ゼロの使い魔
双月の騎士9話 「炎の贖罪」
「彼らはプロなんだ!小細工が通用する相手ではない!」
「先生は引っ込んでてよ!いいから具体的な作戦をたてましょ」
再三メンヌヴィル達の実力の高さを訴える先生でしたが、うっせーバーカとキュルケ達はまったく話を聞いてくれません
先生に向かってなんて態度!これが学級崩壊というやつなのか…(えー
「最初に誰かが囮になって飛び込んで…」
「ただ飛び込むだけじゃ駄目」
「敵の目をハデに引き付けなきゃ…」
「待ちなさい」
「何よ!」
「私ならこの事態を収拾できる…ここは私に任せなさい」
かわいい生徒達を危険な目に遭わせるくらいなら…と、自ら作戦の立案を買って出る先生。
何やらお手製の閃光弾のようなアイテムを大量に用意すると、人質救出のための手はずを整えます
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「今思い出しても身震いがする…!ダングルテールを焼いた時の隊長は凄かった、
顔色ひとつ変えずにあっという間に村を炎で攻め滅ぼした、完璧にな!」
「…!」
「俺は隊長のあまりの強さに興味を引かれた…
思わず奴の背中に攻撃を仕掛けてみた!若気の至りというものさ、
隊長がどれだけ強いのか確かめたくなったのだ!」
「あいつは本物だった…!難なく俺をあしらいやがった!」
まだ悠長に喋ってたのかこの人(えー
アニエス死ぬー!とか思ってましたが全然そんなことなかったな:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
聞いてないのに過去話をペラペラと並べてうっとり陶酔するメンヌヴィル。自分が丸焼きにされた話を嬉々として語るとは、
こいつ根っからの変態野郎です
「貴様は…!狂っている!」
「そうかもしれんな、昔話はこれくらいにして…そろそろ交渉の時間だ。
学院長、アンリエッタに使いを出せ。アルビオンから無条件に兵を引くという
誓約書にサインをさせろ」
「む…無理だ!女王陛下にそのようなことをさせる権限は私にはない!」
「大事な生徒が灰になっても構わないのか?」
「ぐ…!」
「馬鹿なやり方だ、このことが前線に知れたら一斉攻撃が始まるだろう。
自分の首を絞めるようなものだ、アルビオンは考えが足りないな」
アルビオンって頭わりーなプギャーとメンヌヴィルを挑発するジュリオでしたが、
この言い方ではどうぞ殺してくださいと言ってるようなもんです。
ジュリオ…言ってるそばからお前も自分の首絞めてるよ!(えー
案の定、メンヌヴィルはお前うるさいから殺すわと魔法の杖を振りかぶる!あージュリオ死んでまうー!
ぽわんぽわんぽわんぽわん
「な…なんだありゃあ?」
その時、先生お手製の閃光弾がタバサの風魔法で次々と部屋に侵入!
ぽわぽわ宙を舞う妙な物体に、ポカーンとその場の一同の注目が集まります
「いいな、あくまでも皆の救出が目的だ。敵を相手にするな…よし、今だ!」
「はぁっ!!」
チュドドドドドドドドド!!
キュルケの炎で閃光弾を一斉発火!それと同時に才人達が部屋の中へなだれ込む!
目のくらんだ荒くれ男どもはデク人形も同然。あっさりと人質の所まで到達する才人達でしたが…
「タバサ行くわよ!」
「うん…!」
「いかん!敵に歯向かうな!」
あっひゃっひゃどうだ防げまいと無防備な男どもに攻撃を仕掛けるキュルケ達。先生の忠告もまるで聞く耳持たず!ボカンボカーン
やりたい放題魔法を発射する2人でしたが、次の瞬間2人の眼前にいきなり特大の炎魔法が!
チュボガアアアアアア!!
「きゃああああああーーっ!!」
よ、よええーー!!(泣)一瞬にしてキュルケ&タバサ戦闘不能!
以前こいつらをカプセル怪獣に例えましたが、今回はそれ以下だな…
怪獣が出てきていきなり撃ち落とされる防衛軍の戦闘機みたいなもん:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「惜しかったなァ?俺はあの時目を焼かれて以来、光が分からんのだ…!」
「とっくの昔に義眼じゃよ!!」
20年も前から視力のない生活を送っていたメンヌヴィル。目くらましを使おうが使うまいが、こいつにとっては何の関係もないことでした
メンヌヴィルは倒れたキュルケに歩み寄ると、「お前の(焼けた)臭いが嗅ぎたい!」と変態丸出しの台詞を吐きますが…
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わたしの生徒にさわるなーっ!! |
キュゴオオオオオオ!!
突如メンヌヴィルを襲う青い炎!たまらずメンヌヴィルはキュルケから間合いを取る!
ついに真の力を見せたコルベール先生。普段の穏やかな先生からは想像もつかない凄まじい炎に、
その場の誰もが固唾を呑んで見守ります
「お…おおお…!お前は…お前はお前はお前はァ!!
探し求めていた温度だ…!なんと懐かしい隊長殿ォ!!」
「コルベール先生が…隊長…!?」
「先生!?ハッハッハッハッ!貴様が教師か!?戦場で会わぬはずだ!
まさか教師になっていたとはなぁ!炎蛇と言われた貴様が!」
「え、炎蛇…?」
「そうだ…この男はな、かつて女だろうが子供だろうが構わずに燃やし尽くした男だ!そして俺から両の目を、光を奪った男だぁ!」
なんだか全部コルベール先生が悪いみたいに言ってますが、お前は自業自得だろ
それに村を焼いたのも、リッシュモンの策略で疫病対策と命令されたせいだし…
って、メンヌヴィルの話を聞いているうちにどんどんアニエスがキチガイじみた顔になっていきます
こ、こいつ…頼むから変な気起こさないでくださいよ!
「才人君、ミス・ヴァリエール、みんなを連れて逃げなさい!」
生徒達を安全な場所に避難させた先生は存分にその力を発揮!
メンヌヴィルと激しい魔法合戦を繰り広げますが、その様子を一人見ていたアニエスがとうとうトチ狂ってしまいます
「コルベールが私の仇…?父を…母を…私のすべてを奪った男…!
ぐっ…!死ねエエエエエエエ!!」
「アニエス君!?近づくな!」
「ふざけるな!お前は私が殺す!!」
拾った剣でぶっ殺したるーと先生を襲撃!だめだこの女ー!
元々好きじゃなかったですが、いよいよアニエスがうざったくなって参りました
「引っ込んでろ平民!お前に用はないッ!!」
「つあああっ!!」
ボッゴアアアアアア!!
2人のハイレベルな攻防にまったくついて行けないアニエス。
すさまじい炎の激突を前にして、その場でまごまごとうろつくことしかできません。あんたはずっとそうしててください!(えー
「アニエス君危険だ!私から離れなさい!」
「そうは行くかあああああ!!」
アホの子アニエスはとりあえず先生の言うことを聞きたくないので、離れろと言われて逆に先生へ猛突進!
その様子を見ていたメンヌヴィルは、ニマアッと笑みを浮かべるとアニエスへ特大火球を発射する!
「ウオオオオオオオ!!…お!?」
「くうっ…!」
ズボアアアアアアア!!
「ぐおおおおーーっ!ぐがあっ…!ぐゥあーっ…!う…ぐ…」
せ、先生ー!!こんなドアホをかばったばっかりにひどい致命傷を!ちくしょうアニエスさえいなければ
炎に焼かれてズタボロになってしまった先生の衣服。そこから覗いた首筋の傷痕を見て、
ようやくアニエスが我に返ります。その傷跡は、かつて燃え盛る村から自分を助けてくれた人と同じ…
「この瞬間を待っていたのだ!お前を焼き殺す日を!感謝しているぞ隊長!?
お前への復讐心で俺はこんなにも強くなれたんだからなァ!!」
「あの頃の…ままだ…」
「なに?」
「慢心は…!あの頃のままだなァァッ!!」
余力を振り絞って放った極大の炎!余裕をこいていたメンヌヴィルはまんまとその中に飲み込まれる!
「グオオオオオオッ!お、おのれェェェッ!」
しかし先生の受けたダメージが大きすぎたのか、それほどの炎でもメンヌヴィルを仕留めるには至りませんでした
お返しだとばかりにメンヌヴィルの杖へ集まる超特大の炎!食らえば丸焼きどころか、跡形もなく吹っ飛んでしまいそうです
「食らええええええっ!!」
「我が故郷の恨みィーーッ!!」
な、なんだそりゃー!!いきなり横からすっとんできたアニエスがグサリ!そのままメンヌヴィルはばったりと…
っておい!こんなんで決着っておっさんとやってることが大差ないじゃないですか!(えー
結局アニエスが勝手にピンチを作って、勝手に不意打ちして勝ったって感じで
すっきりしない終わり方になっちゃったなあ:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「先生!」
「コルベール先生!」
さっきの炎で相当な深手を負ってしまった先生。すでに立っていることもままならず、ばったりとその場に倒れ込んでいました
すぐに駆け寄る才人たちでしたが、事もあろうにイカレポンチのアニエスは先生にとどめを刺そうとします
「何するつもり!?」
「アニエスやめろォッ!!」
「どけッ!!私はこの日のために生きてきたんだ…!20年!20年だぞ!!」
「お願いやめてぇ!!」
「ミス・ツェルプストー…ど、いて…くれ…アニエス君には…私を、殺す…権利が、ある…」
かつてリッシュモンに言われるままに、アニエスの故郷を焼いてしまった先生。
「命令だから」という理由だけで何の疑問も抱かず、リッシュモンの思惑に気づきもしなかったことを先生は心底悔いていました
「命令に従うのが…正しい、ことだと…思っていた…
でも違う…!たとえ戦争であっても…人を殺すことは…罪だ…!
アニエス君…私を殺せ…だが…これを最後に…人を、殺すのは…やめて…くれ…」
「貴様ァッ!何をぬけぬけと!」
どんどんと目の光がなくなっていき、とうとう力なくうなだれてしまった先生。
”命令を聞くだけの兵士”という自分の二の舞にはさせまいとする先生でしたが、そんな必死の説得もアホの子アニエスには通じません
怒りに任せて剣を振りかぶるアニエスでしたが…
「…」
「アニエス…剣を収めて」
「ふざけるなァッ!」
「…亡くなったわ…」
あああああああああああ
とうとうあの世へと旅立ってしまった先生。深手とは思っていましたがまさか死んでしまうとは…
いい人だったのに…そんな先生がアホの子アニエスの代わりに死ぬなんて納得いきませんよ!
翌日、アニエスが先生の部屋で遺品を整理していると、
あらかじめ先生が才人に宛てて書いていた手紙を発見します
”才人君、この手紙は君が戦争へ行かねばならなくなった時、渡そうと思って書いている。
君には話しておこう、私はかつて犯した罪を贖おうと思って研究に打ち込んできたが、
最近思ったことがある…それは、罪を贖うことは出来ないということだ。
だから約束してほしい、人の死に慣れるな…戦いに慣れるな…殺し合いに慣れるな…
才人君、君はたくさんの話をしてくれたね。君がいた世界の話を…
私はその世界が見たい、いつか連れて行ってくれ”
「う…くっ…!」
もう2度と叶わない先生の願い。誰よりも平和を夢見た人との永遠の別れに、才人たちは大粒の涙をこぼすのでした。次回に続く
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