■アニメ感想:大正野球娘。 第11話「そゞろに胸の打ち騒ぐ」
 

「ワンナウトー!ダブっていくよー!!」

「「「おおー!!」」」

「すっごーい!完璧だわ!」

夏休みが終わり、ついに朝香中との決戦を明日に控えていた桜花会。この日は最後の実戦練習のために
バシンチームとの試合を行っていましたが、なんと9回の時点で10対0と桜花会は文句のつけようのない展開でリードを奪っていました

「頼むぜタロちゃーん!!」

「1点取ろうぜー!!」

そして9回ツーアウトで出てきたバッターはバシン。このまま何も出来ずに負けてたまるかと、なんとしてもまず1点返す気のようです
そんなバシンに晶子が投じたのは打ち頃の甘い球!ああこんな勝負所で!すかさず
「もらった!」と確信してスイングするバシンでしたが…



「アウトー!!10対0で桜花会の勝ち!」

「「「「ありがとうございました!!」」」」

「ちぇーっ…絶好球だと思ったのになぁ」

「ふっふーん」

「大成功ね、新魔球!」

「え…?そ、そんなのいつ投げたのさ?」

「さっき太郎君が打った球がそうなんだよ」

「えぇっ!?」

ところがなんと、完全に捉えたと思ったはずの打球はボテボテの内野ゴロ!そのまま試合終了になり「なんでだちくしょー」
溜め息をつくバシンでしたが、なんと最後のボールは
晶子が習得した新魔球だったようです。えー?
そんなものをいつの間に…傍から見たらただの直球っぽかったですが、打者の手元でわずかに変化をしていたんでしょうか
現代で言うとカットボール(手元で横に曲がる)とかツーシーム(手元で下に落ちる)とかそんな部類のやつですかね?
タイガーナックルを習得したことといいすごいな晶子

「Excellent!!今日の試合は合宿の成果が十分に発揮されていました!
 この調子で行けば明日の試合に不安はありません!
 皆さん、今日はゆっくり休んで明日に備えてください!そして朝香中に勝ちましょう!!」

「「「「はい!!」」」」

そんな試合内容にはアンナ先生も大満足の様子!もはや十分に朝香中とも戦えるだろうと太鼓判を押し、
今日は今までの疲れを十分に取るよう指示します。やるべき事は全てやった、明日はついに本番…

そしてその日の晩、それぞれに思い思いの決戦前夜を過ごす桜花会の面々。
その中でも晶子はタオル持ってシャドーピッチングとか、本当にすごく近代的な練習してますねえ

「皆さん!お久し振りです!」

「て、てめぇ何しに来やがった!!」

って
すず川に高原の襲撃キター!!こ、こいつこの間「もう2度と来るな」って釘を刺されたのにぬけぬけと!
しかもキレンジャーおっさんが食事中なのを見て分かるとおり、
まだ営業時間の真っ最中です。
まったくこいつは相変わらずのトラブルメーカーですな

「僕は明日小梅さんにプロポーズします!!」

「ええ!?」

「ランデブーなんて遠回りをする必要はありませんでした!
 だって僕らは両思いなんですから!」

「なんだとォ!?親の許しもなしに、勝手な真似されてたまるかってんだッ!!」

「もっとも明日の試合に僕たちが負けたら、困ってしまいますがね」

「明日の…試合?」

「あ…!」

「ええ、小梅さん達と野球の試合をするんですが…お父さんは聞いていなかったんですか?
 明日のお昼に東邦星華のグラウンドでやるんです!
 小梅さん達も相当練習しているみたいですけど、僕たちが負けるわけありません!」

「…」

き、きさまー!あろうことか、小梅が今までひた隠しにして来た野球の話を全て暴露してしまう高原!
それを聞いた父親はついにすべてを理解しますが、小梅が嘘をついていた事に腹を立てて店を飛び出してしまいます
ああ、
すず川はまだ営業時間の最中だというのに!高原のせいですず川の営業がメチャクチャに:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「ふっ…!ふっ…!ふっ…!」

その頃の小梅は、明日の試合に備えて神社で素振りをしている最中でした。
しかしそこに店を飛び出してきた父親が姿を現し、小梅に凄い勢いで説教を始めてしまいます

「あいつの言ってた事は…本当だったんだな!」

「あ…!?」

「隠れてコソコソしてやがると思ったら…!お前、俺に嘘をついていたんだな!!」

「そ、そんなつもりはなかったの、ただ…」

「ただなんだ!お前が補習だの読書会だの言ってたのは嘘じゃあねえのか!!」

「そ、それは…ごめんなさい…」

「親に嘘をつくたあどういう了見だッ!!」

「で、でもちゃんと言おうとしたら…!」

「言い訳なんざ聞きたかねえッ!!」

もはや親父の怒りは留まるところを知らず!小梅が言い訳をする暇もなく一方的にまくしたててしまいます
しかしお父ちゃん、
「親に嘘をつくとはどういうワケだ」「えーとそのワケは…」「言い訳すんな!!」とは
もう相当頭に血が昇ってますな:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「旦那さん!今回だけでも目をつぶってもらえませんか…!?
 お嬢さんは、明日の試合に備えて一生懸命練習してきたんです!ですから…!」

「お、お前…知っていたのか!?」

「…はい…すみませんでした」

「…お前ら…!2人して俺を騙していたのか!!」

「お、お父さん…!」

「旦那さん、お嬢さんの話を聞いてあげてもらえませんか…!」

「やかましいッ!!てめえらみてぇな嘘つきの話なんざ
 聞きたかねえやッ!!」

さらには小梅をかばいにやってきた三郎さんの言葉にも、まるで聞く耳を持たない親父!今の親父にとっては三郎さんの言葉も
「嘘つきが1人から2人に増えた」ということでしかないらしく、その分怒りも倍になってしまいます。
そしてとうとう口も聞きたくないと、怒り心頭でその場を後にしてしまい…
というか三郎さんまで店をほっぽってここに来てしまったら、
もう本当にすず川で料理を作る人が:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

なんだか大変な事になってしまいましたが、少ししょんぼりした様子でじっと自分の手を見る小梅。
その手には、今までずっと素振りを積み重ねて出来たいくつもの血マメが…
自分がこれだけの努力をしてきたのは、何もかも全て明日の試合に勝つため…
そのためにも、今は親父のことは三郎さんに任せて、迷いを振り切り素振りを再開するのでした

そしてとうとう夜が明け決戦の朝、小梅は学校に向かおうと玄関を出て行きますが…

「…どうしても行くのか」

「…うん」

「…」

「この日のために、何ヶ月も一緒に頑張ってきた仲間が待っているの」

「勝手にしろ…!お前なんざ…勘当だッ!!」

昨日より少しは頭の冷えた様子の親父、しかしそれでもお互い譲れないものを貫こうとするあまり、
とうとう
「あんたなんかウチの子じゃありません」と小梅に勘当を言い渡してしまいます
ずいぶん仲がこじれてしまいましたな…正直言って晶子と岩崎にも匹敵するくらい厄介な感じになってるんじゃ…
というか互いの行き違いで晶子に散々キレられまくってる岩崎は、
今の小梅に一番近い人間だと思う;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「試合開始は本日土曜日、正午!応援よろしくねー!」

「合唱部の皆さんも見に来てね!」

「ね、ね、どうする?」

「そうね〜、行ってみる!?」

「あっ、大口先生!野球ぜひ見に来てください!」

「…ふん!あなた達!正午からは練習ですよ!
 野球なんか見に行く暇などありませんからねッ!!」

その頃、朝から学校で試合のビラ配りをしていた記子とアンナ先生。例の気難しい合唱部のおばちゃん先生にも声をかけますが、
「誰が見に行くかバーカ」とあえなく一蹴されてしまいます。これには「あの人最後までああだったな…」と記子も思わず溜め息。
しかしこの大口先生の冷たい態度、やはり朝香中との試合のクライマックスで桜花会が負けそうな時に
「何を情けない試合をしているんですか!!」と颯爽と応援に現れて
桜花会が最後の反撃に転じるというフラグなのでは…(えー

「ごきげんよーう!」

「鈴川遅いぞ、こんな大事な日に何をやっているんだ」

「ご、ごめんなさい、出がけに色々あって」

「ねえ、晶子さんは一緒ではないの?」

「えっ…?まだ来てないの…?」

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《お嬢様は急な発熱で、今日一日お休みさせていただきます》

「…!?」

ところが着々と試合の準備が進められていく中、予想だにしない大事件が!いつまで経っても晶子が学校に現れないと思っていたら、
なんと家のメイドが電話をよこして
「お嬢様は熱があるから休みます」というのです。こんなバカな…晶子の性格を考えたら、
「熱が40℃あろうが100℃あろうが、今日休むくらいなら死んだ方がマシだぜ!!」と、
這ってでもやってきてマウンドに上がろうとするはずです。これは明らかに何かがおかしい…そう思った小梅は、アンナ先生の許可を得て
ひとり晶子の自宅へと急ぐのでした

「お電話でも申し上げました通り、申し訳ございませんが
 どなたも面会いただくわけには参りません。どうかお引き取りを…失礼いたします」

「ま、待ってください!少しでいいんです!晶子さんと話を…!」

しかし直接やって来てもまるで取りつく島もなし。
「誰が入れてやるもんですか」と堅く門を閉ざしたままで、
小梅はまったく中に入れてもらえず追い払われてしまいます。以前晶子が引き篭もった時は、快く入れてくれたというのに…
やはりあの時と違って、単に晶子の体調が悪いという話ではないのは明らか。
しかし家に入れないのではどうにもならず、小梅は途方に暮れてしまいます

「鈴川様、鈴川様…!」

「あっ…?松坂さん!」

そんな小梅にこっそりと声をかけて来たのは、晶子の車の運転手を任されている松坂さん!
以前小梅が来た時にも、晶子の抱えた悩みを色々教えてくれた親切な人です。そして今回もまた、小梅は松坂さんから
晶子が休んでいる真相を聞かされることに…

「えぇ!?あ、晶子さんが部屋に閉じ込められた…!?」

「はい。奥様はどこからか、お嬢様が試合をなさる件をお聞き及びになったらしく…
 昨晩は、それはもうすさまじい口論に…」

なんと晶子の家でも小梅の家とまったく同じ親子ゲンカが起こっていたようで、晶子母はなんとしても晶子を試合に行かせまいと
ムリヤリ部屋に押し込めてしまったという…それにしても
すさまじい口論と言われるくらいだし、昨晩は晶子も
今までで最大級の大激怒
をしながら大ゲンカを繰り広げたことでしょうな…あぁ想像するだけで恐ろしい:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「本日はご足労いただき、ありがとうございます!」

「いえ、こちらこそ!ご紹介します、慶応大学野球部のエース・佐藤さんです」

「「おお〜〜!!」」

「公正を期すため、今回は無理を言って審判をお願いしました」

「佐藤です。よろしくお願いします!」

そうこうしているうちに、とうとう桜花会のグラウンドには岩崎たち朝香中の面々が到着!これは早く晶子を連れて来ないと…って
わざわざ
けいおん大学から野球部のエースが審判に来てくれるなんて…(えー
しかし、
「へーそうなんだ」とアンナ先生達が特に反応もなく話を聞いてる中で、「「けいおん大学キター!!」」
環&雪だけが激しく興奮しているのは一体…そんなにけいおんが好きなのか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

そういえば今となっては懐かしい話ですが、雪は第一話で
慶應の野球部にとても親しい知り合いがいるという描写がありましたな
その辺のことで何かこの人とも関係があるんでしょうか。それとも単に、人一倍野球に詳しい2人にとっては
「すげー!生の慶應のエースだすげー!!」「うおーサインもらいてー!!」とスター感覚ではしゃいでいるのか(えー



「あの、小笠原さんの姿が見えないようですが…」

「あ、そ、それが、今はちょっとした用事で出かけているの」

「…?」

さすがに一番の重要人物がここにいないとあって、何かあったのかと心配そうな顔をする岩崎。
「いやちょっとお使いに行ってるだけっすよー」と誤魔化すアンナ先生でしたが、
朝香中が着替え終わって、守備練習を始めても晶子は現れず、とうとう本当の事を言わざるを得なくなってしまいます

「あの…実はまだ2人来ていないんです。申し訳ありませんが、試合の開始を遅らせてはいただけないでしょうか…?」

「晶子さんに、何かあったんですか?」

「それが、状況が分からなくて…でも今迎えをやっていますので」

「そういう事でしたら、自分達は構いませんよ。開始時間をずらしましょう」

「あぁ…!」

岩崎マジいい奴すぎて涙出てくる  心底困っている様子のアンナ先生達の申し出を、
「それは大変だ」と快く受け入れる岩崎。これにはアンナ先生も環も雪も、心から「岩崎さんいい人だ!」とホッとしているようです
前の試合の時に
「すごい嫌味な奴だな叩き潰してやろうぜ」と岩崎を評価していた環も
これで考えを改めたことでしょう:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「それはいかんな。事前に取り決めた時間を変更するのは、紳士淑女のやる事ではない」

「えっ、そ、そこを何とか…!」

「審判としてそれは出来ません。正午に僕がプレイボールを宣言して
 5分以内に人数が揃わなければ、放棄試合とみなします」

「佐藤さん…少し厳しすぎはしませんか?」

「君も球児なら、ルールに従うべきではないのかね!」

俺がルールブックだ!!けいおん大学融通きかなすぎだろ…(えー
なんとせっかく岩崎が承諾してくれた延期の申し出も、頭でっかちな審判にあえなく却下されてしまいました
うーん…しかし考えてみれば、これって公式試合だしな…練習試合ならまだしも、選手の遅刻で公式試合を遅らせるっていうのは
確かにおかしな話だし…
イチローが寝坊したからマリナーズの試合時間を遅らせますなんて絶対ないしな…
けいおん大学の言うことにも一理あるのかもしれません、とにかく晶子が早く来てくれることを祈るしか…

「(こそこそ)」

「あ、あのう松坂さん、こんな事をして大丈夫なんですか…?」

「ご心配には及びません、普段は大層ご自分を抑えておいでのお嬢様が、唯一我をお通しになり
 心血を注いでお取り組みになったのが、鈴川様との野球でございます。
 その努力、無駄にするわけには参りません!」

「松坂さん…!」

その頃の小梅は、親切な松坂さんの手引きにより晶子の屋敷の中へと潜入していました。
晶子の野球への情熱を深く理解し、なんとしてもここから救出しようと協力を惜しまない松坂さん。いい人だ…
しかし
「ご心配には及びません」っていうのは、晶子の親から松坂さんへのお咎めがなくなるわけじゃなくて
どんな罰であろうと受ける覚悟はできてますって話だよな…松坂さん…クビとかにされなきゃいいんだが…(´・ω・`)

「ただ…お嬢様の部屋の前には、アレが…」

「アレ…?」

どーん

「なっ、なんなんですかあれは!?」

「うちの書生でして、柔道四段とか…」

「ええ〜…!?」

西郷さん!西郷さんじゃないか!!順調に晶子の部屋の前までやってきた2人でしたが、
なんと部屋の門番としてドアの前には西郷さんが!うーむ…女の子の小梅とお爺さんな松坂さんでは、
西郷さんを相手に戦うのはとても無理です。とはいえ時間はもう完全にタイムリミット、もはや1秒たりとも足踏みしている暇はありませんが…

「あああ…どうしよう、これじゃ試合に間に合わないよぉ…!」

「…鈴川様、この松坂に万事お任せを!」

「え…?」

何ひとつ名案が浮かばずに頭を抱えてしまう小梅。しかしその時、松坂さんにこの状況を打破するための策が!
頼りになるなあ松坂さん…果たしてあの絶対にどきそうにない西郷さんをどかせる策とは…?

「うおぉぉぉっ…!ん、んぐぅぅぅぅっ…!」

「…!?どげんしたとですか!?松坂さん!」

「う…ううう…持病の癪がぁぁぁっ…!おぉぉぉ…!薬を…私の…部屋にぃぃっ…!」

「あ…!すぐに取ってきますッ!!」

持病の癪かよ!!べ…ベタなんてもんじゃねえええー!!
なんて人だ松坂さん…完全に予想外すぎて度肝を抜かれたぜ…というか現代ではベタベタな「持病の癪が」というこの仮病も、
やはり大正時代では
最先端の騙しテクニックだったんだろうか:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

バタアアアン!!

「晶子さん!」

「あ…!?小梅さん!!」



そんな松坂さんの活躍により、ついに晶子の部屋へと突撃した小梅たち!中にいた晶子は
「なんとしてでも脱出してやるぜ」
ロープ用の布をひたすら結びまくっているところでした。しかし今となってはそんなの必要ありません
西郷さんが戻って来ないうちに、3人は急いで屋敷を脱出すると車に飛び乗り学校を目指すのでした

バオオオオオオ!!

「う、う、ういい…!」

「松坂!時間がないわ、もっと飛ばして!!」

「はい!お嬢様!」

「ひいい!?」

そしてアクセル全開の猛スピードで車を飛ばす松坂さん!車に慣れていない小梅はそれこそ寿命が縮む思いです
「お兄様!おしっこぉ!」と叫び出すのも時間の問題です(えー
しかしこんなフルアクセルで町中をすっとばしていたら、もし横道から人が出てきた日には…
って本当に来たー!!



「う、うおあっ!?」

「「「わああああああああーっ!!」」」

ドグアッシャアアアアアン!!

うあああああ見るも無惨な大事故発生!!通行人を避けようとした3人の車は、そこら辺の民家にフルスピードで突っ込み
塀をグシャグシャに破壊したあげく派手に横転!なんてこった…どうやら
車の屋根も全開状態でシートベルトもなかったようだし、
乗っていた3人は一体どうなってしまったのか…



「お2人とも大丈夫ですか!」

「うはぁぁ…」

「ええ、大丈夫よ!」

って
無傷かお前ら!!なんたる幸運…車から放り出されてトマトみたいに潰れちゃってもおかしくない事故でしたが、
どうにか3人とも無傷で済んだようです

「後始末は私にお任せください!お2人は試合場へ!」

「は、はい!」

「…」

「…?」

「松坂…ありがとう!」

「…あ…!」

そして後のことは全て自分が引き受け、小梅達を学校へと急がせる松坂さん。いい人だぁ
そんな松坂さんをじっと見据えた末に、晶子は心からのお礼を言って駆けて行くのでした
それにしても、この後の松坂さんは一体どうなってしまうんだろう…

晶子の両親に逆らって晶子を連れ出し、晶子の家の車を壊し、他人の家を壊し、晶子を危険な目に遭わせた
とあっては…
クビだけで済むかどうかも分からない感じですが、その悲劇さをおくびにも出さない松坂さんが立派すぎる(´;ω;`)
去って行く晶子の背中に一礼する松坂さんの姿も、そう考えるとなんだか深いものを感じるなあ…松坂さん…

「ど、どうする、もうすぐお昼のドンが鳴ってしまうぞ…!」

ドオオオオン!!

「両チームは集合して下さい!」

「あぁあ…」

「…」

「キャー!!早く早く!!」

「えっ…?」

「はあ、はあ、はあ…!遅れてごめんなさあああい!!」

そしてちょうど正午となったその時、超ギリギリのタイミングでグラウンドへと駆け込んできた2人!
さっきけいおん大学は
「僕がプレイボールを宣言して5分以内に来なかったら失格」と言っていたので、
今から大急ぎで着替えればなんとか間に合いそうです。というか
地味に5分だけ猶予をくれていたとは
けいおん大学も意外と情けはかけてくれていたんですね

ちなみにお昼のドンというのは、この時代の正午に鳴らされていた空砲のことで、
今でも午前だけで学校や仕事が終わるのを
「半ドン」と言ったりするのは、このお昼のドンが由来って説もあるみたいですね

「これより、桜花会と朝香中の試合を行います!それでは、礼!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

「晶子さん、試合が終わった後で構いません。僕の話を聞いてください、お願いします!」

「…」

そして試合開始の礼が行われ、晶子に一言言ってから自軍ベンチに向かっていく岩崎。
ほんとに話を聞いてやれよ…ほんとに…(えー
このアニメは岩崎が悪い奴じゃないということを、晶子に理解させるのが最大の課題ですからね。
今の会話も岩崎に一言も返さず仏頂面してるし、試合後の話し合いの方が
厳しい戦いになりそうだ:;y=_ト ̄|○・∵. ターン

「投球練習は8球!」

「はい!(ちらっ)」

先攻は朝香中からということで、守備について投球練習を始めた晶子。ところが乃枝の方をちらちらと気にしております
何かと思えば、どうやらこの投球練習から作戦はすでに始まっているようで…

(晶子さん、試合前に制球力が良いことを審判に印象付けておいて。
 そうしておけば、後々きわどい球でもストライクに取ってくれるはずよ)

「晶子さんいいよー!次は内角低目!」

スパアアアアン!

「はい最後!外角低目いっぱい!」

スパアアアアン!

「ほぉ…?あの子、なかなかいい制球力をしているね」

「はい!もうそれだけが取り柄ですから!」

次々に際どいコースを指示する小梅に対し、見事にその通りのコースにビシビシと球を投げ込む晶子!
これにはさすがのけいおん大学も舌を巻いております、「コントロールの良さを見せつける」という作戦の第一段階は、
どうやら無事クリアしたようですな…元々晶子はコントロールだけはいいから投手に選ばれたくらいですもんね

「小梅さ〜ん♪試合が終わるのが楽しみだよ、賭けのこと忘れないでね?」

「…」

「君、打席での私語は慎みたまえ。プレイボール!!」

(記子さんの調べだと、高原さんは初球から積極的に打ってくる選手…
 特に低目が好きだから、最初っからこれ!)

そして今日もまたうざったい軽口を叩きながら、1番高原が打席に入ったところでプレイボール!
ところが初球からブンブン振ってくる打者だと知られている高原は、いきなり第2の魔球で凡ゴロを打たされて
まんまとアウトにされてしまいます。そして続く2番打者も、同じように魔球の餌食にされて内野ゴロでアウトに!

(岩崎さんは選球眼に自信があるから…すぐには手を出して来ない!)

3番の岩崎は高原とは逆に、追い込まれないうちはあまり手を出してこない慎重なバッター。
となればこちらは、多少甘いコースでもじゃんじゃんストライクを取りに行き、最後はボール気味の際どいコースに投げてしまえば…

「ええいっ!」

(むっ…)

スパアアアアン!

「ストライクバッターアウトォ!!」

「えっ!?今の、入ってましたか…?」

「ああ、ギリギリね」



岩崎がボールと思って見逃した球も、審判がストライクに取って見逃し三振!
さっきの投球練習作戦が早くも効果を発揮してますな、普通の試合ならボールと言われるコースでも、
うまく審判の印象を操作したことで、ストライクに取ってもらえるようになったのです

「上手く行ったわね!」

「ええ、川島さんの読み通りよ!」

「あのコースをストライクに取ってくれると凄く楽!」

「さあみんな!上達したのは守備だけじゃないことを、朝香中に教えてあげましょう!」

「厳しく攻めてぶつけるんじゃないぞ?」

「ああ、そうだな」

(相手がこっちを甘く見ているうちは、厳しい球もなければ遊び球もないわ…
 だから初球から積極的に!)

そして一回の裏、今度は桜花会の攻撃になりますが、ここでもまた乃枝の読みがズバリ的中!
「ぶつけたら大変だ」と厳しい内角攻めなどは一切なく、球速もコースも全力でない球を投げてきている岩崎…
今まで岩崎の球速に対応するために、バッティングピッチャーをマウンドの何歩も前に立たせて打撃練習を積んできた桜花会には、
これくらいの球を打つのは屁のカッパです。そして岩崎から連続安打を奪った結果、なんと初回に3点という貴重な得点が入る結果に!



「むう…すまん…」

「なあーに、あんなのたまたまさ!」

「まだ一回の裏だ、すぐ逆転しようぜ!」

ところがそれだけリードを奪われたのに、
「なあーに3点なんざ一瞬にして返せるべ」とずいぶんお気楽ムードな朝香ナイン。
さすがに油断しすぎだろ…でも考えてみれば、朝香中は前の試合で桜花会に
1回で11対0なんてスコアで勝ってるんだし、
9回フルに戦ってれば
100対0ぐらいで勝ってたわけですからな…そりゃ3点くらいいつでも返せると思って当然です
もしかするとあの練習試合は、そんな風に
朝香中が油断することを見越しての敗戦だったんだろうか…
あの時練習試合しようって言い出したのも乃枝だしなぁ、乃枝ってこんなに頭のいい奴だったのか…
知らなかった…(えー

「…」



しかし、そんなお気楽ムードの朝香中の中で、唯一ヘラヘラせず静かに状況を見据える人物が。
誰かと思えば打率8割・脅威の4番バッター柳です。こいつは流石だな…やはりあれだけ飛び抜けた実力を持っている男は、
普段からして見ているものが常人とは違うようです。どうやらこの試合の行方は、この男が鍵を握っている感じが…

「ええいっ!」「アウトォ!!」

「ええいっ!」「アウトォ!!」

「おいおーい!そろそろ点を入れていかないとまずいんじゃないかー?」

「一体どうなってるんだ…?」

そして、回は進み4回の表・朝香中の攻撃。これまで凡打凡打の山を築いて、ようやく朝香中も「おっかしいなー点が入らんなー」
思い始めたようです。打席には4番柳、ランナーは1塁、朝香中的にはここで一発長打を期待したいところですが…

「ええいっ!」

(あ…!?た、高い!)

その時ここで晶子に失投が!小梅に第2の魔球を要求されたものの、コースが甘く打ちごろのゾーンへ入っていってしまう!
いくら魔球とはいえ柳相手にこれは危険!まともに当たれば一体どこまでかっ飛ばされるか…

シュオオオオオオオ

「…ッ!?」

ところがボールを迎えに行ったその時、この球の異変に気づいた柳!
”直球じゃない”…これまではバシンチームも朝香中も、誰もが直球だと思い込んで凡打に倒れた第2の魔球ですが、
とうとう柳だけはその正体を見抜いてしまいました

スパアアアアン!

「ストライクバッターアウトォッ!!」

「きゃー!すっごーい!!」

「…」

そのままボールを見送って柳見逃し三振!
「ぎゃーっはっは4番から簡単にアウトを取れたぜ」と大喜びの晶子達でしたが、
アンナ先生だけは今の打席を
柳が今後のために捨てたことを理解し、苦い表情を浮かべるのでした

「どうした柳ー!見逃し三振なんてらしくないぞ!」

「あのピッチャー…魔球を投げている」

「へ…?魔球ってどんな?」

「スットライーク!!」

「今日の審判は、クサイところは全部ストライクに取る。
 それでカウントを稼がれたところへ、ふと甘い球が来る。打ち頃と思って手を出すと、
 ホームベースの手前で少しだけ沈んでバットの芯を外すんだ」

「…なるほどね…これからは魔球に手を出さず、カウントを稼ぎに来る球を狙い打ちだな」

「でも魔球に手を出すなって言われても、どうすればいいんだよ」

「それなら心配ない、いい方法がある」

な、なんと…今の打席で、魔球の正体だけでなく晶子の投球術までも完璧に掴んでしまった柳!
さらにはその対抗策までしっかり考えついているようです。
格が違うとはこのことか…
何も考えずにブンブン振ってる他のメンバーとはレベルが違いすぎます柳、やっぱり結果を残す奴は着眼点からしてまるで違いますね

「いい調子だねー!」

「ええ、本当に!」

「この調子なら勝てるかもしれませんね!」

「そう簡単に行くかしら…朝香中は晶子の魔球に気づいたようです」

「えっ…?」

「ここから先は今までのようには行きませんよ」

4回までを完璧に抑えて盛り上がっていた桜花会ベンチ、しかしアンナ先生から今の状況を教えられて表情が変わります
見てみれば、朝香中ベンチでは円陣を組んで柳が仲間全員に指示を飛ばしていました。
おそらく次からは魔球も通用しなくなり、油断したプレーも消えてなくなるはず…これまでより遥かに厳しい戦いが待っているはずです
それを予感してか、小梅達も表情を引き締めて本当の戦いに挑むのでした。次回に続く





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