■大正野球娘。
第6話「球は荒野を飛び回る」
「今日は皆さんにとっても大事なお知らせがあります!
これまで皆さんは基礎練習を積み重ね、日々体力を養ってきました。
ですからそろそろ次の段階に入ってもよい時期と私は考えます!」
「も、もしかして本格的に野球の練習を始めるんですか!?」
「イエース!」
「わぁ〜!」
「ただ私は、愛する叔母の看病のために長崎に行かなければならなくなりました」
「ええ〜!?」
夢見させるようなこと言うなー!!(えー
前回からしばらく経ったある日、ようやくアンナ先生からランニング地獄卒業の認定を受けた小梅達でしたが、
いざまともな練習を始めようという時に「ごめん急用が入っちゃった」とアンナ先生は長崎へすっ飛んで行ってしまいました
そんなアンナ先生が留守の間、小梅達に残されたのは野球部のある中学校のリスト…
どうやらこれを使って、アンナ先生が帰ってくるまで練習試合をやりまくれということのようです
「”今回は謹んでお断り申し上げます”…」
「う〜ん、こっちもダメだあ…」
「全滅ですね…」
「も、もう一度出してみます?」
「同じところに?」
「この調子では無理ではないか…?」
「諦めてはダメよ!こうなればどんな相手でも構わないわ!なんとしても見つけ出しましょう!」
そんなリストの学校に、かたっぱしから何十通という練習試合申し込みの手紙を送った小梅達でしたが、
なんとその全てが「やだよ女と練習試合なんて」と断られてしまいます
これには桜花会の誰もが沈んでしまいますが、唯一「こうなったら誰だっていいから試合してやる」と鼻息を荒げる晶子。
晶子のその言葉を聞いた小梅は、帰り道の途中にある野球チームを見つけて、ついにそのチームと試合の約束をしますが…
「正面突破でイセカイ界トータル!!」(えー
なんと小梅が連れてきたのは近所のお子様野球チーム!リーダー格の少年・太郎の声がバシンそのまんまだコレー!
バトスピ好きの私には嬉しい展開ですが、晶子としては「いくらなんでもガキ相手はねーよ」とかなり不満なようで…
「小梅さん、これは一体どういう事かしら」
「ほら、どんな相手でもいいっていうことだったから!」
「だからと言って小学生はないでしょ!」
「なんだとォ!?こっちだってお嬢様のお遊びに付き合ってる暇はねーんだよ!」
「お嬢様のお遊びですってぇ!?小梅さん!こんな子供が練習相手になるとは思えません!」
「なんだとォ!?もういっぺん言ってみろ!」
「太郎君たちは、毎日のように野球をしているんだよ?
子供だからって相手にならないなんて…手紙で断ってきた人と、どこが違うの?」
「う、うう…」
試合前からいきなり険悪ムードバリバリですが、小梅にたしなめられて渋々試合を始めることにした晶子。
そして一回の表・先攻は桜花会から…一番バッターはもちろん俊足の胡蝶です。となればここは内野安打での出塁に期待がかかりますが…
「アウトォ!」
「バッター打てないよー!ワンナウトー!」
ところが一応はゴロを打ったものの、飛んだところが悪かったのか一塁には間に合わずワンナウト!
さらに二番バッターの雪はキャッチャーフライ、三番の環もピッチャーフライと簡単に打ち取られてしまいます
雪と環ですらこんな超絶凡打で終わりかよ!ピッチャーの頭すら越してねえ!
まあバシンは晶子よりも遥かにいい球を投げてるみたいだからしょうがないかもしれませんが(えー
「プレイ!」
「えいっ!」
ひょろひょろ
「おいおいピッチャーヘボだぜぇー!」
「なんですってぇ!?」
「小笠原、ヤジなんか気にするな!」
そして一回の裏・バシンチームの攻撃が始まりますが、晶子のひょろひょろ球を見てここぞとばかりにヤジりまくるバシン達。
環に「気にするな」と言われながらも思いっきり気にしまくりの晶子は、
コントロールを大きく乱して簡単に先頭打者を出塁させてしまいます
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「ボールボールフォアボール!」
「おいおい全然入らないぜー!」
「ぐぐぐぐ…!」
「タイム!晶子さん、大丈夫?」
「ストライクゾーンが小さいだけで別に問題はありません!!
小梅さんは心配せずに構えていてください!!」
「う、うん…」
あ、そういえば相手の背が低いからストライクゾーンも小さくなるのか…でも明らかに問題はそこじゃありません
小梅がなだめようとしても、完全に頭に血が昇ってカッカしている晶子。
この調子じゃ何点取られるか分かったもんじゃありませんが、ひとまず初回は2点だけでなんとか収まったようです
「よーし!次はこっちの番よー!!」
さあそして二回の表・いよいよ四番バッター巴の登場!環や雪でさえあれだった以上、打撃で頼りになるのは巴だけですよ!
ここは一発パカーンとホームランをブチかまして…
ぶーんぶーんぶーん
「ストライクバッターアウト!」
「あぁ…」
「ぶぁぁぁぁっかもん!!なんでもかんでも大振りするな!!」
「だってホームラン打ちたいんだもん…」
かすりもせずに三球三振!うわああああ巴ですらこんなんかー!!
あまりにもホームランを狙いすぎた巴の大振りに、思わずアンパイア役の環も壮絶にキレております
こんなに切れてる広橋涼の演技聞いたことねえ!(えー
「ふんっ!」
カキイイイン!!
「わわっ、わわわっ!?」
「…」
そして回は進み、桜花会に0点の行進が続く中、毎回得点を重ねて大量リードを奪っていくバシンチーム。
とはいえ桜花会の失点のほとんどはエラーがらみ…平凡なフライをお見合いして落としたり、
また鏡子が例のクソレフトエラーをやってしまったり…
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ク・ソ・レ・フ・ト〜ッ!(えー |
鏡子のエラーを見つめる晶子の視線があああああ!
完全に「クソレフトふざけんな」と切れておりますよ!しかし鏡子も、あんなトラウマになったエラーをまるで練習してないとはどういう…
はっ(゜д゜)そういえば朝香中との試合以来、桜花会の練習はランニングしかやってないんでしたっけ…
そうなるとあの試合から進歩してなくて当然か…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「面白かったからまた相手してやるぜ!それまでにせいぜい精進してくんなー!」
「…小学生にも勝てないなんて…」
「…こんなザマでは、朝香中に勝つのは夢のまた夢だな…」
結局バシンチームには6回で19点も取られまくり、桜花会は最後まで0点のままみじめな敗北を喫してしまいます
まさか近所のお子様チーム相手にここまで手も足も出ないとは…ある意味、朝香中に負けた時以上にショックがでかいかもしれません
「問題は山積み、でもそれを解消することが出来れば、
私達は大きな勝利を掴むことができるはずよ」
そんな中で唯一前向きな意見を言ったのは乃枝でした。信用して大丈夫かな…(えー
乃枝は前回さんざんズレたことを言いまくってましたからなあ
なんかもう「今の私は烈海王にだって勝てる!!」と同レベルのうさんくささを感じるんですが:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
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「対策その1、試合中は声をかけ合いましょう!誰がボールを捕るのか、
どこに投げればいいのかハッキリ指示を出すように!
対策その2、胡蝶ちゃんは今日から左打席に立ってちょうだい!
対策その3、晶子さんの制球力の強化!この枠の内と外ギリギリを
投げられるようになってちょうだい、出来れば低めに集めた方がいいわね!
対策その4、巴さんは大振り禁止!確実にヒットを狙える打撃方法にすること!」
こ、これは!?なんだか物凄くまともなことを言ってるぞ乃枝!(えー
声をかけ合うことでフライのエラーを減らし、胡蝶を左打席に立たせて内野安打の成功率を上げ、
何も考えずに投げている晶子に上下左右のコントロールを意識させ、大振りで凡退しまくった巴にミートを徹底させるという…
100年前のド素人の女子としては信じられないほど的を射た意見です
乃枝のやつ前回とはまるで別人じゃないか!(えー
「え〜!?それじゃホームランが打てなくなっちゃうじゃない!」
「昨日三振の山を築いたくせに大口を叩くじゃないか…」
「だってさ〜…」
「ねえ、どうしてそんなにホームランにこだわるの?」
「静は覚えてないの?朝香中との練習試合で見たあの打球、
まるで空の彼方に吸い込まれていくようだった…私もあんな打球を飛ばしてみたいの!」
って、なんですかこの巴の恋する乙女な表情は!?それだけ朝香中の4番が放ったホームランが鮮烈だったようですが…
しかしこれはいい傾向ですね、4番が打ったホームランへの憧れがそのままあの4番への憧れになったりしないだろうか、
そうなったら巴も百合を卒業して面白いことになるんですが:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「だってヒットなんかいつだって打てるもん」
「はあ!?」
と、ここで飛び出した巴の爆弾発言!なんと巴にとってはヒットなんぞ打てて当たり前、そんなの打ったって面白くないから
あえてホームラン一本に絞って大振りを繰り返していると…うーむ、にわかには信じがたい話ですな
早速それを確かめるために「んならこいつ打ってみろやーっ!!」と巴相手に投球を始める晶子!
すると巴は、目にも止まらないような鋭い打球をバカスカ打ちまくってしまいます
(C)鳥山明/集英社
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こ…こいつ…!
ハッタリじゃねえ…!(えー |
カキイイイン!!
「ね!」
「ふえ〜…」
「やっぱり巴さんはホームラン禁止!」
「ええ〜!?」
「そして最後の対策は特に重要です!晶子さんと鈴川さん!
ピッチャーとキャッチャーは一心同体、夫婦のようなもの…
その信頼関係が試合をいい流れに導いて行けると、私は考えます!
そこで2人は心を通い合わせ、真の夫婦になるよう努力して下さい!」
そして最後に乃枝から課せられた課題は、晶子と小梅の間に確固たる信頼関係を結ばせることでした
確かにさっきの試合でも「小梅さんは黙って構えててください!」と一人でカッカしたあげく
そこからどんどんドツボにはまっていった晶子…あそこできちんと小梅の「大丈夫?」という言葉に耳を傾けていれば、
ああまで大崩れすることはなかったはずです
「真の夫婦…?そう言われましてもねえ…」
「う〜ん…」
しかし「そんなこと言われてもなー」とまったく乃枝の言葉にピンときていない小梅達。
夫婦と言われてもどうしていいか分からず、ひとまず家に帰って親に相談してみますが…
「ねえお母さーん」
「んー?」
「あのね、夫婦になるってどういう事なの?」
「は…?なあに、やぶからぼうに」
「あ、ちょっと思っただけなんだけど」
「そう言われてもねえ…お父さんと一緒になって、その後を一生懸命ついて来ただけだしねえ」
「ふ〜ん…そんなものかあ」
うーん…なんというか全然ためにならない感じだな:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
というか小梅ママはまさに”家庭に入った女性”そのものというか、夫を支える良妻賢母なタイプの母親みたいですね
めちゃくちゃ美人なうえに夫を立ててくれるなんて、言う事なしの理想の嫁だなあ。ババア結婚してくれ!!(えー
「小笠原ー!この一週間の練習の成果を見せてやれ!」
「ふふふ…もちろんですわ…!」
そうこうしているうちに一週間が過ぎ、再び迎えたバシンチームとの練習試合の日。
復讐に燃えまくる晶子はいい具合に練習の成果を発揮し、なかなかバシンチームに鋭い打球を打たせません
「…っと!」
ぼこっ
「捕りまーす!」
「アウト!」
「ワンナウトー!」
「「「ワンナウトー!!」」」
「うーん…?なんだかこの前と違うなあ」
そして声をかけ合ってのエラー防止策、胡蝶の左打ちで内野安打、巴のミート打法と面白いように乃枝の作戦がヒットし、
4回までで9対0と圧倒的な試合展開を見せる桜花会!この調子で行けば、もはや勝ちは間違いないような感じですが…
ところがどうしたことか、5回以降はぱったりと追加点が取れなくなり、それどころか一気に大量失点を許してしまう桜花会!
とうとう10対10と同点にされて9回にもつれ込み、ツーアウトランナー二・三塁という大ピンチを迎えてしまうことに…
「はあ…はあ…はあ…」
「タロちゃーん!ピッチャーバテバテだぜ!打てる打てる!」
「タイム!晶子さん、大丈夫?球が浮いてきているから、川島さんが言っていたように低めに集めた方が…」
「それぐらい分かっています!私はまだ大丈夫ですわ!
投げることに関しては、ピッチャーの私が一番よく見えますもの!
ここは私が抑えますから、小梅さんは安心して構えていてください!」
(C)井上雄彦/集英社
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まるで成長していない…(えー |
またしても声をかけてきた小梅に向かって、前回と同じようなことを口走ってしまう晶子!
「安心して構えてろ」ってこんなに安心できない態度がありますか!
そして迎えるバッターは晶子にとって宿敵同然のバシン。そんな最後の勝負の結果は…
「惜しかったなーあ!次の試合までせいぜい練習してくんな!」
完璧に逆転タイムリーを打たれて晶子撃沈!最終的に10対12となりまたしても敗北!
しかし今回の最大の課題は明らか…終盤で晶子があんな大炎上さえしなければ、すべて上手くいって勝っていたはずです
「今日の試合を見るに、あなた達はまだ心を通わせているようには見えません!」
「(ぷいっ)努力はしていますわ」
「嘘おっしゃい!マウンド上で夫婦喧嘩をしていて何が努力よ!?」
「そう言われても、たまには上手く行かないことだってありますわ!」
いくら乃枝が説教しても反省の色なし!晶子ダメすぎる…2試合連続で自分が試合をぶっ壊したのに完全に開き直ってます
そういえば最初の試合でも「チッあれぐらい捕れよ使えねえな」って顔してたし、
もしかして凄く自己中心的な性格なんだろうか:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「何かいい方法はないかしら…?」
「え?そんなの簡単じゃない!例えばぁ!……え、ええっと……」
コンビ仲を深める方法を尋ねる小梅でしたが、これまで冴え渡っていた乃枝の頭脳もとうとう電池切れを!(えー
今日は普段からは考えられないくらい頑張ったもんな乃枝…電池が切れちゃう気持ちも分かるからゆっくり休め…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「夫婦ならいっそのこと、一緒に住んでみるのはどうだ?そうだ、新婚生活を始めてみろ!」
「はあ」
「それよ!あなた達は可及的すみやかに新婚生活に突入すること!
そして必ず心を通わせなさい!」
「はあ」
そんな時環からとんでもない提案が!なんと2人きりの新婚生活を…ってなんつー淡白な反応!?
これが普通の百合アニメだったら「えええええ!?夫婦ううううううう!?」
「ししししし新婚生活うううううう!?」と激しく赤面しながら慌てふためく場面なだけに、
「はあ」で終わらせた小梅達が面白すぎます。こんな話の流れでも百合の匂いを感じさせないってのはいいことですな
「今晩はよろしくお願いします」
「い、いえいえこちらこそ、こんな汚い所へようこそ!」
「何か入り用のものがあったら、遠慮なく言ってね」
「はい、ありがとうございます」
というわけで、早速その日の晩にすず川へ泊まりにやってきた晶子。
大富豪の令嬢を前にしてへりくだりまくりの小梅父に対して、「遠慮なく言ってね」と自然体でタメ口な小梅母が印象的ですな
やはり「お父さんについてきた」とは言っても、実際は一家を取り仕切る肝っ玉母ちゃんなんだろうか
「おーい小梅!腕によりをかけてお嬢さんの晩ご飯作れよ!」
「もちろんよ!晶子さんはお茶でも飲んで待っていてね!」
そんな晶子の夕食を作るのは、小梅父でも三郎さんでもなく小梅本人のようです
やはり心を通い合わせるのが目的だから、料理の上手い人に任せるより自分で作ろうと考えてのことのようですな
とんとんとん
とんとんとん
「どうぞ」
「あっ。ありがとう!」
じゅわじゅわ
じゅわじゅわ
「はい」
「あ、ふふふ」
ところがそんな料理風景を見てみると、小梅が欲しい食材や皿を必要なタイミングぴったりに必ず出してくれる三郎さん!
こ、これは!一言も「あれ取ってーこれ取ってー」と言われていないのに、完全に小梅と心が通じ合っているかのようです
うおおそしてこの幸せオーラ満開の表情ときたら!小梅×三郎さんは間違いなく最強
いやあここまで夫婦そのものだとニヤニヤが止まりませんな、完成したオムレツを眺める2人の表情が
「私たちの赤ちゃん」を見つめる顔に見えてくるから困る:;y=_ト ̄|○・∵. ターン
「小梅さん、お2人仲睦まじい感じでよかったわぁ」
「え?」
「三郎さんのことです、ああいうのを阿吽の呼吸って言うんじゃありません?」
そんな最高ほんわかカップルの姿を見ているうちに、晶子もすっかり和んでしまったようです。そりゃそうだろうなあ
「残念だけど…私と岩崎じゃああはいかない」
い、岩崎ー!!(号泣)こんなところでも否定されなければならんのかあの男は!なんという哀れな…
岩崎の方は晶子と仲直りしようと頑張ってるのに、晶子のほうは「岩崎あいつ話になんねーわ」ともう完全に諦めムードなのが
あまりにも可哀想すぎるだろ:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン しかも岩崎って呼び捨てだし…晶子…
「そんなんじゃないのよ、私と三郎さんは。三郎さんはうちに来てもう4年になるし、
一緒に店で働いているからじゃないかなあ」
「ふふふ、つまり似合いの夫婦ってことね」
「へ?」
「小梅さん、次の試合は今までと違うやり方を試してみましょうよ!」
小梅は三郎さんとの恋愛をまだ意識してないみたいですが、晶子はもう2人を夫婦認定する気満々です。これはいい傾向ですなあ
そんな夫婦のお手本の姿を目にした晶子は、ついに夫婦というものがどんなものかを実感できたようです
そして3度目となるバシンチームとの試合、晶子はこれまでとは違う試みを小梅と試してみることに…
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「これより、桜花会と坂下小の練習試合を始めます!」
「小梅さん、今日はあなたの構えたところに投げるから、よろしくね!」
「へ!?」
「相手の苦手なコースを探して、私に指示して欲しいの」
「そ、そんなの無理だよぉ」
「大丈夫、できます!私達は夫婦でしょ?ですから小梅さんを信頼して預けるんです」
「…分かったわ、やってみる!」
そんな試みとは、今までのように晶子が好き勝手に投げるのではなく、小梅がバッターをよく観察してリードを組み立てるというものでした
いわゆるひとつのインサイドワークというやつですな。そしてバッターの立ち位置や構えからして、打ちにくそうなコースを要求する小梅。
その作戦が見事にはまり、今回はバシンチームに大量点を許さないまま終盤へと突入します
「いよーしタロちゃん、ここで引き離そうぜ!」
「タイム!球が浮いてきているわ」
「ええ…低目ね」
しかし終盤ともなると、やはりスタミナが切れてきてしまう晶子。甘い球が増え着実に点を取られ始めたところで、
因縁のバッターのバシンを迎えてしまいます。スコアは7対5でバシンチームの2点リード…
ここはなんとしても追加点を阻止して、逆転に望みを繋げたい場面ですが…
「それと、ちょっと思いついたんだけど…今より遅い球って投げられる?」
「…?やってみましょう」
「私がこうしたら、遅い球ね!」
そんな土壇場で小梅が思いついたのは、緩急をつけてタイミングを外すピッチング!
それに「手をグーにしたらスローボール」という簡単なサインではありますが、ついにサインプレーまでも自分達で考え始めました
さっきの乃枝の時もそうでしたが、誰に教えられたわけでもなく自分達で考えたってのが凄いですね。小梅達の創造力は大したもんだなあ
「えいっ!」
ふわ〜り
「う…お!?」
「アウト!チェンジ!」
そして打ち気にはやっていたバシンはまんまとスローボールに打ち取られ、これ以上の失点を阻止した小梅たち!
8回裏には1点を返して7対6、9回表も環と雪の華麗な6−4−3ダブルプレーなどで失点を許しません。この2人はさすがにうめーなあ
そして1点を追う9回裏、桜花会最後の攻撃は…
「ツーアウトなー!しまっていこうぜー!!」
「おおー!!」
ツーアウトを取られながらもランナーは一塁、そして迎えるバッターは4番巴!
ここは否が応でも逆転打に期待がかかるところです、しかしランナー一塁では相当な長打を打たなければ…
「巴さんこれよ!これ!」
「…」
しかし乃枝の判断は、一か八かの長打よりも確実な単打。今度もまた巴に大振り禁止のサインを送りますが
当の巴はまったく聞こえていない様子でただただバットを握るのみ!これはもしや、極限の集中力で周囲の雑音が耳に入らなくなるという
かの有名なゾーンという境地なのでは!?くるか巴の打法開眼!!
(野球の神よ…願わくば仲人となり、我が思いを成就させたまえ…!)
ビシュッ!
「ふうううううんッ!!」
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ぶうーん |
「ストライクバッターアウト!貴様はいい加減に学習しろオオーーッ!!」
うわああああああ空振り三振かよおおおおおお!!
こんだけ盛り上げておきながら「やっぱ無理でした」って三振で試合終了!巴お前ってやつはー!!
まったくいい意味で予想を裏切ってくれる面白い奴です巴は
というわけで今度もまた惜しくも敗れてしまった桜花会。とはいえ存分に自分達の力を発揮できた試合内容に、
小梅は満足気な表情ですず川へと帰宅するのでした
「ただいまー!」
「あ、お、お帰りなさい…!」
「…?」
ところが家に帰ってみると、いつもニコニコ爽やかな三郎さんが今日はやけにオドオド挙動不審な感じです
わけも分からず小梅がきょとんとしていると、その時「ちょっとこっちこい」と小梅父に呼ばれることになり…
「お前、今年で14だったよな?」
「うん、そうだけど」
「なら6つ違いでちょうどいいやな!」
「何が?」
「許婚だよ!」
「はぁ?」
「ハトが豆鉄砲くらったような顔してんじゃねーや!相手は三郎だ!」
「え…えええええええええええ!?」
うおおおおおおきたああああああ!!
まさかの親公認!本物の許婚だとおおおおお!!やべえええたまんねえええええ
これには小梅も顔を真っ赤っ赤にして激しく動揺しております、そりゃあそうでしょう
それにしても「お前ら結婚しろ」と言う親父がいい笑顔すぎる…どうやら親父も三郎さんのことは心底気に入ってるみたいですなあ
「オ、オムライス、あがりました…!」
「えっ!?はは、はい!」
ぴとっ
「!!」
「ひゃっ!?」
ガタトトッ!!
「あ、ご、ごめんなさいっ!」
「い、いえ、こちらこそ…!」
(ほ、本物の夫婦なんて…私にはまだ早いよぉぉ!)
野球娘くそ面白えええええええええええ!!やっべえええええええ
お互いに意識しすぎてギクシャクしまくりの2人がやばい、もうニヤニヤしすぎて死んじゃう!小梅×三郎さんの破壊力凄すぎだろ!
まさかこの2人がここまでの恋愛関係になるとは思いませんでした、これからの展開の期待感が高まりすぎてやばい
あと地味に三郎さんが小梅にオムライス渡すシーン、珍しくすず川が大量の客で賑わってましたね
客はキレンジャーおっさんだけじゃなかったんだ!(えー というわけで次回に続く
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