■あさっての方向。7話 「二人のつかのま」
「はいっ、ほらほら早くしてください」
「え?いや…」
「さ、早く行かないと遅刻しますよ」
「それじゃ…行ってきます」
ある日の朝、朝食を終えたばかりの尋をやたらと急かして仕事に行かせるからだ。
まだ時間はあるのになんで?と首をかしげながらも家を出る尋でしたが…
「にっひひひ〜」
「なーにを企んでるの?」
「あっ、今日尋兄の誕生日なんです!」
本人は気づいてないようですが、今日は尋の28歳の誕生日。お祝いの準備をするために追い出したんですね
まあ30歳になるころには尋も複雑だろうから、盛大に祝福できるのも今のうちという:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「それで、何かプレゼントしてびっくりさせてあげようってわけ?」
「はい!ケーキを焼いてあげようと思うんです、手作りのバースデーケーキ!
それであの、椒子さんの部屋を使わせてもらえないでしょうか」
大きいオーブンがない五百川家に代わって、椒子のマンションでケーキ作りをしたいと頼むからだ。
椒子も快くそれを了承し、2人で材料をわんさと買い込んでマンションへと向かいます
というか特選北海道純生クリーム35…って実物の生クリームかよ!
《ライトなおいしさ》ってところまで再現するとは芸が細かい。タテナスってメーカー名は微妙にうさんくさいですけど:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「んん〜、ちょっと買いすぎたんじゃない?」
「で、でも椒子さん家って、計量カップや泡立て器もないですし…」
「計器って重いのねぇ」
「えっ?ケーキは軽いですよ」
微妙に会話が噛み合わない2人。ケーキじゃなくて計器となぜ気づかん!
とは言っても発音的にはどっちもケーキ…私も最初はケーキの話してるのかと:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「はぁ〜!涼しい〜」
「いっそこっちに3人で暮らしたほうが良かったりして」
「ダメですよ、ここは椒子さんの部屋です!」
椒子の家でしみじみとクーラーのありがたさを実感する2人。
五百川家にはオーブンだけじゃなくてクーラーもなかったのか…(
つ∀`)
そういえば暑さをしのぐ描写としては、マド開けたりうちわ扇いだりする場面しかなかったんですけど
もしかして五百川家には扇風機すら存在しないのか!?尋…数年働いてるのにそんなに貯蓄が…(えー
そんな生活じゃからだが卵のタイムサービスを気にするのも必然だったということか:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「自分の部屋だって実感できる前にちっちゃくなっちゃったし、荷物だってまだほどいてな…あっ
そ、そんなつもりで言ったんじゃないわよ」
「ごめんなさい、私が願い石にお願いしたばっかりに…」
「みんなの部屋でいいじゃん」と言うつもりがからだを落ち込ませてしまい、文字通り慌てて飛び上がる椒子。
沈んでしまったからだのご機嫌を取るために、ダンボールから服を引きずり出して着せ替えショーをおっぱじめます
「はぁ〜楽しい!…?椒子さん、何してるんですか?」
「ちょっと読みたい本があってね」
すっかりからだの機嫌も直り、服を出すついでに本の整理を始める椒子。出てきた本はどれもブ厚い英語の本ばかりです
「すごい…椒子さんって英語の本とか読めるんですか!?」
「だって留学してたのよ?」
「大学って…いっぱい勉強するところなんですよね」
「そうね…でも勉強だけじゃないわよ」
で…でたらめを言うなーー!!!
大学でやるのは勉強だけじゃないなんて…俺は信じませんよそんなこと!
大学って言ったらあれじゃないですか、単位という十字架を抱えて不可→可→良→優の階段を登り続ける聖帝十字稜。
(C)武論尊・原哲夫/集英社
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ハッハハハ!
よいか、その単位落としてはならぬ!
落とせば貴様らは留年だ〜!! |
代返などというものが通用するはずもなく、授業開始と同時に人数ピッタリの出席カードが配られる
遅刻はもちろん欠席扱い。3回遅刻すればその時点で単位なし
欠席すればゴッソリと評価が下がる。その代わりにいくら出席しようとも決してプラスになることはない
成績を左右するのはテストの結果のみ。もちろん追試などという救済措置は存在しない
スタンダードな問題は出ず、テスト用紙には応用問題がズラリと並ぶ。事前に過去問を入手できなかった者には死あるのみ
その場で考えて解くようでは、せいぜい時間内に解けるのは半分ちょっと。合格点に届かず不可を食らうことになる
(C)武論尊・原哲夫/集英社
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よいか!この教授には
全出席は武器にはならぬ!! |
授業全出席、課題全提出しようとも「テストをペナルティなしで受けられる」だけで一切の慈悲は与えられない
休み時間は友人で集まり雑談と言う名の情報交換。過去問、過去レポ、プログラム、設計書、むしり取れるだけむしり取る
一人でどんなに必死に勉強しようとテストで結果が残せない。地道な人間ほど泣きを見る世界
「もう嫌だ!授業サボって遊びに行く!」と授業を休んでも、留年の焦燥感にかられて何も手につかない
年中頭の中を占めるのはとにかく単位。単位のことを考えない日はない
4年になれば研究室選びという地獄のイス取りゲーム。やはりここでもカギになるのは単位
志望した研究室が他人とかぶった場合、今までにいい単位を取ってきた生徒が優先される
第一志望で評判のいい研究室はほとんど埋まる。第一志望に漏れてしまえば志望の坂を転がり落ちる
20志望近く書いても無駄なこと、すべて空振りして誰も選ばなかったような研究室に飛ばされる
研究室に入っても安心はできない。夏には中間発表、冬には卒研発表があるので冬休み・夏休みは一日も与えられない
盆も正月もすべて学校通い。むしろ正月に休むことは「僕には卒業する気がありません」と公言しているに等しい
もちろん文化祭の日も関係なく研究室にこもる。4年の生徒にとって文化祭は「人ゴミが多くて邪魔なイベント」にすぎない
(C)武論尊・原哲夫/集英社
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きさまらに研究を選ぶ権利はいらん!
すべて教授の気分しだいよ!! |
研究とは早い話が教授の論文を進めるためのもの。論文の進む方向に合わせて実験方法はコロコロ変わる
ある日突然「昨日の発表会でもうそのデータ意味なくなったから、今日から他の実験やって」と
たったの一言で数ヶ月かけて集めたデータがゴミへと変わる
そうなると辛くなるのが卒論。無駄になった研究の分だけ他の研究で穴埋めをするハメになる
卒業の時期に近ければ近いほど一気にしわ寄せが来る
毎日必ず5時に帰る教授を恨みつつ、連日研究室に泊まり込んで残業、ひたすら残業
これが大学だ!!
あー長かった…悪いこと言わないから、学生の人は文系の大学行ってキャンパスライフを満喫した方がいいです(えー
「椒子さんって…好きな人とかいたんですか?」
「え?」
「だって素敵な服とかアクセサリーとか…きっとキレイだと思うし」
椒子のオトナな服を見ているうちに恋愛話を聞きたくなったからだ。
そういえばからだは、椒子のことを「尋兄の知り合い」と思ってるだけで元カノだとは知らないんでした
「いたわよ、甲斐性なしのろくでなし」
「か、かいしょう、なし?」
「ああ、なんて言うかその…無責任でだらしのない人かな」
「な、なんかいい人じゃなさそう…」
ああ…やっぱり客観的に見ればそうなるよね(えー
尋はなんだかんだ言って、からだ以外の人にはロリコンとかろくでなしとかケチョンケチョンに言われてるから:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
一方そのいい人じゃなさそうな人は、いつもの喫茶店で透子に簡単な誕生日のお祝いをされていました
「頼んでないけど…?」
「サービス!よくもまぁ毎年毎年自分の誕生日を忘れられますねぇ」
そして出てきたのはから揚げブロッコリーミートボール目玉焼きミートソーススパ。
うーむ、豪勢というかコテコテというか…これだけ肉づくしだとコレステロールとか気になりそう:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「聞きましたよテツから。親戚の女の子も預かってるって」
「あ、ああ、うん。妹を預かってもらってる代わりに交換ホームステイって言うか…」
「ふ〜ん…大変ねえ。そういえばパッタリ見かけないけど、椒子さんって人はどうなったん…」
「ぶぇふっ!げほっ!い、いやあれから全然連絡ないし…」
「親戚の女の子」でぎょっとした瞬間に、たたみかけるように核心をドーン!知っているのか貴様ー!
痛いところをガシガシ突いてくる透子でしたが、完全に素で浮かんだことを聞いてみただけの様子。
尋はタジタジになりながら気管に入ったスパを咳き込むのでした
「えーっと、卵4個、グラニュー糖120グラム、薄力粉120グラム…」
そしていよいよケーキ作りに入るからだ。しかし椒子は何をするでもなく、ベランダでぼへーっと突っ立っていました
それもそのはず。椒子は相当な料理下手で、ただオーブンで焼くだけのターキーの丸焼きが
気がついたら真っ黒な物体に化けてしまうという腕前の持ち主。
丸焼きだけは得意などっかの姫様を下回るとは、よっぽどの重症です:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「わ、私も…手伝っていいかしら…」
かつて尋に料理を作ってあげようとして大失敗した椒子。その時のリベンジを果たしたいのか、
「ヘタクソだけど仲間に入れて」ともじもじしながらケーキ作りに加わります
というか左の方に置いてあるうまい牛乳のモデルはおいしい牛乳ですか。パッケージもそっくりだ
「じゃあ、椒子さんはバターの湯煎をおねがいします」
「…ゆせん…?」
「バターをお湯で溶かすんですよ」
湯煎知らないんですか椒子さん!まさか頭の中で「何それ湯川専務の略?」なんて考えてたりとか:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
というか湯煎なんて、バレンタインの時期になかよしとかりぼん買ってくれば一発だと思うんですが(えー
椒子は昔から漫画を読まずに勉強ひとすじだったんでしょうか
「ふんふ〜ん♪…あっ!?ち、違います椒子さん!」
「へ?(ぼちゃーん)」
案の定、お湯の中に直接バターをブチ込みバター汁を作ってしまう椒子。
その後も薄力粉をボウルに入れようとして頭から粉をかぶり、イチゴのカットを任されては輪切りにするという
ダメ料理人ぶりを遺憾なく発揮。イチゴを輪切りってキュウリじゃないんですから!
椒子のドジっぷりに時折目が点になるからだでしたが、
それでも見放すことなく2人で一緒にケーキ作りを続けます。からだは今すぐ保母さんにでもなれそうだ
そしてここからがこのアニメの真骨頂。ただ単に薄力粉を開けるだけなのに萌える
もっと言うなら、バターを受け取る椒子の手だけで萌える
手で萌えるってなんなんだ!我ながら意味が分からないよ!
しかし本当のことなので仕方ありません、まさに萌えないシーンがないアニメ。もうこの作品は奇跡でできてるとしか(えー
そしてようやく焼成の段階にまでこぎつけた2人。
オーブンで焼き上がるのを待つ間、慣れない料理で疲れた椒子はばたーんと寝転がってしまいます
「はぁ〜…ごめんなさいね、ちっとも役に立てなくて」
「ふふふ、お楽しみはこれからですよ。焼き上がったスポンジケーキに、イチゴや生クリームでデコ…あ」
「す〜…す〜…」
のび太顔負けの超早寝。椒子はぶっ倒れた瞬間もう眠りについていました
起こすのも悪いと思ったのか、椒子にタオルをかけると一人でデコレーションを進めていくからだ。
さっきの輪切りイチゴも花の形に飾ってしっかり有効利用。初めてのケーキなのに大した料理センスです
しかし最後の仕上げはおねえさんといっしょ。2人初めての共同作業でチョコ文字を書いてケーキ完成。
味見用に作っておいたもう一つのケーキを2人で分けて、その出来の良さに満足するのでした
というか尋への尽くし方といい、ケーキを食べさせてもらう仕草といい、からだって絶対前世は犬だよなぁ(えー
「尋兄喜んでくれるでしょうか?」
「大丈夫、私が保証するわ。ん…?」
「あれー?よく会うねー!」
自転車でキコキコとアパートへ帰る途中、道の真ん中で人だかりができていることに気づいた2人。
何だろうと思って足を止めると、人だかりから出てきたのはあの琴美でした
「あの、何かあったんですか?」
「なんでもない、ただのイタズラよ。誰かが願い石と炭を取り替えちゃったみたいなの
大体騒ぎすぎなのよ、あんなのただの迷信なのに」
「…」
ケロッとした様子の琴美でしたが、他の大人達は「悪いことでも起きなければいいけど…」と誰もが暗い顔。
願い石が姿を変える原因を作ってしまったからだは、それを見てチクチク心が痛みます
からだのどよーんとした表情を見て、早くそこから立ち去ろうとする椒子でしたが…
「ねえー!友達できた?」
「…」
ジョセフ・ジョースター!きさま見ているな!(えー
琴美の問いに黙って指で答える椒子。その先には視聴者がからだが立っていました
恥ずかしそうにそそくさとその場を去っていく椒子。琴美はその後ろ姿を微笑ましそうに眺めるのでした
その日の夜、ケーキを囲んで尋を心から祝福する2人。
昼間あれだけコッテリしたもんを食った尋も美味い美味いとケーキをたいらげ、楽しい談笑と共に夜は更けていきます
そしてパーティもお開きとなった頃、尋と椒子はちょっと買い物に近所のコンビニへ…
「ね、私も手伝ったのよ。あのケーキ」
「そう…」
「いい子ね、からだちゃん…」
「ああ…」
「ええ…いい子だわ」
今日一日からだと過ごした楽しい時間、それをしみじみと尋に伝える椒子。
それにしても尋はもう少し気の利いた返事できんのか!
一言お礼言うだけでも全然違うのに、そうって何ですかそうって。本当に甲斐性のないやつめ
そして一人家に残っていたからだでしたが
椒子の本を整理しているうちに、そこに挟まれた尋とラブラブだった頃の写真を発見してしまいます
今の今まで和やかだった空気が一瞬にして修羅場モード発動!ショックを受けたからだの次なる行動とは…
せつなさ炸裂キター!!
なんと次の日の早朝、からだは誰にも告げずに一人でどこかへ失踪してしまいます。盗んだバイクで走り出す〜
すべてが順調かと思っていた矢先にこの急展開。果たしてからだの向かった先とは?次回に続く!
そして次回サブタイトル「あさっての方向」ってエー!?(゜д゜;)最終回ってわけでもないのに!
まだ中盤が終わった辺りなのに、番組タイトルそのまんまのサブタイトルをつけるとは珍しい。
というか最終回とか意識させないでお願い…(
つд`)俺の一週間で至福の時間を奪うんじゃねー!(えー
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