■大正野球娘。
第10話「私は何をする人ぞ」
「でもすごいね〜!別荘の管理人さんが、一流ホテルの元料理人だなんて!」
「料理も楽しみだけど、私としてはやっぱり温泉よね!」
「私は温泉も料理もどっちも楽しみ〜!」
「浮かれている場合ではないぞ!合宿というものは、もう少し禁欲的に行うべきではないのか!」
「ふふ、そんな格好のタマちゃんに言われてもね〜」
「なっ!?こ、これを無理矢理着せたのはお雪だろ!!」
さて今回、目前に迫った朝香中との試合に向けての総仕上げに、夏休みの合宿を組むことになった桜花会。
晶子の別荘がちょうど過ごしやすい高原にあるということで、そこに向けて小梅達はウキウキしながら移動していました
「今回の合宿はまたとない機会よ!これから2週間頑張って練習して、
私は巴お姉様との距離を一気に縮めるわぁぁぁ〜!!」
「きょ、鏡子…」
そんな中で「巴お姉さまとひと夏のアバンチュールを過ごすのだわー!!」と一番燃えまくっていたのは意外にも鏡子。
メキメキ野球の腕を上げている他のメンバーと違っていまいち目立ってない鏡子ですが、この合宿で一気にスーパーパワーアップして
巴に「きゃあああ鏡子ちゃんしゅごいのほおおお」と注目してもらいたいようです
「「「「(゜д゜
)ポカーン」」」」
「な、なんと申しましょうか…昨夜の嵐でご覧の有り様です、お嬢様…まことに申し訳ございません」
あ…?あ…?ところが小梅達が別荘に着いてみると、不運にも別荘は昨夜ひどい嵐に見舞われた後!
しばらくはとても泊まれないグシャグシャの半壊状態に…そして一流シェフの腕を持つという管理人さんも、
その時の被害で腕を骨折してしまったようで…これじゃ料理の方もダメですな…
せっかくいい旅夢気分でやってきた小梅達は天国から地獄、その辺の粗末な集会所で合宿を行うハメになってしまいます
「はぁ…集会所かぁ…」
「まあ…露天風呂は借りられるっていうし…」
「胡蝶ー!!早く早く!!」
「鏡子ちゃん、凄く張り切ってるねぇ」
「あはは…」
「私達も、鏡子ちゃんに負けていられないわよ!」
しかし誰もが「なんだよ話が違うじゃんかよー」とやる気をなくす中、唯一相変わらずの張り切りようでグラウンドに駆け出す鏡子!
動機はどうあれそのやる気は本物のようで、小梅達もそんな鏡子に触発されて練習に打ち込むことにします
「次、外野!」
「はい!!」
カキイイイン!
「オーラ…あ、あーあ」
「鏡子、最後まで追いかけなさい!」
「は、はい!」
「もう一丁!」
カキイイイン!
「(どたどたどた)…あ、あーあ」
「全力で食らいつきなさい、あなたの後ろには誰もいないのですよ!」
こ、この根っからのクソレフトがー!!
何やってんですか鏡子!あれだけやる気満々だったにも関わらず、いざノックで自分の方に際どいフライが飛んでくると
「あーあこりゃ走っても届かんわ」と早々に諦めるばかり!気持ちが萎えるの早すぎだろ…諦めたらそこで試合終了だよ!(えー
「ふん!ふん!」
「ほわ〜…」
「鏡子ー!上!上ー!!」
ばかーん!!
「ごふうっ!!」
しまいには素振り中の巴に見とれてる間にフライが脳天直撃して失神KO!!
なんてダメな奴なんだ鏡子…結局この日はまるでいい所を見せられないまま、練習を終えて食事タイムになってしまいます
「鏡子、大丈夫…?」
「うう〜…まだタンコブが引かない…」
「鈴川さん!さっきのライスカレーとっても美味しかったわ!あんなの初めて!」
「大したことないのよ、お父さんに教わった通りに作っただけだから」
どうやら今夜の晩ご飯は、骨折した一流シェフの代わりに小梅がライスカレーを作ったようです
そんなライスカレーの味を巴は大絶賛、さすが食堂すず川の娘は料理も達者なようですな
「いいな〜鈴川先輩…巴お姉さまに誉められて…はっ!?そうよ!距離を縮める手段は
野球である必要はないの!他の事で認めていただいても同じだわ!」
そして巴に小梅が誉められているのを見て、「よっしゃー野球はもう諦めて別のことで気を引くぜ!!」と再び闘志を燃やす鏡子!
がんばる方向が間違ってるだろ!!これが野球の合宿だということをお忘れですか鏡子さん!?
「「ええ!?勉強会!?」」
「そう、明日から毎日夏休み明けの試験に備えて、夕食後に行います!」
「「ええ〜〜〜?」」
「桜花会設立の条件に、”ベースボールと学業の両立”というものがあったことを
忘れていませんか?喜びと苦難は等しく天秤の上で釣り合っているものです。
どちらか一方を手にする事はできません」
「「ああ…はい…」」
ところが布団を敷いて今日はもう寝ようというその時、乃枝達から明かされた勉強会の存在。
小梅と巴だけが激しくブーたれている所を見ると、この2人だけ明らかにアンポンタンなようです(えー
しかしこれは鏡子にとってチャンスですな、巴が一年生以下のアホなら勉強を教えて感謝してもらえそうな…
「うう…合宿に来てまで勉強?いいわよするわよしてあげるわよ!」
「ちょ、ちょっと姉さん?」
「でも今夜だけは!好きにさせてもらうわ!!」
しかし相当勉強が嫌いらしい巴は、「うおおーっちっくしょー!!」とわーわー叫びながら力いっぱい枕を握り締めてしまいます
どうやら勉強をせずにすむ今夜だけは、枕投げで思う存分遊びたいようですが…
「お、おいバカバカしい事はよさんか。なあお雪」
「(にこにこ)」
「お、お雪?」
「(にこにこ)私も一度してみたかったの」
思う存分枕を人に投げつけてみたいのとニコニコ顔で物騒なことを言い出す雪!ええいこの腹黒め
しかし枕投げをやりたがっているのは巴と雪の2人だけ、他のメンバーは乗り気ではないようですが…
「石垣さんの言う通りよ、小学生の男子がするような子供じみた…(バゴッ!)
あ?よくもやりましたわねッ!!」
「バ、バカやめろお雪!(バゴッ!)うっぶ!?よくもやったなァ!!」
ところが晶子と環も枕をぶつけられると一転してやる気に!晶子の毎回激怒っぷりは異常
晶子はほんと毎回何かあるたびに激怒してるなぁ、岩崎の結婚生活とか考えただけで同情してしまうんだが:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「巴さん!逃げるなんて卑怯ですわ!!」
「へへーん早くかかってこーい!」
「あはははは、あはははは!」
バゴバゴオッ!!
「…」
雪死んだー!!なんてこと!環に枕をぶつけて調子に乗っていた結果、不運にも巴と晶子の攻撃に巻き込まれて
ピクリとも動かずに昏倒!ああ、これは食らった人間は必ずパンチドランカーになるという片山右京の菩薩掌状態!
もはや雪がまともに目覚めることはあるまい…自業自得とはいえ貴様らしくないみじめな最期だったな…(えー
「お、お雪!?おのれぇ、よくも!」
「石垣さん!巴さんの枕には殺意がこもっていましたわ。一緒に仇を討ちましょう!」
「え、ええ!?」
な、なにィー!?自分も巴と共犯なのに、「巴は最初から雪を殺る気だった」と環を丸め込んで味方につける晶子!まさに外道!
そんな環・晶子タッグに追い詰められてしまう巴、さすがに身体能力の高い環が加勢に入っては厳しいものがあります
「きょ、鏡子、どうしよう…」
「決まっているじゃない!巴お姉さまをお守りするのよおおおお!!」
ずるっ
「だああああ!?」
ばごしゃー!!
「あぁ…!?」
「さ、桜見、なんてことを!」
「す、すいません、巴お姉さまをお助けしようと思って…」
や、やりやがった!「はっはっは私が入れば2対2だ!!」と参戦した鏡子でしたが、うっかり足を滑らせて枕はあらぬ方向へ!
そして障子に勢いよくぶつかった鏡子の枕は、ご覧の通りの大穴を空けてしまいます。お泊まり先でこんなバカをやらかすなんて!
ぎーこぎーこ
「ふう…」
「後は障子紙を貼れば終わりね」
「ごめんね胡蝶、付き合わせてしまって…」
「いいのよ、そんなこと気にしなくて」
結局次の日、自分の手で障子を修理するハメになってしまった鏡子。ギコギコとまずは木の部分を修復するところから始めて、
あとは障子紙を貼れば終わりという所までこぎつけましたが…
「(すたすた)」
「はっ…!?あれは巴お姉様のワンピース!?」
ところがその時、みんなの服を洗濯しようと通りがかった記子。その中に巴のワンピースが混じっていることに気づいた鏡子は…
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!いい匂いだなぁ!きゅんきゅんきゅい!(えー
と、障子の修理は胡蝶に任せて記子の後を追ってしまいます。ゲー!!
「えっ、そう?休憩時間なのに悪いわね」
「後輩が先輩の手伝いをするのは当然のことです!!」
「それじゃお願いね!」
「はい!さーあ綺麗にしてあげるからねー!」
《鏡子、ありがとう》
「ヒャッハー!!」
ドザババババババババ!!
「あ…?あ…?」
や、やりやがったー!!記子に無理を言って洗濯を代わってもらったものの、あまりにも張り切りすぎてしまった鏡子は
巴のワンピースをパワー全開でメッタクソのボロ布にしてしまう!当然喜ぶどころが逆にどんより落ち込んでしまう巴。
その後も、台無しになったワンピースの代わりにセーラー服を着るハメになってしまうのでした。あーあ
「ここのところはこれにこれを代入して、こうしてこうしてこうすればこうなるのよ」
「「うう〜ん…」」
「巴、小梅、どうしました?それは一年生の問題ですよ」
「「はあ〜い…」」
そんなこんなでその日も夜となり、たのしいたのしいお勉強タイムがやってきました。
しかし巴と小梅は一年生の問題ですらさっぱり解けず、頭をうんうん悩ませており…
それにしてもアンナ先生の説明テキトーすぎですよ!
こうしてこうしてこうしてこうって何ですか、一体何をどうすれば!?
「うーんうーん…」
「小梅さん、どこが難しいのかしら?」
「ここのところが全然分からなくて…」
「ああそれなら、ここをこうしてこうやってこうすれば…」
「あ、そっか!ありがとう晶子さん!」
「どういたしまして!」
「(ニマアッ)」
「!?」
あ、晶子あんたって人はー!小梅に勉強を教えてあげながら「巴さん今どんな気持ち?ねえ今どんな気持ち?」と巴に勝ち誇った笑みを!
少しでも隙を見せたらこれとは鬼ですな晶子。晶子とは一度仲がこじれると、ずーっとケンカ売られまくるから困るなぁ(えー
岩崎の結婚生活を想像すると、もう大変なんてもんじゃないんじゃ…:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「巴お姉様!一年生の問題なら、私がお役に立てるかと!」
「あ、じゃあ2人で考えようか!」
「はい!」
↓十数分後
「「う〜んう〜んう〜んう〜ん」」
「…?2人とも一年生の問題に何を苦しんでるのよ、見せてごらんなさい。
ここをこうでこうこうこう、こうしてこうすれば、ほら」
「おお〜!凄いなぁ、さすが東邦星華いちの秀才!頼りになるわぁ!」
「うう…」
全然ダメじゃないですか鏡子!スポーツダメ家事ダメ勉強もダメだなんて、何か一つくらい取り得はないんですか!
ううむ…そういえば公式サイトの個人プロフィールを見ても、一人だけ全能力値が最低クラスだしなあ:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
結局また巴の役に立てずに落ち込みモードの鏡子、このままずっと何もできずに合宿を終えてしまうのか…
ごしごしごし
「よ、よせ、自分で出来るから…」
「何を恥ずかしがっているの、子供の頃はよく一緒に洗いっこしたじゃない」
「や、やめっ、くすぐった…!」
風呂キター!!ついに来たか皆さんお待ちかねスーパー風呂タイムが!
そうだ鏡子にも取り柄はなくともおっぱいがあるじゃないか!おっぱいおっぱい!
まあおっぱいで視聴者は喜んでも巴は喜ばないと思いますが:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「はっ!?そうだわ私も!」
《ありがとう鏡子…今度は私が…ね…?》
「キャー!!巴お姉様あああああ!!」
「あはは…わ、私もう上がるわね」
そして雪と環の洗いっこを見ながら、またも巴との性的な妄想を始めた鏡子。そんな鏡子の姿に、ついに親友の胡蝶ですら
「とても付き合い切れねぇ…」とギブアップしてしまいました。それでいいのか鏡子よ!
「あ〜いい湯でしたねえ〜!」
「大丈夫?足下見える?」
「タマちゃん、いいお風呂だったわね〜」
「ふんふんふふ〜ん♪」
と、そこでみんなが次々に風呂から上がっていく中、ついにお目当ての巴が登場!
なにげにメガネがなくて足下が見えない乃枝の、手を引いてあげてる記子がポイント高いですね
というか乃枝は、メガネ外して髪型変えるとめっちゃ可愛いな…正直桜花会の中でもトップクラスじゃないでしょうか
今まで散々バジルバジル言いまくってすいませんでした:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「ふぅぅ〜…(ざばざば)」
(巴お姉様が上がったら、すぐさまお背中をお流しするのよ〜!ふふふ!)
↓数十分後
「友をえらばば書を読みて〜♪六分の侠気〜四分の熱〜♪」
「…」
「あ、ねえ鏡子、一緒にお風呂入るの始めてよね?せっかくだから背中流してあげよっか!」
「…」
ざっばあーん
「きょ、鏡子ーッ!?」
ああせっかくの巴の申し出も時遅く時間切れ!湯船の中でずっと巴が上がる瞬間を待っていた鏡子ですが、
巴が来るより遥かに前から浸かりっぱなしだったせいで、ゆでダコ状態になり気を失ってしまうのでした
というか巴、体洗うより先に湯船に浸かるってちょっとアレだなあ(えー
みんなで使う風呂なんだから綺麗な体で入ろうぜ!
ちーん…ちーん…
「こ、ここは…?」
「鏡子…鏡子…」
そして風呂の中で気を失った鏡子は、やけに殺風景な川の中という妙な精神世界へやってきてしまいます
そこには巴と、なぜかトライアングルをチンチン鳴らしている胡蝶の姿が…
よくは分かりませんがこれが噂に聞く三途の川か…(えー
つまり鏡子はシンケンジャーの世界に迷い込んでしまっ:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ちーん…
「フライは捕れない」
「えっ…」
ちーん…
「障子は破る」
「と、巴お姉様…」
ちーん…
「洗濯も出来ない」
ちーん…
「勉強もダメ」
ちーん…
「さようなら、もうお姉様とは呼ばないでね(すーっ)」
「ま、待ってください巴お姉様!(ずぶずぶずぶ)あっ!?あああ…あああああーっ!!」
そして散々鏡子にダメ出しをしたあげく、忽然とその場から姿を消してしまう巴!
巴に見捨てられて慌てふためく鏡子ですが、その時自分の体が急にずぶずぶと川に沈んで行ってしまう!
らめえええ外道衆になっちゃう!外道衆になっちゃうううううう(えー
そして三途の川に深々と沈んでしまった鏡子の末路は…
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「まってえええええ!!行かないでえええええ!!
お願いいい誰かああああ誰か助けてえええええ!!」
「「「「…」」」」
「あああ…きょ、鏡子!鏡子ぉ!」
真夜中に寝ぼけてやかましい声で大絶叫!!鏡子もうダメだー!
当然ながら三途の川のことは全部夢のこと。現実の鏡子は、あれから寝室まで運ばれて寝かされていたようです
しかしみんなが寝静まった頃に、物凄い声でこうして寝言をわめき出してしまったと…
物凄く眠そうな環、笑顔で内心キレてそうな雪、そして明らかにブチキレている晶子という面々を見て
胡蝶も気が気じゃありません。というか晶子の短気っぷりをほんと誰かどうにかしてやって:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「あぁ…起きて迷惑、寝ても迷惑…」
「げ、元気出してよ、巴先輩とお近づきになる機会はきっとあるから…」
「はーいみんな!今日は合宿も中日になりました!
そこで思い出に残るレクリエーションを行いたいと思います!
それは肝だめし大会でーす!!」
「「「わああああ〜♪」」」「へげぇえっ!?」
「後で2人1組になるようクジを引いてもらいますから、覚悟しておいてくださいねぇ〜!」
「ね、ねえ、これ使えるわよ!私がクジに細工して、鏡子と巴先輩を同じ組にしてあげる!」
さすがにもう何をやってもダメだと落ち込む鏡子でしたが、そんな鏡子に天の助けのような肝だめし大会が勃発!
そして胡蝶の協力もあって、鏡子はまんまと巴とのペアになることに成功します。
というかみんなが喜んでる中で一人だけ「こわいこわい肝だめしこわい」とビビりまくっている乃枝…
これは意外ですね、てっきり晶子あたりが一番平静を装って大爆発しそうだと思ってたんですが:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「こここここの科学の発達した時代に肝だめしだなんてぇぇ、アンナ先生の無邪気さには呆れるわぁぁ!
タネの分かった手品なんて誰も驚きはしないのよぉぉ!」
「…」
そしてその日の晩、真っ暗な森の中でついに始まった肝だめし大会。一番手を行くのは、意外にも一番ビビリな乃枝と記子のペアです
明らかに恐いのを誤魔化そうとして、一人凄い勢いでペチャクチャ喋っている乃枝。
記子はそんな乃枝の早口に相槌を打つ暇もなくついて行きますが…
パキッ
「ひいえぎぇあああああーーっ!!」
「ああ!?お、置いてかないでえええええ!!」
全然ダメだこれー!!なんと小枝一本踏んだだけで乃枝逃走!!
明かりを持っている乃枝が逃げてしまったので、真っ暗闇に取り残された記子も乃枝を追って脱落!
まったく乃枝のやつめ…パキッと言ったら誰だ!と答えるのがいい男のお約束だというのに:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ズドドドドドドド!!
「…?あの2人ずいぶんと恐がりねえ」
「ね、ねえ、そういうあなたは何ともないの?」
「あら、これくらいなら全然平気ですわ」
そして2番手は晶子&静ペア。前から物凄い形相で乃枝達が引き返して来ましたが、晶子はケロッとそれを見送ってしまいます
ビビリどころか晶子は肝だめしなんぞ屁とも思ってないようですな…てっきりあんなに気が短いから気も小さいもんだとばかり:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「あぁ…でもあれだけはダメ、蜘蛛…あれを見るともう何も考えられなくなりますわ」
「…!!」
「…?どうなさったの?」
そんな中で「いや一つだけ苦手なものがあってだな…」と大の弱点な蜘蛛の話をし始める晶子。そ、そんな…
そのセリフって「どうぞ蜘蛛さん出てきてください」って言ってるようなもんじゃないですか!(えー
案の定急にビタッと足を止めてしまう静、そしてゆっくり晶子に向かって振り向くと…
|
|
「いいいいいいいいやあああああああああ!!」
「ふぎゃはあああああぎゃああああああああ!!」
「ううっ!?」「ひぃ!?」
お呼びとあらば即参上!!まるで晶子の言葉を「待ってました」というように、静の額に現れた巨大グモ!ぎええー!
2人とも即座にこの世のものとは思えない悲鳴を撒き散らして全速力で逃走!特に静の悲鳴が凄すぎる
プリキュアの美希もそうですが、静を演じるキタエリは汚れ役の時に凄い演技をするなぁ:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
ズドドドドドドド!!
「おかしいですねえ、どうして誰も来ないのですか〜…?」
そして晶子と静の凄まじすぎる形相を見て、3番手の環・雪ペアまでもが即座に脱走!
かわいそうに、森の奥でこっそり幽霊の格好をしているアンナ先生はいつまで経っても待ちぼうけです
ザボオオオオン…
「…?」
「巴お姉様、今のなんでしょうか?」
「鏡子、私の傍から離れないで」
「あ…はい〜!!」
そして唯一まともに進んで来たのは、意外にも4番手の巴・鏡子ペア。逃げ出してきた連中もポカーン(゜д゜
)と見送ってやり過ごし、
特に何事もなくアンナ先生が隠れている辺りまでやって来たようです。しかしその時、2人の周囲に響いた得体の知れない音…
身の危険を感じた巴は、鏡子を守るような体勢で音の方へと警戒を強めます
ざぼん…ざぼん…ざぼん…
「…」
「へぇぇうぷみぃぃぃ…」
モンスターが
あらわれた!う…ぎゃああーっ!!アンナ先生なんつー格好してるんですか!
どうやら待ってる間に足を滑らせて、近くの川に落っこちてしまったようですが…いきなりこんな怪人が出てきたら小便漏らすよ普通!
「えぎゃあああああああああああ!!」
案の定鏡子は思いっきり泣き叫びながら巴を置いて逃走!そ、そんな、自分から逃げ出してしまうなんて!
せっかくの2人きり作戦は何もないまま大失敗、そして一人その場に残されてしまった巴は…
「と、巴…大丈夫ですか?」
「…」
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俺を踏み台にした!?ゲー!!なんと逃げ出した鏡子にガスガス踏んで行かれてピクリとも動かない巴!
鏡子の奴なんてことを!愛する先輩をメッチャクチャに踏んで逃げ出すとはとんでもない奴です
というわけで巴と仲良くなるどころか散々な結果に終わってしまった肝だめし。
自分のやらかした事に気づいた鏡子は、肝だめしの後も部屋に戻らず川原で落ち込んでしまいます
「どうしました?恐いものを恐がるのは素直な感情です、巴も気にしてないですよ」
「もういいんです…どうせ私なんて、何をやっても駄目な人間なんです。きっと野球だってこれ以上…」
そんな鏡子に声をかけたのは、いつの間にか化粧を直してきたアンナ先生。
さっきまであんなズタボロだったのに、いつそんな身だしなみを整えて来たのか:;y=_ト ̄|○・∵.
ターン
「鏡子は本当にそう思っているの…?」
「…」
「鏡子、私に騙されたと思って、明日の朝一番にもう一度この川原に来てごらんなさい」
「え…?」
「あなたに必要なものがありますよ」
「野球だって私は一生クソレフトだし」と言い出した鏡子を、優しくさとすように明日の朝ここに来るように言うアンナ先生。
朝早い川原に一体何があるんでしょうか、ともかく次の日の朝、鏡子はその言葉の通りに川原へとやってきますが…
「あっ…!!」
「「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」」
なんと鏡子がそこで目にしたのは、誰に言われるでもなく自主的に練習に励む小梅達の姿!
そう、最初は完全なド素人だった小梅や晶子の飲み込みが早いのも、こうして影ながら人一倍の努力を続けていたからだったのです
「あの2人は、雪や環のように経験者でもなければ、巴ほど運動神経が良いわけでもありません。
けれど諦めたりせず、努力で食らいついています」
「アンナ先生…」
「鏡子、分かりますか?小梅も晶子も、そしてあなたも同じなのですよ」
「…先生…私、間違っていました。苦手なことから逃げていただけで、一歩も進んでいなかったんですね…
あの、まだ間に合うでしょうか」
「ええ…!何かをするのに遅すぎるということはありません」
「あ…!」
考えてみれば、今までああなりたいこうなりたいという願望はあっても、それを叶える努力というものを怠っていた鏡子。
どんな立派な夢でもそのための努力をしなければ、それは単なる妄想で終わってしまいます。
その事に気づいた鏡子は、勉強も野球もより一層やる気を出して懸命に取り組むようになるのでした
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「ん〜…できたぁ!!」
「あはっ…!!」
「…」
そして夜の勉強会でも、あれほど悩んでいた問題が頑張った結果ほらこの通り…って巴だけ出来てねえー!!
そういえばさっきアンナ先生は「小梅と鏡子は同じ努力タイプ」と言ってしましたが、
巴は違うタイプなので身につかなかったようです。巴ー!!
カキイイイン!!
「オーライオーライ!…くぅっ!」
フライの練習でも今までよりずっと力が入っている鏡子。今までは「こりゃ捕れんわ」と走るのをやめていた打球でも、
諦めたりせず必死に食らいついています。しかしそれでもガッチリキャッチとはいかず、なかなか結果が出ないまま
ついに合宿は最終日を迎えることに…
「次、レフトー!」
「はいっ!」
カキイイイン!!
そして今日もまた飛んでくる鏡子へのフライ。捕れるかどうか厳しいコースです、これも今までの鏡子なら諦めていた打球…
しかしその時、鏡子はスピードを緩めるどころか、逆に限界まで急加速してボールに思いっきり飛びついていく!
ドッザザザザアッ!!
地面に物凄い跡が残るくらいの猛烈なダイビング!しかしその甲斐あって、ついに鏡子は今まで捕れなかった打球を完璧にキャッチしていました
「わぁ…!」
「大丈夫?」
「あ…はい!」
「鏡子…出来たわね!」
「…はい!!」
もう私はクソレフトなんかじゃない!鏡子の頑張りを笑顔で認めてあげる巴いい先輩だなあ。
今回巴は服をグシャグシャにされたり、睡眠妨害されたり、踏み台にされたりと鏡子には酷い目に遭わされてましたが、
その辺のことを全然気にしてないあたりが、巴の人柄のよさを表していますね。
これが晶子だったら何度ブチキレても足りないだろうな(えー 次回に続く!
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