ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第9話

このところ休載が続いていたらーめん再遊記ですが、今週からついに再開となりました
休載の理由は明かされてませんでしたが、やっぱりコロナ関係ですかね?
作者の人はもう60歳を過ぎてるみたいだし、大事を取って自粛生活してたってところでしょうか



さてともかく、前回いきなり「俺の代わりに社長やってくれ」と芹沢サンに言われてしまったゆとりちゃん。
さすがのゆとりちゃんもこれには困惑しているようで、一体どういうことなのかと話を聞いてみることに…

「この間、俺はただのラーメン馬鹿に戻らせてもらうと言っただろう。つまりそういうことだ」

「あれは社長を降りるって意味だったんですか!?」

ってなんと、こないだの「俺はただのラーメン馬鹿だ」と発言した時から、もうすでに社長を降りることを考えて始めていたという芹沢サン。
つまり社長の席を誰かにゆずろうと思っていた中で、ちょうどその時ゆとりちゃんのポテンシャルを目にしたことで
後継者はゆとりちゃんに決まりだと心の整理がついたということか

「で、でもいくら汐見さんが天才といっても、清流企画の最年少社員ですよ!?」

「正直、若すぎることへの懸念はあるし、会社としては冒険だ。
 だが汐見の巨大な才能と物怖じしないメンタルは、あらゆる困難をねじ伏せていくと俺は信じている」

そんな中、あまりに若いゆとりちゃんを社長に据えるのは、これは確かに冒険だと…
ちょっと待っていま冒険って言った?ねえ冒険って言った!?(えー
いやすいません、ボウケンジャーにドハマリしている俺としては冒険と言われるだけで反応してしまって…
って、次に続くセリフにしても「困難をねじ伏せていくと信じている」って
困難に立ち向かう気持ちのこと言った!?冒険者は困難に立ち向かう時ほど奮い立つっていう話ですか!?(えー



ってそんなボウケンジャーの話を聞いているうちにどんどん気持ちが盛り上がってきていたゆとりちゃん。
いや気持ちは分かりますよ、俺も今さらながらにボウケンジャー熱が高まってしまってね…
そんなわけで社長をやってくれという話に対し、「こいつはちょっとした冒険だな!」とワクワクし始めたゆとりちゃんは
なんとこの話を快く受けることに決めてしまいます。その後はトントン拍子に話が進み、
ガチで新社長就任のお披露目パーティーまで開かれてしまうことに…

「なんとか無事にお披露目も終わったな」

「ええ、現場のみなさんにたくさんお祝いしてもらったのが一番嬉しかったです!
 社長になるってことは、ああいう社員さんや
 スタッフさんたちの人生も背負うってことですよね!がんばらなきゃ!」

「バカを言うな。あいつらの人生を背負う必要などない」

「え?」

「家族的な経営を標榜する社長がそういうことをよく言うが、保護者気取りの思い上がった物言いだ。
 つまりは社員たちのことを、養ってやらないと生きていけない子供のようにみなしてるってことじゃないか」

「言われてみると…」

「それでうまくいくケースもないわけじゃないが、そういう会社は常に危うさをはらむ。
 なぜなら上から優しくする人間は、容易に上から殴りつける人間に変わるからだ。
 いくらよくしてやっても社員が成果を挙げなければ、優しい親から恐い親分へと様変わりし、
 サービス残業やパワハラが当たり前のブラック企業になっていく」

そんなわけでめでたく新社長となったゆとりちゃんですが、「部下の人生を背負う」という考え方について芹沢サンから痛烈なダメ出しを食らってしまいます。
うーむ、家族的な考えの社長ほどそれで会社をダメにするってことですが、これって要するに
「アットホームな会社です」とか言いながらブラック企業と化してる会社のことを言ってるんですかね?

アットホームと言いつつブラックと化す会社は後を絶たないわけですが、なぜそうなってしまうのかを芹沢サンが考えたのがさっきのセリフってことでしょうか
部下のことを「俺が養ってやっている」と思っていると、親分肌の性格となってしまい、何か気に入らないことがあると部下にパワハラし始めると…
ふーむ、なんというかこういうのって実際の親子でもあるような気がしますね

たとえば親子ゲンカをした時に、親がよく子供に言うセリフとして
「誰のおかげでメシが食えてると思ってんだ!!」っていうのがあるじゃないですか。
これって親が「俺がお前を養ってやってるんだ」と思ってるからこそ、「お前は俺の言うことを聞くのが当然だ」っていう風に
上から目線で押さえつけるような考えになってしまってると思うんですよね

だから相手を養ってやってるという考え方はパワハラにつながりやすいっていうのが、芹沢サンの言いたいことだろうと思います
そう考えると会社だけじゃなくて、家族関係でもこういうのって気をつけるべきかもしれないなー



と、そんな会社経営についての話が終わった後は、なんと芹沢サンが作った淡口らあめんを食べることになったゆとりちゃん。
この淡口らあめん、今となっては作り方を弟子たちに伝授したので、店では弟子たちがこれを作っており
ゆとりちゃんもそれなら食べた経験があるわけですが…しかし今回は、芹沢サンが自らの手で調理した
本物の淡口らあめんが出されたってことですよね。これを食べたゆとりちゃんの反応は…

ズズッ

「!!」

(お、美味しい…!!社長オリジナルだと、こんなにも鮎の煮干しの風味が豊かで研ぎ澄まされた味なんだ…!
 こんなラーメンを20年以上も前に編み出していたなんて…今だって斬新だよ!)

おっと出ましたね、「!!」という反応が!これが出るということはこの漫画では最高に美味いということです(えー
20年以上も前に作り上げた味とのことですが、それでも今ですら斬新と感じるほどにゆとりちゃんも感服しております。
これまでゆとりちゃんは、芹沢サンが新作ラーメンを作った時に何度かダメ出ししてましたが、
そういった新作ラーメンとは違って、この淡口ラーメンはダメ出しをするスキもないほどに完成度が高いってことなんだろうか

(でも…これだけ美味しいのに、お客は入らず店は潰れそうになったのか…
 そんな淡口らあめんを、社長になった私に食べさせるっていうことは…)

って、そんな淡口らあめんの美味さに感心しながらも、しかしそれでも客が寄り付かず店は潰れそうになったという
芹沢サンの苦い過去を思い出していたゆとりちゃん。その淡口らあめんを食べさせた意味はなんなのかと考えることになりますが、
俺が思うにこれって、いくら美味いラーメンを作っても、それだけじゃ店が繁盛するとは限らないってことを
芹沢サンは最後にもう一度伝えたかったんじゃないでしょうか。

これって今まで芹沢サンが何度も作中で言ってきたことだし、
それにゆとりちゃんの弱点としても指摘してきたことなんですよね
特にらーめん才遊記のエピソードで多かったことなんですが、ラーメン屋を繁盛させるってことを考えた時に
ゆとりちゃんはとにかく美味しいラーメンを作ろうとするんだけど、実際にはそれだけじゃ足りなくて
もっと別の視点からの改善が必要なんだってことを芹沢サンは教えてきたわけです

そういった別視点のこともやっていくのがフードコンサルティングであり、清流企画とはそういう会社だから
その社長になる以上、ちゃんとそのことを理解してほしい
芹沢サンはゆとりちゃんに伝えたかったんじゃないでしょうか

・らーめん再遊記、芹沢さんの淡口らあめんを食べるゆとりちゃんのシーン、どこかもの悲しいですね by くろのす

この場面についてこういったコメントもきてますが、確かにしんみりとした気持ちになりますね
芹沢サンからゆとりちゃんへの最後の手向けといいますか、これで芹沢サンは本当に会社を去っていくんだなっていう
そんな実感が湧いてきてしまって、なんとも寂しい気持ちになりますね…



そんな芹沢サンのラーメンを最後まで味わい尽くし、真剣な顔でごちそうさまでしたと言うゆとりちゃん。
要するにこれが芹沢サンからの最後の引き継ぎ業務だったということでしょうか
社長という荷物を渡し終えた芹沢サンは、次回以降どういう方向へ進むんでしょうね
ただのラーメン馬鹿としてあちこちのラーメンを食べ歩くのか、
それともラーメン馬鹿つながりで藤本クンと勝負したりするのか、一体どうなるのか気になりますねぇ。次回に続く!
 


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第10話

さて前回、ゆとりちゃんへの仕事の引き継ぎをすべて終わらせた芹沢サン。
社長という立場から解放された今、芹沢サンがどうしているかというと…
 
 

ってゲェーーー!?芹沢サンいきなり何やってんすか!?
なんと社長の立場を捨てたかと思ったら、どっかのラーメン屋の新人バイトとしてしごかれていた芹沢サン!
なんつー展開や!?社長を捨ててまで始めたことがバイトって!?まさか芹沢サンは
1回完全にクリアしたゲームを最初から遊び直すみたいな感じで、またイチからラーメン屋をやり直す気なのか!?

「ったくいい歳して要領わりーなぁ!!」

「すいません…」

そんな芹沢サンの働きっぷりですが、このラーメン屋の店長からしたら要領の悪いウスノロハゲに見えているようで
いきなり容赦ない罵声を浴びせております。この店長ずいぶん怖いもの知らずだな…このハゲをどなたと心得る!(えー
それにしてもこれだけ怒られてるのは、芹沢サンがあえて無能を装っているのか、
それとも店長に人を見る目がないのかどっちなんでしょうかね

「うちの店、鹿内さんが店長で大丈夫なのかなぁ…」

「なんかあの人が上だと空気が重たいっすよね〜」

 

ってそんな中、定時後の芹沢サンの歓迎会で、「あの人が店長ってイヤだよね」みたいな話を始めた仕事仲間たち。
どうやらよっぽど人望がない店長のようで、部下たちからは信用されておらず不満もだいぶ溜まっているみたいですね
芹沢サンの仕事ぶりにしても、この仲間たちからは「かなりちゃんとしてる人」と見えていたようで
さっき怒られていたのも芹沢サンが手を抜いたとかじゃなく、ただ単に店長がパワハラ気質で誰にでも暴言吐くタイプってことか

そしてこの仕事仲間たちは、「今は人手不足なんだし、あんなパワハラするより部下を大事にしてほしい」
「店長の言うことなんか気にしないで芹沢サンには長く続けてほしい」と思っているようですね
いやこの人たちの言いたいことめっちゃ分かるわ

というか俺の職場なんかもまさにこういう状態ですしね
人手不足なのに上司がパワハラ気質なせいで、部下を大事にしないから人がどんどん抜けていっちゃうっていう。
どれくらい人が抜けたかというと、8年くらい前は人数が15人くらいいた部署だったのに
今となっては半減してしまったってくらい人が抜けまくりましたからね

ある人は上司のパワハラで鬱みたいに追い詰められて去っていき、
ある人は「あんなクソ上司の下で働いてられっか!!」とブチ切れて去っていき、
ある人は「よその部署から誘いがありましたんで。それじゃさよなら」と見限るように去っていき、
人によって差はあれど、とにかくみんな次々と職場を去っていきましたね

結局ね、パワハラによる悪影響っていうのはそういうことなんですよ。
「パワハラはいけない」って世間でよく言われますけど、何がそんなにいけないのかっていうと
パワハラしまくる奴がいると職場から人がどんどんいなくなるからなんですよ

ただでさえ人手不足でヒーヒー言ってるのに、パワハラしまくるバカ上司のせいでさらに人手不足が加速してしまって
もうどうしようもなく仕事が回らなくなるっていう、そうなってしまうからパワハラっていうのは
今の時代にほんと不必要なんですよ。今の時代はどこの職場も人手不足で悩んでるわけで
そんな時にパワハラなんかして人を追い出してどうするんだと。それよりもむしろ人が居着くような工夫とか
この職場で仕事がしたいって気持ちを部下に持たせることの方が大事だと思うんですよね



ってそんな中、歓迎会が終わった後に「加納さんが店長の頃とは大違いっすね〜」という一言を聞かされた芹沢サン。
加納さんっていうのが誰かというと、前に店長をやっていた優秀な人で、
今は残念ながら職場を去ってしまった人
のことようですね

ふーむなるほど、たとえるならワートリの弓場隊にいた神田さんみたいなもんか(えー
なんにしろそういう優秀な人が去ってしまったというのは痛いですね
うちの職場も俺の何倍も優秀なエース社員が最近までいたんだけど、数ヶ月前に職場を去っちゃってね…
あの時はほんと落ち込んだな〜、ぶっちゃけ今でもあの人の穴が埋まってなくて俺らはお先真っ暗なんだよ!(えー

「では、私はこのアパートなので…」



「え?そこ?わ、私もそのアパートなんだけど、204号室…」

「そうなんですか!?私は102号室です」

って、な、なにー!?なんと芹沢サンが自宅のアパートに帰り着いたその時、
仕事仲間の女の人もまったく同じアパートに住んでいたことが発覚!
なんじゃそりゃー!?まさかの恋愛フラグですか!?
同じアパートに住んでることから2人のめくるめく恋愛模様が…とかそういうやつ!?
まさか職場も家も芹沢サンと同じ女性キャラが出てくるとは…2人が今後どういう進展をするのか注目ですな

そんなわけで家に帰ってきた芹沢サンですが、バイトなので週休3日の休みをもらっているらしく
明日は休みだということで、この日は深夜までくつろぐことにしたようです。
ちなみに芹沢サン流のくつろぎ方はYouTubeでプロレスの動画を見ることみたいですね
あ〜休みの日にYouTube見ちゃうの分かる。俺も休みはついついYouTubeで特撮とかゲームの動画見ちゃって
今日なんかも祝日だけどスパロボFで縛りプレイやってる動画を長々と見ちゃったしなー(えー



そして次の日、芹沢サンはというと図書館に繰り出して、どんな本が置いてあるのかしげしげと眺めていました
芹沢サンが図書館に来たのは高校生の時以来ってことで、それはつまり20年〜30年ぶりってことですよね
それだけ久々に来た図書館では新しい発見も多かったようで、古臭い本ばかりでなく
今どきの流行りの本や音楽CDにDVDと、意外なものが置いてあることに驚いているようです
俺も図書館ってもうずいぶん行ってないし、芹沢サンを見習って今度寄ってみようかなー

さらにその後、個人経営でやっている小さなパン屋に寄ってみたり、
ほとんど貸し切りみたいな昼間の銭湯に寄ってみたり、気楽な散歩を堪能する芹沢サン。
なんというかあれですね、今の芹沢サンって重い荷物をすべて下ろした気楽な生活を送ってるというか
たとえるなら定年を迎えた人が気ままなスローライフを送り始めた感じに見えますね



忙しさに追われていた日々を忘れて、ゆったりした時間の中で気持ちいい暮らしをするっていう。
今後は芹沢サンのそういった生活を描くってことでしょうか?意外な方向に進んでて今後どうなるのか読めないですねぇ。次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第11話

さて前回、休日を利用して平日の昼間っから銭湯でゆったりくつろぐという贅沢を味わった芹沢サンですが
今回はそのまま前回からの続きとなってますね。あのあと銭湯を出た芹沢サンは
湯上がりの体で「キンキンに冷えたビールが飲みたい」と思い立って飲み屋へと入ることに…



ってこのジョッキでかすぎだろマジで!?
どんだけバカでかいジョッキなんだよ!?最初見たとき縮尺を間違った画像かと思ったわ!(えー
もはや特大ペットボトルぐらいの量あるだろこれ!しかしそんな超特大ジョッキでも満足げな芹沢サンは、
あっと言う間にこのビールを飲み干すと、さらにお代わりまで頼んでガブガブ飲みまくっております。大丈夫かおい

(調子に乗って飲みすぎたな…なんと、まだ5時前か。日本中のラーメン屋はこれから夜営業だというのに…
 そんなこと考えてたらシメのラーメンを食べたくなってきたな。ラーメン屋はどこだ?)

って、そんな風に大量のビールを飲みまくった後は、「シメのラーメンが食いたい」と言い出して
さらにラーメン屋へと向かう芹沢サン!あんたどんだけ飲み食いする気ですか!?
みんな忘れてるかもしれないけど、芹沢サンってこの日銭湯に行く直前に
大量のパン食いまくって腹いっぱいで苦しいって言ってたんですよ

つまり腹いっぱいにパン食ってから超特大ジョッキのビールをガブ飲みしてさらにシメのラーメンを食おうとしてるっていう…
いやいや芹沢サンそんなムチャクチャな食生活してたら死ぬでそのうち!?(えー
完全に暴飲暴食やんけ!もう若くないんだから食生活にもう少し節制をだな…

がしかし、それでもやっぱりラーメンが食いたいとラーメン屋へ向かう芹沢サン。大丈夫かよ本当に
その結果やってきたのは麺屋かのうというラーメン屋でした



そんな「かのう」という店名を聞いて、なんか聞いたような気がすると言い出した芹沢サン。
結局思い出せないままに店へと入っていきますが、かのうっていうのは多分あれですね
前回芹沢サンがバイト仲間から聞かされた前の店長の加納さんのことだと思います



その時にバイト仲間から聞かされた話というのがこれ。
「加納さんはすごく優秀な人で、1年ぐらい前に独立して自分のラーメン屋を始めた」ってことだから
なるほどこの「麺屋かのう」がまさにその店だってことか
こいつは奇妙な巡り合わせですな、果たして加納さんのラーメンを食べた芹沢サンはどう評価するんでしょうか?

「ふむ…醤油ダレに牡蠣の煮干しを使っているのか?」

「えっ、お分かりになりますか!?」

「そりゃあ分かるさ、紹興酒も入ってるようだな…これがさらに味の奥行きを生んでいる」

「紹興酒まで…お客さん一体何者なんですか!?」

「な、何者って別に…単にラーメンが好きなラーメン馬鹿だよ」

そんな加納さんのラーメンは、牡蠣の煮干しを使った味に奥行きがあるラーメンだそうで
これってなんか芹沢サンが作った淡口らあめんと少し似てますね
というのも、芹沢サンの淡口らあめんは鮎の煮干しを使った味に奥行きがあるラーメンだから
使っている食材は別々だけど目指そうとしているものは同じというか
これって結構芹沢サンとしては、昔の自分を見ているような気持ちになるんじゃないでしょうか?



それに、ラーメンとしては一級品だけど店はガラガラってところも昔の芹沢サンを彷彿とさせるので
この加納さんはやっぱり、芹沢サンが「以前の自分を思い出す」っていうきっかけとなるキャラなんじゃないかと思うなあ

それにしても、店のメニューを見ていて思ったんですけど
この加納さんのラーメン屋と、芹沢サンが今バイトしているラーメン屋って
メニューがまるっきり正反対ですね



たとえば加納さんのラーメン屋のメニューがこれ、
レギュラーメニューはなんと醤油ラーメンと塩ラーメンの2つだけであり
それ以外には期間限定の鴨そばが1つだけという、メチャメチャ簡素なメニューとなってますね

なんというか、余計なものに手を出さずに自信のあるラーメンだけで勝負したいという加納さんの意思が透けて見えるようです
あと関係ないんだけど塩ラーメンのこと潮拉麺って書かれると
一見なんて読むんだか分からなかったのは俺だけでしょうか(えー



そしてこれが芹沢サンがバイトしてる店のメニュー。
加納さんのメニューとはまるっきり正反対に大量の品がぞろぞろ並んでんなオイ!
ラーメンの他にもチャーハン、餃子、唐揚げ、アジフライ、ビールやチューハイ、その他もろもろ
ラーメンひとつにこだわることなく、客が頼んでくれるならなんでもいいって感じがしますね
そして実際、この店ってなにげに繁盛してるんですよね



ご覧の通り大勢の客で賑わっている状態。さっき加納さんの店には客が全然いなかったことを考えると
本当に正反対な店って感じがします。もっと言うなら店の外観なんかも正反対だと思うんですよ
というのも、このバイト先の店はラーメンの絵が載ったでかい看板をつけていて
「ヘルシー!!お腹一杯!!」というラーメンの特徴を大々的にアピールしてるわけですが

←バイト先の店
←加納さんの店

しかしその一方で、加納さんの店にはそういったアピール要素がまったくないわけです
店の外にあるのは「麺屋かのう」という店名のみで、
どんなラーメンを出しているとか、どんな特徴があるとかそういった宣伝を一切していないんですね
ちなみにこれについては加納さん本人が語っているシーンがありました

「今どきのラーメン屋って、こだわりの食材がどうの調理法がどうのって、やたらと能書きが多いですよね。
 そういうのあまり好きじゃなくて、俺は味だけで勝負したいと思ってこの店を始めたんです」

という風に、余分なアピールなんかいらないから味だけで勝負したいっていうのが加納さんの考えのようです。
なるほど自分の武器はラーメンの味だけでいいっていう強いこだわりを感じますね
ただ、店が繁盛しているかという点で言えば加納さんの店はガラガラで、バイト先の店はめっちゃ繁盛してるわけなので
商売として成功してるのはバイト先の店の方なわけだから…こだわりを取るのか商売を取るのかって難しいところですね

ちなみに芹沢サンの反応も見ていくと、味だけで勝負したいという加納さんのこだわりにも好意的な表情をしており、
その一方でバイト先のラーメン屋についても、バイトでも作れるラーメンだしうまくもないけど商売としては正解だと言ってるんですよね

←バイト先の店での芹沢サン
←加納さんの店での芹沢サン

つまり芹沢サンとしてはどっちのやり方もアリだと思っているってことですかね
商売として成功しているバイト先の店、ラーメン職人として強いこだわりを持つ加納さんの店、
そのどっちともを芹沢サンは受け入れているって感じがします
正直、コンサルティングやってる時の芹沢サンだったら売れる店でないと意味がないって言いそうだけど
今の芹沢サンは1人のラーメン馬鹿だから、加納さんのやり方にも理解を示してるって感じかな

「芹沢さん!洗い物はいいからホール手伝って!」

「はい!ただいま!」

「ったくもう!そろそろ自分で判断して動いてよ!見りゃ分かるでしょ!!」

ってそんなある日、出勤日にバイト先で仕事中だった芹沢サンですが、
またしても店長にパワハラじみたことを言われてしまいます。いちいち一言多いんだよなこの店長
手伝って欲しいならそう言えばいいだけなのに、「ったくもう!!見りゃ分かるでしょ!!」とか
不快な一言をわざわざ怒鳴って言うのがな…



「今のはないですよ、鹿内さん」

「あん?」

「芹沢さんはホールがこういう状態になったら動くようにとか、一度も指示されてないはずです。
 なのにいきなり自己判断しろと責めるのは理不尽じゃないですか」

「芹沢さんに限らず、誰に対しても鹿内さんの指示って雑っすよ。
 こういう時、加納さんだったらちゃんと教えてくれたんすけど」

「な…なにぃ!?」

って、こ、これは!店員たちの反乱キター!!
店長の理不尽な態度にとうとう黙っていられなくなった店員たちが、次々と言いたいことを言いまくる展開に!
確かに新人に対して、教えてもないことを「自分で考えろ!!」っていうのは
それって結局は教える側がラクをしたいから言ってるだけって場合が多いですよね
この店長は指示を出すのも雑だから、部下の使い方がヘタなんだろうなと思いますが
でも今それを遠慮なく指摘しちゃったことでめっちゃ店の空気悪くなっとる!(えー



「てめえら俺に口答えすんのか」みたいに睨みつける店長と、
「パワハラ無能上司が偉そうにほざくな」みたいに睨み返す部下たち!
せ、戦争じゃ戦争じゃー!えらいことになっちまった!まさか営業中の店でこんな争いが勃発するとは!

「ちょ、ちょっと!この忙しい時になに揉めてるんですか!芹沢さんこっち手伝ってください!」

「はい!お客さんご案内しますね!」

「お願いします!」

ってそんな中、やっぱり営業中にそんなことしてる場合じゃなかったということで、大慌てで仲裁に入った別の店員!
そして芹沢サンは接客を手伝うことになり、店に入ってきた客に元気よく挨拶しますが…

 
 

って有栖サンキター!!
なんとそこにやってきた客とはまさかの有栖サン!たまたまラーメンを食いにここへ立ち寄ったのか!?
まさかこの店で芹沢サンがバイトしてるとはさすがの有栖サンも知らなかったようで、完全にポカーンと目を丸くしております
見てはいけない芹沢サンの秘密を見てしまったとばかりに出会ってしまった2人ですが、果たしてこの後の反応は…次回に続く!
 


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第12話



さて前回、バイト中の芹沢サンの店になんと有栖サンがやってくるという驚きの展開となったわけですが
あれから2人がどんな反応をするのかと見てみたところ、
有栖サンは「なんでこんなところに芹沢サンが…!?」と言わんばかりにひたすら驚いており、
芹沢サンは「いいから黙っとけ、今ここで話しかけんな」てな感じに一睨みしているっていう…

どうやらここで芹沢サンが働いているってことは、有栖サンもまったく知らされていなかったようで
本当にたまたま偶然この店のラーメンを食べに立ち寄ったってことみたいですね
たぶん芹沢サンは誰にも言わずにこの店でバイトを始めたんだろうなあ

がしかし、こうまで顔を合わせてしまっては秘密にし続けるわけにもいかなくなったので
「近いうちに連絡する」と有栖サンに耳打ちした芹沢サンは、
どうにかこの場だけは他人のフリをしたままで乗り切るのでした

「なにやってんだよ後藤っ!!
 麺がダマになってないか確認しながら茹でるなんて
 基本中の基本だろっ!!」



って、芹沢サンと有栖サンがそんなやり取りをしていた一方で、
部下に対して今日もめっちゃブチ切れていた店長!また今日もキレてんのかよあんた!
なにごとかと思ったら、後藤という部下が麺をダマにしたままで客に出してしまい、
「ヘタクソな麺茹でしてんじゃねーよクソボケが!」と店長に怒鳴られるハメになってしまったようです

さらに悪いことに、後藤は前回この店長に向かって
「加納さんに比べたら店長の教え方は雑なんすよ」と言ってしまったことで、店長の恨みを買ってしまい
「加納さんに教わったっていう麺茹でがこのザマか?よくも偉そうに言ってくれたな?あぁ?」
さんざん煽られることになってしまったという…
うーむ、完全に喧嘩腰で人間関係がひどいことになってますな…こんな調子で大丈夫かよこの店は

「1年前に辞めた加納さんと、後藤のミスは関係ないでしょう!」

「いつも加納の話を始めるのはお前らだろ!!」

(…また加納か…)

って、そこに他の店員も加わってさらに口論はヒートアップしてしまうことに!
ただ、お互いに言い合っているのは加納、加納となにかと加納さんの名前が出てきてますね
芹沢サンもそこが気になってるようで、どうもこの店の人たちは加納さんへの気持ちをこじらせているような…

「…芹沢さん、私たちと鹿内さんの仲が悪くてびっくりしてません?」

「ええ、正直…どうも元社員の加納さんが原因になっているみたいですけど」

「そうなんですよ、加納さんと鹿内さんは同い年で同期入社だった人たちなんです」

 
 

そしてここで、店長と加納さんの間に以前なにがあったのかを聞かされることになった芹沢サン。
どうやらこの2人は歳も同じで入社時期もまったく同じだったようですが、
何をやっても優秀な加納さんに対し、何をやってもダメな店長という感じに
2人の明暗がハッキリと分かれてしまったようですね

その結果、優秀な加納さんはみるみるうちに出世し部下からも慕われ、
一方でダメな店長は怒られてばかりで周りからの評価も低く、加納さんとの差は広がっていくばかりだったと…
ああこれは…なんというか店長が歪んでしまったことにも理由があったって感じがしますね

俺がよく言ってることとして、人を育てるのに重要なのは誉めることであり
逆に「お前使えねーなぁ!」みたいにけなされてばかりいると、人はどんどん歪んでいってしまうってことがあるわけですが
今の話だと誉められ続けたのが加納さん、けなされ続けたのが店長なわけで
おそらく店長は入社してからずっと、「お前って加納に比べたら本当にダメな奴だな」ってことを延々と言われ続けたんじゃないでしょうか
なにしろ今でも「加納さんに比べたら店長は雑ッスよ」とか言われてるくらいだし…
ずっとそういうことを言われ続けたことで、店長の性格が歪んでいったんじゃないかなあ

なんというか…加納さんが優秀で、店長が要領悪いっていうのはわかるんですよ
でも、だからと言って加納さんばかり持ち上げて、店長はダメだ店長はダメだって言い続けるのはまずいだろと思うんですよね
そんな状況が続いたら店長は誰からも誉められずにますます歪んでいってしまうというか
そうならないために、誰か店長のことをかばってあげられる味方が必要だったんじゃないのかな

それにしてもこういう光景って、漫画に限らずリアルでもネットでも最近すごく見かける気がしますね。
たとえば俺の職場でも、優秀な人ほど持ち上げられてダメな人ほどバカにされるっていう風潮はあるし
あとはネットでFGOの話とかしてても同じことをすごく感じますよ。具体的には
優秀だと持ち上げられてるのがキャストリア、まるでダメだと叩かれまくってるのが水着アビゲイルっていう風に
誉められるキャラとけなされるキャラで完全に明暗が分かれてしまうっていうね

こうなった時に何がヤバイって、勝ち組と負け組がハッキリと分かれてしまうんですよね
勝ち組になれた人はいいですけど、負け組になってしまった人はマジで地獄だと思いますよ
周囲からはゴミだクズだ役立たずだ、「優秀な勝ち組に比べたらお前はまるでダメだな」とか
そういうことを言われ続けるわけで。そうなってしまったら仕事を頑張るどころか、
生きているだけでも辛いっていうくらい追い詰められてしまうと思うんですよ

俺自身もそれぐらい追い詰められた時期があるし、俺以外にも会社の中で苦しんでいる人たちを何人も見てきたので
やっぱりこういう風に苦しむ人を1人でも減らしたいなって思うんですよ
だから俺はFGOとかやってても、ゴミだカスだ役立たずだとか、あの優秀なキャラに比べたらこいつはダメだとか
そういう言葉にすごい反発するわけですよ
それをリアルで言われたらどんなに辛いか分かってんのかと。だからこういう言葉に逆らうようなプレイスタイルになるし
このキャラはダメだゴミだと叩くことより、このキャラにだってちゃんと価値はあるんだってことを言いたいわけです

他のキャラはもっと優秀だとかそんなこと関係ない、
それに及ばないキャラだってちゃんと成果は出せるし存在する価値はあるんだってことを言いたい。
ちなみにそういうことを実際に言ってくれたのがワートリのザキさんなんですよね



あいつらの価値が消えてなくなるわけじゃねえんだっていう
ザキさんのこのセリフは、つくづく俺にとって忘れられない一言だったと言いますか
優秀な奴らと比較されて苦しんでいる人にはまさに救いとなる言葉だと思います
そういう意味じゃ、らーめん再遊記の店長に一番必要な人ってザキさんだったんだろうな…って気がしますね(えー

さて、ずいぶん長話になってしまいましたが、そろそろ本編に戻りますと

 
 

長いこと加納さんと比較されながら苦しんでいた店長ですが、しかしそんなある日
汚い手を使って下剋上することに成功したようです
それというのが、「加納さんがよからぬことを企んでいる」と悪意ある密告を上司にすることで
加納さんの評判を落とし、別の小さい店へと左遷させてしまったと…

せっかくの優秀な仲間を自分から追い出してしまうとは…
もうこの頃になると、店長の性格は歪みすぎてすっかりダークサイドに堕ちていたと考えるべきでしょうか
ザキさんさえこの職場にいればこんなことには…(えー



ともかく店を追い出されることになってしまった加納さんですが、
「せっかくだからこの機会に独立するよ、前から自分の店を持ちたかったし」と一念発起して
会社そのものを抜けて個人経営のラーメン屋を始めることにしたみたいです。なるほどそれで今の店をやってるってことか

しかし、加納さん自身はそんな風に前向きに去っていったわけですが、
残された仲間たちはみんな加納さんのことを慕っていたので
「なんで加納さんがあんなクソ店長のせいで追い出されなきゃならないんだ」って
店長に対して強い反感を持つことになってしまったようですね。ああ、なんだかどんどん人間関係が悪い方向へ…



特にこのメガネ女子店員に関しては、なんと加納さんと付き合っている彼女なんだそうで
自分の彼氏が追い出されたことに相当腹を立てており、それはもう激しくブチ切れまくってますね…
そりゃ怒るだろうな…彼氏と離れることになったっていうのもそうだけど、加納さんの今の店ってすごいガラガラで客も来てないから
安定収入のあった彼氏が今となっては超不安定な収入になってそうだしな…(えー

なんだか憎しみの連鎖が止まらないって感じで、思った以上にヤバイ状況ですね
あまりにも仲がこじれすぎてて、ちょっとやそっと口出しした程度じゃ改善できる気がしないんだが…
このこじれっぷりを見ているとイデオン終盤の地球人とバッフクランの関係を思い出しますよ(えー



「ええい!!加納がいなくなった今、もう戦いは無意味なはずだ!!なぜ戦う!!」

「私たちの加納さんを追い出しておいて何を言うか!!恨み晴らさぬわけにはいかん!!」

「それは俺だって同じだ!!加納と比較された恨みでさんざん嫌な思いをした!!」

「パワハラと暴言で部下に嫌な思いをさせている貴様が何を言う!!」

「誰がそうさせたァァーーーッ!!」

っていうくらいにはこじれてるよね(えー
いやマジで、お互いに恨みと憎しみが積み重なりすぎてもう手がつけられんとしか…
こうなったらやはり、芹沢サンという名のイデ発動で何もかも消し去るしかないのか…(えー



それから数日後、今回冒頭での有栖サンとの約束を果たすために
再び有栖サンと顔を合わせてゆっくり話をすることになった芹沢サン。
そしてさっそく「芹沢サンがなぜチェーン店でバイトを始めたのか」という話題になりますが…

「自分を捨ててみようと思ってな」

「え?」

「知っての通り、俺は独学でラーメン作りを始め、どこかの店で修行することもなく自分の店を開業した。
 俺は常に自分、自分、自分で誰に従うこともなく我を通してきた…だが歳と共に自分は衰えていく。
 米倉にはなんとか勝ったものの、汐見には完敗してそれを痛感したよ。
 自分の作品としてのラーメンでは、もうあいつにかなわないかもしれん。
 歳を食った俺は次に何を作るべきか?」

「な、何を作るんですか?」

「自分の作品ではなく、万人の形式だ」

そんな芹沢サンの話がこれでした、どうやら芹沢サンは自分の個人的なセンスだけでは
もうゆとりちゃんには太刀打ちできないと自分の限界を感じ始めたようで、もっと別にできることはないかと
自分以外のところに目を向け始めたようです。それが万人の形式ってことで、
万人に受け入れられるものとはなんなのかってことを考え始めたってことですかね
チェーン店なら多くの客が押し寄せる店だから、まずはそこでバイトして現場をよく見てみようってことでしょうか

それにしても、「今までずっと自分が中心で我を通してきた」っていう芹沢サンが
そのやり方を捨ててチェーン店でバイトを始めるっていうのは本当にゼロからやり直すくらいの
大胆な行動って感じがしますが、よくそれを決断しましたね。俺だったら自分のやり方に未練を持っちゃって
なかなかそれを手放せないと思いますが、芹沢サンはそういうのに固執しないのかな…
そういえば社長という立場もあっさり捨ててたし、芹沢サンにとってはまだ見ぬラーメンへの道を突き進むのが全てであって
それに比べたら社長の立場とか自分のやり方になんて未練はないのかもしれませんね。
芹沢サンの言ってる「ラーメン馬鹿」っていうのはそういうことなのかもしれないなぁ。次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第13話



さて前回、なぜ今さらラーメン屋のアルバイトから始めたのかという意味について、
「自分の作品ではなく、万人の形式を作るためだ」と言い出した芹沢サン。
そして万人の形式とはなんなのかを今回語ることになりますが、まずは前置きとして
「最近ちょっと近代デモクラシー思想について調べる機会があってな」
てなことを言い出す芹沢サン。近代デモクラシー思想…?なんやそれ…?

俺が中学生ぐらいの頃に、社会の授業で大正デモクラシーって言葉を教わった覚えはありますが、
ぶっちゃけ言葉を丸覚えしただけで意味なんて分かってなかったしなー(えー
まずは芹沢サンの言うデモクラシーとやらがなんなのか教えて欲しいところですが…

「俺なりに要約するとこういうことだ。
 デモクラシー、民主主義の時代になってすべての人間は平等ということになった。
 どんな人間にも均しく価値があり、各人の個性は均しく尊重される。
 そういう時代になって、芸術も作家それぞれの個性を発揮するようになった」

と、俺にも分かりやすいようにデモクラシーについて説明してくれる芹沢サン。いやぁありがたい
どうやらデモクラシーをきっかけに起こったのは個性を尊重されるということだったようで
芸術の世界にも個性的な人物が次々に登場するようになったってことのようです。

はあなるほど、それまでは要するに身分制度が重視されていた時代が長く続いていたから
身分の高い人に比べて低い人はゴミ同然の扱いを受けており、
偉い人の決めた形式にみんなが従っていたという時期が続いていたわけですね

しかし、デモクラシーによって身分の差がなくなり、誰もが平等と言われる時代になったから
それまでのような形式にとらわれず自分ならではの個性を発揮する人が増えたと芹沢サンは言いたいようです
それはラーメン業界にも言えることで、たとえば昔ながらの醤油ラーメンという形式、新しい創作ラーメンという個性といった感じに
形式の時代や個性の時代が存在していると…



さらに言うなら、ラーメン界において過去の形式は終わったものではなく、今でも生き残っていると語る芹沢サン。
たとえば昔ながらの醤油ラーメンを好きな人は今でもいるし、それとは別に個性的なラーメンが好きな人もいるという風に
形式を愛する人もいれば、個性を愛する人もいるっていうのが今のラーメン界だと言いたいんですかね

そしてここからは俺の考えなんですが、個性的なラーメンという意味で言うなら
その分野において最強を誇っているのがゆとりちゃんだと思うんですよ
実際、芹沢サンは自分の個性でゆとりちゃんに立ち向かっても太刀打ちできないと前回語っていたので
その分野ではゆとりちゃんが現在のナンバーワンであり、個性だけで勝負してもゆとりちゃんの域には届かないってことだと思うんですよね

しかし、ラーメンという世界は個性だけで成り立っているものじゃないと芹沢サンは考えていて
個性の他にも広く愛される形式というものがあり、それを研究していけば
誰にでも愛される新たな形式を生み出せるかもしれないと芹沢サンは考えたわけですよね
そのためにチェーン店のアルバイトをやり始め、広く愛されるラーメンとはなんなのかを追求するようになったという…

「醤油、塩、味噌、豚骨に匹敵するような…いいや、凌ぐような形式を生み出せたら面白いと思ってな」

「さすが芹沢さん…すごいこと考えますね〜!」

(社長を降りてのんびり小さな店でもやるのかと思ったら、こんな大それたことを考えていたなんて…)

てなわけで、醤油や塩をも超えるぐらいのすんごい形式を世間に定着させてやると熱意に燃えていた芹沢サン。
まさかそんなどでかい野望を持っていたとは…それってもはやラーメン界の新たな常識を作り出すってことですからね
有栖サンも言ってますが、てっきり隠居生活でもするのかと思ってただけに、まさかそんな野望に向けて動き出していたとは驚きだったなあ

ともかく有栖サンとの話を終えた芹沢サンは、今日も今日とてバイトに励むために例のラーメン屋へ向かうことになります。
ただし、今日のバイトはスケジュールの関係でいつもとメンバーが違っており、
同じなのは店長と芹沢サンだけで、他は全員違う人になっているような状態なわけですが…



ってアレー!?何この明るい感じの雰囲気は!?
顔を合わせるなりみんなにこやかに挨拶してるじゃないですか!いつものギスギスした雰囲気とは大違いですよ!
これがほんとの「アットホームな職場です」ってやつですか!?(えー
いつも不機嫌な店長なんかもニッコニコしながら仕事してるし、アットホームな職場パワーすごいなおい

「あ、あの〜芹沢さん…これまでの無礼で乱暴な物言い、本当に申し訳ありませんでした!!」

「えっ、えっ?」

「芹沢さんはよく働いてくれているのに、俺はひどいことばかり言って…許してください!」

そしてなんと、今日の店長はニコニコして仕事をするだけでなく、これまでのパワハラ発言も申し訳なかったと頭を下げることに!
おおなんと…職場の環境によってここまで変わるもんだとは…確かに前回の俺の感想で、
「優秀な加納さんと比較して店長にダメ出しばかりしていたら、店長の性格が歪んでしまう」と書きましたが
まさにそんな感じで「加納に比べてお前はダメだな」って言われることを相当気にしていたってことですかね
いつものメンバーはそれを言ってくるから店長もキレやすくなってしまい、芹沢サンへの態度も八つ当たりのようにパワハラ発言になっていたという…

「いい歳して要領悪いだとかいらないこと言って、ホントすいませんでした!!」

「ハハハ、もういいですって。でも今日は厨房もホールもスムーズに回ってましたね、
 とてもいいチームワークだったと思います」

「それは俺を嫌ってる南や後藤たちがいないからですよ…
 あいつらがいると俺も必要以上にイライラしちゃうんで…」

「不仲の原因は前店長の加納さんですよね、揉めた時は必ずその名前が出てますが…」

「その通りです、あいつらは加納を慕っていたから俺が後任になったのが面白くないんですよ…
 でも社長が決めたことなんだし仕方ないじゃないですか…」

そして話を聞いてみると、いつものメンバーがいるとやっぱり加納さん絡みで色々言われてイライラしてしまうという店長。
それさえなければ職場もうまく回りそうですが、ただ加納さんのことと言えば
そもそも店長が上司に告げ口をして加納さんを追い出したから、みんなの恨みを買ってしまったと言われてましたよね
でも店長としては自分が加納さんを追い出したんじゃなく、ただ上司が決めただけって感じで
告げ口なんかしていないような口ぶりですが…まさかそのへんも何かの誤解があるのか?もっと詳しい話を聞きたいところですが…



とか言ってたらまさにその当事者キター!!
なんと加納さんと彼女のメガネ店員が、一緒になって芹沢サンたちの前に現れることに!
たまたま同じ居酒屋にやってきてバッタリ出くわしたという感じでしょうか、これは盛り上がってまいりました
果たして加納さんが追い出された時に本当は何があったのか、ここから真相が明らかになっていくってことですよね
今までは店長のせいだと言われてましたが、それが誤解や濡れ衣だったとしたら店の雰囲気も改善できそうな気が…次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第14話

さて前回、バイト先の店長と一緒に飲み屋で盛り上がっていたところ、
たまたま偶然加納さん&メガネ女子店員と出会ってしまった芹沢サン。
そして今回はというと、せっかくだから2人も同じ席に座らせて
芹沢サン、店長、加納さん、メガネ女子の4人で一緒に飲むことになりますが…



がしかし、この状況に店長はすっかりヘソを曲げてしまったようで
1人だけ背を向けるようにしながら、メガネ女たちの話を無視してちびちびと酒を飲んでいました
店長そんな…いくらこいつらと仲が悪いからってそんな露骨な態度取ることないだろうに!(えー
少しは会話に参加してくださいよ!これじゃ和解するどころか余計に気まずくなるだけに…

「鹿内さん、さっきから大人しいですね〜。せっかく加納さんと会えたんだし、旧交を温めたらどうですか?」

「いや、べつに…」

「相変わらずだな鹿内、とにもかくにも今日は一緒に飲むことになったんだ、1人で仏頂面しなくてもいいだろう?」

「…」

「ホント昔から全然進歩しないですよね。もっと大人の態度を取れないんですかぁ?」

「なんだと!?大人げないのはお前たちの方だろ!
 仲良しの加納が辞めて面白くないからって、俺に突っかかってきやがって駄々っ子かよ!」

「はあ!?鹿内さん自分がやったこと棚に上げてなに言ってるんですか!!」

「俺が何をやったって言うんだよ!!」

ってそんな中、仲良く話をしようと芹沢サンが言い出したものの、そんな雰囲気はまるで続かず
あっと言う間に言い争いが始まってしまうことに!ちょっとは落ち着いてくださいよ!
なんというか店長とメガネ女子店員の相性の悪さはヤバイですね。この2人が言葉を交わすと、お互い一瞬にしてキレ始めるというか…



「あの〜、差し出がましいことを言うようですが、皆さんの間には誤解があるような気がしますよ。
 これをいい機会と考えて、お互いにスッキリしたらどうでしょう」

がしかし、もう一度あらためて仲良く話をしようと双方の仲を取り持つ芹沢サン。あんたも大変だな
芹沢サン曰く、「お互いに誤解してる気がする」とのことで、店長とメガネ女子店員が腹を割って話せば
誤解も解けてこの険悪な関係も改善するのではってことのようですが…

「じゃあハッキリ言わせてもらうけど、鹿内さんあなた、社長に密告して加納さんを左遷させたじゃない!!」

「は…はあ!?ちょっと待て、密告ってなんだよ!?」

「とぼけないでよ!加納さんが社長を批判してるってご注進したんでしょ!?目撃者だっているんだから!!」

「確かに加納の社長批判を報告はした、しかしそれは社長に聞かれて答えただけだ!!」

そんな中、気を取り直して会話を再開する2人ですが、結局はまた激しい言い合いが始まってしまうことに!
だから落ち着いて話せというのに!(えー  こうまで頭に血が上ってちゃ話し合いもクソもないですよ!
ともかく加納さんが追い出された件について、それは密告じゃなくて正当な報告だと主張する店長ですが…

「密告じゃないにせよ内輪の話をベラベラ喋るなんて!加納さんとは同期なんだし少しは気を使ったって!」

「なんで友達でもなんでもない加納のために、わざわざ嘘ついてまで気を使わなきゃならないんだよ!
 少しチヤホヤされたからっていい気になってんじゃねえよ!!」

「チヤホヤだと!?俺はちゃんと実績を挙げたから評価されたんだ!!」

って、そんな言い争いがヒートアップしていく中、今度はなんと加納さんまでもが一緒になってキレ始めてしまうことに!
あかん!この話し合いはもうおしまいや!(えー  どいつもこいつもキレまくってて収拾がつかねえー!!
もはや冷静なのは芹沢サンただ1人ですよ!この状態をなんとかしてくれ芹沢サン!

って飲んどる場合かーーー!!(えー
こんな時になに楽しそうにビール飲んでんすか芹沢サンは!まさかこの状況を酒の肴に楽しんでるとでも!?
そういえば芹沢サンって、もともと善人でもなんでもなくてやな感じに性格ひねくれてるオッサンなんだった!(えー
久々に芹沢サンの嫌らしいとこ出ちまってるよ!確かに初期の芹沢サンならこういう時ニヤニヤしてそうだよなー

「鹿内さんが評価されないのは、メニューコンテストで1回も入賞したことないからでしょ!?」

「ぐっ…それがどうした!?何回入賞したって今の加納の店は閑古鳥が鳴いてるじゃないか!
 過去の栄光をひけらかして偉そうにすんな!!」

「バカでかい声張り上げて店に迷惑だろ…!酔っ払ってるならもう帰ったらどうだ」

「ああ帰るよ!お前らと話すのはもうウンザリだ!!」

そして結局、3人のキレっぷりはまるで収まることなく
むしろ爆発するような形でケンカ別れしてしまう結果に!最悪の結末だこれー!!
和解するつもりがむしろ完全なる大ゲンカをしてしまうとは…ここまで険悪になっちゃってどうするんだマジで
ともかく激怒した店長は飲み屋から立ち去ってしまい、席には芹沢サン達3人だけが残されますが…



なんと最後に店長の言い残したセリフがよっぽどぶっ刺さったのか、その場で号泣し始めてしまったメガネ女子店員!
「今の加納の店は閑古鳥が鳴いてるじゃないか!」って一言がマジで効いてしまったようですね
前回の俺の感想でも、加納さんって以前は繁盛店の社員だったのに、今じゃガラガラの店を個人経営してるから
彼女からしてみたら彼氏がどんどん安定した生活から転落してるみたいでショックだろうなーと書きましたが
割とマジでそう思ってたってことみたいですね(えー
そんなわけでしくしく泣き始めて「いつになったらお店繁盛するのぉ…」と嘆くようになってしまったメガネ女子店員。
このお通夜みたいなムードの中で芹沢サンが考えていたことは…

(男が悲観的状況の時、女は楽観的に励ますべきなのに…続かんなこの2人は)

なんと「続かんなこの2人は」と、こいつらもうダメだわと言わんばかりに冷ややかな目をしていました。ひどいよ芹沢サン!(えー
これだけしくしく泣いてるのを見て、さらなる不幸が訪れるみたいなこと考えないであげて!シビアだなー芹沢サン
それにしても、芹沢サンの言っている「男が悲観的状況の時、女は楽観的に励ますべき」って一言についてなんですが
俺がこれ聞いて思い浮かべたのはラーメン発見伝の藤本クンと佐倉サンだったんですよね

というのも、藤本クンはラーメン発見伝において芹沢サンと何度も戦ったんですが
時には芹沢サンにコテンパンにやられるような完敗を喫してしまうことがあり、
そうなってしまった時に「はぁ〜…また芹沢のハゲオヤジに負けちまった…」とか「俺ってラーメン屋の才能ないんじゃないかな…」とか
すっかり落ち込んでしまうことがよくあったんですよね

でもそんな時に必ず励ましてくれたのが佐倉サンだったわけで
つまりですよ、さっきの芹沢サンの言葉で言うなら
藤本クンが悲観的状況の時、佐倉サンはいつも楽観的に励ましてくれたわけで
そのおかげで藤本クンはつらい状況から立ち直ることができて、最後まで芹沢サンと戦うことができたと思うんですよね

要するに芹沢サンにとって、「男女の関係ってのはこうあるべきだ」っていうのは
藤本クンと佐倉サンの関係こそが理想形と思ってるんじゃなかろうか
まあ芹沢サンは藤本クンのこと愛してたからな…(えー これぐらいのこと思ってても不思議じゃないかな…

「それにしても、メニューコンテストで入賞したラーメンというのは、
 そんなに美味いものが多かったんですか?」

「凄かったですよ!みんな独創的なアイデアに溢れたラーメンを作ってきて、
 それに比べたらベジシャキ豚麺なんて、薄っぺらくて特徴のないトンコツラーメンに野菜炒めを乗せただけで、
 大したラーメンじゃないですよ」

そんな中、さっきから加納さん達の会話に出てきていた「メニューコンテスト」という言葉が気になったらしい芹沢サン。
どうやら芹沢サンがバイトしているベジシャキ豚麺堂では、定期的に新しいラーメンを発表するコンテストを行っていたようで
加納さんなんかは特にそのコンテストでバリバリ活躍していたみたいですね。
加納さんはコンテストに出てくる独創的なラーメンを高く評価しており、逆にふだん店で出している「ベジシャキ豚麺」は
大した特徴のないつまらないラーメンだと思っていたという…それが加納さんが働いていた時の不満だったみたいですね

「しかし、ベジシャキ豚麺堂は繁盛している」

「…はは、閑古鳥が鳴いてる店の人間に、こんな偉そうなことを言う資格はないですよね…
 俺はメニューコンテストで何度となく1位を取りましたが、中でも一番の自信作が
 今のウチの看板メニューである醤油拉麺なんです。
 でも、あまりにもお客が入らないので自信が揺らいできました…
 だんだんどうしたらいいのか分からなくなってきましたよ…」

しかし、そんなつまらないラーメンを出しているはずのベジシャキ豚麺堂はちゃんと繁盛している
店としては成功していることを指摘する芹沢サン。逆に店が失敗しているのは加納さんの方で、
ベジシャキ豚麺堂なんかよりはるかに美味いラーメンを作っているはずなのに、なぜかまったく客がやってこないという状況に
加納さんもすっかり参っているようですね

それにしてもこの話を聞いて思ったのは、これって芹沢サンがよく言っている
いいものを作るだけじゃ売れるとは限らないって状況にハマッてますよね

加納さんは確かにいいものを作っているはず、しかしそれが売れていない。じゃあ何が足りないのかっていう風に
芹沢サンがコンサルティングやってた頃なら、最も解決に力を入れていたであろうパターンですよね
でもそういうコンサルティングから引退した今の芹沢サンは、加納さんに対して何か手助けをしてあげるんでしょうか?
現役の時に「うちの店を助けてください」って仕事の依頼されたら受けてただろうけど、引退した今おせっかいで手助けする人でもないだろうしなあ
ひょっとしたらさっきみたいに「続かんなこの店は」とか加納さんを見捨てて終わりの可能性も…(えー  次回に続く!
 


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第15話

さて前回、芹沢サンのはからいで話し合おうとしたものの、逆にさんざん大ゲンカするハメになってしまった店長と店員たち。
そして今回はというと、あれからすぐにまた職場で顔を合わせることになり
もう相手の顔すら見ようともしないというくらい、お互いに完全無視を決め込んでいました

いや〜これは…目線も合わせない、言葉も交わさないって思いっきり仲が冷え切っちゃってるじゃないですか!
なんつー気まずい職場や!こんなギスギスした場所で働くなんて耐えられねーぜ!
そしてまさにそんなギスギス感のまっただ中にいる芹沢サンはというと…

なんと「まあ俺が仕向けたんだけどな」とニヤニヤしていました
なにをそんな笑ってんねんこのハゲは!(えー
この状況でニヤニヤし始めるってどういう性格しとんじゃい!

そういえば前回も芹沢サンだけ楽しそうに酒飲んでたけど、芹沢サンにとって店長たちのケンカは
はたから見てるぶんには面白いエンターテイメントみたいなもんなんだろうか(えー

「芹沢さん、今日のまかないは何にします?」

「じゃあベジシャキ豚麺のオイスターソース野菜で」

「了解です、最近はオイスターソース野菜が多いですね」

「ええ、まかないですべてのラーメンを食べさせてもらいましたが、これが一番おいしいので」

ってそんな中、芹沢サンに対してはフレンドリーに話しかけてきて、一緒にまかないのラーメンを食べ始めた店長。
そしてこの店のラーメンは、野菜の味を塩、味噌、醤油、カレー、オイスターソース、激辛の中から選べるわけですが
その中で芹沢サンはオイスターソースが一番うまいと思っているようで…



すると、その話を聞いてメチャメチャ嬉しそうにニコニコする店長。
一体どうしたのかと思ったら、このラーメンのオイスターソース味というのはそもそも店長が考案したものだったようです
ふむ…芹沢サンが「この店で一番うまい」と言うだけの味を作り上げるとは大したもんですね
あと芹沢サンと話してる時にこれだけニコニコするっていうのも驚きだなあ
なんていうか人間関係ってほんと大事だよな…あれだけ不機嫌だった店長も、接する人しだいでここまで機嫌がよくなるんだから…

「ところで芹沢さん、今月もメニューコンテストが近づいてきたんですが、
 久しぶりに俺も参加するつもりなんですよ」

「ほう」

「ずっと自分なりに試作してたんですけど、ようやくイケるんじゃないかってラーメンができたんです。
 よかったら試食してもらえませんか?」

って、そんなまかないを食べながら、今度のコンテストに出すための新しいラーメンを開発したと話し始めた店長。
どうやら店長はそのラーメンにかなりの手ごたえを感じているようで、ぜひ芹沢サンにも試食して欲しいと言ってますね
ふむ、まあこの店で一番うまいラーメンを作ったという話をいま聞いただけに、確かに今度のラーメンにも期待が持てそうですが…



ってゲェー!?なんじゃこれ!?
なんと店長が作ったのはモンブランラーメンというヘンテコなラーメンであり
ラーメンの上にモンブランをでかでかと乗せてあるというゲテモノっぷり!
芹沢サンもひと目見てヤバさを確信したようで、これは試食を引き受けたことを後悔してるでしょうね…

「さあ!芹沢さん召し上がってください!」

「い…いただきます…」

ズルズル

「…」

「い、いかがですか?」

ズルズル

「…も、もう勘弁してください…」

そんなラーメンを頑張って食べようとしたものの
途中でいよいよ吐きそうになってギブアップする芹沢サン!
やはりというかなんというかマジモンのゲテモノだったというわけか…

「ダ、ダメでしたか…結局コンテストにはまた参加できずかぁ…」



そして自分的には会心の出来だったモンブランラーメンが、実は全然ダメだったと知ってしょんぼりする店長。
それを見た芹沢サンは「何を考えてるんだこいつは」って理解できない生き物を見てるような顔をしてますね
ラーメンの味も「とんでもないゲテモノ」とか容赦ない芹沢サンの毒づきっぷりに笑ったわ

それにしても、オイスターソース野菜についてはうまく仕上げた店長が
新作ラーメンを作ったらこうもダメダメになってしまったのは一体なぜなんでしょうか?
個人的にひとつ思いついた仮説としては、もしかしたら店長は
今あるものを改良するのは得意でも、ゼロから何かを生み出すのは苦手とか
そういうタイプなのかなぁと…すでに用意された野菜炒めの味を改良することはできても、
ゼロから新しいラーメンを生み出すことはできないっていう。
確か藤本クンもそんなようなこと言われてましたっけね



このとき藤本クンが言われていたのは、何らかのテーマを与えられて味の改良をすることはうまくやれるのに対し、
テーマを与えられずゼロから自分で創作するとなるとダメになってしまうって話だったわけで
もしかしたら店長もそれと同じ特徴を持っているのかなぁと思ったわけです
でも芹沢サンは藤本クンのことは愛してたのに店長にはぜんぜんその気がないんだな(えー

「芹沢さん、きのう鹿内さんのラーメン試食したんでしょ?どうでした?」

「え、う〜ん…どうと言われても、ノーコメントとしか…」

「ふふ、その言い方で察しがつきました。ダメダメなラーメンだったんでしょ?」

「い、いやいや…」

そして次の日、芹沢サンはというと、今度はメガネ女子店員たちに誘われて加納さんの店を訪れていました。
どうやら加納さんもこっちはこっちで新作ラーメンを作ったようで、芹沢サンに試食を頼みたいようですね。モテモテだなぁ芹沢サン
まあ加納さんは数々の新作ラーメンを作った実績があるとのことだから、さっきの店長みたいなゲテモノは作らないと思いますが…

そんな加納さんが作ったラーメンというのがこれ、キノコラーメンともいうべきキノコづくしの内容で
パッと見た感じ、キノコ鍋みたいで美味しそうではありますね
しかし芹沢サンは「期間限定」という言葉に引っかかりを感じたようで
食べる前からもうすでにメチャメチャ厳しい顔をしてますね。芹沢サンにとってはそれが致命的な欠陥だということなのか?

「うわぁ美味しい〜っ!!」

「こりゃメガウマっすよぉ〜!!」

(確かになかなかよくできてはいる…しかし…)

「さすが加納さんです〜〜っ!!もしこれをメニューコンテストに出したら絶対1位取れますよ!」

「OB枠で参加したらどうっすか!?」

(なんなんだこいつらは…!)

って、芹沢サンが1人このラーメンについて考えを巡らせている中、他の取り巻きたちは
とにかく美味くて最高だとひたすらにもてはやしていました
それを見て芹沢サンめっちゃイライラしてますね…考えてる最中に横からキャーキャー言われて
「お前ら少し黙ってろ」と言いたい気分なんでしょう

(この店には閑古鳥が鳴いているんだぞ、現状を打開するためのラーメンを作ったのかと思ったら、
 悠長に趣味的な期間限定ラーメンなんぞ作ってる場合か!?危機感がなさすぎるだろうが!)

「加納さん、この前は困らせるようなこと言ってごめんなさい!
 こんなに美味しいラーメンを作れるなら、この店が繁盛しないわけないと思う!」

(この女は何をヘラヘラ笑っている!?お前の恋人の店はこのままだと潰れるんだぞ!)

「俺もこの店はブレイク間近だと思いますよ!そうなったら約束通り俺らを雇ってもらいますからね!」

(潰れそうな店に雇ってくれだと!?本気で言ってたら絶望的なバカだし、調子を合わせてるなら軽薄なクズだな!)

ってもう芹沢サン内心完全にブチ切れとるー!!
さすがに落ち着いてくださいよ!もうこの場の全員に噛み付く勢いじゃないですか!
でもこんな風に芹沢サンが容赦ない言葉を垂れ流すのって
なんだか昔を思い出して懐かしい気持ちになりますね

というのも、以前の芹沢サンってこんなふうに歯に衣着せぬ物言いを遠慮なく相手にぶちまけるっていう
とんでもないオッサンだったわけで。今回の芹沢サンは心の中だけにとどめてますが
狂犬だった頃の牙が戻ってきたって感じで、これでこそ芹沢サンだって雰囲気が出てきましたね

それと芹沢サンの言いたいことは一言でいうと

元ラーメン屋の
オレの経験からみて
今のおまえ達に
足りないものがある


危機感だ
 
おまえ達
もしかしてまだ


この店が
潰れないとでも
思ってるんじゃないかね?

ってことだと思うんですよ(えー
要するに危機感が足りなさすぎると。この店はもう潰れる寸前の崖っぷちだというのに
なんとなく期間限定ラーメンを作れば上手くいくだろうとか、美味しいラーメンさえ作れば店は繁盛するだろうとか
そういう見通しの甘さにイライラしてるんだと思うんですよね

それと加納さんの様子を見ていて思うのが、この人ってもしかして
自分が美味しいラーメンを作れる能力があるもんだから
それに甘えてる部分があるんじゃないかと思うんですよ



たとえば俺が気になったのはこのシーン。芹沢サンがさっきから厳しいことを考えているのに対し、
加納さんはというと「どうです美味しいラーメンでしょう」って感じにニヤニヤしてるんですよね
この表情からして、自分のラーメンが美味しいってことしか見えてないというか、
自分のラーメンの味に甘えていて、周りのことが見えてないように思うんですね

実際に、ひとつ分かりやすい例としてあったのが、加納さんの店は
細かいところまで掃除が行き届いていないっていうシーンがありました



その場面がこれですよ、調味料を置くトレイにホコリが被ってしまっているっていう。
おそらく加納さんとしては、トレイにホコリが被っていようと
調味料の味さえ問題なければ別にいいと思っているんじゃないでしょうか
それにこの店、周りに一切宣伝らしい宣伝をしておらず、ひどく寂しい外観になっちゃってますよね



こんな感じで、パッと見てもどんなラーメンを出してる店なんだかさっぱり分からないわけです
加納さんはそのことを「味だけで勝負したいんです!」と言ってましたが
それってある意味味だけに甘えているとも取れるわけで
何も宣伝をしないってことは売れるための努力をしてないってことだから
いくら味がよくたって売れるとは限らないわけですよね



いいものなら売れるなどというナイーヴな考えは捨てろ
と以前の芹沢サンなら言ってるだろうと思います

そして加納さんがそれだけ掃除や宣伝をおろそかにしている一方で、
それをちゃんとやっているのが店長の店だったりするんですよね



店長の店ではこんな風に、調味料のトレイがキラッキラに掃除されていて
ホコリひとつ被っていない状態となっており
さらに店の宣伝に関しても、でっかい看板を設置してあって
ラーメンの写真や「ヘルシー!お腹いっぱい!」というわかりやすい特徴が書かれていて
どんなラーメンを出している店なのかひと目で分かる状態となっているわけです



両者の店で明暗が分かれているのは、そういう部分が大きいんじゃないかと思うんですよね
ラーメン屋を繁盛させるために必要なのはラーメンの味だけじゃないと。
店そのものを工夫して客が寄り付く店にするというのも必要なんだってことじゃないでしょうか
そういえば以前に芹沢サンがこんなことを言っていたことがありました

「うまいラーメンで満足しているのはアマチュアに過ぎない。
 うまい店を目指してこそプロだ」



そういう意味じゃ加納さんは、まさにうまいラーメンで満足している状態であり
店のことまで頭が回っておらず、アマチュア気分から抜け出せていないように思います
こうして見るとラーメン発見伝の頃を彷彿とさせるシーンが色々とありますねえ
でも芹沢サンは藤本クンのことは愛してたのに加納さんにはぜんぜんその気がないんだな(えー
店長や加納さんも藤本クンと少し似たところはあると思うんだが、芹沢サンに愛される日は来るんだろうか…次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第16話



さて前回、加納さんの作ったラーメンを口にした結果、
ただ1人浮かない顔をしながら呪いのかかったラーメンだと言い始めた芹沢サン。
果たして芹沢サンの言う呪いとはなんなのか、その説明を聞いてみると…

「去年、中学時代の同窓生が死にましてね…仮にA君としましょうか。
 同じクラスになったことはありませんでしたが、顔と名前ぐらいは知ってました。
 A君は野球部の4番でエース、目立つ存在だったんですよ」

え…?なにそれは…?なんとラーメンの呪いについて話すのかと思いきや
「この前死んだA君」という人死にの話を始めた芹沢サン。
いやいやちょっと、急にそんな話をされてもお悔やみ申し上げますとしか…(えー
芹沢サンは一体この話を通して何を伝えようとしているのか…?

「中学を卒業した後、A君は高校野球の名門校に入学。
 甲子園でも活躍したことで、地元ではちょっとしたスターのようになりました。
 周囲には彼をもてはやす者たちが群がり、A君を高級焼肉店や寿司屋、果てはキャバレーや風俗店にまで
 連れ回すようになり…かくしてA君はどんどん自惚れて天狗になっていきます。
 まだアマチュアの有望株でしかないのに、スターになった気分で遊んでばかり…
 それがたたって選手としての成長も止まり、大学にも行けずプロにもなれず…
 就職してもプライドが邪魔をして、人に頭を下げられず上手くいかない。どんどん生活は荒んでいき酒浸りの日々…
 そんなある日、A君が酒で体を壊し、まだ早い年齢で天に召されてしまったことを知ったわけです」

そんなA君の話とはこんな内容だったようです。ふーむなるほど
要するに芹沢サンが言いたいのは、まだアマチュアの有望株でしかないのに
周囲にもてはやされて自惚れていたら破滅が待っている
ってことを言いたいみたいですね

ちょうど前回の俺の感想で、加納さんのことを店を持ってはいるもののアマチュア気分から抜け出せていないように見えると書きましたが
芹沢サンからしてもやはりそのように見えており、まだ本物のプロではないと思っているようですね
そしてそんな未熟なうちから、周囲にもてはやされて天狗になっているようでは、加納さんの行き先は暗いと言いたいみたいです

なるほど…しかしこういうのって難しいですね。何が難しいって、俺が普段から言ってることとして
人を褒めることの大切さってことを常に主張してるわけですが
でもA君や加納さんの場合は褒められすぎてダメになっていくって状況になっているから
この2人についてはただ褒めるだけでは上手く行かないんだなと。

ただ俺が思うに、この2人みたいに周囲から必要以上に褒められまくっていたらそうなるのかもしれないけど
世の中の人間はむしろぜんぜん周りに褒めてもらえないってことの方が多いと思うんですよね
この漫画でいうと店長なんかがいい例というか、周囲から仕事のできないウスノロ扱いされて
たまに成果を出しても「まぐれで上手くいっただけ」とか言われて、褒められることなく見下され続けるっていう。

そんな風に誰からも褒められず、誰からも必要とされず、何をするでもない日々だけが続くみたいな
状況になってしまうと、人の心っていうのはストレスでどんどん病んでいってしまうものだと思うので
やっぱりそういう時に誰かが褒めてくれるっていうのは物凄く大事だと思うんですよ
それがあるからまともに生きていられるっていう。つまり俺が想定してるのは、加納さんやA君とはまったく正反対のタイプなわけですが
そういう人の方が世の中には多いんじゃないかなと思うんですよね

「今のはスポーツ系の話ですが、文化系でも似たようなケースはありますよね。
 新人向けの文学賞や漫画賞に入選した…小さなライブハウスや小劇場で人気者になった…
 どれもこれもプロを目指すスタートラインに立ったに過ぎないのに、
 未熟なる若者はもう自分がいっぱしの存在になったように錯覚する。
 加えて、自分よりレベルの低い周囲に持ち上げられて、ますます錯覚は強化される…
 若き日の小さな勲章は、時として大いなる呪いと化します。
 その者を増長させ、自己評価を歪めさせ、進む道を誤らせる…」

「つ、つまり…俺の場合、ベジシャキ豚麺堂にいた時のメニューコンテストで活躍したという
 小さな勲章が呪いになっていると…?」

「ええ、こんな期間限定メニューなんか作ってどうかしているとしか思えない。
 期間限定メニューというのは、いつもとは違うラーメンを食べたい常連客や、
 新しい味を探しているマニアのためのもの…常連もマニアもいない閑古鳥が鳴いている店で、
 そんなものを作っておだてられている場合じゃないでしょう」

さらにここで、期間限定メニューについても何がダメだったのかを具体的に語る芹沢サン。
なるほど期間限定というのは、常連客に対する「いつもの味とは違う」という変化や、マニア客に対する新しい味を提供するためのものであり
そういった客がそもそもいない状態で出しても意味がないってことみたいですね

確かにそういう期間限定メニューを出す意味について、加納さんは考えが足りていなかったように思います
「なんのために期間限定メニューを出すのか、それは具体的にどういう意味があるのか」ってことまでは考えてなくて
なんとなく期間限定メニュー作ったら店がうまくいきそうな気がするっていうぼんやりとした発想で作ったように思うんですよね
そこに関してもやはり見通しが甘かったという感じが…



ってああー!?なんと芹沢サンの言葉を聞いているうちに号泣し始めてしまった加納さん!
あまりにも痛いところを突きすぎてしまったんや!泣ーかした!!泣ーかした!!(えー
もはや子供のようにしくしくと泣きじゃくる加納さんを前に、さすがの芹沢サンもやりすぎてしまったと実感したようで…

(し、しまった…こいつらの甘ったれた態度にムカついて、好き勝手に言いすぎた…)

「す、すいません、立ち直ってほしくて思わずきつい言い方をしてしまいました。
 許してください加納さん、サイナラ〜…」

「せ、芹沢さんっ!加納さんを助けてあげてくださいっ!
 この店を繁盛させることくらい、あなたなら朝飯前でしょう!?」



って、気まずい中でそそくさと帰ろうとした芹沢サンに対し、「芹沢さんなんとかしてくださいよォー!!」と言い出した1人の男!
誰だよお前!!(えー  いやすいません、今までまったく目立ってなかったから
俺の感想でまったく触れてませんでしたが、こいつも芹沢サン達の店でバイトしてる仲間みたいですね

「な、なになに?一体なんなのよ?」

「いいですか!?この人はですね…ついこの前まで名店「らあめん清流房」の店主にして
 名店「麺屋せりざわ」の店主でもあり、天才フードコンサルタントでもあった
 ラーメン界を代表するカリスマ、芹沢達也なんですよぉ〜〜っ!!

ってぐわー!!そんな目立たないマンの指摘によって、これまでの経歴の数々を思いっきりバラされてしまう芹沢サン!
せっかく隠してたことを大声でバラしやがって!このスカタンが!(えー
これじゃもう気軽なバイト生活が送れなくなっちゃうじゃないかよ!まったく芹沢サンの事情を無視して勝手に全部話しちまうだなんて



そして次のシーンでは「で、どうなんですか?助けてくれるんですか」とずいずい迫る目立たないマン!
ふ、ふざけんな!助けるもクソもお前には秘密をバラされた恨みしかないわ!(えー
助けてもらえるのが当然と思ってんじゃねー!くそったれがー!

そもそも芹沢サンって、こういう店の立て直しとかコンサルティングの依頼を受ける時には
高い金を支払ってもらわないと依頼を受けないっていうタイプの人だから、タダで今すぐ助けてくれなんて虫のいい話ですよ
たとえるならブラックジャックにタダで手術してくれって言ってるようなもんかと(えー
助けて欲しけりゃ金を用意しな!金だよ金!こちとら慈善事業でやってんじゃねーんだよ!

(やれやれ…このSNS時代、身バレしたからには無下にもできんな…)

「わかりました、これも何かの縁です。お手伝いさせていただきましょう」

えー!?タダで助けちゃうんですかー!?(えー
なんと意外にもタダで店の立て直しを手伝うと言い出した芹沢サン!どうやらSNSがこれだけ発達した時代に
ヘタに断ったら即座にネットに拡散されて炎上しそうだから、しょうがなく引き受けることにしたみたいですね
お前らタダで助けてもらえることに感謝しろよ!(えー

ともかく、ここからは加納さんの店を立て直すことに本腰を入れることにした芹沢サンは
まず手はじめにある人物に電話してその人をここへ呼び出すことにします。芹沢サンが呼んだその人物とは…



誰だよお前!!(えー  なんか知らねーオッサンが出てきたんだが!?
話を聞いて見るとどうやらこのオッサン、ベジシャキ豚麺堂の社長なんだそうで
つまりは以前、加納さんがベジシャキ豚麺堂で働いてた時にそれを左遷した張本人ってことですよね
なので加納さんにとっては結構因縁のある相手なわけですが、それを呼び出して一体どうするのか…?

「加納、他ならぬ芹沢さんの頼みだ。メニューコンテストにお前をOB枠で参加させてやるよ」

「え…!?ちょ、ちょっと待ってください、よく分からないまま話が進んでますけど…
 コンテストに参加しろって言われても、俺は社長の方針を批判して左遷された人間ですよ?」

「いいじゃねぇか!古巣にリベンジするチャンスだぞ!?俺への恨みを晴らせっ!!」

って、芹沢サンはどうやら、豚麺堂のメニューコンテストに再び加納さんを参加させるために社長を呼んだみたいですね
いきなりそんなことを言われて戸惑う加納さんですが、しかし社長の方は
「いいじゃねぇか!俺への恨みを晴らせ!」とノリノリでこの話を進める気みたいです

ふむ…なんだかこの社長、ヤクザっぽくておっかない人なのかと思ったら
むしろ竹を割ったような気持ちのいいオッサンみたいですね
自分のことを批判していたという加納さんに対しても、わだかまりを持ってないみたいだし。見かけによらずいい社長なのかもしれないな

「だが簡単にはリベンジできると思うなよ、お前を迎え撃つ最強の門番を用意してあるからな。さあ入ってこい!カマン!」

「!?」



とその時、加納さんを倒すための最強の刺客を用意したという社長ですが、そこに現れたのはおなじみの店長!
なんでまた店長が最強の刺客に!?これには加納さんも冗談としか思えないようで
「なんだザコじゃねーか」と言わんばかりの笑みを浮かべてますね

「おい加納、俺は芹沢さんによって覚醒したんだ。前と同じだと思うなよ」

「なに?」

「加納さんと鹿内さんには同じテーマで競っていただきます。それは…牡蠣を使ったラーメンです!」

しかしなぜか今日に限って自信満々の店長、そして芹沢サンからは驚きのお題が!
牡蠣を使ったラーメンといえば、加納さんが今までのメニューコンテストで
すでに一番の自信作として作ったラーメンで、今自分の店でも出しているものですよ
そんな加納さんの得意分野で対決させるとは、芹沢サンにはどんな目論見があるのか…!?

そして俺的に、「テーマを与える」という一言が物凄く興味深かったりします
なぜかというと、前回の感想において俺が使った画像というのが



これだったからですよ。そう、ラーメン発見伝において藤本クンは
テーマを与えられたら相当な力を発揮することができるという特徴があるのに対し
逆にテーマがない時は力を発揮できないということがあったわけで
これって今の店長と同じなんじゃないかということを語ったわけです

たとえば店長は、何もテーマがなくゼロからラーメンを作らなければいけない時は
モンブランラーメンとかいうゲテモノを作ってしまうわけですが、
しかし現在出しているラーメンの改善というテーマを与えられたら、オイスターソース味という良質なものを作ることができたっていう風に
テーマを与えられた時に力を発揮できるタイプなのではと前回の感想で推測していたので
もしかして本当にそういう展開なのかなと思ったわけです。店長の言う「芹沢さんのおかげで覚醒した」というのは、
そういう自分の特徴を気づかせてもらったということなんでは?実際のところはどうなんでしょうかね、それでは次回に続く!


ビッグコミックスペリオール感想:らーめん再遊記 第17話

さてらーめん再遊記第17話の感想ですが、まず冒頭の場面では
店長VS加納さんの対決が成立したシーンで始まってますね
とはいえ闘志が沸くかと聞かれると「こんなザコ相手に闘志なんか沸かないけど」と冷めた答えを返す加納さん。
やっぱりまだまだ店長のことは見下しているようですが…

「入賞経験ゼロのこいつのどこが最強の門番なんですか?」

「そりゃあ店の売上が、鹿内が店長になってからの方が上だからだよ。お前の店長時代よりな」

「ええっ!?」

「おいおい知らなかったのか?芹沢さんはとっくに売上をリサーチしたうえ、上向いた理由まで見抜いてたぞ」

「加納さんには創作性という大きな武器がありますが、鹿内さんにもまた別の武器があったということですよ」

「武器…?」

しかしそんな中、店長は店の売上を以前よりもどんどんアップさせていると聞いて驚愕する加納さん。
なぜそうも売上が上がっているのかというと、店長は「とある武器を持っているから」だと芹沢サンは語っていますが…
ふむなるほど、店長が持っている武器という話については、前に俺の感想で
「今あるものを改良する力」なんじゃないかと推測したことがありましたよね
もしこれが当たっていれば、店の売上が上がっていったというのもうなずける話ですが…果たして実際のところはどうなんでしょうか

 

そして何日か経ったある日、ついに店長と加納さんが激突するメニューコンテストの日がやってくることになります
一体どんなコンテストなんだろうと思ったら、審査員が社長でみんなのラーメンに点数をつけていくっていう内容みたいですね
おいおい社長1人で大勢のラーメンを次々と食べていくって胃袋は大丈夫なんか!?(えー

かなり年のいってるオッサンだから、ラーメン大量食いとかするのキツイだろうに大変だなあ
それと社長1人で点数をつけるってことは、この人に見る目がなかったら台無しですよね(えー
でも細かい分析とかしながら点数をつけてるのを見ると、社長なだけあってそのへんに関しては定評のある人なんだろうか?

そして参加者の点数を見ていくと、画像のメガネ女子店員が作ったラーメンが78点、現在トップの人の点数が84点、
過去のコンテストで加納さんが叩き出した最高の得点が91点ってことみたいです
そう考えたら70点でもかなり優秀で、80点取ったらトップ争いできるくらい超優秀、90点取ったら歴代の記録に残るくらい超ウルトラ優秀って捉えたらいいのかな?



そんなコンテストが進む中、ついに店長の番がやってきて新作ラーメンを披露することに!
そのラーメンとはベジシャキ豚麺・真オイスターソース野菜ということで
どうやら今の店で出しているベジシャキ豚麺・オイスターソース野菜をさらに改良したものとして出してきたみたいですね
なるほど改良…俺の予想でも重要視していたキーワードですが、これはもしかしてもしかするのでは…?

ズルズル

「!! こ、これはうまいっ!!野菜炒めに使われているオイスターソースが決定的に違う!
 豊かな香りとコクが溢れ、それでいて野菜の味を引き出しつつ絶妙に調和している!
 このオイスターソースが溶け出した豚骨スープが
 じわじわと複雑玄妙な味わいに変化していき、食べ飽きるということがない!
 期間限定ラーメンとして店に出しても十分に売れそうなうまさ!
 94点!!よくやった鹿内!遂に創作ラーメンに開眼したな!」

ってなんかものすごい高得点キター!!
94点っておい!それ歴代最高の点数なんじゃねえのか!?まさか店長がここまでハンパない高得点を叩き出すとは!
これには会場に集った大勢の社員たちも大盛り上がりしており、うおおおと熱狂の声が上がっております



そんな中、加納さんはというと「鹿内のやつ武器を使いこなしたみたいですね…」と静かにつぶやいていました。
さっきまでは見下してましたが、店長の武器に気づいたことで考えを改めたということでしょうか?
そして店長の武器とは具体的になんなのかというと…

「鹿内さんの武器とは?」

「改善能力だと思います」

「よく気づきましたね、鹿内さんはクリエイターとしては加納さんの足元にも及びませんが、
 しかしアレンジャーとしては大きな才能を秘めている」

「アレンジャー…」

「ええ、0から1をクリエイトする能力には欠けていますが、
 すでにある1をアレンジすることで、5にも10にも膨らませる能力には長けている」

ってうおおおおおお!!まさに俺の予想大当たりきたああああああ!!
これはああああああああ!!これはやったぞマジで!!
店長の武器は「今あるものを改良する力」っていう予想カンペキに大当たりや!見てくださいよこの過去に俺が書いた感想を!

ゼロから何かを生み出すのは苦手で、今あるものを改良するのが得意っていう
今回の芹沢サンのセリフとまったく同じやああああああああああああああああ
うおおおおおおおおおおお大志Mk−2ってやっぱり天才なのでは!?(えー
ここまでカンペキに言い当てた奴おる!?天才すぎるぜこれは…あまりにも天才すぎるぜー!

(アレンジャーの素質があると言っても栗ラーメンなんか作るような奴、
 加納の噛ませ犬にでもなってくれれば御の字だったんだが…
 ここまで化けるとは、ブタもおだてりゃ木に登るだな)

ってそんな風に俺が狂喜乱舞する中で芹沢サンめっちゃひどいこと言っとる!?(えー
店長のことはモンブランラーメンみたいなゲテモノ作るブタ野郎だし噛ませ犬ぐらいになったら御の字としか思ってなかったという…
ひ、ひでえ!噛ませ犬とかブタとかなんつー言い草や!さすがの俺もそこまでは予想できなかったわ!(えー
でも芹沢サンはこれぐらいムチャクチャ言ってる時がやっぱり面白いよな

「どうだ加納!?昔お前が出した91点を超えたぞ!売上も得点も俺が上だあっ!」



「凄いな鹿内。脱帽だ」

「え?」

「俺がクリエイター気取りで独りよがりなラーメンを作っていた間、
 お前は客を喜ばすためにコツコツ頑張っていたんだな。
 それを実を結んだ今、お前は俺より上だと認めるしかないよ」

「えっ…ど、どうしたんだよお前、いきなりそんなこと言われても心の準備が…」

「でもな鹿内!俺のラーメンだって自信作だ!むざむざ負けねーからな!!」

とそんな中、勝ち誇った様子で加納さんをギャフンと言わせてやろうとする店長でしたが、
加納さんは憑き物が落ちたような爽やか顔で店長のことを凄い奴だと認めていました
ふむ…考えてみたら店長と仲が悪いのって加納さんの取り巻きで、加納さん自身はそこまで店長に対する敵意は持ってなかったですしね
まあ「ラーメン作りの下手なヤツ」みたいに見下してる部分はありましたけど、それも今回で考えを改めたということでしょう
てなわけで、加納さんと店長は「お前は凄い奴だよ、でも俺だって負けねーからな!」という爽やかなライバル関係となり
加納さんの取り巻き達も笑顔になってめでたしめでたしということに…

 
 

「なんかつまらんな…」

えええええ!?なんでですか!?
いやいやちょっと!せっかく話が丸く収まったのになんで「つまんねー」とか言ってんだこの人!
芹沢サンにとってハッピーエンドはお好みじゃないんですか!?
そういばこの前の飲み会の時に、店長や加納さん達がすごい険悪に怒り狂って言い合いしてた時は
芹沢サンはそれはもう楽しそうに酒グビグビ飲んでましたが
要するにああいう展開がお好みってこと!?ラーメン屋ってのは殺伐としてるべきなんだよってことですか!?
いつ喧嘩が始まってもおかしくない、刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーかっていう…
というかこのフレーズ古すぎてちゃんとみんなに伝わるだろうか…(えー
我ながらとんでもなく古いネタを使っちまったな…もう20年近く前のネタですよこれ。もうそんなに経ってたんだな…それでは次回に続く!






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