーメン屋ですね
なでしこという名前の通り、女性スタッフだけを集めて作ったラーメン屋であり、
しかも365日違うラーメンを出すというハチャメチャな方針の店なわけですが
これが大当たりしたらしく「売り上げが前年比96%増、ほぼ倍になった」っていう風に
超ウルトラ絶好調の店ってことみたいですね

まあとにかく、「らあめん清流房」、「清流企画」、「麺屋なでしこ」と、どの事業もいい感じで経営できており
特に麺屋なでしこはスーパー絶好調という風に、いいことばかり続いているみたいですが…

「…河上、ひとつ忘れているんじゃないのか」

「あ…”麺屋せりざわ”なんですが…このところずっと売り上げ減が続いていて、
 今の状態が続くようではまずいですね…」

ところがそんな中、「麺屋せりざわ」という店だけは調子をドンドン落としているようで、
売り上げが減り続けていてこのままじゃヤバイと言われることに…おいおい誰だよその店やってるボンクラはよぉ〜
って芹沢サンじゃねーかよ!!(えー  ちょっとどうしちゃったんですか芹沢サン!
そう、麺屋せりざわというのは、芹沢サンの手がけた新メニューをいちはやく食べられる店であり、
つまりは「芹沢サンの最新ラーメンが食べられる」というのがウリの店なんですが、それがどんどん調子を落としているっていう…

「つまりは社長のせいじゃないですかぁ〜!!
 たるんでるんじゃないのかねキミィ〜!!」

「ちょ、ちょっと汐見さん…」

そんな芹沢サンの店がうまくいってないと聞いて「たるんどる」と一喝するゆとりちゃん。
まあ確かにゆとりちゃんの麺屋なでしこは、超絶好調で売り上げ伸ばしまくりって状況を考えたら
芹沢サンの麺屋せりざわが逆に売り上げをどんどん落としまくってるっていうのは
「何ふがいないことやってるわけ?私らの足引っ張ってんじゃねーよ殺すぞ」って気持ちになってもおかしくないか…(えー

「客離れの原因は、看板である月替わりメニューがパワーダウンしているためと思われます。
 以前出したラーメンを塩から醤油に変えたり、チャーシューをラフティーに変えたり、
 表面的なマイナーチェンジに留まるものが多く、商品バリューが低下している面は否めません」

そして麺屋せりざわが調子を落としている理由については、「まったく新しい独創的なラーメン」が目玉のはずなのに
前に出したラーメンを塩から醤油に変えただけとか小手先の変化しかないラーメンがこのところ続いており、
それによって客を失望させてしまっていることが原因だという…

ちょ、ちょっと待ってくださいよ!小手先の工夫だけで細部をチマチマいじっただけのラーメンって
それ以前の芹沢さんからしたら忌み嫌っていたラーメンじゃないですか!

 

見てくださいよこの場面を、「ラーメン発見伝」第10巻において
既存のラーメンの細部をチマチマ改良しただけという小手先の工夫に痛烈なダメ出しをしまくって
「こんなラーメンには何の新しさも独創性もない」と言い切っていたわけで

ちなみにこの時、「じゃあ芹沢サンならもっと新しく独創的なラーメンを作れるって言うんですか!?」
聞き返された芹沢サンは、



「もちろんだ」と超スーパードヤ顔で答えていたわけですが
いやいやちょっと芹沢サンぜんぜん作れてないじゃないですか!!(えー
この時はこんなに自信満々だったのに、今回ぜんぜん作れてないじゃないですか!
一体どうしちまったんだよ芹沢サン!以前あれだけバリバリ作っていた独創的なラーメンを
さっぱり作れなくなってしまって、既存のラーメンの細部をチマチマ改良しただけという
情けない品を出してしまうなんて!なんとか言ってくださいよ芹沢サン!



「面目ない」

せ…芹沢サン!?
ちょっとほんとにどうしちゃったんですか!?こんなふうに頭下げて謝るなんて
あれだけ偉そうにふんぞり返るのが大好きだった芹沢サンが!?(えー
本当に今回の芹沢サンは様子がおかしいよ!どうしちまったんだよ芹沢サン!

「驚きました…あの社長が素直に謝るなんて…」

「社員に頭を下げるのなんて初めて見たよ…」

「いつぐらいからか様子が変ですね…元気がないというか…」

「どうしてなのか分かりませんけど、あんな社長は見たくなかったですね…」

そんな芹沢サンの異変については、ゆとりちゃんたち社員も動揺しているようで
最近どうも様子が変だと心配しているようですね。その理由については分かっていないようですが
あの芹沢サンに一体なにがあったらあんなに覇気がなくなってしまうんでしょうか?
考えられそうなことと言ったら、たとえば藤本クンが死んじゃったとか…(えー



藤本クンっていうのは前々作「ラーメン発見伝」の主人公で
芹沢サンにとっては最大のライバルであり最高のおちょくり相手っていうくらい
気に入ってた相手ですからね。ラーメン対決において芹沢サンが常にギリギリのプレイを楽しめるのがこの藤本クンであり
藤本クンがいたからこそ芹沢サンもやりがいがあったと思うんですが
しかし、もしその藤本クンが死んだとなったら、芹沢サンも生きがいを見失ってしまって
今のように意気消沈してしまうんじゃないかなと…なんてこった…たぶん藤本クンは死んでしまったんや!!(えー



そして次のシーンを見ていくと、これまた前作・前々作でおなじみの有栖サンが出てきた場面となっております
この有栖サン、以前は単なるラーメン評論家でしたが、今となっては有名大学の教授に就任しており
しかも本まで出版して盛大なパーティが開かれるくらいにまで出世したみたいですね

「いよう教授」

「教授はやめてくださいよ芹沢サ〜ン…」

「くっくっく、照れることはない。ラーメン評論家から大学教授に華麗なる転身を遂げたんだからな。
 本も読ませてもらったが、凡百のラーメン本とは次元の違う奥深さを感じたよ」

「ありがとうございます!芹沢サンにそこまで誉められると後がありそうで怖いなー」

「素直な感想さ、有栖君もけして若くはないのに、
 自らをより高いフェーズへ更新した…正直うらやましくもある」

ってそんな中、有栖サンのパーティにやってきて気さくに会話する芹沢サンでしたが…
ここの会話で気になるのが、「より高みへと進歩している有栖サンがうらやましい」って言ってる芹沢サンの一言ですよ
進歩してるのがうらやましいってことは、それってつまり今の芹沢サンっていうのは

芹沢サン…お前今、停滞しているな?(えー
いやマジでそういうことだと思うんですよ、以前のように進歩することができずにすっかり停滞してしまって、
小手先だけのチマチマしたラーメンしか作れなくなってしまったのが今の芹沢サンだと…
それにしても芹沢サンって四宮とよく似てますよね
いま停滞してることもそうだし、世間からは超一流の料理人として評価されてることもそうだし、
あとは自分の店を初めて持った時に経営がうまく行かなくて店が潰れる寸前まで苦悩したってことも似てると思います
要するに「最初に大きな挫折を経験し、それを乗り越えて料理人として大成したものの、その後停滞してしまった」っていう
そんなところがよく似てると思います。あと性格悪いメガネ男ってところもね(えー



ってそんな中、このパーティにはゆとりちゃんや例の繁盛店のおっちゃんも来ていたようで、
2人で挨拶がてらいろいろ会話中のようです。考えてみたら、この2人はどっちも
超スーパー絶好調のラーメン店を経営してるから
「そっちの店すごいですね〜」「いやそっちもすごいですね〜」って話が合うみたいですね

「ただ…それに比べて麺屋せりざわ、らあめん清流房は厳しいですね」

「え?」

「今や麺屋せりざわは自己模倣ばかり…らあめん清流房も久しく新機軸を打ち出せていない。
 芹沢さんはニューウェイブ界のカリスマとして長らくラーメン界に君臨してきましたが…
 あれじゃあもうニューウェイブじゃなく、オールドウェイブなんじゃないですか?」

がしかし、そんな中で「あの芹沢とかいう奴はもう時代遅れだね」と痛烈に芹沢サンを批判しはじめたおっちゃん!
き、きさまー!爽やかそうな見た目をしておいてダーティーなことを言いやがって!結局そうやって他人を見下すタイプかい!
ただ今の芹沢サンがふがいないことも事実、悔しいことにこいつの言うことはその通りなわけですが…



そしてそんな会話については芹沢サンにもめっちゃ聞こえていたようです
せ、芹沢サーン!!(泣) さすがにここまでコケにされては芹沢サンも黙っていられないか!?
これで芹沢サンの闘志に火がついて、新参者のおっちゃんに格の違いをわからせるって展開でしょうか

そういう意味じゃ今作のストーリーって、一度はラーメン職人としてダメになってしまった芹沢サンが
そこからもう一度再起するっていう話を描くってことでしょうか?
もしかしてタイトルの「らーめん再遊記」っていうのは再起するって意味での再なのか!?
てっきりらーめん才遊記を再び連載するって意味での再かと思ってましたが…

いやはやなんとも意外な第1話でした、芹沢サンがあんなふうになってるのがあまりにも意外すぎて
正直言ってドラマで女体化するとか頭からぶっとんだくらいに衝撃を受けましたよ(えー
果たして芹沢サンはあそこからどう再起するのか、そもそもどうしてあんなに元気がなくなってしまったのか、
やっぱり藤本クンは死んでしまったのかとか色々と気になりますね(えー
それでは次回に続く!



ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第2話



さて前回、この画像の米倉というヒゲ男から「時代遅れのオールドウェイブ」などとコケにされてしまった芹沢サン。
そして今回はというと、わざわざ米倉のところに出向いて「オールドウェイブな芹沢です」と皮肉で返しております。
おおこれは、ちょっと芹沢サンらしいところが出てきましたかね?
本来の芹沢サンといえばとにかく口の悪い皮肉屋であり、
煽られたら何倍にもして煽り返すみたいなところありますからね

「はは、聞かれてましたか?思ったことをすぐ口に出してしまうタイプで申し訳ない!」

「気にしないでくれ、ムシュロン2つ星の米倉君の意見だからな。
 良薬は口に苦しと肝に銘じておくよ」

「…」

って、ここから芹沢サンの煽りタイムが始まるかと思いきや、「いや〜米倉君の意見だからな〜」などとヘコヘコして
「オールドウェイブって言われてもしょうがないよね」みたいに引き下がってしまう芹沢サン!
ちょ、ちょっと!なに情けないこと言ってんですか!ここは遠慮なく毒舌全開の反論をぶちかまして
米倉に宣戦布告する場面じゃないんですか!?

そんな弱腰な芹沢サンの姿を見て、「情けないっすよ社長…」とがっくりした様子のゆとりちゃん。
そして米倉もまた芹沢サンに対し、なにか言いたげな顔をしてますね
もしかしてこの米倉って、ただ単に芹沢サンをコケにしたいわけじゃなくて
「そんなことでいいんですか芹沢サン」って今のふがいない芹沢サンの現状を嘆いているのでは…?

「社長ったらいつまで心にもない社交辞令を言ってるんですかぁ!この前は
 "東京ガストロメンの2つ星はラーメンブームに乗っただけのまぐれだ"って言ってたくせに!」

「はあ!?」

「"2つ星小僧はラーメンのなんたるかをまったく分かってない!いつか叩き潰してやる!"って
 言ってましたよねー!」

「お、俺はそんなことは言ってない!」

ってその時、煮え切らない芹沢サンに代わって「いつか米倉を叩き潰してやるって言ってましたよねー!」
強引に火をつけようとするゆとりちゃん!実際の芹沢サンはそんなこと言ってないわけですが、
こうでもしないと芹沢サンの闘争心は奮い立ちそうにないってことなんでしょうか

「およっ、そこにいるのはアメーバネットTVの小林さんじゃないですかぁ!」

「ど、どうも」

「うちの社長と米倉さんのラーメン対決番組ってどうですか!?絶対に盛り上がりますよぉ〜!」

さらに、たまたまその場に来ていたAbemaTVみたいなネットTV関係者をとっ捕まえたゆとりちゃん!
そして芹沢サンと米倉がラーメン対決する番組を作ろうと…かなり強引ではありますが
ついに出てきましたねラーメン対決。芹沢サンといえばこれをやらないと始まりませんよ

「やめろ!汐見お前酔っ払ってんのか!?」

「僕はやってもいいですよ」

「よ、米倉君!?」

「お互いラーメン屋なんだし、味で白黒つけましょうよ!」

そんなゆとりちゃんの提案に困惑しきりの芹沢サンでしたが、米倉の方はむしろ乗り気であり
これを機会にいっちょ対決しましょうよと…やっぱり米倉ってあれなんでしょうね
本気の芹沢サンとガチンコ対決がしたいんでしょうね
だから芹沢さんに発破をかけるようなことを言ってるんだろうと思います
やはり一流のラーメン屋としては、芹沢サンは無視できない重要な存在であり、
それと勝負して超えていくことに意味があるみたいな…

フルパワーの
芹沢サンと闘い…
そして…勝つ!!

っていうのが米倉の望みなんだろうなと思います(えー

「まいったよ…あの流れじゃ引くに引けない。
 汐見のやつ、嘘を並べて社長をハメるとはどういう了見だ」

「でも汐見さんの気持ち、僕はなんとなく分かりますよ」

「あん?」

「芹沢さんに奮起してもらいたかったんでしょう。
 以前なら、生意気な後輩にオールドウェイブなんて言われたら
 10倍返し、100倍返ししてましたよね?」

「…」

「失礼ながら、このところ芹沢さんの覇気のなさは僕も歯がゆく思っています…
 あれほどラーメンに情熱を燃やしていた人が、一体どうしちゃったんですか!?」

その後、仕方なく米倉との勝負を受けた芹沢サンでしたが、「まったくどういうことだよ汐見の奴よー」と不満げに
ホテルのバーで有栖サンを相手に愚痴っていました。ただ、有栖サンとしてもやはり
今のふぬけてしまった芹沢サンの姿を歯がゆく思っているようで、どうしてこんなにも変わってしまったのかと
芹沢サンに問いかけてますね。ふむ、有栖サンにしろゆとりちゃんにしろ米倉にしろ、
みんな「芹沢サンに奮い立ってほしい」と思ってるのがいいですね
俺としてもまさに同じことを思ってるだけに、読んでてこの登場人物たちと同じ気持ちになりながらすごく共感してしまうというか…



「…20年以上前、俺がらあめん清流房をオープンした時…
 俺が目指したものは"なんの枠にもとらわれない自由な創作ラーメン"だった。
 それまでのラーメン界では誰もやったことがない試みに次々と挑んだよ。
 しばらくは上手く行かないことの方が多かった…
 あの頃はまだラーメンに対して保守的な連中が幅をきかせていてな。 
 創作ラーメンなど邪道、昔ながらの中華そばが一番…
 そういうくだらないことを言ってた奴らだ。奴らには心底ムカついたよ。
 ふふ、色々あったし色々苦労もした…だがすべては昔話だ…
 いまや"なんの枠にもとらわれない自由な創作ラーメン"こそがラーメンの主流だ。
 俺にとっては万々歳の状況になった。なのにいつの頃からか…
 どういうわけか…何もかもが無性にむなしくなってしまった…」

「それは…いわゆるミドルエイジクライシスみたいな…?」

「わからん…とにかくやる気がまったく出ないんだ…」

そんな中、ついに自分の心境の変化について具体的に語り始めた芹沢サン!
おお…前回の俺の予想では藤本クンが死んじゃったんじゃないかとか言ってましたが
ぜんぜんそういうことじゃなかったみたいですね(えー

ラーメン屋を始めたばかりの頃は、うまく行かないことも多かったけど
他人がやったことのないラーメン作りに挑戦しようと、芹沢サンは燃えに燃えまくっており、
そして長年の苦労が実を結んだ結果、ついに成功を掴んで芹沢サンの願った通りの状況になったわけですが…
しかしその結果、なぜかやる気がまったく出なくなってしまったというのが今の状況のようで…

ああ…芹沢サンのこの心境っていうのは俺にはめちゃくちゃ分かりますよ
なんでかっていうと、俺もこのサイトの更新だとかYouTubeへの動画投稿とかやってて
芹沢サンとまったく同じ気持ちになることって何度もありましたからね

たとえば俺もこのサイトを始めてからもう15年近くになるわけですが、
それだけ長いことやってて思うのはですね…とにかく最初の頃は燃えに燃えていたんですよ
誰にも負けないくらい評判のサイトにしてやろうっていう情熱に燃えまくっていて
やれることはなんでもやったし、上手く行かないことも多かったけど
これが自分の生きがいだって思いながら心血注いでやってたわけです

で、何年かした頃に念願かなってうちのサイトがけっこう有名になったわけなんですね
1日に数千人くらいアクセスされる日もあったり、もうほんと万々歳な状況になったと思ってたわけです



しかし、それだけ満足な状況になったはずなのに
どういうわけかやる気がどんどんなくなっていったわけなんですよ
やる気に満ちていた頃は毎日更新するのが当たり前だったのに、
やる気を失ってからは1ヶ月に1日しか更新しなくなったりと、更新の頻度もずいぶん減ってしまったりね…

なんていうか、満ち足りてしまうと逆にやる気を失ってしまうことってあると思うんですよ
現状に対して満足できない気持ちこそが原動力になるというか、もっとああしたいもっとこうしたいっていう
飢えた気持ち、乾いた気持ちがあってはじめてやる気が湧いてくるというか。
「別に今のままでいいや」と満足してしまうと、それ以上の行動ができなくなってしまうんですよね

あとは周りの環境なんかも重要だと思います。
芹沢サンにしても、最初は創作ラーメンをやってる人が周りに全然いなくて
「それなら俺がやってやる」って必死にやってきたのが、
今では大勢の人が創作ラーメンをやるようになったから
「もう俺はいいかな…」ってやる気をなくしてしまったわけですよね

俺的にはこれって、YouTubeでの動画投稿をしてる時にまったく同じことを思ってるんですよ
たとえばなんですけど、俺のアップしてる動画で特徴的なのが
あえて強いキャラを使わない攻略ってことにこだわってるわけじゃないですか
特にFGOの場合、孔明・マーリン・スカディみたいな強キャラをあえて使わず
別のキャラで工夫して攻略するってことにこだわってるわけで。

なんでそんなことを必死こいてやってるかというと、FGOにおいて「強キャラを使わない攻略」って
やってる人が全然いないんですよね
とにかく孔明・マーリン・スカディを並べてクリアしてる人がほとんどで、
それ以外の形の攻略を試そうって人が全然いないわけなんですよ
ラーメンで例えるならみんな醤油・塩・味噌のラーメンしか作らないって感じですね(えー

ラーメンってのはもっと色んな形があるだろうと。もっと別の創作ラーメンがあってもいいだろって感じで
俺はFGOの攻略動画を作るのに躍起になってるわけです
その一方で、モンストの攻略はというと、強キャラにとらわれない自由な攻略っていうのが
実はもうモンスト界隈には広がってるんですよね

定番の強キャラで攻略するってだけじゃなくて、
他にもあんなキャラでも攻略できる、こんなキャラでも攻略できるっていう
さまざまな形に工夫した攻略動画が次々とアップされるような状況になってるわけで。

だから俺としては、モンストの攻略動画はわざわざ作らなくてもいいかと思ってるわけです
わざわざ俺が作らなくても、すでにモンスト界隈には色んな形の攻略動画をアップする職人が大勢いるから
その人たちの動画があればいいかなって気持ちになってるわけで。
まあ激究極に関してはそういう職人が少ないから、俺もちょくちょく動画上げてますけどね

要するに、自分以外にも同じような職人がいるかどうかってことも
やる気に大きく関わってくると思うんですよ。
その職人が自分だけしかいなければ「俺がやってやる」ってなるし、
代わりの職人が大勢いるんだったら「別に俺じゃなくてもいいか」って気持ちになるわけで。
芹沢サンの心境っていうのはそういう部分もあると思いますね…

「それではラーメン対決についての具体的な内容を話し合っていきたいと思いますが…」

「その前に米倉君に弁明させてほしい。この前の汐見が言ったことは全てでまかせだ。
 社長として部下の非礼を深くお詫びしたい…」

「それならどうして僕の挑戦を受けたんですか?」

「君が侮辱されたままでは気が済まないだろうと思ってな…」

それからしばらくして、米倉とのラーメン対決の打ち合わせをすることになった芹沢サン。
しかし、そこでも芹沢サンは「米倉をぶっ倒す!」みたいな闘争心を見せることはなく、
「こないだはうちの部下がすいませんでした…」などと頭を下げる始末です。
芹沢サン…これから戦おうって相手に、そんな弱々しい姿見せてどうすんですか!

「退屈なこと言わないでくださいよ芹沢さん!!」

「な、なに?」

「あれが嘘か本当かなんてどうだっていい!!
 せっかく戦うんだから大いに盛り上げましょうよ!!」

ってそんな中、「つまんないこと言うなよ!」とばかりに芹沢サンに檄を飛ばす米倉!
おお…やっぱりこいつって、どうせ戦うなら本気の芹沢サンとガチで戦いたいって思ってるみたいですね

芹沢サン…
きさまがフルパワーになるのを
待っているのは…
最高のきさまを叩きのめしたいからだ…
ラーメン屋として悔いのないように…
   

っていうことなんじゃないでしょうか(えー
いや米倉って意外と熱い奴で、第一印象よりもなかなか好感の持てるキャラだな

「ハァ…」

「お客さんお疲れだねぇ」

「ああ…ちょっと疲れる連中と会ってたからな…」

がしかし、芹沢サンはというとそこまで発破をかけられても気力が湧いてこないようで
「ハァ…」とため息をつきながら行きつけのラーメン屋にきていました。
いつまでふぬけてんですか芹沢サン!いい加減そろそろやる気出してくださいよ!

(米倉はここ数年の間に出てきたラーメン店主の中では突出した存在だ…
 ムシュロン2つ星は伊達じゃない。
 ラーメンも実にセンス良く抑制され、細部も磨き抜かれている…
 ん〜〜、いまの俺じゃとてもあんなのを作るやつに勝てる気はしないな…)



って、お、おいいいい!!芹沢サンなんなんすかその
しょぼくれたオッサンみたいな表情はああああああ!!(えー
いやいやちょっと!こんな顔を芹沢サンが見せる日がくるなんて!あまりにも…あまりにも芹沢サンらしくねえよ!!
以前の芹沢サンだったら「この俺が負けるわけがない」って
自信満々にふんぞり返ってたのに!誰だお前!もはや誰だお前ええええええええええええええ!

「はいよ!あまりうまくないラーメン!」

「おいおい、この間のことを根に持ってるのか?」

「へんっ!」

(今の俺は、この昭和から何も変わってないようなラーメンを食うとホッとする…
 ロクな食材も使ってないしうまくもまずくもないが、それがいいんだ。
 もう"複雑で奥行きのある味わい"とか、"こだわりの高級食材"とか疲れたよ…)

そしてラーメン屋の店主から、大してうまくないラーメンを出されながらも「それがいいんだ」と語る芹沢サン。
複雑で奥行きのある味わいとか、こだわりの高級食材とか考えるのはもう疲れたと…
せ、芹沢サン…そんな…まさにその言葉に誰よりもこだわっていたのがあんただったのに!
最初の店の経営がうまくいってなかった頃、店が潰れかけて目の前が真っ暗になった時も
そのこだわりだけは決して捨てなかったのがあんただったのに!



それを…何よりも必死に守ろうとしたこだわりを、今では捨ててしまったというのか…
うおおおおおおおお嫌だあああああああああああそんなの嫌だあああああああああああああ

(ふふ…この悪い意味での普通のラーメン、米倉の店の"普通のラーメン"とは対極だな…)

「…ん…?」

とその時、この店の「悪い意味での普通のラーメン」を食べていた最中、
米倉の"普通のラーメン"を思い浮かべて何かに気づいた芹沢サン!こ、これはまさか



ピッコーン!?ピッコーン来ました!?(えー
何か逆転のアイデアがピッコーンと浮かんだんですか芹沢サン!?
ふぬけてしまった今でも、やはり一流のラーメン職人ということでしょうか
果たしてここから芹沢サンはどう動くのか…次回に続く!



ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第3話



さて今回のラーメン再遊記ですが、冒頭の場面ではゆとりちゃんが会社のみんなの前で
「夢のラーメン対決が実現です〜!」などとしらじらしいことを言っていました(えー
要するに芹沢サンと米倉のラーメン対決のことを言ってるわけですが、
この2人が戦うように仕向けたのはゆとりちゃんの差し金なので
何を自演みたいに騒いどるんじゃいって感じですよね、会社のみんなもそのことは百も承知のようで…

「2人が対決するように、ゆとりちゃんの嘘で仕向けたんだろ?」

「嘘も方便!元気のない社長を奮起させるためなんですから、
 感謝して欲しいくらいですよ!」

「いい性格してるぜ…」

「この対決、みんなだってワクワクしません!?」

「まあ確かに、ラーメンフリークとしてはこんな楽しみな対戦カードはないかな」

って、自演っぷりを指摘されたゆとりちゃんではありますが
「むしろ私はいいことしたし!」と胸を張る始末です。プラス思考やな〜
それに今回の芹沢サンVS米倉の対戦カードは、ラーメン界に興味がある人なら
「ぜひ1度見てみたい」って思うくらいの注目の一戦のようで、そういう意味じゃゆとりちゃんもいい仕事したっぽいですね

「でも、もし負けたら…」

「うちの会社もイメージダウンは避けられないでしょうね…」

「それは心配ご無用ちゃんで〜す!」

「なんでだよ、今の社長なら負けることだって有り得るぞ!」

がしかし、社長の芹沢サンが敗北したとあっては、この会社もイメージダウンは避けられないと心配するメンバー達。
ところがゆとりちゃんだけは、「心配ご無用ちゃんで〜す」と余裕の表情を浮かべております
ほんとにプラス思考やなぁ。ゆとりちゃんって悩みとかまったくないんじゃなかろうか
ストレス社会と言われる今の世の中を考えると、サラリーマンにはゆとりちゃんの思考法が必要なのかもしれんな…(えー
ともかく、「もしも芹沢サンが負けたら」なんてこと考える必要ないとゆとりちゃんは言ってますが、その理由とは…

「その時は私が仇を討ちますから」



ってゲェー!?なんと芹沢サンが負けたら「その時は私が米倉を叩き潰す」とやべーことを言い出したゆとりちゃん!
女の子がなんつーポーズしてんですか!(えー
とんでもねーなゆとりちゃん!まったくこの子の思考と行動はまるで予想がつかんな

それにしても、米倉と芹沢サンの勝敗の結果がどうであろうと関係なく
「私がその気になれば米倉ごときいつでも倒せる」とはすさまじい自信ですね
というかゆとりちゃんが凄いのは、これってただの身の程知らずな言動じゃなくて
本当に勝ってしまうんじゃないかと思えるだけの実績を詰んでるところがヤバイと思います

なにしろゆとりちゃんは、365日ずっと日替わりで新作ラーメンを出し続けるという
現実的にありえないレベルの超難関ラーメン屋をやっていて、しかも売り上げは上がりっぱなしの大成功してるわけで
その一方で芹沢サンは、1ヶ月に1度の月替わりで新作ラーメンを出すという
現実でもありそうなレベルのラーメン屋をやっていて、しかも売り上げを落としていて失敗ムードになってますからね
なのでゆとりちゃんの目から見たら、今の芹沢サンの状態って
「こんな簡単なことも出来ないとか雑魚すぎるだろ…」って見えるくらい
とんでもない強キャラの位置に登り詰めちゃってると思うんですよね

というかゆとりちゃんがこれだけ強キャラになったことを考えると
米倉との戦いが終わった後は芹沢サンがゆとりちゃんに挑戦するみたいな
展開になるのも面白そうですよね。なにしろ2人の店のコンセプトはよく似てて、今はゆとりちゃんが上を行ってるわけだし。

せっかくだからそこに藤本クンも呼んじゃって
藤本クンvsゆとりちゃんvs芹沢サンのトリプル主人公対決とかやるのも
面白そうだよなー、藤本クンそろそろ出てきてくれないかなあ



(やはり、ここもそうか…)

そんな一方で芹沢サンはというと、米倉との対決に備えて
流行りのラーメン家を巡りながら何かを確かめているようでした
「やはりここもそうか」ってセリフからして、現代のラーメン屋に共通する何かに気づき始めたようですね
このところふぬけっぷりが強調されてた芹沢サンですが、今回はちょっとだけ調子が戻ってきた感じでしょうか?

「す、すいません!芹沢さんですよね!?」

「ん?」

「お引き止めして申し訳ないです、実は俺、中学時代に芹沢さんのラーメンに出会い、
 その美味さに衝撃を受けたのがきっかけでこの世界に入った人間でして…
 俺にとって芹沢さんはスーパースターであり人生の目標なんすよぉっ!!」

「そ、そうか…」

とその時、いきなりその店の店主にすごい勢いで声をかけられてしまった芹沢サン。
なにかと思えばこの店主は芹沢サンの大ファンだったようで、芹沢サンが店に来てくれたことに感激してしまったようですね
こういうの見るとやっぱり芹沢サンってラーメン業界の超有名人なんだなってことを実感しちゃいますね

「それで芹沢さんがうちのラーメンをどう思われたのか。ぜひ聞かせていただきたくて…」

「いや、実によく出来たうまいラーメンだと思うよ」

「ほ、本当ですか!?」

「淡海地鶏の旨味たっぷりのスープに、たまり醤油ベースのまろやかな醤油ダレのあいまった
 豊かで奥行きのある味わい…歯切れのいい加水率低めの細麺も見事な出来だし、
 二枚乗せしてる豚バラチャーシューと鶏チャーシューも秀逸だ」

「あ、ありがとうございます!そこまで誉めていただけるなんて!」

そして店主に味の感想を求められる芹沢サンでしたが、「実によく出来たうまいラーメン」という一言を皮切りに
褒め言葉を次々と並べまくってますね。それにしてもニコニコしながら他人のラーメンをベタ褒めする芹沢サンは
なんか気持ち悪いな(えー  もうちょっとギラギラした雰囲気に戻ってくれるといいんだけどなー



「ところで芹沢さん、東京ガストロノメンの米倉と今度対決するそうですね」

「おお、よく知ってるな」

「実は米倉は、われわれ新世代系ラーメン屋のエース格で飲み仲間でして…
 最近はSNSで繋がりやすいこともあって、新世代系は仲がいいんですよ。
 米倉だけじゃなく"すなば食堂"、"ラーメンパニックZ"、"麺男dism"、"無法麺"なんかも友達ですね」

「どの店も最近食いに行ったよ、新世代系の店はどこもハイレベルだ。
 麺・スープ・具に分けて検証してもすべて80点以上でスキがない。
 全てにこだわったラーメンを実現している君ら新世代は素晴らしいよ。
 だがひとつ引っかかるのは…どの店も醤油ラーメンの傾向が酷似していることだ」

「え?」

「地鶏か銘柄鶏をベースにしたスープ、有名醸造元から仕入れたこだわりの醤油、
 しなやかな細麺あるいは平打ち麺、低温調理されしっとりとした味わいの豚チャーシューと
 鶏チャーシューの二枚乗せ、穂先メンマか柔らかい極太メンマ…
 この定義にほとんどの新世代系ラーメンが該当する。
 君の店もそうだし、東京ガストロノメンもそうだろう」

「た、確かに…」

「誤解しないでほしいが、個性がないとかケチをつけたいわけじゃない、
 君ら新世代の店はそれぞれに個性的だ。
 だがハイスペック醤油ラーメンというフレームだけは共有している。
 それは一体どうしてなのか…」

そんな中、ベタ褒めムードからちょっと気になることを言い出した芹沢サン。
というのも、新世代の店はどこもハイレベルで美味いラーメンを出しているんだけど
しかし醤油ラーメンの作り方はやたらよく似ていると…
確かに話を聞いてて思ったのは低温調理されたチャーシューっていうのは
最近の店でやたら増えましたよね。話題の有名店に行くとだいたいこれが乗ってるっていう。
俺はあの低温チャーシューあんま好きじゃないんだけどな…(えー
ただ、好きじゃないからこそよく思うんですよね、「やっぱりここの店も低温チャーシューか…」みたいな。



そういう意味じゃ、さっき芹沢サンの言ってた「やはりここもそうか…」って感覚はちょっと分かります
なんか似たようなラーメンを別の店でも食ったなって気持ちがあるんですよね
それだけ似たラーメンが増えてる理由については、今回だとまだ詳しく触れられてませんが…

俺の考えとしては、さっきこの店の店主が言ってた
「最近はSNSで他の店とも繋がりやすい」ってことが理由なのかなと思ってます
たとえばゲームとかでもそうなんですけど、SNSがあると情報がすごく広まりやすくて
「こうするとうまくいく」みたいな効率的な方法が見つけられると
みんな一斉にそれをやり始めるって風潮ないですか?

そのやり方だけが正解じゃないはずなのに、なんかもうみんな一斉にそこへ群がってしまうみたいな。
そういうことってあると思うんですよね、情報が広がりやすいことの弊害というか
最初は斬新な発見だったのかもしれないけど、みんな一斉にそれをやり始めるからそれが普通になっちゃうみたいな

たとえば前回、芹沢サンが「普通のラーメン」って言葉に対して何か引っかかったような場面がありましたが
もしかして俺と同じようなことが気になったのかなとちょっと思ってます
要するに、現代の最先端ラーメンはすごくハイレベルで美味いんだけど
似たようなラーメンが多くてそれが普通になっちゃってるってことですかね

「ラーメンはこう作るのが美味いんだ、それが普通なんだ」みたいな風潮が広がってるというか。
ハイレベルなんだけど決まった形や常識にとらわれてしまってるというか。
もし仮に、現代のラーメン屋がそういう考えにとらわれてしまってるようなら、
今こそ芹沢サンが必要な時代だと思いますけどね。なぜなら芹沢サンの考え方って

ラーメンに決まった形などない、
新しい何かは今ある常識を破壊しなければ生まれない
ってことだったから
常識なんてぶっ壊して新しいものを作るっていうエネルギーに満ちてたわけですよ
現代のラーメン屋に必要なものってこれなのかなと今回の話を読んでて思いました
まあまだ詳しいことは語られてないから、単なる俺の妄想って可能性もあるんですが…(えー



そして場面変わって次のシーンでは、なんとも意外な人物から芹沢サンにお呼びがかかっていました
誰かと思ったら千葉サンじゃないですか!前々作のラーメン発見伝に登場した人ですよ!
千葉サンは「神麺亭」というラーメン屋を経営する店主であり、神なんて大胆な名前をつけてるだけあって
相当な腕を持った一流のラーメン屋です。
ラーメン発見伝では何度も登場して存在感あった人なんですが、続編のらーめん才遊記には出てこなかったので
出番は結構ごぶさただったんですよね。そんな久しぶりの千葉サンが今回出てきた理由とは…

「俺はラーメン界から引退する」

ってゲェー!?ちょ、ちょっと!久々に出てきたかと思ったらもう引退宣言ですか!?
早いよ、早すぎるよ千葉サン!あんたともあろう人がなぜいきなりそんなことを!?



それにしてもこの場面、「!!」ってなってる芹沢サンの顔いいよね(えー
いやマジで、芹沢サンといえばやっぱり「!!」ってセリフとともに険しい顔してるのが一番お似合いなんですよ!
これこそ芹沢サン本来の顔やで!(えー  千葉サン電撃引退のニュースを聞かされたことで、
ふぬけた顔が吹っ飛んで以前の芹沢サンの雰囲気が戻ってきた感じかな?

「どうしてですか!?今ある神麺亭の店舗はどこも繁盛しているじゃないですか!」

「繁盛しているからこそ、スタッフ全員を引き続き雇ってもらえることになった。
 俺が引退しようと思ったら、このタイミングしかなかったんだよ」

「経営に問題があるのではなく、引退そのものが目的ということか…」

「何か体調的な問題でも…?」

「自分でも何年か前まではオレ様気分でいたよ。
 重層型ラーメンを改良し、新メニューを編み出し、期間限定ラーメンを考案し…
 俺はラーメン職人として高みに向かっていると、そう思ってやってきた。
 だがある日、魔が差すようにフッと俺の中に疑念が生じた…
 自分が成長しているなら、どうして最近売り上げも客入りも微増程度なんだ?
 ラーメンの改良と言っても細部をいじってるだけじゃないか?
 新メニューだって似たようなものを以前に作ってないか?
 そして俺は、いつの間にか職人の階段を降り始めていることに気づいてしまった…
 ゆっくりではあるが確実に衰え出している…
 自分で自分に失望した俺は、どんどんやる気を失っていった…」

そんな千葉サンの引退の理由としては、店の経営のことではなく、
自分自身がラーメン職人としての全盛期を過ぎてしまったという絶望感からくるものだったようです
日に日に衰えていく自分自身に失望してしまい、店が繁盛していてもモチベーションを失っていく一方だったと…
ああ…そういえば千葉サンは以前、こんなことを言っていたことがありました



「オレは経営者である前にラーメン職人だ!!」っていうのがそうで、
店の経営がどれだけ上手く行っていたとしても、自分がラーメン職人として衰えてしまったら
それは千葉サンにとって何よりもショックな事なんじゃないでしょうか

「決定的なのは、東京ガストロノメンの米倉がムシュロン2つ星を取った時だ」

「…」

「かつて俺や芹沢さんは、和食やフレンチにも匹敵する麺料理としてのラーメンを夢見た…
 だがその夢を現実にしたのは我々ではなかった…」

「世界の美食の王道で認められたのは、新世代の米倉だった…」

「そうだ、新世代が生まれたことで俺たちの役割は終わった…
 芹沢さんはどうだか知らないが、俺はそう思ってる」

さらにここで意外な名前が出てきました。なんと千葉サンもまた米倉のことを意識していたようで、
「ラーメンを美食として世の中に認めさせたい」という以前からの夢を米倉が叶えてしまったのを見て
もう自分たちの時代は終わったんだ、あとは新世代に託すべきなんだと思うようになったという…

いやでも千葉サン、さっきの俺の考えだと、芹沢サン達は不要になったどころか
むしろ今こそ必要だと思いますよ!
新世代たちの常識をぶっ壊して新しいラーメンを作るためにも、今こそ芹沢サン達の力が必要なんですよ!
あいつら常識にとらわれてるから!俺はそう思ってますよ千葉サン!(えー

「実は今度、俺は米倉とラーメン対決することになってな…
 断ることもできたのに対戦を承諾してしまったのは、俺も心のどこかで
 米倉に引導を渡してもらいたいと思っているのかもしれない」

「なるほど、場合によっては芹沢さんも一緒に引退か」

「それはそれで面白いかもな…」

「ちょっとちょっと、芹沢さんまでなに言ってるんですか!?」

ってなんと、千葉サンに続いて芹沢サンまで「俺も米倉に引導渡してもらって引退するかな…」などと
不穏なことを言い出す結果に!お、おい〜!!お前ら〜〜!!燃え尽きるな〜〜〜!!(えー
まだ燃え尽きるには早いですって!人生まだまだこれからよ!
もっとキラキラして生きようというキラメンタルを持たんか〜〜〜!!(えー



しかし結局、今回千葉サンがキラメンタルを取り戻すことはなく、寂しい背中を残して
「もう会うこともないだろう」と芹沢サン達の前から立ち去ってしまうのでした
この後ろ姿を見て芹沢サンは何を思うのか…ただ俺的には、こうして去っていく人の寂しさがあるからこそ
自分は絶対去ったりしねえぞって奮起することもあると思うんですよね

なぜなら俺自身がそうだからですよ。実は俺も、数年前にすっかりサイト更新のモチベーションを失ってしまって
1ヶ月もサイトを更新せずに放置したり、引退が頭をよぎるようなことがあったわけですが、
しかしそこから立ち直ったきっかけっていうのは、俺以外の個人サイトの人たちが
次々と引退してしまう姿を見たことなんですよ

ここ数年、個人サイトをやってた人たちが次々と引退してしまったことによって、
昔からなじみのサイトの多くが消えてしまったわけで。俺はそれが寂しくて仕方なかったんですよ
もうとにかく寂しくて寂しくて、管理人が去っていくのがこんなに寂しいんなら
俺は絶対去ったりしねえ、いつまでも残ってやるって思って
意地でもサイトを続けようと最近また頑張るようになったわけです

芹沢サンもそういう風に思ってくれればいいんですけどね…というか今回の芹沢サンで気になるのは
最後の千葉サンを見送るシーンでめっちゃ険しい顔してたんですよね



そうこの顔ですよ。これってなんだか芹沢サンらしい顔しとるやんけ!(えー
こういう険しい顔こそが芹沢サンの真骨頂だと俺は思ってるんですよ!
千葉サンが去っていったことによって、「俺は絶対去ったりしねえ」って
芹沢サンにもメラメラとやる気が湧いてきたんじゃ…?と少し期待しております。次回に続く!

 


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第4話

さて前回、ラーメン職人として長年活躍してきた千葉サンが
まさかの電撃引退という衝撃ニュースを聞かされてしまった芹沢サン。
これによって芹沢サンが奮い立つのかどうか気になっていましたが、今回はというと…

「(ゴクゴクゴク)おーい、生ビールおかわり!」

「今日は呑むねぇ〜、どうしたんだい?」

「呑みたい時もあるさ」



ゲー!?しかしなんと、いつもの寂れたラーメン屋に入り浸って酒をグビグビ呑みまくっていた芹沢サン!
奮い立つどころかヤケ酒かっくらってるじゃねーか!(えー
ちょっとちょっと!芹沢サンなんか思考がダメサラリーマンみたいになってないですか!?
「うぃ〜ヒック、酒でも呑まなきゃやってらんねえぜまったくよぉ〜」みたいに
酒に溺れてしまうとは…芹沢サンがシャキッと復活するのはまだまだ先になるのかなー

「あ〜〜クタクタだぁ〜…麺屋なでしこのお客は増える一方だし、
 会社の仕事は減らしてほしいよ」

「社長に相談しようと思ってたのに、今日いなかったですからね〜…ん?
 ピッコーーン!!芹沢発見伝〜〜っ!!」



ってそんな中、会社帰りのゆとりちゃん&夏川さんが芹沢サンを発見して乗り込んでくることに!
ラーメン発見伝みたいに芹沢発見伝とか言えちゃうあたりマジで自由だなこの子は
それにゆとりちゃん達の麺屋なでしこは客足が伸びる一方のようで、ほんとラーメン屋としては大成功してますね
それだけ店の仕事もどんどん大変になっており、会社の仕事も残業してやらなきゃいけないってことに一言言いたいようで…

「社長っ!!われわれ社員には遅くまで残業させといて、
 自分はご機嫌に晩酌だなんてどこのブラック企業ですかっ!?」



「いやぁ〜…すまんすまん、お詫びにおごるから」

「当然ですよぉ〜〜っ!!」

さらに芹沢サンのところにズカズカやってくると、抱えていた不満を思いっきりぶつけまくるゆとりちゃん!
いやはやこのまったく遠慮のない言いたい放題っぷりを見てると、なんかゆとりちゃんらしいなって
懐かしい気持ちになりました。ゆとりちゃんって元々こういう本音を遠慮なく垂れ流すキャラというか
まったく空気読まないしおしとやかな感じの全然ないキャラだから、そろそろ本領発揮してきたなっていうかね

いやというのもですよ、今シリーズの第1話ではゆとりちゃんって
やけにおとなしそうに椅子に座ってたりとか
やけに行儀のいいセリフを喋ったりだとか
まるでおしとやかな女性みたいに振る舞ってたイメージがあるんですよね

これ見た時に俺が思ったのは「あのゆとりちゃんがこんなにおしとやかに!?」ってことで
正直かなりビックリしたし以前とイメージ変わったなと思ってたわけですよ
ただ、そんな「おしとやかな美女になったのか?」ってイメージも
そろそろ音を立てて崩れ始めましたね(えー
「あ、やっぱゆとりちゃんはゆとりちゃんだわ」みたいなシーンが増えてきたように思います

「ええっ!?神麺亭が身売りしたんですか!?」

「ああ」

「神麺亭って言ったら、社長と並ぶニューウェイブ系のカリスマ・千葉周児さんのとこですよね」

「本店もグループ店も繁盛していたはずじゃ…」

「千葉が言うには、ここ数年ずっとラーメンに取り組むモチベーションが低下していたそうでな…
 新世代系の東京ガストロノメンが二つ星を獲ったことで、
 自分の役目は終わったと引退を決意したらしい」

「あははは、米倉さんの活躍に押されてヘタレてるカリスマだなんて、
 どっかで聞いたような話でしゅねえ〜〜」

「お、おい汐見!」

「悪かったな…」

「悪いですよ!社長がやる気ないと社員のモチベーションも下がるんです!もはや存在そのものが害悪!」

「ぐっ…」

「オヤジさん、こちらには社長よく来るんですか?」

「あ、ああ、去年あたりからちょくちょく…」

「やっぱり!今のヘタレな社長がハイレベルな店に行ったら
 敗北感で打ちのめされてしまう!そこでこういう低レベルな店で
 まったりうらぶれながら現実逃避してるんですねっ!?」

って、その後も芹沢サンのふぬけってぷりを思いっきりガンガン指摘しまくるゆとりちゃん!
ほんとに遠慮のない性格してんなおい!
どんだけ芹沢サンの痛いところを突きまくる気ですか!もう完全にブレーキが壊れてフルスロットルや!
いやもうほんと、ゆとりちゃんのおしとやかなイメージとか今回でカケラもなくなったな…(えー

「まあそう詰めるなよ…ここのラーメンのおかげで
 何かしらの糸口が見つかりそうになってるんだし」

「え?ん〜〜、町中華にありがちな古臭い醤油ラーメンじゃないですか?」

「ロクな食材も使ってないし、麺だって製麺所から仕入れた安いやつですよね」

「メンマも薬品臭い業務用ですよ、スープも少し酸化ぎみかも…」

「いや、まったくその通りで大して美味くもないラーメンなんだが…」

がしかし、ゆとりちゃんにギャンギャン言われる中で、「この店のおかげでヒントを掴んだ」と語る芹沢サン。
どういうことかとゆとりちゃんもこの店のラーメンを味わってみますが、
そのへんにありがちな古臭いラーメンでロクな食材を使っておらず
麺は安物でメンマは薬品臭くスープは酸化ぎみで大して美味くもないと…
もうやめて!!店主のライフはゼロよ!!(えー
どんだけ好き放題言う気だお前らー!!この店の評価ボッコボコやないか!
味の評価ではここまでメッタクソに言われてしまったわけですが、これがどう芹沢サンのヒントになったのかというと…

「確かにここの醤油ラーメンは、ありきたりで過去の遺物のような代物だ。
 極めて現代的な東京ガストロノメンなどの醤油ラーメンと比べたら、
 対極にあるように見えるが…しかし実は、よく似ていないか?」

「え?」

「どちらも"鶏ベースのあっさり醤油ラーメン"という基本的なフレームは同じだ。
 他の新世代系の店も食べ歩いてみて確認したんだが、
 多くの店で同じタイプの醤油ラーメンが看板メニューになっている。
 旧来の醤油ラーメンの要素を徹底的にブラッシュアップし、
 ハイスペック醤油ラーメンと言うべきものに仕上げているんだ。
 ざっくり比べるとこんな感じか…」



と、ここで芹沢サンからの詳しい解説が。要するにヒントになったのは味ではなくて
ラーメンを構成している枠組みといったところでしょうか
現代のラーメンは、昔のラーメンと比べてあらゆる部分をハイスペックに洗練しているものの
枠組み自体は昔と変わっていないってことに芹沢サンは注目したようですね

「俺や千葉のような、90年代に活躍したニューウェイブ系でも
 温故知新的な試みはあるにはあったが…
 ここまでネオクラシカルなラーメンが幅を利かせたことはなかった。
 それがどうしてかはまだ分からんが…
 最近のスランプからの脱出や、米倉攻略のカギがそこにあるような気がしてな」

「あのー、その理由わたしは分かるような気がします」

「ん?どういうことだ夏川」

「ニューウェイブ系は一言でいうとアンチ昭和ラーメン。
 B級グルメに甘んじる前の世代への反発心みたいなものがあり、
 今までにない新しい味に挑む姿勢が強かったですよね。
 対して新世代系は、そうした昭和ラーメンへの反発心はまったく感じられません。
 だから昭和ラーメンのフレームを借りることにも抵抗がないんだと思います」

そんな風に「昭和のラーメンと枠組みが同じ」ということについて、持論を語り始めた夏川さん。
それによると、芹沢サン達の世代は昭和のすぐ後だったこともあって、昭和ラーメンに対する反発心がすごかったと…
なるほど、確かに芹沢サン達にはそういう一面があると思います。たとえば前回の話にしても
「昔ながらの中華そばが一番だとくだらないことを言ってた奴らだ。奴らには心底ムカついたよ」
ってことを芹沢サンが言ってて、昭和ラーメンに対する反発心ハンパねえなと思ったもんです
ちなみに芹沢サンだけじゃなくて藤本クンもそういうところありましたよね

「昔ながらの中華そばが一番だ」と主張するガンコなオッサンを見て「出たよ…年寄りによくいる中華そば原理主義者だ…」と頭を抱えたり、
「そんなに普通の中華そばが食いたけりゃ、流行らない中華料理屋とか寂れたドライブインにでも行けばいいんだよ」と愚痴ったり
いわゆる昭和ラーメンに対する反発心を強く持ってたように思います

これだけ藤本クンや芹沢サンが反発してたのはたぶん、
新しいものを受け入れようとしないガンコな昭和オヤジと何度もぶつかった経験があるからでしょうね
だからアンチ昭和ラーメンという立ち位置になり、「昭和ラーメンとは違うものを作ってやる」ってことに躍起になっていたと…
その一方で最新世代のラーメン屋は、多様化した平成世代を挟んでるだけにガンコな昭和世代とぶつかる機会も少なく、
それによって昭和アンチにならずに、素直に昭和ラーメンの枠組みを受け入れていると…夏川さんの話はそういうことみたいですね

「なるほど…だがまだスッキリしないな…
 昭和ラーメンのフレームを借りるのに反発心がないとしても、
 それぞれもっと違う味になっていいはずだ。
 なのになぜ、ハイスペック醤油ラーメンはああも似通っている?」

「それは…」

「ここには何か時代の流れのようなものが潜んでいる気がするんだ」

がしかし、昭和ラーメンへの反発心がないとしても、あそこまで似ているのは何か引っかかると語る芹沢サン。
今の時代、昔のフレームを借りて現代のスペックで作ったり、みんな似たような商品を作るという流れのようなものを感じると…
ふむ…この話を聞いて俺が思ったのが、ゲーム業界でもこういう流れってあるよなってことなんですよ

たとえば一番わかりやすいのがリメイク商法。
昔ヒットしたことのあるゲームを、現代の技術でリメイクしてもう一度売るっていう商法ですよ
これってまさしく昔のフレームを借りて現代のスペックで作り直したもので、
今のゲーム業界ですっかりおなじみになった商法ですよね

つい最近でもFF7のリメイクだとか、聖剣伝説3のリメイクがもうすぐ発売するって話題になってるし
もうほんと昔のゲームのリメイクだらけになっちゃったよなと思ってます
いやまあリメイク版のアンジェラめっちゃ可愛いんだけどね!?(えー

以前の聖剣3よりメチャメチャ可愛くなってて正直これのためにリメイク版買いたいレベルなんだけどね!?
ただ、それほどにキャラ絵やグラフィックは進化していても枠組み自体は進化していないっていうのが
今回芹沢サンの言ってることだと思います



たとえばさっきのこの絵で言うと、スープ・醤油ダレ・麺・具の項目を
キャラ絵・グラフィック・サウンド・ゲームバランスとかに置き換えれば
ゲーム業界は確かに昔よりずっと進化したと思います
でも基本的なフレーム自体は進化してないと思うんですよね

昔ヒットしたゲームの枠を借りていることが多く、
「まったく新しいゲーム」を作ることがなかなかできてないと思うわけです
新作が出るにしても人気シリーズの続編ってことがほとんどで
完全な新規タイトルのゲームってほとんど見かけなくなっちゃいましたしね

そんな中、たまに完全新規のゲームがヒットすることもあるわけですが、
その結果どうなるかというと似たようなゲームが一気に生まれるって現象が起きると思います
俺が特にそう思うのはソシャゲですよ。ソシャゲは近年になって開拓された界隈で
今までにない新規タイトルがいくつかヒットしたわけですが
でもその結果似たようなゲームが大量に出てきましたよね

たとえばソシャゲでよくあるゲームっていうと、スタミナ制のゲームで時間が経つと回復したり、
課金してガチャを回すことができたり、SレアとかSSレアとかのレアリティが設定されてたり、

もうほんとみんなこの枠組みだよなと俺は思うわけです

つまり、新しいゲームが出てきても結局みんなその枠組みを真似するわけで、
結局のところヒットしたゲームの枠組みを借りるってことはここでも同じだと思うんですよね
リメイクにしろソシャゲにしろ、何かしらヒットしたゲームの枠組みを借りて作るってことは同じで
そこに自分なりのアレンジを加えても、根本的には新しくなってないっていうふうに俺は思ってます



たとえば前回出てきたラーメン屋の店主とかまさにそのタイプだと俺は思うわけです
何年か前にヒットしたラーメンの味を好きになり、それを自分なりにアレンジして出してるわけですけど
それは結局以前ヒットしたラーメンの枠組みを借りて作ったものだから、本当の意味で新しいラーメンを作れておらず
他の店主も同じような状況だから似たラーメンの店がぞろぞろ出てきてしまったってことになってるんだと思います

もし俺のこの考えが当たってるとするなら、芹沢サンみたいなタイプのラーメン屋って
今の時代にほんとに必要な人だよなと思うわけです



なぜなら芹沢サンって、今までのラーメンの枠組みにとらわれず新しいものを作れる人だからですよ
芹沢サンにとって、ラーメンの枠組みとは真似するものではなくむしろ破壊するものだと思っていて
そうすることでしか新しいラーメンは生まれないと思っているわけですから、
枠組みにとらわれてしまっている今の世の中で一番必要な人だと思うんですよね
芹沢サンみたいな人がいないとみんな似たようなものばかり作っちゃうからね…
いっそラーメン業界だけじゃなくてゲーム業界にも来てくださいよ芹沢サン!(えー

話が長くなりましたが、ともかくゆとりちゃん達との食事を終えて店を出ることにした芹沢サン。
ただ、いまだに逆転の策は浮かんでいないようで、悩みながら家路につこうとしますが…

「おうおう!!芹沢のダンナじゃねーか!!
 ゆとりちゃんもなっちゃんも久しぶりだなっ!!」

 

ってどきゅんのオヤジキターー!!
ここに来て突然どきゅんのオヤジが登場かよ!相変わらずの濃い顔してんなオイ!
知らない人に説明しますと、このオッサンは「らーめん厨房どきゅん」という店を経営してる武田さんってキャラです

前作のらーめん才遊記や、前々作のラーメン発見伝で何度も登場したお馴染みのキャラで
性格的には豪快で野蛮で下品で粗暴なオッサンといったところでしょうか(えー
ただ、それだけケダモノみたいな性格をしてるわりに、自分の店に関してはきっちり繁盛させており
単なるバカとは言い切れないあなどれないオッサンって感じですね

実際、今もこんな風にバブルみたいな豪遊してるところを見ると
店の方はバリバリ繁盛していて儲かってるってことじゃないでしょうか
ふむ…長い年月を暮らすうちに、芹沢サンや千葉サンが気力を失ってしまった中で
この人だけはバリバリ元気で暮らしてるっていうのがすごいですよね
やっぱりこういう超ポジティブな性格っていうのはそういうところが強いよな…

現実でもこういうタイプのオッサンって会社でずっと元気に暮らしてるんですよね
ぜんぜん悩んだりしないからストレスを受け流せるっていうか、
逆に色々悩んでしまう繊細な人ほど、途中で脱落することが多いと思います
そういう意味じゃ豪快なクソオヤジの精神っていうのも見習うべきところがあるよな…

ちなみに、このオッサンが経営してる「らーめん厨房どきゅん」っていうのは
ラーメン二郎系の超特大ボリュームがウリの店です
性格が豪快ならラーメンも豪快っていうね、俺は二郎のボリュームなんてとても食えないから
まったくもってこのオッサンとは人種が違うぜ

芹沢サンなんかも繊細な味わいを信条とする理論派の人だから
豪快なうえに本能だけで生きてる武田のオッサンとはまるっきり正反対ですよね
ただ、それだけ正反対なだけにこの2人がどんな化学反応を起こすのか楽しみです
確か芹沢サンは以前のシリーズでも、
「武田のオヤジのように本能で成功している人間から学べることは多い」と言っていたから
もしかすると今回もそういう風に成功の秘訣を感じ取るのかもしれませんね



最後に、今回のラストベージでこんなお知らせがありました
なんと「ラーメン発見伝の芹沢サン」、「らーめん才遊記の芹沢さん」っていう
今までのシリーズの芹沢サン絡みのエピソードを再録した本が出るみたいですね

というか芹沢サンって発見伝だと芹沢サンで、才遊記だと芹沢さんだったの!?(えー
いやすいません、今ごろになってようやく知りました。発見伝での芹沢サン呼びがあまりにも印象的だったんで…
あと才遊記になってからは社長って呼ばれることが増えたから、芹沢さんって呼ばれてることに気づかなかったのもあるなー

まあとにかく芹沢サン絡みのエピソードをまとめてくれるのはありがたいですよ。
芹沢サンって今までは主人公じゃなかったから、出番がちょくちょく飛んでて探すの結構大変なんだよな
あと「夢VS現実」ってフレーズがでかでかと書いてあるのは、
芹沢サンがラーメン職人としての夢と現実の間で悩み続けたキャラだからでしょうね

「こういうラーメン職人でありたい」という夢を持ちながら、しかしそれが上手く行かない現実の前に苦しみ、
夢をどのようにして現実の中で叶えていくのかってことに苦心し続けたキャラが芹沢サンだから
「夢VS現実」っていうキャッチフレーズがついたんだろうと思います。
これは芹沢サンを知らない人にもオススメの本になりそうな予感。それでは次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第5話



「久しぶりだな武田さん、羽振りがよさそうで何よりだ」

「おう!ここんとこ俺のらーめん厨房どきゅんはどんどん店を増やしてっかんなぁ!ボロ儲けよ!」

さて前回、芹沢サンの前に突如として高級外車を乗り回しながらやってきた武田のオッサンですが
やはりというかなんというか、このオッサンは今でもバリバリに金を稼いでるみたいですね
このオッサンの店は以前から二郎系ラーメンの大手として不動の地位を築いていたわけですが
今でもまだ上り調子で店を増やし続けているとは恐れ入ったぜ

「そういや芹沢のダンナ、米倉とラーメン勝負やんだって?あの野郎をボコボコにしてくれや!」

「ん?米倉くんと仲でも悪いのか?」

「別に会ったこともねーしラーメンを食ったこともねーけどよ、
 テレビとかでラーメンは創作麺料理だとかなんとか、
 気取ったゴタクばっか並べていけ好かねえ野郎じゃねーか」

「俺も昔から似たようなことを言ってきたが…」

「あんたはいいんだよ。口では何を言おうが本性はイカれたラーメン馬鹿だからな!」

「イ、イカれたラーメン馬鹿!?」

「馬鹿じゃなきゃ鮎の煮干しなんてメチャクチャ金のかかるもん使うかよ!?
 おかげで店が潰れそうになっただなんてどうかしてるぜっ!」

そんな中、米倉のことは「気取ったいけ好かないヤロー」と言いつつも、
芹沢サンのことは「イカれたラーメン馬鹿」と親しみを込めて応援する武田のオッサン。
確かに芹沢サンは、パッと見ではただのイヤミなハゲですけど
実のところは滾るような情熱で己のラーメンを追求する男ですし
その熱い情熱があるからこそ、読者から愛されているところがありますからね。武田のオッサンもそれは分かってるってことか

「しかし…なんだかんだ言っても米倉くんはムシュロン二つ星、簡単な相手では…」

「ムシュロンがどうした!?しょせんこの前までラーメンを食ったこともねえ
 海の向こうの連中じゃねーか!!ムシュロンが認めようが俺は認めねえ!
 米倉なんざ殺っちまえーっ!!」

って、芹沢サンが煮え切らないことをブツブツ言っていると、それをガツンと一喝する武田のオッサン!
殺っちまえとかとんでもないこと言ってますが、それはそれとして
相手がムシュロンの肩書きを持ってようがなんだろうが一切物怖じする必要はないという
武田のオッサンの気概は見習いたいですね。やはりこの手のオッサンのメンタルは最強だな

この前の千葉サンなんかは、ムシュロンという肩書きを評価するあまり業界を去ってしまいましたが、
武田のオッサンにとっては「ムシュロンの肩書きなんざ俺には通用しねえ」というくらい
これっぽっちも気にもしていないというわけか。そんなオッサンの話を聞かされた芹沢サンはというと…



なんと憑き物が落ちたような笑顔を見せることに!
うおー芹沢サン!ついにしょぼくれた気持ちから開放されましたか!
おそらく今の芹沢さんの心境としては「俺は今まで何をウジウジしていたんだろうな」って感じで
意気消沈していたのがバカバカしくなったような気持ちじゃないでしょうか、
武田のオッサンの豪快で何も気にしないメンタルに触れたことで、いい影響を受けたみたいですね
やっぱりこういうオッサンのメンタルって見習うべきところがあるよな…
ともかく、ついに芹沢サンは今までのしょぼくれムードを吹き飛ばしたようで、復活した姿で米倉との対決に臨むことに…



そんなわけでいよいよやってまいりました、芹沢サンと米倉が激突する時が!
大観衆とテレビカメラが見守る中での大一番、そんな2人の対決のお題は
「お酒を使ったラーメン対決」だそうですよ。
かなり創作の力が試されそうなお題なだけに、芹沢サンが本領を発揮すれば勝ち目も十分ありそうですね

「ラーメンの美味しさのポイントは旨味ですが、お酒も実は旨味が豊富。
 新しいラーメンの可能性が開けるんじゃないかと期待が膨らみます。
 芹沢さんと米倉さん、2人の天才ラーメン職人ならそれが出来そうですしね」

「なるほど!これは楽しみになってきましたぁ!それでは米倉さん、決意のほどを一言!」

「先ほど2人の天才ラーメン職人とおっしゃいましたが、
 今の芹沢さんは天才と言えますかね?
 すっかり才能が枯渇してニューウェイブというよりもはやオールドウェイブ、
 僕はあの哀れなご老体に引導を渡すつもりです!!」

ってゲェー!?対決前の挨拶でいきなりめっちゃ過激な勝利宣言をぶちかます米倉!
「哀れなご老体」とか言ってくれるじゃねーかコノヤロー!涼しい顔して強気な性格してやがるぜ
さあさあこうなると芹沢サンがなんて言うのか楽しみですよ、米倉をギャフンと言わせるような一言をバシッと…

「芹沢さんっ!今のを聞いてどうですかっ!?」

「い、いやあ、そう言われましても…確かにラーメン職人として
 衰えを感じることの多い今日この頃でして…」



ってアレー!?こいつはなんとも予想外な!モジモジとうつむきながら弱気な言葉を口にする芹沢サン!
これは俺も予想してませんでしたが…しかしですよ、まだ慌てるような時間じゃない(えー
この芹沢サンの顔は今までのしょぼくれ顔と違って妙に演技くさい顔をしてますからね
これは本心で言ってるんじゃなくて、周りの人間を騙すためのブラフの可能性が…

「なんだか可哀相だな…芹沢さんって昔は自信満々なキャラだったのに…芹沢さん頑張れ!」

「そうだ頑張れーっ!ムシュロンなんかに負けるなーっ!」

「ありがとうございます、ありがとうございます!」

「米倉は生意気だぞーっ!」

「二つ星で天狗になってるんじゃないのか!?先人を敬えーっ!」

「げげ…!?」

そんな芹沢サンのしおらしい姿を見た観客たちは、みんな一斉に芹沢サンの味方になってしまい
逆に米倉は悪役としてバッシングされてしまう結果に!そして芹沢サンはというと
慌てる米倉を見ながらニヤニヤとほくそ笑んでおります



やっぱりブラフだったんじゃねーか!こういう風に余裕の笑みを浮かべながら完膚なきまでに相手を叩きのめすのが
芹沢サンの真骨頂なので、もうすっかりいつもの調子が戻ってきたみたいですね
そんなわけで2人の挨拶タイムが終わり、いよいよラーメン対決が始まることになります
どうやら今回は先攻・後攻に分かれて調理するらしく、まずは先攻の米倉が自分のラーメンを完成させますが…
 
 

そんな米倉のラーメンを食べて「!!」と驚愕する審査員一同!
ちなみに一口食べて「!!」っていうリアクションが出る時は、この漫画だとだいたい
めっちゃ美味いラーメンが出てきちゃった時です(えー
そういう意味じゃ米倉のやつ相当なラーメンに仕上げてきたっぽいな…
芹沢サンもすっかり目を丸くしちゃってるじゃないですか!さっきの余裕ヅラが吹っ飛んじゃったよ!

「完備で優雅で奥深い味のスープですね!使ったお酒は日本酒でしょうか?」

「その通りです、濃醇甘口タイプの純米酒を火にかけアルコールをとばし、
 昆布ダシとあわせて塩ダレで味付けしています。
 塩ダレにはホタテとイタヤ貝の貝柱をブレンドして使いました」

「日本酒、昆布、貝柱と旨味の強い3種のブレンドですか…しかし意外とシンプルな作りなんですね」

「日本酒に含まれる旨味は一般的なワインの2倍、ビールの10倍と言われています。
 加えて甘みもたっぷり含んでおり、良い日本酒からアルコールをとばせば
 それだけで高品質なスープとなります。そのうまさを立たせるため余計な味を重ねず、
 日本酒をドンと中心に置き、ダシとタレは補佐的な役割にとどめたんですよ」

どうやら米倉が作ったものは、日本酒をベースとした塩ラーメンのようで
余計な味を加えることよりも日本酒の味を活かすという方向性で考えたようですね
なるほど確かに「お酒を使ったラーメン」という意味でも、余計な味で誤魔化すことより
日本酒の味を活かしきった方がお題に合っていると思うし、それとうまい料理は引き算が大事って言葉をよく聞きますよね
あれこれ色んな調味料を足すより、むしろ引いていって最小限の調味料で最大限の旨味を引き出すみたいな。
米倉は今回そういう料理を作ってきたってことだと思います

(食材を絞り込み、それぞれの味わいを必要最小限に抑制したうえで、緻密にバランス取りしている。
 この旨味をチューニングするセンスは非凡と言うしかない。米倉の真骨頂だな…)

そして芹沢サンはというと、米倉のラーメンについて「緻密なバランスで成り立っており非凡と言うしかないセンス」と表現していました
非凡と言うしかないセンスっていうのは要するに天才的なセンスってことですよね、それぐらい認めざるを得ないと。
そんなうまいラーメンを食べながら芹沢サンはめっちゃ不機嫌そうな顔してますが、これは要するに
「なんて美味いラーメンを作りやがるんだ」っていう風に
自分以外の奴がすごいラーメンを作りやがったことが面白くない顔だと思います(えー



そしてさらに出たー!有栖サンの大仏顔が!
知らない人に説明しますと、有栖サンというのは非常に確かな味覚を持っている審査員で
文句なしに美味いラーメンを食べるとこういう顔になってしまうんですよ

この漫画において有栖サンの大仏顔が出るということは、一流のラーメンとして太鼓判を押されたのと同じだということです
米倉のやつ、てっきり肩書きだけのかませ犬かと思っていたらガチで実力ある強敵じゃねーか!
俺が想像してた以上にできる男でしたね米倉…ムシュロン二つ星はダテじゃないということか

こうなってくると、芹沢サンが勝つためには「文句なしに一流のラーメン」をも超える
超一流のラーメンを出すしかありません
芹沢サンの実力をすべて出し切れれば不可能ではないと思いますが、
想像していた以上に高いこのハードルを果たして超えることができるのか…?



それとドラマの方のらーめん才遊記についてですが、なんと気がついたら
もう放送する寸前となってますね
俺としても具体的な日時を覚えてなかったので、よくよく調べてみたら驚きました
放送されるのは4月20日(月)の夜10時テレビ東京系列ですよ!
マジで放送される寸前やんけ!
俺がもっとモタモタしてたらドラマが終わった後にこの感想アップするところだったわ(えー
ドラマについてもどうなるのか気になるところですね…女体化した芹沢サンはどんな感じになるのか…次回に続く!

 


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第6話

さて前回、米倉が作った「日本酒ベースの塩ラーメン」の完成度を目の当たりにして、
米倉の天才的センスをひしひしと感じることになってしまった芹沢サン。
そして今回、米倉から味について直接尋ねられますが…



「どうでしたか、僕のラーメンは?」

「素晴らしかったよ、さすがと言うしかない。
 うまいこと会場を俺のホームに変えたつもりだったが…そんなことはどうでもいい誤差に思えてきた」

(ん…?芹沢さん、これまでとは雰囲気が変わったような…)

「これから作るのは、俺の最後のラーメンになるかもしれない。よく味わってくれ」

ってここで、「俺の最後のラーメンになるかもしれない」などと、とんでもないことを言い出した芹沢サン!
それほどの覚悟を持ってこの勝負に挑むということですか!?
これはつまり引退を賭けた勝負をするってことを言ってるんだと思います。
もしここで自分がふがいないラーメンを出して負けるようなら、その時はラーメン職人から足を洗うと。
今の自分がどれだけのラーメンを作れるか、人生を賭けるくらいに本気を出すってことですね

《アンタ、本性はイカれたラーメン馬鹿だからな》

(武田のオヤジの言う通りだ…!つまるところ俺はラーメン馬鹿にすぎない!)

そんな芹沢サンを突き動かしていたのは武田のオッサンの言葉であり、
自分の中にある燃えるようなラーメンへの情熱を、すべてこの勝負にぶつけようと思っているようですね
さらに、そんなラーメン馬鹿の芹沢サンには、そう思うだけの過去があるようで…



(かつて俺はそれなりの大学を出て、それなりの企業に就職し、それなりの相手と家庭を持った…
 しかしラーメン屋になる夢を捨て切れずに退職し…妻には愛想を尽かされ離婚した。
 それでも店は上手くいくと思っていた…学生時代から続けてきたラーメン作りには自信があったからだ。
 大甘だった…まるで客は入らずに店は潰れかけた…)

これがその芹沢サンの過去だそうですが…何より驚いたのは芹沢サン結婚してたんすか!?
そんな話はじめて聞いたんだけど!?これまで40巻近く続いてきたシリーズで、一切明かされてなかったからマジで驚いたわ!
しかもこの頃は髪もフサフサだったみたいですね…(えー
いや芹沢サンの髪は本当なら今もちゃんと生えてくるはずなんですけど、
「間違ってもラーメンに髪の毛を入れたくない」って理由で、あえて髪を全部剃ってるんですよね

そういう意味じゃ奥さんの衝撃も相当だったでしょうね。今までフサフサの髪だった夫が
ある日突然ハゲ頭になって「会社やめてラーメン屋はじめるわ」とか言い出したわけだから
こんなん普通の奥さんだったら急に夫の頭がおかしくなったとしか思えませんよ(えー

そんなわけで奥さんとは離婚し、ラーメン屋を始めたものの、店は全然うまく行かずに潰れかけるハメになり…と、
この頃の芹沢サンはまさに人生の転落期って感じですね。まあそれは自分がラーメン馬鹿なために起きてしまったことなわけですが。
それにしても、このへんの芹沢サンの話を聞いてると藤本クンとは正反対ですよね



藤本クンもまた、もともと会社員だったのが脱サラしてラーメン屋となったクチなわけですが、
芹沢サンと大きく違うのは、恋人の佐倉サンがそのことを理解してくれて
脱サラした後も藤本クンについてきてくれて、2人で仲むつまじくラーメン屋を切り盛りするようになったっていう。
しかもそのラーメン屋は、うまく軌道に乗って繁盛しているみたいですしね

そう考えると、妻はついてきてくれず店も繁盛しなかった芹沢サンとは
光と影のように逆の結果になったと言いますか
「会社員だったのが脱サラしてラーメン屋になった」ってことは同じでも、
そこからハッピーエンドになったのが藤本クンとするなら、バッドエンドになってしまったのが芹沢サンって感じがしますね
ラーメン発見伝のラストのことを考えても、この2人はそういう宿命なのかもしれませんね

(その後、ヒットメニューの濃口らあめんを生み出し大逆転したが…
 もっともそれは、コッテリ好きの不愉快な客に嫌がらせのように
 大量のラードをブチ込んで生まれた、偶然の産物にしか過ぎなかった。
 運よく大穴を当てた愚かなギャンブル狂と、俺の何が違う?
 ニューウェイブ系のカリスマ、天才的なラーメンコンサルタント…
 それらはすべて世間が俺に貼り付けたレッテルにすぎない。
 だがいつの間にか俺はそのレッテルを演じるようになり…
 呪縛されるように身動きが取れなくなっていたんじゃないか?
 米倉は大した奴だが、必要以上に大きく感じていたような気がする。
 それはムシュロンという、俺以上に大きなレッテルを貼られた人間だからだ)

《ムシュロンがどうした!?しょせんはこの前までラーメンを食ったこともねえ、
 海の向こうの連中じゃねえか!!》

(まったくだ…!ムシュロンにラーメンの何が分かる?
 武田のおかげで目が覚めた!俺はカリスマでも天才でもない!
 好きなラーメンを好きに作りたいだけの、イカれたラーメン馬鹿だ!!)



さあそして、自分自身のレッテルや米倉のレッテルに惑わされていたことに思いを巡らせながらも
そんなレッテルなどラーメンへの情熱に比べればどうでもいいことだと言わんばかりに
イキイキと躍動しながらラーメン作りを進める芹沢サン!自分に絡みついていたレッテルをすべて投げ捨て、
これが本当の芹沢達也だという気持ちを思いっきり解放しているような感じですね

それにしても、これほど芹沢サンのやる気を引き出したのが武田のオッサンだったっていうのは意外だったなあ
俺としては個人的に、芹沢サンをこれだけ闘志満々にできるキャラは藤本クンぐらいだと思っていたので
てっきり藤本クンがきっかけで立ち直るんじゃないかと思っていたんですよ。でもそれをやったのは武田のオッサンだったので
なんかこう芹沢サンが寝取られちゃったみたいな気持ちになったというか…(えー



さて、そんなバカなことを言ってる間にも完成した芹沢サンのラーメン!
この一杯には芹沢サンの情熱がすべて詰め込まれているはずですが、そのお味の方は…

「えっ!?に…苦い!?ちょっと味わったことのない美味しさですね!?」

「確かに!食べる手が止まりません!なんなんですかこの味わいは!?」

「ビ、ビールですね…!」

「米倉くんの言う通りです」

そんな芹沢サンが作ったラーメンはビールを軸にしたものであり、ビールの苦味を活かす形で味付けをしたようですね
ふむ、米倉の作ったラーメンが日本酒の甘味を活かす形で作ったものだったことを考えると、
選んだ酒と味の方向性がそれぞれ異なるということか?



さらにそんな中で有栖サンの大仏顔が炸裂!
この顔が出たってことは、一流のラーメンだと保証されたようなもんだから、とりあえず安心ですよね
それと有栖サンの言ってることで気になったのが、「苦味・甘味・旨味のトロイカ」ってことで
苦味だけかと思ったら甘味もしっかりしてるラーメンだったようですね

となるとこの勝負、甘味を活かした米倉に対して甘味と苦味を活かした芹沢サンって感じで
苦味の分だけ芹沢サンが有利ということになるのか?果たして審査員の判定は…

「3人の審査員の皆さん!それでは芹沢か米倉か、いずれかの札を上げてください!」

バッ!

「芹沢・米倉・芹沢!2対1で芹沢の勝利ですーっ!!」

ワアアアアア!

「どちらも斬新かつ洗練の極みのような素晴らしい味でした。
 ただラーメンのジャンルに苦さという要素を導入した芹沢さんの斬新さは、一枚上手と感じましたね」

そんな審査員の判定によって芹沢さんの勝利が決定!決め手となったのはやはり苦味だったようですね
それと俺的には、苦味と甘味の他にもうひとつ気になる要素があったんですよ。それは旨味でして
前回の話で米倉が、日本酒の旨味はビールと比べて10倍すごいと語っていたんですよね



つまり、酒選びの時点で米倉のほうが遥かに旨味のあるものを選んでいたわけですが
しかし両者のラーメンは最終的に、ほとんど差がないほどの旨味に仕上がっていたわけで
それってつまり、芹沢サンの方が酒の旨味をよりいっそう引き出したってことなんじゃないかなと思うんですよね
ビールという難しい題材に挑戦し、見事にそれを活かしきって旨味を引き上げたと言いますか。

「この結果は心底くやしいです。しかし…心底うれしくもあります」



そんなわけで敗北してしまった米倉ですが、しかし悔しさと同時に嬉しさも感じていると
穏やかな表情を浮かべております。どういうことかと話を聞いてみると、
どうやら米倉はかつて芹沢サンの淡口らあめんに感動してこの業界に入ったようで、
米倉にとって芹沢サンは大尊敬する人であり、目標のラーメン職人だったそうです

がしかし、そんな芹沢サンが最近すっかりふぬけてしまっており、そのことが米倉には残念で仕方なく
「そんなことでいいんですか芹沢サン」とぶつかるような態度を取っていたんだとか…
なるほどやっぱりそういうことだったんですね、確かに米倉は以前からそういう雰囲気出してましたし
それとやっぱり「淡口らあめんに感動した」って言ってくれてるのがいいですよね

淡口らあめんとは芹沢サンにとって、自分の夢と情熱を詰め込んだ「最初に完成した理想のラーメン」なわけですが
その繊細な味わいが大衆にはまったく理解してもらえず、「なんか味が薄くてよくわからんラーメン」としか評価されずに
店の経営はどんどん傾いていったわけですよ。そんな中で芹沢サンが「そんなに濃い味がいいなら濃くしてやるわクソが」
ヤケクソになって作ったのが濃口ラーメンであり、せっかくの淡口ラーメンの風味がすべて塗り潰されたシロモノなわけですが
しかしこれが大ヒットしてしまい、「いやー濃口ラーメン最高にうめーわ」という客で溢れかえってしまったという…

なので芹沢サンにとって淡口ラーメンとは、自分の理想を追求したものの
理解してくれる人がほとんどいなかったという悲劇のラーメンであり、
この良さを理解してくれる人というのは非常に貴重なわけですよ

何を隠そう、藤本クンもまた貴重な理解者の1人であり、
芹沢サンと藤本クンの因縁は、淡口ラーメンの良さを分かりあえたところから始まったわけです
なので「最大の理解者であり最高のライバル」っていうのがこの2人の関係性でしたね…

それと今回の話で気になったのは、芹沢サンのラーメンに感動したのは米倉だけじゃなくて
米倉と同世代の新世代系ラーメン屋がみんなそうだったってことですね
おいおいちょっと待ってください、こいつらって確かみんな似たようなハイスペック醤油ラーメンを出してるっていう
謎の共通点がありましたよね!?もしかしてあの共通点って
みんな芹沢サンのラーメンに影響を受けたからっていうのが真相だったのか!?

あれってそういうことだったの!?マジで!?
俺としてはてっきり、あの共通点が米倉を倒すためのヒントになるのかなと思ってたんですが
別にそういうこともなく勝負終わっちゃったから、
あの共通点は単に「新世代の奴らはみんな芹沢サンの淡口らあめんが好きで、
それをベースにしてハイスペック醤油ラーメンを生み出した」
っていうことだったんだろうか。
ううむ、このへん次回あたりで語られるのかなー



ともかく最終的に、芹沢サンは米倉とも和解し、再びラーメン職人としての大復活を遂げるのでした
というか今回の話で芹沢サンが完全復活しちゃったってことは
次回あたりもう最終回ってことになるんじゃ!?(えー
いやマジで、たとえば次回で芹沢サンがラーメン作りながら「俺たちのラーメン道はこれからだ!」みたいに言って
ラーメン再遊記・完ってなってもおかしくないんじゃ!?

うーむ…テレビドラマのらーめん才遊記も始まったことだし、ドラマが始まるまでの短期連載だったと考えれば、
ここで終わるのは確かに理解できるタイミングですが…俺としてはもうちょっと見ていたかったなー
ちなみにドラマのらーめん才遊記についてですが、実際に見てみたところ
思ったよりいい感じのドラマだなと思いましたね

なにがいい感じかと言うと原作の展開をけっこう大事にしてる感があるなと。
ドラマの第1話は、原作コミックス第1巻の展開をできるだけドラマで再現したという印象がありました
よく漫画の実写化でありがちなのは、原作の展開をまるで無視して原型をとどめないような話になってしまうってことですが
らーめん才遊記に関してはその心配はなさそうで、原作ファンも安心して見れるドラマなんじゃないかなって気がしました



今回のドラマってそもそも芹沢サンが女体化するところから始まってるんで
原作の展開なんか守る気全然ないんじゃないかと思ってただけに、
意外としっかり原作を守ろうとしてる意思を感じて嬉しかったですね
あと俺的に「これは!」と思ったのが、店のラーメンの売上グラフが出てきたシーンですよ



これがそのシーンなんですが、濃口醤油ラーメンと月替わりラーメンが売り上げをグーンと伸ばしてる中で
ずっと低空飛行を続けているのが淡口醤油ラーメンっていうね
いやあ芹沢サン好きの人間からしたら、このグラフ見ただけで「芹沢サン…!!」って気持ちになりますよ(えー
さっきも言ったように、淡口らあめんは芹沢サンにとって理想となるラーメンなわけですが
それが理解してもらえない切なさっていうのを抱えて芹沢サンは生きているので
このグラフからはそれがヒシヒシと感じられて、芹沢サンを表現するのにいいグラフだなと思いましたね。次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第7話



さて前回、米倉とのラーメン対決を見事な勝利で飾った芹沢サン。そして今回はというと、
その勝利を祝して社員のみんなと有栖サンが集まって祝勝会をやるという内容になってますね
みんなが喜んでる中で芹沢サンはブスッとしてますが、素直じゃないだけなので
こう見えても内心は喜んでると思います(えー

「いや〜ボクァ嬉しいよ芹沢クン!君はもうダメになったかと思っていたからね!(バンバン)」

「お、おい、汐見お前なぁ!」

「ふふ…でも気持ち的には僕も汐見さんと同じですよ、あんな見事な復活劇を見せてもらえるとはね」

「ですよね〜〜っ!!」

「対決の前にハイスペック醤油ラーメンの話をしていた時は、どうなることかと心配しましたけど」

そんな祝勝会では、あまりにも無礼講すぎるゆとりちゃんが色々と暴走していましたが、
ふとした会話の流れから、試合前に言っていたハイスペック醤油ラーメンの話が始まることになります。
ふむ…ハイスペック醤油ラーメンが結局どういう意味を秘めているのか、今回の試合では分からずじまいでしたが、
それについては有栖サンから一言あるようで…

「実は僕もハイスペック醤油ラーメンについては考えていたことがあるんですよ。
 僕が思うに、これはラーメンの高級そば化の兆候ではないかと」

「はあ…高級そば化?」

「日本そばは江戸時代に現在のスタイルを確立し、長らく大衆料理として愛されてきました。
 しかし戦後になると徐々に、安価な立ち食いそばと高級そばに二極化していきます。
 立ち食いそばはファストフードとしての人気を博し、
 高級そばは数千円以上になることも珍しくないものの、クオリティの高さからそば通の支持を獲得します。
 そういう店であっても、主軸となるそばは昔ながらの「ざる」であり「かけ」。
 料理としてのフレームは江戸時代と変わっていない。ハイスペック醤油ラーメンとよく似てるよね」

「ああ…!ほんとですね」

「つまりB級グルメな大衆料理から始まり、本格的な高級料理へと進化していったそばの歩みを
 ラーメンもかなり近い形でトレースしているんだ。
 そばがそうなる前には、寿司や天ぷらにおいても一部の店が高級系へと進化を遂げた。
 大衆料理というジャンルにおいて常に発生してきた現象が、ついにラーメンにも発生したということだね」

そんな有栖サンの意見としては、そば、寿司、天ぷらといったジャンルでも
お手軽な大衆料理からお高い高級料理へと進化する時には、
「フレームは変わらないままハイスペックになる」という流れが常に発生しており
ラーメンに限らず料理業界によくある現象だと言いたいみたいですね

うーむ、ハイスペック醤油ラーメンについては俺もいくつか「こういう意味なんじゃないか」と持論を展開してきましたが
こうして有栖サンの話を聞いてみると俺の話はぜんぜん無関係だったみたいだな!(えー
くそ…ゲーム業界に絡めてみたり、芹沢サンの作ったラーメンに絡めてみたり、いろいろ語ったのにカスリもしとらんな…
それにしても、「フレームが変わらない」っていうのは昔のまま代わり映えしないみたいで、
それでええんかいと俺的に気になるわけですが…



「今の有栖くんの話の中には、我々ニューウェイブ系が衰退した原因も隠されている気がするな」

「え?」

「ニューウェイブ系も本格志向、高級志向のラーメンを目指したが、ゼロ年代の間に衰退してしまった。
 その理由は色々と考えられるが…この前に夏川が言っていた「アンチ昭和ラーメン」だったことは大きい。
 昔ながらの中華そばを好む客は相当数いたのに、それを客としてしっかり取り込めなかった」

「対して新世代系は、ハイスペック醤油ラーメンによってそういう人たちとの接点を持つことができましたね」

「ああ、あいつらは伝統と革新の両輪で客を取り込んだ。
 どこまで自覚的にやっているか分からないが、多分それは本物へと進化するために重要なことだ。
 ニューウェイブ系のように根なし草的な料理しか出していないようだと、B級グルメからは脱却しきれない。
 だから米倉がムシュロンを穫れたのに対し、俺は穫れなかったんだろうな」

って、さっきの有栖サンの話から、自分たちの世代が衰退した理由を考察し始めた芹沢サン。
この話を聞いてて思ったのは、伝統と革新の両立ができているかどうかってところが鍵になりそうですね
芹沢サン達の世代は、ひたすら革新を求めるあまり、伝統との両立ができていなかったことにより
「昔ながらのラーメンが好き」という伝統的な客が離れていってしまったと。
その一方で米倉のような新世代は、革新と伝統の両立をすることによって
伝統好きな客を取り込むことにも成功し、芹沢サン達よりも本格的な成功を掴んだってことみたいですね。

うーむなるほど、そういう「昔ながらのラーメンが好きって人も大勢いる」ってことについては
よくよく考えてみると実は俺もそういうタイプだわって気がしますね(えー
いやすいません、「昔と代わり映えしないまんまでいいのか」みたいなこと言っておきながら
実は昔ながらの形が好きだったとか変なこと言い出してしまって。はっはっは!

というのもですよ、前回この漫画に出てきたビールラーメンや日本酒ラーメンみたいな新しい料理と、
ハイスペック醤油ラーメンみたいな昔ながらの料理のどっちが食べたいかって言われたら
俺的にはハイスペック醤油ラーメンの方を選んじゃうんですよね

なぜかというと、それはやっぱり昔から馴染みがある料理ってことで
安心して頼めるからなんですよ
これを頼んでおけば味は大丈夫だっていう安心感がある。その一方で、まったく見たことがない料理になると、
「これ頼んで大丈夫なんだろうか、俺の口に合うんだろうか」ってことが不安になっちゃって
安心して頼むことができないんですよね。実際それで口に合わなかったら
「ああ…これ頼んだのは失敗だったわ…」って思っちゃうし、そんな風に失敗したくないんですよ。
だから知らない料理はなるべく頼みたくないし、ついつい馴染みの料理ばかりを頼んじゃうっていう。

考えてみたら俺ってどの料理を食べる時もそうなんですよねー
ラーメンだったら醤油ラーメンや塩ラーメン、ピザだったらマリゲリータやイタリアンサラミ、
パスタだったらトマトソースやペペロンチーノみたいに、
とにかく王道で馴染みのある料理が好きっていうか
そういう王道から外れた奇抜な料理って、ぜんぜん頼みたいと思わないんですよ
なんか今まで俺的に「新しいものを作るのが大事だ」みたいなこと言っときながら
こんなこと言い出して本当に申し訳ないんですけど(えー

「そ、それでいいんですか!?社長!」

「いいだろう別に」

「はりゃ?」

「今のはニューウェイブ系というジャンルを背負い、ラーメンの最前線に立ってきた人間としての自己分析だ。
 俺がそのポジションを担い続けるのなら、なんとかしなくちゃならんのだろうが…
 俺は疲れた、もう何も背負いたくないしムシュロンなんざどうでもいい」

「そ、そんな堂々と弱音を吐かれても…」

「武田のオヤジが言った通り、俺はしょせんイカれたラーメン馬鹿で、好きにラーメンを作っていたいだけなんだ」



って、今までニューウェイブ系の衰退について考察してきた芹沢サンですが、
なんと「別に衰退したままでいいや」と言い出し、ラーメン界の最前線に立つのもなんか疲れた
これからはラーメン馬鹿としての隠居生活を送るみたいなことに!ちょ、ちょっと!そんなことでいいんですか!
前回の話で完全復活したかと思ったらなんかまた変なことになってるじゃないですか!(えー

ラーメン馬鹿としての生活…なんだかこの言葉を聞いてると俺が思い出すのは、ラーメン発見伝の藤本クンのことなんですよね
というのも、発見伝での芹沢サンは藤本クンに会うたびに「ラーメンマニアの藤本クン」って呼び方をしてて
それの意味するところはプロの最前線に立っていないアマチュアっていう風に皮肉っていたんですよ



そう考えると、今の芹沢サンって発見伝の藤本クンに非常によく似た立ち位置だなと思うわけです
プロの最前線に立つのではなく、1人のラーメンマニアとして腕を振るうって感じの立ち位置になっていると。
そして俺が思うに、もし今の芹沢サンをもう一度プロの最前線に引き戻せるキャラがいるとしたら
それは藤本クンしかいないんじゃないかと思うんですよね

藤本クンはもともと一介のラーメンマニアだったのが、最前線のプロである芹沢サンとの対決を通して
自分もまたプロの世界へと引っ張り上げられることになったわけで
今度はその逆の展開になるんじゃないかっていうね。
要するに、一介のラーメン馬鹿となった芹沢サンのことを、最前線のプロとなった藤本クンがプロの世界へと引き戻すっていう
そんな展開が待っているんじゃないかと期待しているんですが、果たしてこの先どうなるんでしょうか

「これからのラーメンの最前線を担うのはまず米倉、そして…汐見、お前だ」



がしかし、とりあえず今の芹沢サンはやはりプロの最前線に立つ気はないようで、
その役目は米倉とゆとりちゃんがやるべきだと思っているようですね
ここでゆとりちゃんをご指名ですか!確かに有栖サンも言っているように、
ゆとりちゃんは365日ずっと新作の日替わりラーメンを出せるという
新作ラーメン作りの化け物なので、新しい時代を担うっていう意味じゃ確かに適任とは思いますが…

「う〜ん、私が最前線というのはいいとして、米倉さんと一緒にされるのはあんまり面白くないにゃ〜」

「なに?」

「米倉さんが作った日本酒ラーメンなんて着想も凡庸だし、たぶん大したことないですよ。
 社長のラーメンだってそこそこっぽいのに、それに負けてるようじゃあ…」

「(ピキピキ)俺のラーメンがそこそこだと…?」

「あ、私ったらつい本音を!今日は社長に気分良く過ごしてもらおうって決めてたのに」

「(ビキビキビキ)汐見よぉ…そこまで言うんなら、
 お前は俺や米倉以上の酒を使ったラーメンを作れるんだろうなぁ…!」

「作れますけどぉ、作りたくないです。
 せっかく立ち直った社長をまた絶望に叩き落とすなんて、残酷なハラスメントですよぉ!」

ってゲェー!?なんとここでゆとりちゃんがとんでもない見下し発言を連発することに!
米倉ごときと一緒にされたくないとか、米倉や芹沢サンを超えるラーメンなんかいつでも作れるとか、なにを言うとるんじゃー!?
そりゃこないだも「私にかかれば米倉ごときいつでも倒せる」みたいに言ってたけども!今またそれ言うのかよ!?

なんつー自信家なんだよゆとりちゃん!まあゆとりちゃんがこれだけ無神経で自信に満ち溢れてるっていうのは
初登場した時からそうだったんですけどね
なにしろ初登場時のゆとりちゃんは、芹沢サンのラーメンを食うなり
「すいませんイマイチだと思います」
「このラーメンを美味しくすることならすぐにでもできますけど?」
「私のラーメンのほうが絶対においしいです」
と失礼発言を連発しまくって芹沢サンをブチ切れさせてましたからね

つまりこのクソ無神経で超絶自信家ガールな性格は、初登場の頃からぜんぜん変わってないということか…

「つべこべ言わずに作れぇっ!!社長命令だぁっ!!」

ああそして、最後にはやはり思いっきりブチ切れてしまった芹沢サン!
ゆとりちゃんに対して「そんなに言うなら俺らより美味いラーメン作ってみろやクソが」と命じますが…
これは要するにゆとりちゃんVS芹沢サンの新たな展開!?面白くなってきたなオイ!

ゆとりちゃんVS芹沢サンの展開が見てみたいっていうのは、俺もこれまでの感想で語ってきたことなので
まさにやって欲しかった展開って感じの嬉しい流れですよ
それに、前回のラストが「芹沢サン大復活!」って意味であまりにも綺麗に終わっていたから
もう今回あたりで終わってしまうんじゃないかと心配していたんですが、まだまだ続くようで安心しました

俺としてはこのゆとりちゃんとの対決のあと、
さらに藤本クンとの対決で芹沢サンが最前線に帰ってくるって展開だと最高なんだけど
果たしてどうなるでしょうかね…次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第8話



さて前回、芹沢サンよりも美味いラーメンを作れると豪語したゆとりちゃんに
「だったら作ってみろや」と命じた芹沢サンでしたが、そんな今回のゆとりちゃんはというと
ご覧の通りの得意ヅラをいきなり披露してますね。な、殴りてぇ〜!(えー
くっそーニヤニヤと余裕ぶっこいたドヤ顔しやがって!どうにかギャフンと言わせてやりたいぜ!
ほんとこのシリーズ当初の猫かぶった雰囲気はどこへやらって感じだな、いよいよゆとりちゃんの本領発揮って感じだわ

「できましたよ社長!お酒を使ったラーメン!」

「おお出来たか」

「ただでさえ忙しいのに余計なことさせて!
 臨時ボーナスぐらい出してもバチは当たらないんじゃないですかぁ!?」

「ボーナスだぁ?寝言を言うな!」

「え〜っ!?ドケチ社長!強欲資本主義〜っ!!」

そしてお題の「お酒を使ったラーメン」について、いともあっさりと完成させてしまったゆとりちゃん!
相変わらずこの天才肌っぷりはすごいもんがあるな
ギャースカ騒がしいおしゃべり娘なところも相変わらずですが、果たしてそんなゆとりちゃんの作ったラーメンのお味は…

 
 

おっとここで出ましたね、「!!」が!
これが出るということはあまりの美味さに絶句してるというのがこの漫画のお約束です
さらに芹沢サンの不機嫌顔も出てますね、これが出るということは
「なんてハイレベルなラーメンを作りやがったんだ」と認めたようなもんなので
どうやらゆとりちゃんのラーメンは相当な仕上がりになっているようで…

「こ、このスープは!?いきなり酒、アルコールがガツンとくるっ!」

「ワインを使ってるようだけど、アルコールは全然飛ばしていない!」

「でもアルコールのおかげで魚介風味とニンニク風味が口と鼻いっぱいに充満してます!
 こんな陶酔感と高揚感あふれる味わいは初めてですよぉ!」

「オレンジワインだな…」

「ピンポーン!社長さすがですねぇ!オレンジワインに煮干し、ニンニクなどを
 数日間つけておき、調理直前にアルコールを飛ばさないよう熱しました!
 味付けは味噌だまり。発行中の味噌から染み出してくる液体を使ってます!
 醤油よりまろやかでアッサリしているので、オレンジワインの風味を邪魔せずに引き立ててくれます」

「スープ食材は脇役扱いされているが、
 それらの風味は熱したアルコールの増幅効果により、確かな存在感で立ち上ってくる。
 そのうまさを堪能しているうちに酔いが回り、酔いはまた食欲をそそる…
 こんな味の組み立てをしているラーメン、いや料理は初めてかもしれない…」

そんなゆとりちゃんのラーメンとは一言で言うなら、ワインのアルコールで酔っ払いながら食べるラーメンってことのようですね
アルコールを飛ばしていないために食べているとガンガン酔うというのが特徴で、そういった「酔い」も味の組み立てに利用しているとのことです
「こんな料理は初めてかもしれない…」って芹沢サンも愕然としてますが、
余裕ヅラのゆとりちゃんと暗黒顔の芹沢サンで雰囲気違いすぎなんだが!?(えー



「ラーメン頂上決戦を見ていて思ったんです。どうして社長も米倉さんも、
 お酒を使ったラーメンなのにアルコールを飛ばしちゃうんだろうって。
 米倉さんは完全に飛ばしてたみたいだし、
 社長もチャーシューに微量のアルコールが残ってる程度だったんじゃないですか?」

「ああ、そうだな」

「確かに日本酒もビールも独特の旨味があって、アルコールを飛ばしても美味しさは残りますよ。
 しかしですねぇ…人はつまるところ、酔っ払うためにお酒を飲むんです!
 味は二番目!そんなの常識じゃないですかぁ!」

そしてゆとりちゃんの考えによると、お酒は酔っ払うために飲むもんであり、
お酒のラーメンなら酔っ払いながら食うのが当たり前だと…

そうじゃないとお酒の意味がないと考えているようですね、まあ確かに酒と酔いっていうのは切り離せないもんだしなー

ただですよ、俺がこのゆとりちゃんの話を聞いてて思ったのは
「酔えない酒に意味はない」っていう考え方はそれって酒飲みの発想だよなって思ったんですよ
酔っ払うのが大好きで酒をガブガブ飲みたい人間の発想というか、でもそういうのが好きじゃない人間もいるわけで。
そっち系の人からするとアルコール飛ばしてくれた方がありがたいんじゃねーかなって思いましたね

たとえば俺なんかがまさにそのタイプだし。正直、酒飲んで酔っ払うとか何がいいんだかサッパリ分かんないんですよ
アルコールとかむしろいらないと思ってるくらいだし、そんなことより美味しい食事をじっくり味わいたいというか
そういう意味じゃ米倉のラーメンが一番俺的には食べたいラーメンなんですよね

なぜなら米倉のラーメンってアルコールを完全に飛ばして美味さだけを残したラーメンだから。
こういうのが俺にとって一番興味をそそられるわけです
世間でも「若者のアルコール離れ」とかよく言われてるし、若い世代ほどこういう考えの人は多いんじゃないかろうか
そういう意味じゃゆとりちゃんって、作中じゃ一番若い世代のはずなのに一番オッサンくさい発想してるよな(えー

「俺も米倉も、酒を飲めない客にも大丈夫なものを作ってしまったが…
 酒を使ったラーメンとあったら、客は酔えるラーメンを期待すると考えるべきだった」

「でしょお〜っ!?」

がしかし、芹沢サンは「やっぱ酔えるラーメンの方がいいよなぁ」とゆとりちゃんの考えを支持してしまいます
いやいやそんなことねーって!酔えるラーメンなんか俺はいらねーって!(えー
俺の食いたいラーメンをよこせー!よこさんかー!ちくしょおおおおおおお米倉のラーメン最高!!

「このラーメンには白旗を上げるしかない。これでまだ20代とは末恐ろしいよお前さんは…」

ああ、しかし芹沢サンは俺のことなどすっかり無視してゆとりちゃんのラーメンに負けを認めてしまいます。
マジかよ芹沢サンが白旗を上げるとは…ゆとりちゃんやべえなガチで今作の最強キャラじゃねえか
これまでの俺の感想でも「ゆとりちゃんは強い」って言ってきたものの、まさかこれほどまでに強いとは…
ここまで強キャラになってしまったゆとりちゃんは今後どうするんだろうか

「汐見、ひとつ提案があるんだがいいか?」

「え?いいですよぉ!社長の頼みとあらば、たとえ火の中水の中!」

「本当だな?」

「モチのロンです!」

「じゃあ俺のかわりに社長やってくれ」

「!?」



ゲエエエエエーーー!?
いやいや芹沢サンは急になにを!?まさかのゆとりちゃんを社長にご指名とは!?
最強キャラになってしまったゆとりちゃんはもう社長になるしかないってことなのか!?どーゆー理屈や!?
そうなったら芹沢サンはどうするんだろう、やっぱり引退するんだろうか
こないだも最前線のことはゆとりちゃんに任せて、芹沢サンは隠居したいみたいなこと言ってたし…マジでそういう流れなん!?
いやはや芹沢サンは今後どこへ向かっていくのか、その方向性に注目ですね…次回に続く!
 



・このブログを読んで芹沢さんがどんな伝説を積み重ねてきたのか知りたくなり、
 ラーメン発見伝の芹沢サン、らーめん才遊記の芹沢さんを買いました!ありがとうございます! by マナフィー

マナフィーさんこんにちは、芹沢サンに興味持ってもらえたようで俺も嬉しいです
その2冊の芹沢サン特集本については俺も買っておりますよ



2冊並べるとこうなるっていうね、これ顔が繋がるようになっとったんかい!
それとバックに描いてある2つのラーメンは、これってもしかして芹沢サンの作った
淡口らあめん濃口らあめんですかね?スープの色合いからして多分そうだと思うんだけど

それと発見伝では芹沢サン、才遊記では芹沢さんとカナカナ・ひらがなで違いがあるわけですが
なんでそういう風に変わったのかと思ったら
「単に作業上の手違いでした」とか作者がぶっちゃけてたのは笑ったな
何か意味があるのかと思ったら単なる手違いだったんかい!

それと内容についてなんですが、まず発見伝の方については
"スープが冷めた日"が収録されてるのがいいですよね
店を始めたばかりの芹沢サンが、まったく客のやってこない現状にひたすら苦労するという話。



この話で個人的に評価してるのが、ただ単に「客がやってこない」っていうだけじゃなくて
すごくいいラーメンを作っているはずなのに客がやってこないってことなんですよね
「こんなにいいラーメンを作っているのになんで客はこないんだ」
っていう苦悩に満ちていて、
他の店が繁盛しているのを見ながら「あの店よりウチの方がいいラーメンを出してるはずなのに」って悔しさを噛み締めたりだとか
そういう心境に苦しむ芹沢サンの姿が描かれているのが、なんというか共感しちゃうんですよね

いや俺もこのサイトの運営だとか、動画の投稿だとかやってると、芹沢サンと同じ気持ちになることが
数えきれないほどありますからね
自分としては良いものができたと思っているのに、世間からは見向きもされずに埋もれていったりだとか
そんな中で俺とは比べものにならんほど閲覧数をめちゃめちゃ伸ばしてる奴がいて、それを横目に見ながら悔しい思いをしたりだとか
そういう気持ちになることっていっぱいあるしな…世間に評価されて数字を伸ばすっていうのは本当に難しいですよね

他に発見伝の好きなシーンっていうと、
芹沢サンが初めて藤本クンのラーメン食べた時の反応とか
個人的にすごい好きですね



たとえば口をつけた瞬間の反応がこれ。「フフ、ど〜れどれ」とか言っておふざけ半分だったのが
口をつけた瞬間に急にふざけた空気がなくなり、その後はひたすら真剣に藤本クンのラーメンを味わうわけですよ
それで一体なにを言い出すんだろうと思ったら

「まず、麺はいい。増量剤などを使わずカン水も控えめで、スッキリとした味わいだ。
 いい製麺所を見つけたな」

「え、ええ。いずれは自家製麺にしたいと思ってますけど」

「次にスープだが、トンコツ・鶏ガラ・煮干し・タマネギ・生姜…
 それぞれの食材の正しい使い方をわきまえていて、旨味が存分に引き出されている。
 実にボディのしっかりしたスープだ」

「は、はあ…へへへ」

「具にも仕事が施されている。メンマは丁寧に塩抜きされてコリコリとした食感を失っていない。
 チャーシューは五香粉を使って仕上げているようだな、これだけで酒のツマミにしても美味いだろう」

「いやあまいったな〜それはどうも♪」

という風に、芹沢サンの口から出てきた言葉はまさかのベタ誉めであり、麺もスープも具も優秀だと言い出すわけですよ
それに言葉選びが秀逸というか、「いい製麺所を見つけたな」「実にボディのしっかりしたスープだ」「これだけでツマミにしても美味い」
とか言ってるのを聞くと実際に食べたくなるというか、藤本クンのラーメンって一体どんな味なんだろうって気になってしょうがないわけですよ
がしかし、芹沢サンの話はまだこれで終わりではなく

「藤本クン、やっぱり君は実に優秀なラーメンマニアだ」

「え?」

「プロとしてはキツイということさ」

「ど、どういう意味ですか!?麺もスープも具も美味いなら何も問題ないってことでしょ!?」

「そう思うか?」

なんと、これだけいいラーメンを作ったにも関わらずしょせんはアマチュア止まりだと言われてしまい
なんでそうなるんだって藤本クンは納得がいかないわけですよ。麺もスープも具も美味いのにいったい何がダメなんだと。
それに対して芹沢サンが「そう思うか?」っていう風に、プロなら分かるはずだと言わんばかりに聞き返すわけで
こうなると芹沢サンの話の続きがめっちゃ気になるんですよね。プロの考えってなんなのか、芹沢サンは何を言いたいのかっていう風に
話の続きを読みたいと思わされるところが上手いよなって思います


さて、才遊記についても好きなエピソードをあげていくと、まず俺が気に入ってるのは
ゆとりちゃんが入ってきてすぐに寂れた店のコンサルティングをやることになった話ですかね
見るからに古くて時代遅れの中華ラーメン屋で、お品書きも平凡そのもので目を引くものはないって印象なんですが



「任せておけ。この店、俺が繁盛させてやる」

って芹沢サンは当然のように答えるわけですよ
かっけぇすぎんだろ芹沢サン!こんなん言われたらゆとりちゃんも惚れるんじゃないかと思ったわ(えー
その後芹沢サンは宣言通りにこの店を繁盛させるわけですが、そのやり方っていうのがまた興味深くて
「能無しで怠け者の店主」っていう風に店主のことを見下しながらも
そんな店主でもちゃんと成果が出せるっていう形を作ったことがすごいと思ったんですよね

たとえば一般的な人間だったら、店主がそういう能無しの怠け者だった時点で
「ダメだこの店主、使い物にならねーわ」って見捨てて終わりだと思うんですが
しかし芹沢サンはそんな店主であっても有効活用するすべを持っているってことですよ

それがすごいと思ったんですよね、これってある意味会社の上司に一番求められる能力というか
使えないとされる部下が自分の部署に来た時に、
それをいかにして活用しながら成果を出すのかってことは
上司にとって最も重要な能力だと思うわけです。部下をただ見捨てるだけじゃなんにも成果なんて出ないですからね
芹沢サンはそういう「人を活用する力」をすでに持ってるところがさすがのキャラだなと思いましたねー


もうひとつ才遊記での印象深いエピソードを挙げるなら、横柄な客の威圧的な態度に悩まされている店に対して
「お客様は神様などではありません」って言うやつですかね



「お客様とは人間です。あなたはどうして神様だと思っているんですか?」

「え、えっと…我々はお客様からいただいたお金で食べさせてもらってるわけですから、
 感謝すべき大切な存在かと…」

「我々は客が支払った代金分のサービスを提供しているのだから、
 感謝するもされるもない。ビジネスを通した対等な関係です」

「は、はあ…」

「まあ店に対して客が優位であることは否めませんし、
 私だってそれなりに客への感謝は持ち合わせてますよ。
 しかし、根っこには「同じ人間」という認識を持っていなくてはなりません。
 なぜなら客を神をみなしたら最後、どんな無理難題を言われても従うしかなくなる。
 そして従ってばかりいると、店はワガママな神様が好き放題する無法地帯となる…」

「う、うちの店がまさにそうです…」

っていう話です。いやこれは本当にそうだと思いますよ
ちょうど最近コロナ関係でドラッグストアに横柄な客が次々とやってくるって話が現実にありましたが、
そういう客に対していくらペコペコと丁寧な対応をしても、横柄な客からはただただ罵声を浴びせられるばかりで
もはや店員の方がどんどん疲弊してしまい、身も心も疲れ切った店員の悲鳴が日本中にあふれてましたよね

なので芹沢サンが言うように、ワガママで横柄な態度の客に従っていると逆に店の方が持たなくなると俺は思ってます
特に店員が持たない。客からのパワハラされ放題みたいなもんだから、そうなったら店員の精神がボロボロになっていくばかりですよ
だから店がやるべきなのは、横柄な客に従うことじゃなくて
むしろそいつらから店や店員を守るってことだと思います。

横柄な客っていうのはもはやお客様じゃなくて、店に害をなすモンスターだと俺は思うんですよ
たとえばドラクエでモンスターと出会った時に、ひたすら無抵抗でモンスターの攻撃を受け続けていたら
自分たちのHPがもたないじゃないですか
だから無抵抗なままでいるとひたすら自分たちが危なくなるだけだし、何かしらの対処をしてモンスターを追い払わないといけないと思うんですよね

たとえば、以前のゲームセンターとかにあった文化として「出禁」っていうのがあったと思うんですよ
要するに、店の迷惑になるようなクソ野郎がやってきたらそいつは出入り禁止にするっていう。
そういう風に店側にも客を選ぶ権利はあると思うんですよね。わざわざ迷惑な奴の言いなりになる必要はなくて
「二度とうちの店に来るんじゃねえ」って追い払うぐらいのことをしてもいいと。
そうすることが店を守ることにもつながると俺は思ってます。出禁の文化は今の時代こそ復活してほしいよなー

 






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