映画感想:機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島

さて今日の映画感想はこれです。機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島。
このタイトルだけなら、初代ガンダムに詳しい人ならよく知ってるんじゃないでしょうか
なんでかというと、この「ククルス・ドアンの島」っていうのは
初代ガンダム第15話のサブタイトルなんですよね

そう、もともとは初代ガンダムの15話目で描かれたエピソードだったのが、
なんと現代に映画化されることになったという…それだけ聞くと「さぞ人気の高いエピソードなんだろう」と思うかもしれませんが
ぶっちゃけ人気が高いというより作画がクソすぎることで有名になったエピソードですよね(えー



いやマジで、ククルス・ドアンの島と言ったら初代ガンダムの中でもぶっちぎりで作画がクソなことで有名で
初代ガンダムでの作画崩壊といったらククルス・ドアンの島
っていうぐらい作画がダメダメなことで有名でしたからね

そんなクソ作画の回をなぜ今になって映画化したんだろうか…
それともクソ作画だからこそやり直したかったってことなのか?
「きれいな作画にすればククルス・ドアンの島は名作エピソードにできる!」っていう手ごたえがあったとか?
ともかく、そんな映画ククルス・ドアンの島を見た俺の評価としては…
100点満点中、55点といったところでしょうか

ドラゴンボール超スーパーヒーローが80点、シンウルトラマンが82点、トップガンマーヴェリックが100点(5万点)だったことを考えると
55点というのはぶっちゃけ微妙というのが正直なところです(えー
なにがそんなに微妙だったかってことなんですが…俺が一番気になったのはテンポの遅さですね

そう、今回の映画ククルス・ドアンの島、話のテンポがめちゃめちゃ遅いんですよ
たとえばキャラのセリフの合間に何度も何度も間が入ったり、必要のないシーンが何度も挟まったり
とにかくスムーズに話が進まずに、時間を稼ぐようなシーンが何度も使われてる印象がありました

たとえるなら、昔のアニメでひたすら尺稼ぎの引き伸ばし展開やってる時みたいな
テンポの遅さがとにかく気になったっていうか…なんでそんなことになったのかというと
これってやっぱりもともと1話分のエピソードを映画用に引き伸ばしたからなんじゃないでしょうか

なにしろ、本来なら30分で終わる話を2時間近い映画にしたわけだから
話もそのぶん引き伸ばさないと、2時間の尺を埋めることができないっていうか…
いちおう話の内容も、本来のエピソードより色々と盛られてたんですけど
それでも2時間分は埋められなくて、尺稼ぎすることでなんとか埋めたっていうのがこのスローテンポな展開なんじゃないかなと…

そういう意味では、もっとコンパクトな内容でまとめてほしかった感はありますね…
正直、映画館でスローテンポな間延びした展開を見せられると退屈で仕方ないっていうか
とっとと倍速ですっ飛ばしたいって気持ちがずっと俺の中にありましたね

いやマジで、あれだけスローテンポな内容だと、倍速機能使って早いとこ先に進めたいって気持ちがどんどん湧いてくるっていうか
そういう意味じゃ映画館で見るより家で見たほうがいいって思いましたね
家で見る時は倍速機能使って自由な速さで見られると思うんで、映画館でじっくり見るよりその方がいいと思いました

まずそういう「全体的なテンポの遅さ」というのが大きな減点ポイントで、あと他に気になったのは
ガンダムの見せ場が少ないってことでしょうかね
今回の話は、初代ガンダムのエピソードなだけあって、アムロやガンダムも登場するんですが
とはいえ派手な活躍シーンとかはほとんどなくて、見せ場はかなり少なかったんですよね

まあ、もともとのククルス・ドアンの島がそういうエピソードだからしょうがないと言ったらそれまでなんですが
俺的にはやっぱり初代ガンダム見るならガンダムの活躍シーンが見たいと思ってしまうので、
それが少ないっていうのは物足りない気持ちがしましたよ

俺の気持ちとしては、スローテンポな展開の退屈さに我慢しながら「ガンダムの活躍シーン早くこねーかなー」と思ってたんですが
その活躍シーンも少ないままで終わってしまったので、
なんのために見たんだかよくわからなかったというのが正直な気持ちでしたね

あと、もうひとつ残念ポイントとしてすごく大きかったのが
敵のジオン兵を皆殺しにしてしまうっていう「殺しすぎな展開」でしょうかね
いやマジで、さすがに殺しすぎだろと思うくらい敵のジオン兵を殺しまくってしまう内容で、
特にやばかったのは生身で逃げ出そうとしたジオン兵をアムロのガンダムが追いかけて殺すシーンでしたね

あそこはマジでドン引きしたっていうか…いくらなんでも生身で逃げる相手を殺すのはやりすぎじゃね!?
たとえばモビルスーツに乗って向かってきた相手ならまだわかるんですよ、それと戦って殺してしまうのはもうしょうがないと思うんだけど
生身で逃げようとした相手となると…しかもアムロがそれやるのかよ…ってめちゃくちゃテンション下がったシーンでした

さらに言うと、今回戦ったジオン兵っていうのはみんなドアンの元仲間だったわけですが
そういう仲間だった過去とか関係なく次から次へと殺しまくるっていう展開が理解できなかったというか…
相手への友情とか未練とかそういうのないんか…そんな哀れなジオン兵の中には女の人もいて、
この人は元仲間どころかドアンと恋仲だったんじゃないのっていう雰囲気を匂わせていたんですが
そういった恋仲っぽい女の人まで関係なく殺すっていうのがもう本当に理解不能すぎて…

トップガンマーヴェリックでたとえるならあれですよ
マーヴェリックが躊躇なくグースやアイスマンやペニーと戦って皆殺しにするようなもんですよ(えー
そう考えるとマジでありえないだろっていうかね…グースが死んだ時のマーヴェリックのあの悲しみようを見た後だと
自分から元仲間を殺すっていう展開がどうにも受け入れられなかったっていうか…

というか、俺のこの減点っぷりはトップガンマーヴェリックを見た後だからっていうのも相当でかいと思うんですよ
なんでかっていうと、トップガンマーヴェリックは敵の兵士が死ぬシーンって直接的に出てこないんですよね
敵の機体を撃破するシーンは出てくるけど、敵の兵士が爆発に包まれて死ぬシーンとかは出てこないわけで
「敵の人間を殺した」って実感させるようなシーンは描いてないんですよね。なんなら敵が脱出して助かってるシーンとかを描写してるくらいだし。

その一方でククルス・ドアンの島は、敵の兵士が爆発に包まれて死ぬシーンがわざわざみんな描かれてて
今回登場したジオン兵たちはみんな死んでしまったってってことがハッキリ分かるわけなんですよ
その分すごくこう相手を殺してしまったっていう後味の悪さを感じたというか
「めちゃめちゃ殺してるやん…元仲間なのに…恋人っぽい人もいたのに…しかも生身の相手も殺すのか…」
って感じで、まあとにかくテンションが下がっていく内容だったように思います

まあ、戦争映画だから殺し合うことの悲惨さを重視して描写したのかもしれないけど。
テンションが上がっていくエンタメ映画とは真逆だなと思いましたね
そういう意味じゃ、トップガンマーヴェリックとククルス・ドアンの島って、目指してるものが全然違うと思うんですよね

トップガンマーヴェリックで描かれてるのって、
機体の性能の高さとか、操縦する人間の腕前の高さとか、機体や人間の限界に挑戦するとかって内容なので
戦争っていうよりモータースポーツとかに近いと思うんですよ
たとえばF1ドライバーとか、レースの世界に生きる人間に近いような雰囲気を感じるわけで
殺し合いというよりは、人間の腕前やマシンの性能で勝負する世界を描いてると思うんですね

その一方でククルス・ドアンの島では、戦争の中で殺し合いを繰り広げるっていうことがハッキリと感じられて
スポーツ的な爽やかさではなく、情け容赦なく敵と殺し合うっていう
戦争の悲惨なところを描いた作品になってるというか…

そういう意味で、どちらも兵器に乗って戦う映画なんだけど
目指してるところがまったく違うというか
エンタメ性が高くて見てて楽しいのがトップガンマーヴェリック、殺し合いの悲惨な雰囲気を感じるのがククルス・ドアンの島って印象でしたね

まあ、人によっては「戦争はエンタメじゃない!悲惨な雰囲気を描くべきなんだ!」って意見もあるだろうけど
俺としては見ててテンション下がるわーってのが正直な気持ちかな…(えー
俺的にはやっぱり楽しい作品が見たくて映画館に来てるところあるからな…
そこで悲惨な内容とか見せられても、ただただドン引きしてテンション下がるっていうか…

そんな感じで、俺としてはかなり点数低めになったククルス・ドアンの島ですが、
声優の演技に関してはすごい良かったと思います
たとえば一番いいと思ったのはフラウ・ボゥ役の福圓美里。
どうやら最近になってフラウ役をやるようになったようですが、正直めちゃめちゃ合ってると思います

今回の映画ではフラウの出番あんまりなかったですが、それくらい目立ってない中でも
セリフがあるたびに「フラウめちゃくちゃ可愛いな…」と思いながら見てました
俺が前に初代ガンダムを見た時は、フラウよりもセイラさん派だったんですけど
今回の内容を見てしまったら完全に100%フラウ派ですね(えー

福圓美里の他にもよかった声優は内田雄馬ですね
内田雄馬は今回、ドアンと一緒に生活してる少年の役をやってたんですけど
そういう「少年その1」みたいな役なのに声がカッコよすぎてびびりました

前から思ってたんだけど内田雄馬っていい声出すよな…なんていうか勇ましくてカッコイイというか
俺のイメージ的に、最近の男性声優って中性的な声のイメージがあるんだけど
内田雄馬はそういう中性的で線の細い声じゃなくて、ガツンと響く感じのカッコイイ声してるから
そういうところがすごく気に入ってますね。勇ましい男主人公とかが似合いそうなイメージというか、
そういう意味じゃ勇者っぽい声とでも言うのかな…(えー
今回にしても、役割としては少年その1なのにすごい勇者っぽい声してるって感じで
声を聞いてたらめちゃめちゃ印象に残っちゃいましたね

他にもよかった声優といえば武内駿輔ですね
武内駿輔は今回ドアン役を担当してたんですが、渋いおっさんのドアンとめちゃめちゃ雰囲気あっていたというか
要するに渋いおっさん声なんだけど、それがすごくいいっていうかね

さっきも言ったように最近の男性声優は中性的なイメージが強いから、
渋いおっさん役やれる人なんでほとんどいないっていうか
そういう役をちゃんとやれる人ってすごく貴重だと思うんですよね

ベテラン声優で言うなら、玄田哲章とか大塚明夫とかがそのポジションなわけですが、
玄田哲章はもう74歳だし、大塚明夫も62歳だしで、高齢化が進んでていつまで現役かわからないと思ってたんですよ
そんな中で武内駿輔はまだ24歳なので、めちゃめちゃ若くて今後もずっとバリバリやれるという
まさに渋いおっさん声の星と言うべき存在だと思うんですよ(えー
なので、俺としてはすごく期待してるポジションなんですよね。今後も長く活躍してほしいと願うばかりです

あとその他に良かった声優としては山崎たくみでしょうかね
山崎たくみはもうずいぶん前から活動してるベテラン声優なわけですが、
今回マ・クベ役で参加してて塩沢兼人の生き写し感がすごかったですね

山崎たくみって、結構前からマ・クベ役やってて
先代マ・クベ担当の塩沢兼人にだいぶ似せてる感があったんですけど
今回の映画ではもう似せてるなんてもんじゃなかったというか
塩沢兼人本人が喋ってるんじゃないかと思うくらいのすさまじい再現度で喋ってた気がしますね

「塩沢兼人の声なら俺に任せろ」と言わんばかりの極まってる感がすごかったというか
ベテランなのに以前よりますます進化してる山崎たくみの凄みを感じましたね
そういう風に、声優陣に関してはめちゃめちゃいい演技してる人が何人もいたので
そのあたりについては良い部分のあった映画だと思いますね





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