おおきく振りかぶって21話 「もう一点」

2対3と1点を追う西浦、8回の表の攻撃。すでに4番田島が三振に倒れ、もうダメかと思われた西浦でしたが
高瀬のフォアボールでワンナウト満塁と願ってもないチャンス到来!
間違いなく試合の行方を左右する最大の山場!そして迎えるバッターは!

「 オ レ か よ !!」

お…お前かーーーー!!!
なんということ!この試合で最も大事な打席が最も期待してはいけない男に回ってきてしまうとは!

「せめて沖君なら…!水谷君にスクイズは恐すぎる…!」

あのモモカンですらクソレフトのあまりの恐ろしさにバントのサインを出すことができません(えー
やむなくヒッティングの指示を出すモモカンでしたが、このプレッシャーのかかる状況でクソレフトが考えることは…

(なんだよレンレンって、家族内でもありえねえ!あの女誰だったんだろう、
 三橋の妹とか?三橋のあんなとこ見ちゃってビックリしなかったかな?)

し…試合と関係ねえーーー!!
考えてるのって前回のルリのことかよ!普通なら緊張で頭が真っ白になるような場面でよく…
ある意味ものすごい奴なのかもしれない:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(三橋、あんな状態であと2回も投げんのか…ここまでがんばったんだもんな、
 最後までがんばりたいよな…!田島は4番用のシンカーを打てなかったんだ、
 俺は7番用のスライダーを…!打てるッ!!)

そんな調子でも仲間思いのクソレフト燃え。あの田島が打てなかったピッチャーとはいえ臆する必要はない!

カキイイイイイイン!!

スライダーを狙い打った打球は1・2塁間へ!しかしセカンドは名手島崎!動きのいい島崎にとっては十分守備範囲内に…



あーっとズッコケたーー!!
実際はぬかるみに足をとられてしまったんですが、こうして見ると焦ってズッコケたようにしか見えないな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
記録はタイムリーヒット!崖っぷちの西浦に、喉から手が出るほど欲しかった3点目が入る!

「やるじゃーん!!」

「文貴が点入れたよ!」
「うっふふぅ

嬉しさを抑えきれない水谷母は萌えるなあああああ
残念ながら後続の三橋は凡退してしまいますが、試合がまた振り出しに戻ったところで次回に続く

おおきく振りかぶって22話 「防げ!」

クソレフトの活躍で同点に追いついた西浦。このままなんとか9回の攻撃に望みをつなぎたいところですが、
8回の裏桐青の攻撃で、まさかの連続バスターエンドランを食らいまたも1点献上してしまいます
堅実な攻撃が信条のはずが、意外なバクチ作戦を仕掛けてきた桐青。
本塁クロスプレーで阿部がハデにぶっ飛ばされて、阿部が心配な三橋は気が気ではありません

カキィィィン!!

「またかよ…!」

ワンナウト一・三塁でなおもバスターエンドラン!ピッチャー強襲の当たりを慌てて拾う三橋でしたが、
さっきのクロスプレーが頭にちらついて、阿部に返球するのを躊躇してしまいます

「バックホーム!早く!三橋ィーッ!!」

「う…う!」
阿部に怒鳴られてようやくバックホーム!ギリギリのタイミングでまたも阿部はどっかーんと…あら吹っ飛ばない!
原作ではさっきよりもさらに思いっきりすっ飛んでたんですが、アニメではガッチリとブロックに成功です
なんとかピンチを脱出したものの、三橋の態度に阿部は完全にブチ切れてしまいます

「てンめえッ!5点目やるつもりか!もう8回なんだぞ!?
 なんですぐボールよこさなかったッ!」

「ひぐ…う…」

「え、”サードランナーが”?」

「…あ…」

「”背が高くて”?」

「…う…」

「ああ、”阿部が吹っ飛ぶと思った”のか」

三橋語の翻訳うますぎだろ田島
一文字しか喋ってないのになんでそこまで分かるんだ!
しかし「ランナーに力負けするよえーキャッチャー」と言われてしまえば捕手のプライドが揺らぐというもの。
三橋の弁解はさらに阿部の怒りに油を注ぐことに!

「このだあほ!何年野球やってんだ!?
 くだんねー心配で試合ブチ壊すな!
 俺がホームっつったらホームだ!2度と逆らうな!」

阿部暴君モード発動キター!と思ったらあれ?なんだかやけにコミカルですね
原作だと超険悪な雰囲気で「逆らったら殺す」って感じでしたが、アニメでは演技とかBGMもギャグシーンって感じです
さっきのブロックにしても、ちょっとした改変ですがおお振りにしては珍しいですね


気を取り直して後続を断った三橋。そして9回、最後の西浦の攻撃が始まります

「もう1回守るんだからな…×ゲームになんかさせねえ!」

気合十分の先頭バッター阿部で次回に続く!ちなみに一応言っておくと、×ゲームっていうのは
9回表に西浦が点を取れなかった場合、桐青の攻撃をやる必要がないので9回裏が×になって試合終了ってことですね


おおきく振りかぶって23話 「ゲンミツに」

一点を追う西浦最後の望みを賭けた9回の攻撃。先頭バッター阿部が執念の内野安打で出塁すると、
続く一番・泉も意表をついたプッシュバントで連続安打!ノーアウトランナー一・二塁となったところでバント職人栄口の登場です
ここは次に控えたクリーンアップのために、なんとしても送りバントを成功させたい場面ですが…

「二番はここまで三打席バントだ…ここは当然送りだな。
 よっぽど信用があるんだろうが、簡単にはやらせない!」

「く…速い!」

ギイイイン!!

「ファーール!!」

「栄口君でも厳しいような球放ってるの…!?」

しかし尻上がりに調子を上げてきた高瀬は、この終盤に来てこれまでで一番強烈なストレートを放ってきます
バントに定評がある栄口ですらあっと言う間に2球失敗。「やべえフォークで決められちまうよ」と不安顔の栄口でしたが…

(サインはやっぱスリーバントか…え…?”速球”!?いや、ここはフォークじゃないの!?)

「タイム!」

(や、やっべえ、そんな不満そうな顔したか!?)

「次の速球を狙いなさい」というモモカンのサインを見て「カントク何言ってんすか」とあっけに取られる栄口。
まごまごしていると、ネクストの巣山に呼び止められてしまいます

「フォーク、ないぞ!」

「え…?」

「4回で水谷が三振して以降、一球もないんだって」

そう、高瀬は5回の頭で三橋にスッポ抜けフォークをぶつけてしまってから、
コントロールが乱れるのを嫌って一度もフォークを使っていなかったのです

「だから次も速球来るぞ、しっかり転がそうぜ!」

「あ、す、巣山!」

「ん?」

「あ、ちょっ…その…あ…だっ、あ…」

「…?」

「ボクを置いて行かないで〜」と捨てられた子犬のように巣山を呼び止める栄口。
無理もありません、この先逆転できるかどうか西浦の運命を左右する送りバント。スリーバントなので残されたチャンスはあと一球…
どうしようもない緊張とプレッシャーで、とてもこのまま打席に入れる心境ではなかったのです



「あう…あ…」

「できっぞ!!」

「お…おお!!」

リラックスしなきゃ、リラックスしなきゃと思ううちに巣山の手を掴んでしまった栄口。
リラックスと言えば手を握って瞑想するのが西浦流です、栄口の心中を察した巣山は
会心の笑顔とともに栄口に気合を注入してあげるのでした

この場面、原作の中でもかなりお気に入りのシーンなんですが
でもやっぱり握手をアニメで見ると「ボクに巣山の愛を分けてください」って感じでどうもホモの香りが:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「プレイッ!」

(今日はこれで4打席バント…一回失敗してっから、ここで上げたら成功率5割だ…
 5割じゃバントの意味ねえ!!)

ビシュウッ!

(恐がんなッ!!)

バント職人の意地とプライド!剛速球への恐怖心をねじ伏せて送りバント成功!
これでワンナウトランナー二・三塁。続く巣山は力及ばず三振に倒れてしまいますが、いよいよ今度は頼れる四番の登場です

「たぁじまぁぁぁ!打てよぉぉぉ!勝てっぞ田島ーー!!」

「てめー頼むぞぉぉぉ!打て!打ってくれ田島ーー!!」

「た、田島君!がんばれーー!!」



ベンチからの熱い声援に対して「任せろ」と無言のサムズアップ!あまりの頼りがいに花井達も(´∀`c)キュキューンと悩殺です
やはりここで桐青バッテリーが勝負に選んだ球種はシンカー。これまで田島が3三振と、西浦で一番三振を取られていることからも
その威力のほどがうかがえます。

「スットライーク!」

「田島君!ファイトーー!!」

「田島ぁぁ!打ってくれぇーー!!」

「田島…!」

「頼む…!」



2球目のシンカーをじっくりと見逃してツーストライク。これまでさんざん苦しめられたその球筋を脳裏に焼き付け、
田島はラスト一球最後の勝負にに全てを賭ける!

ビシュウッ!

(ここ!)

カキイイイイン!

「な…なに!?」



桐青バッテリーの度肝を抜く神業バッティング!スイングの瞬間指を外して、逃げていくシンカーを完璧に捉える!

「レフトォォッ!」

「捕れ…!」

「弾道が低い!?」

弾丸ライナーがレフトの頭上へ!落下予測点はレフトの守備範囲ギリギリといったところでしょうか
桐青レフトは全速力でボールを追いかけダイビングキャッチの体勢に!

ドザザアアアッ!

「やったあああああああああ!!」

わずか数十センチばかり届かず、ボールは転々と無人のフェンスへ!
文句なしの長打で三塁ランナー阿部、二塁ランナー泉が悠々とホームイン!6−5と大逆転に成功します

「信じらんねえ…!振ったバットの遠心力で、右手指三本のところまで
 
バットをずらして打った…!?」

「う…く…!うっしゃああああああああ!!」

「田島君、す、すごいいいい!!」

「どーやって打ったんだよあいつ!すっげーよあいつ!」

「さっすが4番だぁぁ!」

「やっぱ田島はすげーよおおおお!!」

たっじっま!たっじっま!たっじっま!たっじっま!


(C)荒木飛呂彦/集英社

興奮冷めやらぬ西浦ベンチ、そしていつまでも鳴り止まない応援席の田島コール!
その中でもピシガシグッグッをやって喜んでる篠岡とシガポが印象的でした、やっぱり篠岡の本命ってシガポだろ(えー


ドラマのような逆転劇に押せ押せムードの西浦でしたが、さすが桐青もここで崩れてしまうほど甘くはありません
きっちり気持ちを切り替えて花井を三球三振に仕留めると、9回裏の攻撃に最後の望みを繋ぎます

(リード1点か…延長に入ったらウチが不利になる、この回で決めたい!)

(阿部君と、泉君と、栄口君と、田島君で点入れた…
 俺が打たれなければ…勝てる!!)

すでに体力は限界ながらも最後のマウンドへ向かう三橋。長かった桐青との死闘もいよいよ決着!次回に続く!


おおきく振りかぶって24話 「決着」


「この回さえ抑えれば勝てるんだ…!このチームで…みんなで!」

西浦1点リードでいよいよ始まる9回裏、桐青最後の攻撃。
9回なせいかブラバンの演奏も他の回より豪華な気がします、き〜み〜が〜いたな〜つ〜は〜とおい〜ゆ〜め〜のなか〜あ〜
そして桐青の先頭を切るのは1番バッター真柴。足が速くちょっとしたゴロでも内野安打にしてしまう嫌なバッターです
それに対して、阿部はまだ一球もまともに打たれていないまっすぐを中心に配球を組み立てますが…

(ま、またまっすぐ…!?きっともうつかまるよ…!)

しかし「こんなヒョロ球簡単に料理されますがな」と自分のまっすぐを信じられない三橋。
まっすぐよりも変化球で逃げたい逃げたいとビビリまくっていました

(そんなにまっすぐ恐がるなら、他の球だともっと恐いってこと教えてやるよ…!)

(へ…?シュートでいいの?)

どうなっても知らんぞと一球見せしめにシュートのサインを出す阿部。大喜びでサインにうなずきシュートを放る三橋でしたが…

「…!?回転が…!」

外角へ逃げるはずのシュートが、回転が甘いせいでストライクゾーンの中へ!
真柴はすかさずバントして一塁へダッシュ!三橋がすばやくゴロを処理すれば刺せるタイミングでしたが、
三橋は派手にズッコケてしまい真柴の出塁を許してしまいます

(打ってもファールになるはずのシュートが、枠の外まで逃げなかった…!)

(い、今の…俺のシュート…)

倒れたままの姿勢でなかなか体を起こせない三橋。単にドジでズッコケたわけではなく、もう足腰が言うことを聞かなかったのです
今の曲がらなかったシュートといい、三橋にはもうスタミナがほとんど残されていませんでした

(なに…?まさかここが…限界…!?)

三橋が投げられなくなってしまえば負けたも同然、エースのガス欠にあのモモカンですら顔面蒼白になってしまいます

「(まだだ…!)三橋!投げらんねえなら代わってくれ!
 ここは三星学園じゃねーからな!投げらんねえなら
 沖にでも花井にでもマウンド譲れ!」

(阿部君役者だわ…!代える気なんかないくせに!)

そんな三橋をあえて突き放しマウンド独占欲を刺激する阿部!
誰よりも投げたがりの三橋は、その言葉で「俺のマウンドは誰にも渡さん」と奮起してフラフラと立ち上がるのでした

(投げたい…降りたくない…ここを誰にも譲りたくない!)

気力だけでスタミナ切れを補い三橋復活!そして次に迎えるバッターは今日無安打の二番吉永です
安全パイはすっこんでろ!全球まっすぐであっさりと片づけ三球三振!
ようやくこれでワンナウトですが、本当に辛いのはここから。次のバッターはこれまでいいように打たれている強敵島崎です

(一回球筋掴んじゃえば、どうにでもできそうな球なんだよ…
 ほれストレートだ!これでどうよッ!)

カキイイイイン!!

三橋のまっすぐをすでに見切っていた島崎!狙い打ちした当たりはサード田島の頭上へ!

「届かねえ…っ!!」

必死でボールを追うもののキャッチには至らなかった田島、しかし執念でボールに食らいつくと
グラブをかすめたボールはショート巣山の守備範囲へ!
このタイミングなら、一塁へ送球すればギリギリ島崎を刺せる可能性が…

「…!?握りが!?」

しかし焦りからボールを握りそこねてしまう巣山!送球は一塁を大きく逸れてしまい、結果としてワンナウト一・三塁のピンチに!

(ついにミスが出た…!この流れはまずいよ…!)

この試合で初めて完璧に捉えられた三橋のまっすぐ、さらに初めてのエラーで西浦ナインに少なからず動揺が…
そんな状況で登場するのは4番青木!逆転のお膳立てとしてはこれ以上ないシチュエーションです

(まだワンナウトでランナーが迅で…これで点入れられなきゃ4番じゃねえ!)

(もう俺は桐青に攻略されたんだ…俺がこのまま投げてたらみんなも負ける…!
 
それでもマウンド降りたくない、これじゃあ中学の時と同じに…)

気合十分で打席に入る青木と、ネガティブスパイラルに陥ってしまう三橋。
両者のモチベーションも雲泥の差です、このまま勝負はついてしまうかに思われましたが…



「さあ来い!バッチ来ーーい!」

「おう!サード来いよォ!」

「ピッチャー打たせろーっ!」

「ワンナウトォー!」

「水谷ィ!捕ったら4つだぞ!」(4つ=本塁のこと)

「おおッ!!」

「三橋ィ!後のことは任してお前の一番いい球投げろ!!」

そんな三橋の背中を押す頼もしいバックの声。その言葉のひとつひとつに突き動かされたかのように、
三橋はゆっくりと投球フォームに入ります

(もう球の勢いも回転数も落ちて、それでも投げてる嫌な奴に…
 なんで優しいこと…言ってくれるんだ!?)

愛する友の眼差しが倒れるたび傷つくたび俺を強くする!
仲間の力で一伸び加わったまっすぐ!しかしまっすぐを待っていた青木も迷わずそれを打ちに行く!

カキイイイイン!!

「投げ勝ってる…!捕ってやるぜ三橋!」

勢いに詰まらされた打球はセンター前へ!あわやポテンヒットという当たりでしたが、
落下点へ向けていち早く駆け出した泉が執念のダイビングキャッチ!かなり内野に近い位置でのこの捕球、
桐青としてはタッチアップするかどうか微妙な距離ですが
サードランナーは俊足の真柴!迷わずタッチアップを敢行し本塁に突入する!

「花井っ!」

「うおおおおおおおおお!!」

泉はカバーに走ってきた花井へすかさずボールをトス!そして花井から矢のような送球が本塁に送られる!

ドザザアアアッ!

きわどいタイミングでの本塁クロスプレー!その瞬間水を打ったかのように静まり返る球場。
その場にいる誰もが固唾を飲んで見守る中、静寂を破った審判のコールは…

「アウトオオッ!!」

ドワアアアアアアアアアアアア

本塁憤死で試合終了!死闘を制したのは西浦!大金星の西浦に観客席から割れんばかりの歓声が送られます






「…」

勝利者を遠くに眺めながら、ベンチで淡々と帰り支度を整える桐青キャプテン・河合。
背後で聞こえる桐青応援団の涙声のエールがなんとも涙を誘います



(お兄ちゃんがキャプテン!?わぁすごい!)

(本当に!?今まで以上に影で努力しないといけないよ!)

(あの監督はなかなかの人物だぞ、ああいう人が認めてくれたんだ、
 家族みんなで応援するよ!)

暖かい家族から渡された必勝祈願のお守り。その期待に応えられなかった自分に、河合は心底悔しさを感じていたことでしょう
しかし自分は名門桐青のキャプテン。溢れそうになる感情を決して外には漏らさないよう、
河合は毅然とした態度で、すすり泣く他のナイン達を撤収させるのでした

「カズさん……すんませんでした……すんませんでした……すんません…!」

そんな河合に、大粒の涙をボロボロこぼしながら償いの言葉を重ねる高瀬。
自分が5点も取られなければ…高瀬はあまりにも重い敗北の悲しみで、自分を責め続けていました

「お前が謝ることは一個もない…」

「…俺はもっと!一緒に…!」

「力足んなくってごめんな…!お前をもっと、上手く投げさせてやりたかった…!」

そして河合も、とうとう抑えていた涙をこらえきれずに悲しさを爆発させてしまいます
泣けるシーンなんですが、でもやっぱり抱きつくのはさすがにないよなぁ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
でもその横でむせび泣く桐青ナイン達の様子はいい描写だったと思います
飄々としたイメージのある島崎や青木もとめどなく涙を…高校球児にとって、最後の夏はそれほどに重いものだということでしょうか(青木は違うけど)





「ダウン終わったね?お昼は学校戻ってからね!午後は普通の練習の前に今日の試合の反省会やります!」

勝って兜の緒を締めろ。西浦もあれほどの激闘を終えたすぐ後にも関わらず、勝利に浮かれる暇もなく
これから帰ってメシ食ってすぐにまた練習のようです。ハードだなー

「監督ー!三橋つぶれましたー!」

「あらら…ダメだねこりゃあ」

しかし、さすがに限界を超えて投げ続けた三橋はすでにばたんきゅー。
もう一滴のスタミナも残っておらずぐーすか眠りに落ちてしまい、そのまま母親の車へ乗せられることに…

「三橋さん、今日は息子さんまっすぐ連れて帰ってください。明日もし熱出したら練習は様子見て…」

「キャーごめん乗せるの待って!ああきったなーい!どうしよどうしよ、
 ええい全部脱がしちゃえ!」

泥だらけの息子を女子生徒達の目の前でパンツ一丁にする三橋母。僕もうお婿に行けない!

「ふふふ…レンレンがグラウンドと全然違う顔で笑える」

「どれどれ?あらまーブサイク!」

(今日、来てよかった…)

まあお婿に行けなくてもルリと結婚するからいいか!(えー
大志Mk−2はルリ×三橋を応援しています。そして最終回に続く!


おおきく振りかぶって最終話 「ひとつ勝って」

「泉ィー!三橋来た?」

「来てねーよ、今日は休みだって」

「俺もうサッカー負けたから、昼休みちょっと三橋んち行ってくるわ」

今日は西浦高校の球技大会の日。野球部メンバーも今日はサッカーやらバスケやらに精を出していましたが、
昨日限界を超えて投げまくった三橋は家でぐったり寝込んでいました

「阿部も昼三橋んち行くの?俺も食いに行くよー!」

「もってなんだよ…?」

「今日はカレーだもんなー!メシ炊いとけって言った?」

三橋の体調が気になる阿部でしたが、田島も三橋家カレーを堪能するために昼休み抜け出す気マンマンでした
そこへ田島の保護者的な泉と、「三橋に渡すものがある」という花井も加わって、昼に4人で三橋の家に行くことに…

ピリリリリリリリ

「あ、田島君かな…?阿部君だったらどうしよう…」

”昨日勝ったこと叶に言った?私言おうか?”

「”自分で言う、昨日はありがとう”…送信…あ、もう田島君たち来る…」

だるい体で田島が来るのを心待ちにしていた三橋。ルリとメールのやりとりをしているうちに昼の時間になり、
のそのそと出迎えの準備をしようとする三橋でしたが…

ピリリリリリリリ

「ル、ルリ!?返信はや…」

”阿部隆也”

「うわあああああああああ!!ど、どど、どうしよう…!
 マウンド降りなかったことだ…代われって言われたのに代わらないで、俺…!」

阿部からメールが来ただけで世界の果てまで逃げ出しそうなほどおびえる三橋。
桐青戦で2度と逆らうなと言われたそばから交代命令を無視してしまい、三橋は今阿部と顔を合わせたら死ぬと思っていたのです
というか三橋の携帯、「田島くん」「ルリ」「お母さん」ってみんな呼び名で登録してあるのに、
阿部だけなぜか「阿部隆也」ってフルネームなのがなんか笑えます

「メ、メールにはなんて…」

”昼に俺と花井も行く”

「あああああああああ!!しゅ、主将も連れて俺を怒りに来るのか、
 当たり前だ…公式戦であんな勝手して…に、逃げ…」

ピンポーンピンポーン

恐れをなして逃げ出そうとする三橋でしたが、その時ちょうど悪魔の到来を告げるインターホンの音が!
もはや逃げられないと死を覚悟した三橋は、ガタガタと震えながら玄関で4人を出迎えるのでした





「なあ三橋これな、ウチの親から三橋の親へ」

何やら三橋に手みやげのDVDを持ってきた花井。なんでもその題名は高校野球ダイナマイツだとか
なんだこの意味不明な名前は…と思ってみれば高校野球のローカルニュース番組でした、ダイナマイツってなんなんだ!

《市営浦和球場での第一試合は、途中から交代した武蔵野第一高校の榛名選手が、
 
4回から8回までをパーフェクトに抑え初戦を飾りました》

「はっ、榛名サン!?むふふふ、榛名サン凄い…」

「別に順当だろ、Cシードだぞ」

「うぐ…」

高校野球ダイナマイツを横目に見ながらカレーをばくばく食べまくる4人。
しかし榛名をやたら尊敬している三橋と毛嫌いしている阿部、つくづく2人はプライベートで噛み合いません
バッテリーとして三橋との関係をスムーズにしたいのに、いつまで経っても会話が成り立たず
もどかしさとイライラで阿部はピリピリしまくりです、もはや会話の糸口すら見つからない阿部でしたが…

「三橋はなんで西浦にしたのー?」(唐突…!お、でも答えるぞ…?)

「お、お母さんの学校だからだよ!」(…お母さんのォ?)

「へー、おばさん西浦出身なんだ!」(ああ〜…)

「そいで…自転車と、制服!」(…え〜っと)

「交通費と制服代ナシはうちも言われた!西浦安上がりだからなー!」(よく分かるな〜…)

そんな阿部とは対照的にたやすく三橋語を理解してしまう田島。
なんとか三橋の扱いを学ぼうとする阿部でしたが、2人の異次元会話にはまるでついて行けないのでした

「ちゃんと理由あんだなー、俺なんか単にレベルと通いやすさで選んだぜ」

「俺はグラウンドも見てから決めたよ、阿部は春休みも栄口と来てたんだろ?」

「春休みは俺が誘ってな、下見は一人でだよ」

「中学からの友達じゃないのか?」

「シニアで顔は知ってたけど、クラスで一緒になったことねーんだよ。
 受験の時初めてちゃんと喋った。そしたらアイツうんこばっかしててさー」

カレー食ってる時にうんこの話すんなー!!
阿部きさまー!この世で一番やってはならないタブー中のタブーを!
もはや皿の上に乗ってる茶色い物体が異臭を放ってるようにしか見えません。
こんなものを口に運ぶなんてなんて恐ろしい…(えー

《第一試合・Bシードの桐青高校敗れました!西浦高校はこれが公式戦初勝利です。
 一年生投手三橋、ふんばりました!》

ふんばった!?何を!?うんこの話してる時にふんばるとかなんとか!
可愛い顔して実にけしからん女子アナです:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

一言だけとはいえ自分たちの試合結果がテレビで流され、思わず画面に釘付けになる四人。
しかし、一番喜ぶべきはずの三橋は逆に顔面蒼白となってしまいました

(お、俺は打たれたのにたまたまテレビで名前言われて…!すげえ嫌な奴…!
 そうだ、今日はみんな俺を怒りに来たんだから、大人しくしてたってダメなんだ…
 せっかくみんな楽しそうだったのに、俺がいると楽しくなくなる…)

「あっ…泣いた」

「ええ!?なんで!?」

(泣いてると余計うざがられる…言われる前に…!)

「き、昨日は!勝手してすみませんでした!」

「か、勝手…?」

「先に帰ったこと…?」

「あ、阿部君に代われって言われても、俺…」

「ありゃーウソだよ」

「う…ウソ?ウソぉぉぉぉぉ…?」

スーパーネガティブ思考で悪い方へ悪い方へと考えてしまい、ハチャメチャな理由で泣きながら謝ってしまう三橋。
みんな三橋の熱投に感心していたというのに、突然謝られて花井達は混乱してしまいます
自分の凄さがまるで分かってない三橋に、泉は「みんながどう思ってるか見せたるか」と昨日の反省会のノートを取り出して…

「三橋、篠岡がコピーくれたから見てみ。総評んとこな」

「そ、総評…?」

”三橋はよく投げた”

”投手はよく頑張ってくれた”

”三橋は途中崩れかけたのによく持った”

”野球のことをたくさん学べた。三橋をはじめみんな凄かった”

”三橋は始めから飛ばしてたのに、根性で投げたからいい投手”

”勝ちは投手の踏ん張りが大きい。5番としてもっと得点にからみたかった”

”マウンドから逃げない三橋を中心にチームがまとまった”

”桐青を4点に抑えられたのは凄い”

”ギリギリの試合はもうやめたい”

そのノートには、勝った理由に三橋の頑張りを第一に挙げる仲間全員のメッセージが…
って、阿部お前も少しは三橋誉めてやってくださいよ!一人だけ関係ないこと書いてんなー!
それと一人だけ自分の反省点を追記してる花井も、生真面目な一面が表れてて面白いですね

「わ…わわわ…」

「昨日の試合だったら、こんなの普通だぞ?」

「そうそう、俺たちは普通に野球やってるだけだよ」

(こ…こんなに嬉しいのが普通なのか…)

仲間たちのメッセージを見て、顔を真っ赤にしながら喜びを噛み締める三橋。
中学3年間チームの厄介者でしかなかった三橋にとって、「普通に評価された公式戦」というのは生まれて初めてのことでした
阿部たち4人が帰った後も、しばらく幸せの余韻が忘れられない三橋。
明日もそんな大事な仲間たちと野球をやるために、安らかな顔でぐうぐうと体を休めるのでした

 

おおきく振りかぶって・完

ちょうどコミックス8巻と同じところでアニメもきれいに終わりましたね
今期はゼロ魔とかスクールデイズとかとんでもない終わり方だったので、尚更上手くまとまってると感じました
あえて贅沢を言うなら、今回や1クール目のような神作画で桐青戦を見たかったなあ。ルリとか水谷母にもっと悶えたかった
とは言っても全体的に十分楽しめる出来だったと思います、まさかここまでおお振りが上手くアニメ化されるとは思ってませんでした
スタッフの人達ありがとうございました






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