デルトラクエスト8話 「トムのふしぎな店」

新たな宝石を求めて再び旅立ったリーフ達。次の宝石がある目的地はラットシティという場所のようです
しかし長い旅で食料も尽きかけていた頃、ちょうどそこになんでも屋の看板が…

「”TOMの店。旅行用品何でもあります”…?」

「店…?」

ずっと森で育ったので店には行ったことがないジャスミン。
というかこのファンタジーな世界観で日本語の看板が出てくると吹いてしまうんですけど
このどこかズレてるような感じが実にデルトラ的です

「店に行けばきっと食べ物もあるはずだよ」

「よし急ごう!」

うーむ…ジニとジッドの一件で、看板を見るといかにも怪しく見えて仕方ないんですが「やったー店だワーイ」と微塵も疑ってない2人。
大丈夫かよもう!しかし店に向かおうとしたその時、険しい表情でジャスミンが後ろをふり返ります

「つけられてるわ…!しかも追手は大勢よ!」

耳のいいジャスミンは接近してくる多くの足音を感知!
念のためリーフがルビーの色を確認してみると、テーガンの時と同様その色がピンクに!

追っ手の正体はオオカミの群れ。追いつかれる前に店の方角へ逃げるリーフ達でしたが、
さすがに獣の足には敵わずみるみる距離を縮められてしまいます

「すぐ後ろに殺気を感じるわ!」

「…襲われる前に戦うしかない!」

逃げ切れないと悟った3人は迎撃体制を整える!そこへ一斉に姿を現すオオカミ達でしたが…

「「子供の名前は〜♪ホットトッドジニ、ジッドフィーにフライに、
  ザンにゾット、ピクにスニック、ランにロッド〜♪最後に嫌われ者イカボット〜♪」」

う、歌うオオカミ!?(゜д゜;)しかもまたナゾナゾ巨人の歌かよ!
リーフ達が困惑する中、オオカミ達は次々に妙な煙を発して真の姿へと変わっていく!

「オオカミじゃない!?」

「こいつらは…テーガンの13人の子供たちなのか!?」

母親を殺された恨み晴らさでおくべきか!オオカミの正体は変身能力を持つテーガンの子供たちでした
ご丁寧に歌に出てきた全員もれなく登場です
というか「最後に嫌われ者イカボット〜♪」って自分自身でそんな歌歌ってんのかよ!
イカボットさん…何が悲しくてそんな自虐的なことを…(えー

ドバアアアッ!!

「うわああっ!しまった!」

「くっ…剣が!」

そしてリーフ達の足元でトラップが作動!網にかかって3人は宙吊りにされてしまい、その拍子に剣も落としてしまうことに…

「丸焼きにして食ってやる…!」

「もう逃がさないよ!」

「こ、このままだと…本当に丸焼きだ!」

(C)TOMY (C)小学館プロダクション・テレビ東京

ああ見える…見えるぞ恐怖の丸焼き料理人の姿が…(えー
大喜びで火を焚き始めるテーガンの子供たち。しかし、これから丸焼きショーを始めようという時に
いきなり子供の一人が凄い勢いで殴り飛ばされる!

「このイカボット様には足を2本と頭ひとつよこせ!」

軟骨がうめーんだよ軟骨がァー!美味い箇所は俺によこせ!自他共に認める嫌われ者イカボットが自己主張を始めてしまいます
こうなると他の連中も黙ってはおれず、俺も俺もと言い合いになりどんどん険悪な雰囲気に…

魔物たちがギャーギャーやりあっているスキに、こっそりと網を噛み切っていくフィリ!
魔物たちの注意をしばらく逸らせれば、じきに脱出できるだけの穴が空けられそうです

「おーい!そこのバカな奴ら!3つの体を11人で分けるんだろ?
 平等に分けるなんて出来るはずないじゃないか!
 9人だったら1人3分の1ずつ分けられるけどなあ!」

「3分の1ずつ…?そうだその通りだ!」

時間稼ぎに魔物たちを煽るリーフ!なんておバカな連中…1つの体を11分割して食えばいいだけなのに!(えー
まんまと騙された魔物たちは、「9人にするからてめえが減れや!」と激しくどつき合いを開始します

バキバキドガシャ
ドスバスドガアアアアアア!!

コイツ等容赦なさすぎ!死人出てるだろコレー!
身内に対する親愛の情とかまるでなし。リーフ達を捕まえたのも、テーガンの仇討ちじゃなくて
単に腹が減ってたからだってことか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ヒャッハー!これで9人だ!」

「確かに…でも3人だったらどうだ!3人なら1人ずつ丸ごと食べられるぞ!」

おらおらもっと仲間割れせんかい!リーフの煽りに乗せられて、ますます仲間の数を減らしていく魔物たち。
リーフに言われるままにとうとう3人にまで減ってしまいました

「これで1人ひとつずつだ…!さあ食おう!」

「僕達3人、みんな体の大きさが違うぞ!
 1人ひとつずつでは不公平になるじゃないか、腹一杯にもならないだろ!
 みんな公平だ、全員公平に腹一杯になるなら、一人で全部食べるしかない!」

「イカボット腹一杯食いたいィィィィ!」

こ…こいつらどれだけ乗せられやすいんだ!10人はり倒して1人で獲物独占なんてどう考えても不公平すぎる!
このスキにとうとう網に大きな穴を空けたフィリ。リーフ達はまんまと逃げ出すことに成功するのでした



「来てる!ピッタリと…!」

「あんな間抜けな奴らに捕まってたまるか!」

しかし最後に一人残ったイカボットは再びリーフ達を追跡!
というかリーフさん、ついさっき思いっきり捕まっといてなんというセリフを!
バシャバシャと川原を走って逃げるリーフ達でしたが、不運にも川は滝で途切れて行き止まりに!

「冗談でしょ…!?回り道は!?」

それを探す暇もなく現れるイカボット!こうなれば戦うしかありません
しかし13人の子供のうち最強のイカボットが相手では、正直おっさん達に勝ち目はかなりなさそうな…(えー

「飛び移ろう、見た目ほど大した距離じゃない!」

「よし…奴らを驚かせてやろう!」


(C)前川たけし/講談社

ほっぷ
すてっぷ
じゃんぷ
かーるいす!

チンミもびっくり大ジャンプで滝を飛び越えた3人。なんとかイカボットを振り切ることに成功するのでした

「追ってこないぞ、助かった…」

「やれやれね…」

「ん…?おいあれを見ろ、トムの店だ!」

ふと気がつけば目の前にはもうトムの店が。さっそく3人は店内に入ります
というか普通の道を外れて来たとは言え、日没から夜明けまで走り続けてようやく到着って
どんだけ遠い場所にあの看板置いてあったんでしょうか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「誰もいない…」

「店の人、出てこないわね」

「店主はお人好しだな。これじゃ黙って何か持っていっても分からない」

しかし店内は無人で商品が置いてあるだけ。「これなら盗んでもバレないね!」とバルダは商品のランプに手をかけます
おっさん…店が初体験のジャスミンの前でなんて教育に悪いことを!(えー
しかし、ランプはテーブルにガッシリ固定されているかのようにまったく動きません
そしてバルダの手もまた、ランプについたまま取れなくなってしまい…

「ん…?は、離れない!」

「…何やってんの?」

「離れないんだ!」

一人でコントをやりだしたおっさんに心底あきれた表情のジャスミン。ね、年長者としての威厳が…

「さて、それがお気に召しましたか?」

突然の声にリーフ達が振り向くと、今まで誰もいなかったはずのカウンターに店主のトムが!
手が離れないおっさんの醜態を見かねたトム。何やらカウンターの隠しスイッチを押すと
おっさんの手はするりとランプから外れてしまいました。というかグイグイ引っ張ってた手が急に外れたので、
後ろの何かにぶつかってドガシャーンとかいう音してるんですけど
大丈夫でしょうかおっさん、いきなり弁償とかいうことにならないでしょうか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「さて…何かご入り用の物はおありですか?お買い上げいただいた方には、
 もれなくおまけも差し上げますよ」

「…長くて丈夫なロープ」


(C)細井雄二/講談社

旅のお方ですな、何をお出ししましょう?

カポエラ…

ゲゲッ!?あ…あいつ客じゃねえ!?

試しにロープを注文してみるリーフでしたが、トムの用意したロープは銀貨3枚という異様に高い品。
「ぼったくりかコノヤロー」とバルダがケチをつけると、トムは実演を交じえてロープの説明を始めます

「お客様…こんないいロープ、トムの店以外にはございませんよ」

トムがひょいっとロープを柱に投げると、結ぶもほどくも変幻自在!まるでロープが意志を持って動いているように
ほとんど勝手に柱に巻きついてしまいます

「はあ〜…」

「ふん、手品か!」

目を丸くするジャスミンやリーフと違って、おっさんはロープの能力をまるで信用してません
まあしかしこれだけ悪人ヅラの商人が相手では、裏があると思うのも当然ってもんです

「それもらいますっ!」

そんなバルダにまるで構わず、「なんて凄いロープなんだ!」という様子で即座に銀貨3枚を差し出すリーフ。
というかロープを旅の何に使う気なんでしょうか…リーフに通販のCMとか見せたら大変なことになりそうです(えー

「ぼっちゃんは品物の価値がよくお分かりの方とお見受けしましたぞ!
 トムの店自慢の品は他にもございます」

まるで「こいつはいいカモが見つかったぜ!」とばかりに次々とあやしげな品の紹介を始めるトム。
こうなると、ろくでもない品を掴まされないためにも、おっさんに冷静な判断が求められるところです

「水を加えるだけでパンができるマジックブレッド。
 こいつは火起こしビーズ。投げて割ればたちどころに火が起こります」

「ほぉ〜!」

「そんなの買っても買わなくてもいいじゃない…」

な、なんてことだ!トムが新しい商品を見せるたびにどんどん目が輝いていくおっさん
止めなきゃいけない立場の人が一番ノリノリでどうするんですか!
そして「これもいいなあ〜!」とはしゃぐリーフに、うんうんと激しくうなずくおっさん。
ダメな子2人を見つめるジャスミンの背中がやけに哀愁漂います

カランカラン

「…」

さあこれから会計だ、というその時。トムに負けず劣らずの悪人ヅラの男が新たに店へやってきました

「邪魔だ」

「…!」

ジャスミンを避けようともせず、そこをどけと吐き捨てる謎の男。
この全身殺気のカタマリのような雰囲気、まさかダースベイダーとか暗黒騎士ランスロット的な
敵軍の幹部キャラ
とかじゃないでしょうか

「…いくらだ?」

「銀貨一枚でございます、お客様」

謎の男はリーフと同じロープを購入。値段を聞く際に、ついっと机にレジスタンスの紋章を指で表します
するとトムが提示した値段はリーフの時の3分の1に…。というかレジスタンスってことはこの男、
こんだけ悪人ヅラなのに味方サイドの人間なのかよ!
ということは、それに対して割引きするトムも単なる悪徳商人じゃないってことに…人ってやつはなんて見かけによらないんだ(えー






買い物を終えてトムの店を出たリーフ達。すると、ちょうどさっきの男が馬で走り去っていくところでした

「俺たちにも馬があればな…」

「ありますよォ〜、馬ではありませんが格安の乗り物が」

店の外の会話なのに抜け目なくやってきたトム。またしてもうさんくさい商談を始めます

「こ、これは…?」

「マドレッドです。こいつらは風のように走りますよ、馬よりずっと丈夫で言うことも聞きますしねえ」

そんなトムが紹介したのは3本足の変わった動物・マドレッド。
野生児ジャスミンは人間よりも動物と触れ合うことの方が慣れているのか、あっと言う間にマドレッドと打ち解けてしまいました

「走る時は”アブラ”!止まる時は”カタブラ”!と命じればいいんです」

「乗り物があればずいぶん旅がはかどるなあ」

「それはそうだが…」

「勉強させていただきますよォ〜、金貨18枚では?」

「そ、そんなに…!?」

やっぱり今度もとんでもない高額!とてもリーフ達の払えるような金額ではありません
しかし「金貨ってこれでしょ?」とジャスミンはポーチから山ほどの金貨を取り出します。な、なにー!?
資金力までリーフやバルダより遥かに上なのか!
本当にあらゆる場面で役に立ちますねジャスミンは
ちなみにこの金貨、ジャスミンが森で暮らしていた頃、影の憲兵団に会うたびにかっぱらっていたものでした

「まいどありー!そうだお客さん、この先を行くと二手に分かれた道がありますが、
 くれぐれも左の道を行くように…ではよい旅を」

パカパカとマドレッドに乗りラットシティ目指して出発。
なるほどトムが風のように走ると言うだけあって、マドレッドはいいペースでどんどん道を駆けていきます
そして、すぐにトムの言っていた分かれ道に到着することに…

「右は”はばひろ川”…左は”粉屋の丘”か…」

「確かラットシティは、はばひろ川沿いにポツンとある町だとか…」

トムは粉屋の丘の方に行けと言っていましたが、ラットシティははばひろ川の方面なので
リーフ達は今日もまた人の忠告を無視。
あ…あんた達はー!そんな真似するの今回で一体何回目ですか!
第2話:怪獣ウェンバーから逃げようとジャスミンが忠告→無視してウェンバーに襲われる
第3話:沈黙の森深部に行くなとジャスミンが忠告→無視してゴールに襲われる
第4話:安全な道を通ろうとジャスミンが忠告→無視してナゾナゾ巨人に襲われる
第5話:怪しい家に入りたくないとジャスミンが忠告→無視してジニとジッドに襲われる
第6話:嘆きの湖に行くなと族長が忠告→無視してソルディーンに襲われる
第8話:左の道を行けとトムが忠告→無視して右の道へ

人の話にはもう少し聞く耳持ってください!
そして今日もまた渋々ジャスミンは2人の後をついていくことに…





「フギャアアッ!!フギャアアアア!!」

「な、なんだ!?どうしたんだ急に!カタブラ!カタブラ!カタブラカタブラカタブラ!」

「ダメだわ…!どうして!?」

しばらく右の道を進んで行ったその時、突如として暴走するマドレッド!制止の合図カタブラを連呼してもまったく言うことを聞きません

「う、うおおおおお!?」

そしておっさん真っ先に落馬!バ、バルダアアアアアア!あんた今回まったくいいとこなしじゃないですか!
リーフ:13人の子供達を話術で撃破
ジャスミン:追っ手の気配を察知、マドレッド購入
フィリ&クリー:リーフたちを網のトラップから救出
バルダ:ランプ盗ろうとして手が接着、トムのうさんくさい商品を次々に購入、真っ先にマドレッドから落ちる

テーガンとの戦いの時もそうでしたが、明らかにカラス達より役に立ってないですよ!
ああ…だがそれでいいんだ、それでこそ俺たちのバルダだ!(えー

そして結局リーフとジャスミンもマドレッドから落馬!落ちた時の衝撃で全員気絶してしまいます
マドレッドがこれほど暴れ狂った理由とは一体…?次回に続く!

デルトラクエスト9話 「クリーンチュルナイ!」

プシュウウウウ

「ゲホッ!ゲホゲホッ!」

全身に妙なスプレーを吹きかけられて目を覚ましたリーフ達。周囲を見回すと、川原で落馬したはずが
見たこともない建物で大勢の人間に囲まれていました

「な、なんなんだ一体!?」

「消毒だ。チュルナイでは常に町を清潔に保っているのだ、クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

グワァ〜こいつらは!悪夢の殺戮精鋭部隊レインブラッド!(えー
やけに清潔さを気にする赤いマスクマン達。ここはチュルナイという町の中らしく、
落馬して町の前で倒れていたところを連れて来られてしまったようです

「お前達も唱和しろ。クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」「クリーンチュルナイ!」

「ええ…?」

「あれはここの人達の挨拶らしい…やるしかないだろう」

「私は嫌よ!」

「クリーンチュルナイ」

「ク、クリーンチュルナイ…」

「クリーンチュルナイ!」「クリーンチュルナイ!」

「クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

なんべん同じ挨拶やらす気ですか!
これだけ繰り返してようやく「ふむ」と満足したのか、リーダー格の男が本題に入ります

「お前たちは町の門の外に横たわっていた…この町は訪問者を歓迎しない。
 お前たちはなぜこの町に来た?」

「私たちだって何が何だかさっぱり分からないわ、凄い勢いで投げ出されて気絶したんだから」

「娘…言葉に気をつけるのだ。私を誰だと心得る、9人のネズヌクの中の主席。
 このチュルナイの町を治めるライである」

「ネズヌクって何よ!」

「失礼をお許しいただきたい、我々はこちらでの作法を存じ上げないので」

「小娘ごときがタメ口で喋ってんじゃねぇ!」と気分を悪くするライ。
その横柄な態度に反発するジャスミンですが、ここはバルダが大人の対応で場の空気を和らげます

「ここではネズヌクと呼ばれる9人の清浄委員が、
 神より下された清潔の法をもって町を治めておる。クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

「クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

また始まった!1度になんべんも繰り返すのは一体なんなんですか!
と、その時クリーの姿がないことに気づいたジャスミン。外に倒れていた時にはすでにいなかったようですが…

「お前たちにの一行にはもう一人いるのか?」

「クリーは鳥です」

「鳥ッ!動物が仲間だと…?」

なんという野蛮な…と言いたげにわなわなと震えるライ。その異常な反応を見て、バルダがジャスミンにそっと耳打ちを…

(フィリはいるんだな?)

(いるわ…)

(頼むから今は静かにしてろ…)

(ふんっ)

こ、今回は一体どうしたと言うんだ!こんなまともなおっさんを見るのは初めてだ!(えー
普段あんなに空回りしてるおっさんが、これだけ空気読めてるとそれだけでもう笑いが止まりません

「私どもを介抱してくださり、まことにかたじけない。しかしお許しをいただければ、
 私達はこれでお暇したいのだが…」

「今はこの町の夕食の時…お前たちの分も用意した。食べ物は清浄委員会によりすでに祝福されている。
 祝福された食べ物はすぐに食されなければならない」

「ええ…?」

「クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

「クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

ま、またやってる…放っておいたら一生この挨拶やってるんじゃないかこの人は(えー
さっさとおさらばしたいのに、強引に食堂へ連れて行かれる3人。しかし、廊下で一旦ライ達の足が止まり…

「まずは手洗いの儀式だ。クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

「手の平。ごしごし」

「ごしごし!」

「手の甲。ごしごし」

「ごしごし!」

「指の間。ごしごし」

「ごしごし!」

「クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

こ、こいつら…見た目的には泣く子も黙るレインブラッドのくせになんていい子な奴らなんだ(えー
手洗いの後は、わざわざ虫メガネを持ち出してまで厳しい爪のアカ審査。
度を越した清潔へのこだわりに、げんなりしたリーフ達は食べる前から食欲をなくしてしまいます

「それでは食事を始める。クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

あぁ…やっぱり「いただきます」すらもその挨拶なのな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
しかし、意外にも出てきた料理はどれも絶品ばかり。食欲のなかったリーフ達ですら、夢中になって口の中に放り込んでいきます

「こっ…!これはチョコレート!?ああやっぱり!
 チョコレートなんてデル城の衛兵だった時以来だ!
 甘くてまろやかで、口の中でトロッと溶けて!」

おっさんはチョコレートに胸のときめきが止まりません
そういえばおっさんは、影の憲兵団に正体を悟られないように15年間こじきの生活をしてたので
もしかしたらチョコも含めて15年振りのごちそうになるんでしょうか(ジャスミンも似たようなもんだけど)

「ん〜うまい!」

「これもうまい!」

「こんなの初めて…!」

「んがぐぐ、み、水…」

バクバクと勢いよく食べすぎて喉につかえたリーフ。目の前に置いてあった水をぐいっと…って
フィンガーボールの水飲んだーー!!マナー失敗談の定番じゃないかー!

「あ、あの、それは手洗い用の水です!」

「んぐ!?さ、先に言ってよ…」

「す、すみませ…」

慌ててそれを止める給仕の女の子。謝ろうとしたその拍子に、うっかりパンを一個床に落としてしまいます

「きっ…きゃあああああああああっ!!」

断末魔のような悲鳴を上げる女の子!パンひとつ落としたことがそんなに!?
3秒ルール!3秒ルールはないんですか!(えー

「食べ物をこぼしたな…無礼者を捕えよッ!」

周囲の住人から一気に非難の目が集まり、女の子はただちにライの元へ連行されてしまいます

「ティラ。食べ物をこぼすのは邪悪な行為であるぞ」

「お、お許しください、ライ様…!」

「ティラ………」

ああ…ここが不二家の国だったらそんなこと誰も気にしないのに(えー
ガタガタと震え出し泣きながら詫びるティラ。ライもこれほど反省している子を罰するのは良心が咎めるのか、
しばらく黙ったまま動こうとしません

「有罪!!」

え…(゜д゜;)ええええええ!?あっさりと断罪しやがった!!ちょっと待ってくださいよ!
「次からは気をつけるのだぞ」とか許してあげる前フリの沈黙かと思ったら!迷いもなく有罪とか言い切るとは…

ただちにムチ打ち百回の刑を執行しようとするライ。おしり百叩きとはワケが違います
ムチ打ちと言えば凄まじい激痛を伴う地獄の刑罰、ショック死してしまうことも十分考えられます

「ひっ…!」

「やめてください!悪いのは僕です、僕がパンを落としたんです!」

「お前が…だと?」

「はい…申し訳ありません」

それを見かねて助けに入ったリーフ。ティラの代わりに罪を被りますが、謝罪が通じない相手であることはもはや明白…

「…お前はよそ者で不潔である。しかしお前は我々のやり方を知らぬ、
 清浄委員会はお前を無罪と決定した」

「え…?あ、ありがとうございます!」

な、なんですとー!?変なところで話の分かる人だなオイ!
なんとか無事に釈放されたリーフとティラ。こんな厄介な町からは早く出よう…と話し合う3人でしたが
その時フィリが、ジャスミンの肩からひょっこりと顔を出してしまいます

「あ、ああ…あああ…!?うふぉああぎゃあああああああ!!」

それを目撃したネズヌクの一人がすさまじい悲鳴を!慌ててフィリを逃がすジャスミンでしたが、
毛玉の動物がぴょんぴょん跳んで行くのを見て食堂は大混乱に!

「不潔な者どもが我らの食堂に邪悪を持ち込んだ…!
 奴らは我らを滅ぼすつもりだ!」

今度という今度はライも大激怒!事態は裁判沙汰にまで発展してしまいます
まるで地獄の釜のような炎に包まれた証言台で、裁判を受ける3人。ほとんどここが死刑台みたいなもんだな…

「ネズヌクは全員一致で彼らに死刑を求める!」

「な、なんだって!?」

「しかし慈悲深きチュルナイの法によって、
 私は判断をこの聖なる杯に委ねようと思う」

そう言ってライが用意したものは、1つのツボと2枚のカード。
太陽のカードは生、月のカードは死を意味し、ツボの中から引いた結果をそのまま当てはめようというのです

「お前たちの中の一人が、聖なる杯の中からカードを引くのだ」

「聖なる杯って…それじゃただのクジ引きじゃないか!」

「あんまりだわ…!」

クジ引きに二度目はない!
どっかのクジ引きアニメよりよっぽどそれらしい展開になって参りました:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

こんなバカなことで生死を左右されるなんて…と嘆くリーフ達でしたが、ここはライに従う以外にどうしようもありません
カードを引くことになったのはリーフ。いよいよライがツボにカードを入れますが、その時入れたのは二枚とも死のカード!

「さあ、引くのだ」

(どっちが生で…どっちが死なんだ…!?)

意を決してカードを引くリーフでしたが、出てきたのは当然ながら死のカードです
こんなところで死ぬなんて…と無念さを隠し切れないリーフ。するとそこへ、ティラが咳払いする声が聞こえてきました

「ゴホン!」

(なんだ…?)

「…!…!」

(何か言ってる…にまい、ともし…?二枚とも死…!?)

パクパクと読唇術でライのイカサマを伝達!彼女はライがカードを入れ替える瞬間を目撃していたのです

「どうした。早くカードを見せろ!」

(あいつがイカサマをしたってことか…!このままカードを見せれば僕らは死ぬ…
 でももう一枚のカードが死だとしても、あいつは簡単にイカサマを認めないだろう。
 だとしたら…どうすればいいんだ…!?)

どうにかしてツボに残っているカードを衆目に晒したいリーフですが、確認させろと言ってみたところで
ライが妨害してくることは明らか。こうしている今も「取ったカードを見せろ」と急かされて、打開策を練る暇もありません
その時ベルトのトパーズの力が発動!精神の力を強め、リーフに冷静な判断力が備わります

「早くこちらへ持って来い!」

「はい…あっ!」

「ああ!?」

演技派リーフ!ズッコケるフリをしてカードを周囲の火の中へ投げ捨てる!
激しい勢いで燃え盛る火に包まれ、カードは一瞬のうちに燃え尽きてしまいました



「申し訳ありません、カードを燃やしてしまいました…
 でも、今僕がどちらのカードを引いたか分かる方法があります」

「なに…?」

「聖なる杯の中に残っているカードを見ればいいんです」

「ぬう…っ、カードを見せろ!」

ツボに残っていたのはもちろん死のカード。これではライも「リーフは生のカードを引いた」と言わざるを得ません
「こんな町からはさっさとおさらばだ!」と喜び合う3人でしたが…

「この者は死ではなく生を引いた。お告げ通り存分に生を謳歌するがよい…
 牢獄でな!そこで一生罪を償うのだ!」

こざかしい小僧めが!誰が釈放なんかしてやるか!生かしておいてやるということを逆手にとって、
リーフ達を終身刑として牢獄にぶち込むライ。クリーンが信条だけど牢獄は普通に汚いのね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「くっ…嫌だ!こんなところで一生なんか過ごせるか!」

「出しなさいよ!出して!出してよっ!」

リーフやジャスミンの叫びも今やむなしく響くだけ。
こんな時に限っておっさんがやけに凛々しい表情です。
本当どうでもいい時だけは格好いいんだから:;y=_ト ̄|○・∵. ターン


それにしてもジャスミンの声優さんは、新人さんみたいですけどいい声してますね
爪のアカ検査の時の「はぁい」とか牢屋にぶち込まれた時の「やあん!」とか
細かいところでグッと来るもんがあるな…次回に続く!

デルトラクエスト10話 「牢獄からの脱出」

「ダメだ、とてもここからは抜け出せそうにない…。大丈夫かジャスミン?」

「あんまり大丈夫じゃないわ…は〜あ…喉カラカラ」

「きっと今に水と食べ物くらい持ってきてくれるよ」

「そうだといいけど…」

リーフ達が投獄されてしばらく。牢屋に訪れてくる者は誰一人としておらず、
もしや水や食料すら与えない気なのか…とリーフ達は不安を抱えていました

「あの、ライ様…あの3人の食事はいかが致しますか?」

「そうだな…様子見がてら後で私が届けよう。
 着替えにも困らぬよう彼らの荷物と一緒にな、クリーンチュルナイ」

「クリーンチュルナイ!」

リーフ達と同じ心配をしていたティラ。ライにそのことを相談すると、意外にも人情的な答えが返ってきました
てっきり「あんな奴らに食わせる飯はねー!」とか言い出すと思ったんですが…:(えー
「やっぱりライ様は素晴らしいお方だわ!」といったような様子で、ティラは後のことをライに任せるのでした






「水…欲しい…」

「…」

それから丸一日が経過。さらに真夜中になっても、ライは牢獄に姿を現しませんでした
すっかり言葉少なになってしまったジャスミン。冒頭ではフォローしていたリーフもその気力すらありません

同じ頃、夜の町の見回りをしていたティラは、没収されていたリーフ達の荷物が放置されていることに気づきます
ライが届けると言っていた荷物がなぜ…?不思議に思ったティラは、差し入れのシチューを持って牢獄を訪れるのでした

「私、心配になって…ライ様がご自身で食事をお持ちになると仰ったのだけど、
 お忘れになっているのかもしれないと…」

「あいつは忘れたんじゃない、私たちを飢え死にさせるつもりなのよ!」

「頼む、俺たちを外へ出してくれ!」

「そんな…!できません、あなた達はチュルナイに邪悪を持ち込んだ…
 市民はみんな邪悪の存在に震え上がっています」

「フィリは邪悪なんかじゃないわ!私の友達よ!」

「ティラ、聞いてくれ。僕たちの町ではフィリみたいな動物を邪悪とは言わない、
 君たちの町とは習慣が違うんだ。ライは自分で食料を届けると言ったのに来なかった…
 始めから僕たちを殺すつもりで、君たちに嘘をついていたんだ。あのカードと同じように」

ライの卑怯なイカサマを思い出しハッとするティラ。それにしても、普通ならバルダやジャスミンみたいに頭に血が昇って
「お前は騙されてるんだよ!早くここから出してくれ!」とわめき散らしそうなシーンですが、リーフはかなり冷静です。
じっくりとティラを説得して牢から出してもらうことに成功!リーフは土壇場に強いタイプですねえ





すぐにチュルナイからの脱出を試みるリーフ達でしたが、出入り口はどこも厳重に警備されていて普通に出るのは不可能でした
ティラが抜け道を知っているようなので、その案内で抜け道へと向かう一行でしたが…

「なんなんだありゃあ…こっちは飲まず食わずで干からびそうだって言うのにな」

「凄いごちそう…」

その途中、だだっ広い調理場を見下ろす渡り廊下を通ることになった4人。
今は真夜中だというのに、調理場の人達はフル稼働で料理を作り続けていました

「ここの料理人は夜通し料理をしているのかい?」

「はい、たくさん作っても検査に合格しないと捨てられるんです。
 これから皆さんが通ろうとしている抜け道から…」


(C)土山しげる/日本文芸社

この料理
食するに
値せず!!

それを すてるなんて とんでもない!実にもったいない話です、チュルナイでは完成度の高い料理が出来るまで、
惜しげもなく料理を作っては捨て、作っては捨てを繰り返していました。どうりで食事の時に絶品ばかりが並ぶわけです

「なぜそんなもったいない事を…!?」

「良い食べ物じゃないからです、ネズヌク様は私たちを病気から守ってくださる…クリーンチュルナイ」

「清潔好きもここまで来れば異常だな」

お、おっさん!他人が心から信じてるものを目の前で異常呼ばわりする人がありますか!
そういうのはティラに聞こえないような場所でこっそりと言うべき:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「デルではみんな飢えで、腐りかけた残飯を奪い合っているんだ」

「え…!?」

「君には信じられないかもしれないけど、本当の話だ…
 僕達が旅をしているのも、そんなデルの国を何とかしたいからなんだ」

食事から何から影の大王に根こそぎ奪われ、辛い生活を強いられているリーフ達の故郷。
特に16年もこじきをやってたおっさんにとっては、食べ物をこんな風にポイポイ捨てるなど信じられない話です





ともあれ、調理場の渡り廊下を抜ければ抜け道はもう目前。
ここまで来れば案内はもう大丈夫ということで、ティラと別れた3人は抜け道から脱出を試みます

「お前達、ここで何をしている!」

ライ様来やがったー!!丸腰の時に嫌なタイミングで!
相手はライ一人とはいえ、リーチの長い鞭をバシバシと振り回してやる気満々。3人でも素手で戦うには危険な相手です

「お前達…どうやって牢獄から抜け出した?」

「さあね!」

「フン、まあいい…だがこれでお前達の悪事が証明された。
 あの邪悪な生き物を、お前達は調理場に連れ込んだに違いない」

「なんですって…!?」

「邪悪に怯える町の者はさぞ恐怖することだろう。
 お前達を1000回死刑にしても足りんと言うかもな」

「…汚い奴めッ!!」

カードの嘘、食事の嘘の次は濡れ衣!またしてもリーフ達をハメて死刑にするつもりです
卑怯な手を使い続けるライにとうとうリーフ達の怒りが爆発する!

バチイイイッ!!

「んごおおああっ!!」

あー!やっぱりおっさん真っ先にノックアウト!あああ…いつものことながら:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「邪悪を持ち込んだ者達め…!消え失せろ!クリーンチュル…」

ドガアッ!

「おぐっ!?」

「何がクリーンチュルナイよ…!あんたの方がよっぽと汚いわ!」

だらしないおっさんに代わり、ジャスミン怒りの回し蹴りが炸裂!
しかしかえってライの怒りを煽る結果となってしまい、ライは乱暴にジャスミンの胸ぐらを…
あっ!おっぱいの位置に掴みかかるつもりです!



でもぺったんこなおかげで揉まれずに済みました:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
ジャスミンを締め上げたまま、ライは今までよりさらに激しくリーフ達に鞭を叩きつける!
片手で楽々ジャスミンを持ち上げながらこの攻撃とは…見かけによらず大した怪力です

「お前たちはここで処理してやる…行け!その穴へ入ったが最期、
 お前達の命はない!クリーンチュルナイ!クリーンチュルナイ!
 クリーンチュルナイ!クリーンチュルナイ!クリーンチュルナイ!」

わ、分かりましたから落ち着いてください!
リーフ達に対する憎悪と清潔への異常な執着、その2つがライの中で混ざり合い化学反応を起こしスパーク。
まさに狂戦士と化したライは、ますます強烈に鞭を振り回し、リーフ達を抜け道へ追い詰めていきます
それにしても、脱出口なはずの抜け道が「入ったら命がない」とは一体どういう…?

バコオオオオオン!!

「うお…あ…おあ…」

その時突然鳴り響く金属音!その場に現れたティラが、フライパンで思いっきりライの脳天を直撃!
予想外の奇襲を受けたライはあえなく撃沈。ティラはリーフ達の没収された荷物を届けに来てくれたのです

「わ、私、少しでもみなさんのお力になりたくて…」

「本当にありがとう、ティラ!」

「君の勇気に心から感謝する」

しかしライを叩きのめしてしまった以上、チュルナイに残っていてはティラもただでは済まないでしょう
リーフはティラも一緒にチュルナイを脱出しようと誘いますが…


(C)荒木飛呂彦/集英社

リーフさん…罰を受けることになっても
チュルナイは私の祖国なんです
故郷には思い出がある…
酷い目に遭わされても
必ず帰ってしまうとこなんです

リーフの提案に対して静かに首を振るティラ。やはり大事な故郷を捨てることはできず、
リーフ達に別れを告げるとその場を離れていくのでした





「ラ、ライ様!?おのれ不潔な者達めぇッ!!」

リーフ達がティラを見送ったその時、別の扉から入れ違いに3人のネズヌクが出現!
ライと同じように鞭で武装していますが、今度はリーフ達も武器を持っている分負けてはいません
逃げ腰だったさっきとは違って、剣を構えて真っ向からネズヌク達を迎え撃つ!

「ぐおおおおわあああああっ!!」

と、思いきやそこに乱入者が!ジャスミンを追って現れたフィリです、恐れをなしたネズヌク達は大混乱に陥る!
そのスキにおっさんとリーフが飛びかかり、ネズヌク3人はあっという間にボコボコに!
というか剣構えてたのになぜか素手とフライパンで攻撃ですか!わけわかんねー!

「フィリ!無事だったのね…!」

「とにかく、この薄気味悪い抜け道を行かないとな…」

「でも、ここに入ったら命がないって言ってたけど…」

あとはこの抜け道を通るだけですが、やはり気になるのはライの言っていた縁起でもない言葉。
それでもここを通る以外に選択肢はなく、3人は意を決して抜け道を進んでいくことに…

抜け道の中はひどい湿気で足元はベチャベチャ。そしていかにも体に悪そうな紫の空気が漂っていました
奥に進むほど湿気はどんどん増していき、壁からはドロドロの粘液がボタボタと…

「なんだろうこれは…?」

「やめろっ!毒かもしれんぞ!」

不用意に粘液へ手を伸ばすリーフをピシャリ!確かにライの言葉からしても、うかつな接触は命取りになりかねません
それにRPGの毒の色は緑か紫と相場は決まっています(えー
こんな紫一色の洞窟で怪しい粘液に触ってしまえばどうなるか…

「何か濡れないように被れるものはないかな…」

奥に行くにつれ、周囲からしたたり落ちる粘液はその量を増すばかり。このまま進むのはまずいと周囲を見回すと、
チュルナイの住人達がここを通行するためか、防護服がしまわれている扉を発見します

「は〜あ…シュミ悪い…」

なんか映画ドラえもんのニムゲみたいな格好だなあ(えー
く、来るな!来るなー!かーちゃんかーちゃん!かーちゃん助けて!
来るな!来るな、ああ来るなー!
(byジャイアン)
ともあれ防護服のおかげで粘液対策は万全。3人はさらに奥へと進んでいきます





「足元が滑りやすくなってる、気をつけろよ」

「こんなキノコ見たことないわ…」

進むにつれて周囲の様子にも変化が。壁には気色の悪いキノコが隙間もないほどびっしりと生えていました
さらにモヤモヤした空気も今までの紫から緑へと変わり、いよいよもって毒の色って感じです

「あ…?光だ!」

「わぁ、出られる!?」

「慌てるな!滑るぞ!」

バルダの制止も聞かずに駆け出すジャスミン、しかし薄暗い洞窟では見えにくい急傾斜の下り坂が!
足を滑らせながらギリギリ踏みとどまるジャスミンでしたが、危うく坂を転がり落ちる寸前でした
なんだかチュルナイ編ではおっさんとジャスミンの役割がすっかり普段と逆転してますね:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

ブワシィ!!

「むぐうううっ!?」

「バルダ!?」

「邪悪を持ち込んだ者達め…!逃がしはしないッ!!」

げえライ様追って来たー!ギラギラと目が血走っててもう完全に危ない人です、そしてやっぱりおっさんが真っ先に餌食に!

「む…ぬううううっ!」

「くう…!チュルナイを汚してなるものか!クリーンチュルナイ!」

しかし今日のおっさんは一味違う!締め付けられた鞭を逆にグイグイと引っ張り、
ライごとどんどん引き寄せパワーで圧倒!鞭を取られまいと踏ん張るライ。そこへリーフが猛然と剣での一撃を見舞う!

「はああああっ!!」

「ぬう!?」

しかしギリギリで切っ先から身をかわすライ!とはいえ完全には避けきれず、袖をビリビリと切開されてしまいます
体勢を崩したライは壁へと倒れ掛かり、袖から露出した肌が壁のキノコにベッタリと…

「はっ!?うおああっ…うあああああああーーっ!!」

グチグチグチグチグチャアアアア!!

な、なんじゃこりゃー!!数秒もしないうちにキノコはライの体を恐ろしい勢いで侵食!グロすぎる!
やはりとんでもない毒性を持ったキノコだったのです
gifにした方が分かりやすいかなぁと思ったんですが、やっぱりグロかったんでjpgでおたのしみください(えー

「う、うあ…あああ…!か、かくなる上は…貴様らもろともォォォッ!」

すでに自分の体が手遅れなことを察したか、最後の玉砕に体当たりを仕掛けるライ!

ズルッ

「うおっ!?おおおっ!うおおおおーーっ!!」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロべしゃっ



な、なにー!?Σ(゜д゜;)滑って転んで落っこって死んだー!!
なんだこの救われない最期はー!べしゃって音が妙にまぬけで、笑っていいやら悲しんでいいやら:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「私達もこの服を着てなかったらこうなってたのね…」

「そのようだ…」

坂を下っていき、ライの死体の前で立ち尽くすリーフ達。すでにキノコの毒は全身を蝕み、
ライの体はグチャグチャの緑色となり原型を留めていませんでした
そして破れた手袋から覗くライの手には、なんと影の大王の配下を示す刻印が!

「このチュルナイも影の大王に支配されているのか…!?」

「そういうことになるな…表面的にはネズヌクが支配しているが、実際の親玉は影の大王ってわけだ」

「でも食べ物のことといい、どうしてあんなにも清潔に気を配っているんだろう」

「何か裏がありそうだな…」

同じ影の大王に支配された町なのに、なぜ他の町よりこうも異質に…と疑問を抱くリーフ達。
するとその時、ちょうど調理室から不合格の食べ物がトロッコに乗って送られてきました
坂を下っていくトロッコを目で追うと、その先にはすぐに洞窟の出口が…

「…!?ネズヌクだ…!」

「食べ物を荷車に積んでるみたいね…」

「捨てると言うより、どこかへ運ぶみたいだな」

洞窟を出ようとしたその時、すぐ外ではトロッコから馬車へ食料を移すネズヌクの姿が!
しかしネズヌクの様子を見ていると、とてもゴミになる食料を扱っているようには見えません
ネズヌク達が何をしようとしているのか、ここまで来たら最後まで見届けようとリーフ達は馬車に忍び込むのでした





ガタゴトガタゴト…

「いつまで走るつもりかしら…」

「…!?ここは!?」

ゲェー!トムの店じゃねーか!!
なんでこんな所に着くの!?と目を丸くするリーフ達。ふと見れば、馬車の到着を待っていたように影の憲兵団がゾロゾロ出現!
ト…トムお前って奴はー!!さてはレジスタンスの味方と見せかけて、影の大王からも同じように儲ける死の商人か!
だとしたら最低すぎるぜトム!トムの真意が気になる次回へ続く!






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