■涼宮ハルヒの憂鬱 第22話「涼宮ハルヒの溜息V」
 

「ガン=カタは拳銃を総合的に使用する格闘技である!
 この格闘技を極めることにより…攻撃効果は120%上昇!!
 防御面では63%上昇!!ガン=カタを極めた者は無敵になる!!」

前回から続くSOS団の散々な映画撮影。ハルヒは今回もガン=カタを撮影に取り入れ出したりとムチャクチャな事をやらかし、
みくるへの負担はどんどん増していくばかり。昼食のためにそば屋に立ち寄っても、みくる一人だけ死んでる状態
せっかくのそばにも箸をつける気力すらないようです。しかも恐ろしいことに、これが昼飯ということは
前回の撮影から今までの事はすべて午前中の出来事…この後さらに午後の撮影があるだなんて、考えただけでも気が狂いそうです

「…それで、次はどこへ行くんだ?」

「もう一度公園の広場に戻りましょう!よく考えたらあれだけじゃ戦闘になってないわ!
 森の中を必死に逃げるみくるちゃんと、それを追う有希!
 そしてガケから落ちてしまったみくるちゃんを、たまたま通りかかった古泉君が
 助けるって展開はどうかしら!」

このうえガケからブチ落とす気かよ!!すでに色々な意味で死にそうなみくるに完全なるトドメを刺そうとは
鬼畜すぎますハルヒ。横でしくしく泣いているみくるがこの鬼にはどう見えてるんだろうか(えー

「登場人物は僕たち3人だけなのですか?」

(バカッ!余計なこと聞くな!!)

「そうね…3人だけじゃ少ないかしら…古泉君、いいこと気づかせてくれたわ!
 お礼に出番を増やしてあげる!」

「(ブルッ)……………それは、どうも…」

(ざまを見るがいい、俺なんかヤブをつつけばマムシが出てくると知ってるから、何も言わないのだ)

そしてハルヒに余計な質問をしたせいでむざむざ自分の出番を増やしてしまう古泉
普段はほとんど動揺なんてしない古泉が絶句するとは、内心相当「やめてよしてお願い勘弁して」と嫌がってるんだろうなあ(えー 
それに「出番を増やしてあげるわ!」と言われた瞬間、ビクッと肩を震わせてるのも珍しく動揺してる証拠でしょうね

「とにかくみくるちゃんには酷い目に遭ってもらうとするわ!
 可哀想な少女がとことん酷い事されて、最後にハッピーエンドになるっていうのが
 この映画のテーマだから!みくるちゃんが不幸になればなるほど、
 ラストのカタルシスもバーンと弾けるってもんよ!」

一応は酷い事してるって自覚はあったのか…(えー
これからもみくるを酷い目に遭わす宣言をするハルヒ。そのへん無意識でやりたい放題やってるのかと思ってました:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それにしても最後にハッピーエンドが待ってるとなれば、これでみくるも少しは気が晴れるかもしれませんね
ただ逆に言うとラスト以外はずっと不幸なシーンだけが続くということも意味していますが…(えー

しかし前回から思ってましたが、溜息に入ってからのみくるの可愛さは半端ないな…
今までは長門>みくる>>>ハルヒの順に好きだった私も、今や完全にみくるが好感度トップを独走中ですよ

「みくるちゃんはこっち!有希はここ!この位置を動かないでね、
 向かい合って睨み合ってるシーンを撮りたいから!」

「は、はい…」

「アクション!!」

「な、なに!?」

(アクションって…ハルヒ、お前は立ってろとしか言ってないだろうが!)

そして公園に舞い戻り、再び戦闘シーンの撮影を開始した一同でしたが
「カメラ回っても絶対動くなよ!」とみくると長門を10メートルくらい離して立たせたかと思ったら
「カメラ回ったから動きなさい!」
意味不明な指示を飛ばすハルヒ。一体みくる達にどうせよと!?
結局どうしたらいいのか全く分からないみくるは、その場に立ったまま「はぁ〜!」パンチの素振りを始めました
ま、まあそこから動かずに戦えと言われたら、こうするくらいしかないような…

「もう!!そんなんじゃバトルにならないでしょ!!」

と思ったらいきなり物凄い勢いでブチ切れ出したハルヒ!うわーんどうしろってんだー!
完全に怒り心頭という感じでみくるに詰め寄ったハルヒは、「てめー撮影なめんな」と凄い勢いでまくしたてます



「いい!?みくるちゃん、いくら可愛いからってそんだけで安心してちゃダメよ!
 可愛いだけの女の子なんて他にも腐るほどいるのよ!?
 安穏としてたらすぐに下から若いのがどんどん出て来て追い越されちゃうの!!
 だからねみくるちゃん…目からビームくらい出しなさい!!」

え…ええええええ!?(゜д゜;)ハルヒがさっき言ってた「アクション!」の意味は「目からビーム出せ」の意味だったのか!?
そ、そんな…分かるわけがねー!仮に分かったとしても、出せと言われてビームが出せたら
そいつは人間じゃありません、X-MENです。オプティックブラスト!

「む、無理ですぅ!」

「その色違いの左目はこのためのものなのよ!無意味に青くしてるんじゃないのよ!?
 凄い力を秘めてるって設定なの!つまりそれがビームなの、みくるビームよ!!」

「で、出ませぇん!」

「気合で出せ!!」

気合で全てを
乗り切るんですわああああああ!!
(えー
(C)にしむらともこ/小学館・MMプロジェクト・テレビ東京

ビームが出せないと嘆くみくるに対して、ついにめちゃモテ理論まで持ち出してわめき散らすハルヒ!
はっ(゜д゜)そ、そうか、ハルヒが出せ出せと言っているビームの正体はうるるんビームのことだったのか!!(えー
しかしみくるビームだろうがうるるんビームだろうが、結局出せないことに変わりはありません、
ついにじれったくなったハルヒは、みくるの首をうりゃうりゃと締め上げながらメガホンでバカスカ殴り始める!ぼ、暴力反対!

「この…バカ!!やめろォッ!!」

「は、放しなさいよ、何すんのよ!」

「まともな人間が目からビームなんか出すかよ!!アホか!?」

「ふん…!分かってるわよそのくらい!ビーム出すくらいの気合を見せろって
 言いたかっただけよ、主演とは思えない覇気のなさだったから…!」

ところがその時、ついにハルヒの横暴にキョンが大激怒!ハルヒをみくるから引き剥がすと、本気でハルヒを怒鳴りつけてしまいます。
うわああ、エンドレスエイトのラストも言い合いはありましたが、あれは良い喧嘩だったのに対してこっちはマジで険悪な感じですな…

「まあまあ、その辺は撮った後でCG処理をするなりして、なんとか出来るでしょう」

「もちろんそのつもりだったわよ!今のはNG、もっぺん撮り直し!
 いい、みくるビームって叫びながらこうするの!」

その場は古泉が収めてくれたおかげで、なんとか事なきを得た一同。
とりあえずみくるビームは撮った映像を加工することにして、この場はビームを撃つ格好だけを撮ることにしますが…

「はい、じゃあ本番いってみよう!」

「み、み…みくるビーム!」

バシュウッ!!

「な!?あ…え!?」

ところが撮影を開始した途端、確かにみくるの左目が激しく発光したのを目にしたキョン!まさか本当にビームが!?そんなバカな…
思わず目を見開いてカメラをどけると、そこにはキョンをかばうように手を差し出している長門の姿がありました

「あ…?え…?」

バシュウッ!!

そして再び、やはりみくるの目から発射される光線!そしてそれを素手で受け止める長門!
何が何だか分かりませんが、とにかく本当にビーム体質になってしまったみくる。長門はその凶悪な威力からキョンを守っていたのです
その殺傷力のほどは、受け止めた長門の手が「ジュウウウ!」と激しく焼ける音を立てていることから想像がつくかと…いってえええー!!

「な…?」

「えっ…え?」

バシュウッ!!

「…ッ!!」



さらに古泉の方を振り向いた途端、古泉のレフ板をいとも簡単に両断してしまうみくるビーム!なんつー破壊力だ!
これはもはや人を殺すくらいワケないようなレベル…あの冷静な古泉ですら、これほどに表情を歪ませてしまうくらいです

ズダダダダダッ!!

「な、長門!?」

とその時、目にも止まらぬような速さでみくるに向かって駆け出した長門!このビームをこれ以上撃たせるわけにはいかないと、
今すぐに発射をやめさせようという事か!


(C)荒木飛呂彦/集英社

親指を!!
こいつの!目の中に…!
突っ込んで!!
殴りぬけるッ!!(えー
   

「カットカット!ちょっと有希、何してんの!?」

「わっわっ、わぁぁぁぁぁ!」

「何をやってるんだおい、長門!朝比奈さん大丈夫ですか!?」

「もう何やってんのよ2人とも、台本にないことしないでちょうだい…
 あれ?みくるちゃん、コンタクトどうしたの?」

みくるに飛びかかっていきなり襲い始めた長門!その目的はみくるの目からコンタクトを抜き取ることでした
やはりというかなんというか、このみくるビームが発射されたのはハルヒの願望が形になったから…
さっきあれだけ強く「みくるビームを出せ」と念じたせいで、本当にみくるのコンタクトからビームが発射されてしまったのです

「長門、朝比奈さんのカラーコンタクト知らないか」

「知らない」

(絶対ウソだ!)

「カラーコンタクトがないと映像が繋がんないなぁ、どうしようかな…
 あ、そうだ!目の色が変わるのは変身後にしましょう!」

「へ、変身…?」

「そうよ!普段からこんなコスチューム着てるのはどうやってもリアリティがないもんねぇ!
 というわけでみくるちゃんの普段着はバニーガールよ!!」

「リアリティを出すために普段着はバニーガールにするぜ!」またしても意味不明な要素を追加するハルヒ
もはやハルヒの思考を理解しようとすること自体が間違いなのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「つまりね、みくるちゃんの通常形態は商店街の客引きバニーガールなのよ!
 危機を察知するとすかさず変身!戦うウエイトレスになるってわけ!どう、完璧でしょ!?」

「え、ええええ!?」

「じゃあ早速!」

「え、あ、あああああ〜!」

ともかくみくるをバニーガールに着替えさせると決めたハルヒは、みくるを引きずって茂みの中へ姿を消してしまいます
しかしこれはキョン達にとっては好都合、ハルヒがいなくなった今、さっきのみくるビームについて相談するには絶好の機会に…

「それで…さっきのは何のアドリブだったんだ?」

「これ。レーザー」

「…レーザー?」

「レーザー光線が、朝比奈さんの左目から放出されたんですね?」

「そう」

「普通のコンタクトにしか見えませんが…長門さん、右の手の平を見せてもらえませんか?」

「…」

「こっからレーザーが出てきた」とみくるから抜き取ったコンタクトをキョン達に見せる長門。
さっきまでは恐怖のビーム兵器だったコンタクトも、今となっては普通のコンタクトに戻ったようですが…

「うっ…!?」

「…!」

「シールドし損ねた。とても強力」

ゲェー!?い、痛い!見るだけで痛い!さっきのビームを受け止めたせいで、長門の手は見るも無残な有り様に!
この焼け焦げ方じゃあ完治するかも分からないんじゃあ…と思いきや、「さて修復するか」と一瞬にして傷を治してしまう長門。マジっすか
宇宙人驚異のメカニズム。そういえばこの人イデオンソードで両胸ブチ抜かれても死なないくらいタフなんでしたっけ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(もし長門が防いでくれなかったら、朝比奈さんの目から出たレーザー光線は
 ビデオカメラのレンズを通過して俺の目玉も貫通し、その他色んなものを焼いたあげく
 後頭部から出て行ったことだろう…)

「これは涼宮さんの仕業でしょうね、今回も何か得意な現象が働いているのでしょう。
 おっと…戻って来られましたよ。この話はまた後ほどに」

「もう、いつまでゴネてるのよ!女優らしくしなさい!
 潔い脱ぎっぷりはブルーリボン賞への早道なのよ!」

「ふぇぇぇぇ…」

みくるビームの被害は長門だから手の平だけで抑えられたようで、もしキョンが食らっていたら軽く脳天に風穴を空けられて
とっくにこの世からおさらばしていた
ようです。おっかない話だ
そしてみくるをバニーガールに着替えさせたハルヒはさっそく撮影を再開。
しかし幸か不幸か、さっきバニーのみくるに「戦いとは関係ない日常の姿」という設定を加えたおかげで、
バニーになってからは妙ちくりんなアクションをやらされる事もなく、何の変哲もない日常シーンだけ撮影して今日の撮影は終わるのでした
よかったなみくる…しかし今さらながらどう考えてもバニーガールは日常の姿に見えないと思う:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「キョンくーん!今日は何やんの?暇なら来てって言われたから来たけどさ!
 涼宮さんの腕についてる腕章、なんて読むのあれ!ハンディカメラどうするの?
 有希ちゃんのあの格好なに?うわぁ一樹君今日もいい男だね!」

(せわしない人だ…)

しかしようやく土曜の撮影が終わったかと思えば、また次の日曜も当然のごとく朝っぱらから撮影!キョン達には同情するぜ…
そして今日からは登場人物を増やそうということで、谷口・国木田・鶴屋さんまでも撮影に参加することになってしまいました
それにしても古泉が「一樹君」なんて名前で呼ばれてるの初めて見たなぁ、鶴屋さんと古泉はそんなに仲いいんでしょうか
でも長門のことも「有希ちゃん」って呼んでるんですね。唯一苗字で呼ばれてるのはハルヒだけか…
ハルヒ…あんまり鶴屋さんに好かれてないんだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「お、遅れてごめんなさい」

「やっほーみくる!おお、すっげーエローい!」

「さあ、じゃんじゃん撮影するわよー!」

そして少し遅刻してきたものの、主役のみくるも集合場所に現れて…って、なにぃ!?
今日のコスチュームはウエイトレスの格好!?と、ということは、昨日のバニーの時のようなぬるい撮影は終わりにして
今日はまたみくるが泣き叫ぶような鬼畜の撮影をしまくるということですか!?ああ…嫌な予感しかしない…次回に続く!


■涼宮ハルヒの憂鬱 第23話「涼宮ハルヒの溜息W」
 

「おっ待たせぇー!本格的なのはこれからよ、ほら見なさい!」

さて前回谷口達を加えたSOS団は近所の溜め池へ…ってゲェー!?今日もまたみくるビーム発射準備完了!
なんと前回とは別のカラコンをまたみくるに装着させてしまったハルヒ!
それを見た古泉の笑みにもいつもの余裕が感じられません、またあの恐怖の破壊光線を発射してしまうんでしょうか

(おいおい…これはなんて悪夢だ!?また昨日のアレを繰り返そうってのか!)

「さあみくるちゃん!そのミラクルミクルアイRから…何でもいいわ!
 不思議な物を出して攻撃しなさい!」

ある意味ビームよりもタチ悪い指令をみくるに送るハルヒ。「何でもいいから不思議なもの」って言われると
這い寄る混沌でも出てきそうで恐ろしすぎます(えー いあ、いあ、はすたあ、はすたあ

ズダダダダダダッ!!

「ひゃあああああ!?な、な、長門さああああん!?」

「ちょっと有希!?あなた魔法使いなのよ、こんなとこでプロレスしても!」

しかし、みくるの目から世にも恐ろしいものが出てくる前に、今日もまた超高速の踏み込みでみくるに突撃した長門!
そのままみくるに覆いかぶさってコンタクトを抜き取りますが…
どう見てもレイプです、本当にありがとうございました

「ううっ…!?」

「迂闊…今度は超振動性分子カッター」

うわあああ痛い痛い見るだけで痛い!コンタクトを抜き取った手をキョン達にこっそり見せる長門でしたが、
まるで無数の刃物でズタズタにされたかのような無惨な姿に!どうやら今度はビームではなく、殺人カッターがみくるの目から出ていたようで…
あんな
うふんあはんな光景に私達がエロい目を向けている中で、こんな凄まじい傷を負っていたなんて…
長門さんマジですいませんでした:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それと長門がみくるの腕を噛み噛みしているのは、もう目から変なものを出さないようにナノマシンを注入しているそうです。へー

「まあこれでもいっか…ウリになりそうね!(レイプ映像が)
 それとあなた達の役割はこれよ!」

結局みくると長門の戦闘シーンは
今のくんずほぐれつ映像だけで終わりにして、
いよいよ谷口達も撮影に参加させるハルヒ。その役どころは「長門(悪い宇宙人)に操られた一般人」だそうです

「つまりね!ミクルは正義の味方だから一般人には手を出せないわけ!
 ユキはそこを突いて、一般人を魔法で操作して襲わせるの!
 んで、ミクルは抵抗できずにボロボロになっちゃうのよぉ!」

な、なにィ!?
理性をなくした男2人に無抵抗のまま襲われる美少女ですってえええ!?
一体どんな性的な映像を撮るつもりだよハルヒ…(えー
というか昨日のしゅごキャラ感想からすごい下品な感想書いててすいません:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あっははは!みくるはボロボロかあ〜!」

「手始めに!みくるちゃんを池に叩き落としなさい!」

こうですか?わかりません!(えー
(C)神楽坂淳/徳間書店・東邦星華桜花会

いよっ十番小町ー!!まずは谷口達がみくるを池へ落とすシーンの撮影だと言い出すハルヒ。まあそれくらいなら…と思いきや、
キョンとみくるは背筋が凍ったように顔を引きつらせております。それもそのはず、なんとこの池は
辺り一面ゴミだらけで
とても飛び込みなど出来るはずもない状況…これはさすがにひどいですな…
というかこんな池の水を飲んだりしたら本気でヤバイんじゃないでしょうか、公害病とかにでもなってしまいそうだ

「おいおいこの池にかよ〜」

「す、す、涼宮さん、せめて温水プールとかは…」

「確かに過酷な撮影よね。でもねみくるちゃん!目指すリアリズムのためには、
 どうしても今この犠牲を払わなければいけないのよ!
 それにこれは、みくるちゃんが乗り越えないといけない壁でもあるのよ!
 女優として大きくステップアップするチャンスなのよ!さあ準備して!」

この池だけは勘弁してくれと懇願するみくるでしたが、それでも有無を言わさず撮影を強行するハルヒ!
あまりに一方的なハルヒの言い分に、キョンの表情もどんどん険しくなっていきます
そういえば前日でもハルヒの横暴さに本気で怒ってましたからな…この光景が許せないのもうなずける話です

「おい…!!」

ガシッ!

「…」

「…くっ…」

すぐに撮影をやめさせようとするキョンでしたが、
「歯向かってはダメです」と無言でそれを制する古泉!
ここで撮影をブチ壊しにするということは、ハルヒの不満が爆発して世界に大規模な異変が起きるかもしれないということ…
世界崩壊とみくるズブ濡れのどちらを取るか、比べるまでもないと言ってしまえばそうなのですが…

「う…あ…あ…あ、あの…わ、私…やります…!」

これが世界のかかった撮影ということはみくるも重々承知、ついに自分から池落ちをやると言い出しますが
このガタガタ震えて怯え切った姿がなんとも可哀想ですな…キョンもこれにはひたすら不憫そうに見守ることしかできません

「(ザバザバ…)うう…けほけほっ、けほっ…」

(まったく…無駄なものは露天商を開けるくらいあるくせに、タオル一枚の用意もないとはどういうこった…!)

「次はミクルを救い出したイツキが、彼女を自宅にかくまうシーンを撮るわよ!」

「な…お前、それじゃ全然繋がらないぞ!長門や谷口達はどうなったんだ!?
 いくらなんでも描写なしじゃ、観客は納得しないぜ!」

「うるさいわね、そんなの撮らなくてもちゃんと見てる人には伝わるの!」

(この野郎…!単に朝比奈さんを池に突き落としたかっただけか!)

どうにかこうにか池落ちシーンを撮り終えたみくるでしたが、体を拭くものは鶴屋さんのハンカチ一枚しかなく、
とても全身を拭くのには足りずにズブ濡れのままになってしまいます。
さらに悪いことに、
谷口達がみくるを突き落とす→古泉が引き上げる→古泉の家に場面転換というシーンの流れで、
谷口達は
いきなり出てきてみくるを突き落とす→次の瞬間ストーリーから消滅という
なんともワケの分からん事になってしまいます。キョンの怒りも猛烈な勢いで高まるばかり、いつ大噴火を起こしてしまうか分かりません

「あのさ、私の家ならすぐ近くなんだけどさ、みくるが風邪ひきそうだから着替えさせてあげてもいいかな?」

「ちょうどいいわ!鶴ちゃんの部屋を貸してくれない?
 そこでイツキとミクルが仲良くしてる所を撮るの!」

「うん、いいよ!使って使って」

「えっと、僕達は…」

「あんた達はもう帰っていいわ」

「ハァ!?」

そして哀れにも今のシーンだけで帰らされる谷口達。
こいつらせっかくの休日に付き合ってくれたのに、とんだ事になってしまいましたな…(ノ∀`)生きろ谷口

「はーいここが私の部屋!みくるがお風呂上がるまでここで待っててね」

「いい部屋ねぇ、ロケーションにはちょうどいいわ!
 あ、そうだ!鶴ちゃん、ちょっと思いついたんだけど…(ごにょごにょ)」

「…くふっ!くふははは、うはははは!」

「…?」

そして鶴屋さんの家へとやってきた一同でしたが、意外なことに鶴屋家はいかにも高貴な家柄という感じの和風な屋敷。
「私の部屋」と言っても無駄なものが一切なく、掛け軸にちゃぶ台、畳にふすまくらいしか目に入るものがありません
仙人みたいな暮らししてんだな鶴屋さん…布団敷いて寝るくらいしか部屋の使い道ないんじゃないか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それとも「私の部屋」と言っても、だだっ広い屋敷の中に
鶴屋さん用の部屋がいっぱいあって
ここはその中のひとつということなんだろうか。謎すぎるぜ鶴屋さん

「ごめんなさい、遅くなりました…」

(はっ…!?お、俺は今猛烈に理性を試されている!朝比奈さんその姿は犯罪ですッ!!)

そんな中お風呂から上がってきたみくるでしたが、その姿はハダカにTシャツ一枚という激しくエロスな格好!
な、なぜに!?この家には鶴屋さんの服なんて腐るほどあるだろうに!
はっ(゜д゜)ま、まさか、さっき
「いいこと思いついた」とハルヒが内緒話をしていたのは、
みくるには着替えを用意せずに、このエロイ格好をさせろということだったのか…

そして「風呂上がりのカルピスうめー」とジュースで一服したところで、さっそく撮影再開。
場面としては、池に落とされて気絶したみくるが、古泉の部屋で目覚めるというところからですが…

「う、ううん…」

「気がつきましたか?」

「ここは…?」

「僕の部屋です」

「ありがとうございます…」

「2人、もっと近づいて!古泉君は肩に手を回して!
 もういいから押し倒してキスしちゃってー!!」

「…ぐぐ…」

ところがいきなり古泉たちにラブシーンを強要するハルヒ!キスをしろと言われても黙ってそれを実行しようとする古泉でしたが、
とうとうキョンはその光景に耐えられずに声を張り上げてしまう!

「…待てコラ…!!色々はしょり過ぎだぞ、ていうかなんでこんなシーンがある!
 なんだこれは!!」

「塗れ場よ濡れ場、時間またぎにはこういうのを入れておくもんよ」

「アホか…!夜9時から始まる2時間ドラマか!古泉もなに乗り気な顔してやがんだ!
 こんなものが上映されたら、次の日からお前の下駄箱には
 百単位で呪詛の手紙が舞い込むぞ!俺だって送る!!」

ところどころにキョン独特の突っ込みが混じってますが、おふざけのつもりは皆無でその怒りは真剣そのもの!
思わず見てるこっちも表情がこわばるような、ピーンと張り詰めた空気が漂いますが…

「くっふあははは!みくるおっかしい!あっははははは!」

そんな中
まったく空気読めずに大爆笑を始めた鶴屋さん。そんな場合かこらー!
「人が怒ってる時に何がおかしいんだテメエ!!」とキョンがブチ切れてもまったくおかしくありません、
なんでこんな時に笑い出すんだよこの人は…

(おかしくない…!と、言いたいところだが…確かにおかしい…目が潤みっぱなしで
 頬も染まりっぱなしだし、おまけに古泉にされるがままになってる…)

「うう〜ん…古泉くん、わらしなんだか頭重いのれす…」

しかしイライラはしていてもまだ冷静さは失っていないキョン、確かに鶴屋さんの言う通りみくるの様子が妙な事に気づきます
顔は真っ赤っ赤でろれつも回っておらず、なんだかまるで酒にでも酔ってるかのような…

(どっかでクスリでも盛られたんじゃ…)

「あ…!!」

「あ…ごっめーん、みくるのジュースに甘酒混ぜといたの。そしたら演技に幅が出るかもって言われてさ〜」

そして
「変なものを飲んだのかも」と考えを巡らせた結果、すぐにさっきのカルピス的ジュースに思い当たったキョン!
そう、あれにはハルヒの命令で鶴屋さんがこっそりと甘酒を混ぜていたのです
最初にハルヒと鶴屋さんがこそこそ話していたのはこれのことだったのか…

「…そんなもん黙って混入するな!!」

「いいじゃん、今のみくるちゃん凄く色っぽいわよ。いいからキスしなさい!
 もちろんマウストゥマウスで!」

「(ギリ…ッ!)やめろ古泉!!」

「…」

みくるを嵌めたことを悪びれもせず「いいからキスしろ」と命令するハルヒ、その姿にキョンの怒りはもはや限界に!
しかし、何度もキョンに文句を言われ続けたハルヒも
「なんなんだお前さっきから」と不快感をあらわにした表情!
こ、これはやばい…まさに一触即発、今までの中でも最悪に険悪な雰囲気です

「監督、僕には荷が重過ぎますよ…それに朝比奈さんはもう限界のようです」

「…はぁ、しょうがないわねえ」

と、そこで古泉が
「キスだけは勘弁して下さい」となんとかハルヒを説得して事なきを得た一同。た、助かった…
それにしても、これだけやんわりした言い方とはいえ、古泉が
ハルヒの決めたことに従わなかったのはこれが初めてじゃないでしょうか
つまりはそれだけキョンの怒りが本物だということなのか…

「もう、甘酒くらいでそんなに酔っ払ってどうするの」

「ふぇ…」

(飲ませたのはお前だろうが…!)

「ほら、シャキッとしなさい」

ぼかっ

「…!」

「う、うぅ…」

「そんなリアクションじゃダメよ、こうして頭を叩かれたら背筋をピーンと伸ばすくらいの事はしないと。
 じゃあもう一度練習」

ぼかっ

「…く…!」

しかしその時、へにゃへにゃしているみくるに気合を入れようとメガホンで頭を小突きだしたハルヒ!
普段ならこのくらい何でもない光景なのかもしれません、しかし今のキョンはハルヒへの怒りを限界以上に抱えた状態…
例えるならば
決壊寸前のダムのようなものです、そんな状態のキョンに、例えこんな小突く程度でも刺激を与えてしまったら…

ばこっ

「ひんっ…」

「ぐ…く…!」

「む〜(もう一度殴ろうとする)」

「やめろ…!何が練習だ!それを映画のどこに使おうってんだッ!!」

「何よ、止めないでよ。どこに使うかなんていちいちあんたに言う必要なんてないわ」

「どうせ何も考えてないんだろうが!!適当なこと言ってんじゃねえよッ!!」

うわあああああ
とうとうキョンの怒りのダム決壊!仏の顔も3度まで、ハルヒがみくるを4回殴ろうとした瞬間に
堪忍袋の緒が切れたキョン!しかし
「何も考えてないくせに適当ぬかすな」というキョンの言葉で、
ハルヒの方もついに怒鳴り声を上げ始めてしまい…

「何決め付けてんのよ…!映画の中身も知らないくせに、
 勝手なこと言うんじゃないわよ!!」

「お前こそ勝手なこと言って朝比奈さんを叩いてるだけだろうが!
 そんな権利お前にはねえ!!」

「うるさいわねぇ!!あんたに何が分かるっていうのよ!?
 これも私の映画にとっては大事な約束事の一つなの!!」

「誰との約束だそれは!朝比奈さんはお前のオモチャじゃねえぞッ!!」

「私が決めたの!みくるちゃんは私のオモチャなの!!」

「…ッ…!!」

ブッチイイイイイッ!!

とうとう完全にキョンの理性を吹き飛ばす一言を口にしてしまったハルヒ!
「みくるちゃんは私のオモチャ」
許しがたいその言葉を耳にした途端、キョンは我を忘れるほどの凄まじい怒りに襲われてしまう!
そして次の瞬間、ぶるぶると震える拳を思い切り振りかぶり…!

「あ…っ!?」

ガッシイイッ!!

「…」

「…あ…」

ところがその時、すんでのところでキョンの腕をがっしと掴んで止めた古泉!あ、危なかった…
古泉が止めに入らなければ、あらん限りの力を込めたキョンの拳は確実にハルヒを捉えていたことでしょう
そんな状況から
「自分はハルヒを殴ろうとした」という事実を改めて実感し、怒りの波が引くように我に返るキョン。
しかし
「キョンが私を殴ろうとした」という事実を実感したハルヒは、逆に顔をくしゃくしゃにしてますます情緒不安定になってしまい…

「…な…何よ…何が気に入らないっていうのよ…!!
 あんたは言われたことしてればいいの!!
 私は団長で…っ!監督で…っ!…っ…!…んん…!
 とにかく…!反抗は許さないからッ!!」

頭に来たというよりも、
悔しくて歯がゆくてしょうがないという風に息を詰まらせながら声を張り上げるハルヒ。
心の底ではキョンのことが好きなハルヒにとって、そんなキョンが自分をことごとく否定したあげく、最後には殴り倒そうとしたことが
相当ショックだったのでしょう。しかし、そんなハルヒのわめく姿を見ているうちに、冷めかけていたキョンの怒りが
再びふつふつと湧き上がってきてしまい…

「放せ…!放せ古泉…!!動物でも人間でも、言って聞かない奴は
 殴ってでも躾けてやるべきなんだ!でないとこいつは…
 一生誰からも避けられるような、アホになっちまうんだッ!!」

殴ってなぜ悪いか!
殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!
(えー
私は以前、ハルヒを「裸の王様みたいな奴」と言ったことがあります。おそらくキョンがここまでハルヒを殴ろうとしているのは、
このままではハルヒが
本当の意味で裸の王様となってしまい、そのうち誰からもそっぽを向かれてしまうことになるからでしょう。
団長だろうがなんだろうが、人としてやっていい事と悪い事がある。そして口で言っても悪い事が分からないなら、
もう殴ってでもそれを分からせるしかないと…

「や、やめてくらさぁぁぁい!ケンカはぁ…だめなのれす…!でないと…ふぁ…こ、これ…禁則れしたぁ…」

「…」

しかし、古泉を振りほどこうとするキョンを止めようと、ふらふらの体でしがみついてきたみくる!
古泉だけならともかく、まさかこんな状態のみくるをはねのけるわけにも行かず、さすがにキョンも手が出せなくなってしまいます
結局この日はこのモヤモヤした気持ちを引きずったまま、撮影を切り上げてキョン達は解散となってしまうのでした

「どうも今の涼宮さんは、イライラする事よりしょんぼりする事に忙しいようですね」

「ほー、なんでかな」

「分かっておられるはずですが…涼宮さんは、あなただけは何があろうと
 自分の味方をすると思っていたのです。色々文句をつけつつも、あなただけは許してくれるだろうとね」

「あいつを許せるのは、とうに殉教した聖人くらいだ」

「涼宮さんに、元気を出すように言ってもらえませんかね?
 このまま気持ちが沈み続けると、閉鎖空間とは別のもっと酷い事態が起こりそうなので…」

そして次の日、いつものように登校してきたキョンの目に映ったのは、机に突っ伏したままで顔を合わせようとしないハルヒの姿でした。
全身が鉛のようになった感じですわぁ…とランニング地獄がきつかったわけではありません:;y=_ト ̄|○・∵. ター
そんな落ち込みモードのハルヒを励ますように言われるキョンでしたが、モヤモヤした気分を抱えているのはキョンとて同じ。
はいそうですかと気の利いたセリフなど言えず、谷口や国木田と一緒に不機嫌そうに弁当を食っていました

「なにが映画だ!行って損した!」

「まぁまぁ。コレ、本当はもっと涼宮さん達と遊びたかったんだよ。他の予定をキャンセルまでしてね」

「言うなバカ!とにかくだ、俺はもうあんなくだらない事には一切関わらんからな!
 映画だと?ふん!どうせゴミみたいなモンになるに決まってるぜ!!」

「…!お前だけには言われたくないぜ!」

しかし、ハルヒの映画をメッタクソにこき下ろす谷口の姿に、言いようのない不快感を感じてしまうキョン!
こ、これは一体?ハルヒの映画のことなら、キョンが一番その酷さを知っているはずですが…

(少なくともハルヒは、文化祭に向けて行動を起こしてる!関わろうとしてる!
 対してお前はどうだ?どんなにくだらん物でも、ここで文句言ってるお前より、
 作ってるハルヒの方が遥かにマシだ!まったく…ムシャクシャするぜ!!)

お、おま…これって3話前に
俺がキョンに言った文句と同じですよ!
あの時、一生懸命文化祭で頑張ろうとしてる実行委員や古泉のクラスメイトに向かって、「バカだね無駄な面倒に首突っ込んで」
明らかにコケにしていたキョン…そんなキョンを私は
「コノヤロー無気力で無関心で怠惰なスカタンの分際で」と散々ののしりましたが、
それと同じものをキョンも谷口から感じているということか…

(はて…ムシャクシャするのはなんでかな…ああ…そうか、俺もハルヒの言うがままにヘーコラしては、
 ブツブツ言ってるだけだ…俺がムシャクシャするのは、つまり谷口の言った事に腹を立ててる俺自身も、
 谷口と何も変わらんこと…クソッ…!)

な、なんと!私が散々キョンに向かって文句言った部分を
自らの意志で気づいたキョン!
このままでは自分も谷口と同様に、
何もしてないのに他人に向かって文句を垂れてるだけの人間だと…
こ、これはすごい、まさかキョンが自らこの事に気づいてくれるとは思わなかったな…
まさしく私が3話前に感じたことをそのまま言ってくれたので、
物凄いシンパシーをキョンに感じております

(クソッ…!クソッ…!谷口のゲロハゲ野郎!
 お前のせいで変な事に気づいちまったじゃねーか!
 後で後悔するような事をしたくなってきたじゃねーか!!)

バタアアアン!!

「わっ…!?」

「おい、ハルヒ」

「…………何よ」

「この映画は、絶対成功させよう」

「…!?」

う、うおおおおおお!?な、なんと!今までの無気力な自分から一歩踏み出すために、
この文化祭と映画に全力を尽くすことを誓うキョン!こ、この野郎…俺は前からずっとずっとずっと
そういう姿が見たかったんだよ!「なんでもっとスカッと生きねえのかなあ」とかキョンに言っていたのは
まさにこうやって何かに一生懸命取り組む姿を見たかったからです。ハルヒの裸の王様を直そうとしたことといい、
なんかもう今回の脚本は
まるで俺の願望を全て叶えてくれたかのような内容だな…(えー
ハルヒとは思えないほど気分いい引きで次回に続く


■涼宮ハルヒの憂鬱 第24話「涼宮ハルヒの溜息X」
 

「さあ有希!これがあなたの相棒よ!仲良くしなさいね!」

「…」

いよいよ文化祭も間近に迫り、SOS団の映画撮影も最終段階。
しかしこの土壇場で
「魔女の相棒には黒猫が欲しい」とまた急な設定変更を言い出したハルヒは、
ノラ猫の溜まり場から猫を一匹連れてきてしまいます

「黒じゃないけどこの際仕方ないわ!」

(また設定捻じ曲げやがった)

「それとその猫、喋ることにするわ!魔法使いの飼い猫だもの、
 皮肉のひとつくらいは言うわよね!」

(とんでもないな…)

「あなたの名前はシャミセンよ!ほらシャミセン、何か話しなさい!」

(話すわけない…って、シャ、シャミセン!?)

今日もまたハルヒの言動ひとつひとつに突っ込みを入れるキョンですが、なんとなく溜息Tのような
「うざすぎてやってらんねー」という
感じと違って
「最後まで付き合ってやるか」という感じがにじみ出ていますね。やはり前回の言葉に嘘はなかったのか
それにしても猫相手にシャミセンか…ハルヒは多分マグロ相手に
シーチキンとか、ニワトリ相手にケンタッキーとか
名前をつけたがるタイプだと思う:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「はい、それじゃ今日はここまで!撮影快調・快調・万全!みんなゆっくり休んで
 明日に備えなさい!ふんふふ〜ふ〜ん♪ふんふふ〜ふ〜ん♪」

「はは…ご苦労だったな、後でネコ缶をおごってやるよ。それともにぼしの方がいいか?」

「どちらでも構わない」

ゲェー!?キョンが爽やかな笑みを浮かべて「ご褒美をあげような」とシャミセンをなでなでしていると、
いきなり
キタキタ親父の声で喋り出したシャミセン!よりによってキタキタ親父かよ!

「…………………お、おいおい、はは、今のは長門かぁ?俺は猫に聞いたんだ…」

「私もそのつもりだった、故に返事をした。私は何か間違ったことを言ったのだろうか?」

「…」

「驚きですね…三毛猫でオスとは」

(突っ込むところはそこじゃないだろ!)

「び、びっくりです…ネコさんが言葉を喋るなんて…」

「私には君達が何故驚いているのかが分からない。確かに私は君にとって人の言葉に聞こえるかのような
 音を出しているのかもしれん。だとすれば、何をもって君は私が言葉通りの意味を込めた発声を
 しているのだと確認するのか?」

「そりゃアレだ、ちゃんと俺の問いかけに答えているからだ」

「私が発している音声が、たまたま偶然君の質問に対する応答に、合致しているだけかもしれないではないか?」

「そんなのがまかり通れば、人間同士でも会話が成立してないことになるじゃねえか」

「まったくその通りだ。あたかも会話しているかような行為を働いていたとして、
 それが正しい意志伝達を行っているかどうかなど、誰にも分からないのだ」

キタキタ親父のくせにこざかしい事をベラベラと…(えー
何をいきなり禅問答みたいな屁理屈並べてんですかシャミセンは!ええい可愛げのないやつめ
それはともかく、ただの猫だったシャミセンがいきなり喋り出したのは、間違いなくハルヒの仕業…
今回もみくるビームの時と同じように
「シャミセンは喋る猫」という設定を考えたために、それが現実になってしまったのです

「現況はあまりよろしくないようですね…僕達はまだまだ、涼宮さんを過小評価していたようです」

「あの、どういうことですか…?」

「涼宮さんの映画内設定が、世界の常識として固定される恐れが出てきたのですよ。
 もし彼女が”巨大隕石が落下してくるシーンを撮りたい”と思えば、本当に実現するかもしれません。
 今の彼女は現実とフィクションを、無意識のうちに混同させています」

「よほど調子に乗ってるんだな…」

みくるビームにみくるカッターに喋るシャミセン、次々とハルヒが巻き起こすトンデモ現象を目にして、
「さすがにこれ以上はやばいっすよー」と喫茶店で緊急会議を始めた4人。
今までは
ハルヒの思考は常識的だから本気で妙な事は考えないというのが古泉の弁でしたが、
この映画撮影という特殊なフィールドの中では、その理屈も通用せず妙な事を本気で考えまくり、それが現実になってしまっているようです

「これを防ぐには、あくまでフィクションに過ぎないということを涼宮さんに分からせて、
 この映画を合理的に落ち着くよう誘導しなければなりません」

「じゃあどうすりゃいい?」

「涼宮さんが納得しそうな、映画的結末をつければいいんです」

「あるかそんなの…?」

「ありますよ。ごくごく簡単で、それまでの理屈に合わない展開を一気に常識的なものへ転化する結末が」

「…?」

この異常現象を収めるには
映画は映画、現実は現実ときっちりハルヒに分からせることが必要だと説明する古泉。
そうするために、映画の結末としてピッタリなものがあるそうですが…何のことだか分かりません
ヒントは「今までの理屈に関係なく話をまとめるラスト」だそうです。うーんそうなると
俺達の戦いはこれからだ!!とかそんな感じの投げっぱなしラストかな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン



「夢オチです」

「(゜д゜ )ポカーン」

夢オチかよ!!しかし言われてみれば確かに…それなら「ハッ!なんだ夢か…」と今までのムチャクチャな展開を
全部
現実とは関係のない夢の出来事として現実から切り離すことができますね

「ハルヒがそれで納得すると思うか…?」

「…難しいかもしれません。ですがこういった場合には、映画の内容が全て夢・嘘・間違いだったということを
 作品内で自己言及するのが、一番良い解決法なのですよ」

(お前にとってはそうだろう…俺にとってもその方がいいのかもしれない、しかしハルヒはどうだ…?)

とはいえ、やはり一番難しいのはその夢オチをハルヒに提案して認めさせること。
なにしろ現実に影響を及ぼすくらい、強烈にのめり込んで夢中になっている作品です。
それが
全て夢・嘘・間違いだったなんてことを自ら認めさせるなんて、一体どうやったら出来るのか…

「キョンくーん!みくるが話があるって!」

結局ハルヒには何も言えないまま、迎えてしまった次の日。するといきなり鶴屋さんとみくるがキョンの教室にやってきて
「みくるのお話聞いてちょーだい」とキョンを連れ出してしまいました。一体何なのかと思えば、みくるはモジモジと上目遣いになりながら
恥ずかしそうにするばかり…
な、何コレ愛の告白!?どう見てもそういう雰囲気ですよ!
そんなにキョンが好きだったのかみくる…それにしてもなぜこのタイミングで…

「キョ、キョン君…」

「なんでしょうか?」

「あの、こんなこと言うと、私が古泉君をアレかと思うかもしれないけど…」

私が古泉君を大好き!?キョンじゃなくてまさかの古泉に告白ですか!?
さては映画のラブシーンを撮影してるうちに
「古泉くんとラブシーンだなんて…頭がフットーしそうだよぉ!!」とか
すっかり古泉にお熱になってしまったという:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「私はその…別の考えを持ってて…つまりはその、それは古泉君の解釈とは違うものなんです」

「…?ハルヒが神様だとか、そういう話ですか?」

「はい…涼宮さんに、この現在を変える力があるのは間違いないと思います。
 でもそれが世界の仕組みを変える力だとは思いません…この世界は最初からこうだったの」

「…それはそれは、古泉とは真っ向から反発する意見ですね」

「長門さんも違うことを考えていると思う…あの、こんな事を言うとちょっと人聞きが悪いかもしれないけど…
 古泉君のこと、その…あんまり信用しないで…あぁ、って言ったら語弊があるけど…!えぇっと…!」

ゲェーなんてこった、古泉に告白どころか「あいつの話はデタラメだから信用するな」と忠告を始めたみくる!
それもこの必死に訴えるような表情、どうやら本気でそう思っているようです
うーん、しかし今までずっと古泉の言う通り
ハルヒには世界を改変する能力があると思ってましたが、
そうじゃなくて
世界は最初からこうだったとは一体どういう意味なのか…
まさか最初からみくるがビーム出せたり猫が喋れる世界だった、と言うつもりなんでしょうか
いまいち要領が掴めませんが
廊下の向こうで立ち聞きしてる鶴屋さんこえー
なんかみくるを背後から狙う暗殺者みたいだよ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「えっと…!ごめんなさい、私説明ヘタだし、制限かかってるし…あの、だけど…!」

「はは、分かってますよ。ハルヒが神様なわけないじゃないですか。
 俺にはまだ古泉より、朝比奈さんの方が分かりやすいです」

「あ、ありがとう…!でも、私自身には古泉君に含むところはありません、それも分かっておいてくださいね」

「はい」

みくるが説明に必死すぎてそろそろテンパってきたせいか、ここで
「よく分かりました」と話を切り上げるキョン。
とりあえずみくるが言いたいことは、古泉自身が信用ならない奴ということじゃなくて
古泉の理論が自分の理論とは食い違ってるということを主張したいようです。
とはいえ、現時点では一体どっちの言ってることが正しいのかさっぱり分かりませんが…

「朝比奈みくるの主張はこうだと思われる。涼宮ハルヒが創造したのではなく、世界はこのままの形で
 以前から存在していた。超能力者、時間移動体、概念型地球外生命体などの超自然的存在は、
 元々そこにいたのである。涼宮ハルヒの役割はそれらを自覚なしに発見することであり、
 その能力は3年前から発揮されている。ただし彼女は世界の異常を探知できるが、
 決して認識する事はない。認識を妨害する要素もまた、ここに存在するからである。それが我々」

と、いうわけで困った時の長門さんに話を聞きに来たキョン。みくるの理論を代わりに説明してくれましたが、分かったような分からんような…(えー
みくる理論だとやっぱり不思議現象は元からあって、ハルヒの能力はそれを見つけるだけで改変することじゃないってことのようです
でもさっきも書きましたが、この理論だと
みくるビームが突然撃てるようになった理由とかが説明しにくいのが
どうもうさんくさいと思ってしまうところですな…

「…朝比奈さんには古泉と違う理由があって、ハルヒが不思議現象を見つけることが不都合なのか?」

「そう。彼女は、彼女が帰属する未来時空間を守るためにこの時空に来ている。
 古泉一樹と朝比奈みくるは、互いに相手の解釈を決して認めることはない。
 彼等にとって異なる存在の理論は、自分達の存在基盤を揺るがすものに他ならないから」

「ま、待てよ、古泉は3年前に超能力が自分に宿ったのだと言ったぞ?」

「古泉一樹の言葉が真実であるという保障はどこにもない」

「なっ…」

(…確かに保証はない、古泉の理屈は俺の被った出来事にもっともらしい解説をつけているだけだ。
 それが正解だと誰に分かる…?朝比奈さんの理屈だって同じことだ。
 朝比奈版の回答が正しいのだと誰が保障してくれるのだろう…)

「長門、お前はどう思ってるんだ、どれが正解だ」

「私がどんな真実を告げようと、あなたは確証を得る事は出来ない。
 私の言葉が真実であるという保障はどこにもないから。あなたにとっては」

ヴぁーあああヴぁーああああ(えー
なんやねんもう、結局誰の話にしても
「保証がないから信用できない」の一点張りで話を終えてしまう長門。
そりゃあみんなハルヒの事は調査中なんだから仕方ないんですが、
それにしても仲間同士で
「あいつは信用できない」「こいつは信用できない」って言いまくってるのは
いい気持ちがしないっつーかなんつーか…
SOS団が仲間同士だと思ってるのは視聴者だけなんだろうか。こんなにお互いのことを腹の中で疑いまくってたとは正直滅入るわぁ

その後の撮影でも水鉄砲からスーパービームを発射したりと、ハチャメチャな現象を体験しながら
どうにかこうにか映画を完成に近づけていたキョン達。しかしそんなある日、夜遅くに意外な人物がキョンを訪ねてきました

「キョンくーん、お友達ー!」

「んっ?」

「やあ…」

それはなんと古泉!何よりも驚くべきはその表情です、まるで
この世の終わりを見てきたかのような心底疲れ切った顔…
古泉がこんな顔をするだなんて何やら尋常じゃありません、一体何がどうしたのかと話を聞いてみると…

「(ニヤニヤ)涼宮さんにとって、細かい設定や伏線はどうでもいいんですよ。
 おそらくオチなんかも考えてはいないでしょう、ひょっとしたら未完で終わるかもしれませんねえ」

「…それだと困るんだろうが」

「(ニヤニヤ)世界がフィクション化すると困るのは、僕達の理論ですからねえ」

なんだか
「もうどうにでもなーれ」というような、自暴自棄な笑みを浮かべつつキョンと話をする古泉。
なんか本当にやばいんですが…一体どうしてここまで病んでしまったんだ古泉

「はー…本当の話をお聞かせしますと…涼宮さんを中心とする何らかの理論を持っているのは、
 我々の機関と朝比奈さんの一派だけではありません。沢山あるんです。
 水面下で我々が行っている様々な抗争と、血みどろの殲滅戦を
 ダイジェストで教えてさしあげたいくらいですよ。同盟と裏切り、妨害と騙し討ち、破壊と殺戮…
 各グループとも総力を挙げての生き残り合戦です。まあこんな事は、あなたには無縁のことでしょうがね」

「あなたの知らない所で大量の組織が殺し合ってるんですよ」となんだか凄い事を言い出した古泉。
話の中でこんな血がビシャッとかかった歩道橋が映ってるところを見ると、どうやらマジで古泉は命の取り合いが当然の
一時も気が休まらない世界に生きているようです。それも自ら望んで足を踏み入れたんじゃなくて、
3年前に突然超能力者になってしまってから人生が狂い出したっつー仮面ライダーギルスな人生だからなあ(えー
長門みたいなスーパーマンならともかく、古泉は通常空間ではまるっきり普通の男子高校生だし、
それが命を狙われたりしてたらそりゃ気も狂うか…

「…なぜ俺にそんなことを教える?」

「口が滑ったのですよ、理由なんかありません。なんにせよつまらない話です…
 つまらない話のついでにもうひとつ。朝比奈さんが何故僕やあなたと行動を共にしているか、
 その理由を考えたことがありますか?彼女の役目はあなたを篭絡することです。
 涼宮さんに少しでも言うことを聞かせる事が出来るのは、唯一あなたですから。
 あなたを絡め取ってしまうのが一番なんです。幼く見える容姿や、涼宮さんの無理難題に
 唯々諾々と従う可哀想な立ち位置もそうです。全てはあなたの目を自分に向けさせるためですよ」

ゲェーなんだか次々にヤバイ事実を暴露する古泉、なんとみくるは
キョンを誘惑してハルヒを操ること
目的だとかなんとか。またまたご冗談を…と言いたいところですが、あの大人みくるのキョンを見透かしたような態度や
二言目には
「胸触ってもいいんだよ?」と色香でキョンを惑わす言動を考えると、今のみくるもマジにそんな策略を抱えてる気がしてきますな…
というか天然女を装って主人公を篭絡って
もうラクス様じゃないですか(えー
あれも最初の天然少女っぷりとか全部演技だもんな…それで宇宙最強のキラきゅんを篭絡…ああ恐ろしい、女って恐ろしい

「冗談は聞き飽きた」

「…ぷっ、あぁ〜すみません。やはり僕は冗談を貫き続ける能力に欠けていますね。ウ・ソ・ですよ。
 本気にしました?涼宮さんの映画とクラスの劇とで、僕のプレッシャーは結構厳しいものになっているのです。
 このうえ閉鎖空間でも出たりしたら、倒れ伏す自信がありますね…
 それもあって、あなたにお願いしに来たのです。どうか涼宮さんの映画が発生源の、
 この異常現象を止めていただけないかとね」

そろそろキョンが本気でキレ出してきたせいか、「わーっはっは今の話は釣りでした」とネタばらしをして本題に入る古泉。
とても嘘には見えないんだけどな…ニヤニヤしながら虚空を見つめる古泉の顔やばすぎだろ
とっとと本題に入ればいいのにこれだけ弱音を漏らしたことといい、やっぱり誰にも気を許せない生活に相当疲れてたんじゃないでしょうか

「ハルヒの映画の内容が全部デタラメであることを、ハルヒ自身に自覚させること…だったか」

「明確に…自覚させることですね。できれば撮影が終わってしまう前に…よろしくお願いします」

結局古泉の本題というのは、
俺の体はボロボロだ!ハルヒを止められるのはもうお前だけなんだ!
キョンに頼みに来たということのようです。まあこんな状態じゃ、確かに古泉はゆっくり休まないと今にも死んじゃいそうですしな…
しかし問題は、キョン一人でハルヒに
「映画の内容は嘘っぱちだ」と認めさせること。果たして夢オチ以外にそんなうまい方法があるのか…

「この物語はフィクションであり、実在する人物、団体、事件、その他の固有名詞や
 現象等とは何の関係もありません!嘘っぱちです!どっか似てたとしても
 それは他人の空似です。あ、CMシーンは別よ!大森電器店と
 ヤマツチモデルショップをよろしく!じゃんじゃん買いに行ってあげなさい!
 …え?もう一度言うわ、この物語はフィクションであり、実在する人物や団体…
 ねえキョン、なんでこんな事言わなくちゃいけないの!?」

あったよそんな方法が!よくマンガの最後のページなんかに書いてある「フィクションです」の注意書き!
これをハルヒに言わせたキョンは、見事に映画内の不思議現象を消し去ることに成功…って、お、おい、これだけでもう解決!?
バ、バカな…!か、簡単すぎる…あっけなさすぎる…!(えー
うーん…エンドレスエイトの「宿題したら解決」とかもそうでしたが、ハルヒの超事件は規模のわりに解決法がえらくあっさりしてますなあ

そんなわけでとうとう映画の撮影も終わり、あとは動画の編集作業を残すのみ。しかしこいつが最後の難関で、
動画編集なんて誰もやり方が分からないSOS団は、翌日に文化祭が迫る中お手上げ状態になってしまいます

「そんな未完成なのを出展するわけにはいかないわ!なんとかしなさいよ!」

「文化祭は明日だぞ?もう限界だっての!」

「徹夜ですれば間に合うんじゃないの?ここに泊り込んでやればいいじゃない!」

「当然終わるまで帰れないからね?」と深夜残業を命じられるキョン。ああ嫌だ残業は嫌だ(えー
しかし
自分の命を削ってでも納期には絶対に間に合わせなければいけないというのが社会人の鉄の掟。
やむなくキョンは部室に泊まり込んで編集作業を続けるのでした。
頑張れキョン、世のお父さん達は毎日のようにそんな戦いを続けているんだ!本当の事だから困る:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「…はぁ…」

「私も手伝うから」

って、な、なにぃ!?当然
「そんじゃあとよろしく」と帰っていくだろうと思われたハルヒは、なんと自ら残ってキョンの手伝いを開始!
こ、これは…今まで無理難題は全部他人に押し付けてきたハルヒが…前回のキョンとの大喧嘩で、
少しは他人のことも考えるようになってきたんでしょうか。これにはキョンも意外そうな表情です

「ぐがー…ぐごー…ぐがー…」

しかし無理なもんは無理でした。(えー
結局深夜2時30分過ぎまでがんばったものの、編集作業は行き詰ったままとうとう力尽きてしまった2人。
せっかくの映画は未完成のまま、文化祭の朝を迎えることになってしまいます

「キョン、こら!起きなさいってば!」

「ふが、ふがふが…」

「で、どうなった!?」

(…泊まり込みの意味はなかった…映画は未完成のままである)

《とおりゃー!(ビビビビビ)》

「へえ…まあまあじゃない!」

「…!?」

「ちょっと物足りないけど、あんたにしては上出来だわ!」

(俺ではない…!俺以外の誰かがやったんだ!)

よ、妖精さん!?妖精さんがやってくれたんですか!?(えー
なんとキョンが全くできなかったみくるビームのエフェクトなどが、目を覚ましてみれば全て完成された状態に!一体なぜ!?
うとうと寝ながら感想を書き続けて、起きた時には8割くらい書けていたという話は聞いたことがありますが…:;y=_ト ̄|○・∵. ター
キョン自身も
本命:長門、対抗:古泉、無印:みくる、大穴:それ以外の誰かと、自分がやったとは到底思っていないようです

「重要な話があるんだが聞いてくれ」

「何よ?」

「お前は、宇宙人か未来人か超能力を使うような奴がいて欲しいんだよなぁ?」

なんだかよく分かりませんが無事に映画は放映され…って、次の瞬間コロッと場面が変わって
キョンとハルヒが2人で喫茶店に来ているシーンに!こ、これは拍手コメントで教えてもらった
キョンがハルヒに古泉達の秘密をバラすシーン!?なんでいきなりこの場面が…これは確か溜息Tの直前の場面だったはずでは…?

「そうだけど、それがどうしたのよ」

「実は宇宙人も未来人も超能力者も、思いもよらぬ身近にいるんだよ」

「…へーえ。どこの誰?まさかとは思うけど、有希やみくるちゃんや古泉君のことじゃないでしょうねえ。
 それじゃちっとも”思いもよらぬ”じゃないもの」

「…え〜…じ、実は…そう言おうと思ってたんだけどな…」

「ハァ!?あんたバカじゃないの!?そんな都合のいい話があるわけないじゃないの!」

古泉達の秘密をバラしたキョンに向かって「あんたバカァ!?」とアスカのように切れ出したハルヒ
「そんなデタラメで私が喜ぶと思ってんのか」と相当頭に来ているようです、
それだけ未来人やら宇宙人やらを探してるのは本気だっていうことなのか…

「ま、まぁ、普通に考えたらそうだよな…」

「誰がどんなだって?」

「聞いて喜べ、あの長門有希は宇宙人だ!統合なんとか思念体…だったかな、そんな感じの存在の手先だ!
 あ…そう!ヒューマノイドインターフェースだ、それだよ!」

「ふ〜ん。で、みくるちゃんは?」

「朝比奈さんはだな、割と簡単だ。あの人は未来人だ!未来から来たんだから未来人で合ってるだろ?」

「何年後から来たのよ」

「それは…知らん。教えてくれなかったんでな」

心底呆れたようにキョンの話を聞き続けるハルヒ。やはりというかなんというか全く信用していないようです
ところがここまで話を聞くと、それまでの不機嫌ヅラから一転してニコニコと話し始めて…

「分かったわ!ということは古泉君は超能力者なのね!」

「分かってくれたか!まさしくそう言うつもりだった!」

「うんうん!」

「うんうん!」

「うんうん!」

「うんうん!」

 

「ふざけんなっ!!」

ぐわー当然のごとくハルヒ大噴火!怒りに任せて席を立ち上がると、キョンのコーヒーをガブガブかっくらって
店を出て行ってしまいました。
「あのヤロー少しは信用しろよ…」と一人取り残されて引きつった表情のキョン。
喫茶店を飛び出したものの、チラチラと店の外からキョンの様子をうかがうハルヒ。
こ、これは…もしかしたら
「間接キスしちゃった間接キスしちゃった間接キスしちゃった」と動揺しているんでしょうか(えー
はっ(゜д゜)もしかしたら溜息Uで
みくるのペットボトルを取り上げたのも、
「キョンと間接キスしていいのは私だけなの!」というこのシーンの伏線だったのか!?(えー
まあとにかくそんなところで
涼宮ハルヒの憂鬱・新エピソードはこれにて終了です。ちゃんちゃん





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