ゲオルグを倒したことで、ディガルドからの執拗な追撃も一段落と言った感じ。
その間ラ・カン達はピクル村に留まり、ゾイドを駆使して村の復興作業に一役買っていました。
「今日はずっと青いまま？」
「はい…」
「昨日のあれ、なんだったのかしら…」
「オレにも分からないんです、あの時は無我夢中で…なんであの姿になったのかも、
なんで一晩たったら元の姿に戻ったのかも見当つかないんです」
食事時に集まった一同。そこで話題になるのは、もちろん突然シャア専用になってしまったムラサメライガーのことでした。
しかし、ルージに分かることは頭の中に浮かんできた「ハヤテライガー」という名前だけ。
どうしてあんな変化が起こったのか、まったく分からない状態です
「ルージにいちゃーん！」
「ムラサメライガーのせてー！」
そこへやってきたのは村の子供達。早くも仲良くなってしまったようです
サクサ村を訪れた時もそうでしたが、子供に優しいルージは快く子供達の頼みを聞いてあげるのでした
ら、らめぇ！ルージきゅんマジ総受け
狭い操縦席で幼女とぺったんこ。はしゃぎまわる子供達と一緒に村を回っていると、
「ルージ君！珍しい食べ物があるの、食べてって！」
「おーいルージ！」
「おーいお若いの！」
性別も年代も一切問わず！ルージきゅんは老若男女すべてのアイドル。まさにスーパーモテ男ルージ・フェロモン（えー
「ディガルドの奴らはもう来んかのう」
「多分、大丈夫だと思いますけど」
「お前さんたちは銀色のゾイド（バイオラプター）を倒せるゾイドに乗っているから大丈夫じゃろうが、
この村にはそんなものないからのう」
「ディガルドが戦を続ける限り、枕を高くして眠れることはなさそうじゃあ…」
ディガルドへの恐怖が色濃く残るお爺さんたちの人生相談を受けてあげるルージ。
もうこの村が狙われる心配はないとは言え、つい先日村を焼き尽くされてしまったばかり。
気持ちをさっぱり切り替えて「ウェーイ！今日からは安心だ！」なんて暮らしは到底できないでしょう。
「あんた…何しに行ってたの？」
「あはは、いっぱいもらっちゃった」
村人に大量の差し入れをもらって戻ってきたルージでしたが、
頭の中にはお爺さん達の不安そうな表情がこびりついているのでした
そしてその日の夜。復旧のメドが立ったピクル村を出発するため、次の目的地について話し合う一同でしたが…
「いつまでもここに留まるわけにもいかん、ジェネレーターを修理する職人も探さねばならんしな」
「だが手がかりがなぁ…」
「正直、まるでないわねぇ」
「とりあえず大きな町をしらみつぶしにしよう。手がかりが掴めるかもしれん」
ジェネレーター職人の話の最中だというのに、思い悩んだように押し黙ったままのルージ。
しばらくして、何かを決意したように口を開いたルージは…
「あの、俺たち他にやるべきことがあるんじゃないでしょうか。
ハラヤードの町、サクサ村、ゼ・ルフトの町、そしてこのピクル村…
誰もがディガルド武国を恐れ、憎んでいます。ディガルドと戦っている人はたくさん居ます、
ほとんどがリーオの武器を持たずに…でもオレ達は持ってる。ラ・カン、あなたのような人なら
きっとたくさんの人達をまとめて行けるでしょう、オレは…ラ・カンにならついて行く！」
以前、ゼ・ルフトでも一度ディガルドとの戦いを訴えたルージでしたが
今度はあの時と違って、町ひとつ守るためではなく本格的に打倒ディガルドを目指して行くつもりのようです
以前ロンは「ジェネレーター職人さえ見つかればハイさよなら」と言っていましたが、
そうではなく、一度ここで旅の目的を考え直したいということなのでしょう
「…昔話をしよう。北の方にキダという藩があった。
大きな藩ではなかったが、布地の原料となる作物の栽培に成功してな…豊かな藩ではあった。
そのキダ藩に銀色のゾイド…バイオゾイドが攻め入って来た」
「ディガルド武国ですか…？」
「当時はまだディガルド公国と名乗っていた。ディガルドの国王は領主に降伏を迫った…領主は迷った…
キダ藩にも相当な数の大型ゾイドが居たからだ、戦いになれば勝ちを収めることができたかもしれない。
だが結局、キダ藩の領主は数人の側近と共に藩を離れることを選んだ。
戦で犠牲が出るのを恐れたとも言われたが、実は見たこともない技術を持った国を恐れただけかもしれん。
この判断は…大きな誤りだった。ほとんど無傷で藩を手に入れ気を良くしたディガルドは、
次々と周りの国や藩、町に攻め入り始めたのだ。そうして侵略を繰り返したディガルドは、
ますます強大になって行った。今にして思えば…キダ藩が徹底的に交戦していれば、
例え勝てないまでも今のディガルドの横暴はなかったはず。
一人の臆病者の逃げ腰な態度が、ディガルドを増長させてしまった…その領主の名は、ラ・カン」
おー、今までにも匂わすような発言はいくつかありましたが、やはりタダ者ではありませんでしたラ・カン。
一国の主だったんですね。ということは姪のミィ様はまさに姫様！？
なんてこった！それがこうも野蛮に育ってしまうとは、キダ藩再興のお先まっくら:;y＝_ト￣|○･∵.
ﾀｰﾝ
キダ藩がディガルドと徹底抗戦すれば双方甚大な被害が出たはず。国民の命を守るために降伏を選んだラ・カンでしたが
結果的に最悪の事態を招いてしまい、自分には人の上に立つ器などないといった風にルージの期待に応えられないのでした
そして翌日。一晩考える時間を与えられた一同は、もう一度これからの旅について話し合うことにします
「ゆうべからずっと考えてたんです…どうするのが本当にいいことなのか…
でもラ・カン、ディガルド討伐に立ち上がってください！」
「…他の者もそうなのか？」
「オレは元々、反ディガルドでならした男だぜ」
「私は…正直迷ってる。ディガルドは大嫌い、だからって戦うだけが全てなのかしら…
でも一方でみんなとも離れたくない。ずるいかもしれないけど、やりたいことが見つかるまで一緒にいさせて…
戦いになれば役に立ってみせるから」
「オレの成すべき事はルージを鍛え上げる事。それだけだ」
「私は…いつかおじ様がディガルドを倒してくれるって、ずっと信じてた」
コト姉にはまだ迷いが見えるようですが、それ以外のメンバーはすでにディガルドと戦う覚悟はできている様子。
姪のミィ様にこう言われては、ラ・カンもただ黙っているわけにはいきません。重い腰を上げたラ・カンは、ルージに一言こう言うのでした
「お前の決意、試させてもらう」
「お前が勝てば私はディガルド討伐の旗を掲げよう。だが私が勝てば、私の好きにさせてもらう」
というわけでゾイドでの模擬戦開始！力こそが正義！いい時代になったものだ（えー
「はじめっ！」
「どっちが勝つと思う？」
「ルージもだいぶウデを上げてきちゃいるが…まだラ・カンだろうな」
果敢に攻めていくルージでしたが、ガラガの言うとおり紙一重でラ・カンの動きをとらえることができません
と、そんな２人の戦いを遠くから分析する一人の男！
我々はこの男を知っているッ！！
何やってんだキサマー！やっぱりお前はディガルドのスパイだったのか！
「さすがラ・カン…スキがない…」
ラ・カンも感心するほどの攻めを見せるルージでしたが、とうとう攻め疲れが出て汗がダラダラ。
そして、額をつたう汗が一瞬左目に入ってしまい…
「スキありっ！」
「うわああああーっ！！」
ガッシャアアアアアア！！
ムラサメライガーの動きが止まった一瞬を逃さず、反撃に転じたソードウルフの体当たりが炸裂！
吹き飛ばされたムラサメライガーをすかさず押さえつけ、模擬戦の勝者はラ・カンとなってしまいました
というかガラガ戦、ロン戦に続いてラ・カン戦にも敗北って
ルージきゅん仲間との戦いは全敗記録更新中ですよ！
このままではゾイド界の楽天と称される日もそう遠くは:;y＝_ト￣|○･∵.
ﾀｰﾝ
「や〜面白い勝負だったねぇ」
「ロン！？この野郎心配させやがって！」
「悪い悪い、集合場所忘れちゃってね〜」
こ、この野郎ぬけぬけとー！！
スパイの分際で何をしらじらしいことを！ＳＡＴＳＵＧＡＩせよ！ＳＡＴＳＵＧＡＩせよ！
このニヤニヤした顔とか見てると、横っ面をひっぱたきたくなってきますね（えー
「どうした、汗でも目に入ったか？」
「どうして分かるんですか…？」
「長年ゾイドに乗っていれば、ちょっとした動きのクセでな…約束通り好きにさせてもらう」
「…はい」
「では、ミロード村に行くとしよう」
ええ！？勝利したラ・カンが選んだ目的地はなんとミロード村！ここに来てふりだしに戻る！？
ラ・カンの考えとは一体…予想もしていなかった次の目的地に、ルージも目をパチクリ。
ところ変わってどこぞの田舎の川原、そこで釣りに興じる一人の男。まったくこのご時世にのん気なもんだ…って！
ああー！！笑いの神が帰ってきたッ！どこへ行っていたンだッ！うっかり少将ッッ！
俺達は君を待っていたッッッ！ザイリンの登場だーーーーッ！！
「ふふ、長いことやってないと腕も落ちるな…」
趣味の釣りをやっているようですが、上手くいかずにボウズのザイリン。そういえばどうしてこんな状況に…って
思い返してみれば、確かジーンに「ゆっくりして来るといい」と左遷されてこんな所に来てるわけですが
ま…まさか…ほんとに休暇を満喫中なのかザイリン！
い、いやあの、あれは半分皮肉っていうか左遷する時の常套句でしょ！本当にゆっくり休むやつがあるか！
世捨て人みたいな格好だし。復活早々やらかしてくれます。やっぱりザイリンがいると違うなぁ
「…ん？」
と、その時辺りを吹き抜ける一陣の風！頭上を見上げてみれば、そこには空飛ぶ一機の飛行ゾイドが！
それを見たザイリン、釣り竿を放り出して驚きの表情です
「空飛ぶバイオゾイド…！？完成したのか、バイオプテラが！」
バイオメガラプトル、バイオトリケラに続いてバイオ四天王３体目が登場！
このバイオプテラ、ゲオルグの代わりにルージ達の行く手を阻む敵となるんでしょうか？次回へ続く！
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