■イタズラなKiss7話 「イジワルなKiss」
 

「入江センパイ!第二ボタンは私に!」

「いいえ私にください!」

「悪いが俺には心に決めた人がいるんだ…さあ琴子!受け取ってくれたまえ!
 これは君にこそふさわしい!」

「まあ嬉しい、入江くんありがとう」

「では2人の素晴らしい門出を祝って記念写真を撮ろう!琴子、もう放さないよ…」

「入江くん…」

なんという夢オチ丸出しの冒頭シーン
夢の中の入江にむちゅう〜と唇を近づけながら、ベッドから勢いよく転げ落ちるKOTOKO。めくれ上がったパジャマえろいよ(*゚∀゚)=3
「いいとこだったのによぉ〜」と頭をさすりながら起き上がり、壁のカレンダーを見ると今日は3月7日。
早いもので、とうとうKOTOKO達の学校は卒業式の日を迎えることになったのです

「答辞、卒業生代表・入江直樹」

「はい!桃の蕾も膨らみ、日々暖かきなりつつあるこの良き日に
 多数の方々のご臨席を賜り、このような盛大な式を開いてくださったことを…」

卒業式で答辞を任され、難なくその役割をこなす入江。確か入学式の時も挨拶を任されたんでしたっけ?さすがの優等生だなぁ
そんな入江の姿を見ているうちに、「ああ素晴らしき青春の日々よ」
またKOTOKOの妄想ワールドが発動してしまいます
いいかげんにしなさい!妄想なら朝にあれだけやってきたでしょ!(えー

(思い出がたくさんできた…私、入江くんを好きになって良かったなぁ〜)

「F組代表、相原琴子」

(ぽわ〜ん)

「ちょ、ちょっと琴子!」

「え?なあに?」

「相原琴子!」

「は、はい!」

せっかくの卒業式で大恥!F組女子代表として卒業証書を受け取る役割だったのに、妄想に夢中になりすぎてしまったKOTOKO。
大爆笑に包まれながら、「これ以上恥かいたら死ぬ!」と緊張の面持ちで壇上へと向かいますが…

(おお…!あの階段を2人で上って行くんやな!これはまるで…!結婚式やないか!!)

しかし妄想ワールドの使い手は一人だけではなかった!
KOTOKOの幼なじみでF組の男子代表・金ちゃん。普段から「琴子は俺の嫁」が信条の金ちゃんは、
KOTOKOと並んで壇上へ向かううちに、どんどん一人で盛り上がって脳内結婚式を始めてしまいます

「ごめんね金ちゃん、長い間あなたの愛に気づかないで…」

「馬鹿だな、泣くなよ。愛してるぜ琴子」

「金ちゃん…」

「琴子…」

「池沢金之助、汝は病める時も健やかなる時も、死が2人を分かつまで
 相原琴子を愛し続けることを誓いますか?」

「もちろん誓いますがな!」

「な・に・を誓うのかね!!」

全校生徒の前で妄想ボイス垂れ流し!大恥なんてもんじゃねー!
校長先生の怒鳴り声でようやく現実に戻ってきた金ちゃん。普通なら恥ずかしくて死にたくなるところですが
神経の図太い金ちゃんはなんとさらなる暴挙に!

   

《しっかしなぁ入江直樹!おんどれ琴子と同じ大学に入るいうて安心すんなや!
 俺ははよう一人前の板さんになって琴子と結婚するでぇ!》

校長のマイクをぶん取ってマイクパフォーマンス開始!と、止めろ!誰かこいつを止めろー!
こんなメチャメチャな卒業式は聞いたことがありません、あまりの恥ずかしさに耐えられなくなったKOTOKOは、
半泣きになりながら証書を持って駆け下りますが…

「き、金ちゃんのバカ!!し、知らない!!(ずるっ)お、おあああ!?」

滑って転んで証書をぶち撒け!それもよりによって、入江の席の目の前でやらかしてしまいました
どこまでも恥の上塗りを続けるKOTOKOに、とうとう入江もブチ切れて大バカ呼ばわり。
KOTOKOの妄想とは正反対の散々な卒業式になってしまうのでした

「「「おおおお〜!!」」」

「い、いいわね〜!」

「やっぱりこれよ!卒業式はこうでなくっちゃ!」

「うらやましい〜!なんで私たちは!?」

卒業式を終えて校庭に出てきたKOTOKOたち。するとそこでは、お目当ての相手を見つけた生徒たちが
次々に告白しまくっていました。ワクワクしながらKOTOKO達が辺りを見回すと、
凄い勢いで女子生徒に言い寄られている男が一人…誰かと思えばやはり入江です

「先輩!ボタンを…第二ボタンを頂けませんか!?」

「嫌だね」

「入江さん!あの、写真を一緒に!一枚でいいんです!」

「しつこいな…!」

「「びえええええええ!!」」

雑魚は誇り高き獅子に触れることすら許されぬことを教えてやる!!(えー
どれだけ女の子が寄ってこようとまったく取り付く島のない入江。
第二ボタンが欲しいのはKOTOKOも同じでしたが、これではどう頼んだらいいものか…

「第二ボタンをせがむなんてとんでもない子ね!
 よし、次は琴子ちゃん行って来なさいな!これで今の子達と差をつけなきゃ!」

「帰れ帰れメス豚ども!でも琴子ちゃんは別ね」とひどい言いようの入江ママ。
同じ頼みごとをして他の女子生徒と差をつけようと、入江にKOTOKOをけしかけますが…

 

「なんだよ」

「え、え、ええっとねえ…」

「まさか第二ボタンくれとか言わねーだろうな」

「あは、当たり!」

「やらねーよ」

「じゃ、じゃあ写真を…」

「撮らねーよ!」

「うわああああんおばさまー!!」

「ああ…!もうなんてことを!ちょっとお兄ちゃん!
 琴子ちゃんの健気な気持ちに応えてあげないなんて
 それでも男なの!あん!?」

ママさんさっきと態度違いすぎですよ!
「第二ボタンをあげないなんてなんてゲス野郎なの!」と我が息子を激しく責めるママ。
この凄い剣幕には、さすがの入江も渋々写真をOKするしかありません

「はーい、じゃあ撮りますからねー!はい、チー…ズ!?」

わーいこれで入江くんとツーショット…ってぶち壊しキター!!
シャッターを切る瞬間邪魔しに割って入る金ちゃん!またお前か!
せっかくの写真が雰囲気台無しです、もう一枚撮り直しを要求するKOTOKOでしたが、
入江は「一枚撮ってやったんだからありがたく思え」とスタスタ帰ってしまうことに…

「ちょっと琴子、いつまで落ち込んでんのよ」

「だって私…卒業式…私の夢が何一つ叶わないまま終わっちゃったぁ…」

「そんなのいつものことじゃない、それよりこの後パーティだってよ!」

いやぁ…さすがにあの妄想丸出しの夢は叶わないんじゃないかな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
どんよりと落ち込みまくりなKOTOKOでしたが、この後はどうやらF組みんな集まって記念パーティをやるようです
とにかくパーッとやろうぜ、とKOTOKO達はぞろぞろ飲み屋に集まりますが…

「さ…さむっ…」

「臭うね…」

「うん…」

しかし、その飲み屋はすきま風が酷くて便所の臭いがキツイというサイテーな店!
誰だよこんな店選んだの!と思いきや、パーティの幹事は金ちゃんでした。またやらかしやがった!

「もう〜…ほんとさむ…い、入江くん!?」

「な、なんや!?なんで入江がこんなとこおるんや!?
 まさかA組もここでやるなんちゅう…」

「残念ながらそのまさかだよ」

えー!?エリート連中のA組もこんな臭い店でパーティやんのかよ!(えー
あんたらも貧乏クジ引いたな…と思いきや、KOTOKO達とは違っていかにもVIPといった感じの席に通されるA組の人たち。
どうやら大分金を積んだようで、出てくる料理も豪華なフルコース…
ポテチをむさぼるKOTOKO達とは天と地ほどの違いです

「うう…なんか格付けされてるみたい…」

あまりの格差に「私らみじめすぎるぜ…」と落ち込まずにはいられないKOTOKO。
VIP席でクラスの女子にちやほやされる入江を見て、入江が悩殺されやしないかと気が気ではありません
するとその時、突然店の照明が落とされるとスポットライトが点灯して…

またお前かー!!いきなり始まった金ちゃんオンステージ!
これがやりたくてパーティの企画を担当したのか!どこまでも自重しない金ちゃんのステージ内容とは…

「レディースアンドジェントルメン!今宵は金之助オンステージにようこそ!
 では聞いてください”琴子マイラブ”。あワン、ツー、さん、しー」

♪ワシは琴子が好きや〜♪  \金ちゃーん!!/

♪出会えたことに感謝や〜♪  \金ちゃーん!!/

♪琴子もワシが好きや〜♪  \琴子さーん!!/

♪だから2人はハッピ〜♪  \琴子さーん!!/

なにげに舎弟の合いの手が絶妙すぎて吹いた
それにしてもこんな歌を公衆の面前でやられてるKOTOKOは公開処刑されてるも同然です
さらにA組もF組もドン引きで「引っ込めバカ」と大ひんしゅく。
ぎゃーぎゃーと反論する金ちゃんでしたが、ちょうどその時就職先から呼び出しを受けてしまい
やむなく一足先に飲み屋から出て行くのでした。やれやれやっと平和になったか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「今の生徒は確か、進学せずに就職したとか?まったく揃いも揃って…
 大体このF組には、うちのクラスで一番優秀な生徒の邪魔ばかりするのがいるそうですな?
 噂では、東大に行けなくなったのも彼女のせいだとか」

とか思っていたらまた変なのが出てまいりました。いかにもイヤミなインテリ先生という感じのA組担任。
「まったくF組の連中は腐ったミカンばっかりですね」とひどい言いようです。

「先生、そいつのせいじゃないですよ」

「し、しかし入江」

「俺がそんなバカのために人生誤ったなんて言われたら、その方が屈辱ですね」

おや…?もしかして入江、なんだかんだ言いながらこの先生からKOTOKOをかばおうと…
そろそろツンデレな性格が表に出てきた感じでしょうか
しかし金ちゃんの歌で笑いものにされ、先生に罵られ、入江にもバカにされ、とうとうKOTOKOは我慢できなくなってしまいます

「ぐぐ…!ちょっと!バカとは何よ!?
 人間頭が良けりゃいいってもんでもないでしょ!一番大事なのはハートよハート!」

「そういうセリフは頭のいい奴が言ってこそ説得力があるんだぜ」

「な、なによ…入江くんなんていつもいつも!意地悪!冷血男!」

「その冷血男を好きなんだろ、お前は」

「うぐぐぐ…」

言い合いでKOTOKOにまったく勝ち目なし!ガスガスと痛いところを突きまくる入江にはとてもかないません

「そういえば相原さんて、入江くんにラブレター渡してなかったっけ」

「あぁそうそう、受け取ってもらえなかったって」

「すごいチャレンジャーよねえ、無駄に勇気があるっていうか」

「ふふ、無駄ね。確かに」

はははははは あははははは

な、なんというゲス野郎ども!A組連中はさらにクラス全員でKOTOKOを笑いものに!
さすがにKOTOKOもこれには参ってしまったのか、うつむきながらわなわなと震えだしてしまいます。泣くか、泣くかKOTOKO!?

「…そう…入江くんの気持ちはようく分かったわ…そこまで言うなら、こっちにも考えがあるんだから…」

少し…頭冷やそうか…(えー
とうとう降参するかと思いきや、逆に対入江用の最終兵器を投入するKOTOKO!あの入江を黙らせるとっておきの秘策とは…

「なんだよ?」

「それはね…これよっ!!」

「!!!!!」

「え、誰あの女の子?」

「かわい〜!」

「お、お、お前ッ!!こ、これ…なんで!?」

「みなさーん、これはなんとここにいる入江くんの小さい頃の写真でーす!」

恥ずかしい昔の女装写真!女の子が欲しかった入江ママによって、昔の入江は毎日こんな格好をさせられていたのです
どっからどう見てもロリロリなその姿に、真っ赤になって写真を握り潰す入江。
しかしKOTOKOは、「ふふんバカめその一枚だけなわけあるか」と新たな写真を取り出そうと…

「おばさまからもう一枚もらって…」

「…来いッ!!」

「や、やだ…放してよ…な、なにすんのよ!」

「…ハデにやってくれたな…」

あぁ!?こ、これは!?KOTOKOを店から引きずり出して暗がりの路地へ連れ込む入江!
KOTOKOを壁に押し付けながら凄い顔で睨んでおります、ま、まさか犯すつもり!?(えー

「ふ…ふん…!凄んだって…恐くないんだから…!」

強がりを言うKOTOKOでしたが、何をされるか分からないこの状況にぶるぶると震えが止まりません

「私が入江くんのこと好きな気持ちを、みんなで笑いものして…だからやり返しただけだもん!
 …もう私やめる…!入江くんのこと好きなのやめる!」

「…へー、そんなことできんの?」

「できるわよ!入江くんの性格なんて嫌ってほど分かったもの!
 卒業と一緒に、片思いも全部リセットしてやるんだから!」

「もうお前みたいなツンツン野郎はたくさんだ!」ついに入江の横柄ぶりに我慢の限界を迎えてしまったKOTOKO。
そんなKOTOKOの言葉に、入江はピクッとわずかに眉をひそめます
今まで特に意識してなかった琴子の好意が、いざなくなるとなって惜しい気持ちになったんでしょうか

「…ふーん、忘れちゃうんだ。俺のこと」

「そうよ!あなたなんか忘れて、大学行ったらすぐカッコいい男の人見つけて…!」

「じゃあ…忘れてみろよ…!」

ズキュウウウウウウン!!

や…やりやがったー!!KOTOKOの言葉をさえぎるように突然のキス!
いきなり入江からの意外すぎる行動に、KOTOKOは腰が抜けたように放心してしまいます

「ざまーみろ」

「これで俺のこと忘れらんないだろ」としてやったりの表情で去っていく入江。
いやぁ…イケメンだから許されるけど、こんなの俺らがやったら普通に通報される:;y=_ト ̄|○・∵. ターン 次回に続く!


■イタズラなKiss8話 「憧れのキャンパスライフ!?」
 

「愛してるよ琴子…」

「ほんと…?もう一度言って?」

「いいよ…ざまーみろ」

どしーん

「ふぐ!?…あ、あれ、また夢…?」

また冒頭から夢という名の妄想ですか!
場合によってはトラウマになりそうなあの無理矢理されたキス。
しかしKOTOKOにとっては天にも昇るような出来事そのものだったらしく、
夢の中でキスシーンを美化しまくって、それを一ヶ月間ひたすら毎日見続けていました。なんてたくましい妄想力だ…

というわけで卒業式から今日で一ヶ月。つまりKOTOKO達の大学入学の日です
同じ大学とはいえKOTOKOは文学部、入江は理工学部で教室の棟も離れてしまいましたが、
友達の理美やじん子とはまた同じ文学部になったようで…

「あ、おはよー!またよろしくね」

「こちらこそよろしくー!」

って、あ、あれ!?なんか理美だけ急に5年くらい歳食ってませんか!?(えー
いや好きなんですけどね理美。髪を降ろしてイヤリングとネックレスがつくと大分イメージ変わりますね

「おそろいでおはよー!」

「文学部ってどっちだっけ?」

「あ、はったとちーぼ、おはよー!」

「うぃーす!」

「なあ文学部ってどこだ?」

「うん?やっちゃんとひろくんも文学部?」

「琴子おはよー!文学部でしょ?またよろしくね」

ぞろぞろと集まってきた元F組のクラスメイト達。しかしどうしたことか、揃いも揃ってみんな同じ文学部…
これってまさか…といやーな予感をKOTOKOが感じ始めた時、ちょうど通りすがりの生徒の会話が聞こえてきます

「ここの日本文学科ってさー、付属高校のF組だけで埋まるらしいぜ」

「そうらしいな、だから大学のF組って呼ばれてるんだってさ。ははは、だっせー」

今…誰か俺を笑ったか?お前かァ!!(えー
結局大学でも掃き溜めクラスですか!夢見ていたバラ色生活がいきなりつまづいてしまいました
というかクラス全員文学部って、学部の選択はできなかったんでしょうか?
もしかして、みんな偏差値が低すぎて選択の余地がなかったのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ここね、理工学部!」

「う〜ん、神々しい〜」

「エリートコースだからねぇ〜」

今日は入学初日とあって、教室で簡単な説明を受けたら後はたっぷり自由時間。
するとKOTOKO達は、入江の方はどうしてるか気になって理工学部へ向かいます
すぐに教室に残っていた入江を発見しますが、隣には見慣れない女の人が一緒に…
な、なんなんだろうこの熟女は…(えー
これが入江と同級生!?まだ18歳!?私には30前後でバリバリのキャリアウーマンにしか見えな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あ、あのう、今日教室にいた女の人って…」

「ああ、松本裕子?」

「も、もうフルネームで覚えてるの!?」

「一回聞いたら覚えるんだって…」

その日の夜、自宅で入江と顔を合わせた時にあの熟女について尋ねるKOTOKO。
そういえば入江は一度見聞きしたものはなんでも記憶しちゃうんでしたね、
社会人になると人の名前覚えるのはとても大事な仕事なので、こんなうらやましい特殊能力はないな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「そ、その…松本さんって入江くんのこと…えーと…」

「あぁ、お前ヤキモチ妬いてんのか」

「ち、ちがう!」

「そうだな、美人だな」

「ぐぅ…!」

「それに頭もいいらしいなぁ、全国模試で5位になったって言ってたし」

「ぐぐ…ぐおおお…」

「あれ?お前、俺のこと忘れるって言ってなかったか?」

「え!?」

「ああ〜、俺達キスまでした仲だっけ」

ここぞとばかりにKOTOKOをいじりまくる入江
あれれ〜?とまるでコナンのようにわざとらしくKOTOKOをあれこれ揺さぶります
そして普段からキスのイメトレを無限にこなしているKOTOKOにとって、入江からのキスの話は熱暴走開始のスイッチも同然!
入江がすーっと顔を近づけてきただけで、「ど、どうぞ好きなだけちゅっちゅしてください!」と準備万端になってしまいます

(キ、キス…!キス!!)

「んぅ〜〜」

「ぶっ…!ははははは、あっははははは!」

ん〜( ´3`)と唇を差し出すKOTOKOに大爆笑して放置プレイする入江。
普段ムスッとしてる入江がこんなに爆笑するだなんて…こいつは根っからのSだな…(えー

そして次の日。KOTOKOが食堂でランチタイムを取っていると、
テニス部の先輩に入江が熱烈な勧誘を受けているところを発見します
そういえば入江は、高校時代にテニスの関東大会優勝の経験があるんでしたっけね
「お前が欲しいんだぁ!お前がいなけりゃダメなんだぁ!」と傍から見たらホモ丸出しの勧誘
さすがの入江もしぶしぶ首を縦に振ってしまいます
そして入江と一緒の時間を少しでも増やしたいKOTOKOは、放課後テニス部の門を叩きに行きますが…

「入江くん!」

「なに」

(ま…松本裕子!?)

「どこに行ってたの?もう、探したわよ」

「なんで」

「一緒に入部しに行こうって約束したじゃない!」

「あんたが勝手に言ったんだろ」

「同じクラブに入るんだしいいでしょ?嬉しいわ、私たちって趣味が合うのね」

「(無視)」

テニス部の前には入江と一緒に熟女松本が!なんだか激しく入江にモーションをかけてるようですが、
KOTOKO以上に相手にされてません。やっぱり入江も熟女相手は嫌なのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あんなババァに遅れを取ってらんねえぜ!」と意を決してテニス部の部室に飛び込むKOTOKO。
ド素人のKOTOKOでも新入部員として暖かく迎え入れられますが、実際にコートでの練習風景を見学しに行くと
そこにはKOTOKOの想像を絶するような光景が…

「何をやっとるかァ!目を閉じたら拾えんだろうがァッ!!」

「せ、1012回…!1013…回…!」

「オイどこ行くんじゃコラァ!逃げたぞ追え!!」

脱走すら許されない地獄の超スパルタテニス!
な、なんなんだここは!女の人にまで1000回以上腕立てやらせるとか!こんな部活見たことねえ!
カレイドスターですらここまでやるか分かりませんよ、
やはり最近のテニスプレイヤーは人間を超越していなければつとまらないのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
楽しくテニスをやりに来たはずが、とんでもない地獄に迷い込んでしまったKOTOKO。果たしてあと何話生き残ることができるか(えー
次回に続く


■イタズラなKiss9話 「デートをねらえ!」
 

「それでねそれでね〜!健太郎君がもう私にべったりでさ〜!」

「スキーサークルってこんなに楽しいとは思わなかったね〜!いい男たくさんいるし〜!」

「………」

大学入学から少しの時が経ったある日、じん子と理美は明るく楽しくいい男に囲まれた毎日を過ごしていました
一方、KOTOKOはひたすら毎日地獄の特訓に耐えるだけの日々…
つい先日も、ラケットを持つと凶暴になる青学のお荷物先輩の波動球を食らって、顔面にガットの跡をくっきりと残されていました

「ちょっとあんた達!さっきから聞いてりゃ男狙いでサークルに入るなんて
 動機が不純なのよ!」

「あら〜?それを言うなら入江を追っかけてテニス部入った人はだ〜れ?」

「あんたが一番不純じゃ〜ん」

「う、そ、それは…」

「大学に入ってハードな部活に入るなんて、考えらんないわよ」

「私だってこんなにハードだなんて…もう身も心もガタガタよぉ…」

「そんなきついんだったら辞めればいいじゃん…」

「って言っても、入江がいるから辞められないか」

「入江くんのテニスウェア姿…かっこいいんだぁ…うう…うふふ…うぅふぅ…」

「泣くか笑うか、どっちかにして…」

なんというアホの子KOTOKO。死ぬほどきつい練習が入江のテニスウェア姿だけで帳消しとは…
ところが、その後KOTOKOがテニス部に行き続けてもさっぱり入江の姿を見かけません
それもそのはず、入江の入部は「関東大会で優勝した入江様」という客寄せ的なVIP待遇で、
試合の時以外は気が向いた時にしか来ないことになっていたのです。そして、あの気難しい入江に気が向いた時なんてあるわけが…

(来ないって言った方が正解じゃない…!は〜あ…入江くんが来ないなら、
 テニス部入った意味なんてないじゃん…私ばっかみたい…)

結局ひたすらしんどいだけの部活に、身も心も疲れ果ててしまうKOTOKO。
「こんな毎日たまんねー」と電車にゆらゆら揺られていると、ちょうど今話題の映画の広告がぶら下がっていました

なんじゃこの変な絵ヅラ!入江が鉄腕アトムやってるよ!
この顔で美女抱きながらジェット噴射でひとっ飛びとか、入江に似合わなすぎてマジ噴き出しました
主演が入江そっくりのその映画に興味が湧いたKOTOKOは、さっそく帰宅すると入江を誘うことにしますが…

「興味ない」

「で、でも凄い人気なんだよ!イケメンサイボーグと女子大生のラブストーリーなんだけど…
 役者がね、入江くんそっくりで性格の冷たいキャラってとこまで被りまくりなの!」

「皮肉言ってるつもりか?見に行きたきゃ一人で行けば」

「な、なによ、そんなにそっけなくしなくたって…」

「邪魔」

「ぐ…ほんと冷たいんだから!」

まるで取り付く島もなし。やっぱり入江が「いいよ、一緒に行こう」なんて言ってくれるわけありませんでした
結局また入江との接点が全然作れないまま、KOTOKOは代わりにじん子や理美を誘うことにしますが…






「え?日曜は大丈夫だって言ってたじゃん…そっか…うん…分かった…お大事にね」

(あーあ、じん子も理美も来ないんだったら家で寝てた方がマシじゃん…)

しかし約束の日、映画館にやってきたKOTOKOに2人からキャンセルの電話が。とことんついてないなぁKOTOKO
こう何もかも上手くいかないと、さすがのKOTOKOもどんよりと落ち込んでしまいます

(私だって入江くんとデートしたかったよ…入江くんのために前の晩ファッションショーをしてぇ、
 少しお化粧をしてぇ、入江くんの隣をウキウキしながら歩いてぇ)

一瞬にして立ち直りやがったー!こんな時でも妄想であっさり気分回復かよ!
どんだけ落ち込んでも入江と妄想さえあれば即座に復活できるなKOTOKO…恐ろしい奴…

(そうそうあんな風に…ってえええええええ!?な、なんで!?なんで!?
 なんで入江くんが松本裕子と!?)

しかしKOTOKOが妄想にひたっていると、2人並んで映画館に入っていく入江と熟女山本を発見!
そう、入江はつい先日熟女山本に本を借りたことがあり、山本は「恩返しにデートしろ」とムリヤリ誘ってきたのです

「うおおお相原!なぜだ!なぜ入江だけがモテる!?」

「す、須藤先輩!?先輩はなぜここに…」

「そりゃあ松本の後を!」

「せ、先輩ひょっとして、松本さんのストー…」

「ち、違うッ!!デートに誘おうと声をかけるタイミングをはかっている間に、
 ここまで来てしまっただけだ!相原、こんなことをしてる場合じゃない!
 俺達も行くぞ!!」

ぼーぜんとKOTOKOが入江たちを見送っていると、そこに青学のお荷物須藤先輩が出現!
どうやら須藤先輩は相当熟女山本に惚れ込んでいるようです、なにげに老け顔同士でお似合いのカップル:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
入江たちのデートを成功させたくない者同士、KOTOKOと須藤先輩は映画館やら喫茶店やらと2人の後をつけまわすことに…

「ねえねえ入江くん、好きな女性のタイプってどういう人?」

「そうだな…美人でグラマーで、頭がいい女がいいな。ああ、あとは料理が上手じゃないとな」

(う、うぐ…あぁ…)

「あぁ〜♪私は断然頭のいい人、オヤジくさい男はダメ。ヒゲはやしてるとか絶対NG」

(う…うごあああ…)

「ひょっとして私たちって、理想のカップル?」

「そうかもね」

(がが…がががあ…)

ど、どうしたんだ入江!そんな熟女に気があるようなセリフを吐くなんて!(えー
まさか本当にそんな趣味があったなんて…見損なったぞ…
そして2人の好みのタイプにひとつも当てはまるものがないKOTOKO達。
デートの邪魔をするどころか、自分たちが一方的にダメージを受けるばかりです

「これからどうする?」

「新しいラケット買いたいの、付き合ってくれない?」

「いいよ」

「うふふ、じゃあ行きましょ」

なぜそうもホイホイOKするんだよ!普段のKOTOKOが相手の入江ではまるで考えられない光景です
そのうえ、狭い道で車とすれ違う時には、熟女山本の肩を抱いてさりげなく守るようなことまで…
ありえないほど山本に優しくする入江を見て、とうとうKOTOKOは完全に敗北感にまみれてしまいます

(私…なにやってるんだろう…人のデート覗き見して、結局仲のいいとこ見せられて…)

「私…帰る…」

「え!?今さらなに言ってんだ!!」

「これ以上見るの耐えられない…お互い好き同士なら仕方ないですよ…
 私…これ以上みじめな気持ちになりたくないもん…!か、帰る!!」

どしーん
「はぐっ、ご、ごめんなさ…い!?」

シリアス漫画の雰囲気で走り去るヒロイン…と思いきや、急に駆け出したKOTOKOは通行人とぶつかってしまいます
やあこれはすいませんでした、と思ったら相手は短気そうなヤクザ!
しかもヤクザの持ってたビールを思いっきりぶっかけてしまい、ヤクザのシャツがびしょ濡れに!

「す、すみません!お、おシャツがお濡れにあ、あそばして…」

「どうしてくれんだ!?あァ!?このシャツ10万円もしたんだよ!」

「あ…あわわ…じゅ、10万円…」

「ま…クリーニング代5万円で勘弁しとくわ…!」

「うう、い、今持ち合わせなくて…5千円でどうでしょう…?」

「なめとんのかコラァ!!」

「ひいいーー!!」

「千円で十分だね。いや五百円かな?そんな安物のシャツのクリーニング代なんて」

「なんだとォ!?このシャツはラレルローラン…!ラン…なんとかっつうあの…!」

「ふふ。名前も覚えられないようなブランド品が、スーパーの特売で売ってた?」

「このガキャアアアアッ!!」

なんと意外にもKOTOKOを助けに入った入江!しかし必要以上にヤクザを挑発しまくり火に油を注ぐ一方!お前殺されるぞー!
メンツが全てのヤクザをこれほどコケにしてしまった以上、もはや血みどろの殴り合いは避けられないでしょう
いくら入江がスポーツ万能とはいえ、果たして腕っぷしの方はどうなのか…

「先輩、出番ですよ。あとお願いします」

須藤先輩に丸投げしやがったー!!そりゃねーよお前ー!!
さっきからKOTOKOと一緒になっておびえてる須藤先輩に全てを任せて我関せずとは、いくらなんでもムチャクチャすぎます入江

「お、おね、が、い…!?お、お前、それだけ焚き付けといてそりゃないんじゃ!?」

「松本にいいとこ見せてやってくださいよ、はい」

「そ、それ私の!?」

しかし入江には勝算がありました。そう、一流のテニスプレーヤーとはラケットを持てば地球を壊滅させるほどのパワーを発揮するもの…(えー
テニス部部長を務める須藤先輩にラケットを渡してしまえば…

「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐!!」(えー

狂戦士と化した須藤先輩のパワーであっさりとヤクザ粉砕!
買ったばかりのラケットを武器にされて涙目の熟女山本をよそに、入江はさっさとKOTOKOを連れ出してしまうのでした

「入江くん、気づいてたの…?」

「お前らのどんくさい尾行なんてすぐ分かったよ」

入江はずいぶん早い段階からKOTOKO達のことに気づいてたようで…
ということは、あの熟女山本に見せた優しい姿はKOTOKOをからかうためにわざとやってたんでしょうかね?なんという根っからのS…

「ご、ごめんなさい!2人が一緒にいるの見て、つい…
 で、でももし、入江くんが松本さんのこと好きなら…」

「どっか行く?」

「…!!い、行くゥゥッ!!」

「俺があんな熟女好きになるもんかね」とばかりにKOTOKOの言葉をさえぎる入江。
そして一体どんな気まぐれなのか、自分からKOTOKOをデートに誘うような真似を…
KOTOKOはそんな入江に激しく興奮しながら「いくぅぅっ!!」と絶叫を…ってこれだけ読むとすげーヤバイな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(う、嘘、嘘みたい…!私入江くんと、入江くんと…!
 もしかして今日一日で一生分の幸せを使っちゃったくらい、今幸せ…!)

そして公園にやってくると池のボートで2人きり…まさに恋人の定番デートな展開に、KOTOKOはもう天にも昇る気持ちです
というか入江とボートに乗った途端、今までの不幸な出来事全部頭から吹っ飛んで「人生最良の日」ですか!
入江に告白でもされたらKOTOKOはもう理性を完全に失って死ぬな(えー

「…?なんか家族連ればっかりだね、ボートに乗ってるカップルって私たちくらい…」

「そりゃあね、このボートってカップルで乗ると、必ず別れるってジンクスで有名なんだぜ

「…んぐ!?」

「知らなかったの?」

「う、う、うぞぉぉぉぉぉ!!」

「ば、馬鹿!!立つな!!」

結局これもまた入江トラップかよ!なんでまたデートに誘ってくれたのかと思いきや、
KOTOKOをぬか喜びさせておいて「残念俺たちの仲はもう終わりです」とからかうためだったのです。
そんな不吉なジンクスがあるとは知らず、焦って勢いよく立ち上がりボートをひっくり返してしまうKOTOKO。
びしょ濡れになってしまった2人は、服が乾くまで岸辺で大人しくしていることに…

「ほんとにゴメンね…私、いっつも迷惑かけてばっか…」

「…俺、物心ついてから困ったとかイライラするとか、思い出そうと思っても浮かんで来ないんだよな」

「…?」

「けど高3の時、お前にラブレターもらってからというもの、ほとんど毎日が大変やイライラの連続…」

「うぅ…」

「思うにお前は俺に与えられた試練なのかもしれないな」

「し、試練…?」

「俺は生まれて初めての試練に慌てちまって、逃げようとしてたんだよな。だけど最近、
 なんの苦労もない人生より、あえて試練に立ち向かった方が面白いなって思うようになってきた」

な、なんじゃそら…?「神様が俺に与えた試練」って、冷たい現実主義者かと思ったら意外と夢想家なところあるんですね(えー
そういえばさっきの映画を見た時も、塾女山本が「科学的根拠がなさすぎてつまらん」とか言ってたのに
入江は「俺は結構面白かった、あんなサイボーグ欲しい」って夢のあること言ってたしな…

「え、えーと…?」

「分からないなら別にいいよ」

「つ、つまり私から逃げたかったけど、今度は思い直して私を…そ!それってプロポーズ!?」

「な、なんでそこまで飛躍するんだ!!別に…同じ家にいてもいいんじゃないかって言ってんだ」

「わ、私のこと…嫌いじゃない?」

「…苦手だけど、嫌いじゃない」

「嫌いじゃない」=ツンデレで言うところの「大好き」キター!!(えー
さっきの試練がどうとかっていうのも、結局はKOTOKOがいないとつまらんっていうことですしね
ここに来て入江攻略フラグも加速してきた感じだなぁ
そして入江のツンデレ告白に感極まったKOTOKOは、思わず抱きついて好きな気持ちを思いっきりぶつけてしまいます

「わ、私!入江くんが好き!高校一年生の時から、入江くんだけが好きなの!
 大好き!私バカだけど、グラマーじゃないけど、お料理も下手だけど、
 努力するね…お料理も勉強も、えっとそれから、それから…」

「楽しみだなぁ〜、お前が俺のために才女になるなんて。
 さしあたって前期のテストの結果を見て、その点数に比例して
 愛の重みを感じることにしようか」

「…あ、あの…」


(C)和月伸宏/集英社

「これからも俺に尽くせよ」(えー
なんてやつだ!正攻法で好きな気持ちをぶつけてもほとんど効果ないみたいです
少なくとも前進はしているものの、難攻不落の入江要塞を攻略できるのはいつの日か…





それでも入江に「同じ家がいい」と言われてウキウキで帰宅するKOTOKO。
しかし、それを待っていたKOTOKO父から意外な話を切り出されてしまうのでした

「なあ琴子…入江家に世話になり始めてもう一年だ、色々考えたんだが…
 いつまでもこのまま、入ちゃんや奥さん達の好意に甘えっぱなしじゃいかんと思うんだ」

「お、お父さん…?」

「そろそろ、また父さんと二人暮らしに戻らねえか?」

な、なんという余計な申し出!「一緒の家で暮らしてる」という要素がなくなってしまえば、
KOTOKOの塾女山本たちに対するアドバンテージはもう皆無です。とはいえKOTOKO父の言ってることももっともな話。
むしろこれまで一緒に暮らしてたことが異常だったわけですが、どうなることやら…次回に続く!





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