■マリア様がみてる 4th season 第11話「ハートの鍵穴」
 

「…行かないで…どこにも行かないで…ママのこと置いてかないで…」

「大丈夫よ、ママ…ここにいるわ…」

「…どこに行ったの…私の赤ちゃん…」

「…」

ある日の深夜、ドリルの家ではあの母親が「自分の赤ん坊が消える」という悪夢にうなされていました
そんな母親の横で、ずっと心配そうな表情を浮かべていたドリル。しかし「私の赤ちゃん」という言葉を聞いた途端、
ドリルの表情が悲しげに曇ってしまいます。これってまさか…これは夢というより「実際に以前我が子を亡くした」という
この母親のトラウマで、ドリルはその子の代わりに引き取られた養子ってことなんじゃ…

「あっ…パパ、お帰りなさい」

「まだ起きていたのか…」

「ママ、ちょっと眠れないみたいだったから…ねえ、パパ…私のせいかな」

「そんなことはない…!そうやってお前は、いつでも無理に自分を抑えてきたのだな…」

そしてママの寝室を後にしたドリルは、ちょうど帰宅した父親と鉢合わせしてしまいます
パパの方もママと同じで、ドリルを気遣う優しさのあるいいお父さんですね

それにしてもドリルの家の豪邸っぷりがすげえ…これは本当に日本の現代人が住む家なのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
祥子の家も凄かったですが、あっちは和風なのに対してこっちはまさに洋館って感じですな

「あの日の衝突は、ママにはショックだったようだが…瞳子が感情をぶつけてくれなかったら、
 パパもママもずっと瞳子の心の叫びに気づかずにいただろう。16のお前が一人で背負うには
 あまりにも重い荷物だった…それは私たち親が負うべきものだ」

「…」

「だからパパは、今でもお祖父さまの決定に賛成だ。
 お前は自分が何者かなどということを考えずに、真っ白なキャンバスに自由な人生を描くべきだ」

ふーむ…「重い荷物」とか「お祖父さまの決定」とか、具体的に何の話かはよく分かりませんが、
とにかく父親も母親も祖父もみんな、ドリルには自分の立場を気にせず自由に生きて欲しいと思っているようです。
みんなドリルのためを思ってるいい家族たちなんだなぁ

「世の中はギブアンドテイクじゃないの…?貰うだけ貰って、それでいいの…?瞳子は何も返せない…」

「パパもママもお祖父さまも、もう瞳子から沢山のものを貰っているよ」

しかしドリル自身は自由に生きることに激しく負い目を感じているようで…父親や母親がここまで優しく愛情を注いでくれたからこそ、
逆に「自由なんか捨ててもっと恩返ししまくるべき」という義務感にかられているようです
父親は「恩返しならもう十分してる」と優しく語りかけますが、それでもドリルの表情は晴れることがないのでした

「ごきげんよう…しばらくお休みしていてすいませんでした」

「瞳子ちゃん…!選挙、残念だったわね…」

「部長…私、今日は退部届けの用紙を貰いに来たんです」

「なっ、何を言っているの…!」

そんなある日、今まで選挙活動で休んでいた演劇部に久々に顔を出したドリル。
しかし部室に入るなり「すいません退部しにきました」と、突拍子もないことを言い出してしまいます。
部長は慌ててそんなドリルを引き止めようとしますが…

「…こんな日が来るかもしれないと思っていたわ。
 私が受験のために部を引退したら、あなたは部内で孤立するかもしれない…
 私はね、これからあなたには演劇部の顔として活躍してもらいたいと思っているの。
 どんな形でもいい…部に残ってちょうだい。後輩たちはあなたから色々学べるわ」

越前…青学の柱になれ!!と、部長はドリルに演劇部の越前リョーマになって欲しいようです(えー
部長はこれまでも、ドリルが他の部員から目をつけられた時は自分が盾になっていたようで…
というかこの人、令と同じかそれ以上に男前ですね。声優もボーイッシュな声に定評のある沢城みゆきだし
ポッと出で終わるキャラにはちょっと惜しい気がするな

「もし先輩部員とそりが合わないのだったら、私に考えがあるのよ」

「…?」

「私の妹になりなさい」

「は…!?」

「部長である私の妹なら、そう攻撃されることもないでしょう。
 来年度になっても簡単に効力を失いはしないわ」

な…なんですとー!?そんなことのためにスールの申し込みしちゃうんですか部長さん!
他の部員から身を守るためってあんた…それこそドリルの嫌いな同情で姉妹になるってことじゃないんだろうか
それで他の部員から文句を言われなくなっても、結局は虎の威を借る狐状態。こんな施しをドリルが受けたがるわけが…

「で…でも…私…」

な、なんだこのしおらしい態度は!!(゜д゜;)おま…祐巳の時と態度違いすぎだろ!
あの時はニマアッと極悪な笑みまで浮かべて誘いを蹴ったというのに、
この「そんなこと言われても困っちゃうわ」とくねくねした態度は一体…(えー
それだけ祐巳と部長ではカリスマに差がありすぎるということなのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「福沢祐巳さん」

「…!」

「分かっているつもりよ。祐巳さんのことが好きなんでしょう?
 私はあなたのことをずっと見ていたんですもの…
 祐巳さんの妹になることで、あなたが幸せになるのならそれでいいと思っていた…
 でもあなたは、祐巳さんに近づくたびに傷ついて戻って来るじゃない」

「…きっと、私に問題があるのでしょう」

「そう、あなたが変わらなければ祐巳さんと一緒に歩くことは出来ない。
 だから山百合会や薔薇の館から遠ざかるために、
 負けるはずの選挙に出たりしたのでしょう?」

なんと部長は、ドリルの複雑な胸の内をとても正確に理解していました。これは意外な…
もっと考えの浅いことをうだうだ言ってるだけかと思いきや、下手すると祐巳よりドリルのことを理解してるのかもしれません
祐巳や乃梨子ですら「なんで負けようとしたのか分からない」と言っていたドリルの選挙も、部長はハッキリと理由を分かっているようだし…
あれは「祐巳と一緒にいるには今の自分から変わらないとダメ、でもそんなの無理だからいっそ縁を切りたい」って理由で
わざわざ出馬したわけだったのか…

「あなたが苦しむ姿を見ているのが辛いのよ…」

ぐいっ

「…!?」

「もう祐巳さんのことは忘れなさい、私が守ってあげるわ」

こ、これはー!?ドリルをぐいっと抱き寄せて心変わりを誘発!ええいこの百合部長め!
それにしてもシリアスなシーンなのにやたら濃ゆい後ろのポスター自重(えー
特に右上の画像で部長のすぐ横に濃ゆい顔があるのはマジで吹く:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「…すみません」

って…ドリルは部長の申し出をはっきり断ってしまいました。普通ならコロッと行ってしまう場面だと思いましたが…
さすがは難攻不落のドリル要塞。祐巳が10話以上かけても攻略出来なかっただけあります(えー
部長の好意を無碍にしたことを申し訳なく思いながらも、部室を出て行ったドリル。そのまま浮かない顔で下校していくのでした

(祐巳さまを断ち切るために部長を選ぶなんて、してはいけないことだ…)

「瞳子」

「あ………………どうしたの」

「待ち伏せしていたんだ、目立たないようにね」

変質者があらわれた!!(えー  柏木さん…なんつーバカな格好で待ち伏せしてるんですか!
こんな変質者丸出しの格好で女子高の前をうろつくなんて、どうぞ通報してくださいと言ってるようなもんじゃないか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
そんな柏木さんに呆れまくりのドリル。道行く生徒たちに「やだぁ何あの人」と変な目を向けられながら、2人は柏木さんの車に乗り込むのでした

「何の用?」

「聞きたいことがあってね…クリスマスにあったことだ、どうして祐巳ちゃんにあんなことを言った?
 僕には瞳子の気持ちが分からない。祐巳ちゃんが好きなくせに」

「説得力ないわね…」

ぶいーんと車を走らせながら会話を交わす2人。わざわざ柏木さんがやってきたのは、
ドリルが祐巳に冷たくしている理由を問いただすためのようで…
しかし「祐巳ちゃんが好きなくせに」と言う柏木さんに対して「ハァ?何それ説得力ねーよ」と全くそれを認めないドリル。
さっき部長に「祐巳さんが好きなんでしょ」って言われた時と態度違いすぎだろ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
部長だと素直に認めるのに柏木さんだと速攻で否定するなんて…まあ部長がドリルの気持ちをきちんと察してくれたのに対して、
柏木さんは開口一番「瞳子の気持ちが全然分かんない」だもんなぁ(えー

「じゃあ聞くけど…去年の夏、瞳子はどうしてカナダに行かなかった?
 祐巳ちゃんが小笠原の別荘へ行くと聞いて、予定を変えたんだろう」

「そ、それは…!」

「僕はあの時、瞳子が祐巳ちゃんに嫉妬して、祐巳ちゃんとさっちゃんの仲を邪魔するために
 別荘行きを決意したのかと思っていた…」

そこで柏木さんが話題に出したのは、3期OVA「子羊たちの休暇」で祐巳が祥子の別荘に行った時の話でした
あの時ドリルはカナダ旅行の予定を突然キャンセルして、ムリヤリ別荘について来るという不自然な行動をしていたのです
ただ、当時のドリルは祐巳と祥子の間に割って入ったお邪魔虫って感じのキャラだったので、
柏木さんも「祥子を祐巳から奪うために別荘に行った」と思っていたようですが…

「でもそうじゃない、瞳子は祐巳ちゃんを心配していたんだ。あのお嬢様達は危険だって知っていたから…」

「何を…!私が別荘に行ったところで何が変わるの!?」

「それでもお前は、気になって遠く離れた外国になんて行ってられなかったんだ」

そう、あの時別荘で祐巳を待ち受けていたのは、性根の腐り切ったタチの悪い3人のお嬢様たちでした
小笠原家と親交がある名家の娘でありながら、自分達より高貴な家柄の小笠原家に嫉妬して
祥子の妹の祐巳にさんざん嫌がらせをしたクズな連中です
ドリルが別荘について行った本当の理由は、そいつらに祐巳が酷い目に遭わされるのが心配なためだったと…

「…そうか…お前は自分がされたような意地悪が、祐巳ちゃんに降りかかることを恐れたんだ…」

そこまでドリルがお嬢様達を危険視する理由、それを柏木さんは「ドリルも以前あいつらに酷い仕打ちを受けたから」だと推測します
ドリルがお嬢様達から受けた仕打ち…それを想像するうちに、柏木さんから笑みが消え、恐ろしい怒りの表情に変わってしまいます

「…お兄さま…?」

ドアギャギャギャギャギャギャア!!

「…っ!?」

「一体いつ誰に何を言われた…?京極か、綾小路か、西園寺か!!」

柏木さん大暴走キター!!ぎゃあああああ!!
信号が青に変わったその瞬間、物凄い勢いでアクセルを踏み込み急発進した柏木さん!
ドリルの体が加速Gで押し付けられる恐ろしい速さ!顔をこわばらせながらドリルが柏木さんに目をやると、
柏木さんは「あの3人の誰だそんなふざけた真似したのは」という憎悪にまみれた顔をしていました



ギュオオオオオオオアアアアアアアア!!!

「ひ…!?お、お兄様…!?」

「僕は気づいてやれなかった…!瞳子が家を出るあの瞬間まで
 瞳子が何も知らないと信じていたんだ…!」

ギュアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

「……!!」

信じられないスピードで加速を続ける柏木さんの車!同じ車線を走る車が、見たこともないスピードで後ろへ吹っ飛ぶ悪夢の光景!
この一般道で百何十キロ出しているのか…!?完全に柏木さんは我を忘れています、このままじゃ2人とも心中ですよ!
あまりの恐怖で背筋が冷たく凍りつくドリル、柏木さんが呼びかけに応えてくれない以上、このまま事故るのを待つしかないのか…!?



「……お……お兄さま、おしっこ!!」

「…え!?」

マリみて最強の迷シーンきたあああああああああ!!
おしっこ言ったあああああああ!!とにかく必死に柏木さんを正気に戻すためのトンデモ発言!
あまりにも破壊力のありすぎるドリルのおしっこ発言に、柏木さんの怒りも一発でどこかへ吹っ飛んでしまいます
いやぁこのシーンは本当にニヤニヤですな、私のマリみて4期感想はこの瞬間のために書き始めたと言っても過言ではありません(えー
この場面をカットせず見事に再現してくれたスタッフは本当にGJですよ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「さっきは助かったよ…瞳子に止めてもらわなかったら危なかった」

「私も助かったわ、お手洗いに間に合って」

ひとまず近所のバーガー屋で車を止め、一息ついたらすっかりいつもの調子に戻った柏木さん。
別に本気でトイレに行きたいとは思ってなかったドリルも、「あやうく漏らすところだったよハハハ」と軽くジョークを飛ばします
それにしても、去年の祥子はこういうバーガー屋の注文の仕方も食い方も全然分からない超箱入り娘でしたが
柏木さん達は祥子の親戚なのに、別にハンバーガー買って食うくらいどうってことないんですね(えー

「お兄さま、私そんなにショックじゃなかったのよ」

「え?」

「私、もうとうに知っていたもの。だからお兄さまはそんなにお怒りにならなくてもいいのよ」

なんだか唐突によく分からないことを言い出したドリル、主語述語が抜けてるので何の話かよく分かりませんが…
その辺を想像で補ってもう一度読んでみると、

「私そんなに【両親の本当の子供じゃないこと】はショックじゃなかったのよ、
 【お嬢様達からそれをバラされる前から】もうとうに知っていたもの。だからお兄さまは【お嬢様達を】そんなに怒らなくてもいいのよ」

とドリルは言いたいんでしょうかね。ふーむなるほど、柏木さんがさっきあんなに怒り狂ったのは、
「おい瞳子てめー松平家の本当の子じゃないんだってよ、可哀想に(笑)」と、あのお嬢様達がバラしたと思ったからなのか…
それとさっきの柏木さんのセリフ、「瞳子が家出するまで、瞳子は自分の素性のことなんて知らないだろうと僕は信じてた」って
つまり柏木さんは、ドリルが家出したのは自分の素性に悩んだせい、その素性を知ったのはお嬢様達から聞かされたせい、
悩めるドリルが最近起こしたトラブルも、何もかもあのお嬢様達が余計な真似したせいと思ったから
あれだけブチ切れまくったってことなのかな…まあ結局それは柏木さんの勘違いみたいなんですけど:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「瞳子…お前は、幸せになっていいんだよ」

「…?なんのこと?」

「お前は目の前の幸せから逃げている、祐巳ちゃんのことにしたって…」

「別に両親の子供じゃなくても構わねーし」
というドリルの言葉を聞いて、悲しげな表情を浮かべる柏木さん。
ドリルは自分がどれだけ破滅しても知ったこっちゃないって感じですもんね、選挙でわざと嫌われ者になったこともそうですが…
しかし柏木さんにそれを指摘されたドリルは、一気にカッとなって反論を始めてしまいます

「…もう終わったことよ!じゃああの時、ロザリオを受け取っていればよかったとでも言うの!?
 信じて裏切られるくらいなら、初めから信じない方がいいのよ!」

「違う。お前は信じないと言いながら、心の中では信じたいと思っている。
 逃げながら追いかけて来てくれるのを待っているんだ」

「そんなこと…!」

「そうやっていつまでも逃げ続けていると、そのうち誰も追いかけてくれなくなるぞ」

「…みんなして私のことを責めるのね」

「きっと、君の事が好きだからさ」

「幸せから逃げるのやめてもっと歩み寄れよ」とドリルに言い聞かせる柏木さんでしたが、
ドリルは「なんだよなんだよみんなして私を責めやがって」とヘソを曲げるばかりです
これだけ真っ向から話しても効果はいまいちか…厄介な性格のドリルを操縦するのは本当に骨が折れますね

(宝探し…か…ちょうど1年前、去年の宝探しで初めてあの人を見た…はつらつとして、真っ直ぐで…)

そして次の日の学校にて、ドリルは掲示板のポスターを眺めながら物思いにふけっていました。
それはバレンタインのカード探しイベントのポスター…ドリルにとっては去年のバレンタインが初めて祐巳と出会った日なだけに、
少なからず特別な思いがあるようです。そして柏木さんに「もっと歩み寄れ」と言われたことも後押ししてか、
ドリルはイベントの詳細が書かれたチラシを手に取りますが…

(ばっかみたい…!ばかみたい…ばかみたい…ばかみたい…ばかみたい…!)

しかし、そんな自分をめちゃめちゃ自己嫌悪してしまうドリル。あんな選挙までやって祐巳から離れようとしていながら、
もう一度のうのうと歩み寄ろうとしていることが、相当バカらしく思えているようです。そんな荒れ模様のドリルがズカズカと教室に戻ってくると…

「ではみなさまごきげんよう!」

「「「じゃーねー!」」」

「あ、瞳子!」

「…忙しそうね、今から薔薇の館?」

「ううん、今日はお休み。急いでるのは、これからテレビで仏像の特番をやるの!」

ドリルと入れ替わりに教室からバタバタと出てきた乃梨子。今すぐ帰って仏像の特番が見たいそうですが…
そんな番組乃梨子以外に視聴者いるんだろうか(えー  視聴率一体何パーセントだよ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それにしても、リリアンの生徒でも普通の人は「ごきげんよう」じゃなくて「じゃーねー!」って挨拶するんですね
やっぱりいちいちごきげんようなんて挨拶してる祐巳たちの方がおかしいのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「じゃ、ごきげんよう!」

「…あっ…乃梨子さん!」

「何?」

「あ…あの…う…。た、大変ね、今年はあなたも宝を隠すのでしょう?」

「ううん、2年生の3人が宝を隠すんだよ。これ(チラシ)持ってた?」

「…い、いえ」

「じゃああげる。私はもう読んだし、薔薇の館でいつでも見られるから。それじゃ!」

「あっ…」

さすがのドリルも沈みっぱなしの毎日に参っているようで、思わず助けを求めるように乃梨子を呼び止めてしまいます
しかし素直に言いたいことを言えないドリルは、すぐに話を逸らしてしまい乃梨子を帰らせてしまうことに…

結局ドリルが手に入れたのは「チラシ?いやぁなんのことやら」と、つまらない嘘をついて手に入れた2枚目のチラシだけでした
「もうこんな自分やだ」というような深い溜め息をつきながら、トボトボとドリルが教室を出て行くと…

「あれ?ごきげんよう!」

「あ…!ご、ごきげんよう…!」

「今帰るとこ?」

「え、ええ」

「じゃあ駅まで一緒に」

「え…」

なんと偶然にも下駄箱で祐巳と鉢合わせ!思わずぎょっとしてしまうドリルでしたが、祐巳の方は「いよーっす一緒に帰ろうぜ」
なんの抵抗もないようにドリルの隣を歩き始めます。本当にドリルのことは平気になったのな祐巳…
ついこの間まで、ドリルと顔を合わせるたびにパニクってた人とはとても思えません

「瞳子ちゃん、無理言ってごめんね」

「え…?」

「私は考えなしだった、考える前に瞳子ちゃんにロザリオを差し出してた。
 瞳子ちゃんの気持ちとかちゃんと考えずに、自分の感情だけで突っ走っちゃった…
 瞳子ちゃんが呆れるのも当たり前だと思う。ここまでは謝罪、で、ここからが提案なんだけど」

「はい…?」

「私達、クリスマス以前の関係に戻れないかなぁ」

「ドリルちゃんもういっぺん私と仲良くしてよ〜」と、ロザリオを差し出したことを謝って仲直りしようとする祐巳。
しかしドリルは、自分があれだけ冷たくした祐巳にこうも優しい言葉をかけられるのが、なんだか無性に耐えられないようで…



「は…!?私、祐巳さまの考えてることが分かりません!
 なぜご自分を拒絶した下級生に、そんなにも寛大なんです!?」

「え?」

「そもそも、どうして私なんかを妹にしようと考えられたんです!」

「私なんかって…卑下するのやめてくれない?」

「私なんか、私なんかで十分です!」

「…私ね、瞳子ちゃんに断られてからずっと考えてた。私と瞳子ちゃんどうなって行くんだろうって、
 でもどうしたいんだろうって考えるべきだった。そしたら分かっちゃったんだ、
 私は瞳子ちゃんが瞳子ちゃんであればいいんだって」

「私が私であれば…?」

「そうだよ、だから瞳子ちゃんが何をしようと私の気持ちは揺るがない。
 選挙に出た理由だって、瞳子ちゃんが聞かれたくないなら探らない。どうして家出したかとかもそうだよ。
 ご両親がどんな人だとか、今どういう関係にあるのか、どんな子供時代を過ごして来たのか…」

「…!?」

「そういうことは、私が瞳子ちゃんに抱いてる感情とは、まったく別の次元の話だから」

あ、あれ…(゜д゜;)穏やかに話し続ける祐巳とは裏腹に、どんどん表情が険しく変わってしまうドリル!
「いや君の親のことなんて知らないよ?ケンカしてる理由も知らないよ?昔どうだったかも知らないよ?」という祐巳の言葉が、
ドリルには何もかもお見通しのくせにわざとしらばっくれてるように聞こえてならないようです
乃梨子に「ドリルのことはもうどうでもよくなった」と言った時もそうですが、
祐巳の言葉はどうも相手に変な伝わり方をしてばかりだな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「………そうですか…そういうことですか…!
 あの時のことは、結局私への哀れみからだったのですね!!」

「え…?」

「祐巳さまは聖夜の夜に施しをなさりたかっただけなんです!
 ロザリオを差し出した時、さぞかし気持ちが良かったでしょうね!
 私が私であれば親のことなんて関係ない!?おかしいと思っていたんです!
 祐巳さまが私を妹になんて望むわけがない!でもやっと謎が解けました!」

「な、何言ってるの…何か誤解して…」

「来ないでくださいッ!!」

「と、瞳子ちゃ…」

「それ以上近づかないで!!言い訳なんて聞きたくありませんッ!!」



うわあああ事態は今まででも最悪の泥沼に!決定的な勘違いをして一方的に怒鳴り散らしてしまうドリル!
どうも祐巳がドリルの過去を知って「哀れなドリルに施しをしてやるか」という同情心からロザリオを差し出したと思ったようで…
もちろん祐巳はドリルの過去や家庭の事情なんて何も知りません。しかしドリルは祐巳の話を全く聞く気がないようで…

「…分かった。今は何を言っても耳に入らなそうだもんね」

「…」

「瞳子ちゃん、その場で100数えなさい」

「…?」

「数え終わるまで動いちゃダメよ」

完全にドリルの頭に血が昇ってしまった今、やむなくここで話を切り上げることにした祐巳。
しかし興奮状態のドリルを落ち着かせるためか、今から100数えるように告げてその場を去ってしまいます
数を数えて落ち着かせるって、まるでプッチ神父みたいなことさせるんだなぁ(えー  素数だ…素数を数えて落ち着くんだ…

(1、2、3、4、5、6……【中略】……97…98…99…100…)

意外にも素直に祐巳の言うことを聞いて100を数えたドリル。最初は明らかにイラつきながら数えていましたが、
数字が100に近づく頃にはさすがに少し落ち着いてきたようです。プッチ神父の変な性癖も結構役に立つんだな…(えー

↓数え始めたドリルの表情

↓数え終わったドリルの表情

「まあ本当?ふふふふ」

ズカズカズカズカ ガラァッ!!

「失礼しますッ!!」

って全然怒り収まってねえー!!数を数え終わったその足で、即座に祥子の教室へ怒鳴り込んだドリル!
「お前か私の秘密を喋りやがったのは」と祥子への怒りを抱えての行動でしょう
というか祥子が放課後クラスメイトと教室に残ってだべってるって、結構新鮮な光景だなぁ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「祐巳さまに喋ったんですか…!」

「なんのこと…?」

「私の出生に関わる話ですッ!!」

「出生…?」

「覚えがおありなんでしょう!?それで?祐巳さまにはいつおっしゃったのですか!」

「だから何を…!?」

「とぼけないでくださいッ!!私が松平の両親の子供ではないということです!!」

壮絶な自爆キター!!行き過ぎた勘違いから自分の秘密を自らバラしてしまうドリル!
やっぱりドリルの秘密っていうのは、自分が両親の子供じゃないっていうことだったのか…
今まで私がその話をしてたのは、全部単なる推測だったのでここでちゃんと裏付けが取れてよかった:;y=_ト ̄|○・∵. ターン



「…!?と…瞳子ちゃん…松平のおじさま、おばさまの間に
 生まれた子供じゃなかったの…!?」

「…!?ま、まさか…」

「…残念ながら、初耳よ」

「…う…嘘です…!そんな…だったら誰が祐巳さまに…!?」

しかしドリルの出生の秘密は、親戚である祥子すら全く知らないことでした。
自分の推理が完全に的外れだったことに気づき、ドリルは愕然としてしまいます
そしてこの話を聞き、ようやくドリルが何を怒っているのか理解した祥子…しかしその途端、祥子の顔つきがみるみる厳しく変わってしまいます

「まったく、見くびられたものよね」

「…も…申し訳ございません…!」

「私じゃないわ、祐巳のことよ」

「…!」

「祐巳はきっと、瞳子ちゃんの家庭の事情を知らないと思うわ。
 たとえ偶然知ってしまったとしても、そのことで瞳子ちゃんへの評価を変える子じゃない。
 それは姉である私が一番よく知っているわ」

「…う…う…」

「それなのに、あなたのことばかり考えている祐巳が哀れに思えて来たわ」

私の妹を舐めんじゃねえよとドリルに容赦なく厳しい言葉を浴びせる祥子。
ドリルが祐巳にまったくの濡れ衣を着せて怒鳴り散らしたことを考えると、祐巳の姉としてはこれぐらい怒って当然でしょう
ようやく自分がとてつもない間違いを犯したことに気づいたドリルは、あまりのショックでその場にがっくりと膝をついてしまいます

(そ…それじゃ…全部私の…誤解…!)

「…」

そんなドリルをじろりと一瞥してその場を去ってしまう祥子。一人その場に残されたドリルは、
完全に心がへし折れて涙がボロボロと溢れ出してしまいます

(…ゆ…祐巳さま…祐巳さま…もう…どうしていいか分からない…!)

(その場で100数えなさい)

「…い…1…2…3…4…」

素数だ、素数を数えて落ち着くんだ…(えー
あまりにも大きい罪悪感に押し潰されて、頭がどうにかなりそうな中再び100を数え始めたドリル。
どうにかこれで気を静めようというつもりのようですが、その効果のほどは…

「15…16…17…(もう…私は独りぼっち…自分と繋がっていた絆を、一つずつ自ら断ち切ってきた…)」

「33…34…35…(でも、寂しくて寂しくて…誰でもいい、傍にいてほしい…!)」

(そのうち、誰も追いかけてくれなくなるぞ)

「57…58…59…(…数えるのが恐い…!目を開けて一人ぼっちの自分を見つけるのが…)」

しかし、さっきと違って数えれば数えるほどどんどん不安は大きくなるばかり…
もはや完全に心の拠りどころをなくしたドリルは、再び目を開けたその時に、完全に誰からも見捨てられた自分の姿を見ることが
何よりも恐ろしかったのです。ひたすら恐怖と不安におびえながらボロボロと泣き続けるドリル。そして数はもう100の目前にまで…

「…79…80…81…」

ぽんっ

とその時、消え入りそうなドリルの肩に優しく手をかける人物が!こ、これは!?
ドリルにとっては、心底震え上がっていた孤独の恐怖から助けてくれた救いの手…そんなドリルに手を差し伸べてくれた人物とは…

「あ…ごめん。邪魔しちゃいけないかなぁと思ったんだけど」

の…乃梨子だとーー!?な、なぜ乃梨子がここに!?仏像は!?仏像は一体どうしたんですか!?(えー
うーむ、てっきり祐巳だろうとばかり思ってたので、まさかここで乃梨子が出てくるとは予想外でしたね

「…ど…どうして…?帰ったはずじゃ…」

「瞳子と別れた後、どうも気になっちゃって…」

「だ…だって…特番は…」

こんなに心がズタズタの状態なのにしっかり特番のことに突っ込むドリルに吹いた(えー
そうだよな、特番は大事だよな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「それより瞳子の話の方が大事」

「…っ…う…う…うぅ…乃梨子!乃梨子ぉぉぉぉ…!!」

「え…?い、一体どうしたって言うの?」

「乃梨子…乃梨子…!」

(マリア様…!ありがとうございます、乃梨子をお戻しくださって…!)

何もかも失くした、完全に取り返しのつかないことをしたと思っていたところに、ドリルを思って戻って来てくれた乃梨子。
心の底から誰かに傍にいて欲しいと願ったドリルにとって、これほど自分の救いになることはありませんでした
他人との絆の大切さを心の底から思い知り、ドリルはひたすら乃梨子の手を放さず泣き続けるのでした。次回に続く


■マリア様がみてる 4th season 第12話「クリスクロス」
 

「ごきげんよう、瞳子」

「ごきげんよう」

「瞳子は宝探しに出る?」

「乃梨子に心配してもらうことじゃないわよ」

とうとう迎えた2月14日バレンタインデー。前回あれほど打ちのめされていたドリルも、乃梨子のおかげですっかり元気になったようです
でも今日の宝探しイベントについて聞かれると、「うるせーなほっとけよ」と言葉を濁してしまうドリル…
祐巳とのことは相変わらず全然進展がないようですな、乃梨子との仲は今までの「乃梨子さん」から「乃梨子」になって
確実に親密になっているようですが…

「ごきげんよう、お姉さま!」

「ごきげんよう、祐巳」

「あの…」

「あ、待って。場所を変えましょう」

一方その頃、祐巳は祥子の教室に乗り込んでチョコを渡そうとしているところでした
祐巳は祥子を見つけるなり即座にカバンに手を突っ込みますが、祥子は人目が気になるせいかここから移動することに…

「祐巳は気づかなかったかもしれないけど、私のクラスメート達が興味津々で覗いていたのよ」

「…?私たちのツーショットなんて、今さら珍しがることじゃないのに」

「去年私がことごとくチョコレートを辞退したくせに、祐巳のだけは受け取ったって知ったからでしょう」

祥子はバレンタインにチョコを渡す風習について、「親しくもない相手からのチョコなんざクソ食らえだぜ」という持論の持ち主…
そのため去年はチョコを差し出してきた連中を祐巳以外全員追い返したらしく、
さっきは「祥子がチョコを受け取る場面はレア」と周囲の注目を集めてしまったようです

「私がどんな顔をして…」

「どんな顔をしてチョコレートを受け取るか…私にだけ見せてください」

「あは…催促したみたい…」

これはひどい百合ですね(えー
「みんなが見たがる祥子さまの顔を拝めるのは私だけさふはは」
とチョコレートを手渡す祐巳。
それはいいけどなぜ頬を赤らめる!?百合はやめろー!去年はかなりアホな渡し方をしただけに、余計今年は百合百合に感じるなぁ

「あら、これは…びっくりチョコレート!」

「第二弾です、びっくりするくらいの愛情がこもってます!」

包みの中から出てきたのは祐巳お手製のトリュフチョコ。それを見た祥子は普通のチョコなのにびっくりチョコレートと…
そう、去年の祐巳は美味しく作れたトリュフチョコと、大失敗したクソまずいトリュフチョコをごちゃまぜにしてしまい、
「びっくりチョコレートです。口が曲がるほどすごい味のはずれが混じってます。それでびっくり」という、
苦し紛れのジョークを交えて祥子に渡していたのです。さすがに今年は全部ちゃんと美味しく作れたようですが…

「これは私にだけ?」

「あ…はい、お姉さまにだけです。しばらく瞳子ちゃんとは距離を置こうと思っているので…
 何か誤解があるみたいなんですけど、瞳子ちゃんの方からまた私と話をする気になってくれるまで、
 待つことにしました」

「そう…(もぐもぐ)本当にもったいないこと。こんなに愛情たっぷりなのに」

本当なら祐巳はドリルにもチョコを渡す予定だったようですが…やっぱりあんなことがあった直後じゃ
ひとまず距離を置くしかないと思ってるようですね。というわけで祐巳のチョコは祥子が一人占めすることになり、
「ドリルはバカだなーこんな美味いもの食えないなんて」と存分にチョコを味わうのでした

がちゃっ

「うあ!?し、失礼!!」

「えっ?」

「ごめん!!」

「何を謝っているの…?」

「だ、だってチョコレートの受け渡ししていたんでしょう?」

「そうだけれど、別に見られて困ることではないし…」

「今の祐巳さま、『思わず着替え中の女子を見てしまった男子中学生』みたいなリアクションでしたねぇ、あはははっ」

その後薔薇の館に向かった祐巳は、ちょうど乃梨子が志摩子にチョコを渡した場面に出くわしてしまいました
その光景に激しくうろたえまくって外へ飛び出す祐巳。何をそんなに意識してるんでしょうか、
自分はさっき祥子の同級生達が大量にガン見してる中で普通に渡そうとしてたのに:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(い、いや、今のはある意味女子の着替えよりも見ちゃいけない感じだった…
 白薔薇姉妹2人だけの世界って感じで…ん?てことはさっきの私とお姉さまの姿も傍から見たら…)

「ひゃー!!もう恥ずかしい!!あぁやだやだやだやだんんもう恥ずかしいぃぃ〜!」

「…祐巳さんって…」

「…見ていてかなり面白いですよね…」

祐巳さん落ち着いてください!他の人たち引いてますから!(えー
一体どうしたんでしょうか今日の祐巳は、いつぞやのキャーキャー言ってたママと同じような騒ぎようですよ
頭が百合に染まりすぎておかしくなってしまったとしか…(えー

「…あ…」

一方その頃、校舎に戻ってきた祥子と偶然鉢合わせしてしまったドリル…
祥子には前回あんな無様な姿を見られてしまったので、ドリルにとっては相当気まずいはずです
そして祥子に軽く一礼したドリルは、さっさとその場を去ろうとしますが…

「逃げるの?」

「…!?」

「今日の宝探しのことよ。出るの?出ないの?」

「…おっしゃっている意味が分かりません。たとえ出ないとしても、
 逃げると言われる筋合いはないと思いますけれど!」

ところがそんなドリルを逃がすまいとちょっかいを出す祥子!そういえば茶話会の時も階段でこんな会話してましたな…
また今日もあの時のように、きつい言い合いが始まってしまいそうな感じです

「そうかしら、私にはあなたが祐巳から逃げているように見えるわ」

「…」

「祐巳と向かう合うの…恐い?」

「え…!?」

「恐いわよね…私も恐いもの。あの子はまっすぐだから…あの子はそんなつもり
 全くないんでしょうけれど、一緒にいると自分の弱い部分を突きつけられるわ。
 まるで歪みも曇りもない鏡に映し出されるように…
 見たくない、認めたくない、そんなものまで…」

「…」

ドリルが祐巳から逃げたがる理由…それは祐巳が恐いからだと祥子は言います。
そういえばドリルは、祐巳との初対面で第一印象が「恐ろしいと思った」とかワケの分からないことを言っていましたが…
あの時も、この祥子に指摘された通りのことを感じてたっていうことでしょうか

「…それでも一緒にいらっしゃるのは何故なんですか…?」

「決まっているでしょう?祐巳が好きだからよ。弱い部分を突きつけられるのは
 確かにきついけれど、そんなことより祐巳と一緒にいられなくなる方が辛いわ。
 私はね、今の自分に嫌な部分があるのなら、祐巳という鏡に映りながら
 その部分を変えていければいいと思うようになったのよ」

「…なぜ今そのような話をするのですか、私のことなんてもう…」

「いつか祐巳が妹を作る日が来るって覚悟していた…
 あの子の妹になるのはどんな子だろう、そう考えるのは楽しくも寂しくもあった。
 でもあなたは私のライバルにすらなってくれない。今日の宝探しでも、
 私のライバルになるとしたら瞳子ちゃんしかいないと思っていたけれど…
 スタートラインにすら立ってもらえないのであれば、仕方ないわね」

いつか祐巳に妹が出来た時は、祐巳を取り合いになるのが楽しみであり寂しくもあった祥子。
しかし結局そんな日を迎えることもなく、祥子の卒業はもう目前になってしまいました
祥子にとって今日の宝探しイベントは、まさしく祐巳を賭けて競い合える最後のチャンス…
それだけに張り合いのあるライバル(妹)を求めていましたが、ドリルがこんな調子ですっかり拍子抜けしてしまったようです

「…」

「(すたすたすた)」

「…待ってください!!」

「失望したぜチキン野郎」とその場を去ろうとする祥子でしたが、それを決意の表情で呼び止めるドリル!
おお、ついに参加する気になりましたか…結局参加しなかった茶話会の時とは逆の結果になりましたな

「これより、次期薔薇さまのお宝探し大会を始めさせていただきます!
 赤・白・黄色それぞれ1枚ずつのカードが、
 お配りした地図の斜線が引いてある区域のどこかに隠されています。
 最初に探し当てた人には、次期薔薇さまとの半日デート権が授与されます!」

そして放課後、祥子やドリルが火花を散らす中ついに開催された宝探しイベント!
大勢集まった参加者の生徒達が、開始と同時に一斉に散らばっていきますが
祥子は祐巳の姉というアドバンテージがあるために、他の生徒より5分遅れてのスタートとなるようです
しかしそんなハンデを負っても祥子は余裕綽々。「ならその間茶でも飲むか」と、薔薇の館でゆったりと5分過ごすことに…

「な、なんで祥子さまはずっとこの部屋でお茶ばかり飲んでるのよ…!?」

「わ、分からない…」

ところが何十分経ってもずっと薔薇の館で茶を飲み続ける祥子!何をそんなにくつろいでるんですか!飲んどる場合かーッ!(えー

「ロサ・キネンシスはすでに祐巳さまのカードがどこにあるか、予想がついていらっしゃるんですか?」

「いいえ」

「では探すのを諦めてしまわれたんですか…?」

「どっちも違うわよ、私は祐巳のカードを見つけたくてこのイベントに参加したんですもの。
 でも闇雲に探し回っても見つかるわけないでしょう?だから、今はここで待っているの」

「何を待っているんですか?」

「ロサ・キネンシス・アン・ブゥトンがボロを出すのをね」

「うっ…」

ぬう…祥子の思惑は、祐巳にプレッシャーを与えて隠し場所の手がかりを掴むことのようです
でもこういうのは「自分ならどう隠すか、相手ならどう隠すか」を考えながら探し回るから楽しいと思うんですが、
こんな裏技じみたことをして勝とうとするとは、結構汚いですね祥子さま(えー

ペラペラペラ ペラペラペラ

一方ドリルは、その頃社会科準備室で一心不乱に本をめくりまくっていました。
「祐巳のカードはきっと本の中」と推理しての行動のようですが…って、ドリルがさっきからめくっているのは日本の白地図!
うーむなるほど、もしも祐巳がドリルにカードを見つけてもらいたいと思ったなら、
ドリルの過去を象徴する白地図に隠したかもしれないですもんね

「残念ながらそこにはないわよ」

「っ!?……そのようね」

「白地図…?祐巳さまと瞳子の間に、白地図にまつわるエピソードでもあるの?」

「…」

ところがそんなドリルに「なに無駄なとこ探してんの?」と忠告をしにやってきた乃梨子!
せっかくやる気になって探してるのに、そんな白けるようなこと言わなくても…(えー
まったく動き回ろうとしない祥子といい、こいつらに「よーし楽しくカード探すぞー!」ってイベントを楽しむ気はないのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「瞳子は祐巳さまを甘く見すぎてる。祐巳さまは瞳子のことを
 大切に思っているけれど、瞳子だけしか見えてないような人じゃないよ!
 私分かった…今の瞳子はきっと、こんな狭い部屋で
 祐巳さまを探しているみたいなものなんだ!
 でもいくら探したって、祐巳さまはこんな所にはいないんだよ。
 祐巳さまは瞳子が思ってるよりずっと大きくて、
 こんな部屋に入り切らないくらい大きくて…だから瞳子には見えないんだ。
 いつまでも狭い場所で一人でくすぶっているようじゃ、祐巳さまの心には届かない。
 そんなんじゃ祐巳さまのカードは決して見つけられない!」

「瞳子に見つかりやすい場所に隠したって?そんな考えじゃ一生見つかんねーよ」、この部屋の捜索を思いっきりダメ出しする乃梨子。
ちょっと期待して探してただけなのに、ここまで言われなきゃならないもんなのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
それに祐巳はドリルが考えてるよりずっとずっと大きい存在ということですが、ついさっき
「あぁやだやだやだやだんんもう恥ずかしいぃぃ〜!」アホの子すぎる祐巳を見てるだけに
なんで乃梨子がそこまで祐巳を大者だと思ってるのかむしろ不思議:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(…祥子さまは…なぜあの人を妹に選んだのか…)

(決まっているでしょう、祐巳が好きだからよ)

(…好きだ…から…)

乃梨子がその場を去って一人残されたドリルは、祐巳と祥子の関係について考え込んでいました。
なぜ今祥子を思い浮かべるのかよく分かりませんが、自分と祐巳の関係と比べてのことでしょうか?
そして「なぜ祐巳を妹にしたのか」というドリルの疑問に答えるように、再び思い出される祥子の言葉…
祐巳のことを好きだから。そのことを自覚した時、ドリルは社会科準備室をドタドタ凄い勢いで飛び出してしまいます

「祐巳」

「は、はい!」

一方その頃、ついに重い腰を上げて動き出した祥子。全てを悟ったような表情で祐巳に話しかけますが、
ただずっと茶を飲んでただけで本当にカードの隠し場所を見破ってしまったのか…?

バタァァァァン!!

「祐巳さまぁぁっ!!」

とその時、全速力で駆けながら薔薇の館に飛び込んできたドリル!
もしやドリルもカードの隠し場所はここだと目星をつけて…?2人とも一体どういう理由で気がついたんでしょうか
ともかくカードの場所に気づいたのはドリルと祥子の2人だけ、果たして祐巳とのデート権はどちらの手に…次回に続く!


■マリア様がみてる 4th season 第13話「あなたを探しに」
 

バタアアアアン!!

「と、瞳子ちゃん…!?」

「祐巳さま…今まで数々のご無礼、お許しください!」

「え…?」

「そのうえで…私を祐巳さまの妹にしていただけませんか!?」

「…!?」
な、なんだってー!?カード探し関係ねー!!(えー
大急ぎで薔薇の館に飛び込んで来たドリル、てっきりここにカードがあると察しての行動かと思ってましたが、
どうやらすでにカードのことなんて頭になく、ひたすら祐巳の妹になりたいという気持ちを伝えに来たようです。
これにはその場の全員が目を丸くするばかり…

「え…あ…?」

突然のことに頭がついて行かず、ポカーンとしながら思わず立ち上がってしまった祐巳。
その時、今まで祐巳の座っていた椅子を見てみると紅いカードが!なんとカードの隠し場所は祐巳の尻の下!
なるほど、祥子が「お立ちなさい」って言ってたのはこういうことだったのか…完全にカードの在り処を見破ってたのね

関係ないんですけど、カードが見つからなかった場合は投票によって隠し場所を当てるそうですが、
そこで「祐巳さまのお尻」と書くようなツワモノは誰もいないだろうな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「紅いカードは瞳子ちゃんのものね」

「え?ですがロサ・キネンシス…」

「私に権利はないわ、確かに祐巳に立ちなさいとは言ったけれど…でも、実際に祐巳を立たせたのは瞳子ちゃんよ」

ただ一人カードの隠し場所を突き止めた祥子も、ここは身を引いてドリルにカードを譲ります
確かに、波乱だらけだった祐巳とドリルがようやく結ばれたんですから
「でもカード見つけたのは私です残念でしたァー!!」なんて主張したら台無しすぎる:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「あの後どうなったの!?」

「ど、どうって…」

「デートの相談とか電話とかないの!?」

「え、と、特に進展なし…」

ところが、ドリルの申し出に祐巳は返事をしないままその日は普通に帰ってしまったようです。なぜにー!?
2つ返事でOKするかと思ったら何をモタモタと…由乃たちも2人の進展が相当気になっているようですが、
それだけでなく祐巳とドリルの関係は、すでに全校生徒の注目の的となっていました。告白の場面には一般生徒も大量にいたからなぁ…

「そう…」

「かなり噂になってるみたいだね」

「はい、私までみんなに取り囲まれてしまいました」

(早くロザリオを渡して、正式なスールになった方がいいのかもしれない…)

「あれから2人はどうなったの!?」「2人はどうなったの!?」と乃梨子まで一般生徒に取り囲まれる始末。
いつまでもモタモタしていると、こんな状態が毎日続くハメになってしまいます
さすがに早く結論を出した方がいいと焦り始めた祐巳は、暇を見つけて演劇部の練習場へと向かいますが…

「あ、やっと会えた!瞳子ちゃんのこと探してたんだ」

「ごきげんよう、デートのことですよね?」

「うん、どこか行きたい場所ある?」

「私が行きたい所でいいんですか?」

「もちろん!はい、これがデートの決まり」

「予算は一人2000円…昼食代を考えると、そう遠くへは行けませんね」

「でも定期で行けるところなら、一人2000円のランチが食べられるよ」

「あ、本当、ふふふふ」

ドリルめっちゃデレとるうううううう
なんですかこのニコニコ顔は!こんな和やかに会話するドリルなんて見たことないですよ
まさかこれほど仲良くドリルと会話する日が来ようとは…ここまで来るのに本当ハードルが高かっただけに、喜びもひとしおですな

(ちゃんと話をしないと…)

しかしそんな喜びに浸る余裕もなく、頭の中はロザリオを渡すことで一杯になっている祐巳。
なんとかして話を切り出そうと、意を決してドリルに話しかけますが…

「と…「瞳子ちゃん」…う!?」

「あら?ごめんなさい、お話し中だったのね」



いい所で邪魔すんなー!!誰かと思ったら演劇部の部長かい!
あんたって人は、祐巳が話を切り出そうとする瞬間を狙いすましたみたいに…
というかドリルをあれだけ気に入ってた部長のことだから、多分祐巳に嫌がらせのつもりでわざとこんなことを:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「寒いでしょう、よろしかったら中にお入りにならない?」

「い、いえ、部活動の邪魔をしてごめんなさい、すぐ失礼するので」

「そう、でも気になさらなくていいのよ?どうせ私達は2人きりだし」

「私たちはこの後たっぷり2人きりになるんだぜ」ってなんですか!イヤミですか部長!(えー
ドリルと話す時間ならこの後いくらでもあるのに、わざわざ祐巳との話を中断させるなんて…
まあドリルは部長のスールの誘いを蹴って祐巳に申し込んだわけですから、
「これぐらいの嫌がらせくらいやったっていいだろ」という心境なのかもしれませんが…

「あの…祐巳さま、お返事はデートが終わってからお願いしたいのですが」

「えっ」

返事を急ごうとする祐巳とは逆に、それは先延ばしにして欲しいと言い出したドリル。そりゃまたどういうわけでしょう
とにかくドリルはそう言い残すと演劇部の練習へ向かってしまい、2人はスールにならないままデートの日を迎えるのでした

「ごきげんよう!」

「ごきげんよう!じゃあ行きましょうか、まずはバスに乗ります」

そしてデート当日の朝、ひとまず駅で待ち合わせした2人は、そこからドリルが先導しながら目的地へと出発します
そんな2人のデート内容は、祐巳には目的地が知らされていない”ミステリーツアー”…
さっきの「ドリルの行きたい場所でいい」という会話の結果、「じゃあ行き先はお楽しみです」とドリルだけが知る目的地へ
出かけることになったようで…

(私たちはバスに乗って、私鉄の駅に出て、そこから電車に乗って、また別の駅で乗り換えて…
 瞳子ちゃんの立てたミステリーツアーは、東京からどんどん離れて行った)

次から次へと乗り換えを続けて、どんどん田舎の方へと向かっていく2人。移動にじゃんじゃんお金使ってますなあ
これじゃ目的地に着いても華やかなお店でお買い物みたいなデート気分は味わえそうにないな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
2000円でデートってのも足りないもんですねえ、食事代も相当節約しないとやばい気が…先生バナナはおやつに入りますか!(えー

「私が病院を継ぐと言うと、祖父がとても喜んだんです。昔の話ですけれど…」

「へっ?病院って…お祖父さんのだよね?」

「ええ…父は一人っ子なのに、医者にならなかったので。小さい病院なんですけれど、
 地元の方や患者さんに愛されていて…ですから絶対に閉鎖したくはなかったんです」

そんな長旅の途中で、唐突に昔語りを始めたドリル。身内の病院を継ぐ…ドリルの家の世継ぎ問題ってのは病院のことだったのか

「でも、祖父はあと3年をめどに引退すると…」

「え、じゃあ病院は…」

「今祖父を手伝ってくれているご夫婦に任せるそうです、
 私が病院を継ぐという話…誰も本気にしていなかったんです」

祖父がもうじき引退を迎えるために、そうなると松平家の人間がいなくなってしまう祖父の病院。
ドリルは小さい頃から「病院は自分が継ぐ」と言い張っていたようですが、きっとドリルの主張は家族達にとって
お子様の微笑ましい夢物語という風に受け取られていたんだろうなぁ
「ぼくは大きくなったらひこーきのパイロットになるー!」「おぉそうか、それはすごいなぁ」とかいう感じで(えー

「あと3年じゃ私は高等部を卒業するのがやっとで、医師免許にはまだ遠い…
 医者との結婚を考えましたが、反対されました。病院のために結婚なんてバカげているって…
 私のこと…もういらなくなっちゃったんだと思いました。そして…家出したんです。
 松平の家を継ぐということが、私にとっては生きていく拠り所となっていたんです…」

そんな家族の中で、ただ一人医者と結婚してでも病院継いだると、とんでもない事を計画していたドリル。
あの時家出したのは、そのことで親と口論になったからだったのか…そりゃ親も必死で止めますよね
病院は後継者もいるから潰れるわけじゃないんだし、松平家の手から離したくないってだけで結婚だなんて…
メチャクチャな話ではありますが、それでも養子として育ったドリルにとって「自分が松平を継ぐ」ということは
そこまでしてでもやり遂げたいことだったようです

「ごめん、わからない…どうして瞳子ちゃんは病院を継ぐことにこだわるの?」

「…(にこっ)」

なんでそこまでする必要があんの?と、ドリルが異常に世継ぎにこだわる理由が分からない祐巳。
そういえば祐巳は、ドリルが養子っていう事実をまだ知らないんでしたっけ…ドリルはそんな祐巳に、何も答えず黙って微笑みます
「いや私養子なんで」と話せば一発だと思いますが、さすがにそこまで一気に伝えるのも少々気が引けたんですかね

「祐巳さま、こちらです。祖父の病院は駅から離れているので、送迎バスが出ているんです」

ようやく電車を降りた2人ですが、今度はまた目的地へ向けてバスに乗らなきゃならないようです
そして駅から発進したバスは、どんどんと何もない山奥の方へ…なんかもう本当に遊べる場所なんてなさそうですな
これは病院だけ見たら今日は何も寄り道せずに帰るのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

(そろそろお昼…帰りの交通費を除くと、2人で使えるのはあと600円くらいか…病院の近くに、コンビニとかあるかなぁ)

「お腹すきました?」

「あ、い、いやその…!」

「もう少し待ってくださいね」

(わ、私ってばこんな時に何考えてるの!?)



そんなバスの中でぼーっと「昼飯なに食べようかなー」と考える祐巳。というか2人で600円ってことは、昼飯代1人につき300円だけ!?
これで外食なんて吉野家の牛丼くらいしか食うもんないじゃないですか!バナナはおやつに入りますか!(えー
マクドナルドを見つけてもハンバーガーセットすら頼めませんね、なんてわびしいデートだろう:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「おいしいね!そっかぁ、病院の食堂かぁ」

「よかった、お口に合って…ここなら予算内で食事できますから」

って、そんな残金のことはちゃんと想定済みだったドリル。2人が昼食を取ったのはリーズナブルな病院の食堂でした。
300円でもちゃんとした量のオムライスが食べられて、祐巳もなかなか満足できたようです

「おお瞳子!元気そうじゃないか!」

「お祖父さま!」

「(むにむに)家出してパパとママを困らせたんだって?でかした奴だ!」

そんな2人の食事中に現れたのは噂のドリル祖父!この人がそうなのか…もっとヨボヨボの爺ちゃんを想像してましたが
ドリルの頬をむにむに引っ張ったり、「でかした奴だ」とジョークを飛ばしたり、かなり元気なユーモアじいちゃんのようです

「こちら学校の先輩の、福沢祐巳さま」

「初めまして」

「おお、あなたが祐巳さんか!瞳子をよろしくお願いしますよ、ビシビシしごいてやってください!」

祐巳ともフレンドリーに挨拶を交わすと、ニコニコしながら仕事に戻っていったドリル祖父。これは患者さんにも人気がありそうですな

ドリル祖父と別れてオムライスを片付けると、2人は病院の敷地内をぐるりと散歩し始めます。
まったりと和やかムードであちこち回る2人でしたが、やがて病院から少し離れた道路沿いを歩いていくと…

「この辺りだと思います…16年前、交通事故がありました。緩やかなカーブでトラックが対向車線にはみ出して、
 乗用車にぶつかったんです。乗用車には若い夫婦が乗っていて、事故が原因で亡くなりました…
 そのチャイルドシートには、生後間もない赤ん坊が寝ていたのですが、その子だけが無傷で助かって…
 一人助かった赤ちゃん…その子が私なんです」

なんと、その道路とはドリルの生みの親が亡くなった死亡事故現場!こんな病院の目の前で交通事故が起きたのか…皮肉な話ですな
実の両親のことを思い出すのは今でも相当辛いのか、話を続けるドリルはどんどん涙声に変わってしまいます

「私は…両親を一度に失って…」

「も、もういいよ…!」

「いいえ、聞いてください…!両親を失って、施設に入ることが決まって…
 でも直前に、松平の両親が引き取って育ててくれたんです。
 その松平の母がこの人で…この人が、この人が私を生んでくれた…」

そしてドリルが取り出したのは、若かりし頃の育ての母生みの母が一緒に写った写真でした。
2人はリリアンのクラスメイトだったのか…ちなみに右から二番目のドリル頭が松平母、一番左の短髪が生みの母だそうです
というか松平のおばちゃん昔はこんなドリル頭だったんか!!あんな普通のおばちゃんがこんな奇抜な髪型を!(えー
もしかしてドリルがこれと同じドリル頭にしてるのって…松平家の本当の子になりたいという気持ちの表れで、
松平母が昔愛用してた髪型を真似してこうなったんだろうか…

「松平の子じゃないってことは、大分前から知っていました…無神経な大人たちが喋ってるのを聞いたりして、
 もしやと思っていたんです…ある程度知恵がつけば、戸籍を見れば分かります。
 私…今の両親が大好きなんです、でも傷つけてしまった…病院のことで意見が合わなくて叫んでしまった…
 ”私なんてもう要らないの”って…両親はその時まで、私が知っていることを気づいてなかったのに…」

「どうして…私に話してくれたの…?」

「祐巳さまには…私の全てを知っていただきたかったんです…」

(これが…柏木さんの言っていた瞳子ちゃんの秘密…)

とうとう全てが明らかになったドリルの秘密。見てるこっちも具体的に分からずに悶々としてただけに、
やっと明らかにされてすっきりした気分ですな。こうなると、柏木さんからドリルの事情を聞かなかったのも正解だったんだなあ
やっぱりこの秘密はドリルの口から聞くことに意味があったんだろうし…
あそこで事情を尋ねていたらバッドエンド直行だったんだろうな、ギャルゲー的な意味で:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「結局…私は小さかったんです。乃梨子にも言われたことがあるんです、
 小さい所にいるから大きなものが見えないんだって…」

こーなっちゃあーいけねーぜ
冷静に広く見ることが大切だな
(えー


(C)荒木飛呂彦/集英社

やっぱりそれは間違いだったと気づいたんですね。そんな風に落ち着いて過去を振り返ることが出来るのも、
今では祐巳や乃梨子との関係が、新たに自分の拠り所になっているからなんでしょう

「私、祐巳さまのこと嫌いでした。明るくて無邪気でなんでも持っていて、
 ドロドロした所なんて全然ありませんみたいな顔をして…」

「いやぁ、人並みに持ってるけど、ドロドロ」

「祐巳に秘密を全て打ち明ける」という旅の目的を達成し、帰りの電車に揺られていく2人。
あれこれと祐巳に対する文句を口にするドリルですが、その表情は実に晴れやかです

「私はきっと祐巳さまのようになりたかったんです、でもなれない…もう傍にいない方がいいとさえ
 思ったのに、祐巳さまは私が必死で作った垣根をずんずん壊してやってくるし」

「人を怪獣みたいに言わないでくれる?」

「本当のことですもん。そのうち祐巳さまの妹候補だなんて噂まで立ってしまって、
 私は祐巳さまに嫌われるようなことばかりして…なのに本人が唐突に、妹にならない?って」

「ごめん」

「あっ…」

「まったくあんたって人はよー」と止まらないドリルの愚痴でしたが握手一つであっさり撃沈です
百合パワー恐るべし。まあドリルかわいいし、最終回くらいは百合嫌いの私も大目に見てあげます:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「すう…すう…」

そんな風に祐巳と手を握っているうちに、やがて寝息を立て始めてしまったドリル。
今日は一日ずっと自分の秘密を語りっぱなしでしたし、だいぶ疲れてしまったんでしょうね

(もうちょっと待っててね、明日学校に行って…それから…)

そんなドリルを微笑ましく思いながら、手の中のロザリオに語りかける祐巳。
なかなかドリルに渡せなかったこのロザリオも、明日はようやく受け取ってもらえる時が来そうです

「すう…すう…」

そしてドリルにつられるように、自分もまた眠りの中へと落ちていく祐巳。そんな祐巳が夢で見ていたのは、
祥子とマリア様に見守られながら、ドリルと姉妹の契りを交わす姿でした。今はまだ祐巳の夢かもしれません、でも明日になったその時は…

マリア様がみてる第4期・完

と、いうわけでマリみて第4期はこれにて終了です。感想としてはとても綺麗に終わった最終回だったんじゃないでしょうか
やっぱりドリル関係の山ほどあった伏線を、きっちり最後に全部消化してくれたのが大きかったですね
最近のアニメにありがちな、アニメ本編で張った伏線を小説やドラマCDで消化するってやり方が私は嫌いなので
なおさら本編中にまとめたこの最終回はよかったなーと思いました

まあ4期全体として見れば、あちこちのエピソードがカットカットの連続で、原作ファンの人たちはかなり不満を感じてたと思いますが…
それでも個人的には、1〜3期と散々不遇な扱いだった柏木さんが4期でやっと活躍したりとか
マリみて最大の迷場面「お兄さま、おしっこ!!」が完璧すぎる仕上がりになってたりとか、
満足した事の方が不満よりずっと大きかったですね。マリみて4期、いいアニメだったと思います。スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした





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